JP3545910B2 - 装飾層を有する釣り用部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール、釣り竿、小物用品等に用いられる装飾層を有する釣り用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、釣り竿やリール等の釣り用具には、釣り人の趣味に訴え、また高級感や重宝感を出すために、様々な装飾を施して優れた外観を得ている。このため、これらに用いられる釣り用部材には、優れた外観を示すように、種々の装飾層が設けられている。
【0003】
一方、近年の釣り用具は軽量化を図ることが重要であり、種々の部材の軽量化がなされている。したがって、部材本体の重量が軽くなってきているので、部材重量における塗装層の割合が大きくなってきている。このため、塗装層や装飾層は、上述した釣り用具の軽量化を妨げる大きな原因となっている。そこで、特開平7−31337号公報では、アルミニウムやマグネシウム等の金属製部材上に塗装層を形成し、その上に干渉薄膜を装飾層として用いたものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、釣り用具は、海水や水等が付着し易い厳しい環境下で使用されるので、この干渉薄膜だけでは、耐食性に問題がある。このため、金属製部材の腐食により変色が起こり、外観を損なうことになる。
【0005】
また、干渉薄膜は、虹色を呈するので、下地の塗装層との間の色調差が大きい。さらに、干渉薄膜は、柔らかい塗装層上に形成しているので、傷が付き易い。このため、干渉薄膜に傷が入ると、下地の塗装層が露出して、傷が目立ってしまうという問題がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、優れた外観を示し、耐食性に優れ、しかも軽量である装飾層を有する釣り用部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の装飾層を有する釣り用部材は、金属製の部材本体に陽極酸化処理で防食被膜を形成し、この防食被膜上に形成された塗装層と、この塗装層上にPVD法又はCVD法で設けられ、無色透明な無機物を含み光沢を有すると共に前記塗装層との間の色調差のほとんどない装飾層と、最外層に設けられ、塗料で形成された保護層とを具備することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の装飾層を有する釣り用部材の一実施形態を示す断面図である。図中1は部材本体を示す。部材本体1上には、塗装層2が設けられている。塗装層2上には、無色透明な薄膜で構成された装飾層3が形成されている。
【0014】
部材本体1の材料としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金、純チタン、チタン合金、亜鉛合金、鉄合金等の金属;ポリアミド樹脂、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ガラス繊維強化ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂;酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等のセラミックス等を用いることができる。
【0015】
部材本体1が金属である場合には、上記材料で構成された金属製部材上に陽極酸化処理、クロム酸処理、リン酸処理、すず酸処理等の化成処理により防食被膜を設けても良い。この場合、防食被膜の厚さとしては、耐食性を考慮して1〜15μmであることが好ましい。このように、金属製部材上に防食被膜を形成してなる部材本体を釣り用部材として用いることにより、釣り用具の耐食性が向上するので、使用環境が厳しい釣り場においても、部材の変色が防止され、優れた外観を維持することができる。
【0016】
塗装層2としては、アクリル系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料、シリコーン系塗料、フッ素系塗料、フェノール系塗料等の塗料を塗布乾燥することにより得られた層を用いることができる。これらの塗料は、用途に応じて適宜選択して使用する。また、塗装層2の厚さとしては、耐食性及び寸法変化を考慮して5〜50μmであることが好ましい。
【0017】
装飾層3の無色透明の無機物としては、TiO、TiO2 、ZnS、SiO、In2 O3 、MgF2 、Al2 O3 等の金属酸化物、金属弗化物を用いることができる。これらの無機物は、単層でも複数層でも良い。
【0018】
ここで、無色透明とは、完全に無色透明である必要はなく、下地の色が認識できる程度に僅かに着色されている場合や半透明である場合を含む意味である。また、光沢を有するとは、金属の様な光沢であることを意味する。
【0019】
装飾層3を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理的気相成長)法や、P−CVD(プラズマCVD)、MOCVD(有機金属CVD)法等のCVD(化学的気相成長)法が挙げられる。
【0020】
