JP2017002534A - 底泥回収システム及び底泥回収方法 - Google Patents

底泥回収システム及び底泥回収方法 Download PDF

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Kayohiko Tanimoto
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Abstract

【課題】対象水域となる海、下線、湖沼等の様々な水環境に対して高い汎用性を有し、かつそれら水環境を破壊することなく、より単純な構成及び処理工程で底泥を効率よくかつ容易に回収できるシステム及び方法を提供することにある。
【解決手段】対象水域の水底から底泥を回収する底泥回収ユニットと、回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する底泥処理ユニットと、上記細粒画分を回収する細粒回収ユニットとを備え、上記砂礫画分は、上記底泥処理ユニットから排出され、上記対象水域の水底に戻される、底泥回収システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、湖沼、河川、海洋、湾海域等の対象水域において底泥を回収する底泥回収システム及び底泥回収方法に関する。
我が国においては、高度経済成長期に化学物質による水質汚染や大気汚染等の公害被害を経験して以来、各種化学物質に対する法規制を講じるなどした結果、水環境の汚染も含めてその公害被害は回復しつつある。しかしながら、近年、国内においても、依然として比較的高濃度に化学物質等により汚染された湾岸海域や湖沼等が存在しており、さらに海外に目を向ければ、化学物質による公害に苦しむ発展途上国が多数存在する。これに加えて、我が国における先の原発事故においては、放射性核種による海洋や湖沼等の汚染は深刻であり、早急に除染や飛散流出防止の有効な手段を講じる必要に迫られている。
化学コンビナート等から排出された化学物質や、原発事故により飛散した放射性物質は、海や湖沼等の水環境においては底泥に到達し、その殆どは底泥中に含まれる微細なシルト粒子や粘土粒子に付着し、保持されることになる。また、排出された化学物質や飛散した放射性物質は、海や湖沼等の水環境に直接到達するものだけでなく、山間部斜面や平地に落下したものが、それら地域でシルト粒子や粘土粒子に付着し、化学物質等が付着した状態でそれら粒子が、降雨時に雨水によって流され、水路や河川を汚染させながら、最終的には閉鎖された湖沼や河口付近の湾海域に集中して堆積される。その結果、湖沼や河口付近の湾海域の底質には高濃度で化学物質や放射性物質が存在することになる。
また、福島県の原発事故により飛散した放射性物質の大半は、福島県内のみならず東北地域や関東地域を含めて周辺域の河川、湖沼、湾内域等の底質に高濃度で堆積している。さらに、湖沼等の水環境においては、工場排水や工場排煙に伴う化学物質汚染と放射性物質汚染が複合して生じており、汚染の態様を複雑にしている。加えて、主要河川が存在する各地の湾域においては、その河口付近に汚染底泥が大量に堆積しており、早急な除染及び拡散防止の対策を講じる必要に迫られている。さらに加えて、下水や工業排水等の影響により水環境の富栄養化が進むと、水環境下には有機物を多く含む汚泥が溜まり、健全な生態系が変容し、例えば赤潮、アオコの形成、魚介類に対する酸欠被害等が引き起こされることもある。
したがって、海や湖沼等の水環境下においては上述の問題を回避するために水底に堆積した底泥等を除去又は回収する必要がある。
特開2001−20318 特開2014−125754
従来、湖沼や湾域等の水環境における底質汚染に対する対策手段については、浚渫により底質土砂を全面的に撤去する土木手法が主流であった。具体的には、サンドポンプやグラブと呼ばれる底泥回収部材を搭載した浚渫船や浚渫プラントを利用し、海底底質から底泥を全面的に回収する方法である。しかしながら、このような浚渫による土木手法では、大量の水と共に底泥を全面的に回収するものであることから、回収した底泥の容積が過大となり、その後の処理や廃棄が困難であるという問題がある。また、このような土木的手法によれば、底質の土砂を一網打尽に撤去してしまうものであることから、水環境における自然や生態系を重度に破壊してしまうという問題もある。さらに、浚渫の作業過程において底泥が水中で飛散してしまうことから、作業周辺を二次的に汚染すること無く、汚染底泥を効率よく回収することが困難であるという問題もある。
また、回収後の底泥の減容化を図る手法としては、上記のような浚渫による土木手法に、浚渫底泥に対する物理化学処理等を組み合わせた手法が知られている。例えば、特許文献1には、ダム等の水質改善を目的として、浚渫船を利用して浄化対象水域から回収した底泥に対して三相サイクロン装置を用いた遠心分離処理等の物理化学処理を施すことにより、底泥の減容化を図る手法が記載されている。具体的には、特許文献1には、三相サイクロン装置を用いて回収底泥を粒径の大きい砂礫と細粒のシルトを含むスラリ原液とに分級し、砂礫については水域に排出すると共にスラリ原液についてはろ過などの清澄化処理を施した後に処理水として連続して水域に戻すことを特徴とする、水質浄化法及び水質浄化システムが記載されている。しかしながら、特許文献1の水質浄化法及び水質浄化システムにおいては、三相サイクロン装置を用いた処理を回収底泥に対して施すことにより得られる粒径の大きい砂礫や、上記清澄化処理を施した後に得られる処理水を水域に戻すとはいっても、特にダムの浄化を目的としており、上記遠心分離処理を行うサイクロン装置、その他フルイ装置、フィルタ装置、処理槽等、底泥の物理化学処理が行われる装置は全て陸上に設置されることを前提とする手法を採用している。また、特許文献1においては、上記処理により分離された砂礫は、トラックなどでダムよりも下流に戻されるとしか記載されていない。してみれば、特許文献1に記載の技術は、自然環境や生態系が色濃く残る湖沼や湾海域等の水域に適用される場合にあっては、浚渫工程による底泥の回収の部分に注目すると、基本的には従来の土木的手法と何ら変わりが無く、水環境の自然や生態系を破壊してしまうという問題が依然として存在する。さらに、特許文献1に記載の手法においては、底泥に対する処理を担う処理装置全てが陸上に設置することを前提とするものであるから、同手法が適用できる水域には限界があり、例えば、より広大な海洋や湾海域などの水域に適用することが事実上困難である。このように、特許文献1に記載の手法は、汎用性に欠けているという問題もある。
水底に対して比較的侵襲性が低く、かつ効率よく底泥を回収できる技術として、例えば、特許文献2に、水中を移動可能とし、水底の汚泥を吸引により回収可能な浚渫装置と、水中または水上を移動可能であると共に上記浚渫装置から回収された汚泥から水分を除去した回収物を回収容器に貯蔵する処理装置とを有する汚泥回収装置が記載されている。特許文献2に記載の装置は、回収した汚泥をそのまま陸上に搬送することなく効率よく減容化処理を可能とするものである。しかしながら、水中又は水上を移動可能とされる上記処理装置には、分級処理を行うための液体サイクロン、汚泥回収物に薬剤処理等を施して遠心分離可能な形態とするための中継槽、さらに汚泥の遠心分離を行う脱水機等の多数の部材が設けられており、その構造も処理工程も複雑なものとなっている。その結果、特許文献2の装置においては、コスト高となったり、適用水域の底質の状態などに適合させるのに手間がかかったり、適用水域の環境によっては適用が事実上難しい等の問題がある。
本発明の課題は、上記従来技術における問題点を解決できる、湖沼、河川等の対象水域において底泥を回収する底泥回収システム及び底泥回収方法を提供することにある。具体的には、本発明の課題は、対象水域となる海、下線、湖沼等の様々な水環境に対して高い汎用性を有し、かつそれら水環境を破壊することなく、より単純な構成及び処理工程で底泥を効率よくかつ容易に回収できるシステム及び方法を提供することにある。
本発明は、上述した課題を解決するために、水域から回収した底泥に対して、所定の分級処理と薬剤処理とを同時に実施し得る構成を採用するものである。
即ち、本発明は、以下に関する。
[1]
対象水域の水底から底泥を回収する底泥回収ユニットと、
