JP3518490B2 - 半導体膜作製方法 - Google Patents

半導体膜作製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温工程によって
N型またはP型の半導体すなわち一導電型を有する半導
体膜を得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】低温工程によって、一導電型を有する半
導体を得る方法としては、イオン打ち込み法によるも
の、スパッタ法によるもの等が知られている。
【0003】しかしながらイオン打ち込み法による方法は、
生産性において問題があり、またスパッタ法による方法
は、200℃以下の低温で行え、しかも生産性にも優れ
るという特徴を備えるが、成膜された半導体膜の電気的
特性が低く(例えばスパッタによって得た半導体膜を用
いて作ったデバイスの電気的特性が低い)実用にならな
かった。
【0004】従来スパッタ法によってP型またはN型の半導
体膜を得る方法としては、例えば一導電型の珪素膜を得
ようとするならば単結晶シリコンに一導電型を付与する
不純物を添加したターゲットを用いて、アルゴンのみを
用いた雰囲気中においてスパッタリングをするか、P型
またはN型を付与する不純物が添加されていない単結晶
シリコンターゲットを用いて一導電型付与する元素を含
んだ反応ガス(例えばフォスヒン)を添加したアルゴン
雰囲気中でスパッタリングをするのが公知の方法である
と考えられている。しかし従来の方法においては10-5
(Ωcm) -1以上の導電率を有するP型またはN型の半導
体膜を得ることができなかった。これはP型またはN型
の導電型を付与する不純物が半導体中で置換してドナー
またはアクセプターとならないからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温で成膜
でき、生産性にも優れたスパッタ法を用いて導電率の高
い一導電型を有する半導体膜を作製することを発明の課
題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、水素を含んだ
アルゴンのごとき不活性雰囲気中の水素の分圧比が30
%以上である雰囲気中で、P型またはN型の一導電型を
付与する元素であるIII価またはIV価の元素が好ましく
は1×1017cm-3以上添加された単結晶または多結晶の
半導体ターゲットを用いたスパッタリングによる成膜を
行なうことによって、P型またはN型の一導電型を有す
る半導体膜を作製することを特徴とする半導体の作製方
法である。
【0007】本発明の特徴は、300 ℃以下の成膜温度(基板
温度)において、単結晶または多結晶のシリコンターゲ
ットに導電率が100(Ωcm)-1〜0.1(Ωcm)-1
なるように一導電型を付与する不純物であるIII価また
はIV価の元素を添加したターゲットを用いて、水素を含
む雰囲気中においてスパッタリングによって成膜を行
い、このスパッタリングによって得られた膜の導電率を
ターゲットの導電率の1/100〜1/3の値、すなわ
ち0.1(Ωcm)-1以上の導電率を有するN型またはP
型の半導体を得ることにある。
【0008】また本発明の構成において、基板は接地(アー
ス)されていてもよいが、基板に対するイオンのスッパ
ッタリングの影響を小さくするために基板(一般的には
ガラス基板、シリコン基板等が用いられる)を電気的に
フローティング、すなわち周囲から絶縁状態にするとよ
い。
【0009】水素の分圧比が30%以上である雰囲気中にお
いて、スパッタリングを行なうのは、水素分圧が30%
以上である雰囲気中でのスパッタリングによって得られ
た一導電型を有する半導体の導電率が10-2(Ωcm)-1
上得られるという実験事実に基づくものである。
【0010】スパッタリング成膜に用いるターゲットは珪素
半導体膜を形成するのであれば、N導電型を付与する不
純物であれば、リン(P) 、砒素(As)、アンチモン(Sb)、
P型の導電体を付与する不純物であればボロン(B) 、ア
ルミ(Al)等が添加された単結晶または多結晶シリコンタ
ーゲットを用いることができる。また単結晶または多結
晶の半導体ターゲットとしては、珪素すなわちシリコン
を用いるのみでなく成膜される半導体膜によって、Ge、
Se、や化合物半導体例えばガリウムひそ、ガリウムアン
チモン等を用いてもよい。
【0011】本発明の構成において、成膜後の一導電型を有
する半導体膜に700℃以下の温度で熱アニールを行っ
