JP3517891B2 - 車両の振動低減装置 - Google Patents

車両の振動低減装置

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JP3517891B2
JP3517891B2 JP06449793A JP6449793A JP3517891B2 JP 3517891 B2 JP3517891 B2 JP 3517891B2 JP 06449793 A JP06449793 A JP 06449793A JP 6449793 A JP6449793 A JP 6449793A JP 3517891 B2 JP3517891 B2 JP 3517891B2
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真悟 原田
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  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両において生じる振
動を制御対象とするシステムを構成する車両の振動低減
装置に関し、特に、車両の特定の振動要素を別途備えた
アクチュエータにより車両振動とは逆位相で同振幅に加
振して車両振動を低減するようにしたものの改良に関す
る。なお、この発明では、振動とは車体の純然たる振動
のみならず騒音をも含むものとする。
【0002】
【従来の技術】従来、この種能動型の車両の振動低減装
置として、例えば特表平1-501344号公報に開示されてい
るように、車載エンジンで発生する振動に対応したリフ
ァレンス信号を発生させるリファレンス信号発生器と、
このリファレンス信号発生器で発生したリファレンス信
号に対し逆位相でかつ同振幅の制御信号(加振信号)を
生成する適応型フィルタと、この適応型フィルタで生成
された制御信号を受けた車体を加振するスピーカ等の振
動発生手段と、車体や車室内空気の振動を検出するマイ
クロフォン等の振動検出手段と、この振動検出手段によ
り検出される振動が低減されるよう上記適応型フィルタ
のフィルタ係数を逐次更新するLMS(Least Mean Squ
are Method(=最小二乗法))アルゴリズム演算手段と
を備えたものが知られている。
【0003】すなわち、上記リファレンス信号発生器に
おいて、エンジン振動に対応するイグニッションパルス
信号を検出し、このイグニッションパルス信号からデジ
タル信号としてのリファレンス信号を発生させる。この
リファレンス信号は適応型フィルタに入力され、この適
応型フィルタにおいてリファレンス信号のゲインや位相
等が調整されて、振動検出手段の配置位置でエンジン振
動と振動発生手段で発生した振動とが互いに打ち消し合
うような制御信号が生成され、この制御信号は振動発生
手段に出力されて該振動発生手段から上記振動が出力さ
れる。また、上記リファレンス信号はLMSアルゴリズ
ム演算手段にも入力され、この演算手段において、振動
検出手段から出力される信号のレベルが低くなるように
上記適応型フィルタのフィルタ係数を逐次更新して最適
化するようになっている。
【0004】このように従来の車両の振動低減装置は、
エンジン等の振動源から生じる周期性振動が車両内を伝
わって所定位置に到達する間に、振動源の周期情報から
生成したリファレンス信号に基づき上記周期性振動を低
減させるための振動を素早く生成して、この振動を上記
所定位置において上記周期性振動と重ねることにより、
この周期性振動の低減を図るものであり、エンジン回転
数の変化等による周期性振動の変化に対する追従性に優
れ、制御の応答性がよいという特長を備えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところでエンジン等の
振動源から生じる周期性振動は多くの振動成分から構成
されていることが知られている。例えばエンジンの場
合、エンジンから生じる周期性振動はエンジン回転数と
同じ周期をもつ1次成分や2倍の周期をもつ2次成分な
どの多くの振動成分から構成されている。
【0006】一方、リファレンス信号は一般に次のよう
に生成する。(なお、以下では簡単のため振動源はエン
ジンとして説明する。)すなわち、まず、エンジンの周
期(回転数)情報(イグニッションパルス信号などが利
用される。)から互いに異なる周期をもつ複数の基本信
号を生成し(この基本信号は通常エンジンから生じる周
期性振動を構成する振動成分と同じ周期をもつものが使
用される。)、次いでこれら複数の基本信号を互いに重
畳してリファレンス信号を生成するのである。
【0007】このような振動成分と同じ周期をもつ基本
信号を多くの振動成分に対応させて数多く生成してこれ
らを含むリファレンス信号を生成すれば、エンジンから
生じる周期性振動の多くの振動成分を制御対象とするこ
とができることになる。しかし、多くの振動成分を制御
対象とすると、適応型フィルタ係数の更新のための演算
量が著しく増加することになる。従来の車両の振動低減
装置に一般的に搭載されるようなプロセッサ等は、その
ような多大の演算量を短時間でこなす演算処理能力を備
えておらず、そのため多くの振動成分を制御対象とする
とエンジン回転数の変化などによる周期性振動の変化に
対する追従性のよさを損い、制御の応答性が低下してし
まうおそれがある。このため、従来の車両の振動低減装
置では、制御の応答性を確保すべく制御対象とする振動
成分を数量的に制限している。
【0008】このように従来の車両の振動低減装置は、
エンジンから生じる周期性振動を構成する多くの振動成
分の中の限られた特定の振動成分のみしか制御対象とで
きないが、通常は多くの振動成分のうちの特定の振動成
分(例えば4サイクル4気筒エンジンにおける2次成
分)が他の振動成分に比べて特に大きな振動レベルを有
していることが多いことが知られており、このような振
動成分を制御対象とすればそれだけでも全体的に良好な
振動低減を行うことが可能となる。そこで、従来におい
てはこのような振動レベルが通常大きいとされる特定の
振動成分と同じ周期をもつ基本振動を生成し、その基本
信号を用いてリファレンス信号を生成して制御を行って
いた。
【0009】しかし、従来は生成する基本信号を特定の
ものに固定していたので以下のような問題点がある。
【0010】すなわち、エンジンから生じる周期性振動
は車両の運転状況・外乱の性質・システムを構成するパ
ラメータの状態などのシステムがおかれている環境に大
きく影響を受けることがある。例えば車両がある運転状
態にあるときには制御対象とする特定の振動成分の振動
レベルが他の振動成分に比べて特に大きくなるが、運転
状態が変わると外乱の性質などが変化するなどして制御
対象としていない他の振動成分の振動レベルが大きく増
大することが考えられる。このような場合、特定の振動
成分のみを制御対象としていても十分な振動低減効果は
得られないことになる。
【0011】また、環境の変化により制御対象とする特
定の振動成分の振動レベルが大きく減少する場合なども
考えられる。そのような場合、その特定の振動成分を制
御対象として制御を行っても、電力を消費するだけで振
動低減効果はあまり得ることができないことになり効率
がよいとはいえない。
【0012】このように従来の車両の振動低減装置は、
制御対象とする振動成分を固定的に決めて、それに対応
した基本信号のみを生成していたので、システムの環境
の変化に対して効率よく適応することが困難であった。
【0013】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、その目的はシステムの環境の変化に適応して効率よ
く振動低減を行うことのできる車両の振動低減装置を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明では、システムの環境の変化に応じて制御対象と
する振動成分を変えることができるように、環境の状態
に応じて生成するリファレンス信号を変えられるように
した。
【0015】具体的には、請求項1の発明では、図1
(a)に示すように、車両において周期性振動を生じる振
動源の周期情報に基づくリファレンス信号rを発生する
リファレンス信号発生手段18と、車体の所定位置での振
動を検出するマイクロフォン等の振動検出手段10と、振
動を発生するスピーカやアクチュエータ等の振動発生手
段11と、前記リファレンス信号発生手段18および振動検
出手段10の各出力信号を受け、振動検出手段10により検
出される振動が低減されるようにリファレンス信号発生
手段18からのリファレンス信号rを加工して制御信号s
を生成し上記振動発生手段11に出力する演算手段28と、
システムの所定の環境がどのような状態であるかを検出
する環境状態検出手段45とを設ける。
【0016】そして前記リファレンス信号発生手段18を
以下のように構成する。すなわちリファレンス信号発生
手段18は、図1(b)に示すように、前記振動源の周期情
報から互いに異なる周期をもつ複数の基本信号f1
…,fnを生成しうるように、かつ前記環境状態検出手
段45により検出された前記所定の環境の状態に応じて前
記複数の基本信号の中から所定の基本信号(f1,…,
n)を選択してこの選択した基本信号に基づき前記リ
ファレンス信号rを生成するように構成する。