回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する底泥処理ユニットと、
上記細粒画分を回収する細粒回収ユニットと、
を備え、
上記砂礫画分は、上記底泥処理ユニットから排出され、上記対象水域の水底に戻される、
底泥回収システム。
[2]
上記底泥処理ユニットは、遠心力を用いた湿式分級機を備える、[1]に記載の底泥回収システム。
[3]
上記底泥処理ユニットは、液体サイクロンを備える、[1]又は[2]に記載の底泥回収システム。
[4]
上記底泥回収ユニットは、水中及び/又は水底を移動可能であるように構成されており、該底泥回収ユニットの移動方向において上記底泥処理ユニットが該底泥回収ユニットの後部に位置するよう、該底泥回収ユニットと該底泥処理ユニットとが一体化されている、[1]から[3]の何れかに記載の底泥回収システム。
[5]
上記底泥回収ユニットによって底泥が回収されることにより形成された水底の溝が、上記底泥処理ユニットから砂礫画分が排出されることにより、該砂礫画分で連続して被覆されるよう構成されている、[1]から[4]の何れかに記載の底泥回収システム。
[6]
上記底泥処理ユニットには、回収した底泥と薬剤との接触状態を可能とする薬剤注入口が設けられている、[1]から[5]の何れかに記載の底泥回収システム。
[7]
上記底泥回収ユニットと上記底泥処理ユニットとの間に底泥移送管が設けられており、該底泥移送管には上記薬剤が供給される薬剤注入口が設けられている、[1]から[6]の何れかに記載の底泥回収システム。
[8]
上記底泥回収ユニットは、底泥を掘削する1以上のカッターを有するサンドシュータを備える底泥掘削回収機を含む、[1]から[7]の何れかに記載の底泥回収システム。
[9]
上記1以上のカッターが、ロータリーカッターを含む、[8]に記載の底泥回収システム。
[10]
上記1以上のカッターは、掘削深度が10〜10000mmのものである、[8]又は[9]に記載の底泥回収システム。
[11]
上記1以上のカッターにより掘削され、かつ上方に向けて巻き上げられた底泥が上記底泥移送管へと吸引されるよう上記底泥掘削回収機の上部に高圧ポンプが設けられている、[8]から[10]の何れかに記載の底泥回収システム。
[12]
上記底泥回収ユニットは、高圧ポンプを備え、該高圧ポンプの圧力を利用して対象水域の水底から底泥を回収するものである、[1]から[10]の何れかに記載の底泥回収システム。
[13]
上記細粒回収ユニットは、水上輸送体の上に設置されるものである、[1]から[12]の何れかに記載の底泥回収システム。
[14]
上記細粒回収ユニットは、陸上又は水域保全施設上に設置される、[1]から[12]の何れかに記載の汚泥回収システム。
[15]
上記底泥処理ユニットに上記薬剤を供給する薬剤供給ユニットをさらに備える、[1]から[14]の何れかに記載の汚泥回収システム。
[16]
[1]から[15]の何れかに記載の底泥回収システムを用いることにより対象水域の水底から底泥を回収する方法。
[17]
(A)対象水域の水底から底泥を回収する工程;
(B)回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する工程;
(C)分級された砂礫画分を上記対象水域の水底に戻す工程;並びに
(D)上記細粒画分を回収する工程
を含む、底泥回収方法。
[18]
工程(B)において、遠心力を用いた湿式分級機を用いることにより、上記回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する、[17]に記載の底泥回収方法。
[19]
上記遠心力を用いた湿式分級機は、液体サイクロンである、[18]に記載の底泥回収方法。
[20]
工程(A)において水底から底泥が回収されることにより形成された水底の溝が、工程(C)において、上記分級された砂礫画分によって被覆されるように、該分級された砂礫画分を連続して上記対象水域の水底に戻す、[17]から[19]の何れかに記載の底泥回収方法。
[21]
工程(A)において、1以上のカッターを有するサンドシュータを備える底泥掘削回収機を用いることにより、対象水域の水底から底泥を回収する、[17]から[20]の何れかに記載の底泥回収方法。
[22]
上記1以上のカッターが、ロータリーカッターを含む、[21]に記載の底泥回収方法。
[23]
上記1以上のカッターが、掘削深度が10〜10000mmのものである、[22]に記載の底泥回収方法。
[24]
上記底泥掘削回収機の上部に高圧ポンプが設けられており、工程(A)において、上記1以上のカッターにより掘削され、かつ上方に向けて巻き上げられた底泥が、該高圧サンドポンプによる吸引により回収されるものである、[21]から[23]の何れかに記載の底泥回収方法。
[25]
工程(A)において、高圧ポンプの圧力を利用して対象水域の水底から底泥を回収するものである、[17]から[23]の何れかに記載の底泥回収方法。
[26]
上記薬剤が、凝集剤を含む、[17]から[25]の何れかに記載の底泥回収方法。
本発明によれば、水環境における自然及び生態系を破壊することなく、効率よくかつ容易に底泥を回収することができる。また、本発明の底泥回収システム及び底泥回収方法によれば、その構成や工程が単純であることから、様々な条件の各種水域に容易に適合させることが可能であり、高い汎用性を有する底泥回収技術を提供することができる。また、本発明の底泥回収システム及び底泥回収方法によれば、その構成や工程が単純であることから、安価な底泥回収技術を提供することができる。
なお、本発明の効果及び有利な点は、各実施形態に照らして以下にさらに説明される。
本発明による底泥回収システムの構成を示す概念図である。 本発明の一実施形態(実施形態1)による底泥回収システムの構成を示す模式図である。 本発明の別の実施形態(実施形態2)による底泥回収システムの構成を示す模式図である。 本発明の更なる別の実施形態(実施形態3)による底泥回収システムの構成を示す模式図である。 図3に示す実施形態をさらに具体化した実施形態(実施形態2a)による底泥回収システムの構成を示す模式図である。 図5に示す底泥回収システムにおける底泥回収ユニットをより具体化した底泥掘削回収機の構造を示す拡大図である。 本発明の更なる別の実施形態(実施形態2b)による底泥回収システムの構成を示す模式図である。 本発明の更なる別の実施形態(実施形態3a)による底泥回収システムの構成を示す模式図である。
〔用語の説明〕
本発明において、「対象水域」とは、砂泥や汚泥を有する水底が存在する水域であれば特に限定されるものではなく、例えば、河川、水路、湖沼、貯水池、遊水池、海洋、湾海域、港湾水域等が挙げられる。また、これらの水域は自然に形成されたものであってもよいし、人工的に造成されたものであってもよい。
本発明において、「底泥」とは、対象水域において水底を構成する表層(特に、底質と呼ばれる。)を意味し、礫、砂、シルト、粘土、有機物等をその構成要素として含む。特に、礫の粒径は約2mm以上であり、砂の粒径は約0.02〜2mmであり、シルトの粒径は約0.002〜0.02mmであり、粘土の粒径は約0.002mm未満である。化学物質や放射性物質等の汚染物質で汚染された底質においては、汚染物質の殆どは底質における微細なシルト粒子や微細粘土粒子に付着し、それら粒子に保持されることになる。本発明によれば、後述する所定の装置構成や方法工程を採用することにより、それらシルト粒子及び粘土粒子を効率的かつ簡易に回収すると共に砂礫等の健全粒子を対象水域に戻すことが可能である。
本発明において、「薬剤」とは、特に限定されるものではないが、具体的には、水処理分野で用いられる薬剤が含まれる。例えば、シルト粒子や粘土粒子、或は汚染物質等を凝集・沈殿させるような各種凝集剤が挙げられ、そのような水処理分野において用いられ得る凝集剤等の薬剤は当業者において各種のものが知られている。但し、本発明の薬剤は「凝集剤」に限定されるものではない。また、薬剤は、液体、固体、ゲル等の半固形状のものなど、それらの形態は特に限定されるものでもないが、底泥の回収という性質上、液体又はゲル状の形態であることが好ましい。
