JP2002051673A - 中通し釣竿 - Google Patents

中通し釣竿

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JP2002051673A
JP2002051673A JP2000238518A JP2000238518A JP2002051673A JP 2002051673 A JP2002051673 A JP 2002051673A JP 2000238518 A JP2000238518 A JP 2000238518A JP 2000238518 A JP2000238518 A JP 2000238518A JP 2002051673 A JP2002051673 A JP 2002051673A
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water
rod
repellent
fishing line
repellent coating
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JP2000238518A
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Eiji Sugaya
英二 菅谷
Koichi Ito
浩一 伊藤
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Globeride Inc
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Daiwa Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 竿管の中空部内を通る釣糸の抵抗を効率よく
低減することが出来るとともに、軽量で持ち重りを防止
することが出来、操作性の優れた中通し釣竿を提供する
こと。 【解決手段】 強化繊維に合成樹脂を含浸したプレプレ
グを巻回して形成した竿管の中空部内側に釣糸を案内す
る中通し釣竿であって、中空部内側に釣糸が通る主たる
竿管を長さ方向に4つの部分に分けたとき、先端から2
番目の部分の内側には高撥水性被膜を形成し、先端から
3番目の部分の内側には高撥水性被膜を形成しない部分
を設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操作性に優れた中
通し釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】中通し釣竿は、釣糸が竿管の表面を伝わ
らないで、竿管の中空部内を通る構造を有している。こ
のような中通し釣竿は、釣糸が引っかかることがなく、
また外観がシンプルであることから、多用されている。
従来、例えば特開平11−75632号公報には、中通
し釣竿の竿管の内側に離型剤を塗布し、更に高分子ビー
ズを含有する高離型性を有する樹脂を被覆することが開
示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、竿管の内
側に高離型性を有する樹脂を被覆した中通し釣竿は、竿
管の中空部内を通る釣糸の抵抗を低減することが出来
る。しかし、竿管の内側に撥水性の高い被膜を形成する
場合、ある程度の膜厚が必要となるので、全体として重
量が重くなり、持ち重りのする中通し釣竿とならざるを
得ないという問題がある。
【0004】本発明は、このような問題を解決するため
になされ、その目的は、竿管の中空部内を通る釣糸の抵
抗を効率よく低減することが出来るとともに、軽量で持
ち重りを防止することが出来、操作性の優れた中通し釣
竿を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、中通し釣竿
の釣り糸が中空部内を通る際の、中空部内に付着する水
滴による抵抗につき、鋭意、検討を重ねた結果、中通し
釣竿の釣り糸が中空部内を通る部分には、水滴による釣
り糸の抵抗が高い部分と低い部分とがあることを見出
し、本発明をなすに至った。
【0006】即ち、本発明は、強化繊維に合成樹脂を含
浸したプレプレグを巻回して形成した竿管の中空部内側
に釣糸を案内する中通し釣竿であって、中空部内側に釣
糸が通る主たる竿管を長さ方向に4つの部分に分けたと
