JPH06274181A - 車両の振動低減装置 - Google Patents

車両の振動低減装置

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JPH06274181A
JPH06274181A JP5064498A JP6449893A JPH06274181A JP H06274181 A JPH06274181 A JP H06274181A JP 5064498 A JP5064498 A JP 5064498A JP 6449893 A JP6449893 A JP 6449893A JP H06274181 A JPH06274181 A JP H06274181A
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vibration
vehicle
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signal
control
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Application number
JP5064498A
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English (en)
Inventor
Naoki Ikeda
直樹 池田
Shin Takehara
伸 竹原
Masato Ando
正登 安藤
Hiroshi Somai
浩史 仙井
Shingo Harada
真悟 原田
Yutaka Tsukahara
裕 塚原
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の振動低減装置において、システムの環
境状態の変化等による制御対象とする車両振動の状態変
化に幅広く対応して、良好な振動低減を行えるようにす
る。 【構成】 低周波振動を発生する第1振動発生手段12
と、高周波振動を発生する第2振動発生手段11とを、リ
ファレンス信号生成手段18からのリファレンス信号rを
加工することにより第1制御信号s1を生成する第1演
算手段28と、振動検出手段10からの出力信号に基づき第
2制御信号s2を生成する第2演算手段29とのそれぞれ
に、各特性をいかして適宜対応させて作動制御させるこ
とにより、振動低減を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両において生じる振
動を制御対象とするシステムを構成する車両の振動低減
装置に関し、特に、車両の特定の振動要素を別途備えた
アクチュエータにより車両振動とは逆位相で同振幅に加
振して車両振動を低減するようにしたものの改良に関す
る。なお、この発明では、振動とは車体の純然たる振動
のみならず騒音をも含むものとする。
【0002】
【従来の技術】従来、この種能動型の車両の振動低減装
置として、例えば特表平1-501344号公報に開示されてい
るように、車載エンジンで発生する振動に対応したリフ
ァレンス信号を発生させるリファレンス信号発生器と、
このリファレンス信号発生器で発生したリファレンス信
号に対し逆位相でかつ同振幅の制御信号(加振信号)を
生成する適応型フィルタと、この適応型フィルタで生成
された制御信号を受けた車体を加振するスピーカ等の振
動発生手段と、車体や車室内空気の振動を検出するマイ
クロフォン等の振動検出手段と、この振動検出手段によ
り検出される振動が低減されるよう上記適応型フィルタ
のフィルタ係数を逐次更新するLMS(Least Mean Squ
are Method(=最小二乗法))アルゴリズム演算手段と
を備えたものが知られている。
【0003】すなわち、上記リファレンス信号発生器に
おいて、エンジン振動に対応するイグニッションパルス
信号を検出し、このイグニッションパルス信号からデジ
タル信号としてのリファレンス信号を発生させる。この
リファレンス信号は適応型フィルタに入力され、この適
応型フィルタにおいてリファレンス信号のゲインや位相
等が調整されて、振動検出手段の配置位置でエンジン振
動と振動発生手段で発生した振動とが互いに打ち消し合
うような制御信号が生成され、この制御信号は振動発生
手段に出力されて該振動発生手段から上記振動が出力さ
れる。また、上記リファレンス信号はLMSアルゴリズ
ム演算手段にも入力され、この演算手段において、振動
検出手段から出力される信号のレベルが低くなるように
上記適応型フィルタのフィルタ係数を逐次更新して最適
化するようになっている。
【0004】このように従来の車両の振動低減装置で
は、振動検出手段の出力信号は適応型フィルタの係数を
最適化するために用いられるのであり、振動源(エンジ
ン)から生じる振動を低減させるための制御信号は、基
本的には、振動源の周期情報に基づき生成され適応型フ
ィルタに逐次入力されるリファレンス信号のみから生成
される。この点から従来の車両の振動低減装置は、いわ
ゆるフィードフォワード的な制御を行っているといえ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
車両の振動低減装置では、適応型フィルタの係数を逐次
更新するために、短時間に膨大な計算量をこなす必要が
ある。特に、振動源から生じる振動の全ての成分を制御
対象とするときには、フィルタ係数の更新のための演算
量が著しく増加するので、従来の車両の振動低減装置に
一般的に搭載されるようなプロセッサ等の演算処理能力
では、そのような多大な演算量を短時間でこなすことは
不可能となる。このため、従来の車両の振動低減装置に
おいては、振動源から生じる周期性振動の特定の振動成
分のみを制御対象とするのが一般的である。
【0006】このように従来の車両の振動低減装置で
は、振動源から生じる周期性振動の特定の振動成分のみ
を制御対象とすることが多いが、一般に車両において生
じる振動はエンジンを振動源として発生する周期性振動
が支配的であり、その中でも特定の振動成分(例えばエ
ンジン回転数の2倍の周期をもつ2次成分)が他の振動
成分に比較して大きなレベルを有することが知られてお
り、このような振動成分を制御対象とすれば振動低減を
良好に行うことが可能になると考えられる。また、フィ
ードフォワード的な制御を行う従来の車両の振動低減装
置は、対象とする振動の周波数の変化等に対する追従性
に優れ、制御の応答性がよいという特長を備えている。
【0007】しかし、上記従来の車両の振動低減装置に
より常に良好な振動低減効果が得られるとは限らない。
すなわち、エンジン振動の特定の振動成分を制御対象と
した場合においてこの特定の振動成分は、エンジン回転
数の変化と共に低周波数域から高周波数域まで広い周波
数帯域にわたってその周波数が変化し、その周波数の変
化と共に乗員にとって支障となる振動の形態が異なるこ
とがある。例えば、上記特定の振動成分を乗員は、エン
ジン回転数が低いときすなわち低周波数のときには主に
車体振動として感じ取るが、エンジン回転数が高いとき
すなわち高周波数のときには主に騒音(空気の振動)と
して感じ取ることがある。したがって、良好な振動低減
効果を得るためには、このように周波数によって乗員に
とって支障となる振動の形態が異なる振動成分に対して
も、これを低周波域から高周波域まで広い周波数域にわ
たって低減できるようにすることが望ましい。
【0008】ところが、上記公報には、振動発生手段と
して空気を加振するスピーカを用いることが記載されて
いるが、スピーカでは、制御対象とする振動成分が高周
波数で主に騒音として感じられるときには、空気を加振
することにより効率よく低減を図れるものの、低周波数
で主に車体振動として感じられるときには空気を加振し
ても車体振動の低減を図ることはできない。一方、例え
ば特開平3-219139号公報に開示されているように、振動
発生手段として車体を直接加振する加振用のマウントア
クチュエータ(以下、「加振マウント」という。)を用
いたものも知られているが、この加振マウントを用いた
場合には、制御対象とする振動成分が低周波数で主に車
体振動として感じられるときには、車体を加振すること
により、効率よく低減を図れるものの、高周波数で主に
騒音として感じられるときにはこれを低減するために車
体を加振することは、スピーカを用いて空気を加振する
場合と比較して多くの電力を消費するなど効率がよいと
はいえない。
【0009】このように、スピーカのように高周波の振
動を効率よく発生することのできる振動発生手段と、加
振マウントのように低周波の振動を発生するのに適した
振動発生手段とには、それぞれ一長一短があり、どちら
も単独で用いた場合には周波数の変化により乗員が感じ
取る振動が異なる振動成分を低周波域から高周波域まで
と良好に低減することは困難であった。
【0010】そこで、このような特性の異なる2種の振
動発生手段を組み合わせて用いることも考えられるが、
その場合においても上記した従来の車両の振動装置で
は、良好な振動低減を行えないことがある。それは、制
御対象とする振動成分が常に他の振動成分よりも大きい
振動レベルを有しているとは限らないことによる。すな
わち、車両において生じる振動は、車両の運転状況、外
乱の性質、システムを構成するパラメータの状態などの
システムがおかれている環境に大きく影響を受けること
が多い。例えば、車室内において生じる騒音(空気の振
動)の状態をみると、車両がある運転状態にあるときに
は、エンジン振動の特定の振動成分が存在する特定の周
波数帯域の騒音レベルが他の周波数帯域の騒音レベルに
比べて特に大きくなるが、車両の運転状態が変わると、
外乱の性質が変化するなどして、騒音レベルが略全周波
数帯域で一様に大きくなることがある。
【0011】このような騒音を低減の対象とする場合、
上記従来の車両の振動低減装置では、エンジン振動の特
定の振動成分が存在する特定の周波数帯域の騒音レベル
が他の周波数帯域の騒音レベルよりも大きいときには、
前述のようにこの特定の振動成分を制御対象とすること
により良好な騒音低減効果を奏することが可能なもの
の、騒音レベルが略全周波数帯域で一様に大きくなると
きには、良好な騒音低減効果を奏することができなかっ
た。
【0012】このような従来の車両の振動低減装置にお
ける問題点は、従来の車両の振動低減装置では、適応型
フィルタの係数更新のための演算量が膨大となるため、
車両において振動源から生じる周期性振動の特定の振動
成分しか制御対象とすることができないことに起因して
いる。そこで、演算量を低減でき、車両において生じる
振動の全体を制御対象とすることの可能な車両の振動低
減装置の実現が要望されていた。
【0013】本出願人は先に、上記従来の車両振動低減
装置のように逐次生成されるリファレンス信号に基づい
て制御信号を生成するというフィードフォワード的な制
御方式とは異なり、振動検出手段が検出した信号に基づ
いて制御信号を直接的に生成するというフィードバック
的な制御方式による車両の振動低減装置を提案している
(特願平4-32217 号等)。
【0014】この車両の振動低減装置は、エンジン振動
の周期を検出し、エンジン振動の振動エネルギーを低減
させるスピーカ等の振動発生手段と、車体や車室内空気
の振動を検出するマイクロフォン等の振動検出手段と、
振動発生手段での振動エネルギーを設定する設定手段と
を備え、この設定手段の出力を振動検出手段の出力信
号、および振動検出手段と振動発生手段との間の伝達特
性に基づいて補正して振動発生手段に出力するようにす
ることにより、振動発生手段に出力される出力信号(制
御信号)を直接、逐次的に最適化して振動の低減を図る
ものである。この制御方式によれば、振動検出手段が検
出した信号に基づき直接的に制御信号を生成するので、
車両において生じる振動の全体を制御対象としても演算
量が膨大とならず、振動検出手段が検出した振動を全体
的に低減することができる。
【0015】また、最適制御理論による最適フィードバ
ック系の設計手法を、車両の振動低減装置に適用するこ
とも考えられる。従来、最適制御理論として一般的であ
ったLQG(Linear Quadratic Gaussian )制御理論
は、ある理想化された条件下のみでしか最適性を保証し
ないため、このLQG理論により最適フィードバック制
御方式の車両の振動低減装置を設計することは実用的で
はなかった。近年、LQG理論にかわる新しい制御理論
としてH制御理論が注目されている(木村英紀:L
QGからHへ、計測と制御、Vol.29,No.2,PP.111/
119,1990年 2月等)。このH制御理論に基づき設計
された最適フィードバック制御系はロバスト安定性が高
く実用的なため、H制御理論により最適フィードバ
ック方式の車両の振動低減装置を設計し、これを用いる
ことにより、上述した本出願人提案によるフィードバッ
ク方式の車両の振動低減装置と同様、車両において生じ
る振動の全体を制御対象としても演算量が膨大となら
ず、振動検出した振動を全体的に低減することが可能と
なる。
【0016】しかし、これらのフィードバック的な制御
方式は、制御対象とする振動が定常状態にあるときには
良好な振動低減効果を奏するものの、車両の運転状態等
の変化に伴い制御対象とする振動が過渡的に変化するよ
うな状態では、追従性が悪く応答性が低下するため、良
好な振動低減効果を奏することができないという問題が
ある。
【0017】上述のようにこれまでの車両の振動低減装
置は、制御対象とする車両において生じる振動が特定の
状態にあるときには良好な振動低減効果を奏するもの