本発明において、「砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分」とは、水底から回収した底泥に対して後述する分級処理を施して得られる画分のうち、砂及び/又は礫を主な構成要素として含む画分を言う。具体的には、本発明による底泥回収システムや底泥回収方法においては、例えば、後述のとおり、遠心力を利用した湿式分級機を用いて水底から回収した底泥を分級することから、シルト粒子や粘土粒子よりも比重及び粒子径が大きい砂礫は、細粒のシルト粒子や粘土粒子から分離される。つまり、このような底泥中の粒子成分の比重や粒子径に応じた分級処理により分離、分級された砂礫を含む画分は、本発明における「砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分」に相当する。なお、例えば粒子分級精度のより高い分級機を用いて底泥の分級処理を行い、砂と礫とをそれぞれ別々の画分として分離する実施形態も本発明に包含され得ることは言うまでもない。即ち、そのような実施形態において取得される、砂を主に含む画分、及び礫を主に含む画分も本発明における「砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分」に包含され得る。
本発明において、「シルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分」とは、水底から回収した底泥に対して後述する分級処理を施して得られる画分のうち、シルト粒子及び/又は粘土粒子を主な構成要素として含む画分を言う。「砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分」について説明した通り、本発明においては、例えば、遠心力を利用した湿式分級機を用いて水底から回収した底泥を分級することから、砂礫よりも比重及び粒子径が小さい、細粒のシルト粒子や粘土粒子は、砂礫から分離される。つまり、このような底泥中の粒子成分に応じた分級処理により分離、分級されたシルト粒子や粘土粒子を含む画分は、本発明における「シルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分」に相当する。なお、砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分」と同様に、例えば粒子分級精度のより高い分級機を用いて底泥の分級処理を行い、シルト粒子と粘土粒子とをそれぞれ別々の画分として分離する実施形態も本発明に包含され得ることは言うまでもない。即ち、そのような実施形態において取得される、シルト粒子を主に含む画分、及び粘土粒子を主に含む画分も本発明における「シルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分」に包含され得る。
〔底泥回収システム〕
次に、図1〜8を参照することにより本発明による底泥回収システムの実施形態について説明する。なお、図1〜8は、特に断わりの無い限り、各構成要素の位置や縮尺、並びに各構成要素間の連結形式等の詳細な形態を特定するものではなく、本発明において含まれ得る構成要素を概念的に説明するものである。
図1は、本発明の底泥回収システムの構成を概念的に示すものである。
図1に示す通り、本発明の底泥回収システム10は、少なくとも、対象水域の水底5から底泥を回収する底泥回収ユニット21と、回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する底泥処理ユニット22と、上記細粒画分を回収する細粒回収ユニット23とを備える。本発明の底泥回収システム10においては、底泥処理ユニット22において分級された砂礫画分は、該底泥処理ユニット22から排出され、上記浄化対象水域の水底5に戻される(図中矢印c)。
上記底泥回収ユニット21は、水底から底泥を回収し得るものであればその構成等は特に限定されるものでもないが、例えば、サンドポンプ、高圧ポンプ等のポンプを利用して底泥を吸引する底泥吸引器(不図示)を備えるものであってもよいし、底泥を掘削するカッター(例えば、ロータリーカッターなど)、ドラグショベル、ドラグヘッド、グラブバケット、バケットホイール、バックホー等の砂泥掘削部材を含む底泥掘削機(不図示)を備えるものであってもよいし、或は水ジェットを噴出することにより底泥を巻き上げ、吸引ポンプを用いた吸引により回収する砂泥回収機等(不図示)を備えるものであってもよい。また、底泥回収ユニット21は、これらの部材や砂泥回収装置等を組み合わせて構成された底泥回収機構を備えるものであってもよい。底泥回収ユニット21は、このような底泥回収機構を有することにより、水底5から底泥を回収することができる(図中矢印a)。
さらに、上述の底泥回収機構により水底から底泥を回収する際に、底泥回収作業により巻き上げられた底泥が、底泥回収ユニット21が位置する水底の作業領域から拡散して、その周辺領域に混入又は流入することが予測される。したがって、このような底泥回収作業による周辺領域への底泥の混入又は流入を防止するために、底泥回収ユニット21は、上記作業領域とその周辺領域とを隔離する隔離部材(例えば、以下の実施形態2aに示す汚濁水拡散防止カバー)等を備えることが好ましい。底泥回収ユニット21が、このような隔離部材を備え、その内部に底泥回収機構を有する実施形態においては、化学物質や放射性物質等の汚染物質に汚染された水底から底泥を回収する場合であっても、底泥回収作業によりそれら汚染物質が周辺領域に混入又は流出することを防止できるからである。但し、底泥回収ユニット21がこのような隔離部材を備えることは必ずしも必須ではない。
また、底泥回収ユニット21は、上記底泥回収機構に水底から底泥を導く導入ガイド等の底泥導入部材を備えるものであってもよい。底泥回収ユニット21が、このような底泥導入部材を備える場合には、水底から底泥を効率的に回収することができる。
また、上記底泥回収ユニット21は、任意の方向に水中及び/又は水底を移動可能であるように構成されていることが好ましい。「水中及び/又は水底を移動可能であるように構成されている」という用語は、底泥回収ユニットが水底表面に接することなく対象水域の水中を移動である実施形態、及び底泥回収ユニットが水底表面に接して移動可能である実施形態に加えて、底泥回収ユニットが水底に一定程度埋没して移動可能である実施形態をも包含することを意味する。また、同用語は、底泥回収ユニット21自体が駆動装置等を有することにより自力で水中及び/又は水底を移動可能であるという実施形態だけでなく、牽引等の外部の手段を用いた場合でも水中及び/又は水底を移動可能であるような形状や強度等の特性を有する実施形態をも包含する趣旨である。この場合、底泥回収ユニット21を移動させる手段、機構等は特に限定されるものでもなく、当業者において、対象水域の状態や深さ等の各種条件を勘案して適切な手段、機構等を選択すれば足りる。より具体的には、底泥回収ユニット21自体が移動を可能にする駆動モータやスクリュー等の駆動手段を備えるものであってもよいし、或はロープやワイヤ等の結束部材を底泥回収ユニット21に連結して水上のボートや船舶等により牽引を可能とするか、又は陸上からの牽引を可能とする形状や強度等の特性を底泥回収ユニット21が有するものであってもよい。さらに、上記底泥回収ユニット21自体が備える駆動手段と外部からの牽引を可能となる形状や強度等の特性との組合せであってもよい。
また、底泥回収ユニット21を、水中や水底を支障なく移動可能とさせるために、底泥回収ユニット21は、浮力調整部材を備えるものであってもよい。浮力調整部材としては、特に限定されるものでもないが、空気の流入により浮力の調整が可能なフローター部材等が挙げられる。このようなフローター部材等の浮力調整部材を備え、同部材への空気の流入量を調整することにより、底泥回収ユニット21の浮力を調整することが可能になる。その結果、流れの速い水流のある対象水域であっても水中や水底で底泥回収ユニット21が流されることなく底泥の回収を効率よく実施可能とし、或は水底に底泥回収ユニット21が過剰に埋没してしまい操業不能な事態に陥る等の事故を防止することができる。但し、底泥回収ユニット21が浮力調整部材を備えることは必ずしも必須ではない。