てもよい。
【0012】しかしながら本発明の構成をとることによっ
て、従来はスパッタ法やCVD法によって得た一導電型
を有する半導体膜を熱アニールすることによって得てい
た10-2(Ωcm)-1以上の導電率を低温(150℃以
下)でスパッタリングすることによって得ることができ
ることは大きな特徴である。このことは、図3に示す成
膜直後のアニールしていない本発明方法によって得たN
型半導体膜のラマンスペクトルをみれば明らかである。
図3を見ると、水素の分圧が50%の雰囲気中における
スパッタリングによって得たN型半導体膜のラマンスペ
クトルは、単結晶珪素(c-Si)のピークである521cm-1
より波数が低いところに結晶性を示すピークが表れてい
ることがわかる。
【0013】本発明の構成は、珪素半導体に限らず他の半導
体に適用できることはいうまでもない。例えば、一導電
型を付与する不純物(例えばボロン、リン)が添加され
たシリコン(珪素)とゲルマニウムのターゲットを同時
に用いることによって、一導電型を有するSix Ge1-x
半導体膜を得ることができる。この場合、それぞれのタ
ーゲットの面積を変えることで、半導体膜の組成比を変
えることができるという別の特徴を有する。この思想に
よれば、さらに複数のターゲットを同時に用いることで
さらに複雑な組成比を有する半導体膜を得るこができ
る。
【0014】
【実施例1】本実施例は、図1に示すマグネトロン型RF
スッパッタ装置を用いてN型珪素半導体膜を作製するも
のである。以下図1に示すマグネトロン型RFスパッタ装
置について説明する。以下図1のマグネトロン型RFスパ
ッタ装置の概略を説明する。
【0015】図1において、(12)は基板、(13)は必要に応じ
て回転することのできるホルダー、(14)は基板加熱用の
ヒーター、(15)はガス導入系、(17)はガス導入系のバル
ブ、(18)はガス供給系例えば水素が充填されたボンベで
ある。この図1においては一種類のガス供給系しか記載
されていないが、その他必要に応じてアルゴン、フォス
ヒン、ジボラン、窒素等のガス供給系を備えてもよく、
この際ガス導入系を複数設け同時に反応室内にガスを導
入できるようにしてもよい。また、(19)は高周波電源
(13.56MHz)であり、(20)は高周波マッチング装置であ
り、(21)は必要に応じて回転する永久磁石(22)を円形上
に設けたマグネトロン部分である。
【0016】さらに(23)はスパッタ粒子(スパッタされた原
子やクラスタ、イオン等)が基板に到達しないようにす
るためのシャッターである。このシャッター(23)はスパ
ッタリング開始直後に不純物がスパッタ粒子となって基
板に到達するのを防ぐものであるが、必要に応じてスパ
ッタ粒子が被形成面に到達しないように用いることがで
きる。(24)はターゲットである。ターゲットは必要に応
じて不純物元素例えばリン、ボロン、弗素を混入させる
ことにより不純物がドーピングされた薄膜を成膜をする
ことができる。(25)はガス排気系であり、(26)はターボ
分子ポンプ、(27)は油回転ポンプである。また(28),(2
9) は排気系のバルブである。さらに(34)はさらに高い
高真空状態や特定の不純物を排気するためにクライオポ
ンプ(31)、回転ポンプ(33)を備えた排気系(34)を備えて
いる。なお(30),(33) はこの排気系(34)のバルブであ
る。
【0017】このうちクライオポンプが設けられた排気系(3
4)は主として、成膜前の高真空排気に用いられ、10
-10Torr 程度まで反応室を排気でき、反応室内に吸着し
ている気体や分子を排気することができる。特に成膜前
の高真空排気は膜中に含まれる酸素、炭素、窒素の不純
物量を減らすことに対して有効である。本実施例におい
ては、基板(12)の加熱はヒーター(14)によって行った
が、赤外線ランプで行ってもよい。
【0018】本実施例において、ターゲットは一導電型を付
与する不純物であるアンチモンが添加された抵抗率ρ=
0.60Ωcmである溶融シリコンターゲットを用いた
が、他の一導電型を付与する不純物例えばN型であれば
As、Sb、P形であればBを用いることができることはい
うまでもない。またターゲットの導電率を熱アニール等
の方法でできるだけ高くすることは効果がある。成膜条
件は、水素とアルゴンの混合雰囲気中において、水素分
圧をパラメータとし、成膜温度150℃、圧力0.5p
a、RFパワー400Wで、膜厚2000Åの厚さに成膜
した。
【0019】図2に本実施例によって得られたN型半導体膜