き、先端から2番目の部分の内側には高撥水性被膜を形
成し、先端から3番目の部分の内側には高撥水性被膜を
形成しない部分を設けたことを特徴とする中通し釣竿を
提供する。
【0007】中通し釣竿が、複数の竿管を継ぎ合わせた
ものである場合、例えば、中空部内を釣り糸が通る竿管
が、穂先側から第1の竿管、第2の竿管、第3の竿管、
第4の竿管と4本ある場合には、それらは、上述の4つ
の部分、即ち、先端から1番目の部分、2番目の部分、
3番目の部分、4番目の部分にそれぞれ対応する。
【0008】このように、本発明によると、水滴による
釣り糸の抵抗が高い部分に高撥水性被膜を形成し、低い
部分には高撥水性被膜を形成しないこととすることによ
り、効果的に釣り糸の抵抗を低減することが出来るとと
もに、軽量化することが出来、もち重りを防止すること
が出来、操作性の優れた中通し釣竿を得ることが可能で
ある。
【0009】また、本発明の中通し釣竿では、先端から
1番目の部分および先端から4番目の部分の内側に高撥
水性被膜を形成することが出来る。このように、先端か
ら1番目および4番目の部分にも高撥水性被膜を形成す
ることにより、更に釣り糸の抵抗を低減することが出来
る。
【0010】また、本発明の中通し釣竿では、先端から
1番目〜4番目の部分の内側に、釣糸案内部を、竿管内
面と一体的に突出させて形成し、先端から1番目の部分
の内側に設けた釣糸案内部の突出高さを、先端から3番
目および4番目の部分の内側に設けた釣糸案内部の突出
高さより低く形成することが出来る。
【0011】このような構成とすることにより、穂先側
の釣糸挿通空間を大きくすることが出来、元竿側の突起
を相対的に高くして釣糸を案内することが出来るので、
より一層、糸抵抗を低減することが可能である。
【0012】本発明の中通し釣竿において、高撥水性被
膜は、撥水性樹脂に撥水性粒子を混入してなる、微細な
凹凸表面を有する撥水性被膜とすることが出来る。撥水
性樹脂としては、弗素系樹脂やシリコン系樹脂を挙げる
ことが出来る。なお、撥水性樹脂として他の材料を用い
ることも出来るが、水の接触角が130度以上、好まし
くは140度以上の表面性質が得られる材料を用いるの
がよい。
【0013】また、撥水性粒子としては、四弗化エチレ
ン樹脂、四弗化エチレン樹脂−六弗化ポリプロピレン共
重合樹脂、三弗化塩化エチレン樹脂、弗化ビニル樹脂、
四弗化ビニリデン樹脂、四弗化エチレン−パーフロロア
ルキルビニルエーテル共重合樹脂、弗化エチレン樹脂−
エチレン共重合樹脂、エチレン−三弗化エチレン共重合
樹脂、その他酸化ケイ素やシリコン樹脂等を挙げること
が出来る。
【0014】また、撥水性被膜の表面は、撥水性粒子の
粒径よりも深い微細な凹凸表面を有することが望まし
い。このように、撥水性樹脂および撥水性粒子を含み、
微細な凹凸表面を有する撥水性被膜の表面は、水滴の接
触角が130°以上、好ましくは140°以上、特に好
ましくは150〜180°であるような極めて高い超撥
水性を有する。
【0015】撥水性粒子の粒径よりも深い微細な凹凸表
面は、撥水性被膜の形成の際に表面の溶剤の量を多くし
ておき、溶剤を揮発させることにより形成することが出
来る。或いは、後述するように、撥水性粒子よりも粒径
の大きい耐摩耗性粒子を混入することにより形成するこ
とも可能である。
【0016】撥水性被膜の厚さは、1μm〜100μmの
範囲内で任意に設定することが出来るが、特に3μm〜
20μmであるのが好ましい。釣糸案内ガイドのための
突起を設ける場合には、突起の頂部が露出するような厚
さに形成し、耐摩耗性の突起頂部で釣糸を受けるように
することにより、撥水性被膜の磨耗を防止することが出
来る。
【0017】撥水性樹脂に混入する撥水性粒子は、単一
の形状や大きさでなく、2種類以上の様々な形状や大き
さのものとすることが好ましい。様々な形状や大きさの
撥水性粒子を用いることにより、撥水性被膜表面の凹凸
形状を複雑な形状にすることが出来、それによって撥水
性を一層向上させることが出来る。
【0018】撥水性被膜の表面における撥水性粒子の割
合を、竿管側における撥水性粒子の割合よりも多くする
ことが好ましい。これは、材料の物性、例えば撥水性樹
脂と撥水性粒子の比重差を利用したり、被膜の形成時に
遠心力を利用したり、或いはまた、撥水性粒子の含有量