底泥回収ユニット21において回収された底泥は、次いで底泥処理ユニット22に移送される(図中矢印b)。底泥回収ユニット21から底泥処理ユニット22に回収底泥を移送可能にする手段としては、特に限定されるものでもない。例えば、底泥回収ユニット21と底泥処理ユニット22との間に移送手段としてサンドポンプ等の高圧ポンプを設け、これら部材を配管で連結し、該高圧ポンプの圧力を利用して底泥を底泥回収ユニット21から底泥処理ユニット22に圧送することができる。なお、高圧ポンプの出力や配管の材質等は、対象水域の深さや底質、底泥の特性等の各種条件に応じて当業者において適宜決定され得る。
底泥処理ユニット22は、回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する処理(以下、単に分級処理ということがある。)を可能とする分級部材を備えるものである。このように分級処理を可能とする分級部材としては、具体的には、遠心力を用いた湿式分級機が挙げられ、例えば、液体サイクロン、遠心沈降機等が挙げられる。特に、液体サイクロンは、遠心力を利用して粒子等の固体を比重及び粒子径の大きさに応じて分級するものであるが、構造が単純で分離分級精度や処理能力も高く、サイズや据付面積もコンパクトである点で、本発明の底泥処理ユニット22が備える分級部材としては好適である。液体サイクロンのテーパー構造の周壁部においては下降流が発生し、その流れにのって比重及び粒子径の比較的大きい砂礫はボトムノズルに向かって分級され、ボトムノズルから排出される。一方、液体サイクロンの中心部は逆に上昇流が発生し、比重及び粒子径の比較的小さいシルト粒子や粘土粒子或は凝集した有機物等の汚染物質の粒子は、この流れにのってトップノズルに向かって分級され、最終的にトップノズルから排出される。液体サイクロンにおいては、このように圧送される流体により、おのずと遠心力の作用が生じるので、連続的した分級処理が可能となることから、本発明においては好適に用いられ得る分級部材である。
また、回収した汚泥と薬剤との接触状態を可能にする手段については、特に限定されるものでもないが、例えば、底泥処理ユニット22における分級部材(例えば、サイクロン)に、回収汚泥の注入口とは別の位置に薬剤注入口を設け、該注入口から薬剤を分級部材内部に注入することにより実現するものでもあってもよいし、或は底泥回収ユニット21と底泥処理ユニット22(分級部材)とを連結する移送管の途中に薬剤注入口を設け、該薬剤注入口から薬剤を注入し、予め回収した底泥と薬剤とを混合し、その混合物をサイクロン内部に移送することにより実現するものであってもよい。また、底泥回収ユニット21と底泥処理ユニット22(分級部材)とを連結する移送管の途中に、回収底泥と薬剤とを混合する混合槽等の薬剤混合装置を設けてもよい。また、薬剤貯留槽等を備えた薬剤供給ユニット(図1において不図示、以下各実施形態において説明)を別途設けることにより、同部材から、底泥処理ユニット22における分級部材に設けた薬剤注入口や上記移送管に設けた薬剤注入口を介して前記分級部材に薬剤を供給するものであってもよい。この場合、薬剤供給ユニットと薬剤注入口との連結手段としては、具体的には配管(薬剤供給管)が挙げられ、また薬剤の供給手段としては高圧移送ポンプが挙げられる。但し、本発明における「薬剤注入口」は、上述の配管や薬剤供給ユニットによる薬剤移送手段と共に用いられる形態に必ずしも限定されるものでもなく、例えば、薬剤処理ユニットが地上や船舶等に載置される場合においては、薬剤処理ユニット又はこれに連結された底泥移送管に薬剤注入口を設け、手操作等により該薬剤注入口に直接薬剤を注入し、薬剤処理ユニットにおいて回収汚泥と薬剤との接触状態を可能にするものであってもよい。
底泥処理ユニット22における底泥分級部材として液体サイクロンを用いる場合、その仕様などは、薬剤と接触させた状態で、少なくとも上記砂礫画分と上記細粒画分とに分級し得るものである限り、特に限定されるものでもない。例えば、分離分級精度については、0.1〜800μm、1〜700μm、1〜300μm、1〜200μm等の範囲が挙げられ、単体流量は1〜100L/min、1〜90L/min等の範囲が挙げられる。また、分離される画分の数については、特に限定されるものでもないが、例えば、2液分級型、3液分級型等が利用され得る。このような液体サイクロンの使用は、対象水域における底泥の組成等に応じて適宜選択することでよい。なお、液体サイクロンは、各種仕様のものが市販されているので、それらを適宜利用することができる。市販品としては、例えば、村田工業株式会社製の「2液分級型スーパークロン」(形式SC−150)等を利用することができる。
底泥処理ユニット22において分級された砂礫画分は、同ユニットから排出され、対象水域の水底に戻されることになる。底泥処理ユニット22から排出される砂礫画分は、水底に直接戻してもよいし、例えば更なる分級処理を施したり、或は異物を除去する等、任意の処理を経たのちに水底に戻してもよく、本発明の底泥回収システムはこのような処理を担う部材をさらに備えることができる。また、底泥処理ユニット22から水底に向けて砂礫画分を直接排出することにより戻してもよいが、水底環境や地形を保全・維持するという観点から、例えば後述するバフィーダ等の部材を用いて底泥を回収した領域に戻すことにより、砂泥を回収する前の水底の地形等を維持するように本発明の底泥回収システムを構成することが好ましい。
一方、底泥処理ユニット22において分級された上記細粒画分は、同ユニットから排出され、細粒回収ユニット23によって回収される(図中矢印e)。底泥処理ユニット22から細粒回収ユニット23に細粒画分を回収する機構としては、例えば、底泥処理ユニット22と細粒回収ユニット23とを押圧ポンプを介して配管で連結することが挙げられる。
細粒回収ユニット23は、底泥処理ユニット22から送出される細粒画分を回収し得る回収機構(移送ポンプや移送管など)又は回収槽等を含む部材を備えたものである。また、細粒回収ユニット23は、任意に、シックナー(シルト凝集槽)やクラリファイヤー(凝集清澄化槽、固液分離装置)等の処理部材を一以上組み合わせて構成されてもよい。細粒回収ユニット23がこのような処理部材を備えている場合には、細粒画分は、さらに濃縮等の処理を経ることによりケークとして廃棄可能とされ、或は各種材料として有効利用できる状態とされ得る。但し、このような処理や処理部材は本発明における含み得るものであるものの、必ずしも必須の構成要素ではない。本発明においては、細粒回収ユニット23は、単に底泥処理ユニット22から送出される細粒画分を回収し得るものであれば足りる。
次に、図2〜8を参照しながら本発明の各種実施形態による底泥回収システムの構成を説明する。
<実施形態1>
図2に、本発明の一実施形態(実施形態1)による底泥回収システムの構成を模式的に示す。
実施形態1による底泥回収システム10は、底泥処理ユニット21、底泥処理ユニット22及び細粒回収ユニット23に加えて、さらに薬剤供給ユニット24を備えるものである。
実施形態1においては、底泥回収ユニット21が水底5近傍に位置しているのに対し、底泥処理ユニット22及び細粒回収ユニット23は、水上に浮かぶボート、台船、船舶等の水上輸送体30の上に載置されている。さらに、底泥処理ユニット22に薬剤を供給する薬剤供給ユニット24が水上輸送体30上に載置されている。図2において、矢印aは、底泥回収ユニット21によって水底5から回収される底泥の流れを示し、矢印bは、底泥回収ユニット21から底泥処理ユニット22へ移送される底泥の流れを示し、矢印cは、底泥処理ユニット22において分級された砂礫画分が水底5に向けて排出される流れを示し、矢印eは、底泥処理ユニット22において分級された細粒画分が細粒回収ユニット23に移送、回収される流れを示し、さらに矢印fは、薬剤供給ユニット24から底泥処理ユニット22に向けて供給される薬剤の流れを示す。
実施形態1による底泥回収システム10においては、底泥回収ユニット21を除き、底泥処理ユニット22、細粒回収ユニット23、及び薬剤供給ユニット24は、水上の輸送体30の上に載置されているので、これらユニットに対して輸送体30上で容易に監視、制御、保守点検等の操作ができるという利点がある。
実施形態1において、底泥処理ユニット22に薬剤を供給する薬剤供給ユニット24が、水上輸送体30上に載置されているが、薬剤供給ユニット24から底泥処理ユニット22への薬剤の注入機構としては、特に限定されるものでもないが、例えば、高圧ポンプを介した配管を利用することができる。
