JP3517758B2 - 埋立地内の余水の吐出方法 - Google Patents

埋立地内の余水の吐出方法

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JP3517758B2
JP3517758B2 JP13096994A JP13096994A JP3517758B2 JP 3517758 B2 JP3517758 B2 JP 3517758B2 JP 13096994 A JP13096994 A JP 13096994A JP 13096994 A JP13096994 A JP 13096994A JP 3517758 B2 JP3517758 B2 JP 3517758B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、埋立地内の余水の吐出
方法およびそのための埋立工事用の構造物に関する。詳
細には、本発明は、埋立工事が進行して埋立地内の余水
の水深が浅くなった場合にも、埋立地での気象状況に応
じて、汚濁が少なく清浄度合の高い余水を埋立地外に吐
出すことのできる埋立地内の余水の吐出方法、およびそ
のための埋立工事用の構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】港湾、河川、湖沼、池、ダムなどでは水
によって運ばれてきた土砂、小石、汚泥、有機物などが
水底に徐々に蓄積して水深が浅くなり、船舶の航行の妨
げになったり、水害などの災害の発生を招いたり、自然
環境の破壊などを生ずる。そのため、グラブ船やポンプ
船などを用いて海底、河川、湖沼、池などの底などに蓄
積した土砂やヘドロなどを取り除く浚渫工事が広く行わ
れている。更に、海岸や河川、湖沼などの岸辺に、船舶
が航行したり停泊したりできる港や船着き場などを新た
に建設する際にも充分な水深を得るために浚渫工事が行
われる。
【0003】グラブ船やポンプ船などの浚渫船で掘った
り汲み上げたりした土砂やヘドロなどの固形物を含む高
濃度泥水は、バージ船などに積んで沖合に運んで投棄す
ることも行われているが、海洋や河川などの水質環境の
汚染の問題があり、しかも運搬に経費がかかるところか
ら、浚渫船で汲み上げた高濃度泥水を浚渫工事現場の近
くで処理することが行われるようになっており、陸地面
積の狭い我が国の国土を少しでも広くしたいという要求
と相俟って、浚渫船で汲み上げた高濃度泥水をそのまま
埋立工事に利用することが広く行われている。
【0004】浚渫船で掘ったり汲み上げた高濃度泥水を
利用して埋立工事を行うに当たっては、浚渫工事現場に
近い海、河川、湖沼、池などの水域中または岸辺に、適
当な材料を用いて護岸を建設して埋立地を包囲する周壁
を形成し、その周壁で包囲された埋立地内に浚渫船で掘
ったり汲み上げた土砂やヘドロなどを含む高濃度泥水を
吐き出して投入して埋立工事を行う方法が一般に採用さ
れている。このような埋立工事では、埋立地内で高濃度
泥水中に含まれる土砂やその他の固形物が水から分離し
て沈降し、固形物からなる地層が埋立地内に徐々に形成
される。そして、固形物が分離された後の水が余水層と
して埋立地内の地層の上に形成されるので、この余水を
埋立地の周辺部に設けた余水吐から埋立地外の海、河
川、湖沼などに排出することによって埋立工事が進めら
れる。その際に、海、河川、湖沼などにおける水質環境
を良好に保ち汚染を防止する点から、埋立地から排出さ
れる余水は土砂、懸濁粒子などの固形物や汚濁物の混入
が少なく、所定の清浄度を有していることが求められて
いる。
【0005】そして、従来の浚渫・埋立工事現場では、
埋立地内での余水の乱流、短絡流などを防止して余水中
の土砂やその他の懸濁粒子などを出来るだけ埋立地内で
円滑に沈降させるために、埋立地内の余水を埋立地外に
吐き出すための余水吐は、グラブ船やポンプ船などの浚
渫船で掘ったり汲み上げた高濃度泥水の埋立地への投入
場所からできるだけ遠く隔たった場所に通常1カ所だけ
設けられている。そして、このような埋立工事現場で
