JP4153632B2 - 継式釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水の付着による固着を防止した継式釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば釣り人が継式釣竿を用いて釣りを行った後に、継式釣竿を収納する際に、釣竿の継合部で固着し、継合を外すのが困難となることが頻繁に見られていた。このような継合部での固着を防止する方法として、以下の公知文献に記載されているものがある。
【0003】
例えば実開昭64−17167号公報には、釣竿の結合部分に環状凹溝を形成し、この凹溝内に多数の非接触凹部を有する球体層を設けた釣竿の結合構造を開示している。
【0004】
また、特開平1−124342号公報には、マンドレルの先部含羞面に凹凸形成板を巻き付け、その上に竿形成基材を巻き付けて、焼成硬化後にマンドレルと凹凸形成板を引き抜いて、嵌合部分の固着防止を行う凹凸面を形成する方法を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術はいずれも、釣竿の継合部に凹部や凹凸部を形成し、前・後の竿管の接触面を小さくすることにより、釣竿の継合部での固着を防止しようとするものである。
【0006】
しかし、単に釣竿の継合部に凹部や凹凸部を形成しただけでは、小面積の凸部がより強固に接触することになり、効果的に継合部での固着を防止することが出来ないという欠点がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされ、その目的は、水による継合面での固着および節落ちを防止し、かつ耐久性に優れた固着防止構造を有する継式釣竿を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、釣り人が釣りを行った後に釣竿を収納する際、継合状態を外せなくなるほど継合部が固着する原因は、単に接触面積や凹凸形状だけでなく、使用中に水滴が継合面にしみ込むことにより、水が継合面を固着させてしまうことにあることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
【0009】
即ち、本発明は、前後に継合わせた大径竿管及び小径竿管の一方の継合面に、他方の竿管の継合面と強く接触する凸状部と、この凸状部よりも弱く接触するか又は非接触の凹状部とを形成し、前記凹状部に撥水性被膜、又は水との接触角が130度以上である超撥水性被膜を有し、前記大径竿管及び小径竿管の一方又は他方の継合面に、引き出し方向の抵抗よりも、収納方向の抵抗が大きくなるような表面形状を形成し、かつ前記大径竿管の継合部直後の内面に、円周方向の一部に長手方向に沿って、前記小径竿管の後端外径より小さい径の部分を設けたことを特徴とする継式釣竿を提供する。
【0010】
このように構成される本発明の継式釣竿によると、継合面に形成された凹状部に、撥水性被膜又は超撥水性被膜が形成されているため、継合面に水滴をためた状態で継合することを防止し、継合部の固着を効果的に防止することが可能である。また、継合して使用した後に、容易に継合状態を外すことが可能である。
また、撥水性被膜又は超撥水性被膜を長期にわたり維持することが出来る。
【0013】
更に、本発明の継式釣竿において、前記撥水性被膜は微小凹凸部を有し、この微小凹凸部に空気を内在させた状態で前記竿管を継合わせる構造とすることが出来る。
かかる構造によると、継合状態においても継合面の撥水性被膜表面に空気を介在させることが出来るので、より一層の固着防止を図ることが出来る。
【0014】
本発明の釣竿において、竿管の継合面に形成される超撥水性被膜は、水の接触角が130度以上、好ましくは140度以上、特に好ましくは150〜180度であるような極めて高い超撥水性を有するものである。このような超撥水性被膜は、例えば、撥水性樹脂に撥水性粒子を混入してなり、かつ表面に微小な凹凸表面を形成することにより得ることが出来る。
【0015】
撥水性樹脂としては、弗素系樹脂やシリコン系樹脂を挙げることが出来る。なお、撥水性樹脂として他の材料を用いることも出来るが、水の接触角が130度以上、好ましくは140度以上の表面性質が得られる材料を用いるのがよい。
【0016】
また、撥水性粒子としては、四弗化エチレン樹脂、四弗化エチレン樹脂−六弗化ポリプロピレン共重合樹脂、三弗化塩化エチレン樹脂、弗化ビニル樹脂、四弗化ビニリデン樹脂、四弗化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、弗化エチレン樹脂−エチレン共重合樹脂、エチレン−三弗化エチレン共重合樹脂、その他酸化ケイ素やシリコン樹脂等を挙げることが出来る。
【0017】