の、周波数が変化したり、システムの他の環境が変化し
て振動状態が変わると良好な振動低減効果を奏すること
ができなかった。そこで、制御対象とする振動の周波数
等、システムの環境の状態が様々に変化して、制御対象
とする振動の状態が大きく変化する場合においても、そ
のときの振動の状態に応じた良好な振動低減効果を奏す
ることの可能な車両の振動低減装置の実現が要請され
る。
【0018】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、その目的は、システムの環境の変化等により制御対
象とする振動の状態が様々に変化する場合でも、良好に
振動低減を行うことの可能な適応性の高い車両の振動低
減装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明では、上記した2つの制御方式、つまりリフ
ァレンス信号に基づいて制御信号を生成するフィードフ
ォワード的な制御方式と、マイクロフォン等で検出した
振動に基づいてそれが低減されるようにスピーカ等から
振動を発生させるフィードバック的な制御方式、および
上記した2種の振動発生手段、つまりスピーカ等の高周
波振動を発生するのに適した振動発生手段と、加振マウ
ント等の低周波振動を発生するのに適した振動発生手段
とを、それぞれの特長を生かして組み合わせて用いるよ
うにした。
【0020】具体的には、請求項1の発明では、図1に
示すように、車両において周期性振動を生じる振動源の
周期情報に基づくリファレンス信号rを発生するリファ
レンス信号発生手段18と、車体の所定位置での振動を検
出するマイクロフォン等の振動検出手段10と、低周波振
動を発生する加振マウント等の第1振動発生手段12と、
高周波振動を発生するスピーカ等の第2振動発生手段11
と、前記リファレンス信号発生手段18および振動検出手
段10の各出力信号を受け、振動検出手段10により検出さ
れる振動が低減されるようにリファレンス信号発生手段
18からのリファレンス信号rを加工して第1制御信号s
1を生成し上記第1または第2振動発生手段12,11の一
方の振動発生手段に出力する第1演算手段28とを設け
る。
【0021】また、上記振動検出手段10の出力信号を受
け、この出力信号に基づき第2制御信号s2を生成し第
1または第2振動発生手段12,11の他方の振動発生手段
に出力する第2演算手段29を設ける。
【0022】また、請求項2の発明では、請求項1の発
明における前記一方の振動発生手段を前記第1振動発生
手段12とする一方、前記他方の振動発生手段を前記第2
振動発生手段11とする。
【0023】また、請求項3の発明では、図2に示すよ
うに、請求項1または2の発明の構成に加えて、構成す
るシステムの所定の環境がどのような状態であるか検出
する環境状態検出手段45と、この環境状態検出手段45の
出力を受け、検出された所定の環境の状態が所定の状態
のときには、少なくとも前記第1振動発生手段12が作動
されるように制御する作動制御手段46とを設ける。
【0024】また、請求項4の発明では、図2に示すよ
うに、請求項1または2の発明の構成に加えて、構成す
るシステムの所定の環境がどのような状態であるか検出
する環境状態検出手段45と、この環境状態検出手段45の
出力を受け、検出された所定の環境の状態が所定の状態
のときには、少なくとも前記第2振動発生手段11が作動
されるように制御する作動制御手段46とを設ける。
【0025】上記「システム」とは、制御対象(車両に
おいて生じる振動)、制御装置(振動低減装置)などの
要素を系統的に組合わせてなる制御系をいう。上記制御
対象および制御装置以外に上記システムを構成する要素
には、振動源、振動の伝達径路となる車体などが含まれ
る。
【0026】上記「環境」とは、制御目標値、外乱の性
質や状況、システムを構成するパラメータの状況など、
制御対象の状態等のシステムの特性になんらかの影響を
与えるシステム内部およびシステム周囲の状況をいう。
所定の環境として具体的には、車両において生じる所定
の振動の状況、振動源の振動周期の状況、車両の運転状
況、演算手段の作動状況や演算状況、路面状況および気
象状況等を挙げることができる。
【0027】上記「第1振動発生手段」とは、低周波振
動を発生するのに適したものをいい必ずしも低周波振動
のみしか発生することができないものをいうのではな
い。
【0028】上記「第2振動発生手段」とは、高周波振
動を発生するのに適したものをいい必ずしも高周波振動
のみしか発生することができないものをいうのではな
い。
【0029】請求項3に記載した「所定の環境の状態が
所定の状態のとき」とは、第1振動発生手段12を作動さ
せることにより良好な振動低減効果が得られるような状
態に所定の環境の状態があるとき、または第1振動発生
手段12を制御する方の演算手段(第1振動発生手段12に
制御信号を出力する方の演算手段)により制御を行うこ
とにより良好な振動低減効果が得られるような状態に所
定の環境の状態があるときなどを意味する。
【0030】請求項4に記載した「所定の環境の状態が
所定の状態のとき」とは、第2振動発生手段11を作動さ
せることにより良好な振動低減効果が得られるような状
態に所定の環境の状態があるとき、または第2振動発生
手段11を制御する方の演算手段(第2振動発生手段11に
制御信号を出力する方の演算手段)により制御を行うこ
とにより良好な振動低減効果が得られるような状態に所
定の環境の状態があるときなどを意味する。
【0031】上記作動制御手段による第1または第2振
動発生手段12,11の作動の制御方法には、第1または第
2振動発生手段12,11の作動を直接NO/OFFしたり
する直接的な作動制御方法や、第1または第2演算手段
12,11を制御する方の演算手段の作動をON/OFFし
たり、そのゲインを変更したりすることにより、間接的
に第1または第2振動発生手段12,11の作動を制御する
方法等がある。
【0032】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、車両
の振動源により振動が生じると、その周期情報に基づく
リファレンス信号rがリファレンス信号発生手段18によ
り発生するとともに、車体の所定位置での振動が振動検
出手段10により検出される。上記リファレンス信号発生
手段18および振動検出手段10の各出力信号を受けた第1
演算手段28により、振動検出手段10で検出される振動が
低減されるように上記リファレンス信号rが加工されて
第1制御信号s1が生成される。この第1演算手段28の
第1制御信号s1は第1または第2振動発生手段12,11
の一方に出力される。
【0033】一方、上記振動検出手段10の出力信号は、
第2演算手段29にも入力され、この出力信号を受けた第
2演算手段29により、振動検出手段10で検出された振動
が低減されるように第2制御信号s2が生成される。こ
の第2演算手段29の第2制御信号s2は第1または第2
振動発生手段12,11の他方に出力される。
【0034】上記第1振動発生手段12は、上記第1また
は第2制御信号s1,s2の一方を受けて低周波振動を
発生し、この低周波振動と車両の振動源の振動のうちの
低周波数帯域の振動とが互いに打ち消し合い、このこと
で振動検出手段10により検出される車体所定位置での振
動のうちの低周波数帯域の振動が低減され、車両振動の
低減効果が得られる。
【0035】一方、上記第2振動発生手段11は、上記第
1または第2制御信号s1,s2の他方を受けて高周波
振動を発生し、この高周波振動と車両の所定位置での振
動とが互いに打ち消し合い、このことで振動検出手段10
により検出される振動のうち高周波数帯域の振動が低減
され、車両振動の低減効果が得られる。
【0036】このように、低周波域の振動を発生するの
に適した第1振動発生手段12と、高周波域の振動を発生
するのに適した第2振動発生手段11とを備えたことによ
り、制御対象とする振動が低周波域から高周波域まで広
い周波数帯域にわたって変化しても、効率よく良好に振
動低減を図ることが可能となる。
【0037】しかも、これら第1および第2振動発生手
段12,11を、制御対象とする振動の変化に対する追従性
に優れ制御の応答性は高いが、演算量が膨大となるので
多くの振動成分を対象とすることが困難な従来一般的な
フィードフォワード的制御方式の第1演算手段28のみで
制御するのではなく、この第1演算手段28と、制御の応
答性は低いが演算量が少なく多くの振動成分を制御対象
とできるフィードバック的制御方式の第2演算手段とを
併用して、これらを第1,第2振動発生手段12,11とに
各々対応させて制御するようにしているので、これら特
性の異なる第1,第2演算手段28,29と、第1,第2振
動発生手段12,11とをそれぞれの特性をいかして適宜組
み合わせることによって、制御対象とする振動の変化に
幅広く対応できる適応性の高い振動低減制御を行うこと
が可能となり、これによりシステムの環境の変化等によ
り制御対象とする振動が様々に変化する場合でも、それ
ぞれの場合に適応して良好に振動低減を行うことが可能
となる。
【0038】請求項2の発明では、第1演算手段28が生
成した第1制御信号s1は第1振動発生手段12に出力さ
れ、この第1振動発生手段12により低周波振動が発生
し、この低周波振動と車両の振動源の振動のうちの低周
波数帯域の振動とが互いに打ち消し合い、このことで振
動検出手段10により検出される車体所定位置での振動の
うちの低周波数帯域の振動が低減され、車両振動の低減
効果が得られる。
【0039】一方、第2演算手段29が生成した第2制御
信号s2は第2振動発生手段11に出力され、この第2振
動発生手段11により高周波振動が発生し、この高周波振
動と車両の所定位置での振動とが互いに打ち消し合い、
このことで振動検出手段10により検出される振動のうち
の高周波数帯域の振動が低減され、車両振動の低減効果
が得られる。
【0040】第1,第2演算手段28,29と、第1,第2
振動発生手段12,11とを、どのように対応させて組み合
わせるかは、制御対象の特性等に応じて適宜決定でき、
またこれらの対応関係を固定とすることも、可変とする
こともできる。システムの環境の変化に応じて、組み合
わせ方を変えることができるように構成すれば、環境の
変化に対してより柔軟に対応できるので好ましいともい
える。しかし、その場合コントローラ等の回路構成が複
雑になるなどの問題もある。
【0041】一般に車両の振動は、低周波域での振動が
支配的となるときには、低周波域の振動のうちでも特定
の振動成分が特に高い振動レベルを有していて、この特
定の振動成分を低減させることにより、十分な振動低減
効果を得られることが多く、一方、高周波域での振動が
支配的になるときには、高周波域の振動が全体的に高ま
り、高周波域の振動のうちの特定の振動成分を低減させ
ても十分な振動低減効果を得られないという特性を有し
ている。そこで、特定の振動成分を制御対象とするのに
適した第1演算手段28を低周波用の第1振動発生手段11
に対応させる一方、多くの振動成分を制御対象とするの
に適した第2演算手段29を高周波用の第2振動発生手段
12に対応させれば、これらの対応関係を固定化しても振
動低減の実効は損うことがないといえる。
【0042】このように、第1演算手段28を第1振動発
生手段12に、第2演算手段29を第2振動検出手段11にそ
れぞれ対応させることにより(このような対応のさせ方
は、一般的な車両の振動の特性に合致するので)、振動
低減の実効は損うことなく、これらの対応関係を固定し
て回路構成等の簡略化を図ることが可能となる。
【0043】請求項3の発明では、環境状態検出手段45
によりシステムの所定の環境がどのような状態であるか
が検出され、この環境状態検出手段45の出力信号を受け
た作動制御手段46により、上記所定の環境の状態が所定
の状態のときには少なくとも第1振動発生手段12が作動
されるように制御が行われる。
【0044】第1および第2振動発生手段12,11の作動
制御方法には、両振動発生手段12,11が常時作動される
ようにする方法、一方の振動発生手段12または11は常時
作動され、他方は一時的に追加して作動されるようにす
る方法、または両振動発生手段12,11が状況に応じて選
択的に作動されるようにする方法等、種々の方法が考え
られる。しかし、どのような作動制御方法をとるにせ
よ、第1振動発生手段12が作動された方がより効率よく
振動低減を図れる場合や、第1振動発生手段11を制御す
る演算手段28または29による振動低減制御を行った方が
その特性をいかしてより効率よく振動低減を図れる場合
などには、第1振動発生手段11が作動されるように制御
することが望ましい。一方、第1振動発生手段11が作動
されるように制御する方が望ましい状況のときに、第2
振動発生手段12が併せて作動されるように制御しても、
それによりさらに大きな振動低減効果が得られるとは限
らない。第2振動発生手段12が併せて作動されるように
制御すれば、その分多くの電力を消費することになるの
で、第2振動発生手段12が併せて作動されても効率よく
振動低減効果を増大さることができないとき等には、消
費電力の低減を図るために第2振動発生手段11は作動さ
れないように制御しても振動低減の実効は損うことがな
い。
【0045】このように、第1振動発生手段12が作動さ
れるように制御した方が効率よく振動低減が図れるよう
な所定の状態に所定の環境の状態があるときには、第1
振動発生手段12は作動されるようにする一方で、第2振