の異なる撥水性樹脂を段階的に複数回コーティングする
ことにより達成することが出来る。このように、撥水性
被膜の表面における撥水性粒子の割合を竿管側よりも多
くすることにより、撥水性被膜の表面の撥水性を更に高
くすることが出来るとともに、バインダーとしての樹脂
が竿管側で多くなることにより、相対的に竿管との密着
性を向上させることが出来る。
【0019】なお、撥水性被膜は、複数層で形成するこ
とも出来るが、単層または一体に同時に加熱硬化する複
数層に形成するとよい。撥水性被膜であっても、層間剥
離を防止することが出来るからである。
【0020】撥水性被膜中の撥水性粒子の混入比率は、
30%(断面の面積比率)より多くすることが好まし
く、40〜70%の範囲がより好ましい。それによっ
て、撥水性粒子の突出を多くすることが出来、高い撥水
性の表面を得ることが出来る。
【0021】撥水性被膜の表面を、撥水性粒子の粒径よ
りも深い微細な凹凸表面とするために、撥水性被膜に耐
摩耗性粒子を混入することが出来る。この場合、耐摩耗
性粒子が撥水性被膜の表面に突出するように形成するこ
とで、撥水性被膜の表面に釣糸が接触しても、撥水性被
膜の早期の磨耗を防止することが出来る。
【0022】耐摩耗性粒子の大きさは、特に限定されな
いが、撥水性被膜に含まれている他の粒子、例えば撥水
性粒子の大きさよりも大きくすることが好ましい。その
結果、大きさの異なる複数種の粒子が突出して、微小な
凹凸と微細な凹凸とからなる複合的な凹凸面を形成する
ことが出来る。なお、耐摩耗性粒子の量は、撥水性粒子
の量よりも少ないことが望ましい。
【0023】このように、撥水性被膜の表面に複合的な
凹凸面を形成することにより、被膜を耐久性を向上させ
ることが出来るとともに、撥水性を更に向上させること
が出来る。特に、撥水性粒子と耐摩耗性粒子とを、材料
等、異なる性質とした場合には、その性質に応じた特性
を付加した凹凸面を形成することが出来る。
【0024】耐摩耗性粒子の混入比率は、特に限定され
ないが、1重量%以上、通常は3〜30重量%が適当で
ある。
【0025】なお、竿管の表面に耐磨耗性材料からなる
スパイラル状の突起を設けることが出来る。このスパイ
ラル状の突起は、釣糸案内ガイドとして機能する。
【0026】本発明の中通し釣竿における高撥水性被膜
の形成は、スプレーによるコーティング法、ディッピン
グ法(塗液注入後、不要分を除去)、刷毛塗り等の他、
あらかじめ撥水性層を形成したフィルムを芯金の外側に
巻回し、その上に繊維強化プリプレグを巻回し、常法に
より加熱成形することによっても行うことが出来る。ま
た、メッキ法を用いて形成することも可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施
形態に係る振出式中通し竿の5つの節を分離して示す図
である。図1の(a)、(b)、(c)、(d)、
(e)は、穂先側から順に第1の竿管(穂先竿)1、第
2の竿管2、第3の竿管3、第4の竿管4、第5の竿管
(元竿管)5を示す。図1において、参照符号6はトッ
プガイド、7は釣り糸導入ガイド、8は継合部をそれぞ
れ示す。
【0028】これらの竿管のうち、第1〜第4の竿管1
〜4は、その中空部全長にわたって釣り糸が通るが、第
5の竿管(元竿管)5は、釣り糸導入ガイド7が設けら
れた釣り糸導入部において釣り糸が竿管内に導入される
ので、釣り糸が通る中空部の長さは非常に短く、また、
中空部は径が大きいため釣り糸は中空部内面に殆ど接触
しないので、本発明においては、考慮されない。即ち、
撥水性被膜は設ける必要はないが、もちろん、設けても
よい。
【0029】本実施形態においては、中空部内を釣り糸
が通る第1〜第4の竿管1〜4のうち、第2の竿管2の
内面に撥水性被膜を設け、第3の竿管3の内面には撥水
性被膜を設けない構成としている。その理由は、次の通
りである。中空部内を釣り糸が通る第1〜第4の竿管1
〜4の寸法を下記表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】第1の竿管の内径が1〜3mmまたはそれ
未満のとき、水が第1の竿管の中空部に入ると、中空部
は水で満たされてしまい、釣り糸は、長い範囲にわたっ
て水中を通ることになる。この場合、水中を通る釣り糸