【0017】上記「システム」とは、制御対象(車両に
おいて生じる振動)、制御装置(振動低減装置)などの
要素を系統的に組合わせてなる制御系をいう。上記制御
対象および制御装置以外に上記システムを構成する要素
には、振動源、振動の伝達径路となる車体などが含まれ
る。
【0018】上記「環境」とは、制御目標値、外乱の性
質や状況、システムを構成するパラメータの状況などシ
ステムの特性になんらかの影響を与えるシステム内部お
よびシステム周囲の状況をいう。所定の環境として具体
的には、車両において生じる所定の振動の状況、車両の
運転状況、演算手段の作動状況や演算状況、路面状況お
よび気象状況等を挙げることができる。
【0019】上記「リファレンス信号生成手段」は、複
数の基本信号を生成しうる能力を備えていればよく、生
成しうる全ての基本信号を常時生成する態様と、必要時
に必要な基本信号のみを生成する態様とを含む。
【0020】上記「基本信号」とは、通常は振動源から
生じる周期性振動を構成する振動成分と同じ周期をもつ
周期信号をいうが、これに限定するものではない。
【0021】また、前記リファレンス信号発生手段18
、前記所定の環境の状態に応じて選択する前記基本信
号の総数を変更しうるように構成する
【0022】上記車両において生じる「所定の振動」に
は、システムが制御対象としている振動そのもの、ある
いは制御対象としている振動と何らかの相関関係を有す
る他の振動等が含まれる
【0023】さらに、請求項の発明では、前記リファ
レンス信号発生手段18を次のように構成する。すなわち
前記リファレンス信号発生手段18は、前記生成しうる複
数個の基本信号f1,…,fnの中で選択していない未選
択の基本信号f1,…,fnがあるときに前記車両におい
て生じる振動のレベルが全体的に増大するということが
検出されたときには前記未選択の基本信号f1,…,fn
の中から所定のものを追加選択するように構成する。
【0024】請求項の発明では、請求項の発明にお
ける前記リファレンス信号発生手段18を次のように構成
する。すなわち前記リファレンス信号発生手段18は、前
記生成しうる複数個の基本信号f1,…,fnの中で選択
していない未選択の基本信号f1,…,fnがあるときに
前記車両において生じる振動が定常状態になるというこ
とが検出されたときには前記未選択の基本信号f1
…,fnの中から所定のものを追加選択するように構成
する。
【0025】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、環境
状態検出手段45によりシステムの所定の環境がどのよう
な状態であるかが検出され、その検出された所定の環境
の状態に応じて、リファレンス信号発生手段18は、生成
しうる複数の基本信号f1,…,fnの中から所定の基
信号f1,…,fnを選択してその選択した基本信号
1,…,fnに基づいてリファレンス信号rを生成して
それを出力する。一方、車体の所定位置での振動が振動
検出手段18により検出される。上記リファレンス信号発
生手段18および振動検出手段10の各出力信号を受けた演
算手段28は、振動検出手段10で検出される振動が低減さ
れるように上記リファレンス信号rを加工して制御信号
sを生成する。この制御信号sは振動発生手段11に出力
されて振動発生手段11を駆動制御する。駆動制御された
振動発生手段11は振動を発生し、この振動と車両の振動
源からの振動とが互いに打ち消し合い、このことで振動
検出手段10により検出される車体所定位置での振動が低
減され、車両振動の低減効果が得られる。
【0026】このようにリファレンス信号発生手段18
は、生成しうる複数の基本信号f1,…,fnの中から所
の基本信号f1,…,fnを所定の環境の状態に応じて
選択して、この選んだ基本信号f1,…,fnに基づいて
リファレンス信号rを生成するので、所定の環境の状態
に対応したリファレンス信号rの生成が可能となる。し
たがって、振動源から生じる周期性振動の状態が環境の
変化により変わるような場合にも、それぞれの環境の状
態に適応した効率よく良好な振動低減を行うことが可能
となる。
【0027】そして、車両の運転状況・車両において生
じる所定の振動の状況等により車両において生じる振動
のレベルが全体的に増大するということが検出された際
に未選択の基本信号f1,…,fnがある場合には、リフ
ァレンス信号発生手段18がこの未選択の基本信号f1
…,fnの中から所定のものを追加選択する。
【0028】このように振動のレベルが全体的に増大す
るときには振動を構成する振動成分の多くが大きなレベ
ルを有していることが考えられるので、増大した多くの
振動成分に対して対応できるように選択する基本信号f
1,…,fnの数を増加させることにより、増大した振動
を全体的に低減させることが可能となる。
【0029】請求項の発明では、車両の運転状況・車
両において生じる所定の振動の状況等により車両におて
生じる振動が定常状態になるということが検出された際
に未選択の基本信号f1,…,fnがある場合には、リフ
ァレンス信号発生手段18がこの未選択の基本信号f1
…,fnの中から所定のものを追加選択する。
【0030】車両において生じる振動が定常状態にある
ときには振動状態の変化が少なくなるので、制御の応答
性が低下しても振動低減の実効は損われない。したがっ
て、選択する基本信号f1,…,fnの数を増加して制御
対象とする振動成分を増やすことにより、より効果的な
振動低減を行うことが可能となる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図2以下の各図に基
づいて説明する。図2は本発明の第1実施例に係る車両
の振動低減装置の全体構成を示す概略図である。図2に
おいて、1は車両の車体で、その前部にはエンジンルー
ム2が、また前後中央部には車室3がそれぞれ設けられ
ている。4は上記エンジンルーム2内に配置された振動
源たるエンジンであって、該エンジン4はその下部を弾
性支持するマウント(図示せず)を介して車体1に弾性
支持されている。図2中、5は車室3内前部に位置する
ステアリングホイール、6は前席、7は後席である。
【0032】上記車室3前端のインストルメントパネル
8内にはエンジン4の運転を制御するためのエンジンコ
ントロールユニット9が配置されている。また、車室3
内の所定位置には、複数のマイクロフォン10,10,……
および複数のスピーカ11,11,……がそれぞれ配置され
ている(なお、以下の説明では、簡単のためにマイクロ
フォン10およびスピーカ11をそれぞれ1つとした場合に
ついて説明する)。上記各マイクロフォン10は車室3内
の所定位置での振動を検出する振動検出手段を構成する
もので、例えば前席6のヘッドレスト部や後席7側方
等、乗員の体感上や聴感上重要な位置に配置される。一
方、各スピーカ11は車室3内に振動を発生する振動発生
手段を構成するもので、車室3内の空気を加振する。
【0033】上記各マイクロフォン10の出力信号はコン
トローラ16に入力されており、コントローラ16により、
基本的に、後述するリファレンス信号rおよび上記マイ
クロフォン10で検出される振動信号mに基づき上記各ス
ピーカ11を制御して車両の振動を低減するように構成さ
れている。
【0034】上記コントローラ16の構成を図3に示す。
同図において、17はエンジン4での混合気の点火信号に
基づいてエンジン回転の周期を測定して周期信号tを出
力するエンジン回転周期測定回路である。また、19は上
記各マイクロフォン10からの振動信号を設定ゲインで増
幅する増幅器、20は該増幅器19で増幅された振動信号の
低周波成分を濾波するローパスフィルタ、21は該ローパ
スフィルタ20で濾波されたアナログ値の振動信号をデジ
タル値の信号mに変換するA/D変換器である。22は上
記エンジン回転周期測定回路17からの周期信号t、リフ
ァレンス信号発生器18からのリファレンス信号rおよび
A/D変換器21からの振動信号mが入力される制御演算
部で、この制御演算部22は、各マイクロフォン10により
検出される振動を低減させるように上記スピーカ11を駆
動制御する制御信号s(スピーカ信号)を生成する。
【0035】また、23は上記制御演算部22にて生成され
る制御信号sをデジタル値からアナログ値に変換するD
/A変換器、24は該D/A変換器23からの制御信号の低
周波成分を濾波するローパスフィルタ、25は該ローパス
フィルタ24で濾波された制御信号を設定ゲインで増幅す
る増幅器であって、該増幅器25で増幅された制御信号は
スピーカ11に出力される。
【0036】さらに、26は上記エンジンコントロールユ
ニット9での所定信号に基づいてアクセル開度aを測定
するアクセル開度測定回路、27は同様に車速bを測定す
る車速測定回路であり、これら測定回路26,27の各々の
出力信号は制御演算部22に入力されている。
【0037】上記制御演算部22の内部構成を図4に示
す。図4に示すように制御演算部22はリファレンス信号
発生手段18と演算部22と加減速/定速判定器41とを備え
ている。
【0038】加減速/定速判定器41は、上記エンジン回
転周期測定回路17からの周期信号t、アクセル開度測定
回路26からのアクセル開度信号aおよび車速測定回路27
からの車速信号bに基づいて車両(エンジン4)の運転
状態を判定するものであり、その出力信号gは上記リフ
