JP3516082B2 - 自転車用錠 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えばのワイヤー錠
またはチェン錠のように主として自転車を施錠する場合
に用いられ、フレキシブルな錠杆体を備えて、一端を錠
本体に固定した該錠杆体の自由端部に具えた大径頭部を
錠本体内に設けた錠機構に施錠させるようにした自転車
用錠に関する。本発明によれば、錠本体内に組み込まれ
る錠機構を単純化して、部品点数を少なくし、錠の番手
変更範囲を広くするとともに、妄りに開錠され難くし、
かつ、鍵の両面使用ができる自転車用錠を安価に提供す
ることができる。

【０００２】

【従来の技術】従来、フレキシブルな錠杆体を備えたこ
の種の自転車用錠は、例えば実公平３ー５５７１９号公
報、実公平５ー３８２１２号公報のように、錠機構を内
蔵するための錠本体を二つの分割型に形成し、両部材の
間に形成した収容空間内に錠機構等の所定の部品を組み
込み、両部材の合わせ目に、フレキシブルな錠杆体の固
定端部の挿入孔と錠杆体の自由端部に形成した大径頭部
を挿入する施錠孔を開口させ、施錠孔内に、開口部の内
側に沿ってスライドするかまたは揺動する錠孔付きの施
錠レバーと、開錠時に大径頭部を自動的に押し出すばね
とそのキャップとを嵌装したものが一般的である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の自転車用錠
は、錠機構が複雑で多数の部品からなり、錠本体内への
組み込みに手数を要し、所定の鍵に設ける番手孔と、開
錠レバー側に設ける番手突起との組み合わの変更範囲を
幅広く設定できるようにする番手組み合わせ構造も複雑
になる等の欠点があり、鍵を横幅の広いカード式にする
必要も生じた。

【０００４】このようなことから、錠箱にロックされる
錠杆体としてワイヤーまたはチェン等のフレキシブルな
錠杆体を用いた自転車用錠において、錠機構の構造を単
純化し、部品数を増さずに錠機構等の組立が簡単にで
き、かつ、より使い易く開錠操作ができる板状の鍵を使
用できるようにした自転車用錠を開発することが解決す
べき課題となっていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、錠本体内に、一端に施錠片との係合突
部を具え他端に鍵との係合突部を具えて支点軸に遊嵌
し、該軸を支点とする回転と若干の傾斜とを自在にした
施錠レバーと、この施錠レバーの一端の係合突部を嵌合
孔に嵌合し、該レバーの回転とともに摺動して、錠本体
の一側に開口する施錠孔を開閉する錠孔付きの施錠片
と、支点軸に嵌装されて施錠レバーに圧接し、該レバー
の一端の係合突部を介して上記施錠片を常時施錠方向に
付勢し、かつ、上記嵌合孔を支点として該レバーを傾斜
させて他端の係合突部を鍵との係合位置に向けて常時付
勢するコイルばねとを備え、錠本体の他側に、鍵穴から
挿入された鍵を上記施錠レバーの他端の係合突部に誘導
する誘導溝と、誘導溝の内端部に設けられて前記施錠レ
バーの他端の係合突部を嵌合し、施錠状態において前記
施錠レバーの傾斜を保持する凹部と、この凹部の内端側
に段部を介して連設され、上記凹部を脱して上昇した施
錠レバーの係合突部を支承して、該施錠レバーの開錠方
向への回転を可能にする平面部とを設けてなる自転車用
錠を提供するものである。

【０００６】また、本発明は、前記施錠レバーは、前記
支点軸を前記施錠孔に近接する錠本体内の偏心位置に備
えることにより、鍵穴側に長い前縁部を具え、この長い
前縁部を利用して、前記鍵に設ける番手孔と、これに対
応して前縁部に設ける番手突起とからなる番手の変更範
囲を幅広くとれるようにした自転車用錠を提供するもの
である。

【０００７】また、本発明は、前記鍵穴に挿入される前
記鍵は、先端部中央に開口して、前記凹部に嵌合してい
る施錠レバーの係合突部に両側から沿うようにした係合
溝を具え、係合溝の先端部両側にそれぞれ斜面部を形成
し、上記鍵の挿入時に、一方の斜面部との接触により上
記凹部から上記係合突部を脱しさせるとともに、該係合
突部を前記平面部に移乗させ、施錠レバーに開錠動作を
生じさせるように具えることによって、上記鍵穴への挿
入面を両面使用できるようにした自転車用錠を提供する
ものである。

