JP3514875B2 - 遠隔炉内作業装置および方法 - Google Patents

遠隔炉内作業装置および方法

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JP3514875B2 JP16170595A JP16170595A JP3514875B2 JP 3514875 B2 JP3514875 B2 JP 3514875B2 JP 16170595 A JP16170595 A JP 16170595A JP 16170595 A JP16170595 A JP 16170595A JP 3514875 B2 JP3514875 B2 JP 3514875B2
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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軽水型原子炉の原子炉
圧力容器内壁とシュラウド胴外壁およびバッフルプレー
トとで形成される空間(以下アニュラス部と称する)に
おける炉内構造物の健全性を確保するための検査と補
修、予防保全あるいは交換作業を実施するための遠隔炉
内作業装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の軽水型原子炉では、炉内構造物の
状態確認や溶接部の健全性を維持するために、定期点検
時で原子炉圧力容器を開放した際に作業員がマストある
いは長尺棒の先端に水中テレビカメラを取付け、このマ
ストや長尺棒を原子炉フロア上から操作して原子炉圧力
容器内に挿入し、水中テレビカメラを移動させて、炉内
構造物および溶接部に近づけ、溶接状態やその劣化状態
を水中テレビカメラを介して目視による点検をしてい
た。
【0003】また、さらに詳細な健全性評価を実施する
ためには、検査対象の形状や構造に合わせた専用のアク
セス治具を用いて、超音波探傷試験や浸探傷試験などに
よる検査を実施していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ア
ニュラス部については、原子炉圧力容器内でも極めて狭
あいで、かつ上部からの見通しの悪い部所であり、ま
た、周囲に設置されたジェットポンプや計装管などが障
害となっている。したがって、このアニュラス部におけ
る検査対象に対して、単純なマストや長尺棒などにより
水中カメラなどを接近させる操作は極めて困難で、しか
も点検や補修などのために各種作業工具を挿入して作業
を実施するには、多くの工数を要すると同時に作業員へ
の被曝量が増加するという支障があった。
【0005】本発明の目的とするところは、原子炉圧力
容器内の狭あいなアニュラス部に対して周囲の障害を回
避する機能を備えた遠隔炉内作業装置により、炉内構造
物および溶接部位への作業工具の接近操作と検査や補修
などを容易とする遠隔炉内作業装置および方法を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1記載の発明に係る遠隔炉内作業装置は、原子炉
圧力容器の内部に配置されたシュラウド胴の上端部をガ
イドとして前記シュラウド胴上部をシュラウド胴と同
芯に回転可能な周方向移動機構と、前記周方向移動機構
上に搭載されて前記シュラウド胴の法線方向に移動可能
な半径方向位置決め機構と、前記半径方向位置決め機構
に搭載され、前記シュラウド胴と原子炉圧力容器壁とで
形成する空間のアニュラス部内に作業マニピュレータを
スライド挿入するための多段マストを回転起立して挿入
させるマスト起立機構およびマストスライド機構とを有
することを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明に係る遠隔炉内作業装
置は、前記作業マニピュレータ該作業マニピュレー