ァレンス信号発生手段18に入力される。
【0039】リファレンス信号発生手段は上記周期信号
tと加減速/定速判定器41からの出力信号gとに基づい
てエンジン4の振動に関連するリファレンス信号rを発
生するものである。具体的には図5に示すようにリファ
レンス信号発生手段18は、基本周波数信号生成部18aと
基本信号生成部18bと選択部18cとを備えている。基準周
波数信号生成部18aは周期信号tに基づき基準周波数信
号f0を生成する。この基準周波数信号f0にはエンジン
4の振動を構成する多くの振動成分の波形を生成しうる
ような信号、例えば三角波形信号などが用いられる。基
本信号生成部18bは基準周波数信号f0に基づき3つの基
本信号f2,f4,f6を生成する。基本信号f2はエンジ
ン4の振動の2次成分と同じ周期をもつ信号であり、基
本信号f4は同じく4次成分と同じ周期をもつ信号、基
本信号f6は同じく6次成分と同じ周期をもつ信号であ
る。なお、この第1実施例ではエンジン4の振動の偶数
次の振動成分とそれぞれ同じ周期をもつ3つの基本信号
2,f4,f6を生成するものとしたが、より多くの基
本信号を生成するようにしたりエンジン4の振動の奇数
次やハーフ次の振動成分と同じ周期をもつ基本信号を生
成するようにしてもよい。生成された3つの基本信号f
2,f4,f6は選択部18cに入力される。選択部18は上記
加減速/定速判定器41からの出力信号gに基づき3つの
基本信号f2,f4,f6の中から所定の基本信号を選択
し、その選択した基本信号同士を互いに重畳してリファ
レンス信号rを生成しそれを出力する。なお、この第1
実施例では車両が加減速状態のときは基本信号f2とf4
を選択し、車両が定速状態のときは基本信号f6も併せ
て選択するようにしている。
【0040】再び図4において、上記リファレンス信号
rは演算部28に入力される。演算部28にはマイクロフォ
ン10からの振動信号mも併せて入力されており、演算部
28はマイクロフォン10により検出される振動が低減され
るようにリファレンス信号rを加工して制御信号sを生
成し、その制御信号sを上記スピーカ11に出力するよう
になっている。そして演算部28は、その制御信号sの生
成のアルゴリズムとしてLMSの適応アルゴリズムを用
いる。
【0041】具体的には、図6に示すように、演算部28
はデジタルフィルタ31を有する。このフィルタ31は、制
御演算部22から制御信号sを出力した後に該制御信号s
によりスピーカ11が駆動制御されて車両振動に変化があ
り、この車両振動の変化がマイクロフォン10で検出され
てその検出信号が制御演算部22に入力されるまでの伝達
関数Hをモデル化したものである。32は収束係数乗算回
路で、該乗算回路32は所定の収束係数αに基づいてマイ
クロフォン10からの信号mに収束係数を掛算する。33は
上記デジタルフィルタ31の伝達関数Hの出力と収束係数
乗算回路32の出力とを乗算する乗算器、34は適応フィル
タで、上記乗算器33の出力毎にその出力値に基づいてフ
ィルタ係数を逐次更新し、その更新後のフィルタ係数に
基づいてリファレンス信号rを加工し、エンジン振動と
は逆位相で同振幅の制御信号sをスピーカ11に出力す
る。
【0042】この第1実施例では、上記エンジン回転周
期測定回路17、アクセル開度測定回路26、車速測定回路
27および加減速/定速判定器41により環境状態検出手段
45(図1a参照)が構成され、この環境状態検出手段45
は、車両の運転状況がどのような状態であるかを、詳し
くは車両が加減速状態にあるか定速走行状態にあるかを
検出するように構成されている。
【0043】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち基本信号f2,f4,f6の選択
のための動作について図7のフローチャートに基づいて
説明する。まず、スタート後のステップS1において、
エンジン回転周期測定回路17からの周期信号tにより時
刻nでのエンジン回転周期t(n)を入力し、ステップ
S2では、加減速/定速判定器41において今回の時刻n
でのエンジン回転周期t(n)と前回の時刻(n−1)
でのエンジン回転周期t(n−1)との差の絶対値によ
りエンシン回転周期の変化値Δt=|t(n)−t(n
−1)|を算出する。次のステップS3で上記変化値Δ
tのその閾値Ltとの大小を比較し、この判定がLt≦
ΔtのNOのときには、エンジン4の回転変化が大きく
て車両は加速状態または減速状態にあると判定し、ステ
ップS4カウンタkを初期値Kに設定し、ステップS5
で3つの基本信号f2,f4,f6の中から2つの基本品
号f2,f4を選択した後、終了する。
【0044】一方、上記ステップS3でLt>ΔtのY
ESと判定されると、ステップS6で上記カウンタkが
k=0になったかどうかを判定し、この判定がk>0の
YESのときには、ステップS7でカウンタkから
「1」を引いてk=k−1とした後、上記ステップS5
に進む。
【0045】以上の繰返しにより、上記ステップS6の
判定がk=0のNOになると、ステップS8で未選択だ
った基本信号f6を追加選択した後、終了する。
【0046】よって、この第1実施例では、上記制御動
作のステップS1〜S3により、エンジン回転周期の変
化値Δtに基づいて車両の運転状態としての加減速の有
無を検出するようにした環境状態検出手段45の動作が示
されている。
【0047】また、ステップS4〜S8により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車両の運転
状態に応じてすなわち車両の加速時または減速時が検出
されたときには3つの基本信号f2,f4,f6の中から
2つの基本信号f2,f4を選択して、この2つの基本信
号f2,f4に基づきリファレンス信号rを生成し、車両
の定常走行状態が検出されたときには、検出時からカウ
ンタkがk=K(初期値)からk=0になるまでの所定
時間Tが経過した後に、未選択だった基本信号f6も併
せて選択してこの3つの基本信号f2,f4,f6に基づ
いてリファレンス信号rを生成するようにしたリファレ
ンス信号生成手段18の動作が示されている。
【0048】次に、この第1実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、エンジン回転周期測
定回路17でエンジン回転周期が測定され、その周期信号
tが制御演算部22に出力される。この周期信号tは制御
演算部22内のリファレンス信号発生手段18に入力され、
リファレンス信号発生手段18はその周期信号tより3つ
の基本信号f2,f4,f6を生成する。また、車室3内
の各マイクロフォン10により車室3の所定位置での振動
が検出され、この各マイクロフォン10の出力信号mは制
御演算部22内の演算部28に入力される。
【0049】一方、上記周期信号tは制御演算部22内の
加減速/定速判定器41にも入力される。加減速/定速判
定器41では、エンジン回転周期の変化値Δtが閾値L
と比較されて車両の運転状態が検出され、この車両の運
転状態に応じてリファレンス信号発生手段18で生成され
た3つの基本信号f2,f4,f6の中からどれを選択す
るかが決定される。すなわち図8に示すように、エンジ
ン回転周期の変化値Δtが閾値L以上で車両が加速状
態または減速状態にあると判定されると、リファレンス
信号発生手段18は3つの基本信号f2,f4,f6の中か
ら2つの基本信号f2,f4を選択して、その2つの基本
信号f2,f4に基づきリファレンス信号rを生成して出
力する。この状態では、上記リファレンス信号発生手段
18およびマイクロフォン10の各出力信号を受けた演算部
28により、マイクロフォン10で検出される振動のうち上
記2つの基本信号f2,f4にそれぞれ対応するエンジン
4からの振動の2次成分および4次成分が低減されるよ
うにリファレンス信号rが加工されて制御信号sが生成
される。この制御信号sはスピーカ11に出力されてスピ
ーカ11により振動が発生し、この振動とエンジン4から
の振動とが互いに打ち消し合い、このことでマイクロフ
ォン10により検出される車室3内の所定位置での振動が
低減され、車両の振動低減効果が得られる。
【0050】このように車両が加減速状態にあって車室
3内の振動が非定常状態にあると判断され、制御の応答
性が重視されるときには、選択される基本信号の数が2
つとされて制御対象とする振動成分が2次成分と4次成
分に限定されるので演算量が少なくなり、これによりエ
ンジン4の回転数の変化等による車室3内の振動の状態
の変化に対する制御の応答性を確保しつつ、良好に振動
低減を図ることができる。
【0051】これに対し、エンジン回転数の変化値Δt
が閾値Ltよりも小さく、車両が定速走行状態にあると
検出されると、その検出時からカウンタkが初期値Kか
ら「0」になって所定時間Tが経過するまでは基本信号
6は未選択のままとされるが、所定時間Tの経過後基
本信号f6も併せて選択され3つの基本信号f2,f4
6に基づいてリファレンス信号rが生成される。この
基本信号f6はエンジン4の振動の6次成分に対応する
ので、この基本信号f6を併せて選択することによりこ
の6次成分も制御対象として低減することが可能とな
る。
【0052】このように車両が定速走行状態にあって車
室3内の振動が定常状態にあると判断され、制御の応答