の導電率σ(Ωcm)-1と成膜時の雰囲気中における水素
の体積%との関係を示す。図2を見ると、スパッタリン
グ時における水素分圧が30%以上でσ=10-2(Ωc
m)-1以上の値が得られていることがわかる。
【0020】また図3に本実施例において得られたラマンス
ペクトルを示す。図中に示すように水素分圧PH を全圧
であるPT に対して大きくすると単結晶性珪素のピーク
である521cm-1より低いところに鋭いピークが生じる
ことがわかる。
【0021】一般にσ=10-1(Ωcm)-1以上の値を得ること
ができば、絶縁ゲイト型電界効果トランジスタのソー
ス、ドレイン領域として十分に実用になる。このことを
考えると、本発明である水素が添加された不活性雰囲気
中におけるスパッタリングによって得られた一導電型を
有する珪素膜(この場合はN型珪素膜)は大面積に成膜
することができるので、従来の不純物イオンドーピング
等に比べ、経済性を備えると同時に電気的特性に優れた
一導電型を有する半導体膜であるといえる。
【0022】本発明の構成においては、これらの方法によっ
て形成された被膜は、酸素が7×1019cm-3以下、好ま
しくは1×1019cm-3以下の濃度であることが好ましい。
例えばSIMS( 二次イオン質量分析) 法における不純物と
して酸素が8×1018cm -3、炭素3×1016cm-3を得
た。また水素は4×1020cm-3であり、珪素4×1022
cm-3として比較すると1原子%であった。
【0023】本実施例においては、図1に示すマグネトロン
型RFスパッタ装置に示されている排気系(34)に備えられ
ているクライオポンプを用いることによって特定の不純
物例えば酸素、炭素、窒素を選択的に排気することは、
スパッタ成膜される半導体膜の膜質を高めるために大き
な効果がある。例えば一導電型を付与する不純物が添加
されたP型またはN型の半導体膜の膜中にアクセプター
またはドナーとして寄与する不純物以外に酸素、炭素、
窒素の不純物が存在すると、その半導体膜を用いてデバ
イスを作製した時のデバイスの性能に悪い影響を与え
る。例えば太陽電池を構成する半導体層に酸素元素が混
入すると変換効率や耐久性の劣化を招くことがある。よ
ってこれら酸素、炭素、窒素等の不純物を効率よく排気
することによって、半導体膜にたいする悪影響を防止す
ることができる。
【0024】本実施例において用いた図1に示されるスパッ
タ装置に備えられている吸着ポンプであるクライオポン
プを用いることによって酸素、炭素、窒素等の不純物か
らなる分子を効率よく排気することができる。例えば本
実施例において、ターボ分子ポンプが備えられている排
気系(25)のみを用いて成膜を行った場合、形成された膜
中に含まれる酸素濃度はSIMS(二次イオン質量分析) 法
によると、3×1019cm-3程度であったが、同じ成膜圧
力でもクライオポンプが備えられた排気系(34)を併用す
ることによって形成された膜中に含まれる酸素濃度は6
×1018cm -3とすることができた。また形成された被膜
中の炭素濃度は3×1016cm-3を得ることができ、水素
は4×1020cm-3であり、珪素4×1022cm-3として比
較すると1原子%であった。
【0025】本発明の構成においては、2.5pa程度の比較
的高い成膜圧力がよいことがデータとして得られている
ので、超高真空状態での成膜を行うのは不適格である。
よって、前述したように酸素、炭素、窒素を吸着分子と
して排気することのできるクライオポンプの使用は顕著
な効果を有する。さらに本発明においてはアルゴンのご
とき不活性気体と水素の混合雰囲気中において、スパッ
タリングによって成膜をするので、最も問題となる不純
物である酸素が水素と結合して分子となって反応空間内
に存在する。よって前述のごとくクライオポンプを用い
ると効率よくこの酸素と水素から成る分子を排気するこ
とができる。さらに本発明の構成のようにP型またはN
型の導電型に寄与する不純物(例えばリン、アンチモ
ン)を含有しなければならない半導体膜を形成する場
合、反応ガスを用いたCVD法等の気相成長法において
は、気相中に導電型に寄与する不純物を添加せねばなら
ないので、必然的に不要な不純物が混入してしまう問題
がある。このような問題を解決する方法としては極めて
純度の高い反応ガスを用いて特殊な反応炉を用いる方法
があるが、コストの問題と生産性の悪さが問題となる。
【0026】以上のことより本実施例のように、ターボ分子
ポンプ、クライオポンプを併用し、反応ガスを用いない
