JP3516381B2 - 金属ベース回路基板 - Google Patents

金属ベース回路基板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高発熱性電子部品或い
は高発熱性電子部品と制御回路電子部品とを実装され実
使用された際に、耐熱衝撃性に優れ、従って高信頼性に
優れる金属ベース回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高発熱性電子部品を実装する
回路基板として、熱伝導性の良好な金属、例えば、アル
ミニウム、銅等の金属板を基材に用い、該金属板上に数
十μm程度の厚さの無機フィラー含有樹脂からなる絶縁
層を設け、更に前記絶縁層上に回路形成されてなる金属
ベース回路基板が知られている。
【0003】金属ベース回路基板は、高い放熱性を生か
せるという特徴を有しているので、インバーター、電
源、電装部品といった比較的高出力の用途分野で用いら
れている。
【0004】しかしながら、金属ベース回路基板は、一
般に、金属板と金属箔が異なる金属により形成されてい
るため、製造時に受ける熱により応力が絶縁層近傍に発
生し易い。そのため、例えば、熱衝撃を繰り返すような
使用条件においては、絶縁層にクラックが入り、最悪の
場合には絶縁破壊を起こすことがあった。
【0005】製造時や使用時に受ける熱変化により発生
する熱応力を緩和するため、絶縁層の無機フィラーの充
填率を低下させることが行われているが、充填率を低下
させると金属ベース回路基板の特徴である高い熱伝導性
を保てないという問題点がある。
【0006】また、金属板を回路と同じ銅板にするとい
う試みも行われたが、重量が重くなる、コストが高い等
の問題点があり、現在、ほとんど使用されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱衝撃を繰
り返すような或いは強い熱衝撃を受ける使用条件におい
ても絶縁層にクラックが発生しない、信頼性の高い金属
ベース回路基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属板上に絶
縁層を介して回路を設けてなる金属ベース回路基板であ
って、回路が絶縁層に接するアルミニウム層と前記アル
ミニウム層に接する金属層とからなる多層構造部分を有
し、前記多層構造部分のアルミニウム層の回路幅が該ア
ルミニウム層上の金属層の回路幅よりも大きく、前記多
層構造部分のアルミニウム層の回路上縁と該アルミニウ
ム層上の金属層の回路下縁との水平距離(A)が50μ
m以上大きく、アルミニウム層の厚みが50μm以上1
000μm以下であることを特徴とする金属ベース回路
基板である。
【0009】本発明は、前記多層構造部分のアルミニウ
ム層上の金属層の回路幅と厚みについて、回路下縁と回
路上縁との距離(L)と回路厚み(T)との比(T/
L)が1〜であることを特徴とする前記金属ベース回
路基板である。
【0010】又、本発明は、回路を形成するアルミニウ
ム層の絶縁層側にアルマイト層を設けている前記の金属
ベース回路基板である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、図を用い
て説明する。図1は、本発明の金属ベース回路基板の一
例の断面を示す模式図である。本発明の金属ベース回路
基板は、金属板1上に絶縁層2を介して回路が設けられ
ており、前記絶縁層2上には、絶縁層2に接するアルミ
ニウム層3とそれに接して設けられている金属層5、更
に必要に応じて設けられる他の金属層4の多層構造部分
を有する回路が設けられている。また、回路上には、半
導体素子、抵抗チップ等の電子部品6が、一般にハンダ
8を介して設けられ、前記電子部品6は、必要に応じ
て、金、アルミニウム等のワイヤー8を経由して、回路
上に設けられたアルミニウム、ニッケル、金−ニッケル
等の金属層4を介して電気的に接続されている。また、
図示していないが、金属ベース回路基板の全面若しくは
一部に他の回路基板が設けられていても何ら差し支えな
い。
【0012】本発明の金属ベース回路基板は、前記金属
ベース回路基板の回路が多層構造を形成している部分に
おいて、絶縁層2に接するアルミニウム層3の回路幅が
該アルミニウム層の上に設けられている金属層5の回路
幅よりも大きくいこと、更に、後述するとおりに、アル