タを前記シュラウド胴と前記原子炉圧力容器の間に固定
するロック機構と、このロック機構に設けられ前記シュ
ラウド胴の外周に沿って伸長展開するスライド機構と
有することを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明に係る遠隔炉内作業装
置は、前記作業マニピュレータ該作業マニピュレー
タを前記多段マストの軸まわりに回転する水平回転機構
と、前記作業マニピュレータを前記シュラウド胴と前記
原子炉圧力容器の間に固定するロック機構、このロッ
ク機構に取付けられ任意の水平方向へ展開可能な複数の
回転関節とその関節に連結したアームを備えた複数の水
平多関節とを有することを特徴とする。
【0009】請求項4記載の発明に係る遠隔炉内作業装
置は、前記作業マニピュレータは、超音波を照射して
記アニュラス部内の作業対象物の欠陥や傷を検出する超
音波探触子を備えた超音波探傷ユニットを有することを
特徴とする。 請求項5記載の発明に係る遠隔炉内作業
装置は、前記作業マニピュレータは、バフ研磨や研削を
行う水中グラインダを有することを特徴とする。
【0010】請求項6記載の発明に係る遠隔炉内作業装
置は、前記作業マニピュレータは、溶接部付近の金属表
面の残留応力を引っ張り側から圧縮側に変化させるショ
ットピーニング作業ユニットを有することを特徴とす
る。
【0011】請求項7記載の発明に係る遠隔炉内作業装
置は、前記作業マニピュレータは、作業工具に対しての
機械的結合によって電気コネクタ,空圧コネクタ,水圧
コネクタを接続させることを特徴とする。
【0012】請求項8記載の発明に係る遠隔炉内作業装
置は、前記作業マニピュレータは、作業対象物への押し
付け方向の推力を発生する水ジェットノズルを有するこ
とを特徴とする。 請求項9記載の発明に係る遠隔炉内
作業装置は、前記作業マニピュレータは、作業対象物に
固着させて位置決めするための真空吸着パッドを有する
ことを特徴とする。
【0013】請求項10記載の発明に係る遠隔炉内作業方
法は、原子炉圧力容器の内部に配置されたシュラウド胴
の上端部をガイドとして前記シュラウド胴上部を該シュ
ラウド胴と同芯に回転可能な周方向移動機構と、前記周
方向移動機構上に搭載されて前記シュラウド胴の法線方
向に移動可能な半径方向位置決め機構と、前記半径方向
位置決め機構に搭載され、前記シュラウド胴と前記原子
炉圧力容器壁とで形成する空間のアニュラス部内に作業
マニピュレータをスライド挿入するための多段マストを
回転起立して挿入させるマスト起立機構およびマストス
ライド機構とからなる遠隔作業装置を用いた遠隔炉内作
業方法であって、前記アニュラス部内に設置された前記
遠隔炉内作業装置の前記作業マニピュレータに対して、
アニュラス部外から作業工具ハンガにより作業工具を
着脱することを特徴とする。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明は、原子炉圧力容器内の水
中で遠隔炉内作業装置の周方向移動機構をシュラウド胴
の上端をガイドとして設置すると共に、遠隔操作でこの
周方向移動機構によりシュラウド胴上の所定位置に位置
決めする。
【0015】この後に、半径方向位置決め機構とマスト
起立機構、およびマストスライド機構を同時に制御しな
がら、アニュラス部への作業工具挿入の障害となってい
る炉心スプレイ配管などとの干渉を避けながら、多段マ
ストと作業マニピュレータを起立させ、さらに多段マス
トを伸ばして、作業マニピュレータを作業部位の近くの
作業領域の高さまでに降ろす。次に作業マニピュレータ
は、作業領域において先端に装着した作業工具を用い
て、アニュラス部内の構造物の検査や補修、および予防
保全と交換作業などを実施する。
【0016】請求項2記載の発明は、作業マニピュレー
タのロック機構におけるリンク機構を伸縮することによ
り水平方向へ移動できる。さらに、このロック機構の先