動発生手段12は必ずしも作動されるとは限らないように
することにより、振動低減の実効は損なうことなく電力
節約が図れ、これにより、より効率よく振動低減効果を
得ることが可能となる。
【0046】請求項4の発明では、環境状態検出手段45
によりシステムの所定の環境がどのような状態であるか
が検出され、この環境状態検出手段45の出力信号を受け
た作動制御手段46により、上記所定の環境の状態が所定
の状態のときには少なくとも第2振動発生手段11が作動
されるように制御が行われる。第2振動発生手段11が作
動された方がより効率よく振動低減を図れる場合や、第
2振動発生手段11を制御する演算手段28または29による
振動低減制御を行った方がその特性をいかしてより効率
よく振動低減を図れる場合などには、第2振動発生手段
11が作動されるように制御することが望ましい。一方、
第2振動発生手段11が作動されるように制御する方が望
ましい状況のときに、第1振動発生手段12が併せて作動
されるように制御しても、それによりさらに大きな振動
低減効果が得られるとは限らない。第1振動発生手段12
が併せて作動されるように制御すれば、その分多くの電
力を消費することになるので、第1振動発生手段12が併
せて作動されても効率よく振動低減効果を増大さること
ができないとき等には、低消費電力化を図るために第1
振動発生手段12は作動されないように制御しても振動低
減の実効は損うことがない。
【0047】このように、第2振動発生手段11が作動さ
れるように制御した方が効率よく振動低減が図れるよう
な所定の状態に所定の環境の状態があるときには、第2
振動発生手段11は作動されるようにする一方で、第1振
動発生手段12は必ずしも作動されるとは限らないように
することにより、振動低減の実効は損なうことなく電力
節約が図れ、これにより、より効率よく振動低減効果を
得ることが可能となる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例を図3以下の各図に基
づいて説明する。図3は本発明の第1実施例に係る車両
の振動低減装置の全体構成を示す概略図である。図2に
おいて、1は車両の車体で、その前部にはエンジンルー
ム2が、また前後中央部には車室3がそれぞれ設けられ
ている。4は上記エンジンルーム2内に配置された振動
源たるエンジンであって、該エンジン4はその下部を弾
性支持する加振マウント12,12,……を介して車体1に
弾性支持されている(なお、以下の説明では、簡単のた
め加振マウント12を1つとした場合について説明す
る)。この加振マウント12は第1振動発生手段を構成す
るもので、エンジン4および車体を直接加振して低周波
振動を発生する。図3中、5は車室3内前部に位置する
ステアリングホイール、6は前席、7は後席である。
【0049】上記車室3前端のインストルメントパネル
8内にはエンジン4の運転を制御するためのエンジンコ
ントロールユニット9が配置されている。また、車室3
内の所定位置には、複数のマイクロフォン10,10,……
および複数のスピーカ11,11,……がそれぞれ配置され
ている(なお、以下の説明では、簡単のためにマイクロ
フォン10およびスピーカ11をそれぞれ1つとした場合に
ついて説明する)。上記各マイクロフォン10は車室3内
の所定位置での振動を検出する振動検出手段を構成する
もので、例えば前席6のヘッドレスト部や後席7側方
等、乗員の体感上や聴感上重要な位置に配置される。一
方、各スピーカ11は車室3内に高周波振動を発生する第
2振動発生手段を構成するもので、車室3内の空気を加
振する。
【0050】上記各マイクロフォン10の出力信号はコン
トローラ16に入力されており、コントローラ16により、
後述するリファレンス信号rおよび上記マイクロフォン
10で検出される振動信号mに基づき上記各スピーカ11を
制御して車両の振動を低減するように構成されている。
【0051】上記コントローラ16の構成を図4に示す。
同図において、17はエンジン4での混合気の点火信号に
基づいてエンジン回転の周期を測定して周期信号tを出
力するエンジン回転周期測定回路、18は該周期測定回路
17にて測定されたエンジン回転の周期に基づいてエンジ
ン4の振動に関連するリファレンス信号rを発生するリ
ファレンス信号発生器である。また、19は上記各マイク
ロフォン10からの振動信号を設定ゲインで増幅する増幅
器、20は該増幅器19で増幅された振動信号の低周波成分
を濾波するローパスフィルタ、21は該ローパスフィルタ
20で濾波されたアナログ値の振動信号をデジタル値の信
号mに変換するA/D変換器である。22は上記エンジン
回転周期測定回路17からの周期信号t、リファレンス信
号発生器18からのリファレンス信号rおよびA/D変換
器21からの振動信号mが入力される制御演算部で、この
制御演算部22は、各マイクロフォン10により検出される
振動を低減させるように上記加振マウント12を駆動制御
する第1制御信号s1(マウント信号)、および上記ス
ピーカ11を駆動制御する第2制御信号s2(スピーカ信
号)を生成する。
【0052】また、23a および23b は上記制御演算部22
にて生成される第1および第2制御信号s1,s2をそ
れぞれデジタル値からアナログ値に変換するD/A変換
器、24a および24b は該D/A変換器23a ,23b からの
各制御信号の低周波成分をそれぞれ濾波して補間するロ
ーパスフィルタ、25a ,25b は該ローパスフィルタ24a
,24b で補間された各制御信号をそれぞれ設定ゲイン
で増幅する増幅器であって、該増幅器25a ,25b で増幅
された各制御信号は加振マウント12およびスピーカ11に
出力される。
【0053】さらに、26は上記エンジンコントロールユ
ニット9での所定信号に基づいてアクセル開度aを測定
するアクセル開度測定回路、27は同様に車速bを測定す
る車速測定回路であり、これら測定回路26,27の各々の
出力信号は制御演算部22に入力されている。
【0054】上記制御演算部22の内部構成を図5に示
す。図5において、28は第1演算部、29は第2演算部
で、43はマイクロフォン10からの振動信号mの低周波成
分m1を濾波して第1演算部28に出力するローパスフィ
ルタ、44はマイクロフォン10からの振動信号mの高周波
成分m2を濾波して第2演算部29に出力するハイパスフ
ィルタである。上記第1演算部28には上記リファレンス
信号発生器18からのリファレンス信号rおよびマイクロ
フォン10からの振動信号mの低周波成分m1が入力され
ており、ここで、マイクロフォン10により検出される振
動のうち低周波数帯域にあるものが低減されるようにリ
ファレンス信号rを加工して第1制御信号s1を生成
し、その第1制御信号s1を上記スピーカ11に出力する
ようになっている。そして、第1演算部28は、その第1
制御信号s1の生成のアルゴリズムとしてLMSの適応
アルゴリズムが用いられる。
【0055】具体的には、図6に示すように、第1演算
部28はデジタルフィルタ31を有するる。このフィルタ31
は、制御演算部22から第1制御信号s1を出力した後に
該第1制御信号s1によりスピーカ11が駆動制御されて
車両振動に変化があり、この車両振動の変化がマイクロ
フォン10で検出されてその検出信号が制御演算部22に入
力されるまでの伝達関数Hをモデル化したものである。
32は収束係数乗算回路で、該乗算回路32は所定の収束係
数αに基づいて各マイクロフォン10からの信号m1に収
束係数を掛算する。33は上記デジタルフィルタ31の伝達
関数Hの出力と収束係数乗算回路32の出力とを乗算する
乗算器、34は適応フィルタで、上記乗算器33の出力毎に
その出力値に基づいてフィルタ係数を逐次更新し、その
更新後のフィルタ係数に基づいてリファレンス信号rを
加工し、エンジン振動とは逆位相で同振幅の第1制御信
号s1を各スピーカ11に出力する。
【0056】一方、上記第2演算部29には、上記マイク
ロフォン10からの振動信号mの高周波成分m2およびエ
ンジン回転周期測定回路17からの周期信号tが入力され
ており、ここでスピーカ11の振動エネルギーを設定する
とともに、この振動エネルギーを上記マイクロフォン10
の出力信号m2、および該マイクロフォン10とスピーカ
11との間の伝達特性に基づいて補正し、第2制御信号s
2としてスピーカ11に出力するようになっている。
【0057】具体的には、第2演算部29は、図7に示す
ように、エンジン回転周期測定回路17からの周期信号t
に基づいてスピーカ11への出力信号のベクトル周期を調
整する回路36と、マイクロフォン10とスピーカ11との間
の伝達特性であるインパルス応答の行列を時系列に変換
する回路37と、この回路37からのインパルス反応の時系
列とマイクロフォン10から出力される振動信号m2とで
上記ベクトルを逐次最適化する回路38と、この回路38か
らのベクトル信号を時系列に変換して第2制御信号s2
(スピーカ信号)を作る回路39とを有している。
【0058】再び、図5において、41は上記エンジン回
転周期測定回路17からの周期信号t、アクセル開度測定
回路26からのアクセル開度信号aおよび車速測定回路27
からの車速信号bに基づいて車両(エンジン4)の運転
状態を判定する加減速/定速判定器、42は、該判定器41
からの出力信号に基づき第1および第2演算部28,29の
作動を制御することにより、加振マウント12およびスピ
ーカ11の作動を制御する作動制御器、SW1は、該作動
制御器42からの出力信号を基に上記マイクロフォン10か
らの低周波信号m1が第1演算部28に入力される振動径
路と、マイクロフォン10からの高周波信号m2が第2演
算部29に入力される信号経路とを択一的に切り換える第
1スイッチ回路、SW2は、同様に作動制御器42からの
出力信号を基に第1演算部28からの第1制御信号s1が
加振マウント12に出力される信号径路と、第2演算部29
からの第2制御信号s2がスピーカ11に出力される信号
経路とを択一的に切り換える第2スイッチ回路で、これ
らスイッチ回路SW1,SW2は、上記作動制御器42に
より制御され、端子「1」−「1」がON接続に切り換
えられた状態でマイクロフォン10および加振マウント12
を第1演算部28に、また端子「2」−「2」がON接続
に切り換えられた状態でマイクロフォン10およびスピー
カ11を第2演算部29にそれぞれ接続する。すなわち、こ
の第1実施例では、第1演算部28を加振マウント12に、
第2演算部29をスピーカ11にそれぞれ対応させて制御を
行うようにしている。
【0059】この第1実施例では、上記エンジン回転周
期測定回路17、アクセル開度測定回路26、車速測定回路
27および加減速/定速判定器41により環境状態検出手段
45が構成され、この環境状態検出手段45は、車両の運転
状況がどのような状態であるかを、詳しくは車両が加減
速状態にあるか定速走行状態にあるかを検出するように
構成されている。また、上記作動制御器42並びに第1お
よび第2スイッチ回路SW1,SW2により、選択手段
46が構成されている。
【0060】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち加振マウント12およびスピーカ
11の作動制御のため第1および第2演算部28,29の選択
切換えの動作について図8のフローチャートに基づいて
説明する。まず、スタート後のステップS1において、
エンジン回転周期測定回路17からの周期信号tにより時
刻nでのエンジン回転周期t(n)を入力し、ステップ
S2では、加減速/定速判定器41において今回の時刻n
でのエンジン回転周期t(n)と前回の時刻(n−1)
でのエンジン回転周期t(n−1)との差の絶対値によ
りエンジン回転周期の変化値Δt=|t(n)−t(n
−1)|を算出する。次のステップS3で上記変化値Δ
tとその閾値Ltとの大小を比較し、この判定がLt≦
ΔtのNOのときには、エンジン4の回転変化が大きく
てエンジン4つまり車両は加速状態または減速状態にあ
ると判定し、ステップS4カウンタkを初期値Kに設定
し、ステップS5で第1および第2スイッチ回路SW
1,SW2をいずれも端子「1」−「1」がON接続に
「2」−「2」がOFF接続となるように切り換えてマ
イクロフォン10および加振マウント12を第1演算部28に
接続し、次いでステップS6で第1演算部28をON作動
状態にし、かつ第2演算部29をOFF作動状態にした
後、終了する。
【0061】一方、上記ステップS3でLt>ΔtのY
ESと判定されると、ステップS7で上記カウンタkが
k=0になったかどうかを判定し、この判定がk>0の
YESのときには、ステップS8でカウンタkから
「1」を引いてk=k−1とした後、上記ステップS5
に進む。
【0062】以上の繰返しにより、上記ステップS7の
判定がk=0のNOになると、ステップS9で第1およ
び第2スイッチ回路SW1,SW2の双方を端子「1」
−「1」がOFF接続に「2」−「2」がON接続とな
るように切り換えてマイクロフォン10およびスピーカ11
を第2演算部29に接続し、次いでステップS10で第1演
算部28をOFF作動状態にし、かつ第2演算部29をON
作動状態にした後、終了する。
【0063】よって、この第1実施例では、上記制御動
作のステップS1〜S3により、エンジン回転周期の変
化値Δtに基づいて車両の運転状態としての加減速の有
無を検出するようにした環境状態検出手段45の動作が示
されている。