は、高濃度泥水中の重い固形物は主として高濃度泥水の
投入場所の近くに最初に沈降し、一方軽量で沈降しにく
い微粒子は高濃度泥水の投入場所の近くには沈降せずに
埋立地内を余水吐に向かって徐々に運ばれて余水吐の近
傍に沈降し、それらの固形物が沈降・分離された後の清
浄化された余水がその1カ所の余水吐から埋立地外へ吐
き出される。
【0006】埋立工事の初期および中期の段階では、土
砂などの固形物の堆積が少ないことにより護岸などの周
壁で包囲されている埋立地の深さが充分にあり、そのた
め沈降した固形物よりなる地層の上に形成されている余
水層の厚さ(水深)も充分にあり、余水吐からは土砂や
その他の固形物が充分に除去された汚濁のない余水が余
水層の上部から埋立地外に吐き出される、そして、余水
層の厚さ(水深)が充分にあることにより、埋立地が強
い風雨にさらされても余水層の上層部のみが撹乱される
だけであって、余水層の下部は撹乱されず、余水層の下
にある沈降した固形物よりなる地層はそのまま静置した
状態を保ち、沈降した固形物が撹乱されて余水中に再度
懸濁して混入することが少ないので、余水吐からは汚濁
のない清浄化された余水が吐き出される。
【0007】しかしながら、埋立工事が進行するにつれ
て、護岸などの周壁で包囲された埋立地には土砂やその
他の固形物の堆積量が多くなって埋立地が浅くなるた
め、埋立工事の後期には、堆積物からなる地層の上に形
成される余水層の厚さ(水深)が必然的に小さくなる。
そして、そのような状態、特に余水層(水深)が1m以
下になった状態の時に埋立地が強い風雨にさらされる
と、余水層が風雨で撹乱され、その撹乱作用が余水層だ
けではなくその下の固形物の堆積層にまで及び、沈降し
た固形物が再度余水中に懸濁して余水の汚濁を生ずる。
特に、軽量で沈降しにくい微粒子の場合は、浚渫船など
で掘りあげたり汲み上げた高濃度泥水の埋立地への投入
部の近傍では沈降せずに、埋立地内で徐々に運ばれて余
水吐の近傍に多く沈降しているので、埋立地が強い風雨
にさらされると、余水吐の近傍に沈降している軽量な沈
降しにくい微粒子が風雨によって生じた余水の撹乱によ
って極めて簡単に再度余水中に懸濁することとなり、余
水吐からは再懸濁した微粒子を多くを含む汚濁した余水
がそのまま吐き出されることとなり、海、河川、湖沼な
どの水質環境の汚染を生ずる。
【0008】一方、余水吐からできるだけ清浄な余水を
埋立地外へ吐き出すようにするために、余水中の懸濁粒
子を濾過するための濾材、分離材、懸濁粒子を接触させ
て沈降させるための接触沈降部材などを余水吐の近傍に
配置することや、懸濁粒子の凝集を促進するための凝集
剤を添加することが従来から試みられており、かなりの
効果を上げている。しかしながら、これらの従来法によ
る場合は、濾材、分離材、接触沈降部材がかなり高価で
あることにより経費がかかり、また物によっては使用可
能期間がさして長くなく、度々新しいものと取り替える
必要がある。また凝集剤の使用は水質環境の再汚染の問
題などがあり、できる限りその使用量を減らすのが望ま
しいとされている。
【0009】
【発明の内容】上記のような状況下に、本発明者は、濾
材、分離材、接触沈降部材、凝集剤などを使用せずに埋
立地から清浄な余水を埋立地外に吐き出すことのできる
方法、また濾材、分離材、接触沈降部材、凝集剤などを
使用する場合はその使用数や使用量を低減させることが
でき、更にそれらの部材の寿命を長くしながら埋立地か
ら清浄な余水を吐き出すことのできる方法を求めて検討
を重ねてきた。
【0010】その結果、本発明者は、高濃度泥水の埋立
地への投入場所からできるだけ遠く隔たった場所に1カ
所だけ余水吐を設けていた上記した従来技術に代えて、
余水吐を埋立地の周辺の2カ所以上の場所に設置してお
き、埋立工事の進行具合、すなわち埋立地内の余水層の
厚さ(水深)に応じて、更には埋立地での気象状況に応
じて、その2カ所以上の余水吐のうち適当な余水吐から
余水を埋立地外に吐き出すようにすると共に、埋立地内
の余水面全面に風雨のエネルギーを低減させる部材を設