端に設けたスライド機構の多段のスライドアームを左右
に展開することで、このスライドアームの先端部に装着
した作業工具を炉心中心と円周方向の位置に移動でき
る。
【0017】請求項3記載の発明は、作業マニピュレー
タの水平回転機構により水平に旋回でき、ロック機構に
より水平方向への伸縮、さらにこのロック機構の先端に
設けた複数の偏平薄型水平多関節により、任意の水平方
向へ展開することができるので、この偏平薄型水平多関
節の先端部に装着した作業工具を、ジェットポンプなど
の炉内構造物との干渉を避けながらシュラウド胴外周や
ジェットポンプ廻りに沿って移動させることができる。
【0018】請求項4記載の発明は、遠隔炉内作業装置
に装着する作業工具に超音波探傷ユニットを用いて、超
音波探触子により炉内の金属構造物の表面に超音波を照
射して、金属材料にある欠陥や傷の検出を行う。請求項
5記載の発明は、遠隔炉内作業装置に装着する作業工具
に、バフ研磨や研削を行う水中グラインダ工具を用い
て、炉内構造物の壁面上で溶接部付近などのバフ研磨や
研削を遠隔操作にて行う。
【0019】請求項6記載の発明は、遠隔炉内作業装置
に装着する作業工具に、ショットピーニング作業ユニッ
トを用いて、炉内構造物の壁表面をショットピーニング
し、溶接部付近表面の溶接時における残留引張り応力を
圧縮応力に置換して、原子炉稼働中に発生する応力腐食
割れを促進する一要因である残留引っ張り応力を除去す
る。
【0020】請求項7記載の発明は、作業マニピュレー
タの先端に設けた工具着脱機構により、遠隔炉内作業装
置をその都度原子炉圧力容器の外に搬出せずに、各種作
業工具の交換を原子炉圧力容器内の水中にて容易に行
う。請求項8記載の発明は、作業マニピュレータあるい
は作業工具に設置した水ジェットノズルから、作業反力
と反対方向に水を噴出することにより、その作業のため
に対象物に工具を押し付ける力と反対向きの推力を発生
して、遠隔炉内作業装置に加わる作業反力を軽減する。
【0021】請求項9に記載の発明は、作業マニピュレ
ータあるいは作業工具に設置した真空吸着パッドによ
り、作業マニピュレータあるいは作業工具を構造物の所
定位置に固着すると共に作業反力が保持できる。
【0022】請求項10記載の発明は、作業マニピュレー
タの先端に工具着脱機構の遠隔着脱部を設けた遠隔炉内
作業装置を炉内に設置したまま、この遠隔炉内作業装置
に対して、別途原子炉圧力容器の外部から予め工具着脱
機構の着脱部を取付けた作業工具を、作業工具ハンガー
により保持して挿入する。
【0023】この作業工具ハンガーにより前記遠隔着脱
部の上部に着脱部を位置させると共に、遠隔炉内作業装
置を操作して工具着脱機構の遠隔着脱部を着脱部に嵌着
させることにより、作業マニピュレータの先端に作業工
具を装着する。
【0024】
【実施例】本発明の一実施例について図面を参照して説
明する。第1実施例は、図1の斜視図および図2の縦断
面図に示すように、遠隔炉内作業装置1は、沸騰水型原
子炉の原子炉圧力容器2の内壁とシュラウド胴3の外
壁、およびバッフルプレート4との間に挟まれた空間部
分5(以下アニュラス部と呼ぶ)における、炉内構造物
の検査と補修、および予防保全、あるいは交換工事を遠
隔操作で行うためのものである。
【0025】原子炉において定期点検時には、図2に示
すように原子炉圧力容器2は上蓋を取り外すと共に、炉
心6とこれを囲むシュラウド胴3の上端のシュラウド上
部胴7の上方に位置する図示しないシュラウドヘッド、
シュラウドボルト、気水分離器および蒸気乾燥器などを
取り外す。
【0026】これにより、シュラウド上部胴7より上方
はすべて炉内機器を取り外した状態となり、内部には冷
却水8が注入されている。この状態において遠隔炉内作
業装置1は、原子炉フロア9より冷却水8中のシュラウ
ド上部胴7の上端に図示しない天井クレーンなどにより