【０００８】

【作用】前記のように構成する本発明は、フレキシブル
な錠杆体を施錠する錠箱内の錠機構が、一端に施錠片と
の係合突部を具え他端に鍵との係合突部を具えて支点軸
に遊嵌する施錠レバーと、施錠レバーの一端の係合突部
を嵌合孔に嵌合して、錠箱の一側に開口する施錠孔を開
閉する錠孔付きの施錠片と、施錠レバーを施錠方向と傾
斜方向との２方向に付勢するコイルばねとの３部品によ
って構成されるので部品点数が少なく、かつ、コイルば
ねと施錠レバーを支点軸に嵌装し、施錠レバーの一端の
係合突部を施錠片の嵌合孔に嵌合し、他端の係合突部を
鍵の誘導溝に横断させ、誘導溝の内端部側面の凹部内に
嵌合させることにより錠機構の組立が容易になる。ま
た、この組立状態で、コイルばねに付勢されて傾斜し、
係合突部を鍵の誘導溝の内端部側面の凹部内に嵌合させ
た施錠レバーは、鍵の誘導溝内に挿入される棒状、板状
の物体との接触から回避されるので、自転車用錠を妄り
に開錠され難くする。

【０００９】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面について説明す
る。図１に示すように、錠本体１はほぼ長方形をなす四
角い箱形をなし、弧面に形成した一方の側面の一端に、
図示を省略したフレキシブルな錠杆体２の固定端部２’
を固定し、他方に錠杆体２の自由端部２”の先端に形成
した頭部３が挿入される施錠孔４を開口し、内面の中央
部両側にそれぞれ立設した軸の一方を支点軸５とし、他
方を支持軸６としている。

【００１０】施錠孔４に接近する支点軸５には、一端に
施錠片７との係合突部８を具え、他端に鍵９との係合突
部１０を具えて、該軸を支点とする回転と若干の傾斜と
を自在にした施錠レバー１１が遊嵌している。上記施錠
片７は、施錠レバー１１の一端の係合突部８を嵌合孔１
２に嵌合し、先端に錠杆体２の頭部３を抜け止めして施
錠する半円形の錠孔１３を具え、施錠レバー１１の回転
に従動して施錠孔４の内側に沿って摺動し、該孔４を開
閉する。

【００１１】また、施錠レバー１１は支点軸５の径より
も大径の軸孔１１’を具え、コイルばね１４と共に支点
軸５に嵌装され、一端を錠本体１に、他端を施錠レバー
１１に掛止させた該ばね１４の圧迫により、図１に示す
施錠状態において常時右回りの施錠方向に付勢されると
ともに、図２に示すように、他端の係合突起１０を下げ
る傾斜方向にも付勢されている。上記他端の係合突部１
０は、弧面に形成した錠本体１の他方の側面の内側に沿
って設けられた鍵９の誘導溝１５を横断し、該誘導溝１
５の内端部側面に形成した凹部１６内に嵌合している。
そしてこの凹部１６は、その内端側に形成した段部１７
を介して平面部１８に連続する。

【００１２】図１中に虚線で示すように、錠本体１の側
面に開口する鍵穴１９から上記誘導溝１５内に挿入され
る鍵９は板状をなし、先端部中央に、図３、４に示すよ
うに施錠レバー１１の係合突部１０と係合する係合溝２
０を開口し、その両側に、それぞれ前記凹部１６内に嵌
合している上記係合突部１０と接触して、段部１７と接
触させつつ該係合突部１０を凹部１６から前記平面部１
８へ上昇させて上記係合溝２０の高さに誘導する斜面部
２１を形成し、かつ、長さ方向の中間に形成した番手孔
２２を係合溝２０と同じ高さに設けている。この鍵９
は、上記のように係合溝２０と斜面部２１と番手孔２２
を設けることにより、長さ方向の中心線を挟んで上下対
称形に形成され、錠本体１の側面に開口する鍵穴１９へ
の挿入面を両面使用できるようにしている。

【００１３】さらに前記施錠レバー１１は、回転の支点
軸５を施錠孔４に近接した偏心位置に設けることによ
り、図１の左回りに回転する開錠動作の際に回転方向前
方となる前縁部２３を長く形成することができる。した
がって、施錠レバー１１の開錠動作に際して、鍵９側の
前記番手孔２２と係合する番手突起２４を設けることが
できる範囲が長くとれることになるので、製作する錠前
の番手違い数を増やすことができ、番手変更範囲を幅広
く設定できる構造となっている。

【００１４】なお、前記錠杆体２の自由端部２”は、先
端に台形に形成した頭部３を具え、前記コイルばね１４
に抗して施錠孔４に挿入することにより施錠レバー１１
を一旦後退させた後復帰する該レバー１１の錠孔１３に
よって施錠されるので、施錠操作がし易い。また、施錠
孔４には、施錠レバー１１の開錠動作に連動して上記頭
部３を弾性的に同孔４外に押し出す小コイルばね２５と
キャップ２６を内端に嵌装することにより、開錠後の錠
杆体２の把持を容易している。また、図中２７は、前記
鍵９の開錠操作時に、上記施錠レバー１１の回転に伴っ
て番手孔２２との係合位置に回動する番手突起２４の通
過を許容するように誘導溝１５の両側面に沿って設けた
切欠部である。