の抵抗は、意外にもかなり小さいものである。
【0032】次に、第2の竿管の内径が3〜6mm程度
のとき、第2の竿管の中空部の内面に、互いに分離した
多数の水滴が付着する。この中空部内を釣り糸が通る
と、釣り糸は、水滴内を出たり入ったりしながら案内さ
れる。この場合、水滴内を出たり入ったりする釣り糸の
抵抗は、相対的に大きいものとなる。
【0033】第3の竿管の内径が6mmを超える(好ま
しくは7mm以上)のとき、第3の竿管の中空部の内面
に、互いに分離した多数の水滴が付着するが、内径自体
が大きいため、中空部は水滴の大きさよりも充分に大き
く、釣り糸は、水滴内を通る頻度が少なく、主として空
間内を案内される。また、釣り竿の使用状態において
は、中間節となる第3の竿管内面への水分の浸入が少量
となり、水滴自体が少なくなることが考えられる。その
ため、釣り糸の抵抗は、小さい。
【0034】このように、内径が3〜6mm程度の竿管
(本実施形態では第2の竿管)については、その内面に
高撥水性被膜(または超撥水性被膜)を設け、水滴を早
急に移動させ、除去し易くするのがよい。
【0035】また、竿管内面の、釣り糸との接触部の全
体にわたって、離型剤をコーティングしてある程度の撥
水性を付与し、内径が3〜6mm程度の竿管について
は、その全長または一部に超撥水性被膜を設け、撥水性
に部分的に差を設けるようにしてもよい。即ち、本実施
形態において第3の竿管の内面に、第2の竿管の内面の
撥水性よりも低い撥水性の被膜を設けることも可能であ
る。それによって、効率よく糸抵抗を低減することが出
来、全体として釣竿の軽量化、持ち重りの防止を図るこ
とが出来るとともに、製造も容易となる。
【0036】次に、本発明者は、以上を実証するため、
第1〜第4の竿管のそれぞれに超撥水性被膜を設けた場
合と設けない場合の、どのような組み合せが糸抵抗の低
減効果に優れているかを試験した。
【0037】即ち、図1に示す各竿管を継ぎ合わせて、
1本の通し釣竿を構成し、先端に重りをつけた釣り糸
を、釣り糸導入ガイド7から各竿管内を通して、第1の
竿管(穂先竿)1のトップガイド6から下に落下させ、
落下時間を測定して、その糸抵抗を調べた。その結果、
糸抵抗の少ない竿管の組み合せは、下記表2に示すよう
な順位(糸抵抗が低い順)となった。
【0038】
【表2】
【0039】上記表2から、第1〜第4の竿管のすべて
に超撥水性被膜を設けた場合が最も糸抵抗が低いのは当
然であるが、第2の竿管に超撥水性被膜を設けた場合
に、糸抵抗の低減効果が最も大きいことがわかる。ま
た、第3の竿管に超撥水性被膜を設けた場合に、糸抵抗
の低減効果が最も小さいことがわかる。以上の結果か
ら、第2の竿管に超撥水性被膜を設け、第3の竿管に超
撥水性被膜を設けない構成が、最も効率よく糸抵抗の低
減を図ることが出来ることがわかる。
【0040】以下、本発明の中通し釣竿の、内面に高撥
水性被膜が形成された竿管について、より具体的に説明
する。図2は、強化繊維に合成樹脂を含浸したプリプレ
グシートを巻回して形成された、中通し釣竿用竿管本体
の一部切り欠き断面図を示す。図2に示すように、竿管
本体22の内周面には、釣糸案内ガイドとしてのスパイ
ラル状突起部24が形成されている。
【0041】図3は、本発明の中通し釣竿の竿管本体2
2の内周面の構造を示す断面図である。図3に示すよう
に、竿管本体22は、内層22a,中間層22b、およ
び外層22cの3層構造を有する。内層22aおよび外
層22は、カーボン周方向繊維層、ガラススクリムクロ
ス層(織布層)またはカーボン軸方向繊維層、またはこ
れらの組合せからなり、中間層22bは、軸方向繊維層
または傾斜方向繊維層を主体とした層により構成され
る。
【0042】図3に示すように、竿管本体22の内周面
には、所定の高さの複数の突起部24が所定のピッチで
形成されていると共に、微小な撥水性粒子を含有する撥
水性樹脂からなる撥水性被膜28が止着されている。な
お、超撥水性被膜28は、「微細な凹凸」とともに、そ
れよりも深さの小さい「微小な凹凸」をも有する、複合
的な凹凸表面を有することが好ましい。
【0043】本実施の形態において、「止着」とは、例
えば、塗装(液体、粉体など)、印刷、プリプレグや樹
脂フィルムの巻装、蒸着、メッキ、その他接着等によっ
て撥水性被膜28を形成することを意味する。また、