置することによって清浄な余水を埋立地外に吐き出すこ
とができることを見出し、これらの発見に基づいて本発
明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、埋立地の2カ所以上
の場所に余水吐を設置しておくと共に、埋立地内の余水
面上に風雨のエネルギーを低減させる部材を設置してお
き、埋立地内の余水の水深および埋立地での気象状況に
応じて、汚濁の少ない余水を埋立地外に吐き出すことの
できる余水吐の1カ所または2カ所以上から余水を埋立
地外に吐き出すことを特徴とする埋立地内の余水の吐出
方法である。
【0012】更に、本発明は、埋立地を包囲する周壁お
よび周壁の2カ所以上の場所に設置した余水吐を備え、
かつ埋立地包囲内の全面に風雨のエネルギーを低減させ
る部材を備えていることを特徴とする埋立工事用の構造
物である。
【0013】上記では浚渫工事で排出された高濃度泥水
を用いて埋立工事を行う場合について主として説明して
きたが、本発明では、埋立地内に投入される高濃度泥水
は浚渫工事からのものに限定されず、土砂、汚泥、ヘド
ロ、その他の固形物を含み、埋立地内でそれらの固形物
を水から分離して沈降させ、固形物を分離・沈降させた
後の水を余水として埋立地外に吐き出す必要のある埋立
工事における余水の吐出方法、および埋立工事用の構造
物はいずれも本発明の範囲に包含される。したがって、
本発明は海、河川、湖沼などの水域中やそれらの岸辺で
の埋立工事だけでなく、余水の処理が必要な陸地での埋
立工事も対象とする。
【0014】本発明では、埋立地の形状は特に制限され
ず、埋立地の形状は各々の埋立工事の状況などに応じて
例えば、方形またはほぼ方形、円形、楕円形、三角形、
多角形、その他の任意の形状であることができ、したが
って埋立地を包囲する周壁の構造もそれぞれの埋立地の
形状に応じて例えば、方形またはほぼ方形、円形、楕円
形、三角形、多角形、その他の任意の形状となる。ま
た、本発明では埋立地を包囲する周壁の建設方式、種
類、材質などは特に制限されず、従来から知られている
ものを採用することができ、例えば、コンクリート護
岸、鋼矢板や鋼矢セルなどを用いた護岸、それらを併用
した護岸などによって埋立地の周壁を形成することがで
きる。
【0015】そして、本発明では埋立地の2カ所以上の
場所に余水吐を設置しておくことが必要であり、余水吐
は一般に埋立地を包囲する周壁部分に設けるのがよい。
その場合に、第1の余水吐は、従来と同様に埋立地内へ
の高濃度泥水の投入場所からできるだけ離れた場所に設
置するのが好ましく、それによって埋立地内への高濃度
泥水の投入と余水吐との間の距離が長くなり、それに伴
って高濃度泥水中の固形物の沈降分離が円滑に行われ
る。
【0016】また、第2の余水吐、場合によっては更に
第3、第4、・・・の余水吐は、第1の余水吐を設けた
場所とは、隔たった場所に設けておくのがよい。例えば
埋立地が方形や三角形、多角形などの形状の場合は、埋
立地を包囲する方形、三角形、多角形などの周壁におい
て第1の余水吐を設けた周壁の辺とは別の周壁の辺に設
けておくのがよく、特に埋立地および周壁が方形の場合
は、第1の余水吐を設けた周壁の辺と対向する周壁の辺
に設けるのが好ましい。その場合に、埋立地内への高濃
度泥水の投入部およびその近傍では、余水の汚濁度が高
く、しかも高濃度泥水の投入によって余水の撹乱・汚濁
が生じているので、第2、第3、第4、・・・の余水吐
は、高濃度泥水の影響の少ない場所に設けることが必要
である。また、余水吐の数は余り多すぎると、清浄な余
水の埋立地からの吐き出しが困難であるので、通常2カ
所または3カ所程度にしておくのが好ましい。
【0017】本発明では、余水吐の形状および構造は特
に制限されず、埋立地内の余水を余水の上層部分から埋
立地外に円滑に吐き出させることのできる余水吐、すな
わち排水部であればいずれでもよく、埋立工事において
従来から採用されている、例えば角落しやその他の余水
吐のいずれを採用してもよい。また、余水吐の寸法や埋
立地からの余水の吐き出し量なども特に制限されず、埋