【００１５】

【発明の効果】以上のように構成する本発明によれば、
錠機構を構成する部品が、施錠レバーとコイルばねと施
錠片との３部材からなり、錠本体内の支点軸に対して、
回転と傾斜を自在にした施錠レバーと、該レバーを施錠
方向と傾斜方向との２方向に付勢するコイルばねとを嵌
装し、施錠レバーの一端の係合突部を、施錠孔の内側に
沿って摺動自在に設けた施錠片の嵌合孔に嵌合すること
により錠機構を組み立てることができるので、部品点数
が少なく、かつ、錠機構部分の組立を容易にした自転車
用錠を提供することができる。

【００１６】また、本発明自転車用錠は、施錠状態にお
いて上記コイルばねの付勢により傾斜する施錠レバーの
他端の係合突起を、鍵の誘導溝の内端部側面に設けた凹
部内に嵌合させておくようにしたので、鍵穴から棒状、
板状の物を差し込んで妄りに施錠レバーを開錠されるこ
とが回避され、自転車の盗難防止機能を十分に備えた錠
を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の実施例の内部構造を示す一部切
欠平面図

【図２】図２は図１のＡ−Ａ’に沿った拡大断面図

【図３】図３は主として鍵の構造を説明する立面図

【図４】図４は主として鍵の作動を説明する立面図

【符号の説明】

１ 錠本体 ２ 収容空間 ２’ 固定端部 ２” 自由端部 ３ 頭部 ４ 施錠孔 ５ 支点軸 ６ 支持軸 ７ 施錠片 ８ 係合突部 ９ 鍵 １０ 係合突部 １１ 施錠レバー １１’ 軸孔 １２ 嵌合孔 １３ 錠孔 １４ コイルばね １５ 誘導孔 １６ 凹部 １７ 段部 １８ 平面部 １９ 鍵孔 ２０ 係合溝 ２１ 斜面部 ２２ 番手孔 ２３ 番手突起 ２４ 小コイルばね ２５ キャップ ２６ 切欠部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E05B 71/00

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 錠本体１内に、一端に施錠片７との係合
   突部８を具え他端に鍵９との係合突部１０を具えて支点
   軸５に遊嵌し、該軸５を支点とする回転と若干の傾斜と
   を自在にした施錠レバー１１と、この施錠レバー１１の
   一端の係合突部８を嵌合孔１２に嵌合し、該レバー１１
   の回転とともに摺動して、錠本体１の一側に開口する施
   錠孔４を開閉する錠孔１３付きの施錠片７と、支点軸５
   に嵌装されて施錠レバー１１に圧接し、該レバー１１の
   一端の係合突部８を介して上記施錠片７を常時施錠方向
   に付勢し、かつ、上記嵌合孔１２を支点として該レバー
   １１を傾斜させて他端の係合突部１０を鍵９との係合位
   置に向けて常時付勢するコイルばね１４とを備え、錠本
   体１の他側に、鍵穴１９から挿入された鍵９を上記施錠
   レバー１１の他端の係合突部１０に誘導する誘導溝１５
   と、誘導溝１５の内端部に設けられて前記施錠レバー１
   １の他端の係合突部１０を嵌合し、施錠状態において前
   記施錠レバー１１の傾斜を保持する凹部１６と、この凹
   部１６の内端側に段部１７を介して連設され、上記凹部
   １６を脱して上昇した施錠レバー１１の係合突部１０を
   支承して、該施錠レバー１１の開錠方向への回転を可能
   にする平面部１８とを設けてなる自転車用錠。
2. 【請求項２】 前記施錠レバー１１は、前記支点軸５を
   前記施錠孔４に近接する錠本体１内の偏心位置に備える
   ことにより、鍵穴１９側に長い前縁部２３を具え、この
   長い前縁部２３を利用して、前記鍵９に設ける番手孔２
   ２と、これに対応して前縁部２３に設ける番手突起２４
   とからなる番手の変更範囲を幅広くとれるようにしたこ
   とを特徴とする請求項１の自転車用錠。
3. 【請求項３】 前記鍵穴１９に挿入される鍵９は、板状
   に形成され、先端部中央に開口して、前記凹部１６に嵌
   合している施錠レバー１１の係合突部１０に両側から沿
   うようにした係合溝２０を具え、係合溝２０の先端部両
   側にそれぞれ斜面部２１を形成し、上記鍵９の挿入時
   に、一方の斜面部２１との接触により上記凹部１６から
   上記係合突部１０を脱しさせるとともに、該係合突部１
   ０を前記平面部１８に移乗させ、施錠レバー１１に開錠
   動作を生じさせるように具えることによって、上記鍵穴
   １９への挿入面を両面使用できるようにしたことを特徴
   とする請求項１及び２の自転車用錠。てる