なお、各ユニットやその他の部材等の具体例、形態、仕様、条件等は、図1について説明したものを適宜選択することができる。
<実施形態2>
図3に、本発明の更なる別の実施形態(実施形態2)による底泥回収システムの構成を模式的に示す。
実施形態2による底泥回収システム10においては、水底5近傍に底泥回収ユニット21が位置し、底泥処理ユニット22は、底泥回収ユニット21の上面一端部に固定されている。図3に示す状態においては、底泥回収ユニット21は水底5に接触状態となっているが、実施形態2において、底泥回収ユニット21は上述の通り水中又は水底を移動可能であってもよい。また、上述のとおり、底泥処理ユニット22は、底泥回収ユニット21の上面一端部に固定されているが、底泥回収ユニット21が水底5の近傍の水中、又は水底5を移動しつつ底泥を回収する場合(つまり、底泥処理ユニット22も底泥回収ユニット21と共に移動する場合)には、底泥処理ユニット22は、底泥回収ユニット21の進行方向に対して底泥回収ユニット21の後部に固定されていることが好ましい。このような形態を採用することにより、底泥回収ユニット21が底泥を回収した水底5の領域(掘削や吸引により形成された溝)を底泥回収ユニット21から排出される砂礫画分によって被覆することが可能となり、その結果、底泥回収前の水底の地形を保全・維持することができるからである。
一方、細粒回収ユニット23及び薬剤注入ユニット24は、水上に浮かぶ水上輸送体30の上に載置されている。
実施形態2において、各ユニットやその他の部材等の具体例、形態、仕様、条件等は、上記実施形態1並びに以下の各種実施形態について説明したものを適宜選択することができる。
なお、図3における矢印a〜fの意味は、図2(実施形態1)について説明した通りである。
<実施形態3>
図4に、本発明の更なる別の実施形態(実施形態3)による底泥回収システムの構成を模式的に示す。
実施形態3による底泥回収システム10においては、実施形態2と同様に、底泥回収ユニット21は、水底5の近傍に位置し、底泥処理ユニット22は、底泥回収ユニット21の上面一端部に固定されている。一方、細粒回収ユニット23及び薬剤注入ユニット24は、水域の岸付近の陸上に設置されている。
上述のとおり、底泥処理ユニット22は、底泥回収ユニット21の上面一端部に固定されているが、底泥回収ユニット21が水底5の近傍の水中、又は水底5を移動しつつ底泥を回収する場合(つまり、底泥処理ユニット22も底泥回収ユニット21と共に移動する場合)には、底泥処理ユニット22は、底泥回収ユニット21の進行方向に対して底泥回収ユニット21の後部に固定されていることが好ましい。上述のとおり、底泥回収前の水底地形を維持・保全することができるからである。なお、水中又は水底での底泥回収ユニット21及び底泥処理ユニット22の移動については、その移動手段については特に限定さらえるものでもない。例えば、ロープやワイヤ等の結束部材を底泥回収ユニット21及び/又は底泥処理ユニット22に連結して結束部材を水上にあるボートや船舶等で牽引してもよいし、又は陸上から牽引装置を用いて結束部材を牽引することにより底泥回収ユニット21及び底泥処理ユニット22を移動させてもよい。或は、底泥回収ユニット21に駆動装置を設け、陸上や船舶等からリモートコントローラを用いて制御することにより底泥回収ユニット21を移動させてもよい。
上述のとおり、実施形態3による底泥回収システム10においては、細粒回収ユニット23及び薬剤注入ユニット24は、水域の岸付近の陸上に設置されている。このような構成を採用する利点としては、特定の水域に対して水質環境の保守、保全を定期的なシステムの操業により行うような場合には改めてシステム全体を構築する必要が無い点で利便性が高い。また、陸上に細粒回収ユニット23が設置されていることから、細粒回収ユニット23において回収された細粒画分に対する後処理を行うための部材を隣接させて設けることが可能であり、後処理を効率的かつルーティン的に実施することができる点で、実施形態3による底泥回収システム10は利便性が高い。さらに、薬剤注入ユニット24も陸上に設置されていることから、薬剤の管理や補充、並びに薬剤注入ユニット24の保守点検作業も容易に行うことができる点で、実施形態3による底泥回収システム10は利便性が高い。
なお、実施形態3において、各ユニットやその他の部材等の具体例、形態、仕様、条件等は、上記実施形態1〜2並びに以下の実施形態について説明したものを適宜選択することができる。
なお、図3における矢印a〜fの意味は、図2(実施形態1)について説明した通りである。
<実施形態2a>
図5は、図3の実施形態2をより具体化した実施形態2aによる底泥回収システムの構成を示す模式図である。
実施形態2aによる底泥回収システム210においては、水底に所定深度で埋没して底泥回収ユニット221が位置し、水底を所定の深度で掘削可能とされている。また、底泥処理ユニット222は、底泥回収ユニット221と一体化されている掘削溝被覆機219の上面に固定されており、底泥回収ユニット221の下部開口は掘削溝被覆機219内部に連通している。一方、細粒回収ユニット223及び薬剤供給ユニット(不図示、薬剤注入管について図中の符号211)は、水上に浮かぶ水上輸送体230の上に載置されている。
実施形態2aにおいて、底泥回収ユニット221は、具体的には、ロータリーカッター等のカッターを有するサンドシュータ206を備えた底泥掻き上げ機である。カッター刃の仕様に関し、掘削深度(図5における符号gで示す深度)は、水底における汚泥の集積具合や、シルト粒子や粘土粒子が堆積している底泥の深度等を勘案して選択すればよく、特に限定されるものでもない。具体的には、10〜10000mm、150〜8000mm、150〜7000mm、150〜6000mm、150〜3000mm、150〜1000mm、150〜500mm等の範囲であり、例えば、掘削深度150mmのカッター刃、掘削深度450mmのカッター刃、又はこれら二種のカッター刃の組合せ等が挙げられる。サンドシュータ形式の底泥掻き上げ機の場合、カッター刃の交換・脱着が簡便である。水底における汚泥の集積具合や、シルト粒子や粘土粒子が堆積している底泥の深度等を勘案の上、適した掘削深度範囲のカッター刃を選択し、底泥掻き上げ機に簡便に装着することができる。また、カッター刃の材質や強度等は、水底の岩質分布の状況等を勘案して適宜選択すればよいが、例えば、硬い岩質が水底表層に凸状に突出して分布しているような場合には、より硬度の高い材質からなるカッター刃を選択することが考慮され、より具体的には、人工ダイアチップ刃等の強靭なカッター刃を採用することが考慮できる。このような強度の高いカッター刃を採用することにより、硬い岩質がところどころに分布するような水底であっても、均一な掘削深度を維持することが可能となり、完全な底泥の回収を達成し得る。また、カッター刃としてシューター形式を用いた場合、掘削底泥はカッター中央部に勢いよく吹き上げるため、例えば吸引ポンプ用いて底泥を底泥処理ユニット222に移送する場合には、カッター中央部に吹き上げた底泥はその吸引ポンプの圧力によりそのまま底泥処理ユニットに向けて移送することができる。
図6(a)及び(b)に、一例として、底泥掻き上げ機221の構造を模式的に示す。図6(a)は、底泥掻き上げ機221の進行方向に沿った側断面を示し、図6(b)は、底泥掻き上げ機221の構造を水底に接する側から見た図(上図)と、底泥掻き上げ機320の進行方向に対して垂直な方向における側断面を示す図(下図)である
図6の形態による底泥掻き上げ機221は、ロータリーカッター309(図6(b))を有するサンドシュータ306(図6(a))を採用したものである。図6において、符号319は、防護ネットを示す。このような防護ネットを設けることにより、比較的大きな小石、枯木、枯葉等の障害物が存在する場合であっても、底泥掻き上げ機320又はカッター刃の破損や故障を防止することができる。