ミニウム層の回路上縁と該アルミニウム層上の金属層の
回路下縁との水平距離(A)が50μm以上大きいこと
を特徴とする。尚、前記水平距離(A)は、回路の片壁
面についての値であり、図2中でAで例示された距離を
いう。
【0013】本発明者らは、前記課題解決を目的として
いろいろな検討を行い、実験的に、上記構成を採用する
ときに、金属ベース回路基板が実使用下で熱衝撃を受け
ても、絶縁層の損傷、破壊するのを防止し、絶縁破壊等
の電気特性の劣化を防止し得るという知見を得て、本発
明に至ったものである。更に、本発明者らは実験的検討
により、アルミニウム層の回路上縁と該アルミニウム層
上の金属層の回路下縁との水平距離(A)が50μm以
上とするときに、前記効果が顕著であることを見出した
ものである。その最大値に関して、これを限定するべき
理由を見出していないが、500mmを越える場合、回
路同士を密に配置することができなくなり、実用的でな
い。
【0014】また、本発明において、前記多層構造部分
のアルミニウム層2上に存在する金属層5の回路幅と厚
みについて、回路下縁と回路上縁との距離(L)と回路
厚み(T)との比(T/L)が1〜であることを特徴
とする。前記比(T/L)が1未満のときには、回路の
基板全体に対する密度が低下してしまう。また、金属ベ
ース回路基板を一般的な製造法であるフルエッチング法
により製造する場合には、比(T/L)を5より大きく
しようとすると製造上の困難が増してくる。尚、本発明
において、回路下縁と回路上縁との距離(L)と回路厚
み(T)は、それぞれ図2中にL、Tで例示した部分の
長さをいう。
【0015】発明において、前記アルミニウム層の厚
みは、実施例に示す如くに、金属ベース回路基板が加
熱、冷却の熱履歴を受けても、絶縁破壊に至る回数が多
く、耐久性に富むことから50〜1000μmが選択さ
れる。
【0016】また、回路を構成し絶縁層2に接するアル
ミニウム層3について、特に規定するものではないが、
99%以上のアルミニウム、Cuを0.30〜7.0重
量%含有するアルミニウム合金、Mnを0.1〜2.0
重量%含有するアルミニウム合金、Siを2.0〜15
重量%含有するアルミニウム合金、またはMgを0.5
〜6.0重量%含有するアルミニウム合金のうち、少な
くとも1種類以上からなるものが好ましい。
【0017】本発明において、前記アルミニウム層3
は、絶縁層との接着力を向上するため、絶縁層側と接す
る面をいろいろな方法で処理されていることが好まし
い。処理方法としては、機械的に粗化する方法や化学的
に粗面を形成するメッキをする方法等が公知であるが、
これらの方法のうち、電解法によりアルマイト層を形成
する処理を施したものは、絶縁層とアルミニウム層との
接着力が極めて強く、好ましい。
【0018】本発明に用いられる金属板1としては、特
に規定するものではないが、銅板、鉄板、アルミニウム
板、真鍮板及びステンレス板などいずれも採用できる。
しかし、安価で、軽量であることから通常は、厚みが
0.5mm〜5.0mmのアルミニウム或いはその合金
が好ましく用いられる。
【0019】また、絶縁層2としては、絶縁性を有する
材質で有ればいずれも採用でき、例えば、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びポリ
イミド樹脂等やそれらをガラス布等に含浸させたものや
無機フィラーを充填したもの、あるいは前記樹脂を塗布
した樹脂層のみで形成したもの、さらに前記樹脂をフィ
ルム状にして接着したもの等が用いられる。
【0020】アルミニウム層3とともに回路を構成する
金属層5としては、銅が一般的である。前記金属層5上
に設けられる金属層4については、ニッケル、ニッケル
−金、或いはアルミニウム等の金、アルミニウムのワイ
ヤー7との接合性に富む材質のものが用いられる。上記
のアルミニウム層3、金属層5、金属層4は、アルミニ
ウムと金属層5の2種金属の複合箔を用いても、また、
アルミニウム層、金属層5、金属層4の2種以上の金属
の複合箔を用いても良い。更に、アルミニウム箔を絶縁
層2上に設けた後、金属層5、金属層4を順次メッキ等
の方法で設けたものであっても構わない。
【0021】金属層4、5の厚みは特に規定するもので
はないが、金属層5については5μm以上500μm以
下のものが一般的に用いられ、金属層4については3μ