「撥水性」とは、水滴の接触角が、少なくとも130度
以上、好ましくは、140度以上、更に好ましくは、1
50度〜180度であることを意味する。
【0044】複数の突起部24は、耐摩耗性材料により
構成することが好ましい。使用可能な耐摩耗性材料とし
ては、例えば、セラミックス繊維、カーボン繊維、ガラ
ス繊維等を用いた繊維強化樹脂、強化繊維にPET、ア
ラミド、PTFE、PE等の有機繊維を用いたもの、或
いは、合成樹脂フィルム、糸条、セラミックス材料(リ
ング状)等を用いることができる。または、突起部24
は、本体母材と同様の合成樹脂により構成する、いわゆ
る樹脂スパイラルとしてもよい。
【0045】これら突起部24の高さは、0.1〜1m
m、好ましくは、0.2〜0.6mmの範囲に設定する
ことが好ましい。また、複数の突起部24のピッチは、
2〜20mm、好ましくは、3〜10mmの範囲に設定
することが好ましい。ただし、竿管の外側に形成すると
きは、上記のようにしてもよいが、竿管当り1〜10個
の突起でよい。
【0046】高撥水性被膜28は、複数の突起部24の
間の領域に亘って止着されており、その厚さは、突起部
の高さよりも小さく設定されている。この場合、高撥水
性被膜28の厚さは、1〜100μm、好ましくは、3
〜20μmの範囲に設定することが好ましい。
【0047】なお、図3に示すように、高撥水性被膜2
8は、突起部24の頂部28aにおいて最も薄く、突起
部24の基部28bにおいて最も厚く、突起部24の間
の領域28cにおいて平均的な厚さを示す。
【0048】高撥水性被膜28は、フッ素樹脂粒子等の
撥水性粒子26が分散混入された、弗素樹脂やシリコー
ン樹脂等の撥水性樹脂を用いて形成され、吹き付け塗装
や注入塗装の他に、例えば後述するような被膜形成方法
において、プリプレグシートを巻回して竿管本体22を
形成する際に、上記撥水性樹脂混合物を予めプリプレグ
シートに固着させておくことによって、竿管本体22の
完成と同時に、竿管本体22の内周面に形成される。
【0049】高撥水性被膜28の微小な凹凸表面は、バ
インダーにより結合された複数個の撥水性粒子の集合か
らなる凸部とこれら凸部間に形成された凹部とが組み合
わされて形成されている。この場合、「微小」という概
念は、微小な凹凸の凹部に入った空気が凹部に保持さ
れ、水滴が凹部に入らない程度の微小さのことである。
具体的な例としては、撥水性被膜28を平面上に見たと
きに、凹部と凸部との組み合わせ個数が、単位面積(例
えば、1mm2 )当たりに換算して、100個以上また
は1000個以上、好ましくは、5000〜100万個
またはそれ以上形成されていることを意味する。また、
別の言い方をすると、「微小」という概念は、凹部と凸
部との高低差が、10μm以下、好ましくは、0.1〜
5μmであって、且つ、凹部と凸部との間のピッチW
が、10μm以下、好ましくは、0.1〜5μmに設定
されていることを意味する。
【0050】また、高撥水性被膜28の微細な凹凸表面
は、微小な撥水性粒子の粒径より深い凹凸表面であり、
この場合の「微細」なる概念は、微細な凹凸の凹部に入
った空気が凹部に保持され、水滴が凹部に入らない程度
の微細さのことであり、具体的な例としては、超撥水性
被膜を平面上に見たときに、凹部と凸部との組み合わせ
個数が、単位面積(例えば、1mm2 )当たりに換算し
て、10個以上または100個以上、好ましくは、10
00〜50万個またはそれ以上形成されていることを意
味する。また、別の言い方をすると、「微細」という概
念は、凹部と凸部との高低差が、10μm以下、好まし
くは、0.2〜5μmであって、且つ、凹部と凸部との
間のピッチが、100μm以下、好ましくは、0.2〜
5μmに設定されていることを意味する。
【0051】なお、撥水性粒子26が竿管本体22側に
密集していると、竿管本体22と撥水性被膜28との間
の止着(密着)面積が小さくなり、その結果、竿管本体
22に対する高撥水性被膜28の止着性(密着性)が低
下する場合があるため、撥水性粒子26は、高撥水性被
膜28の表面側およびその近傍に集中させることが好ま
しい。
【0052】このように撥水性粒子26を高撥水性被膜
28の表面側およびその近傍に集中させることによっ
て、竿管本体22と高撥水性被膜28との境界面は、撥