なお、図6(a)及び(b)において、符号209は、回収した底泥を底泥処理ユニットに導く底泥移送管を示し、符号208は、サンドシュータ306によって巻き上がられた底泥を水と共に底泥移送管209に導くサンドポンプ(高圧スラリーポンプ)を示し、符号207は導泥ガイドを示し、符号317は、ロータリーカッター309を回転させる駆動装置に相当する駆動モータを示す。図6(b)においてwは、底泥掻き上げ機221の間口寸法を示し、具体的には1000mm〜2500mm、より具体的には1500mm〜2200mm、例えば1686mmとすることができる。但し、これらの範囲や値に限定されるものではない。
図5の実施形態2aにおいて、ポンプ208は、具体的には高圧スラリーポンプである。高圧スラリーポンプ208の吸引作用により、サンドシュータ206によって同部材の中央部に勢いよくかき寄せられ、かつ巻き上げられた底泥は、高濃度懸濁水として瞬時に余すことなく底泥移送管209に吸引される。底泥移送管209に吸引された底泥は、底泥移送管209の途中であって底泥処理ユニット222に入る直前で薬剤供給管211から供給される薬剤と合流し、底泥処理ユニット222に圧送される。なお、薬剤供給管211としては、例えば、ジャバラホース等の簡素な素材のものを利用してもよいし、耐塩性や耐腐食性の高い金属や合金からなるもの等を利用することも可能である。また、ジャバラホース等の柔らかい素材でできたものを薬剤供給管211として用いた場合には、図5に示す通り、薬剤供給管211をドラム212に予め巻き付けておき、ドラム212から適宜送出することができる。
また、実施形態2aにおいては、図5に示す通り、薬剤供給管211は、底泥処理ユニット222の手前で底泥移送管209に接続されている。このような構成により、回収した底泥と薬剤との接触を可能とすることができる。しかしながら、本発明においては、例えば、上記に示したように、底泥移送管209の上流で薬剤と混合される形態や、或は底泥処理ユニット222に薬剤を別途注入することにより、移送される底泥と薬剤とを接触させる形態等も当然に想定され得る。
実施形態2aにおいて、底泥処理ユニット222は、具体的には液体サイクロンを分級部材として備えるものである。高圧スラリーポンプ208により底泥移送管209を介して圧送された底泥は、薬剤供給管210を介して注入された薬剤と接触し、液体サイクロン222内に導入され、薬剤と接触した状態において強力な遠心力により、砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分と、シルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級される。
液体サイクロン222内においては、比重・粒径の大きい砂礫を主に含む砂礫画分はボトムノズル217に導かれ、掘削溝被覆機219のバフィーダボックス内に落下される。バフィーダボックス内のバフィーダ205により、掘削溝が、砂礫画分で覆砂され、覆砂土51が形成される。即ち、底泥掻き上げ機221により形成された掘削溝は、液体サイクロン222により分球された砂礫画分により被覆されることから、底泥回収前の水底地形等が保全されることになる。バフィーダ205として用いられ得る部材としては、道路工事等でアスファルトを広げるために使用されている汎用品のバフィーダを用いることができる。
なお、図5においては、底泥回収システムの進行方向は、矢印hで示されている。液体サイクロン222の稼働により砂礫画分は連続的に生成し、バフィーダボックス内に排出されるため、底泥掻き上げ機221によって連続して形成される掘削溝は、形成された直後に、底泥回収システムの移動と共に砂礫画分で連続して被覆され、効率的な底泥回収作業が可能となる。
実施形態2aにおいては、サンドシュータ205を利用した底泥掻き上げ機221と、上記砂礫画分による掘削溝の被覆を行う掘削溝被覆部219(バフィーダ)とは、一体の汚濁水拡散防止カバー218によって覆われており、一体に形成されている。このような形態により、各ユニット又は部材において生じる底泥の掻き揚げ、巻き上げの工程、並びに掘削溝被覆工程は、汚濁水拡散防止カバー218内で隔離されて実施されることとなり、仮に底泥が著しく汚染されているような場合でも、これら部材又は工程で生じ得る、汚染物質を高濃度に含む汚濁水が作業領域周囲に拡散することを防止できる。
一方、液体サイクロン222内部で、比重及び粒子径の比較的小さいシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分は、遠心力の作用によりサイクロン中心部に発生した上昇流にのってトップノズル216に向かって分級され、トップノズル216から排出される。実施形態2aにおいては、トップノズル216に高圧スラリーポンプ208を連結させ、同ポンプの圧力により、その上に連結した細粒回収管215へと細粒画分を圧送する。最終的には、排出された細粒画分は、細粒回収管215を介して、台船230上に設置した細粒回収ユニット223に回収される。なお、細粒回収管215としては、薬剤供給管211と同様、例えばジャバラホース等の簡素な素材のものを利用してもよいし、耐塩性や耐腐食性の高い金属や合金からなるものを利用することが可能である。また、ジャバラホース等の柔らかい素材でできたものを細粒回収管215として用いた場合には、図5に示す通り、細粒回収管215をドラム213に予め巻き付けておき、ドラム213から適宜送出することができる。
実施形態2aにおいて、細粒回収ユニット223は、上述した通り、単なる回収槽から構成されるものであってもよいし、シックナー(シルト凝集槽)やクラリファイヤー(凝集清澄化槽;固液分離装置)等の処理部材を一以上組み合わせて構成されるものであってもよい。
実施形態2aにおいて、上述のとおり、底泥回収ユニット(底泥掻き上げ機)220と掘削溝被覆機219とは、汚濁水拡散防止カバー218を介して一体化して形成されている(以下、底泥掻き上げ機220と掘削溝被覆機219とを一体化装置と称することがある。)。これら両ユニットの一体装置の寸法については、対象水域の面積、深度、水底の状態等に応じて適宜決定し得るものであるが、間口寸法(W)が、具体的には300mm〜10000mm、より具体的には500mm〜6000mm、さらに具体的には1000mm〜5000mm、さらに具体的には1000mm〜3000mm、さらに具体的には1686mm〜2100mm、奥行寸法が、具体的には500mm〜10000mm、より具体的には500mm〜6000mm、さらに具体的には700mm〜5000mm、さらに具体的には800mm〜3000mm、さらに具体的には800mm〜2000mm、さらに具体的には900mm〜1200mmのものを採用し得る。また、状況によっては、一体装置の間口寸法(W)が、300mm〜10000mm、より具体的には500mm〜6000mm、さらに具体的には1000mm〜5000mm、さらに具体的には3372mm〜4200mmの範囲等の大型機とすることも可能である。この場合、サンドシュータやバフィーダ、さらに液体サイクロンの仕様なども、これら寸法の範囲に適合させつつ、対象水域の面積、深度、水底の特性や状態等に応じたものを適宜選択すればよい。
また、水底や水中に位置する、底泥回収ユニット221、掘削溝被覆機219及び底泥処理ユニット222等の構成部材は、エアーフロート等の浮力調整部材を装着させることにより、それら構成部材の沈降速度等を調製することができる。即ち、掘削溝被覆機219、液体サイクロン222等を含む一体装置の水底への沈み込みが発生するような場合には、該部材の沈降により底泥の掘削や掘削溝の被覆が阻害されないように、一体装置の四隅にエアーフロートを装着しておき、沈み込みが発生した際に適宜エアーを注入して進度を調整し、沈み込みを防止したり、沈み込みからの離脱を可能にし得る。
実施形態2aにおいて、上記泥回収ユニット(底泥掻き上げ機)221、掘削溝被覆機219、液体サイクロン222等を含む一体装置、並びに台船230を移動可能とさせる機構については、特に限定されるものでもなく、当業者において適当なものを選択し得る。例えば、これら部材にロープやワイヤ等の結束部材を結束して同結束部材をタグボートで牽引することにより、底泥回収システム210を水底に対して一体的に移動させることができる。貯水池や湖沼、港湾水域等のように対象水域の面積が小さく、タグボートでの牽引に支障がある場合には、堤防や岸等にウインチを据え付け牽引することで移動させることも可能である。