【0064】また、ステップS4〜S10により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車両の運転
状態に応じて上記第1または第2演算部28,29を択一的
に選択して作動させ、車両の加速時または減速時が検出
されたときには第1演算部28をON作動させて加振マウ
ント12を駆動させる一方、車両の定常走行時には第2演
算部29をON作動させてスピーカ11を駆動させ、車両の
定常走行状態が検出されたとき、検出時からカウンタk
がk=K(初期値)からk=0になるまでの所定時間T
が経過した後に、第1演算部28から第2演算部29の作動
すなわち加振マウント12の駆動からスピーカ11の駆動に
切り換えるようにした作動制御手段46の動作が示されて
いる。
【0065】次に、この第1実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、そのエンジン回転周
期測定回路17でエンジン回転周期が測定される。また、
リファレンス信号発生器18でエンジン振動に対応するリ
ファレンス信号rが発生し、上記エンジン回転周期の信
号tおよびリファレンス信号rは制御演算部22に出力さ
れる。さらに、車室3内のマイクロフォン10により車室
3の所定位置での振動が検出され、このマイクロフォン
10の出力信号mも制御演算部22に入力される。制御演算
部22では、マイクロフォン10により検出される振動を低
減させるための制御信号sが生成され、この制御信号s
は加振マウント12またはスピーカ11に出力されて該加振
マウント12またはスピーカ11により振動が発生され、こ
の加振マウント12またはスピーカ11からの振動と上記エ
ンジン振動とが互いに打ち消し合い、このことで車室3
内の所定位置でマイクロフォン10により検出される振動
が低減される。詳しくは、第1演算部28にはマイクロフ
ォン10の出力信号mの低周波成分m1が入力され、第1
演算部28はマイクロフォン10が検出した振動のうちの低
周波数帯域にある特定の振動成分が低減するように第1
制御信号s1を生成して加振マウント12に出力し、加振
マウント12は該第1制御信号s1により駆動制御され
て、低周波振動を発生する。一方、第2演算部29にはマ
イクロフォン10の出力信号mの高周波成分m2が入力さ
れ、第2演算部29はマイクロフォンが検出した振動のう
ちの高周波数帯域にある振動成分が全体的に低減するよ
うに第2制御信号s2を生成してスピーカ11に出力し、
スピーカ11は該第2制御信号s2により駆動制御され
て、高周波振動を発生する。
【0066】そして、上記コントローラ16では、図9に
示す如く、加減速/定速判定器41においてエンジン回転
周期測定回路17にて測定されたエンジン回転周期の変化
値Δtが閾値Ltと比較されて車両の運転状態が検出さ
れ、この車両の運転状態に応じて制御演算部22の第1ま
たは第2演算部28,29が択一的に選択されて作動し、こ
の作動により加振マウント12またはスピーカ11が駆動さ
れる。すなわち、エンジン回転周期の変化値Δtが閾値
Lt以上で車両が加速状態または減速状態にあると判定
されると、第1および第2スイッチ回路SW1,SW2
がいずれも端子「1」−「1」がON接続に「2」−
「2」がOFF接続となるよう切り換えられてマイクロ
フォン10および加振マウント12に対し第1演算部28が信
号の授受可能に接続される。同時に、第1演算部28がO
N作動状態になり、第2演算部29はOFF作動状態に切
り換えられる。この状態では、上記リファレンス信号発
生器18およびマイクロフォン10の出力信号mのうちの低
周波成分m1を受けた第1演算部28により、マイクロフ
ォン10で検出される振動のうちの低周波数帯域にある特
定の振動成分が低減されるようにリファレンス信号rが
加工されて第1制御信号s1が生成される。この第1演
算部28からの第1制御信号s1は加振マウント12に出力
されて該加振マウント12により低周波振動が発生し、こ
の振動とエンジン振動とが互いに打ち消し合い、このこ
とでマイクロフォン10により検出される車室3内の所定
位置での振動が低減され、車両振動の低減効果が得られ
る。
【0067】このように車両が加減速状態にあって車室
3内の振動が非定常状態にあると判断され、制御の応答
性が重要となるときには、マイクロフォン10が検出した
振動のうち低周波数帯域にある特定の振動成分を制御対
象として、制御の応答性の高い第1演算部28が作動し
て、この第1演算部28により加振マウント12が駆動され
るので、車室3内の低周波数帯域にある特定の振動成分
の振動状態の変化に伴う制御の応答性を確保しつつ、良
好に振動低減を図ることができる。
【0068】これに対し、エンジン回転周期の変化値Δ
tが閾値Ltよりも小さく、車両が定速走行状態にある
と検出されると、その検出時からカウンタkが初期値K
から「0」になって所定時間Tが経過するまでは、第1
演算部28がそのままON作動するが、所定時間Tの経過
後、第1および第2スイッチ回路SW1,SW2がいず
れも端子「1」−「1」がOFF接続に「2」−「2」
がON接続となるように切り換えられて、マイクロフォ
ン10およびスピーカ11に対し第2演算部29が信号の授受
可能に接続され、また、第2演算部29がON作動状態に
なり、第1演算部28はOFF作動状態に切り換えられ
る。この状態では、第2演算部29のON作動によりスピ
ーカ11への振動エネルギーが設定され、このスピーカ11
への第2制御信号s2はマイクロフォン10の出力信号m
のうちの高周波成分m2、および該マイクロフォン10と
スピーカ11との間の伝達特性に基づいて補正されてスピ
ーカ11に出力される。このときにはスピーカ11により高
周波振動が発生し、このスピーカ11による振動とエンジ
ン振動とが互いに打ち消し合い、車室3内の振動が低減
される。
【0069】このように車両が定常走行状態にあって車
室3内の振動が定常状態にあると判断され、制御の応答
性が重視されないときは、マイクロフォン10が検出した
振動のうち高周波数帯域にある振動成分の全体を制御対
象として第2演算部29がON作動して、この第2演算部
29によりスピーカ11が駆動されるため、演算量の増加を
招くことなく車室3内の振動のうちの高周波数帯域にあ
る振動成分の全体を良好に低減することができる。
【0070】したがって、この第1実施例では、システ
ムの所定の環境の状態としての車両の運転状態に応じて
第1または第2演算部28,29をそれぞれの特長をいかし
ながら使い分けてON作動させ、加振マウント12とスピ
ーカ11との作動制御を行うので、車両の運転状態に応じ
て良好な振動低減を行うことができる。
【0071】また、車両の定常走行状態が検出されたと
き、その検出時から所定時間Tが経過した後に第1演算
部28から第2演算部29へのON作動切換えが行われるた
め、車両の定常走行状態への移行後に暫くの間はエンジ
ン回転の変化による運転状態の変動が残っていても、そ
れが安定するまで第1演算部28がON作動することとな
り、その間の制御の応答性を維持して制御性能を向上で
きる。
【0072】次に、本発明の第2実施例を説明する。図
10は本発明の第2実施例に係る車両の振動低減装置の全
体構成を示す概略図である。なお、この第2実施例にお
いて前記第1実施例と同様の構成を有するものにおいて
は、前記第1実施例を示す各図を、この第2実施例を示
すものとみなして参照することとし、重複する図示は省
略する。この第2実施例の特有の構成を示す各図におい
ても前記第1実施例と同様の要素を示すものについて
は、前記第1実施例を示す各図における符番と同一の符
番を付し、その詳細な説明は省略する。このことは、以
下の他の実施例についても同様とする。
【0073】図10は前記第1実施例の図3に対応する図
で、異なるのは、前記第1実施例にない要素として複数
のGセンサ10a ……が車室3のフロアパネルに取り付け
られている点にある(なお、以下の説明では、簡単のた
めGセンサ10a を1つとした場合について説明する)。
このGセンサ10a はマイクロフォン10と共に振動検出手
段を構成するものであり、マイクロフォン10が車室3内
の空気の振動を検出するのに対し、Gセンサ10a は車室
3のフロアパネルの振動を検出する。
【0074】図10に示すコントローラの構成を図11に示
す。図11は前記第1実施例の第4図に対応する図で、同
図において、19a は上記Gセンサ10a からの振動信号を
設定ゲインで増幅する増幅器、43a は増幅器19a で増幅
された振動信号の所定の低周波成分を濾波するローパス
フィルタ、21a はローパスフィルタ43a が濾波されたア
ナログ値の低周波検出信号をデジタル値の信号m1に変
換するA/D変換器である。また、19b は上記マイクロ
フォン10からの振動信号を設定ゲインで増幅する増幅
器、44a は増幅器19b で増幅された振動信号の所定の高
周波成分を濾波するハイパスフィルタ、21b はハイパス
フィルタ44a で濾波されたアナログ値の高周波検出信号
をデジタル値の信号m2に変換するA/D変換器であ
る。なお、その他の構成は前記第1実施例と同様であ
り、説明は省略する。
【0075】上記低周波検出信号m1および高周波検出
信号m2はそれぞれ制御演算部22に入力される。この制
御演算部22の構成を図12に示す。図12は前記第1実施例
の図5に対応する図で、同図において、第1および第2
演算部28,29並びに加減速/低速判定器41は、前記第1
実施例と同様の構成を有する。52は加減速/低速判定器
41からの出力信号に基づき第1および第2演算部28,29
の作動を制御することにより、加振マウント12およびス
ピーカ11の作動を制御する作動制御器である。SW1
は、Gセンサ10a からの低周波検出信号m1が第1演算
部28に入力される信号径路と、マイクロフォン10からの
高周波検出信号m2が第2演算部29に入力される信号径
路とを択一的に切り換える第1スイッチ回路、SW2
は、第1演算部28からの第1制御信号s1が加振マウン
ト12に出力される信号径路と、第2演算部29からの第2
制御信号s2がスピーカ11に出力される信号径路とを択
一的に切り換える第2スイッチ回路である。これらスイ
ッチ回路sw1,sw2は、上記作動制御器52により制
御され、端子「1」−「1」がON接続に切り換えられ
た状態でGセンサ10a および加振マウント12を第1演算
部28に、また端子「2」−「2」がON接続に切り換え
られた状態でマイクロフォンおよびスピーカ11を第2演
算部29にそれぞれ接続する。すなわち、この第2実施例
では、第1演算部28をGセンサ10a および加振マウント
12に、第2演算部29をマイクロフォン10およびスピーカ
11にそれぞれ対応させて制御を行うようにしている。
【0076】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち加振マウント12およびスピーカ
11の作動制御のための第1および第2演算部28,29の選
択切換えの動作について、前述した図8のフローチャー
トに基づいて説明する。まず、スタート後のステップS
1において、エンジン回転周期測定回路17からの周期信
号tにより時刻nでのエンジン回転周期t(n)を入力
し、ステップS2では、加減速/定速判定器41において
今回の時刻nでのエンジン回転周期t(n)と前回の時
刻(n−1)でのエンジン回転周期t(n−1)との差
の絶対値によりエンシン回転周期の変化値Δt=|t
(n)−t(n−1)|を算出する。次のステップS3
で上記変化値Δtとその閾値Ltとの大小を比較し、こ
の判定がLt≦ΔtのNOのときには、エンジン4の回
転変化が大きくてエンジン4つまり車両は加速状態また
は減速状態にあると判定し、ステップS4カウンタkを
初期値Kに設定し、ステップS5で第1および第2スイ
ッチ回路SW1,SW2をいずれも端子「1」−「1」
がON接続に「2」−「2」がOFF接続となるように
切り換えてGセンサ10a および加振マウント12を第1演
算部28に接続し、次いでステップS6で第1演算部28を
ON作動状態にし、かつ第2演算部29をOFF作動状態
にした後、終了する。
【0077】一方、上記ステップS3でLt>ΔtのY
ESと判定されると、ステップS7で上記カウンタkが
k=0になったかどうかを判定し、この判定がk>0の
YESのときには、ステップS8でカウンタkから
「1」を引いてk=k−1とした後、上記ステップS5
に進む。
【0078】以上の繰返しにより、上記ステップS7の
判定がk=0のNOになると、ステップS9で第1およ
び第2スイッチ回路SW1,SW2の双方を端子「1」
−「1」がOFF接続に「2」−「2」がON接続とな
るように切り換えてマイクロフォン10およびスピーカ11
を第2演算部29に接続し、次いでステップS10で第1演
算部28をOFF作動状態にし、かつ第2演算部29をON
作動状態にした後、終了する。
【0079】よって、この第2実施例では、前記第1実
施例と同様上記制御動作のステップS1〜S3により、
エンジン回転周期の変化値Δtに基づいて車両の運転状
態としての加減速の有無を検出するようにした環境状態
検出手段45の動作が示されている。
【0080】また、ステップS4〜S10により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車両の運転
状態に応じて上記第1または第2演算部28,29を択一的
に選択して作動させ、車両の加速時または減速時が検出
されたときには第1演算部28をON作動させて加振マウ