超撥水性被膜の微小な凹凸表面は、撥水性被膜の形成の際に表面の溶剤の量を多くしておき、溶剤を揮発させることにより形成することが出来る。また、その際、撥水性材料のモノマーあるいはオリゴマーをポリマー化することにより形成することが出来る。また更に、その際、被膜が完全に形成される前に膜内からガスを発生させて、不膜中に微細な穴を多く設けることにより、凹凸を形成することもできる。或いは、撥水性粒子よりも粒径の大きい粒子、例えば耐摩耗性粒子を混入することにより形成することも可能である。
【0018】
超撥水性被膜の厚さは、1μm〜100μmの範囲内で任意に設定することが出来るが、好ましくは3μm〜30μm、特に好ましくは3μm〜20μmである。
【0019】
撥水性樹脂に混入する撥水性粒子は、単一の形状や大きさでなく、2種類以上の様々な形状や大きさのものとすることが好ましい。様々な形状や大きさの撥水性粒子を用いることにより、超撥水性被膜表面の凹凸形状を複雑な形状にすることが出来、それによって撥水性を一層向上させることが出来る。
【0020】
超撥水性被膜の表面における撥水性粒子の割合を、竿管側における撥水性粒子の割合よりも多くすることが好ましい。これは、材料の物性、例えば撥水性樹脂と撥水性粒子の比重差や表面張力の差を利用したり、被膜の形成時に遠心力を利用したり、或いはまた、撥水性粒子の含有量の異なる撥水性樹脂を段階的に複数回コーティングすることにより達成することが出来る。
このように、超撥水性被膜の表面における撥水性粒子の割合を竿管側よりも多くすることにより、超撥水性被膜の表面の撥水性を更に高くすることが出来るとともに、バインダーとしての樹脂が竿管側で多くなることにより、相対的に竿管との密着性を向上させることが出来る。
【0021】
なお、撥水性被膜は、複数層で形成することも出来るが、単層または一体に同時に加熱硬化する複数層に形成するとよい。撥水性被膜であっても、層間剥離を防止することが出来るからである。
【0022】
超撥水性被膜中の撥水性粒子の混入比率は、30%(断面の面積比率)より多くすることが好ましく、40〜70%の範囲がより好ましい。それによって、撥水性粒子の突出を多くすることが出来、高い撥水性の表面を得ることが出来る。
【0023】
超撥水性被膜には、耐摩耗性粒子を混入することが出来る。この場合、耐摩耗性粒子が撥水性被膜の表面に突出するように形成することで、撥水性被膜の表面に釣糸が接触しても、撥水性被膜の早期の磨耗を防止することが出来る。
【0024】
耐摩耗性粒子の大きさは、特に限定されないが、撥水性被膜に含まれている他の粒子、例えば撥水性粒子の大きさよりも大きくすることが好ましい。その結果、大きさの異なる複数種の粒子が突出して、複合的な凹凸面を形成することが出来る。なお、耐摩耗性粒子の量は、撥水性粒子の量よりも少ないことが望ましい。
【0025】
このように、撥水性被膜の表面に、耐摩耗性粒子による凹凸と撥水性粒子の集合による凹凸からなる複合的な凹凸面を形成することにより、被膜の耐久性を向上させることが出来るとともに、撥水性を更に向上させることが出来る。特に、撥水性粒子と耐摩耗性粒子とを、材料等、異なる性質とした場合には、その性質に応じた特性を付加した凹凸面を形成することが出来る。
【0026】
耐摩耗性粒子の混入比率は、特に限定されないが、1重量%以上、通常は3〜30重量%が適当である。
【0027】
本発明の釣竿における撥水性被膜の形成は、スプレーによるコーティング法、ディッピング法(塗液注入後、不要分を除去)、刷毛塗り等により行うことが出来る。また、メッキ法を用いて形成することも可能である。
【0028】
次に、本発明における継合部に形成される撥水性被膜の範囲、位置等について、説明する。
1)撥水性被膜は、継合面の全面に形成することが出来る。そうすることにより、継合面での水滴の付着を効果的に防止し、継合部の固着を大幅に低減することが出来る。撥水性被膜の形成は、大径竿管の内面と小径竿管の外面の両面に形成してもよいが、いずれか一方の面にのみ形成することも可能である。
【0029】
2)撥水性被膜を継合面の全面に形成することにより、継合部の固着を防止することが出来るが、逆に、釣竿の使用中に継合状態がゆるみ易くなったり、釣竿を上に向けた際に中竿管(および穂先管)が元管の中に落下する、いわゆる「節落ち」が発生し易くなる。
【0030】
そこで、継合面の一部(長手方向および円周方向における)にのみ撥水性被膜を形成し、残りの部分には撥水性被膜を形成せず、センタレス等の研磨面露出状態や、撥水性のない塗膜等の表面処理を行う構成とすることが出来る。
【0031】
或いは、継合面の一部に撥水性被膜を形成し、残りの部分の全体または一部に滑り止め処理を行うことで、固着防止と同時に、節落ち防止や継合状態のゆるみを防止することが可能である。滑り止め処理としては、被膜を形成する場合は竿管本体側より摩擦低呼応の大きい被膜を形成するとよい。更には、粗面の形成や、部分的に突起を設けることが挙げられる。