装飾層3の厚さとしては、無色透明にすることを考慮して1nm〜1μmであることが好ましい。このように、装飾層3の厚さは、比較的薄いので、部材における寸法の厳しい部分に装飾層3を問題なく設けることができる。
【0021】
装飾層3の白色光に対する反射率は20%、好ましくは50%を超えるように設定する。これにより、外観を金属の様に見せることができる。
このように、図1に示す実施形態は、塗装層2上に無色透明な無機物を含む光沢を有する装飾層3を設けたことを特徴としており、装飾層3の色調と下地である塗装層2との間の色調差がほとんどない。したがって、取り扱い中に誤って落下したり、他物が衝突して装飾層に傷が付いても、傷が目立たなく、優れた外観を常時維持することができる。
【0022】
図2は本発明の装飾層を有する釣り用部材の他の実施形態を示す断面図である。部材本体1上には、金属被膜4が形成されている。金属被膜4上には、防食被膜5が形成されている。
【0023】
部材本体1は、図1に示す実施形態で使用するものと同じであるので、その詳細な説明は省略する。
金属被膜4の材料としては、Cr,Zn,Sn,Al,Ni,Ti,Fe等を用いることができる。金属被膜4の形成方法としては、湿式メッキ法、PVD法、CVD法等を挙げることができる。これらの方法は、金属被膜4の材料に応じて適宜選択する。また、金属被膜4の厚さとしては、後工程で防食処理をすることを考慮して0.1〜10μmであることが好ましい。
【0024】
防食被膜5は、上記金属被膜4に陽極酸化処理、クロム酸処理、リン酸処理、すず酸処理等の化成処理を施して形成する。
このように、図2に示す実施形態は、防食被膜5により、部材本体及び金属被膜4が保護された構成であるので、装飾層である金属被膜の腐食を防止して、装飾性能の劣化を確実に防止でき、常時優れた外観を保つことができる。
【0025】
また、この構成では、塗装層よりも硬度が高くなるので、落下や他物の衝突が想定される使用環境が厳しい釣り場での使用においても傷が付きにくいものとなる。
【0026】
上記実施形態においては、必要に応じて最外層や中間層に保護層や塗装層として、フッ素樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料等を塗布乾燥してなる層を設けても良い。それらの厚さには、特に制限はない。
【0027】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
アルミニウム合金で成形したリールカバー本体を陽極酸化処理して、リールカバー本体上に防食被膜としてアルマイト被膜を厚さ3μmで形成した。
【0028】
次いで、この上にウレタン系塗料を塗布し、乾燥して厚さ20μmのメタリック塗装層を形成した。さらに、メタリック塗装層上に、無機物として酸化チタンと酸化ケイ素を含有する光沢を有する装飾層をイオンプレーティング法により厚さ500nmで形成した。
【0029】
このようにして得られたリールカバーを用いたリールは、表面に傷が付いても傷が目立たなく、長期間にわたって装飾外観を維持することができた。また、部材本体には、アルマイト被膜が形成されているので、耐食性も向上して性能劣化や変色が起こらないものであった。
【0030】
(実施例2)
アルミニウム合金で成形したリールカバー本体にスパッタリング法により装飾層であるTi被膜を厚さ2μmで形成した。
【0031】
次いで、このTi被膜に陽極酸化処理を施すことにより、防食被膜であるTiO2 被膜を厚さ1μmで形成した。
このようにして得られたリールカバーを用いたリールは、部材本体の腐食を防止することができ、これにより装飾性能を維持することができる。また、厳しい環境である釣り場で使用しても傷が付きにくいものであった。
【0032】
なお、上記実施例においては、装飾層を有する釣り用部材がリールカバーである場合について説明しているが、本発明は、リール以外の釣り竿、ルアー、釣り道具箱、友舟等の釣り用具全般に使用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の装飾層を有する釣り用部材は、優れた外観を示し、耐食性に優れ、しかも軽量であると共に、塗装層と装飾層との間の色調差がほとんどないため、傷が目立たない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装飾層を有する部材の一実施形態を示す断面図。
【図2】本発明に係る装飾層を有する部材の他の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
1 部材本体
2 塗装層
3 装飾層
4 金属被膜
5 防食被膜
Claims (1)
- 金属製の部材本体に陽極酸化処理で防食被膜を形成し、この防食被膜上に形成された塗装層と、この塗装層上にPVD法又はCVD法で設けられ、無色透明な無機物を含み光沢を有すると共に前記塗装層との間の色調差がほとんどない装飾層と、最外層に設けられ、塗料で形成された保護層とを具備することを特徴とする装飾層を有する釣り用部材。
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