水性粒子26が少ないか或いは殆ど無い状態にすること
ができるため、竿管本体22と高撥水性被膜28との間
の止着(密着)面積を大きくすることができる。この結
果、竿管本体22に対する撥水性被膜28の止着性(密
着性)を向上させることができる。
【0053】以上のように、図3に示す竿管本体によれ
ば、複数の突起部24を所定のピッチで形成し、且つ、
これら複数の突起部24の間の領域に、微小な凹凸表面
を有する高撥水性被膜28を設けたことによって、釣糸
16の摩擦抵抗を低減すると共に、長期間に亘って優れ
た撥水性を維持し続けることが可能な釣竿を提供するこ
とができる。即ち、例えば海水や水等が釣竿{本実施の
形態では、中竿管6(竿管本体22)の内周面}に被っ
た場合でも、微小な凹凸表面Sによって水滴等を素早く
除去することができるため、高撥水性被膜28上に水滴
等が付着することを防止することができる。つまり、高
撥水性被膜28上に水滴等が付着すると、この水滴等に
よって釣糸16が高撥水性被膜28に引き寄せられ、釣
糸16と高撥水性被膜28との接触状態が増大する。し
かし、微小な凹凸表面の存在によって、高撥水性被膜2
8上への水滴等の付着を防止することができるため、高
撥水性被膜28に対する釣糸16の接触を少なくして、
糸抵抗を低減することが出来、また釣糸の接触が少ない
ことで、高撥水性被膜28の保護を図ることができる。
【0054】図4は、本発明の中通し釣竿の他の竿管本
体22の内周面に形成された高撥水性被膜28を、1,
000倍〜20,000倍に拡大して示す断面図であ
る。この例では、高撥水性被膜28は、撥水性粒子26
に加え、耐摩耗性粒子30をも含有している。耐摩耗性
粒子30としては、シリカ、アルミナ、ガラス、Si
C、ステンレス鋼等を用いることが出来る。
【0055】耐摩耗性粒子30は、高撥水性被膜28中
に含まれる撥水性粒子26の粒子径よりも大きく、高撥
水性被膜28の膜厚よりも小さい粒子径のものを用いる
ことが出来る。撥水性粒子26の粒子径は、例えば0.
1μm〜1μmであり、耐摩耗性粒子30の粒子径は、
例えば0.2μm〜5μmである。
【0056】従って、高撥水性被膜28は、バインダー
としての撥水性樹脂中に、小径の撥水性粒子26と大径
の耐摩耗性粒子30を含有するものであり、その結果、
大小の粒子の複合された表面を提供する。即ち、小径の
撥水性粒子26により比較的なめらかな微小凹凸表面が
形成されるとともに、その表面から大径の耐摩耗性粒子
30が突出した表面が得られる。
【0057】図4に示す構造の高撥水性被膜28におい
て、被膜全体量に対する撥水性樹脂の割合は、例えば6
0または50重量%未満とすることが好ましい。このよ
うな範囲の撥水性樹脂量を用いることにより、高撥水性
被膜28の表面の凹凸を容易に深く形成することが可能
となる。
【0058】本実施形態に係る高撥水性被膜28では、
上述のように、撥水性粒子26の割合を、竿管本体22
の側よりも高撥水性被膜28の表面側に相対的に多くし
ている。即ち、竿管本体22の側には、相対的にバイン
ダーの量が多くされている。そのため、竿管本体22の
内面または高密着層32と高撥水性被膜28の密着性
を、より向上させることが可能である。また、撥水性粒
子26の割合を表面側で多くしたことにより、高撥水性
被膜28の表面の撥水性を、より高めることが出来る。
【0059】このような撥水性粒子26の割合を表面側
で多くした高撥水性被膜28は、例えば撥水性粒子とバ
インダーとの比重差を利用して形成することが出来る。
即ち、被膜の加熱硬化や光硬化等の硬化段階において、
またはその前の段階において、遠心力を利用して撥水性
粒子26の割合を表面側で多くするように調整すること
が可能である。
【0060】また、表面張力の差によって、撥水性粒子
26を表面に浮き出させることも可能である。或いはま
た、撥水性粒子26の割合の少ない塗料を塗布し、半硬
化状態の樹脂層の上に撥水性粒子26の割合の少ない塗
料を塗布し、内・外層を加熱硬化するようにしてもよ
い。
【0061】以上のように、本発明の中通し釣り竿で
は、高撥水性被膜の撥水性を更に向上させるために、高
撥水性被膜28中に撥水性粒子26を混入させ、それに
よって、突起24および耐摩耗性粒子30により形成さ
れた高撥水性被膜28の凹凸表面に、更に、撥水性粒子
