JP3515871B2 - 釣 竿 - Google Patents

釣 竿

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JP3515871B2
JP3515871B2 JP04059097A JP4059097A JP3515871B2 JP 3515871 B2 JP3515871 B2 JP 3515871B2 JP 04059097 A JP04059097 A JP 04059097A JP 4059097 A JP4059097 A JP 4059097A JP 3515871 B2 JP3515871 B2 JP 3515871B2
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満男 今井
英二 菅谷
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ダイワ精工株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣用釣竿に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般的に釣竿は、基端側から先端側に向
けて細径となるテーパ状の竿管を所定本数継合すること
で構成されている。隣接する竿管同士は、竿管の先端側
内周部に形成された内周継合部と、その先に配される竿
管の基端側外周部に形成された外周継合部とが摩擦力に
よって固定することで継合される。
【0003】この場合、隣接する竿管同士は、相対的に
摺動しながら摩擦力による固定が成されるが、竿管の基
端側外周部に形成された外周継合部が、それより基端側
にある竿管の先端側内周部に形成された内周継合部と固
定・離脱される際、前記外周継合部の近傍領域は傷が付
きやすい。すなわち、上記したように、竿管は、先端側
に向けて細径となるテーパ状となっているため、竿管の
基端側外周部に形成された外周継合部と、その直ぐ先端
側の近傍領域とは、径の差が殆どなく、また、釣竿には
砂、埃等が付着しやすいことから、隣接する竿管同士を
互いに摺動させた際に、最も傷が付きやすい部分であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、竿管に上記
したような傷が付くと、竿管内部に水分の浸透により腐
食等が進行し、その結果、割れ、クラック、剥離等が生
じ易くなり、耐久性の面において好ましくない。したが
って、隣接する竿管同士を固定・離脱する際の摺動時の
摩擦によって竿管の基端側外周部に形成された外周継合
部の近傍領域が傷付かないよう、各竿管の最外層に保護
層を形成しておけば良いが、このような保護層を竿管の
最外層全体にわたって形成することは、釣竿全体が重量
化してしまう。
【0005】この発明は、竿管の基端側外周部に形成さ
れた外周継合部の近傍領域において生じる問題を見出だ
したことにより成されたものであり、釣竿の隣接する竿
管同士の固定・離脱時に、その外周継合部の近傍領域の
傷付きを防止して、割れ、剥離等の発生をなくし、これ
により、耐久性に優れ、しかも重量化することのない釣
竿を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、基端側から先端側に向けて細径となるテ
ーパ状の竿管を、所定本数、互いの内周継合部と外周継
合部とを継合することで構成される釣竿において、前記
竿管の外周継合部の前部に一定範囲保護層をコーティン
グし、前方部より厚く、前記外周継合部より薄い保護膜
を形成したことを特徴とする。
【0007】釣竿を構成する竿管の基端側の外周部に形
成された外周継合部の前部を、一定範囲だけ保護層をコ
ーティングすることで、隣接する竿管同士を固定・離脱
する際に、最も擦られて傷付きやすい部分が保護され
る。また、この保護層は、傷付きを防止する必要最小限
の領域だけ形成するため、釣竿全体が重量化することが
ない。なお、竿管の本数、竿管を構成する素材について
は、特に限定されることはない。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に沿って説明する。釣竿は、基端側から先端側に向
けて細径となるテーパ状の竿管を所定本数備えており、
各竿管を先端側に向けて振出すことで、各竿管同士の継
合部が固定されて一定長さの釣竿となる。また、各竿管
を基端側に向けて移動させることで、各竿管の継合状態
が解除され、各竿管は基端側の竿管内に収容されなが
ら、最終的にすべての竿管は最も太径の竿管内に収容さ
れる。
【0009】図1は、釣竿の一部を示す図であり、隣接
する竿管1,2,3,…が示されている。上記したよう
に、各竿管は、先端側に向けて細径となるテーパ状に構
成されており、図において左が振出し方向、右が収納方
向である。各竿管は、振出された際、その基端側の外周
部に形成された外周継合部1b,2b,…が、それぞれ
各竿管の先端側内周部に形成された内周継合部2a,3
a,…に摩擦力で固定されることにより継合される。
【0010】各竿管の外周継合部1b,2b,…の前部
は、図に示すように、一定範囲保護層1c,2c,…が
コーティングされており、その前方部分よりも厚くなる
ように保護膜が形成されている。このように、外周継合
部の前部を一定範囲だけ保護層をコーティングすること