吊下げて設置される。
【0027】この遠隔炉内作業装置1は、図1に示すよ
うにシュラウド上部胴7に設置して、シュラウド胴3と
原子炉圧力容器2の内壁との間で形成するアニュラス部
5に、多段マスト10と作業マニピュレータ11、さらにそ
の先端に取り付けた作業工具12を挿入する。なお、この
原子炉圧力容器2の内壁には炉心スプレイ配管13が、ま
たバッフルプレート4上には、複数のジェットポンプ14
が設置されている。
【0028】図3の一部切断正面図と図4の斜視図、お
よび図5の斜視図に示すように、遠隔炉内作業装置1
は、主に周方向移動機構15と半径方向位置決め機構16、
およびマスト起立機構17とマストスライド機構18を搭載
したベース台車19と、多段マスト10および作業マニピュ
レータ11とから構成されている。
【0029】なお、作業マニピュレータ11にはロック機
構20とスライド機構21、さらにその先端には検査や補修
などの作業を行う各種の作業工具12の取付が可能となっ
ている。また、図1に示すように遠隔炉内作業装置1
は、動力および信号ケーブル22を介して原子炉フロア9
上に設置された操作制御盤23に接続され、作業員による
各駆動部の遠隔操作による駆動と制御を可能としてい
る。
【0030】さらに、各構成要素毎に詳細な構成につい
て以下に説明する。図3に示すように、シュラウド上部
胴7の上端のフランジ上に走行ガイド24を仮設置し、こ
の走行ガイド24に沿って周方向に移動可能な周方向移動
機構15を搭載する。この周方向移動機構15は、走行車輪
25と従属車輪26、テンション用ピストン27と走行駆動モ
ータ28、位置検出センサ29およびブレーキ30などから構
成されている。
【0031】また、この周方向移動機構15の上には、図
4に示すようにリニアガイド31とボールネジ32、ブレー
キ機構33およびモータ34と、位置検出センサ35などから
なるスライドロック駆動機構により、炉心6より半径方
向に精密な移動、および位置決め可能な半径方向位置決
め機構16が設置されている。
【0032】さらに、この半径方向位置決め機構16の上
には、垂直振りの回転軸36を有する図5に示すマスト起
立機構17が設置されていて、このマスト起立機構17によ
りマストスライド機構18が、多段マスト10および作業マ
ニピュレータ11と共に、回転軸36廻りに回転し得る構成
となっている。このマストスライド機構18は、主として
スライドテーブル37と、これに設けたリニアガイド38お
よびワイヤケーブル39と、ワイヤ巻取り機構40から構成
されている。
【0033】なお、前記ワイヤ巻取り機構40は、図示し
ないワイヤドラム、モータ、減速機、ブレーキ、位置検
出センサなどで構成され、多段マスト10の機構全体をス
ライドテーブル37上において、リニアガイド38に沿って
自在に昇降させて位置決めできる機構になっている。ま
た多段マスト10は、複数の多段に伸縮するマスト41と、
ワイヤケーブル42、プーリ43およびワイヤ巻取り機構44
とから構成されている。
【0034】次に上記構成による作用について説明す
る。先ず、図2で示すように原子炉圧力容器2の図示し
ない上蓋を取り外すと共に、同じく図示しないシュラウ
ドヘッド、シュラウドヘッドボルト、気水分離器、およ
び蒸気乾燥器などのシュラウド上部胴7より上方の炉内
機器を取り外した後に冷却水6を満す。
【0035】次に図3に示すように、シュラウド上部胴
7の上端に設置した走行ガイド24に、遠隔炉内作業装置
1を天井クレーンなどで吊り降ろして設置する。この吊
り降ろす時の遠隔炉内作業装置1の姿勢は、図6の斜視
図で示すように、半径方向位置決め機構16を炉心方向に
後退させる。
【0036】さらに、マスト起立機構17でスライドテー
ブル37を斜めに炉心方向に倒して、マストスライド機構
18でスライドテーブル37上の多段マスト10を引き上げ、