ント12を駆動させる一方、車両の定常走行時には第2演
算部29をON作動させてスピーカ11を駆動させ、車両の
定常走行状態が検出されたとき、検出時からカウンタk
がk=K(初期値)からk=0になるまでの所定時間T
が経過した後に、第1演算部28から第2演算部29の作動
すなわち加振マウント12の駆動からスピーカ11の駆動に
切り換えるようにした作動制御手段46の動作が示されて
いる。
【0081】次に、この第2実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、そのエンジン回転周
期測定回路17でエンジン回転周期が測定される。また、
リファレンス信号発生器18でエンジン振動に対応するリ
ファレンス信号rが発生し、上記エンジン回転周期の信
号tおよびリファレンス信号rは制御演算部22に出力さ
れる。さらに、フロアパネルのGセンサ12および車室3
内のマイクロフォン10により車室3の所定位置での振動
が検出され、このGセンサ12およびマイクロフォン10の
出力信号m1,m2も制御演算部22に入力される。制御
演算部22では、Gセンサ12またはマイクロフォン10によ
り検出される振動を低減させるための制御信号sが生成
され、この制御信号sは加振マウント12またはスピーカ
11に出力されて該加振マウント12またはスピーカ11
により振動が発生され、この加振マウント12またはスピ
ーカ11からの振動と上記エンジン振動とが互いに打ち消
し合い、このことで車室3内の所定位置でマイクロフォ
ン10により検出される振動が低減される。詳しくは、第
1演算部28にはGセンサ10a の出力信号の低周波成分m
1が入力され、第1演算部28はGセンサ10a 検出した振
動のうちの低周波数帯域にある特定の振動成分が低減す
るように第1制御信号s1を生成して加振マウント12に
出力し、加振マウント12は該第1制御信号s1により駆
動制御されて、低周波振動を発生する。一方、第2演算
部29にはマイクロフォン10の出力信号の高周波成分m2
が入力され、第2演算部29はマイクロフォンが検出した
振動のうちの高周波数帯域にある振動成分が全体的に低
減するように第2制御信号s2を生成してスピーカ11に
出力し、スピーカ11は該第2制御信号s2により駆動制
御されて、高周波振動を発生する。
【0082】そして、上記コントローラ16では、前述の
図9に示す如く、加減速/定速判定器41においてエンジ
ン回転周期測定回路17にて測定されたエンジン回転周期
の変化値Δtが閾値Ltと比較されて車両の運転状態が
検出され、この車両の運転状態に応じて制御演算部22の
第1または第2演算部28,29が択一的に選択されて作動
し、この作動により加振マウント12またはスピーカ11が
駆動される。すなわち、エンジン回転周期の変化値Δt
が閾値Lt以上で車両が加速状態または減速状態にある
と判定されると、第1および第2スイッチ回路SW1,
SW2がいずれも端子「1」−「1」がON接続に
「2」−「2」がOFF接続となるよう切り換えられて
Gセンサ10a および加振マウント12に対し第1演算部28
が信号の授受可能に接続される。同時に、第1演算部28
がON作動状態になり、第2演算部29はOFF作動状態
に切り換えられる。この状態では、上記リファレンス信
号発生器18およびGセンサ10a の出力信号のうちの低周
波成分m1を受けた第1演算部28により、Gセンサ10a
で検出される振動のうちの低周波数帯域にある特定の振
動成分が低減されるようにリファレンス信号rが加工さ
れて第1制御信号s1が生成される。この第1演算部28
からの第1制御信号s1は加振マウント12に出力されて
該加振マウント12により低周波振動が発生し、この振動
とエンジン振動とが互いに打ち消し合い、このことでマ
イクロフォン10により検出される車室3内の所定位置で
の振動が低減され、車両振動の低減効果が得られる。
【0083】このように車両が加減速状態にあって車室
3内の振動が非定常状態にあると判断され、制御の応答
性が重要となるときには、Gセンサ10a が検出した振動
のうち低周波数帯域にある特定の振動成分を制御対象と
して、制御の応答性の高い第1演算部28が作動して、こ
の第1演算部28により加振マウント12が駆動されるの
で、車室3内の低周波数帯域にある特定の振動成分の振
動状態の変化に伴う制御の応答性を確保しつつ、良好に
振動低減を図ることができる。
【0084】これに対し、エンジン回転周期の変化値Δ
tが閾値Ltよりも小さく、車両が定速走行状態にある
と検出されると、その検出時からカウンタkが初期値K
から「0」になって所定時間Tが経過するまでは、第1
演算部28がそのままON作動するが、所定時間Tの経過
後、第1および第2スイッチ回路SW1,SW2がいず
れも端子「1」−「1」がOFF接続に「2」−「2」
がON接続となるように切り換えられて、マイクロフォ
ン10およびスピーカ11に対し第2演算部29が信号の授受
可能に接続され、また、第2演算部29がON作動状態に
なり、第1演算部28はOFF作動状態に切り換えられ
る。この状態では、第2演算部29のON作動によりスピ
ーカ11への振動エネルギーが設定され、このスピーカ11
への第2制御信号s2はマイクロフォン10の出力信号の
うちの高周波成分m2、および該マイクロフォン10とス
ピーカ11との間の伝達特性に基づいて補正されてスピー
カ11に出力される。このときにはスピーカ11により高周
波振動が発生し、この、スピーカ11による振動とエンジ
ン振動とが互いに打ち消し合い、車室3内の振動が低減
される。
【0085】このように車両が定常走行状態にあって車
室3内の振動が定常状態にあると判断され、制御の応答
性が重視されないときは、マイクロフォン10が検出した
振動のうち高周波数帯域にある振動成分の全体を制御対
象として第2演算部29がON作動して、この第2演算部
29によりスピーカ11が駆動されるため、演算量の増加を
招くことなく車室3内の振動のうちの高周波数帯域にあ
る振動成分の全体を良好に低減することができる。
【0086】したがって、この第2実施例では、システ
ムの所定の環境の状態としての車両の運転状態に応じて
第1または第2演算部28,29をそれぞれの特長をいかし
ながら使い分けてON作動させ、加振マウント12とスピ
ーカ11との作動制御を行うので、車両の運転状態に応じ
て良好な振動低減を行うことができる。
【0087】また、車両の定常走行状態が検出されたと
き、その検出時から所定時間Tが経過した後に第1演算
部28から第2演算部29へのON作動切換えが行われるた
め、車両の定常走行状態への移行後に暫くの間はエンジ
ン回転の変化による運転状態の変動が残っていても、そ
れが安定するまで第1演算部28がON作動することとな
り、その間の制御の応答性を維持して制御性能を向上で
きる。
【0088】次に、本発明の第3実施例を説明する。図
13は本発明の第3実施例に係る車両の振動低減装置の全
体構成を示す概略図である。
【0089】図13は前記第1実施例の図3または前記第
2実施例の図10に対応する図で、異なるのは、前記第1
実施例では振動検出手段としてマイクロフォン10のみが
設けられ、また前記第2実施例では振動検出手段として
Gセンサ10a およびマイクロフォン10が設けられていた
のに対し、この第3実施例では振動検出手段としてGセ
ンサ10a のみが設けられている点にある。また、前記第
1および第2実施例ではエンジンコントロールユニット
9での所定信号に基づき車両の運転状態を検出し、この
検出に基づき加振マウント12およびスピーカ11の作動制
御を行っていたのに対し、この第3実施例ではGセンサ
10a の検出した車室3のフロア振動の状態に基づき加振
マウント12およびスピーカ11の作動制御を行う。
【0090】コントローラ16の構成を図14に示す。図14
は前記第1実施例の図4に対応する図で、スピーカ10が
Gセンサ10a に代わっている以外に異なるのは、フロア
振動測定回路50を備えている点にある。このフロア振動
測定回路50はGセンサ10a からの出力信号に基づき車室
3のフロア振動を測定するもので、その出力信号Pは制
御演算部22に入力されている。
【0091】上記制御演算部22の内部構成を図15に示
す。同図において51は上記フロア振動測定回路50からの
出力信号Pに基づき車室3のフロアの振動状態を測定す
る振動状態判定器であり、52はこの振動状態判定器51か
らの出力信号に基づき第1および第2演算部28,29の作
動を制御することにより、加振マウント12およびスピー
カ11の作動を制御する作動制御器である。また、43はG
センサ10a からの振動信号mの低周波成分m1を濾波し
て第1演算部28に出力するローパスフィルタ、44はGセ
ンサ10a からの振動信号mの高周波成分m2を濾波して
第2演算部29に出力するハイパスフィルタである。さら
にSW1は、該作動制御器52からの出力信号を基に上記
Gセンサ10a からの低周波信号m1が第1演算部28に入
力される振動径路と、Gセンサ10a からの高周波信号m
2が第2演算部29に入力される信号経路とを択一的に切
り換える第1スイッチ回路、SW2は、同様に作動制御
器52からの出力信号を基に第1演算部28からの第1制御
信号s1が加振マウント12に出力される信号径路と、第
2演算部29からの第2制御信号s2がスピーカ11に出力
される信号経路とを択一的に切り換える第2スイッチ回
路で、これらスイッチ回路SW1,SW2は、上記作動
制御器52により制御され、端子「1」−「1」がON接
続に切り換えられた状態でGセンサ10a および加振マウ
ント12を第1演算部28に、また端子「2」−「2」がO
N接続に切り換えられた状態でGセンサ10a およびスピ
ーカ11を第2演算部29にそれぞれ接続する。すなわち、
この第3実施例では、前記第1実施例と同様第1演算部
28を加振マウント12に、第2演算部29をスピーカ11にそ
れぞれ対応させて制御を行うようにしている。
【0092】この第3実施例では、上記Gセンサ10a 、
フロア振動測定回路50および振動状態判定器51により環
境状態検出手段45が構成され、この環境状態検出手段45
は、車室3フロアの振動がどのような状態であるかを検
出るするように構成されている。また、上作動制御器52
および第1,第2スイッチ回路SW1,SW2により作
動制御手段46が構成され、この作動制御手段46は上記環
境状態検出手段45が検出した車室3フロアの振動状態に
基づき、上記第1または第2演算部28,29を択一的に選
択して作動させることにより、加振マウント12およびス
ピーカ11の作動を制御するように構成されている。
【0093】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち加振マウント12およびスピーカ
11の作動制御のための第1および第2演算部28,29の選
択切換の動作について、図16のフローチャートに基づい
て説明する。まず、スタート後のステップU1におい
て、Gセンサ10a からのフロア加速度信号pにより時刻
nでの車室フロアの加速度p(n)を入力し、ステップ
U2では、振動状態判定器51において今回の時刻nでの
フロア加速度p(n)とその閾値Lpとの差Δp=Lp
−p(n)を算出する。次のステップU3で上記差Δp
の正負を判定し、この判定がΔp<0のNOのときに
は、車室3フロアの振動が増大する状態ではないと判定
し、ステップU4でカウンタkを初期値Kに設定し、ス
テップU5で第1および第2スイッチ回路SW1,SW
2をいずれも端子「1」−「1」がON接続に「2」−
「2」がOFF接続となるように切り換えてマイクロフ
ォン10および加振マウント12を第1演算部28に接続し、
次いでステップU6で第1演算部28をON作動状態に
し、かつ第2演算部29をOFF作動状態にした後、終了
する。
【0094】一方、上記ステップU3でΔp≧0のYE
Sのときには、車室フロアの振動が増大する状態である
と判定し、次のステップU7で上記カウンタkがk=0
になったか否かを判定する。この判定がk>0のYES
のときには、ステップU8でカウンタkから「1」を引
いてk=k−1とした後ステップU5に進む。
【0095】以上の繰返しにより、上記ステップU7の
判定がk=0のNOになると、ステップU9で第1およ
び第2スイッチ回路SW1,SW2の双方を端子「1」
−「1」がOFF接続に「2」−「2」がON接続とな
るように切り換えてマイクロフォン10およびスピーカ11
を第2演算部29に接続し、次いでステップU10で第1演
算部28をOFF作動状態にし、かつ第2演算部29をON
作動状態にした後、終了する。
【0096】よって、この第3実施例では、上記制御動
作のステップU1〜U3により、車室フロアの振動pの
大きさに基づいて車室3フロアの振動がどのような状態
であるかを検出するようにした環境状態検出手段45の動
作が示されている。
【0097】また、ステップU4〜U10により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車室フロア
の振動状態すなわち車両において生じる所定の振動の状
態に応じて上記第1または第2演算部28,29を択一的に
選択して作動させ、車室3フロアの振動の状態が増大す
る状態でないと検出されたときには第1演算部28をON
作動させて加振マウント12を駆動させる一方、車室3フ
ロアの振動の状態が増大する状態であると検出されたと
きにはこの第2演算部29をON作動させてスピーカ11を
駆動させ、この検出時からカウンタkがk=K(初期