性が重視されないときは、制御対象とする振動成分の数
を増やすことで演算量が増えて変化に対する追従性が低
下しても振動低減の実効は損うことがなく、むしろ選択
する基本信号の数を追加して制御対象とする振動成分を
増やすことにより、より効果的な振動低減が可能とな
る。
【0053】上述のようにこの第1実施例では、システ
ムの所定の環境の状態としての車両の運転状態に応じ
て、選択する基本信号f2,f4,f6の数を調整して制
御対象とする振動成分の数の調整を行っているので、車
両の運転状態の応じて状況の変化に適応して効果的な振
動低減を行うことができる。
【0054】また、車両の定速走行状態が検出されたと
き、その検出時から所定時間Tが経過した後に基本信号
6の追加選択が行われるため、車両の定速走行状態へ
の移行後に暫くの間はエンジン回転の変化による運転状
態の変動が残っていても、それが安定するまでは2つの
基本信号f2,f4のみが選択されてリファレンス信号r
が生成されるので、その間の制御の応答性を維持して制
御性能を向上できる。
【0055】次に、制御対象とする車室3内の振動の状
態が定常状態であるか否かを、車両において生じる所定
の振動の状況がどのような状態であるかを検出すること
により検出するようにした本発明の第2実施例を説明す
る。
【0056】図9は本発明の第2実施例に係る車両の振
動低減装置の全体構成を示す概略図である。なお、この
第2実施例を示す各図において前記第1実施例と同様の
要素を示すものについては、前記第1実施例を示す各図
における符番と同一の符番を付し、その詳細な説明は省
略する。このことは、以下の他の実施例についても同様
とする。
【0057】図9は前記第1実施例の図2に対応する図
で、異なるのは、車室フロアの振動を検出するフロア振
動検出器50が車室3のフロアパネルに取り付けられ、こ
のフロア振動検出器50の検出信号がコントローラ16に入
力されている点にある。すなわち、前記第1実施例では
エンジンコントロールユニット9での所定信号に基づき
車両運転状態(加減速/定速状態)を検出し、この検出
に基づき基本信号f2,f4,f6の選択を行っていたの
に対し、この第2実施例では、フロア振動検出器50の検
出信号に基づき車両において生じる所定の振動(フロア
振動)の状態を検出し、その検出に基づき基本信号
2,f4,f6の選択を行う。
【0058】上記コントローラ16の構成を図10に示す。
図10は前記第1実施例の図3に対応する図で、異なるの
は、制御演算部22に、直接フロア振動検出器50からの検
出信号pが入力されている点にあり、他の構成は前記第
1実施例と同様である。
【0059】この制御演算部22の内部構成を図11に示
す。図11は前記第1実施例の図4と対応する図で、異な
るのは、フロア振動検出器50からの検出信号pに基づ
き、車室3フロアの振動状態すなわち車両において生じ
る所定の振動の状態を判定する振動状態判定器51を備え
た点にある。なお、この第2実施例において、リファレ
ンス信号生成手段18と演算部28の構成は前記第1実施例
と同様であり、説明は省略する。
【0060】図10および図11に示すように、この第2実
施例では、上記フロア振動検出器50および振動状態判定
器51により、環境状態検出手段45が構成され、この環境
状態検出手段45は、車室3フロアの振動すなわち車両に
おいて生じる所定の振動が定常状態であるか否かを検出
するように構成されている。
【0061】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち基本信号f2,f4,f6の選択
のための動作について、図12のフローチャートに基づい
て説明する。まず、スタート後のステップT1におい
て、フロア振動検出器50からのフロア加速度信号pによ
り時刻nでの車室3フロアの加速度p(n)を入力し、
ステップT2では、振動状態判定器51において今回の時
刻nでのフロア加速度p(n)と前回の時刻(n−1)
でのフロア加速度p(n−1)との差の絶対値によりフ
ロア加速度の変化値Δp=|p(n)−p(n−1)|
を算出する。次のステップT3で上記変化値Δpとその
閾値Lpとの大小を比較し、この判定がLp≦ΔpのN
Oのときには、車室3フロアの振動状態の変化が大きく
て車室3フロアの振動が非定常状態であると判定し、ス
テップT4でカウンタkを初期値Kに設定し、ステップ
T5で3つの基本信号f2,f4,f6の中から2つの基
本信号f2,f4を選択した後、終了する。
【0062】一方、上記ステップT3でLp>ΔpのY
ESのときには、車室フロアの振動状態の変化が小さく
て車室3フロアの振動の状態が定常状態であると判定す
る。
【0063】次いで、ステップT6で上記カウンタkが
k=0になったか否かを判定し、この判定がk>0のY
ESのときには、ステップT7でカウンタkから「1」
を引いてk=k−1とした後ステップT5に進む。
【0064】以上の繰返しにより、上記ステップT6の
判定がk=0のNOになると、ステップT8で未選択だ
った基本信号f6を追加選択した後、終了する。
【0065】よって、この第2実施例では、上記制御動
作のステップT1〜T3により、車室3フロアの振動p
の変化値Δpに基づいて車室3内の振動がどのような状
態であるかを間接的に検出するようにした環境状態検出
手段45の動作が示されている。
【0066】また、ステップT4〜T8により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車室3フロ
アの振動状態に応じてすなわち車室3フロアの振動が非
定常状態であると検出されたときには3つの基本信号f
2,f4,f6の中から2つの基本信号f2,f4を選択し
て、この2つの基本信号f2,f4に基づきリファレンス
信号rを生成し、車室3フロアの振動が定常状態である
と検出されたときには、この定常状態の検出時からカウ
ンタkがk=K(初期値)からk=0になるまでの所定
時間Tが経過した後に、未選択だった基本信号f6も併
せて選択してこの3つの基本信号f2,f4,f6に基づ
いてリファレンス信号rを生成するようにしたリファレ
ンス信号生成手段18の動作が示されている。
【0067】次に、この第2実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、エンジン回転周期測
定回路17でエンジン回転周期が測定され、その周期信号
tが制御演算部22に出力される。この周期信号tは制御
演算部22内のリファレンス信号発生手段18に入力され、
リファレンス信号発生手段18はその周期信号tより3つ
の基本信号f2,f4,f6を生成する。また、車室3内
のマイクロフォン10により車室3の所定位置での振動が
検出され、このマイクロフォン10の出力信号mは制御演
算部22内の演算部28に入力される。
【0068】一方、フロア振動検出器50からの検出信号
pが制御演算部22内の振動状態判定器51に入力される。
振動状態判定器51では、フロア加速度の変化値Δpが閾
値Lpと比較されて車室3フロアの振動状態が検出さ
れ、この車室3フロアの振動状態に応じてリファレンス
信号発生手段18で生成された3つの基本信号f2,f4
6の中からどれを選択するかが決定される。すなわち
図13に示すように、フロア加速度の変化値Δpが閾値L
p以上で車室3フロアの振動の状態が非定常状態にある
と判定されると、リファレンス信号発生手段18は3つの
基本信号f2,f4,f6の中から2つの基本信号f2,f
4を選択して、その2つの基本信号f2,f4に基づきリ
ファレンス信号rを生成して出力する。この状態では、
上記リファレンス信号発生手段18およびマイクロフォン
10の各出力信号を受けた演算部28により、マイクロフォ
ン10で検出される振動のうち上記2つの基本信号f2
4にそれぞれ対応するエンジン4からの振動の2次成
分および4次成分が低減されるようにリファレンス信号
rが加工されて制御信号sが生成される。この制御信号
sはスピーカ11に出力されてスピーカ11により振動が発
生し、この振動とエンジン4からの振動とが互いに打ち
消し合い、このことでマイクロフォン10により検出され
る車室3内の所定位置での振動が低減され、車両の振動
低減効果が得られる。
【0069】このように車室3フロアの振動状態が非定
常状態にあって車室3内の振動が非定常状態にあると判
断され、制御の応答性が重視されるときには、選択され
る基本信号の数が2つとされて制御対象とする振動成分
が2次成分と4次成分に限定されるので演算量が少なく
なり、これによりエンジン4の回転数の変化等による車
室3内の振動の状態の変化に対する制御の応答性を確保
しつつ、良好に振動低減を図ることができる。
【0070】これに対し、フロア加速度の変化値Δpが
閾値Lpよりも小さく、車室3フロアの振動状態が定常
状態にあると検出されると、その検出時からカウンタk
が初期値Kから「0」になって所定時間Tが経過するま
では基本信号f6は未選択のままとされるが、所定時間
Tの経過後基本信号f6も併せて選択され3つの基本信
号f2,f4,f6に基づいてリファレンス信号rが生成
される。この基本信号f6はエンジン4の振動の6次成
分に対応するので、この基本信号f6を併せて選択する
ことによりこの6次成分も制御対象として低減すること
が可能となる。
【0071】このように車室3フロアの振動状態が定常