立工事の内容、状況、規模などに応じて適宜選択するこ
とができる。そして、埋立地が海、河川、湖沼、池など
の水域中や岸辺に設けられている場合は、余水吐から吐
き出した水は直接それらの水域にそのまま排出するよう
にしても、または余水吐部分に管やその他の導水手段を
連設しておいて、埋立地外の所定の場所にまで余水を導
いてそこに排出するようにしてもよい。また、埋立地が
陸地に設けられている場合は、余水吐に管やその他の導
水手段を連設しておいて、埋立地外の下水、河川などの
適当な場所にまで導いて排出するようにするのがよい。
【0018】本発明の方法によって埋立工事を行う場合
には、埋立地内における余水層の厚さ(水深)が大き
い、埋立工事の初期および中期の段階では、余水層の清
浄度は埋立工事現場における気象状況にさほど左右され
ず、強い風雨を受けても余水層の再汚濁が生ずることが
少ないので、高濃度泥水の投入部から離れた位置に設置
した第1の余水吐のみを開き、第2、第3、・・などの
余水吐を閉鎖しておいて、第1の余水吐のみから余水を
埋立地外に吐き出すようにするのが、清浄な余水を埋立
地外に吐き出すことができる点で望ましい。
【0019】そして、埋立工事が進行して余水層の厚さ
(水深)が小さくなった埋立工事の後期、例えば余水層
の厚さ(水深)が1m以下になった時点から、第1の余
水吐および/または第2、第3、・・・の余水吐をその
気象状況に応じて、適宜開いたり閉鎖したりして、汚濁
の少ない余水を埋立地外に吐き出すようにする。例え
ば、第1の余水吐を設けた周壁の方向に向かって強い風
が吹いている場合には、強風によって水深の浅い余水層
が第1の余水吐の近傍でより強く撹乱されて、その部分
で余水の底にようやく堆積した軽量で沈降しにくい微粒
子がその撹乱作用を受けて再度余水中に多量に懸濁した
状態になっているので、第1の余水吐を開いておくとそ
こから高度の汚濁した余水が埋立地外に吐き出されてし
まうので、第1の余水吐を閉鎖しておき、第2、第3、
・・・の余水吐の少なくとも一つを開いて、そこから余
水を埋立地外に吐き出すようにすると、汚濁の少ない余
水を埋立地外に吐き出すことができ、周囲の水質環境の
汚染を低減できる。また、例えば埋立工事の後期に、第
1の余水吐を設けた周壁とは直交する周壁の方向に向か
って強風が吹いている場合は、その強風の方向およびそ
のときの余水の汚濁状況に応じて、第1の余水吐および
/または第2、第3、・・・の余水吐のうちの適当なも
のを開いたり、閉鎖したりして、清浄な余水が埋立地外
に吐き出されるようにすればよい。
【0020】2カ所以上に設置した余水吐の開閉は、埋
立工事の進行状況、埋立工事現場での気象状況などに応
じて、適宜手動でまたは自動的に行うことができる。ま
た、例えば季節、工事月、時間などによって風の吹く方
向がほぼ定まっている場合には、季節、工事月、時間な
どに応じて、2カ所以上に設置した余水吐のいずれを開
いていずれを閉鎖するを適宜決めて埋立工事を行うとよ
い。
【0021】更に本発明では、埋立地の2カ所以上の場
所に余水吐を設置しておいて、埋立地内の余水の水深お
よび埋立地での気象状況に応じて余水吐の1カ所または
2カ所以上から汚濁の少ない余水を埋立地外に吐き出す
ようにする上記の方法を行うに当たって、埋立地内の余
水面全面に風雨のエネルギーを低減させることのできる
部材(以下単に「エネルギー低減部材」という)を設置
しておくと、強い風雨など受けても風雨のエネルギーが
低減されているので余水が撹乱されにくくなり、それに
よって埋立地から吐き出される余水の再汚濁を防止また
は低減することができ、埋立地外に吐き出す余水の清浄
度の一層高めることができる。エネルギー低減部材を設
置する場合は、風雨による余水層および堆積した固形物
層の撹乱作用が大きくなる埋立工事の少なくとも後期の
段階に設置しておくのが望ましいが、埋立工事の全工程
を通して設置しておいてもよい。
【0022】その場合に、エネルギー低減部材として
は、風雨が該部分に衝突して余水面への風雨の圧力を低