【0032】
粗面の平均的凹凸高さは5μm以上、好ましくは10μm〜500μmにするとよい。また、突起は、高さを0.1mm以上(素材厚さの1/2以下)にするのがよい。
【0033】
3)継合面の一部に撥水性被膜を形成する場合の「一部」は、その長さ、面積等、任意に設定することが出来るが、継合面積の10〜90%が好ましく、30〜90%がより好ましく、50%を越え、90%以下が最も好ましい。
【0034】
4)継合面に形成される撥水性被膜は、継合面の端部において、中間部分よりも厚肉にすることにより、磨耗に耐えることが出来、長期間の撥水性を維持することが出来る。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る釣竿について、添付図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図である。図1において、振出式釣竿の小径竿管1と大径竿管2とが、継合部3において継合している状態を示す。
【0037】
継合部3の小径竿管側の継合面には、全面ではなく、一部に撥水性被膜が形成されている。即ち、小径竿管側の継合面には凹部4が形成され、この凹部4に撥水性被膜5が形成されている。凹部4の両側は凸部6凸部7となっている。
【0038】
撥水性被膜5の表面は、含有する撥水性粒子の集合による微小な凹凸表面を有することが望ましい。特に、微小な凹凸表面は、サイズの異なる粒子による複合的な凹凸表面であることが望ましい。
【0039】
このように、継合面に撥水性被膜5を形成することにより、撥水性を向上させることが出来、また凹部4に設けることにより、撥水性被膜5の磨耗を防止することが出来るため、耐久性を向上させることが可能である。
【0040】
小径竿管側の継合面の凸部6には、竿管の露出面と同様の表面処理が施されている。また、凸部7は、粗表面またはセンタレス研磨面とされ、滑り防止面となっている。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る釣竿の継合構造によると、小径竿管側の継合面の凹部4に撥水性被膜5が形成され、凸部6,7に撥水性被膜5が形成されず、凸部7が滑り防止面とされているため、継合部における水滴の付着を防止することが出来ると同時に、残りの継合面において抵抗を大きくすることが
なお、撥水性被膜5が形成されない面(凸部6,7)は、通常の研磨面や塗装面であってもよい。また、凹部に限らず、凸部6,7にも撥水性被膜5を形成してもよい。
【0042】
図2は、本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の大径竿管の継合部の断面を示す。図2において、大径竿管2の継合部3の内面の前部には、撥水性被膜5が形成されている。継合部3の内面の後部は、粗面化したり、突起や小径部を形成し、継合状態がゆるみにくくすることが望ましい。
【0043】
撥水性被膜5は、大径竿管2の成形時に形成しても、成形後に形成してもよい。なお、撥水性被膜5は継合部3の内面の前部に限らず後部にも、即ち全面に形成することも可能である。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の小径竿管の継合部の断面を示す。図3において、小径竿管1の継合部3の外面の一部から更に前方にかけて、撥水性被膜5が形成されている。即ち、継合部3以外の部分8にまで撥水性被膜5が形成されている。
【0045】
このように、継合部3以外の部分8にまで撥水性被膜5を形成したのは、継合部3の近傍において水滴が付着するのを防止するためである。
撥水性被膜5は、小径竿管1の表面を、数μm〜数10μmの粗表面にした後、その上に形成されている。
継合部3の撥水性被膜5が形成されていない部分9は、センタレス研磨、滑り防止塗膜、凹凸面加工等の滑り防止処理が施されている。
【0046】
図4は、本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図である。図4において、振出式釣竿の小径竿管1と大径竿管2とが、継合部3において継合している状態を示す。
【0047】
継合部3の小径竿管側の継合面には、全面ではなく、一部に撥水性被膜が形成されている。即ち、小径竿管側の継合面の前部には撥水性被膜が形成されておらず、中間部と後端部の一部に撥水性被膜10が形成されている。後端部の撥水性被膜10が形成されていない部分には、センタレス研磨、滑り防止塗膜、凹凸面加工等の滑り防止処理が施され、滑り防止処理面11が形成されている。
【0048】
このように、小径竿管側の継合面の中間部から部分的に後端に達する撥水性被膜10を形成したことにより、継合部の水滴の付着を効果的に防止することが出来るとともに、空気が継合面に通じ易くなり、継合部の固着を防止することが可能である。
【0049】