水素を含有した不活性雰囲気中におけるスパッタリング
によって半導体膜、とくに一導電型を付与するIII価、V
価の元素を含んだ半導体膜を作製する方法は、成膜され
る半導体膜中の不要な不純物である酸素、炭素、窒素を
効率よくに排気でき、しかも究めて低コストで生産性に
優れた方法であるといえる。
【0027】本発明の構成において、成膜後のN型の半導体
膜に700℃以下の温度で熱アニールを行ってもよい。
しかし成膜温度が200℃以上になると結晶性が悪くな
るので、スパッタリング時における成膜温度は200℃
以下好ましくは100℃以下がよい。このことは図4を
みれば明らかである。図4は本実施例において、水素分
圧が50%の条件において、成膜後600℃で72時間の
熱アニールを行った膜のXRD強度と成膜温度の関係を
示したものである。この図を見ると200℃付近の温度
で成膜した膜の結晶性はほとんどないことがわかる。
【0028】図4において示される傾向は以下のモデルによ
って説明することができる。本実施例におけるスパッタ
リングによって得られる珪素膜は、スパッタ時において
水素が多量に存在している雰囲気において、スパッタリ
ングされるので、ターゲットを構成する元素は、原子が
数十から数十万のクラスタとなってターゲットから飛び
出しクラスタが水素プラズマ中を飛翔する間にクラスタ
の不対結合手が水素によって中和され、このクラスタは
基板に到達する。この際、ターゲット中において、P型
またはN型の導電型を付与する不純物は、アクセプタま
たはドナーとして作用しているので、前記基板に向かっ
て飛翔中のクラスタ中においてもアクセプタまたはドナ
ーとなっている。そのためこのクラスタが基板に到達し
珪素膜を形成した場合、前記P型またはN型の導電型を
付与する不純物は、アクセプタまたはドナーとしてスパ
ッタリングによって成膜された膜中において作用すると
いう特徴を有する。不対結合手が水素によって中和され
たクラスタがターゲットから基板に到達する際におい
て、成膜時の温度が高いと珪素クラスタの不対結合手を
中和している水素が離れてしまい基板上において、クラ
スタ同士が結合することができず秩序を構成することが
できない。従って200 度以上の雰囲気中いおいて成膜さ
れた珪素膜を熱アニールした場合、より秩序性の高い状
態になろうとすることができず結果としてXRD強度が
でないのである。これに対して、成膜時の温度が低い場
合には前記スパッタリングされた粒子である珪素のクラ
スタが基板上において、水素を介して結合する。その結
果比較的高い秩序状態が実現される。この膜を450度
から700度の温度で熱アニールすることによって水素
を介して結合している珪素クラスタが珪素原子同士の結
合になり、より高い秩序状態に移行し、存在する珪素に
より互いの結合がなされるため、珪素同志は互いにひっ
ぱりあう。結晶としてもレ−ザラマン分光により測定す
ると、単結晶の珪素のピ−ク521cm-1より低周波側に
シフトしたピ−クが観察される。この521cm-1より低
周波側にシフトしたピ−クは、弱い格子歪みを有した結
晶性の状態を示している。またその見掛け上の粒径は半
値巾から計算すると、50〜500Åとマイクロクリス
タルのようになっているが、実際はこの結晶性の高い領
域は多数あってクラスタ構造を有し、その各クラスタ間
は互いに珪素同志で結合(アンカリング) がされたセミ
アモルファス構造の被膜を形成させることがでる。した
がって成膜温度の低い状態(150℃以下の雰囲気)の
スパッタリングによって得られた珪素膜はその秩序性が
熱アニールによってさらに助長されるのに対して、基板
温度の高い状態で成膜された膜は前述の通り初めから秩
序性を有せず熱アニールしても各クラスタ間が互いに珪
素同志で結合(アンカリング) がされたセミアモルファ
ス構造の被膜を形成させることができず、XRDのピー
クもほとんどでないのである。
【0029】本発明のおいては、ターゲットとして単結晶、
多結晶の半導体ターゲットを用い、そのターゲット中に
P型またはN型の導電型を付与する不純物であるIII価
またはV価の不純物を100%イオン化した状態、すな
わち完全にIII価またはV価の不純物をアクセプタまたは
ドナーとして置換せしめ、このターゲットを水素を含む
雰囲気中においてスパッタリングすることによって前記
不純物がその内部でアクセプタまたはドナーとして置換
されているクラスタが基板に向かって飛翔し水素プラズ
マによって不対結合主を中和しつつ基板に到達するの