減させることのできる部材であればいずれでもよいが、
余水面上に設置し易い点、余水層の厚さ(水深)などに
応じて自在に移動可能である点などから、浮体が好まし
い。浮体としては、強い風雨によっても簡単に飛ばされ
ずに、余水面上に安定して設置できるものを使用するの
がよく、例えば多数のプラスチックやゴムの発泡体から
なる浮体、プラスチックやゴムの中空体からなる浮体、
木材などの軽量物からなる浮体の複数個をロープ、鎖、
その他の連結手段で互いに縦、横または縦横に連結した
ものなどを使用するのが便利である。その場合に浮体の
寸法が小さすぎると、風雨が浮体に衝突することが少な
くなり、風雨のエネルギーの低減効果が小さくなるの
で、浮体の寸法はある程度以上にしておくのがよく、通
常直径が約30cm以上、好ましくは直径が約30〜1
00cmの球状、円柱状の浮体を使用するのが、風雨の
エネルギー低減効果および設置や撤去のし易さなどの点
から好ましい。そして、この浮体などのエネルギー低減
部材は、埋立地内の余水層の全面に亙って設置する。
【0023】また、浮体などのエネルギー低減部材に
は、余水中に懸濁した粒子などの濾過材、接触凝集材、
接触落下材などを必要に応じて垂下させておいてもよい
が、その場合にはそれらの材の垂直方向の長さを1m以
下にしておくのが望ましい。それらの垂下させておく材
の長さが長過ぎると、埋立工事を終了してエネルギー低
減部材を撤去する際に、垂下した材が埋立地内に埋没し
ていてエネルギー低減部材の撤去が困難になる。
【0024】更に、本発明では、必要に応じて、埋立地
内の余水吐の近傍の底部に沈降した土砂や汚泥が余水中
に再懸濁して埋立地外に吐き出されるのを防止するため
の潜堤を1段または2段以上に設けてもよく、それによ
って浄化度の一層高い余水を余水吐から吐き出すことが
できる。その場合の潜堤としては、シートパイル、土、
コンクリート、鋼材、ネット状体などの任意のものから
形成することができる。また本発明では、埋立地内の余
水吐の近傍、埋立地外の余水吐の近傍、埋立地内のその
他の箇所に、高濃度泥水中の土砂や汚泥の沈降を促進さ
せたり、濾過などを行うために、必要に応じて接触型通
水フェンス、濾材などを設置しておいてもよく、更に適
当な凝集剤を併用して、高濃度泥水中の土砂や汚泥の凝
集・沈殿を促進してもよい。
【0025】また、本発明では、埋立地内において、余
水吐の手前に更に沈殿池を設けておき、余水中の固形物
を沈殿池で沈殿させて余水の清浄度を一層高めてから、
余水を余水吐から埋立地外に吐き出すようにしてもよ
い。その場合に、沈殿池への余水の導入および/または
沈殿池からの余水の吐き出しは、沈殿池内での余水の水
深および気象状況などに応じて、沈殿池の任意の1カ所
または2カ所以上から余水を導入および/または吐き出
すようにするのがよく、例えば余水吐から遠い箇所に沈
殿池への余水の導入部を設けて余水吐から沈殿池内の余
水を吐き出すようにしても、または余水吐に近い場所に
沈殿池への余水の導入部を設けて、余水吐から遠い場所
に沈殿池からの余水の吐き出し部を設けてもよい。
【0026】以下に、図を参照して本発明について具体
的に説明するが、本発明はそれにより限定されない。図
1は、本発明の埋立工事用の構造物の全体を概略的に例
示した図であり、海、河川、湖沼などの水域中に護岸1
a,1b,1c,1dからなる周壁でその周囲を包囲し
て埋立用区画(埋立地)Aが形成されている。この埋立
用区画(埋立地)Aには、グラブ船やポンプ船などの浚
渫船2によって掘ったり汲み上げられた高濃度泥水がホ
ース3などによって投入される。埋立用区画(埋立地)
Aに投入された高濃度泥水に含まれる土砂や汚泥などの
固形物は重いものから順に沈降して固形物の堆積層4を
形成し、一方堆積層4の上部には余水層5が形成され
る。高濃度泥水の投入部から一番遠い周壁の護岸1aに
は、第1の余水吐6を形成してあり、この第1の余水吐
6は仕切り板(角落し)などの適当な開閉手段7によっ
て開閉可能になっている。また、周壁の護岸1aと対向
する護岸1bにも、高濃度泥水の投入場所と離して第2