なお、実施形態2aによる底泥回収システム210においては、上記泥回収ユニット(底泥掻き上げ機)221及び掘削溝被覆機219を含む一体装置を、水底に一定深度で埋没するような態様で移動させることにより底泥を掘削して回収をするものであるが、例えば、湖沼浅瀬のヨシやマコモ等の水草が生え茂る水域や、海藻が生い茂る湾海域においては、このような一体装置を水底に接触させて移動させることは困難である。このような場合には、カッター等を用いた底泥掻き上げ機やバフィーダを利用した掘削溝被覆機を用いた実施形態ではなく、例えば、図7又は図8に示すような実施形態を採用することができる。
<実施形態2b>
図7に示す実施形態2bによる底泥回収システム210においては、吸引ポンプ208に底泥吸入管231を連結し、かつ底泥吸入管231の先端には底泥吸入口225を設けることにより構成された底泥回収ユニット221と、液体サイクロンを分級部材として備える底泥処理ユニット222と、その上に位置する高圧ポンプ208とを一体として架台(不図示)に固定し、ロープやワイヤ等の結束部材を結束して台船から吊り下ろす等の手段により、これら部材の水中移動を可能としたものである。また、これら一体とした部材が水底に着底等して水草などの障害物に巻きもまれないようにするためには、例えば、実施形態2aについて述べた通り、これら一体部材にエアーフロート等の浮力調整部材を装着して適宜に浮力を調整することができる。
実施形態2bにおいては、吸引ポンプ208の吸引作用により底泥吸入管231の吸入口225から底泥を吸い上げ(図中符号aで示す矢印)、液体サイクロン222に移送する。このような構成によれば、対象水域が例え湖沼浅瀬のヨシやマコモ等の水草が生え茂る水域であっても、水草等にシステムが巻き込まれるなどの障害も無く、底泥を回収すると共にサイクロン(底泥処理ユニット)222において処理、分級された砂礫画分を、底泥を吸い上げた領域に連続的に戻すことができる(図中符号cで示す矢印)。
なお、その他ユニットを構成する部材等については、図5の実施形態2aで述べた通りであり、本実施形態においては、他の実施形態で説明した部材等を適宜利用したり及び/又は組み合わせることができる。
<実施形態3a>
図8に示す実施形態3aによる底泥回収システム210においては、実施形態2bと同様に、吸引ポンプ208に底泥吸入管231を連結し、かつ底泥吸入管231の先端には底泥吸入口225を設けることにより構成された底泥回収ユニット221と、液体サイクロンを底泥分級部材として備える底泥処理ユニット222と、その上に位置する高圧ポンプ208とが一体として架台(不図示)に固定されている。実施形態2bとの違いは、細粒回収ユニット及び薬剤供給ユニットを台船等の水上輸送体に載置するのではなく、陸上に設置している点である。なお、実施形態3aにおいては、細粒回収ユニット223及び薬剤供給ユニット224は、陸上である岸に設置されているが、例えば、対象水域が港湾等の水域である場合、堤防等の水域保全施設に設置してもよい。実施形態3aについては、海底に海藻が生い茂る比較的狭い港湾水域や、比較的小さい湖沼を対象水域とする場合には有利である。このような、比較的狭い水域においては、各ユニットの設置場所となる台船等の輸送体を使用することが困難であったり、制限されるからである。但し、これら対象水域において他の実施形態の利用が制限される趣旨ではない。
なお、その他部材については、図5の実施形態2a及び2bについて述べた通りであり、本実施形態においては、他の実施形態で説明した部材等を適宜利用し及び/又は組み合わせることができる。
〔底泥回収方法〕
本発明の一の態様は、本発明による底泥回収システムを用いることにより対象水域の水底から底泥を回収する方法に関する。その方法の工程は、上記底泥回収システムにおけるユニットないし各部材の機能等について説明した通りである。具体的に、その工程は、以下の本発明の別の態様による底泥回収方法における工程に対応する。
本発明の別の態様は、以下の底泥の回収方法に関する。
[17](A)対象水域の水底から底泥を回収する工程;
(B)回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する工程;
(C)分級された砂礫画分を上記対象水域の水底に戻す工程;並びに
(D)上記細粒画分を回収する工程
を含む、底泥回収方法。
具体的には、工程(A)から(D)は、上述の本発明の底泥処理システムにおける各ユニット等の機能に相応する。即ち、工程(A)は、上述の泥回収ユニットによって実行可能であり、工程(B)は、底泥処理ユニットによって実行可能であり、工程(C)は、底泥処理ユニットにおいて生成した砂礫画分を底泥処理ユニットから排出することにより達成され得るものであり、工程(D)は、細粒回収ユニットによって実行可能である。
なお、本発明による底泥回収方法において各用語の意義は上記に説明した通りである。
上記[1]による底泥回収方法においては、以下の実施形態を採用することが好ましい。
[18]
工程(B)において、遠心力を用いた湿式分級機を用いることにより、上記回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する、[17]に記載の底泥回収方法。
[19]
上記遠心力を用いた湿式分級機は、液体サイクロンである、[18]に記載の底泥回収方法。
なお、液体サイクロンについての形態又は条件は、上記に底泥回収システムについて説明した通りであり、それら諸条件は本底泥回収方法においても採用され得る。例えば、分離分級精度については、0.1〜800μm、1〜700μm、1〜300μm、1〜200μm等の範囲が挙げられ、単体流量は1〜100L/min、1〜90L/min等の範囲が挙げられる。また、分離される画分の数については、特に限定されるものでもないが、例えば、2液分級型、3液分級型等が利用され得る。
[20]
工程(A)において水底から底泥が回収されることにより形成された水底の溝が、工程(C)において、上記分級された砂礫画分によって被覆されるように、該分級された砂礫画分を連続して上記対象水域の水底に戻す、[17]から[19]の何れかに記載の底泥回収方法。
このような水底の溝に対する砂礫画分の被覆を可能とする具体的な手段としては、上述の実施形態2a、2b及び3aの底泥回収システム、又はそれら底泥回収システムにおける底泥回収ユニット、底泥処理ユニット、底泥掻き上げ機、掘削溝被覆機、高圧ポンプ、底泥吸入管、底泥吸入口等の組合せを用いることができる。なお、実施形態2a、2b及び3aの底泥回収システムの構成、並びに各ユニットと部材の組合せにおける構成は上述の通りであり、それらは本発明の底泥回収方法においても採用される実施形態である。
[21]
工程(A)において、1以上のカッターを有するサンドシュータを備える底泥掘削回収機を用いることにより、対象水域の水底から底泥を回収する、[17]から[20]の何れかに記載の底泥回収方法。
なお、底泥掘削回収機のより具体的な構成は上記に説明した通りである。
[22]
上記1以上のカッターが、ロータリーカッターを含む、[21]に記載の底泥回収方法。
[23]
上記1以上のカッターが、掘削深度が10〜10000mmのものである、[22]に記載の底泥回収方法。
ここで、掘削深度は、より具体的には、150〜8000mm、150〜7000mm、150〜6000mm、150〜3000mm、150〜1000mm、150〜500mm等の範囲、例えば、掘削深度150mmのカッター刃、掘削深度450mmのカッター刃、又はこれら二種のカッター刃の組合せ等が挙げられる。
[24]
上記底泥掘削回収機の上部に高圧ポンプが設けられており、工程(A)において、上記1以上のカッターにより掘削され、かつ上方に向けて巻き上げられた底泥が、該高圧サンドポンプによる吸引により回収されるものである、[21]から[23]の何れかに記載の底泥回収方法。
具体的には、実施形態2a(図5及び6)において説明した底泥掘削回収機を用いることが好ましい。
[25]
工程(A)において、高圧ポンプの圧力を利用して対象水域の水底から底泥を回収するものである、[17]から[23]の何れかに記載の底泥回収方法。
本実施形態においては、具体的には、本発明の底泥回収システムに関し実施形態2b及び3aにおいて説明した通り、吸引ポンプ208に底泥吸入管231を連結し、かつ底泥吸入管231の先端には底泥吸入口225を設けることにより構成された底泥回収ユニットを用いることが好ましい。