で、スパッタリングによって成膜される半導体膜中にお
ける前記III価またはIV価の不純物が高いイオン化率を
有し、これら不純物がアクセプタまたはドナーとして置
換せしめ、イオン化率を高めることができた。
【0030】本発明の構成は、珪素半導体に限らず他の半導
体に適用できることはいうまでもない。例えば、一導電
型を付与する不純物が添加されたシリコン(珪素)とゲ
ルマニウムのターゲットを同時に用いることによって、
一導電型を有するSix Ge 1-x の半導体膜を得ることがで
きる。この場合、それぞれのターゲットの面積を変える
ことで、半導体膜の組成比を変えることができる。この
思想によれば、さらに複数のターゲットを同時に用いる
ことでさらに複雑な組成比を有する半導体膜を得るこが
できる。
【0031】またスパッタリング時において、その雰囲気中
にハロゲン元素を添加し、水素と同様にスパッタ原子の
クラスタの不対結合手を中和するためにNF3 等を0.1 〜
10%程度添加してもよい。
【0032】
【実施例2】本実施例は、図1に示すマグネトロン型RF
スパッタ装置を用いてボロン(B) が添加されたP型のSi
x Ge1-x の半導体膜を得たものである。本実施例におい
ては、マグネトロン型RFスパッタ装置を用いて圧力2.
5pa、RFパワー200W、基板温度100℃で、水素分
圧比80%の水素とアルゴンの混合雰囲気下においてス
パッタリングを行い、その後600℃、72時間の熱ア
ニールを行ったN型のSix Ge1-x 半導体膜である。なお
シリコン、ゲルマニウムの単結晶ターゲットはリンが1
×1017cm-3以上含まれた溶融基板を同面積づつ複数分
散して配置し、さらに基板側を遊星回転によって回転さ
せることによって基板上に形成されるN型のSix Ge1-x
半導体膜の均一性を高めた。
【0033】本実施例においてもシリコンおよびゲルマニウ
ムの単結晶ターゲット中のリンがドナーとして置換され
ているので、本発明の特徴であるターゲットの導電率の
1/100〜1/3の導電率を有するP型の半導体を作
製することができる。
【0034】反応圧力を2.5pa と高くしたのは、本発明者の
行った図5に示す実験結果に基づくものである。図5は
成膜後に600℃、72時間の熱アニールを行ったN型
の珪素半導体膜の成膜時の圧力とXRD強度(ITENSIT
Y)との関係を示したものである。図5のデータが得ら
れた成膜条件は、単結晶または多結晶のシリコンターゲ
ット中にリンをターゲットの抵抗率が2〜3KΩcmにな
るように添加したものを用い、成膜温度は150℃、RF
パワーは400W、雰囲気は水素分圧比(P T /PT ) が3
0%の水素とアルゴンの混合雰囲気中である。そして成
膜後不活性雰囲気中において600℃、72時間の熱ア
ニールを行ったものである。図5より反応圧力は2.5
pa程度がよいことがわかる。
【0035】RFパワーを200Wとしたのは、図6に示す実験結
果に基づくものである。図6に示されるデータは、前記
図5において示される作製条件と同様な条件において、
成膜圧力を0.5paとした場合における成膜時の投入パ
ワーとXRDの強度(ITENSITY)との関係をしめしたも
のである。図5よりスパッタリング時の投入パワーは2
00W程度の比較的低い値がよいことがわかる。
【0036】本実施例において、基板温度を100℃とした
のは、図4に示す実験結果に基づくものである。図4に
示されるデータは図5に示される場合と同様な作製条件
において、基板温度と得られた膜のXRD強度の関係を
示したものである。この図4を見ると、成膜温度(この
場合は基板温度)は100℃以上では、熱アニール後の
膜の結晶性が低くなるのに対して、100℃以下で成膜
した場合は、熱アニール後の膜の結晶性が高いことがわ
かる。これは前述したように、低温で成膜するとスパッ
タされた珪素のクラスタが雰囲気中の水素によって結合
し、さらに熱アニールによって珪素クラスタ同士の結合
を形成するため、熱アニールを行ってもその結晶性が保
存、助長されるためである。
【0037】本実施例においてもターゲットの導電率を高く
することで、スパッタ膜の導電率を高くすることができ
る。これは、前述したようにターゲット中においてアク
セプターまたはドナーとなった不純物は、水素を含む雰
囲気中におけるスパッタリングにおいて成膜された膜中
で、高いイオン化率で存在し、アクセプターまたはドナ
ーとして置換されるため、ターゲットの導電率の1/1
00〜1/3という高い導電率を有するPまたはN型の