また、撥水性被膜10と滑り防止処理面を組合せることにより、継合部での固着防止と、節落ち防止とを同時に達成することが出来る。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図である。図5において、振出式釣竿の小径竿管1と大径竿管2とが、継合部3において継合している状態を示す。
【0051】
継合部3の小径竿管側の継合面には、全面ではなく、一部に撥水性被膜が形成されている。即ち、小径竿管側の継合面の前部には撥水性被膜が形成されておらず、中間部と後端部の一部に撥水性被膜12が形成されている。後端部の撥水性被膜10が形成されていない部分には、センタレス研磨、滑り防止塗膜、凹凸面加工等の滑り防止処理が施され、滑り防止処理面13が形成されている。
【0052】
大径竿管2の継合部3の直後には、節落防止機構14が設けられている。即ち、大径竿管2の継合部3の直後の内面には、円周方向の一部に長手方向に沿って、小径竿管の後端外径以下の径とした。好ましくは、0.01mm〜0.5mm小さい径とした内方への突起や突条、または小径部からなる節落防止機構14が形成されている。
【0053】
このように、節落防止機構14を設けたことにより、継合部がゆるんだ時に、節落ちを効果的に防止することが出来る。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図である。図6において、振出式釣竿の小径竿管1と大径竿管2とが、継合部3において継合している状態を示す。
【0055】
本実施形態に係る継合部には、継合部3の内面および外面の少なくとも一方に撥水性被膜が形成されているとともに、引き出し方向の抵抗よりも収納方向の抵抗が大きくなるような表面形状または表面処理面15が設けられている。この表面形状または表面処理面15は、継合部3の内面および外面の何れか一方、または両方に設けられる。
【0056】
このような表面形状または表面処理面15は、例えば図示するような鋸歯形状とすることが出来る。
これらの表面形状は任意であるが、小径竿管の引き出し方向より収納方向(継合解除方向)に抵抗が大きくなるように形成すると、撥水性表面を形成していても、節落を防止することが出来る。しかし、逆にすることも可能である。、
なお、図5に示す例と同様に、大径竿管2の継合部3の直後には、節落防止機構14が設けられている。
【0057】
図7および図8は、撥水性被膜の形成例を示す断面図である。
図7に示す例では、2つの凹部16a,16bに撥水性被膜17a,17bが形成されている。撥水性被膜17a,17bの表面には、微小な凹凸面が形成されている。凹部16a,16bに撥水性被膜17a,17bが形成されていることにより、撥水性の向上が図ることが出来るとともに、撥水性被膜17a,17bの耐久性を向上させることが出来る。
【0058】
図8に示す例では、撥水性被膜18の表面は、平滑な面19aと微小凹凸面19bとにより構成されている。このように、撥水性被膜18が一部に平滑な面19aを含むことにより、微小凹凸面19bの磨耗を防止することが出来る。
【0059】
図7および図8に示す例のように、撥水性被膜の表面が微小凹凸面を有することにより、竿管の継合時に水滴の付着を防止することが出来るとともに、継合状態において、たとえ一部に水滴が存在していたとしても、小径竿管と大径竿管との間に空気を含むことが出来、より確実に継合部の固着を防止することが可能である。
【0060】
撥水性被膜17a,17bは、超撥水性被膜とすることが出来る。超撥水性被膜は、バインダーとしての撥水性樹脂に撥水性粒子を混入して形成され、その表面は、微小な凹凸表面を有する。
【0061】
この超撥水性被膜は、竿管本体側よりも表面側の撥水性粒子の量が多く分布させることが望ましい。撥水性粒子の粒径は、0.1μm〜1μmであり、凹凸の深さは、撥水性粒子の粒径の2倍〜3倍、あるいはそれ以上であることが好ましい。
【0062】
竿管本体と超撥水性被膜との間に、成形時に、または塗装により、下地層を形成してもよい。下地層の材質、層数等は、任意に選択することが出来る。
【0063】
超撥水性被膜の微小な凹凸表面は、凹部と凸部とが組み合わされて形成されている。この場合、「微小」という概念は、微小な凹凸の凹部に入った空気が凹部に保持され、水滴が凹部に入らない程度の微小さのことである。具体的な例としては、超撥水性被膜を平面上に見たときに、凹部と凸部との組み合わせ個数が、単位面積(例えば、1mm2 )当たりに換算して、100個以上または1000個以上、好ましくは、5000〜100万個またはそれ以上形成されていることを意味する。また、別の言い方をすると、「微小」という概念は、凹部と凸部との高低差が、10μm以下、好ましくは、0.1〜5μmであって、且つ、凹部と凸部との間のピッチが、10μm以下、好ましくは、0.1〜5μmに設定されていることを意味する。