の余水吐8を設けてあり、この第2の余水吐8も仕切り
板(角落し)などの適当な開閉手段9によって開閉可能
になっている。
【0027】埋立工事の初期および中期の段階には、埋
立地内における余水層5の厚さ(水深)が大きく、余水
層5の清浄度は埋立工事現場における気象状況にさほど
左右されず、強い風雨を受けても余水層5の再汚濁が生
ずることが少ないので、第2の余水吐8を開閉手段9に
よって閉鎖し、第1の余水吐6のみを開いておいて、土
砂や汚泥などの固形物を沈降・分離させた後の清浄化し
た余水5を第1の余水吐6から埋立用区画(埋立地)A
の外の水域に吐出させる。
【0028】そして、埋立工事が進行して余水層5の厚
さ(水深)が小さくなった埋立工事の後期(例えば余水
層の水深が1m以下になった時点)には、余水の浄化度
(汚濁度)は、埋立用区画(埋立地)の気象条件に大き
く左右されるので、例えば、図2に示すように、風10
が第1の余水吐6を設けた護岸1aの方向に強い風が吹
いている場合には、強風によって水深の浅い余水層5が
第1の余水吐6の近傍でより強く撹乱されて、第1の余
水吐の近傍の底部にようやく堆積した軽量で沈降しにく
い微粒子4bがその撹乱作用を受けて再度余水中に多量
に懸濁してくるので、第1の余水吐6を開閉手段7によ
って閉鎖してそこからは余水が吐き出されないようにす
る。一方、重い固形物4aが主として沈降している護岸
1bの近傍では、余水層5が強風にさらされても沈降し
た重い固形物4aが再度余水中に懸濁してくることが少
なく余水の清浄度が比較的高く保たれているので、第2
の余水吐8を開いて、第2の余水吐8から汚濁の度合い
の少ない余水を埋立用区画(埋立地)Aの外の水域に吐
出させる。
【0029】上記において、埋立工事の後期で余水層5
の水深が浅い場合であっても、埋立工事現場での気象条
件が穏やかな場合には、第1の余水吐6を開くと同時に
第2の余水吐8を閉鎖しておいても、第1の余水吐6と
第2の余水吐8の両方を開いておいても、または第1の
余水吐6を閉鎖し第2の余水吐8を開いておいてもよ
い。第1の余水吐6および第2の余水吐8の開閉は、上
記したように手動で行っても、または自動的に行うよう
にしてもよい。
【0030】また、図1では、第2の余水吐8を護岸1
aと対向する護岸1bに設けてあるが、それに限定され
るものではなく、第2の余水吐8は護岸1aと直交する
護岸1cおよび/または護岸1dに設けてもよく、或い
は、護岸1b、1cおよび1dのうちの2つ以上に第
2、第3、第4の余水吐を設けてもよい。また、図1で
は埋立用区画(埋立地)Aは方形をなしているが、勿
論、これに限定されるものではなく、埋立用区画(埋立
地)Aは、各々の状況に応じて多角形、三角形、円形、
その他の任意の形状であってもよく、その場合は、埋立
用区画(埋立地)Aの形状に応じて、浚渫船からの高濃
度泥水の埋立地への投入場所、第1の余水吐6、第2の
余水吐8、および必要に応じて第3、第4などの余水吐
の設置位置を決めるのがよい。
【0031】そして、図3は、埋立用区画(埋立地)A
に余水吐を2カ所以上設けると共に、浮体11などのか
らなるエネルギー低減部材を埋立用区画(埋立地)の全
面に設けた場合を例示したものであり、浮体11などの
エネルギー低減部材はロープや鎖などの連結手段12に
よって互に連結し、その両端を周壁を構成する護岸に固
定してある。従って、図3の場合には、浮体11などの
エネルギー低減部材を併設してあるために、強い風雨な
ど受けても風雨が余水層5に衝突する前にエネルギー低
減部材に衝突してそのエネルギーが低減されるので、余
水層5の撹乱が起こりにくくなり、その結果余水層5の
下部に堆積している固形物層の撹乱も防止または低減さ
れて、埋立地外に吐き出される余水の清浄度を一層高め
ることができる。図3では、浮体11などのエネルギー
低減部材を護岸1aおよび1bに平行(横方向)に設け
てあるが、それに限定されず、護岸1cおよび1dに平
行(縦方向)に設けても、縦横の両方向に設けても、ま
たはそれ以外の方向に設けてもよい。