半導体膜を得ることができるからである。
【0038】
【実施例3】本実施例は、実施例2と同様な条件によっ
て、Six C1-X、(0≦X≦1)のリンが混入したN型半
導体膜を得たものである。本実施例においては、珪素と
炭素のターゲットを細かく分散して配置し、かつその量
を変えることで化学量論比をかえることができる。この
場合、作製される膜の均一度を増すためにターゲットま
たは基板を回転させた。
【0039】なお本明細書中における実施例において
は、一導電型を半導体に対し付与する元素であるリン、
ボロン等が添加されたターゲットを用いたが、これら不
純物が添加されていないSi、Ge、Six Ge1-X 、Si
x C1-X、(0<X<1)等のターゲットを用いて、Si、
Ge、Six Ge1-X 、Six C1-X、(0<X<1)等の半導体
膜を作製してもよいことはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】本発明の構成である、一導電型を有する
不純物を添加した半導体ターゲットを用い、水素を含む
不活性雰囲気中の水素の分圧が30%以上の雰囲気中に
おいて、スパッタリングを行うことによって導電率の高
い一導電型を有する半導体膜を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実現するために用いたスパッタ
装置の例を示す。
【図2】本発明の方法によって得られたN型珪素半導体
膜の導電率と成膜時の水素分圧の関係の例を示す。
【図3】本発明の方法によって得られたN型珪素半導体
膜のラマンスペクトルの例を示す。
【図4】本発明の方法によって得られたN型珪素半導体
膜の成膜温度とXRD強度の関係の例を示す。
【図5】本発明の方法によって得られたN型珪素半導体
膜の成膜圧力とXRD強度の関係の例を示す。
【図6】本発明の方法によって得られたN型珪素半導体
膜の成膜時における投入RFパワーとXRD強度の関係の
例を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 犬島 喬 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社 半導体エネルギー研究所内 (56)参考文献 特開 平2−194620(JP,A) 特開 昭59−35015(JP,A) 特開 昭60−91627(JP,A) 特開 昭63−312962(JP,A) 特開 平2−211618(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素を含む雰囲気中において一導電型を
    付与する元素が添加された半導体ターゲットをスパッタ
    リングし、基板上に半導体膜を形成し、 前記スパッタリングによって得られた半導体膜を一度の
    アニールにより結晶化し、レーザラマン分光によりピ−
    クが観察される結晶性半導体膜を形成する半導体膜作製
    方法であって、 前記スパッタリングを行う際に、前記基板の温度を10
    0℃以下とし、且つ前記基板を周囲から絶縁された電気
    的にフローティングの状態とし、 前記水素の分圧を、前記水素を含む雰囲気の全圧に対し
    て30%以上と することを特徴とする半導体膜作製方
    法。
  2. 【請求項2】 水素を含む雰囲気中において一導電型を
    付与する元素が添加された半導体ターゲットをスパッタ
    リングし、基板上に酸素濃度が7×1019cm−3
    下の半導体膜を形成し、 前記スパッタリングによって得られた半導体膜を一度の
    アニールにより結晶化し、レーザラマン分光によりピ−
    クが観察される結晶性半導体膜を形成する半導体膜作製
    方法であって、 前記スパッタリングを行う際に、前記基板の温度を10
    0℃以下とし、且つ前記基板を周囲から絶縁された電気
    的にフローティングの状態とし、 前記水素の分圧を、前記水素を含む雰囲気の全圧に対し
    て30%以上と することを特徴とする半導体膜作製方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記半
    導体ターゲットとして、単結晶または多結晶のSi、G
    eまたはSiGe1−x(0<X<1)を用いること
    を特徴とする半導体膜作製方法。
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