[26]
上記薬剤が、凝集剤を含む、[17]から[25]の何れかに記載の底泥回収方法。
ここで、凝集剤は、例えば、水処理分野で利用される各種凝集剤が挙げられる。
なお、底泥回収システムにおいて説明した技術的事項と、底泥回収方法について説明した技術的事項は、特に断わりの無い限り、底泥回収システムと底泥回収方法との間で相互に適用され得るものであり、また、その両者において、それら技術的事項を任意に組み合わせることができる。
〔前処理〕
本発明の底泥回収システムないし底泥回収方法を実施する際に、必要に応じて、対象水域の水底に沈在しているビニールシート片、古タイヤ、長靴、枯れ枝、バケツ等の粗大棄雑物を除去する等の前処理を実施することができる。このような粗大棄雑物の除去は、スクリーンやメッシュ構造を有する部材を備えた装置等を用いて達成することができる。
なお、上述した実施形態は本発明の例示を目的としたものであり、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。なお、各構成要素等を示すのに用いた符号は、単にそれら構成要素等についての説明を容易とするために用いたものであり、それら構成要素等を特定の構成等に限定するものではない。
本発明の底泥回収システム及び底泥回収方法は、湖沼、貯水池、河川、海洋、湾海域、港湾水域等の水域において底質汚染の除去に利用できる。
5 水底
10,210 底泥回収システム
21 底泥回収ユニット
22 底泥処理ユニット
23 細粒回収ユニット
24 薬剤供給ユニット
30 水上輸送体
51 覆砂土
205 バフィーダ
206,306 サンドシュータ
207 導泥ガイド
208 高圧ポンプ
209 底泥移送管
211 薬剤供給管
212,213 ドラム
215 細粒回収管
216 トップノズル
217 ボトムノズル
218 汚濁水拡散防止カバー
219 掘削溝被覆機(バフィーダ)
221 底泥掻き上げ機(底泥回収ユニット)
222 液体サイクロン(底泥処理ユニット)
223 細粒回収ユニット(シックナー)
225 底泥吸入口
230 台船(水上輸送体)
231 底泥吸入管
309 ロータリーカッター
319 防護ネット
317 駆動モータ


Claims (26)

  1. 対象水域の水底から底泥を回収する底泥回収ユニットと、
    回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する底泥処理ユニットと、
    上記細粒画分を回収する細粒回収ユニットと、
    を備え、
    上記砂礫画分は、上記底泥処理ユニットから排出され、上記対象水域の水底に戻される、
    底泥回収システム。
  2. 上記底泥処理ユニットは、遠心力を用いた湿式分級機を備える、請求項1に記載の底泥回収システム。
  3. 上記底泥処理ユニットは、液体サイクロンを備える、請求項1又は2に記載の底泥回収システム。
  4. 上記底泥回収ユニットは、水中及び/又は水底を移動可能であるように構成されており、該底泥回収ユニットの移動方向において上記底泥処理ユニットが該底泥回収ユニットの後部に位置するよう、該底泥回収ユニットと該底泥処理ユニットとが一体化されている、請求項1から3の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  5. 上記底泥回収ユニットによって底泥が回収されることにより形成された水底の溝が、上記底泥処理ユニットから砂礫画分が排出されることにより、該砂礫画分で連続して被覆されるよう構成されている、請求項1から4の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  6. 上記底泥処理ユニットには、回収した底泥と薬剤との接触状態を可能とする薬剤注入口が設けられている、請求項1から5の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  7. 上記底泥回収ユニットと上記底泥処理ユニットとの間に底泥移送管が設けられており、該底泥移送管には上記薬剤が供給される薬剤注入口が設けられている、請求項1から6の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  8. 上記底泥回収ユニットは、底泥を掘削する1以上のカッターを有するサンドシュータを備える底泥掘削回収機を含む、請求項1から7の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  9. 上記1以上のカッターが、ロータリーカッターを含む、請求項8に記載の底泥回収システム。
  10. 上記1以上のカッターは、掘削深度が10〜10000mmのものである、請求項8又は9に記載の底泥回収システム。
  11. 上記1以上のカッターにより掘削され、かつ上方に向けて巻き上げられた底泥が上記底泥移送管へと吸引されるよう上記底泥掘削回収機の上部に高圧ポンプが設けられている、請求項8から10の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  12. 上記底泥回収ユニットは、高圧ポンプを備え、該高圧ポンプの圧力を利用して対象水域の水底から底泥を回収するものである、請求項1から10の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  13. 上記細粒回収ユニットは、水上輸送体の上に設置されるものである、請求項1から12の何れか1項に記載の底泥回収システム。
  14. 上記細粒回収ユニットは、陸上又は水域保全施設上に設置される、請求項1から12の何れか1項に記載の汚泥回収システム。
  15. 上記底泥処理ユニットに上記薬剤を供給する薬剤供給ユニットをさらに備える、請求項1から14の何れか1項に記載の汚泥回収システム。
  16. 請求項1から15の何れか1項に記載の底泥回収システムを用いることにより対象水域の水底から底泥を回収する方法。
  17. (A)対象水域の水底から底泥を回収する工程;
    (B)回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する工程;
    (C)分級された砂礫画分を上記対象水域の水底に戻す工程;並びに
    (D)上記細粒画分を回収する工程
    を含む、底泥回収方法。
  18. 工程(B)において、遠心力を用いた湿式分級機を用いることにより、上記回収した底泥を、薬剤と接触させた状態で、少なくとも砂及び/又は礫を主に含む砂礫画分とシルト粒子及び/又は粘土粒子を主に含む細粒画分とに分級する、請求項17に記載の底泥回収方法。
  19. 上記遠心力を用いた湿式分級機は、液体サイクロンである、請求項18に記載の底泥回収方法。
  20. 工程(A)において水底から底泥が回収されることにより形成された水底の溝が、工程(C)において、上記分級された砂礫画分によって被覆されるように、該分級された砂礫画分を連続して上記対象水域の水底に戻す、請求項17から19の何れか1項に記載の底泥回収方法。
  21. 工程(A)において、1以上のカッターを有するサンドシュータを備える底泥掘削回収機を用いることにより、対象水域の水底から底泥を回収する、請求項17から20の何れか1項に記載の底泥回収方法。
  22. 上記1以上のカッターが、ロータリーカッターを含む、請求項21に記載の底泥回収方法。
  23. 上記1以上のカッターが、掘削深度が10〜10000mmのものである、請求項22に記載の底泥回収方法。
  24. 上記底泥掘削回収機の上部に高圧ポンプが設けられており、工程(A)において、上記1以上のカッターにより掘削され、かつ上方に向けて巻き上げられた底泥が、該高圧サンドポンプによる吸引により回収されるものである、請求項21から23の何れか1項に記載の底泥回収方法。
  25. 工程(A)において、高圧ポンプの圧力を利用して対象水域の水底から底泥を回収するものである、請求項17から23の何れか1項に記載の底泥回収方法。
  26. 上記薬剤が、凝集剤を含む、請求項17から25の何れか1項に記載の底泥回収方法。
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