値)からk=0になるまでの所定時間Tが経過した後
に、第1演算部28から第2演算部29の作動すなわち加振
マウント12の駆動からスピーカ11の駆動に切り換えるよ
うにした作動制御手段46の動作が示されている。
【0098】次に、この第3実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、そのエンジン回転周
期測定回路17でエンジン回転周期が測定される。また、
リファレンス信号発生器18でエンジン振動に対応するリ
ファレンス信号rが発生し、上記エンジン回転周期の信
号tおよびリファレンス信号rは制御演算部22に出力さ
れる。さらに、車室3内のGセンサ10a により車室3の
所定位置での振動が検出され、このGセンサ10a の出力
信号mも制御演算部22に入力される。制御演算部22で
は、Gセンサ10aにより検出される振動を低減させるた
めの制御信号sが生成され、この制御信号sは加振マウ
ント12またはスピーカ11に出力されて該加振マウント12
またはスピーカ11により振動が発生され、この加振マウ
ント12またはスピーカ11からの振動と上記エンジン振動
とが互いに打ち消し合い、このことで車室3内の所定位
置でGセンサ10a により検出される振動が低減される。
詳しくは、第1演算部28にはGセンサ10a の出力信号m
の低周波成分m1が入力され、第1演算部28はGセンサ
10a が検出した振動のうちの低周波数帯域にある特定の
振動成分が低減するように第1制御信号s1を生成して
加振マウント12に出力し、加振マウント12は該第1制御
信号s1により駆動制御されて、低周波振動を発生す
る。一方、第2演算部29にはGセンサ10a の出力信号m
の高周波成分m2が入力され、第2演算部29はマイクロ
フォンが検出した振動のうちの高周波数帯域にある振動
成分が全体的に低減するように第2制御信号s2を生成
してスピーカ11に出力し、スピーカ11は該第2制御信号
s2により駆動制御されて、高周波振動を発生する。
【0099】そして、上記コントローラ16では、図17に
示す如く、振動状態判定器51においてGセンサ10a にて
検出された車室3フロアの加速度pが閾値Lpと比較さ
れてフロアの振動状態が検出され、このフロアの振動状
態に応じて制御演算部22の第1または第2演算部28,29
が択一的に選択されて作動し、この作動により加振マウ
ント12またはスピーカ11が駆動される。すなわち、車室
3フロアの加速度pが閾値Lp以下で車室3フロアの振
動が増大する状態でないと判定されると、第1および第
2スイッチ回路SW1,SW2がいずれも端子「1」−
「1」がON接続に「2」−「2」がOFF接続となる
ように切り換えられてGセンサ10a および加振マウント
12に対し第1演算部28が信号の授受可能に接続される。
同時に、第1演算部28がON作動状態になり、第2演算
部29はOFF作動状態に切り換えられる。この状態で
は、上記リファレンス信号発生器18およびGセンサ10a
の出力信号mのうちの低周波成分m1を受けた第1演算
部28により、Gセンサ10a で検出される振動のうちの低
周波数帯域にある特定の振動成分が低減されるようにリ
ファレンス信号rが加工されて第1制御信号s1が生成
される。この第1演算部28からの第1制御信号s1は加
振マウント12に出力されて該加振マウント12により振動
が発生し、この振動とエンジン振動とが互いに打ち消し
合い、このことでGセンサ10a により検出される車室3
フロアの所定位置での振動が低減され、車両振動の低減
効果が得られる。
【0100】このように車室3フロアの振動が増大する
状態にないため、制御対象とする車室3内の振動が略全
周波数帯域で増大する状態でないと判断されるとき、す
なわち、低周波数帯域にある特定の振動成分が特に大き
な振動レベルを有している状態のときには、Gセンサ10
a が検出した振動のうち低周波数帯域にあるこの特定の
振動成分を制御対象として、第1演算部28が作動して、
この第1演算部28により加振マウント12が駆動されるの
で、この特に大きな振動レベルを有する低周波数帯域の
特定の振動成分の振動状態の変化に伴う制御の応答性を
確保しつつ、これを低減することにより、良好な振動低
減を行うことができる。
【0101】これに対し、車室フロアの加速度pが閾値
Lpよりも大きく、車室3フロアの振動が増大する状態
にあるため、制御対象とする車室3内の振動が略全周波
数帯域で増大する状態であると判断されるときには、そ
の検出時からカウンタkが初期値Kから「0」になって
所定時間Tが経過するまでは、第1演算部28がそのまま
ON作動するが、所定時間Tの経過後、第1および第2
スイッチ回路SW1,SW2がいずれも端子「1」−
「1」がOFF接続に「2」−「2」がON接続となる
ように切り換えられて、Gセンサ10a およびスピーカ11
に対し第2演算部29が信号の授受可能に接続され、ま
た、第2演算部29がON作動状態になり、第1演算部28
はOFF作動状態に切り換えられる。この状態では、第
2演算部29のON作動によりスピーカ11への振動エネル
ギーが設定され、このスピーカ11への第2制御信号s2
はGセンサ10a の出力信号mのうちの高周波成分m2、
および該Gセンサ10a とスピーカ11との間の伝達特性に
基づいて補正されてスピーカ11に出力される。このとき
にはスピーカ11により高周波振動が発生し、この、スピ
ーカ11による振動とエンジン振動とが互いに打ち消し合
い、車室3内の振動が低減される。
【0102】このように車室3フロアの振動が増大する
状態であって、車室3内の振動が高周波数帯域全域で増
大するため、第1演算部28の作動による加振マウント12
の駆動のみでは良好な振動低減が行えないと判断される
ときは、Gセンサ10a が検出した振動のうち高周波数帯
域にある振動成分の全体を制御対象として、第2演算部
29がON作動し、この第2演算部29によりスピーカ11が
駆動されるため、演算量の増加を招くことなく車室3内
の振動のうちの高周波数帯域にある振動成分の全体を良
好に低減することができ、これにより良好な振動低減を
図ることが可能となる。
【0103】したがって、この第3実施例では、車室3
フロアの振動の状態に応じて第1または第2演算部28,
29をそれぞれの特長をいかして使い分けてON作動さ
せ、加振マウント12とスピーカ11との作動制御を行うの
で、車室3フロアの振動状態に応じて良好な振動低減を
行うことができる。
【0104】このように、この3実施例では、Gセンサ
10a により車室フロアの加速度を検出し、このフロア加
速度pと閾値Lpとの大小を比較することによって、車
室3内の振動が略全周波数帯域で増大する状態にあるか
否かを判定しているといえるが、FFT(Fast Fourier
Transfarm)アナライザを用いて車室3内の振動を周波数
帯別に分析して検出することにより、車室3内の振動が
略全周波数帯域で増大する状態にあるか否かをより直接
的に検出するようにしてもよい。
【0105】また、車室3内の振動が略全周波数帯域で
増大する状態にあるか否かの判定は車両において搭載さ
れる電子機器等からの様々な情報に基づき間接的に行う
ことが可能である。以下、車両に搭載される種々の電子
機器等からの情報により、車室3内の振動が略全周波数
帯域で増大する状態か否かを間接的に検出するようにし
たものを、本発明の第4実施例として説明する。図18は
本発明の第4実施例に係る車両の振動低減装置のコント
ローラの構成を示すブロック図、および図19は図18に示
す制御演算部の構成を示すブロック図である。
【0106】この第4実施例では、図18に示すように車
両に搭載された所定の電子機器60から所定の情報を情報
信号iとして検出し、この情報信号iに基づき、車室3
内の振動が略全周波数帯域で増大する状態か否かを間接
的に検出する振動状態検出判定器61が、図19に示すよう
に設けられている。また、通常は第1および第2スイッ
チ回路を端子「1」−「1」がON接続に「2」−
「2」がOFF接続となるように接続すると共に、第1
演算部28をON作動状態に第2演算部29をOFF作動状
態にすることにより第1演算部28を択一的に選択して加
振マウント12を駆動させ、振動状態判定器61が室内の振
動が略全周波数帯域で増大する状態を検出したときに
は、第1および第2スイッチ回路を端子「1」−「1」
がOFF接続に「2」−「2」がON接続となるように
接続すると共に、第1演算部28をOFF作動状態に第2
演算部29をON作動状態にすることにより第2演算部29
を択一的に選択して、スピーカ11を駆動させる作動制御
器62が設けられている。すなわち、この第4実施例で
は、上記振動状態検出判定器61により、車載された所定
の電子機器60からの所定の情報に基づき車室3内の振動
が略全周波数帯域で増大する状態か否かを間接的に検出
する環境状態検出手段45が構成され、上記作動制御器62
および第1,第2スイッチ回路SW1,SW2により、
上記第1および第2演算部28,29を択一的に選択するこ
とにより加振マウント12およびスピーカ11の作動制御を
行う作動制御手段46が構成されている。なお、この第4
実施例におけるその他の構成は、前記第3実施例と同様
である。
【0107】具体的に上記電子機器61としてどのような
ものが考えられるか、およびその電子機器61からどのよ
うな情報を検出した際に、車室3内の振動が略全周波数
帯域で増大する状態であると判定するのかについて、以
下列挙する。
【0108】(1) 電子機器61がエンジンの電子制御を行
うECU(Electronic Control Unit)である場合 (i) ECUより、リーンバーン制御(理想空燃比よりリ
ーン領域での燃料噴射制御)作動時であるという情報を
検出したとき (ii)ECUより、EGR制御(Exhaust Gas Recirculati
on Control)作動時であるという情報を検出しとき (iii) ECUより、電子点火進角制御(ESA Contro
l ;ESA:Electronic Spark Advance)作動時である
という情報を検出したとき (iv)ECUより、エンジン暖機後、空燃比フィードバッ
ク制御作動していない状態で、燃料噴射がされたという
情報を検出したとき (v) ECUより、エンジン暖機後、空燃比フィードバッ
ク制御が作動していない状態で、燃料噴射がカットされ
たという情報を検出したとき (vi)ECUより、パージ制御(フューエルタンク上部の
燃料ガスを吸着した後、 エンジンに再度入れる制
御)作動時であるという情報を検出したとき (vii) ECUより、アイドル回転速度制御(ISC;Id
le Speed Control)作 動時であることを検出したと
き (viii)ECUより、エンジンが高回転時であるという情
報を検出したとき (ix)ECUより、アクセルが全開であるという情報を検
出したとき (x) ECUより、エンジンブレーキの作動時であるとい
う情報を検出したとき (xi)ECUより、エンジンが高
負荷状態であることを検出したとき (xii) ECUより、ターボチャージャー作動時であるこ
とを検出したとき (xiii)ECUより、スーパーチャージャー作動時である
ことを検出したとき (xiv) ECUより、車両が走行時であることを検出した
とき。
【0109】(2) 電子機器61が電子式自動変速制御を行
うEATCU(Electronic AutomaticTransnission Cont
rol Unit)である場合 (i) EATCUより、EAT変速制御作動時であるとい
う情報を検出したとき (ii)EATCUより、EATロックアップ制御作動時で
あることを検出したとき (iii) EATCUより、EATスリップ制御(ロックア
ップの際、クラッチフェーシングとトルコンカバーとの
間のスリップの制御)作動時であることを検出したとき (iv)EATCUより、シフトレバーがパーキングレンジ
またはニュートラルレンジにあることを検出したとき。
【0110】(3) 電子機器61が、サスペンションの油圧
を電子制御するACSCU(Active Suspention Control
Unit )である場合 (i) ACSCUより、前輪が路面の突起を乗り越えたこ
とを検出したとき (ii)ACSCUより、車両が悪路を走行中であることを
検出したとき (iii) ACSCUより、車両がテンパータイヤを装着し
ていることを検出したとき。
【0111】(4) 電子機器61が、車両の4輪操舵を制御
する4WSCU(Four Wheel SteeringControl Unit)で
ある場合 (i) 4WSCUより、同相転舵時であることを検出した
とき。
【0112】(5) 電子機器61が、車両のブレーキを電子
制御するABSCU(Anti-Lock BrakeSystem Control U
nit)である場合 (i) ABSCUより、ABS作動時であることを検出し
たとき。
【0113】(6) 電子機器61が、車両の駆動輪の駆動力
を電子制御するTRCU(Traction Control Unit)であ
る場合 (i) TRCUより、トラクションコントロール作動時で
あることを検出したとき。
【0114】(7) 電子機器61が、車室内の空調を制御す
るACCU(Air Condition Control Unit)である場合 (i) ACCUより、空調装置が作動していることを検出
したとき (ii)ACCUより、エンジン作動時、エンジン冷却水の
水温が低いことを検出したとき。
【0115】(8) 電子機器61が、人工衛星からの信号に