【0032】更に、図4は埋立用区画(埋立地)Aの第
1の余水吐6の近傍の底部に潜堤13を2段に設置した
場合を例示したものであり、潜堤13によって沈降した
固形物が余水吐6の方向に流動するのが防止されて、余
水吐6からは浄化度の高い余水を吐き出すことができ
る。潜堤13は第1の余水吐6の近傍だけではなく、第
2の余水吐8の近傍にも設けてもよい。
【0033】また、図1〜図4には、埋立用区画(埋立
地)A内に沈殿池を設けることは図示していないが、上
記したように、埋立用区画A内において第1の余水吐6
および/または第2の余水吐8の手前に沈殿池を設けて
おき、余水中の固形物を沈殿池で沈殿させて余水の清浄
度を一層高めてから、第1の余水吐6および/または第
2の余水吐8から埋立地Aの外に余水を吐き出すように
してもよい。その場合に、沈殿池への余水の導入および
/または沈殿池からの余水の吐き出しは、沈殿池内での
余水の水深および気象状況などに応じて、沈殿池の任意
の1カ所または2カ所以上から余水を導入および/また
は吐き出すようにするのがよい。例えば、第1の余水吐
6から遠い箇所(高濃度泥水の埋立地Aへの投入場所に
近い方)に沈殿池への余水の導入部を設けて第1の余水
吐6から沈殿池内の余水を吐き出すようにしても、また
はそれとは逆に第1の余水吐6に近い場所から沈殿池へ
余水を導入すると共に、第1の余水吐6から遠い場所か
ら沈殿池内の余水を沈殿池外に吐き出すようにしてもよ
い。
【0034】
【発明の効果】本発明の方法および構造物による場合
は、埋立地の2カ所以上に余水吐を設置するという極め
て簡単な構成を採用することによって、埋立工事が進行
して埋立地内の余水の水深が浅くなった場合にも、埋立
地での気象状況に応じて、汚濁が少なく清浄度の高い余
水を埋立地外に吐出すことができ、また埋立地内の余水
面全面に風雨のエネルギーを低減させるエネルギー低減
部材を併設していることによって、清浄な余水を埋立地
外に吐き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の埋立工事用の構造物の全体を概略的に
例示した図である。
【図2】埋立工事現場において、第1の余水吐を設けた
護岸の方向に強い風が吹いている場合を記載した図であ
る。
【図3】浮体からなるエネルギー低減部材を併設した本
発明の埋立工事用の構造物の例を示す図である。
【図4】第1の余水吐の近傍の底部に潜堤を2段に設置
した本発明の埋立工事用の構造物の例を示す図である。
【符号の説明】
A 埋立用区画(埋立地) 1a 護岸 1b 護岸 1c 護岸 1d 護岸 2 浚渫船 3 ホース 4 固形物の堆積層 5 余水層 6 第1の余水吐 7 開閉手段 8 第2の余水吐 9 開閉手段 10 風 11 浮体 12 連結手段 13 潜堤

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 埋立地の2カ所以上の場所に余水吐を設
    置しておくと共に、埋立地内の余水面全面に風雨のエネ
    ルギーを低減させる部材を設置しておき、埋立地内の余
    水の水深および埋立地での気象状況に応じて、汚濁の少
    ない余水を埋立地外に吐き出すことのできる余水吐の1
    カ所または2カ所以上から余水を埋立地外に吐き出すこ
    とを特徴とする埋立地内の余水の吐出方法。
  2. 【請求項2】 2カ所以上の余水吐を、埋立地を包囲す
    る周壁の互いに異なった辺に設置しておく請求項1の吐
    出方法。
  3. 【請求項3】 埋立地を包囲する周壁、周壁の2カ所以
    上の場所に設置した余水吐、および埋立地包囲内全面に
    風雨のエネルギーを低減させる部材を備えていることを
    特徴とする埋立工事用の構造物。
  4. 【請求項4】2カ所以上の余水吐を、埋立地を包囲する
    周壁の互いに異なった辺に設置してある請求項3の埋立
    工事用の構造物。
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