26による微細な凹凸部を形成することが出来る。即
ち、撥水性粒子26が凸部となり、撥水性粒子26間の
間隙が凹部となるのである。
【0062】このような撥水性粒子26を用いた高撥水
性被膜28の被膜形成方法は、例えば撥水性粒子26が
分散混入された撥水材料混合物(合成樹脂)をプリプレ
グシートに予め固着させておいて、そのプリプレグシー
トを巻回して竿管本体22を形成した後、撥水材料混合
物に加熱処理を施して、撥水性粒子26を露出させ、そ
の結果として、撥水性粒子26と撥水性粒子26間の間
隙との組み合わせ形状に対応した微小な凹凸表面を形成
する。
【0063】他の被膜形成方法としては、例えば、竿管
本体22を完成させた後に、撥水性粒子26が分散混入
された撥水材料混合物を竿管本体22の内周面に積層
(吹き付け、塗装)し、その撥水材料混合物に加熱処理
を施しても良い。
【0064】以上、竿管内面に高撥水性被膜を形成した
例について説明したが、本発明は、竿管内面に加えて、
外面にも高撥水性被膜を形成することが可能である。
【0065】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、水滴による釣り糸の抵抗が高い部分に高撥水性
被膜を形成し、低い部分には高撥水性被膜を形成しない
こととすることにより、効果的に釣り糸の抵抗を低減す
ることが出来るとともに、軽量化することが出来、もち
重りを防止することが出来、操作性の優れた中通し釣竿
を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る中通し釣竿を構成す
る各竿管を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係る中通し釣竿用竿管本
体を示す一部切り欠き断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る竿管本体の内周面の
構造を示す断面図
【図4】本発明の他の実施形態に係る竿管本体の内周面
に形成された撥水性被膜を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
1〜5…第1〜第5の竿管 6…トップガイド 7…釣り糸導入ガイド 8…継合部 22…竿管本体 24…突起 26…撥水性粒子 28…撥水性被膜 30…耐摩耗性粒子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強化繊維に合成樹脂を含浸したプレプレグ
    を巻回して形成した竿管の中空部内側に釣糸を案内する
    中通し釣竿であって、中空部内側に釣糸が通る主たる竿
    管を長さ方向に4つの部分に分けたとき、先端から2番
    目の部分の内側には高撥水性被膜を形成し、先端から3
    番目の部分の内側には高撥水性被膜を形成しない部分を
    設けたことを特徴とする中通し釣竿。
  2. 【請求項2】先端から2番目の部分および先端から4番
    目の部分の内側に高撥水性被膜を形成したことを特徴と
    する請求項1に記載の中通し釣竿。
  3. 【請求項3】先端から1番目〜4番目の部分の内側に、
    釣糸案内部を、竿管内面と一体的に突出させて形成し、
    先端から1番目の部分の内側に設けた釣糸案内部の突出
    高さを、先端から3番目および4番目の部分の内側に設
    けた釣糸案内部の突出高さより低く形成したことを特徴
    とする請求項1または2に記載の中通し釣竿。
JP2000238518A 2000-08-07 2000-08-07 中通し釣竿 Pending JP2002051673A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008245568A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Daiwa Seiko Inc 釣竿、及び釣竿に装着される木製部品の撥水処理方法
WO2023058621A1 (ja) * 2021-10-08 2023-04-13 ダイキン工業株式会社 被膜形成用組成物及び被膜並びに薬液

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