【0064】
撥水性粒子が竿管本体側に密集していると、竿管本体と超撥水性被膜との間の止着(密着)面積が小さくなり、その結果、竿管本体に対する超撥水性被膜の止着性(密着性)が低下する場合があるため、撥水性粒子を、撥水性被膜の表面側およびその近傍に集中させることが望ましい。
【0065】
このように撥水性粒子を超撥水性被膜の表面側およびその近傍に集中させることによって、竿管本体と超撥水性被膜との境界面は、撥水性粒子が少ないか或いは殆ど無い状態にすることができるため、竿管本体22と超撥水性被膜28との間の止着(密着)面積を大きくすることができる。この結果、竿管本体に対する超撥水性被膜の止着性(密着性)を向上させることができる。また、撥水性粒子の割合を表面側で多くしたことにより、超撥水性被膜の表面の撥水性を、より高めることが出来る。
【0066】
このような撥水性粒子の割合を表面側で多くした超撥水性被膜は、例えば撥水性粒子とバインダーとの比重差を利用して形成することが出来る。即ち、被膜の加熱硬化や光硬化等の硬化段階において、またはその前の段階において、遠心力を利用して撥水性粒子の割合を表面側で多くするように調整することが可能である。
【0067】
また、表面張力の差によって撥水性粒子を表面に浮き出させることも可能である。或いはまた、撥水性粒子の割合の少ない塗料を塗布し、半硬化状態の樹脂層の上に撥水性粒子の割合の少ない塗料を塗布し、内・外層を加熱硬化するようにしてもよい。
【0068】
撥水性被膜は、撥水性粒子に加え、耐摩耗性粒子をも含有してもよい。耐摩耗性粒子としては、シリカ、アルミナ、ガラス、SiC、ステンレス鋼等を用いることが出来る。
【0069】
耐摩耗性粒子は、撥水性被膜中に含まれる撥水性粒子の粒子径よりも大きく、撥水性被膜の膜厚よりも小さい粒子径のものを用いることが好ましい。撥水性粒子の粒子径は、例えば0.1μm〜1μmであり、耐摩耗性粒子の粒子径は、例えば0.2μm〜5μmである。
【0070】
従って、撥水性被膜は、バインダーとしての撥水性樹脂中に、小径の撥水性粒子と大径の耐摩耗性粒子を含有するものであり、その結果、大小の粒子の複合された表面を提供する。即ち、小径の撥水性粒子により比較的なめらかな微小凹凸表面が形成されるとともに、その表面から大径の耐摩耗性粒子が突出した表面が得られる。
【0071】
なお、図7および図8に示す撥水性被膜の形成例は、図1〜図6に示す各実施形態に適用することが可能である。
また、継方式は、振出式の他、並継式等、任意の継方式を採用可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の継式釣竿によると、継合面に超撥水性被膜が形成されているため、継合面に水滴をためた状態で継合することを防止し、継合部の固着を効果的に防止することが可能である。また、継合して使用した後に、容易に継合状態を外すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の大径竿管の継合部を示す断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の小径竿管の継合部を示す断面図。
【図4】本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図。
【図5】本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る振出式釣竿の継合部を示す断面図。
【図7】撥水性被膜の形成例を示す断面図。
【図8】撥水性被膜の他の形成例を示す断面図。
【符号の説明】
1…径竿管
2…大径竿管
3…継合部
4,16a,16b…凹部
5…撥水性被膜
6,7…凸部
8…継合部以外の部分
9…撥水性被膜が形成されていない部分
10,12,17a,17b,18…撥水性被膜
11,13…滑り防止処理面
14…節落防止機構
15…表面処理面
19a…平滑面
19b…微小凹凸面
Claims (2)
- 前後に継合わせた大径竿管及び小径竿管の一方の継合面に、他方の竿管の継合面と強く接触する凸状部と、この凸状部よりも弱く接触するか又は非接触の凹状部とを形成し、前記凹状部に撥水性被膜、又は水との接触角が130度以上である超撥水性被膜を有し、前記大径竿管及び小径竿管の一方又は他方の継合面に、引き出し方向の抵抗よりも、収納方向の抵抗が大きくなるような表面形状を形成し、かつ前記大径竿管の継合部直後の内面に、円周方向の一部に長手方向に沿って、前記小径竿管の後端外径より小さい径の部分を設けたことを特徴とする継式釣竿。
- 前記撥水性被膜は表面に微小凹凸部を有し、この微小凹凸部に空気を内在させた状態で前記竿管が継合わされることを特徴とする請求項1に記載の継式釣竿。
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