状態にあって車室3内の振動が定常状態にあると判断さ
れ、制御の応答性が重視されないときは、制御対象とす
る振動成分の数を増やすことで演算量が増えて変化に対
する追従性が低下しても振動低減の実効は損うことがな
く、むしろ選択する基本信号の数を追加して制御対象と
する振動成分を増やすことにより、より効果的な振動低
減が可能となる。
【0072】上述のようにこの第2実施例では、システ
ムの所定の環境の状態としての車室3フロアの振動状態
に応じて、選択する基本信号f2,f4,f6の数を調整
して制御対象とする振動成分の数の調整を行っているの
で、車室3フロアの振動状況の変化に適応して効果的な
振動低減を行うことができる。
【0073】また、車室3フロアの振動状態が定常状態
であることが検出されたとき、その検出時から所定時間
Tが経過した後に基本信号f6の追加選択が行われるた
め、この振動定常状態への移行後に暫くの間はエンジン
回転の変化による車室3内の振動状態の変動が残ってい
ても、それが安定するまでは2つの基本信号f2,f4
みが選択されてリファレンス信号rが生成されるので、
その間の制御の応答性を維持して制御性能を向上でき
る。
【0074】次に、本発明の第3実施例を説明する。な
お、この第3実施例は、前記第2実施例と同様の構成を
有するので、以下前記第2実施例を示す図9乃至図11を
参照しながら説明する。
【0075】図11に示すようにこの第3実施例の制御演
算部22は、前記第2実施例と同じく、フロア振動検出器
50からの検出信号pに基づき車室3フロアの振動状態を
判定する振動状態判定器51を備えている。この第3実施
例が前記第2実施例と異なるのは、前記第2実施例では
車室3フロアの振動状態が定常状態であるか非定常状態
であるかに応じて基本信号の選択を行うのに対し、この
第3実施例では車室3フロアの振動が増大する状態であ
るか否かに応じて基本信号の選択を行う点にある。
【0076】すなわち、この第3実施例では、上記フロ
ア振動検出器50および振動状態判定器51により、環境状
態検出手段45が構成され、この環境状態検出手段45は、
車室3フロアの振動が増大する状態であるか否かを、検
出するように構成されている。
【0077】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち基本信号f2,f4,f6の選択
のための動作について、図14のフローチャートに基づい
て説明する。まず、スタート後のステップU1におい
て、フロア振動検出器50からのフロア加速度信号pによ
り時刻nでの車室フロアの加速度p(n)を入力し、ス
テップU2では、振動状態判定器51において今回の時刻
nでのフロア加速度p(n)の絶対値|p|とその閾値
Lpとの大小を比較し、この判定が|p|≦LpのNO
のときには、車室3フロアの振動が増大する状態ではな
いと判定し、ステップU3でカウンタkを初期値Kに設
定し、ステップU4で3つの基本信号f2,f4,f6
中から2つの基本信号f2,f4を選択した後、終了す
る。
【0078】一方、上記ステップU2で|p|>Δpの
YESのときには、車室フロアの振動が増大する状態で
あると判定してステップU5に進む。次いで、ステップ
U5で上記カウンタkがk=0になったか否かを判定
し、この判定がk>0のYESのときには、ステップU
7でカウンタkから「1」を引いてk=k−1とした後
ステップU4に進む。
【0079】以上の繰返しにより、上記ステップU5の
判定がk=0のNOになると、ステップU8で未選択だ
った基本信号f6を追加選択した後、終了する。
【0080】よって、この第3実施例では、上記制御動
作のステップU1〜U2により、車室フロアの振動pの
絶対値|p|に基づいて車室3内の振動がどのような状
態であるかを間接的に検出するようにした環境状態検出
手段45の動作が示されている。
【0081】また、ステップU3〜U7により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車室フロア
の振動状態すなわち車両において生じる所定の振動の状
態に応じてすなわち車室3フロアの振動の状態が増大す
る状態でないと検出されたときには3つの基本信号
2,f4,f6の中から2つの基本信号f2,f4を選択
して、この2つの基本信号f2,f4に基づきリファレン
ス信号rを生成する一方、車室3フロアの振動の状態が
増大する状態であると検出されたときには、この検出時
からカウンタkがk=K(初期値)からk=0になるま
での所定時間Tが経過した後に、未選択だった基本信号
6も併せて選択してこの3つの基本信号f2,f4,f6
に基づいてリファレンス信号rを生成するようにしたリ
ファレンス信号生成手段18の動作が示されている。
【0082】次に、この第3実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、エンジン回転周期測
定回路17でエンジン回転周期が測定され、その周期信号
tが制御演算部22に出力される。この周期信号tは制御
演算部22内のリファレンス信号発生手段18に入力され、
リファレンス信号発生手段18はその周期信号tより3つ
の基本信号f2,f4,f6を生成する。また、車室3内
のマイクロフォン10により車室3の所定位置での振動が
検出され、このマイクロフォン10の出力信号mは制御演
算部22内の演算部28に入力される。
【0083】一方、フロア振動検出器50からの検出信号
pが制御演算部22内の振動状態判定器51に入力される。
振動状態判定器51では、フロア加速度の絶対値|p|が
閾値Lと比較されて車室3フロアの振動状態が検出さ
れ、この車室3フロアの振動状態に応じてリファレンス
信号発生手段18で生成された3つの基本信号f2,f4
6の中からどれを選択するかが決定される。すなわち
図15に示すように、フロア加速度の絶対値|p|が閾値
Lp以下で車室3フロアの振動の状態が増大する状態に
ないと判定されると、リファレンス信号発生手段18は3
つの基本信号f2,f4,f6の中から2つの基本信号
2,f4を選択して、その2つの基本信号f2,f4に基
づきリファレンス信号rを生成して出力する。この状態
では、上記リファレンス信号発生手段18およびマイクロ
フォン10の各出力信号を受けた演算部28により、マイク
ロフォン10で検出される振動のうち上記2つの基本信号
2,f4にそれぞれ対応するエンジン4からの振動の2
次成分および4次成分が低減されるようにリファレンス
信号rが加工されて制御信号sが生成される。この制御
信号sはスピーカ11に出力されてスピーカ11により振動
が発生し、この振動とエンジン4からの振動とが互いに
打ち消し合い、このことでマイクロフォン10により検出
される車室3内の所定位置での振動が低減され、車両の
振動低減効果が得られる。
【0084】このように車室3フロアの振動状態が増大
しない状態にあって車室3内の振動が全体的に増大する
状態にないと判断され、制御の対象とする振動成分が少
なくとも十分振動低減効果が得られるときには、選択さ
れる基本信号の数が2つとされて制御対象とする振動成
分が2次成分と4次成分に限定されるので演算量が少な
くなり、これによりエンジン4の回転数の変化等による
車室3内の振動の状態の変化に対する制御の応答性を確
保しつつ、良好に振動低減を図ることができる。
【0085】これに対し、フロア加速度の絶対値|p|
が閾値Lpよりも大きく、車室3フロアの振動状態が増
大する状態にあると検出されると、その検出時からカウ
ンタkが初期値Kから「0」になって所定時間Tが経過
するまでは基本信号f6は未選択のままとされるが、所
定時間Tの経過後基本信号f6も併せて選択され3つの
基本信号f2,f4,f6に基づいてリファレンス信号r
が生成される。この基本信号f6はエンジン4の振動の
6次成分に対応するので、この基本信号f6を併せて選
択することによりこの6次成分も制御対象として低減す
ることが可能となる。
【0086】このように車室3フロアの振動状態が増大
する状態にあって車室3内の振動が全体的に増大する状
態にあると判断され、制御の応答性を重視した制御を行
っても十分な振動低減効果が得られないときは、演算量
が増えて変化に対する追従性が低下しても制御対象とす
る振動成分の数を増やすことにより、振動低減の実効を
向上させることができる。
【0087】上述のようにこの第3実施例では、システ
ムの所定の環境の状態としての車室3フロアの振動状態
に応じて、選択する基本信号f2,f4,f6の数を調整
して制御対象とする振動成分の数の調整を行っているの
で、車室3フロアの振動状況の変化に適応して効果的な
振動低減を行うことができる。
【0088】このように、この3実施例では、フロア振
動検出器50により車室フロアの加速度を検出し、このフ
ロア加速度の絶対値|p|がどのような状態であるかに
よって、車室3内の振動が全体的に増大する状態にある
か否かを判定しているといえるが、FFT(FastFourie
r Transform)アナライザを用いて車室3内の振動を周
波数帯別に分析して検出することにより、車室3内の振
動のどの振動成分が増大する状態にあるかをより直接的
に検出するようにしてもよい。
【0089】また、車室3内の振動が全体的に増大する
状態にあるか否かの判定は車両において搭載される電子
機器等からの様々な情報に基づき間接的に行うことが可