m以上50μm以下のものが一般的である。また、金属
層4、5は、圧延による方法、めっきによる方法等の従
来公知のいずれの方法によるものであっても構わない。
【0022】以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細
に説明する。
【0023】
【実施例】〔実施例1〕厚さ3.0mmのアルミニウム
板上に、酸化アルミニウムを50体積%含有するビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(油化エポキシ社製エピコー
ト828)を絶縁層の厚さが80μmになるように塗布
し、アルミニウム(厚さ50μm)/銅(厚さ300μ
m)の複合箔をアルミニウム層側が絶縁層に接するよう
に配置し、加熱下で加圧することにより金属ベース基板
を作製した。
【0024】次ぎに、スクリーン印刷法を用いて所望の
位置をマスクした後、アルミニウム/銅箔をエッチング
して、アルミニウム層が銅層より回路片側で50μm大
きくなるように回路を形成し、金属ベース回路基板を作
製した。
【0025】前記金属ベース回路基板を、230℃のホ
ットプレート上で60秒加熱した後、室温まで空冷し、
3KV×3秒の耐電圧試験を実施した。これを絶縁破壊
が発生するまで繰り返し、破壊回数を調べた。結果を表
1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】また、金属ベース回路基板の回路パターン
上に、半導体素子、セラミックスチップ抵抗等をハンダ
付けして実装し、混成集積回路を形成した。このとき、
半導体素子と回路との電気的接続には、φ300μmの
アルミ線を用いたワイヤーボンディングを行った。
【0028】〔実施例2、3、参考例1〜4〕表1に示
したとおりに、アルミニウム層の厚さ、銅層の厚さ、回
路幅の差が異なるいろいろな金属ベース回路基板を実施
例1と同じ操作で作製し、実施例1と同じ試験を行っ
た。これらの結果を表1に示した。
【0029】〔比較例〕比較の例として、回路幅の差が
ない金属ベース回路基板を実施例1と同じ操作で作製
し、実施例1と同じ試験を行った。その結果を表1に示
した。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム層の回路
幅を銅層の回路幅より大きくすることで、実使用下で熱
衝撃を受けても絶縁層にクラックを生じることなく、耐
絶縁破壊に優れ、信頼性の高い金属ベース回路基板を提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の混成集積回路用基板の一例を示す模
式図。
【図2】 本発明における、アルミニウム層の回路上縁
と該アルミニウム層上の金属層の回路下縁との水平距離
(A)、金属層の回路下縁と回路上縁との距離(L)と
回路厚み(T)を説明例示するための図。
【符号の説明】
1 金属板 2 絶縁層 3 アルミニウム層 4 金属層 5 金属層 6 電子部品 7 ワイヤー 8 ハンダ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板上に絶縁層を介して回路を設けてな
    る金属ベース回路基板であって、回路が絶縁層に接する
    アルミニウム層と前記アルミニウム層に接する金属層と
    からなる多層構造部分を有し、前記多層構造部分のアル
    ミニウム層の回路幅が該アルミニウム層上の金属層の回
    路幅よりも大きく、前記多層構造部分のアルミニウム層
    の回路上縁と該アルミニウム層上の金属層の回路下縁と
    の水平距離(A)が50μm以上大きく、しかもアルミ
    ニウム層の厚みが50μm以上1000μm以下である
    ことを特徴とする金属ベース回路基板。
  2. 【請求項2】前記多層構造部分のアルミニウム層上の金
    属層の回路幅と厚みについて、回路下縁と回路上縁との
    距離(L)と回路厚み(T)との比(T/L)が1〜
    であることを特徴とする請求項1記載の金属ベース回路
    基板。
  3. 【請求項3】回路を形成するアルミニウム層の絶縁層側
    にアルマイト層を設けていることを特徴とする請求項1
    又は請求項2記載の金属ベース回路基板。
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