より車両に道路情報を提供するナビゲーションシステム
ユニット(NSU)である場合 (i) NSUより、車両が未舗装路(悪路)走行時やトン
ネル内走行時あるいは高地走行時であることを検出した
とき。
【0116】(9) 電子機器61が、道路と車両間との通信
により車両に道路情報を提供する路車間通信ユニットで
ある場合 (i) 路車間通信ユニットより、車両が未舗装道路(悪
路)走行時やトンネル内走行時あるいは高地走行時であ
ることを検出したとき。
【0117】(10)電子機器61が車外の明るさ等により車
両のランプの点灯、消灯等を制御するランプコントロー
ルユニットである場合 (i) ランプコントロールユニットより、車両のランプが
点灯し、車両がトンネル内走行時であることを検出した
とき。
【0118】(11)電子機器61が、車両のAV機器のコン
トロールユニット(AVCU)である場合 (i) AVCUより、AV機器のボリュームが大きいこと
を検出したとき。
【0119】(12)電子機器61が、車両の駆動方式の切換
制御等を行うTSCU(Torque SplitControl Unit )の
場合 (i) TSCUより、4輪駆動方式が選択されたことを検
出したとき。
【0120】以上、電子機器61の具体例、およびその電
子機器61からどのような情報を検出したときに、車室3
内の振動が略全周波数帯域で増大する状態であると判定
するかについて列挙したが、上記列挙したものに限定さ
れるものではない。例えば、ACSCU、TRCUまた
はABSCUによっても車両が悪路走行時であるという
情報を検出することができるなど、上記以外の検出方法
も考えられる。
【0121】この第4実施例によれば、電子機器61から
の所定の情報信号iに基づき、車室3内の振動が略全周
波数帯域で増大する状態にないと判定されると、第1お
よび第2スイッチ回路SW1,SW2がいずれも端子
「1」−「1」がON接続に「2」−「2」がOFF接
続となるように切り換えられてGセンサ10a および加振
マウント12に対し第1演算部28が信号の授受可能に接続
される。同時に、第1演算部28がON作動状態になり、
第2演算部29はOFF作動状態に切り換えられる。この
状態では、上記リファレンス信号発生器18およびGセン
サ10a の出力信号mのうちの低周波成分m1を受けた第
1演算部28により、Gセンサ10a で検出される振動のう
ちの低周波数帯域にある特定の振動成分が低減されるよ
うにリファレンス信号rが加工されて第1制御信号s1
が生成される。この第1演算部28からの第1制御信号s
1は加振マウント12に出力されて該加振マウント12によ
り振動が発生し、この振動とエンジン振動とが互いに打
ち消し合い、このことでGセンサ10a により検出される
車室3フロアの所定位置での振動が低減され、車両振動
の低減効果が得られる。
【0122】このように車室3フロアの振動が増大する
状態にないため、制御対象とする車室3内の振動が略全
周波数帯域で増大する状態でないと判断されるとき、す
なわち、低周波数帯域にある特定の振動成分が特に大き
な振動レベルを有している状態のときには、Gセンサ10
a が検出した振動のうち低周波数帯域にあるこの特定の
振動成分を制御対象として第1演算部28が作動して、こ
の第1演算部28により加振マウント12が駆動されるの
で、この特に大きな振動レベルを有する低周波数帯域の
特定の振動成分の振動状態の変化に伴う制御の応答性を
確保しつつ、これを低減することにより良好な振動低減
を行うことができる。
【0123】これに対し、車室3内の振動が略全周波数
帯域で増大する状態にあると検出されると、その検出時
からカウンタkが初期値Kから「0」になって所定時間
Tが経過するまでは第1演算部28がそのままON作動す
るが、所定時間Tの経過後、第1および第2スイッチ回
路SW1,SW2がいずれも端子「1」−「1」がOF
F接続に「2」−「2」がON接続となるように切り換
えられて、Gセンサ10a およびスピーカ11に対し第2演
算部29が信号の授受可能に接続され、また、第2演算部
29がON作動状態になり、第1演算部28はOFF作動状
態に切り換えられる。この状態では、第2演算部29のO
N作動によりスピーカ11への振動エネルギーが設定さ
れ、このスピーカ11への第2制御信号s2はGセンサ10
a の出力信号mのうちの高周波成分m2、および該Gセ
ンサ10a とスピーカ11との間の伝達特性に基づいて補正
されてスピーカ11に出力される。このときにはスピーカ
11により高周波振動が発生し、この、スピーカ11による
振動とエンジン振動とが互いに打ち消し合い、車室3内
の振動が低減される。
【0124】このように車室3フロアの振動が増大する
状態であって、車室3内の振動が高周波数帯域全域で増
大するため、第1演算部28の作動による加振マウント12
の駆動のみでは良好な振動低減が行えないと判断される
ときは、Gセンサ10a が検出した振動のうち高周波数帯
域にある振動成分の全体を制御対象として、第2演算部
29がON作動し、この第2演算部29によりスピーカ11が
駆動されるため、演算量の増加を招くことなく車室3内
の振動のうちの高周波数帯域にある振動成分の全体を良
好に低減することができ、これにより良好な振動低減を
図ることが可能となる。
【0125】したがって、この第4実施例では、電子機
器61からの情報に基づき間接的に検出した車室3内の振
動状態に応じて第1または第2演算部28,29をそれぞれ
の特長をいかして使い分けてON作動させ、加振マウン
ト12とスピーカ11との作動制御を行うので、車室3フロ
アの振動状態に応じて良好な振動低減を行うことができ
る。
【0126】次に、車室3内の振動の状態が略全周波数
帯域で増大する状態であるか否かを、演算手段の演算状
況がどのような状態であるかによって間接的に検出する
ようにした本発明の第5実施例を説明する。図20は本発
明の第5実施例に係る車両の振動低減装置のコントロー
ラの構成を示すブロック図、および図21は図20に示す制
御演算部の構成を示すブロック図である。
【0127】図20に示すように、この第5実施例に係る
車両の振動低減装置のコントローラ16は、図4に示す前
記第1実施例のコントローラ16と比較して、アクセル開
度測定回路26および車速測定回路27を備えていない点お
よび図21に示す制御演算部22の内部構成が異なり、他
の構成は略同じである。図21に示すように制御演算部
22は、マイクロフォン10から制御演算部22に入力される
振動信号mの状態を、第1および第2演算部28,29の演
算状態を示すものとして検出する演算状態判定器71と、
この演算状態判定器71からの信号に基づき第1および第
2演算部28,29の演算状態(振動信号mの状態)に応じ
て、第1および第2演算部28,29の作動状態のON/O
FF切換え、並びに第1および第2スイッチ回路SW
1,SW2の接続切換えを行うことにより、加振マウン
ト12およびスピーカ11の作動制御を行う作動制御器72と
を備えている。なお、第1および第2演算部28,29並び
に第1および第2スイッチ回路SW1,SW2の構成は
前記第1実施例と同様である。
【0128】この第5実施例では、上記マイクロフォン
10および演算状態検出器71により環境状態検出手段45が
構成され、この環境状態検出手段45は、振動信号mの状
態を検出することにより、第1および第2演算手段28,
29の演算状況がどのような状態であるかを検出するよう
に、詳しくは振動信号mの状態を検出することにより、
車室3内の振動が略全周波数帯域で増大する状態である
か否かかを、間接的に検出するように構成されている。
また、上記作動制御器72並びに第1および第2スイッチ
回路SW1,SW2により、作動制御手段46が構成され
ている。
【0129】ここで、上記コントローラ16において行わ
れる信号処理動作のうち加振マウント12およびカピーカ
11の作動制御のため第1および第2演算部28,29の選択
切換の動作について、図22のフローチャートに基づいて
説明する。まず、スタート後のステップV1において、
マイクロフォン10からの振動信号mにより時刻nでの振
動信号m(n)を算定し、ステップV2では、今回の時
刻nでの振動信号m(n)と前回の時刻(n−1)での
振動信号m(n−1)との差の絶対値とにより振動信号
mの変化値Δm=|m(n)−m(n−1)|を算出す
る。次のステップV3で上記変化値Δmとその閾値Lm
との大小を比較し、この判定がΔm≦LmのNOのとき
には、車室3内の振動が略全周波数帯域で増大する状態
ではないと判定し、ステップV4でカウンタkを初期値
Kに設定し、ステップV5で第1および第2スイッチ回
路SW1,SW2をいずれも端子「1」−「1」がON
接続に「2」−「2」がOFF接続となるように切り換
えてマイクロフォン10および加振マウント12を第1演算
部28に接続し、次いでステップV6で第1演算部28をO
N作動状態にし、かつ第2演算部29をOFF作動状態に
した後、終了する。
【0130】一方、上記ステップV3でLm>ΔmのY
ESのときには、車室3内の振動が略全周波数帯域で増
大する状態であると判定し、次のステップV7で上記カ
ウンタkがk=0になったか否かを判定し、この判定が
k>0のYESのときには、ステップV8でカウンタk
から「1」を引いてk=k−1とした後ステップV5に
進む。
【0131】以上の繰返しにより、上記ステップV7の
判定がk=0のNOになると、ステップV9で第1およ
び第2スイッチ回路SW1,SW2の双方を端子「1」
−「1」がOFF接続に「2」−「2」がON接続とな
るうに切り換えてマイクロフォン10およびスピーカ11を
第2演算部29に接続し、次いでステップV10で第1演算
部28をOFF作動状態にし、かつ第2演算部29をON作
動状態にした後、終了する。
【0132】よって、この第5実施例では、上記制御動
作のステップT1〜T3により、振動信号mの変化値Δ
mに基づいて車室3内の振動が略全周波数帯域で増大す
る状態か否かを間接的に検出するようにした環境状態検
出手段45の動作が示されている。
【0133】また、ステップT4〜T10により、上記環
境状態検出手段45の出力を受け、検出された車室3内の
振動状態に応じて上記第1または第2演算部28,29を択
一的に選択して作動させ、通常は第1演算部28をON作
動させて加振マウント12を駆動させる一方、車室3内の
振動が略全周波数帯域で増大する状態が検出されたとき
には第2演算部29をON作動させてスピーカ11を駆動さ
せ、その検出時からカウンタkがk=K(初期値)から
k=0になるまでの所定時間Tが経過した後に、第1演
算部28から第2演算部29の作動すなわち加振マウント12
の駆動からスピース11の駆動に切り換えるようにした作
動制御手段46の動作が示されている。
【0134】次に、この第5実施例の作用について説明
する。車両の運転中は基本的に、エンジン4の点火信号
がコントローラ16に入力されると、そのエンジン回転周
期測定回路17でエンジン回転周期が測定される。また、
リファレンス信号発生器18でエンジン振動に対応するリ
ファレンス信号rが発生し、上記エンジン回転周期の信
号tおよびリファレンス信号rは制御演算部22に出力さ
れる。さらに、車室3内のマイクロフォン10により車室
3の所定位置での振動が検出され、このマイクロフォン
10の出力信号mも制御演算部22に入力される。制御演算
部22では、マイクロフォン10により検出される振動を低
減させるための制御信号sが生成され、この制御信号s
は加振マウント12またはスピーカ11に出力されて該加振
マウント12またはスピーカ11により振動が発生され、こ
の加振マウント12またはスピーカ11からの振動と上記エ
ンジン振動とが互いに打ち消し合い、このことで車室3
内の所定位置でマイクロフォン10により検出される振動
が低減される。詳しくは、第1演算部28にはマイクロフ
ォン10の出力信号mの低周波成分m1が入力され、第1
演算部28はマイクロフォン10が検出した振動のうちの低
周波数帯域にある特定の振動成分が低減するように第1
制御信号s1を生成して加振マウント12に出力し、加振
マウント12は該第1制御信号s1により駆動制御され
て、低周波振動を発生する。一方、第2演算部29にはマ
イクロフォン10の出力信号mの高周波成分m2が入力さ
れ、第2演算部29はマイクロフォンが検出した振動のう
ちの高周波数帯域にある振動成分が全体的に低減するよ
うに第2制御信号s2を生成してスピーカ11に出力し、
スピーカ11は該第2制御信号s2により駆動制御され
て、高周波振動を発生する。
【0135】そして、上記コントローラ16では、図23に
示す如く、演算状態検出器71において振動信号mの変化
値Δmが閾値Lmと比較されて振動信号mの状態が検出
され、この振動信号mの状態に応じて制御演算部22の第
1または第2演算部28,29が択一的に選択されて作動
し、この作動により加振マウントまたはスピーカ11が駆
動される。すなわち、振動信号mの変化値Δmが閾値L
m以下で車室3内の振動が略全周波数帯域で増大する状
態にないと判定されると、第1および第2スイッチ回路
SW1,SW2がいずれも端子「1」−「1」がOFF
接続に「2」−「2」がON接続になるように切り換え
られてマイクロフォン10およびスピーカ11に対し第1演
算部28が信号の授受可能に接続される。同時に、第1演
算部28がON作動状態になり、第2演算部29はOFF作
動状態に切り換えられる。この状態では、上記リファレ