能である。以下、車両に搭載される種々の電子機器等か
らの情報により、車室3内の振動が全体的に増大する状
態か否かを間接的に検出するようにしたものを、本発明
の第4実施例として説明する。図16は本発明の第4実施
例に係る車両の振動低減装置のコントローラの構成を示
すブロック図、および図17は図16に示す制御演算部の構
成を示すブロック図である。
【0090】この第4実施例では、図16に示すように車
両に搭載された所定の電子機器60から所定の情報を情報
信号iとして検出し、この情報信号iに基づき、車室3
内の振動が全体的に増大する状態か否かを間接的に検出
する振動状態判定器61が、図17に示すように設けられて
いる。また、通常は3つの基本信号f2,f4,f6の中
から2基本信号を選択し、振動状態判定器61が車室3内
の振動が全体的に増大する状態を検出したときには、未
選択の基本信号f6も併せて選択するようにリファレン
ス信号発生手段18は構成されている。この第4実施例で
は、上記振動状態検出判定器61により、車載された所定
の電子機器60からの所定の情報に基づき車室3内の振動
が全体的に増大する状態か否かを間接的に検出する環境
状態検出手段45が構成されている。なお、この第4実施
例におけるリファレンス信号発生手段18および演算部28
の構成は、前記第1実施例におけるそれらの構成と同様
である。
【0091】具体的に上記電子機器61としてどのような
ものが考えられるか、およびその電子機器61からどのよ
うな情報を検出した際に、車室3内の振動が全体的に増
大する状態であると判定するのかについて、以下列挙す
る。
【0092】(1) 電子機器61がエンジンの電子制御を行
うECU(Electronic Control Unit)である場合 (i) ECUより、リーンバーン制御(理想空燃比よりリ
ーン領域での燃料噴射制御)作動時であるという情報を
検出したとき (ii)ECUより、EGR制御(ExhaustGas Recirculati
on Control)作動時であるという情報を検出しとき (iii)ECUより、電子点火進角制御(ESA Contro
l;ESA:ElectronicSpark Advance)作動時であると
いう情報を検出したとき (iv)ECUより、エンジン暖機後、空燃比フィードバッ
ク制御作動していない状態で、燃料噴射がされたという
情報を検出したとき (v) ECUより、エンジン暖機後、空燃比フィードバッ
ク制御が作動していない状態で、燃料噴射がカットされ
たという情報を検出したとき (vi)ECUより、パージ制御(フューエルタンク上部の
燃料ガスを吸着した後、エンジンに再度入れる制御)作
動時であるという情報を検出したとき (vii)ECUより、アイドル回転速度制御(ISC;Idl
e Speed Control)作動時であることを検出したとき (viii)ECUより、エンジンが高回転時であるという情
報を検出したとき (ix)ECUより、アクセルが全開であるという情報を検
出したとき (x) ECUより、エンジンブレーキの作動時であるとい
う情報を検出したとき (xi)ECUより、エンジンが高負荷状態であることを検
出したとき (xii)ECUより、ターボチャージャー作動時であるこ
とを検出したとき (xiii)ECUより、スーパーチャージャー作動時である
ことを検出したとき (xiv)ECUより、車両が走行時であることを検出した
とき。
【0093】(2) 電子機器61が電子式自動変速制御を行
うEATCU(Electronic Automatic Transmission Con
trol Unit)である場合 (i) EATCUより、EAT変速制御作動時であるとい
う情報を検出したとき (ii)EATCUより、EATロックアップ制御作動時で
あることを検出したとき (iii)EATCUより、EATスリップ制御(ロックア
ップの際、クラッチフェーシングとトルコンカバーとの
間のスリップの制御)作動時であることを検出したとき (iv)EATCUより、シフトレバーがパーキングレンジ
またはニュートラルレンジにあることを検出したとき。
【0094】(3) 電子機器61が、サスペンションの油圧
を電子制御するACSCU(ActiveSuspention Control
Unit)である場合 (i) ACSCUより、前輪が路面の突起を乗り越えたこ
とを検出したとき (ii)ACSCUより、車両が悪路を走行中であることを
検出したとき (iii)ACSCUより、車両がテンパータイヤを装着し
ていることを検出したとき。
【0095】(4) 電子機器61が、車両の4輪操舵を制御
する4WSCU(Four Wheel SteeringControl Unit)で
ある場合 (i)4WSCUより、4輪操舵制御作動時であることを
検出したとき。
【0096】(5) 電子機器61が、車両のブレーキを電子
制御するABSCU(Anti-Lock BrakeSystem Control U
nit)である場合 (i) ABSCUより、同相転舵時であることを検出した
とき。
【0097】(6) 電子機器61が、車両の駆動輪の駆動力
を電子制御するTRCU(TractionControl Unit)であ
る場合 (i) TRCUより、トラクションコントロール作動時で
あることを検出したとき。
【0098】(7) 電子機器61が、車室内の空調を制御す
るACCU(Air Condition ControlUnit)である場合 (i) ACCUより、空調装置が作動していることを検出
したとき (ii)ACCUより、エンジン作動時、エンジン冷却水の
水温が低いことを検出したとき。
【0099】(8) 電子機器61が、人工衛星からの信号に
より車両に道路情報を提供するナビゲーションシステム
ユニット(NSU)である場合 (i) NSUより、車両が未舗装路(悪路)走行時やトン
ネル内走行時あるいは高地走行時であることを検出した
とき。
【0100】(9) 電子機器61が、道路と車両間との通信
により車両に道路情報を提供する路車間通信ユニットで
ある場合 (i) 路車間通信ユニットより、車両が未舗装道路(悪
路)走行時やトンネル内走行時あるいは高地走行時であ
ることを検出したとき。
【0101】(10)電子機器61が車外の明るさ等により車
両のランプの点灯、消灯等を制御するランプコントロー
ルユニットである場合 (i) ランプコントロールユニットより、車両のランプが
点灯し、車両がトンネル内走行時であることを検出した
とき。
【0102】(11)電子機器61が、車両のAV機器のコン
トロールユニット(AVCU)である場合 (i) AVCUより、AV機器のボリュームが大きいこと
を検出したとき。
【0103】(12)電子機器61が、車両の駆動方式の切換
制御等を行うTSCU(Torque Split Control Unit)で
ある場合 (i) TSCUより、4輪駆動方式が選択されたことを検
出したとき。
【0104】以上、電子機器61の具体例、およびその電
子機器61からどのような情報を検出したときに、車室3
内の振動が全体的に増大する状態であると判定するかに
ついて列挙したが、上記列挙したものに限定されるもの
ではない。例えば、ACSCU、TRCUまたはABS
CUによっても車両が悪路走行時であるという情報を検
出することができるなど、上記以外の検出方法も考えら
れる。
【0105】この第4実施例によれば、電子機器61から
の所定の情報信号iに基づき、車室3内の振動が全体的
に増大する状態にないと判定されると、3つの基本信号
2,f4,f6の中から2つの基本信号f2,f4が選択
されこれに基づきリファレンス信号rが生成される。こ
の状態では、上記リファレンス信号発生器18およびマイ
クロフォン10の各出力信号を受けた演算部28により、マ
イクロフォン10で検出される振動のうちエンジン振動の
2次成分および4次成分が低減されるようにリファレン
ス信号rが加工されて制御信号sが生成される。この演
算部28からの制御信号sはスピーカ11に出力されて該ス
ピーカ11により振動が発生し、この振動とエンジン振動
とが互いに打ち消し合い、このことでマイクロフォン10
により検出される車室3内の所定位置での振動が低減さ
れ、車両振動の低減効果が得られる。
【0106】このように車室3フロアの振動状態が増大
しない状態にあって車室3内の振動が全体的に増大する
状態にないと判断され、制御の対象とする振動成分が少
なくとも十分振動低減効果が得られるときには、選択さ
れる基本信号の数が2つとされて制御対象とする振動成
分が2次成分と4次成分に限定されるので演算量が少な
くなり、これによりエンジン4の回転数の変化等による
車室3内の振動の状態の変化に対する制御の応答性を確
保しつつ、良好に振動低減を図ることができる。
【0107】これに対し、車室3内の振動が略全周波数
帯域で増大する状態にあると検出されると、その検出時
からカウンタkが初期値Kから「0」になって所定時間
Tが経過するまでは基本信号f6は未選択のままとされ
るが、所定時間Tの経過後基本信号f6も併せて選択さ
れ3つの基本信号f2,f4,f6に基づいてリファレン
ス信号rが生成される。この基本信号f6はエンジン4
の振動の6次成分に対応するので、この基本信号f6
併せて選択することによりこの6次成分も制御対象とし
て低減することが可能となる。