で、隣接する竿管同士を固定・離脱する際、最も擦られ
て傷付きやすい部分が保護される。また、この保護層
は、傷付きを防止する必要最小限の領域だけ形成される
ため、釣竿全体が重量化することがない。さらに、この
ような保護層を形成することで、位置合わせの目印等を
容易に付与することができる。
【0011】なお、保護層をコーティングする長さは各
竿管のテーパ量にも依存するが、通常、竿管の長さに対
して、略5%〜50%程度コーティングすれば、竿管同
士の固定・離脱時の傷付きが有効に防止され、かつ釣竿
が重量化することがない。この保護層としては、各竿管
の最外層に対して、例えば、ウレタン、エポキシ、塗
料、樹脂等を刷け塗り、吹き付け、シゴキ塗装等の手段
でコーティングすれば良い。
【0012】図2は、上記した保護層を形成した竿管の
一構成を示す断面構造であり、図1に示した竿管2およ
び竿管3の部分のみを示している。この構成例では、竿
管本体2の外周面に金属被膜5を形成したものである。
この金属被膜は、例えば、アルミニウム、チタン等の金
属を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グ等による物理蒸着することで形成される。そして、こ
の金属被膜5の表面には、上述したように、外周継合部
2bの前部の一定範囲に、ウレタン、エポキシ、塗料、
樹脂等の保護層2cがコーティングされる。この結果、
保護層2cは、それよりも前方の金属被膜5よりも厚く
なった保護膜を形成し、竿管2を竿管3に対して固定・
離脱した際の摺動による傷付きを有効に防止する。
【0013】なお、この構成において、金属被膜は、竿
管2の表面に直接形成しても良いし、あるいは図示して
いない下地層を介して形成しても良い。この場合、竿管
を構成する材料としては、ポリアミド樹脂、ガラス繊維
強化ポリアミド樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン)樹脂、ガラス繊維強化ABS樹脂、
ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂;炭素繊維、ガラス
繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維等の強化繊維にエポ
キシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル等の合成樹脂
を含浸させた繊維強化プリプレグ;アルミニウム合金、
マグネシウム合金、チタン合金等の金属;酸化ジルコニ
ウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の
セラミックス等を用いることができる。また、下地層と
しては、塗装層、印刷層、樹脂層等を用いることができ
る。
【0014】また、上記金属被膜5の上に、この金属被
膜を保護するように、図示していない透明(半透明)の
保護層を形成しておいても良い。この場合、上記した保
護層2cは、そのような透明(半透明)の保護層の上に
形成される。
【0015】さらに、金属被膜5が設けられる下地層
(もしくは竿管2)の表面を、ある程度平滑化しておけ
ば外観に光輝性を持たせることができ、これに対して粗
面化しておけば、金属被膜5の部分で光が乱反射して光
輝性が抑えられ、渋みのある落ち着いた感じの外観が得
られる。このような光輝性を抑えた外観を得る場合は、
下地層もしくは竿管の表面に凹凸ができるよう粗面化す
れば良く、具体的には、その凹凸の間隔をSとし、その
高さをRとした場合、その粗面化される領域の各平均値
Sm および平均高さRy を、Ry >Sm かつRy ≦5μ
mに粗面化されるように研磨すれば良い。実際には、R
y の範囲を0.3μm〜3μm程度とし、かつRy ≧S
m ×3となるように下地層を粗面化するのが好ましい。
このように粗面化された状態で、金属被膜5を厚く形成
すれば、その光輝性を抑えた金属色を発色させることが
でき、また、薄く形成すれば、下地層(竿管)まで透け
て目視させることができることから、光輝性を抑えた様
々な色ないし質感を表現させることができる。
【0016】あるいは、釣竿本体の外面に、水による汚
れや特性劣化を防止するために、水分をはじくように撥
水層を形成しても良いし、海水や水に浮遊する油をもは
じけるよう、以下に詳述するような撥水・撥油層を形成
しても良い。このような撥水層/撥水・撥油層は、竿管
本体上に直接または下地層を介して、あるいは上記した
ような金属被膜上に形成することができる。
【0017】撥水・撥油層の材料としては、パーフルオ
ロアルキル基を有するフッ素系化合物、例えばパーフル
オロアルキルエチルアクリレート等のパーフルオロアル
キルアクリレート共重合体を挙げることができる。な
お、層形成の際には、層形成を容易にするために、これ
らのフッ素系化合物にアセトン等の溶剤を加えたり、ノ
ニオン系、アニオン系の乳化剤を加えても良い。また、
このフッ素系化合物には適宜架橋剤を加える。さらに、
このフッ素系化合物にトリイソシアネート、エポキシ樹
脂等の合成樹脂、金属やセラミックス等の耐摩耗性微粒
子等の添加剤を加えても良い。このフッ素系化合物は、
下記一般式Iに示す構造を有している。
【0018】
【化1】
【0019】一般式Iにおいて(A)部は機能基であ