ンス信号発生器18およびマイクロフォン10の出力信号m
のうちの低周波成分m1を受けた第1演算部28により、
マイクロフォン10で検出される振動のうちの低周波数帯
域にある特定の振動成分が低減されるようにリファレン
ス信号rが加工されて第1制御信号s1が生成される。
この第1演算部28からの第1制御信号s1は加振マウン
ト12に出力されて該加振マウント12により低周波振動が
発生し、この振動とエンジン振動とが互いに打ち消し合
い、このことでマイクロフォン10により検出される車室
3内の所定位置での振動が低減され、車両振動の低減効
果が得られる。
【0136】このように車室3内の振動が略全周波数帯
域で増大する状態にないとき、すなわち低周波数帯域に
ある特定の振動成分が特に大きな振動レベルを有してい
る状態のときには、マイクロフォン10が検出した振動の
うち低周波数帯域にあるこの特定の振動成分を制御対象
として、第1演算部28が作動して、この第1演算部28に
より加振マウント12が駆動されるので、この特に大きな
振動レベルを有している特定の成分を低減することによ
り、良好な振動低減効果を確保することができる。
【0137】これに対し、振動信号mの変化値Δmが閾
値Lmよりも大きく、車室3内の振動が略全周波数帯域
で増大する状態にあると検出されると、その検出時から
カウンタkが初期値Kから「0」になって所定時間Tが
経過するまでは、第1演算部28がそのままON作動する
が、所定時間Tの経過後、第1および第2スイッチ回路
SW1,SW2がいずれも端子「1」−「1」がOFF
接続に「2」−「2」がON接続となるように切り換え
られて、マイクロフォン10およびスピーカ11に対し第2
演算部29が信号の授受可能に接続され、また、第2演算
部29がON作動状態になり、第1演算部28はOFF作動
状態に切り換えられる。この状態では、第2演算部29の
ON作動によりスピーカ11への振動エネルギーが設定さ
れ、このスピーカ11への第2制御信号s2はマイクロフ
ォン10の出力信号mのうちの高周波成分m2、および該
マイクロフォン10とスピーカ11との間の伝達特性に基づ
いて補正されてスピーカ11に出力される。このときには
スピーカ11により高周波振動が発生し、このスピーカ11
による振動とエンジン振動とが互いに打ち消し合い、車
室3内の振動が低減される。
【0138】このように車室3フロアの振動が増大する
状態であって、車室3内の振動が高周波数帯域全域で増
大するため、第1演算部28の作動による加振マウント12
の駆動のみでは良好な振動低減が行えないと判断される
ときは、マイクロフォン10が検出した振動のうち高周波
数帯域にある振動成分の全体を制御対象として、第2演
算部29がON作動し、この第2演算部29によりスピーカ
11が駆動されるため、演算量の増加を招くことなく車室
3内の振動のうちの高周波数帯域にある振動成分の全体
を良好に低減することができ、これにより良好な振動低
減を図ることが可能となる。
【0139】したがって、この第5実施例では、システ
ムの所定の環境としての振動信号mの状況から、車室3
内の振動状態を間接的に検出し、この車室3内の振動状
態に応じて第1または第2演算部28,29をそれぞれの特
長をしかして使い分けてON作動させ、加振マウント12
とスピーカ11との作動制御を行うので、車室3内の振動
状態に応じて良好な振動低減を行うことができる。
【0140】以上、本発明による車両の振動低減装置の
実施例を説明したが、本発明による車両の振動低減装置
は、かかる実施例の具体的態様に限定されるものではな
く、種々の変更を行うことができる。
【0141】例えば、前記各実施例では、第1振動発生
手段としての加振マウント12を第1演算部28に、第2振
動発生手段としてのスピーカ11を第2演算部29にそれぞ
れ対応させているが、前記第1および第2実施例におい
ては、加振マウント12を第2演算部29に、スピーカ11を
第1演算部28にそれぞれ対応させてもよい。
【0142】また、前記各実施例では、加振マウント12
およびスピーカ11の作動制御方法として、システムの所
定の環境状態に応じて加振マウント12とスピーカ11との
いずれか一方が単独で駆動するよに、加振マウント12と
対応させた第1演算部28とスピーカ11に対応させた第2
演算部29とを択一的に選択して作動させる方法をとって
いるが、加振マウント12とスピーカ11とのいずれか一方
を常時駆動させ、システムの所定の環境に応じて他方も
追加して駆動させるように、加振マウント12およびスピ
ーカ11と対応させた第1および第2演算部28,29のいず
れか一方を常時作動させ、所定の環境が所定の状態のと
きには、他方も併せて作動させるようにする作動制御方
法としてもよい。例えば加振マウント12に第1演算部28
を、スピーカ11に第2演算部29をそれぞれ対応させて、
常時加振マウント12が駆動するように常時第1演算部28
を作動させ、所定の環境が所定の状態とのときのみスピ
ーカ11も併せて駆動するように第2演算部29を併せて作
動させるように構成することが可能であり、そうした場
合には、前記各実施例において第2演算部29を選択して
作動させるときの環境状態を、そのまま第1,第2演算
部28,29を共に作動させるときの環境状態として考えて
よい。
【0143】また、前記各実施例では、第2演算部28
を、本出願人が特願平4-32217 号等で提案している図7
に示すような構成を有するフィードバック制御方式のも
のとしているが、この第2演算部29を最近のH制御
理論により設計した最適フィードバック制御方式のもの
に代えることも可能である。この場合、第2演算部29の
構成は図24に示すものとなる。図24は図7に対応するも
ので、Gセンサ10a またはマイクロフォン10、スピーカ
11および第2演算部29により最適フィードバック制御系
が構成されるように、H制御理論に基づき制御器K
が設計される。このような構成の第2演算部29を用いて
も、前述したのと同様の振動低減制御を行うことが可能
となる。
【0144】さらに、前記各実施例では、車両の振動源
をエンジンとしているが、振動の周期情報によりリファ
レンス信号が得られるならば、その他の振動、例えば排
気振動を制御対象とすることができる。
【0145】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による車両
の振動低減装置によれば、低周波振動を発生するのに適
した加振マウント等の第1振動発生手段と、高周波振動
を発生するの適したスピーカ等の第2振動発生手段と、
振動検出手段により検出される振動が低減されるように
リファレンス信号発生手段からのリファレンス信号を加
工して第1制御信号を生成し、上記第1または第2振動
発生手段の一方に出力する第1演算手段と、上記振動検
出手段の出力信号に基づき第2制御信号を生成し、上記
第1または第2振動発生手段の他方に出力する第2演算
手段とを備えたことにより、これら特性の異なる第1,
第2演算手段および第1,第2振動発生手段を、それぞ
れの特性をいかして適宜組み合わせることによって、制
御対象とする振動の状態の変化に幅広く対応することの
できる適応性の高い振動低減制御を行うことが可能とな
るので、システムの環境の変化等により制御対象とする
振動が様々に変化する場合でも、それぞれの場合に適応
して良好に振動低減を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の構成を示すブロック図
【図2】本発明の他の構成を示すブロック図
【図3】本発明の第1実施例に係る車両の振動低減装置
の全体構成を示す概略図
【図4】図3に示すコントローラの構成を示すブロック
【図5】図4に示す制御演算部の構成を示すブロック図
【図6】LMSの適応アルゴリズムを用いた図5に示す
第1演算部の構成を示すブロック図
【図7】図5に示す第2演算部の構成を示すブロック図
【図8】図5に示すスイッチ回路の切換えのための動作
を示すフローチャート図
【図9】エンジン回転の変化に応じた演算手段の切換状
態を示すタイムチャート図
【図10】本発明の第2実施例に係る車両の振動低減装
置の全体構成を示す概略図
【図11】図10に示すコントローラの構成を示すブロッ
ク図
【図12】図11に示す制御演算部の構成を示すブロック
【図13】本発明の第3実施例に係る車両の振動低減装
置の全体構成を示す概略図
【図14】図13に示すコントローラの構成を示すブロッ
ク図
【図15】図14に示す制御演算部の構成を示すブロック
【図16】図12に示すスイッチ回路の切換えのための動
作を示すフローチャート図
【図17】フロア振動の変化に応じた演算手段の切換状
態を示すタイムチャート図
【図18】本発明の第4実施例に係る車両の振動低減装
置のコントローラの構成を示すブロック図
【図19】図18に示す制御演算部の構成を示すブロック
【図20】本発明の第5実施例に係る車両の振動低減装
置のコントローラの構成を示すブロック図
【図21】図20に示す制御演算部の構成を示すブロック
【図22】図21に示すスイッチ回路の切換えのための動
作を示すフローチャート図
【図23】マイクロフォンの振動検出信号の変化に応じ
た演算手段の切換状態を示すタイムチャート図
【図24】本発明の各実施例に係る車両の振動低減装置
の第2演算部の他の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 車体 3 車室 4 エンジン(振動源) 10 マイクロフォン(振動検出手段) 10a Gセンサ(振動検出手段) 11 スピーカ(第2振動発生手段) 12 加振マウント(第1振動発生手段) 16 コントローラ 17 エンジン回転周期測定回路 18 リファレンス信号発生器(リファレンス信号発生
手段) 22 制御演算部 28 第1演算部(第1演算手段) 29 第2演算部(第2演算手段) 31 デジタルフィルタ 34 適応フィルタ 41 加減速/定速判定器 42,52,62,72 作動制御器 45 環境状態検出手段 46 作動制御手段 51,61 振動状態判定器 71 演算状態判定器 SW1,SW2 スイッチ回路 r リファレンス信号 s,s1,s2 制御信号
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03H 21/00 7037−5J (72)発明者 仙井 浩史 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 原田 真悟 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 塚原 裕 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両において生じる振動を制御対象とす
    るシステムを構成する車両の振動低減装置であって、 前記車両において周期性振動を生じる振動源の周期情報
    に基づくリファレンス信号を発生するリファレンス信号
    発生手段と、 車体の所定位置での振動を検出する振動検出手段と、 低周波振動を発生する第1振動発生手段と、 高周波振動を発生する第2振動発生手段と、 前記リファレンス信号発生手段および振動検出手段の各
    出力信号を受け、該振動検出手段により検出される振動
    が低減されるように前記リファレンス信号発生手段から
    のリファレンス信号を加工して第1制御信号を生成し、
    前記第1または第2振動発生手段の一方の振動発生手段
    に出力する第1演算手段と、 前記振動検出手段の出力信号を受け、該出力信号に基づ
    き該振動検出手段により検出される振動が低減されるよ
    うに第2制御信号を生成し、前記第1または第2振動発
    生手段の他方の振動発生手段に出力する第2演算手段
    と、を備えてなることを特徴とする車両の振動低減装
    置。
  2. 【請求項2】 前記一方の振動発生手段が前記第1振動
    発生手段であり、前記他方の振動発生手段が前記第2振
    動発生手段であることを特徴とする車両の振動低減装
    置。
  3. 【請求項3】 前記システムの所定の環境がどのような
    状態であるかを検出する環境状態検出手段と、該環境状
    態検出手段の出力を受け、検出された前記所定の環境の
    状態が所定の状態のときには少なくとも前記第1振動発
    生手段が作動されるように制御する作動制御手段とを備
    えていることを特徴とする請求項1または2記載の車両
    の振動低減装置。
  4. 【請求項4】 前記システムの所定の環境がどのような
    状態であるかを検出する環境状態検出手段と、該環境状
    態検出手段の出力を受け、検出された前記所定の環境の
    状態が所定の状態のときには少なくとも前記第2振動発
    生手段が作動されるように制御する作動制御手段とを備
    えていることを特徴とする請求項1または2記載の車両
    の振動低減装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06274182A (ja) * 1993-03-24 1994-09-30 Mazda Motor Corp 車両の振動低減装置
KR20160064504A (ko) * 2014-11-28 2016-06-08 한국과학기술원 이중 어레이 작동기에 의한 국부 진동 제어 장치 및 방법

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