【0108】このように車室3フロアの振動状態が増大
する状態にあって車室3内の振動が全体的に増大する状
態にあると判断され、制御の応答性を重視した制御を行
っても十分な振動低減効果が得られないときは、演算量
が増えて変化に対する追従性が低下しても制御対象とす
る振動成分の数を増やすことにより、振動低減の実効を
向上させることができる。
【0109】上述のようにこの第3実施例では、システ
ムの所定の環境の状態としての車室3フロアの振動状態
に応じて、選択する基本信号f2,f4,f6の数を調整
して制御対象とする振動成分の数の調整を行っているの
で、車室3フロアの振動状況の変化に適応して効果的な
振動低減を行うことができる。
【0110】次に、車室3内の振動の状態が全体的に増
大する状態であるか否かを、演算手段の演算状況がどの
ような状態であるかによって間接的に検出するようにし
た、本発明の第5実施例を説明する。図18は本発明の第
5実施例に係る車両の振動低減装置のコントローラの構
成を示すブロック図、および図19は図18に示す制御演算
部の内部構成を示すブロック図である。
【0111】図18に示すように、この第5実施例に係る
車両の振動低減装置のコントローラ16は、図3に示す前
記第1実施例のコントローラ16と比較して、アクセル開
度測定回路26および車速測定回路27を備えていない点お
よび図19に示す制御演算部22の内部構成が異なり、他の
構成は略同じである。図19に示すように制御演算部22
は、マイクロフォン10から制御演算部22に入力される振
動信号mの状態を、演算部28の演算状態を示すものとし
て検出する演算状態判定器71を備えている。なお、リフ
ァレンス信号発生手段18および演算部28の構成は前記第
1実施例と同様である。
【0112】この第5実施例では、上記マイクロフォン
10および演算状態判定器71により環境状態検出手段45が
構成され、この環境状態検出手段45は、振動信号mの状
態を検出することにより、演算手段28の演算状況がどの
ような状態であるかを検出するように、詳しくは振動信
号mの状態を検出することにより、車室3内の振動が全
体的に増大する状態であるか否かを、間接的に検出する
ように構成されている。
【0113】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち基本信号f2,f4,f6の選択
のための動作について、図20のフローチャートに基づい
て説明する。まず、スタート後のステップV1におい
て、マイクロフォン10からの振動信号mにより時刻nで
の振動信号m(n)を算定し、ステップV2では、今回
の時刻nでの振動信号m(n)と前回の時刻(n−1)
での振動信号m(n−1)との差の絶対値とにより振動
信号mの変化値Δm=|m(n)−m(n−1)|を算
出する。次のステップV3で上記変化値Δmとその閾値
Lmとの大小を比較し、この判定がΔm≦LmのNOの
ときには、車室3内の振動が全体的に増大する状態では
ないと判定し、ステップV4でカウンタkを初期値Kに
設定し、ステップV5で3つの基本信号f2,f4,f6
の中から2つの基本信号f2,f4を選択した後、終了す
る。
【0114】一方、上記ステップV3でLm>ΔmのY
ESのときには、車室3内の振動が全体的に増大する状
態であると判定する。次いで、ステップV6で上記カウ
ンタkがk=0になったか否かを判定し、この判定がk
>0のYESのときには、ステップV7でカウンタkか
ら「1」を引いてk=k−1とした後ステップV5に進
む。
【0115】以上の繰返しにより、上記ステップV6の
判定がk=0のNOになると、ステップV8で未選択だ
った基本信号f6を追加選択した後、終了する。
【0116】よって、この第5実施例では、上記制御動
作のステップV1〜V3により、振動信号mの変化値Δ
mに基づいて車室3内の振動が全体的に増大する状態か
否かを間接的に検出するようにした環境状態検出手段45
の動作が示されている。
【0117】また、ステップV4〜V8により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車室3内の
振動状態に応じて通常は3つの基本信号f2,f4,f6
の中から2つの基本信号f2,f4を選択して、この2つ
の基本信号f2,f4に基づきリファレンス信号rを生成
する一方、車室3内の振動が全体的に増大する状態が検
出されたときには、その検出時からカウンタkがk=K
(初期値)からk=0になるまでの所定時間Tが経過し
た後に、未選択だった基本信号f6も併せて選択してこ
の3つの基本信号f2,f4,f6に基づいてリファレン
ス信号rを生成するようにしたリファレンス信号生成手
段18の動作が示されている。
【0118】次に、この第5実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、エンジン回転周期測
定回路17でエンジン回転周期が測定され、その周期信号
tが制御演算部22に出力される。この周期信号tは制御
演算部22内のリファレンス信号発生手段18に入力され、
リファレンス信号発生手段18はその周期信号tより3つ
の基本信号f2,f4,f6を生成する。また、車室3内
のマイクロフォン10により車室3の所定位置での振動が
検出され、このマイクロフォン10の出力信号mは制御演
算部22内の演算部28に入力される。
【0119】一方、上記マイクロフォンの出力信号mは
制御演算部22内の演算状態判定器71に入力される。演算
状態判定器71では、振動信号mの変化値Δmが閾値L
と比較されて振動信号mの状態が検出され、この振動信
号mの状態に応じてリファレンス信号発生手段18で生成
された3つの基本信号f2,f4,f6の中からどれを選
択するかが決定される。すなわち図21に示すように、振
動信号mの変化値Δmが閾値L以下で車室3内の振動
が全体的に増大する状態にないと判定されると、リファ
レンス信号発生手段18は3つの基本信号f2,f4,f6
の中から2つの基本信号f2,f4を選択して、その2つ
の基本信号f2,f4に基づきリファレンス信号rを生成
して出力する。この状態では、上記リファレンス信号発
生手段18およびマイクロフォン10の各出力信号を受けた
演算部28により、マイクロフォン10で検出される振動の
うち上記2つの基本信号f2,f4にそれぞれ対応するエ
ンジン4からの振動の2次成分および4次成分が低減さ
れるようにリファレンス信号rが加工されて制御信号s
が生成される。この制御信号sはスピーカ11に出力され
てスピーカ11により振動が発生し、この振動とエンジン
4からの振動とが互いに打ち消し合い、このことでマイ
クロフォン10により検出される車室3内の所定位置での
振動が低減され、車両の振動低減効果が得られる。
【0120】このように振動信号mが増大しない状態に
あって車室3内の振動が全体的に増大する状態にないと
判断され、制御の対象とする振動成分が少なくても十分
振動低減効果が得られるときには、選択される基本信号
の数が2つとされて制御対象とする振動成分が2次成分
と4次成分に限定されるので演算量が少なくなり、これ
によりエンジン4の回転数の変化等による車室3内の振
動の状態の変化に対する制御の応答性を確保しつつ、良
好に振動低減を図ることができる。
【0121】これに対し、振動信号mの変化値Δmが閾
値Lmよりも大きく、振動信号mが増大する状態にある
と検出されると、その検出時からカウンタkが初期値K
から「0」になって所定時間Tが経過するまでは基本信
号f6は未選択のままとされるが、所定時間Tの経過後
基本信号f6も併せて選択され3つの基本信号f2
4,f6に基づいてリファレンス信号rが生成される。
この基本信号f6はエンジン4の振動の6次成分に対応
するので、この基本信号f6を併せて選択することによ
りこの6次成分も制御対象として低減することが可能と
なる。
【0122】このように振動信号mが増大する状態にあ
って車室3内の振動が全体的に増大するにあると判断さ
れ、制御の応答性が重視した制御を行っても十分な振動
低減効果が得られないときは、演算量が増えて変化に対
する追従性が低下しても制御対象とする振動成分の数を
増やすことにより、振動低減の実効を向上させることが
できる。
【0123】上述のようにこの第5実施例では、システ
ムの所定の環境の状態としての演算部の演算状態(振動
信号mの状態)から車室3内の振動状態を間接的に検出
し、この車室3内の振動状態に応じて、選択する基本信
号f2,f4,f6の数を調整して制御対象とする振動成
分の数の調整を行っているので、車室3内の振動状態の
変化に適応して効果的な振動低減を行うことができる。
【0124】以上、本発明による車両の振動低減装置の
実施例を説明したが、本発明による車両の振動低減装置
は、かかる実施例の具体的態様に限定されるものではな
く、種々の変更を行うことができる。
【0125】例えば、前記第1実施例では、車両の運転
状況がどのような状態であるか、詳しくは車両が加減速
走行状態にあるか定速走行状態にあるかに基づき、車室
3内の振動が定常状態であるか非定常状態であるかを間
接的に検出しているが、車室3内の振動の状態が定常状
態であるか否かを、演算手段の演算状態を検出すること
により間接的に判定することも可能である。具体的に
は、前記演算部28の適応フィルタ34の係数は、振動が定
常状態になるとあまり変化しなくなると考えられるの