り、(B)部は風合調整基であり、(C)部は反応基で
ある。撥水・撥油効果は、機能基の配合比率、風合調整
基の鎖長および配合比率、反応基の種類および配合比
率、乳化剤の選択、ゼータ電位により影響されるので、
これらを適宜選択することにより撥水・撥油特性を制御
することができる。
【0020】撥水・撥油層の厚さは、撥水・撥油性、耐
久性、防汚性等を考慮すると、数μm〜数十μmである
ことが好ましい。また、撥水・撥油層にある程度の硬度
をもたせて耐久性を向上させても良い。さらに、撥水・
撥油層を透明または半透明にすることにより、下地層ま
たは竿管の色を外観として表すようにしても良い。な
お、撥水・撥油層は、竿管全体にわたって形成しても良
く、部分的に形成しても良い。
【0021】さらに、上記した撥水・撥油層は、竿管の
内壁面に、厚さを部分的に変えて突出部を形成するよう
に設けても良い。このように撥水・撥油層による突出部
を形成することにより、竿管内を挿通する先端側の竿管
が撥水・撥油層の突出部に接触するようになり、撥水・
撥油層の突出部以外の領域を挿通物との接触から保護す
ることができる。これにより、耐久性が向上し、長期間
にわたって特性を維持することができる。
【0022】なお、上記した撥水・撥油性とは、空気中
において水や油が付着したときに、水や油をはじき、水
や油がすべて玉状になり除去されるか、微小な水滴や油
滴が一部残る状態となる性質をいう。具体的には、撥水
・撥油性を有する表面とは、水や油、例えばガソリンと
の接触角が水の場合110°以上、油の場合90°以
上、好ましくは水の場合150°以上、油の場合110
°以上であり、水や油の転落角(例えば竿管内壁面にお
いて0.5mlの量の1個の水滴や油(例えばガソリ
ン)滴が転落するために必要な傾斜角度)が水の場合1
0°以下、油の場合20°以下、好ましくは水の場合5
°以下、油の場合10°以下である表面をいう。
【0023】上記構成を有する撥水・撥油層を有する部
材においては、撥水・撥油層の表面張力(約15dyn/cm
以下)が水の表面張力や油の表面張力よりも小さいの
で、撥水・撥油層上についた水や油が玉状にはじかれ
る。これにより、水による汚れだけでなく油による汚れ
をも防止することができる。なお、撥水・撥油層は水中
において、その表面が親水性を示すようにすることによ
り、たとえ撥水・撥油層上に油が付着しても水中で油を
浮き上がらせることができる。すなわち、洗浄により油
を容易に除去することができる。
【0024】図3は、上記した竿管の外周継合部の前部
に、一定範囲保護層をコーティングして保護層を形成し
た釣竿の全体を示す図である。各竿管に保護層を形成す
ることで、竿管を振出し/収納する際、最も擦られて傷
付きやすい部分が効果的に保護される。また、この保護
層は、傷付きを防止する必要最小限の領域だけ形成され
るため、釣竿全体が重量化することがない。
【0025】また、上述したように、釣竿の外観は、下
地層の形状、材料、金属層の形成等によって様々なもの
にすることが可能である。この場合、釣竿の先端部とな
る竿管1,2の明度を、中間部となる竿管3,4及び元
部となる竿管5,6よりも高くすることが好ましい。通
常、竿先部は、釣人から距離が離れ、また、細径である
ことから、周囲の風景に溶け込んで見えにくくなるが、
このように、明度を高くすることにより、竿先を見やす
くすることができ、光輝性外観と明度の高さにより、全
体として竿のしなりや動きがよく分かるようになる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、竿管を所定本数継合さ
せた釣竿において、上述したような保護層を設けたこと
により、竿管同士の固定・離脱時に、その外周継合部の
近傍領域の傷付きが防止され、割れ、剥離等の発生をな
くし、耐久性に優れた釣竿となる。しかも、そのような
保護層は、必要最小限だけ形成するため、釣竿全体が重
量化することがない。そして、この保護層が撥水層又は
撥水・撥油層から形成される場合には、更に、水による
汚れや特性劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る釣竿の一部を示し、隣接する3本
の竿管を示す図。
【図2】保護層を形成した竿管の一構成例を示す図。
【図3】釣竿の全体構成を示す図。
【符号の説明】
1,2,3 竿管 2a,3a 内周継合部 1b,2b 外周継合部 1c,2c 保護層 5 金属被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01K 87/00 - 87/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基端側から先端側に向けて細径となるテ
    ーパ状の竿管を、所定本数、互いの内周継合部と外周継
    合部とを継合することで構成される釣竿において、 前記竿管の外周継合部の前部に一定範囲保護層をコーテ
    ィングし、前方部分より厚く、前記外周継合部より薄
    保護膜を形成したことを特徴とする釣竿。
  2. 【請求項2】 前記保護層は、撥水層又は撥水・撥油層
    から形成されることを特徴とする請求項1記載の釣竿。
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