で、適応フィルタ34の係数の変化状態を直接的または間
接的に検出して、適応フィルタ34係数が大きく変化する
場合には車室3内の振動の状態が非定常状態にあると判
定し、係数があまり変化しなくなったら車室3内の振動
の状態が定常状態にあると判定するようにすることがで
きる。
【0126】また、前記第1実施例では、エンジン回転
周期の変動により車両の運転状態を検出しているが、こ
の他、車速やアクセル開度等によっても検出することが
できる。
【0127】また、前記各実施例におけるリファレンス
信号発生手段18は、選択するか否かによらず生成しうる
基本信号f2,f4,f6を常時生成する構成とされてい
るが、選択する必要があるときのみその選択する必要の
ある基本信号を生成するように構成してもよい。
【0128】さらに、前記各実施例では、車両の振動源
をエンジンとしているが、振動の周期情報によりリファ
レンス信号が得られるならば、その他の振動、例えば排
気振動を制御対象とすることができる。
【0129】さらにまた、前記各実施例では、振動発生
手段をスピーカ11としているが、これ以外に、例えばエ
ンジンマウントを積極的に加振することで、車両振動を
低減するようにすることもできる。
【0130】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による車両
の振動低減装置は、リファレンス信号発生手段からのリ
ファレンス信号を加工して制御信号を生成し振動発生手
段に出力する演算手段と、システムの所定の環境がどの
ような状態であるかを検出する環境状態検出手段とを備
えるとともに、上記リファレンス信号発生手段は、振動
源の周期情報から互いに異なる周期をもつ複数の基本信
号を生成しうるように、かつ上記環境状態検出手段によ
り検出された所定の環境の状態に応じて複数の基本信号
の中から所定の基本信号を選択してこの選択した基本信
号に基づいてリファレンス信号を生成するように構成さ
れていることにより、本発明による車両の振動低減装置
によれば、システムの所定の環境の状態に応じて選択す
る基本信号を変更することにより制御対象とする振動成
分を変更することが可能となるので、所定の環境の状態
の変化に適応した効率のよい振動低減を行うことが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1実施例に係る車両の振動低減装置
の全体構成を示す概略図
【図3】図2に示すコントローラの構成を示すブロック
【図4】図3に示す制御演算部の構成を示すブロック図
【図5】図4に示すリファレンス信号発生手段の構成を
示すブロック図
【図6】LMSの適応アルゴリズムを用いた図4に示す
演算部の構成を示すブロック図
【図7】第1実施例における基本信号の選択のための動
作を示すフローチャート図
【図8】エンジン回転の変化に応じた基本信号の選択状
態を示すタイムチャート図
【図9】本発明の第2実施例に係る車両の振動低減装置
の全体構成を示す概略図
【図10】図9に示すコントローラの構成を示すブロッ
ク図
【図11】図10に示す制御演算部の構成を示すブロック
【図12】第2実施例における基本信号の選択のための
動作を示すフローチャート図
【図13】フロア振動の変化に応じた基本信号の選択状
態を示すタイムチャート図
【図14】本発明の第3実施例に係る車両の振動低減装
置の基本信号の選択のための動作を示すフローチャート
【図15】フロア振動の大きさに応じた基本信号の選択
状態を示すタイムチャート図
【図16】本発明の第4実施例に係る車両の振動低減装
置のコントローラの構成を示すブロック図
【図17】図16に示す制御演算部の構成を示すブロック
【図18】本発明の第5実施例に係る車両の振動低減装
置のコントローラの構成を示すブロック図
【図19】図18に示す制御演算部の構成を示すブロック
【図20】第5実施例における基本信号の選択のための
動作を示すフローチャート図
【図21】マイクロフォンの振動検出信号の変化に応じ
た基本信号の選択状態を示すタイムチャート図
【符号の説明】
1 車体 3 車室 4 エンジン(振動源) 10 マイクロフォン(振動検出手段) 11 スピーカ(振動発生手段) 16 コントローラ 17 エンジン回転周期測定回路 18 リファレンス信号発生手段 22 制御演算部 28 演算部(演算手段) 31 デジタルフィルタ 34 適応フィルタ 41 加減速/定速判定器 45 環境状態検出手段 50 フロア振動検出器 51,61 振動状態判定器 71 演算状態判定器 r リファレンス信号 s 制御信号 f2,f4,f6 基本信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仙井 浩史 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 原田 真悟 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 宮広 栄一 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 中尾 憲彦 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−306845(JP,A) 特開 平4−234096(JP,A) 特開 平5−210392(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/178 F01N 1/00 F16F 15/02 H03H 17/02 601 H03H 21/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両において生じる振動を制御対象とす
    るシステムを構成する車両の振動低減装置であって、 前記車両において周期性振動を生じる振動源の周期情報
    に基づくリファレンス信号を発生するリファレンス信号
    発生手段と、 車体の所定位置での振動を検出する振動検出手段と、 振動を発生する振動発生手段と、 前記リファレンス信号発生手段および振動検出手段の各
    出力信号を受け、該振動検出手段により検出される振動
    が低減されるように前記リファレンス信号発生手段から
    のリファレンス信号を加工して制御信号を生成し前記振
    動発生手段に出力する演算手段と、 前記システムの所定の環境がどのような状態であるかを
    検出する環境状態検出手段とを備えてなり、 前記リファレンス信号発生手段は、 前記振動源の周期情報から互いに異なる周期をもつ複数
    の基本信号を生成しうるように、かつ前記環境状態検出
    手段により検出された前記所定の環境の状態に応じて
    択する基本信号の総数を変更しうるように構成されてい
    るとともに、 前記複数の基本信号の中から前記振動の2次成分及び4
    次成分にそれぞれ対応する基本信号を選択する一方、 前記生成しうる複数個の基本信号の中で選択していない
    未選択の基本信号があるときに、前記車両において生じ
    る振動のレベルが全体的に増大するということが前記環
    境状態検出手段により検出されたときには、前記未選択
    の基本信号の中から前記振動の6次成分に対応するもの
    を追加選択し、 前記 選択した基本信号に基づいて前記リファレンス信号
    を生成するように構成されたものであることを特徴とす
    る車両の振動低減装置。
  2. 【請求項2】 車両において生じる振動を制御対象とす
    るシステムを構成する車両の振動低減装置であって、 前記車両において周期性振動を生じる振動源の周期情報
    に基づくリファレンス信号を発生するリファレンス信号
    発生手段と、 車体の所定位置での振動を検出する振動検出手段と、 振動を発生する振動発生手段と、 前記リファレンス信号発生手段および振動検出手段の各
    出力信号を受け、該振動検出手段により検出される振動
    が低減されるように前記リファレンス信号発生手段から
    のリファレンス信号を加工して制御信号を生成し前記振
    動発生手段に出力する演算手段と、 前記システムの所定の環境がどのような状態であるかを
    検出する環境状態検出手段とを備えてなり、 前記リファレンス信号発生手段は、前記振動源の周期情報から互いに異なる周期をもつ複数
    の基本信号を生成しうるように、かつ前記環境状態検出
    手段により検出された 前記所定の環境の状態に応じて選
    択する基本信号の総数を変更しうるように構成されてい
    るとともに、 前記複数の基本信号の中から前記振動の2次成分及び4
    次成分にそれぞれ対応する基本信号を選択する一方、 前記生成しうる複数個の基本信号の中で選択していない
    未選択の基本信号があるときに、前記車両において生じ
    る振動が定常状態になるということが前記環境状態検出
    手段により検出されたときには、前記未選択の基本信号
    の中から前記振動の6次成分に対応するものを追加選択
    し、 前記選択した基本信号に基づいて前記リファレンス信号
    を生成す るように構成されたものであることを特徴とす
    る車両の振動低減装置
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