多段マスト10と作業マニピュレータ11を収納姿勢の状態
にしておく。
【0037】前記シュラウド上部胴7の上端に設置後
は、周方向移動機構15を操作してマスト41がアニュラス
部5に挿入可能な位置へ、操作制御盤23の指令により遠
隔操作にて移動して位置決めをする。なおアニュラス部
5において、バッフルプレート4付近まで作業マニピュ
レータ11を挿入することが可能な最適ポイントは、各ジ
ェットポンプ14相互間の間隙である。
【0038】遠隔炉内作業装置1の周方向の位置を定め
た後は、半径方向位置決め機構16とマスト起立機構17、
およびマストスライド機構18を協調操作させて、作業マ
ニピュレータ11や多段マスト10が原子炉圧力容器2の内
壁および炉心スプレイ配管13に接触しないように、干渉
を避けながら作業マニピュレータ11と多段マスト10を図
5に示す状態に起立させる。これにより、ジェットポン
プ14相互の間隙にある多段マスト10と作業マニピュレー
タ11が位置合わせされる。
【0039】次に多段マスト10を伸ばして、図1に示す
ように作業マニピュレータ11をアニュラス部5の検査や
補修の作業対象領域まで降ろす。このような遠隔炉内作
業装置1によると、図1に示すようにアニュラス部5で
ジェットポンプ14相互間の縦空間を有効に利用して、各
種の作業工具12を装着した作業マニピュレータ11を、バ
ッフルプレート4からシュラウド上部胴7までのアニュ
ラス部5で垂直に移動し、その後は、作業マニピュレー
タ11を操作することにより、対象部位への接近と位置決
めが可能となる。
【0040】このアニュラス部5における各種炉内構造
物の状態、および溶接線の健全性を確保するための検査
や補修、予防保全と交換などの各種炉内作業を遠隔で効
率よく行うことができる。
【0041】第2実施例は、遠隔炉内作業装置1におけ
る作業マニピュレータ11の詳細に係るもので、作業マニ
ピュレータ11は上記第1実施例に示す遠隔炉内作業装置
1の多段マスト10の先端に取付けられていて、図7の斜
視図に示すようにリンク構造を用いたロック機構20と、
スライド機構21とから構成されている。ここではロック
機構20は、パンタグラフ状のリンク機構45と空圧ピスト
ン45aで形成している。
【0042】またスライド機構21は、円筒状のシュラウ
ド胴7に沿って円弧状に伸長して展開するように、それ
ぞれが円弧状で多段のスライドアーム46からなり、図8
(a)の正面図に示すように、スライドローラ47を備え
たガイドレール48をワイヤケーブル49で連係している。
【0043】また図8(b),(c)はワイヤケーブル
49の掛け方とスライドアーム46の伸縮状態を示すもの
で、図8(b)は(a)のA−A矢視断面図で伸長展開
を、図8(c)は縮小状態を示す。さらに図8(d)は
(a)のB−B矢視断面図である。
【0044】この多段のスライドアーム46は、ワイヤケ
ーブル49を図示しない駆動機構で巻き取ることでスライ
ドして伸縮動作を行う。また、ワイヤケーブル49の送り
方向によりスライドアーム46は、右または左のいずれの
方向にも展開する。なお、図7ではスライドアーム46の
先端に作業工具12が取り付けられている。
【0045】次に上記構成による作用について説明す
る。作業マニピュレータ11は、上記第1実施例に示す多
段マスト10の先端に取り付けられて、アニュラス部5の
検査や補修の作業対象領域まで降ろされ、その後に、ロ
ック機構20の空圧ピストン45aを動作させて、リンク機
構45を拡張してシュラウド胴3の外壁と原子炉圧力容器
2の内壁との間に固定し、さらに、スライド機構21のワ
イヤケーブル49を動作させて、スライドアーム46をシュ
ラウド胴3の外周に沿って伸長展開する。
【0046】このように、本第2実施例の作業マニピュ
レータ11によれば、ロック機構20とスライド機構21によ
る2自由度のみの単純な操作で、円弧状のシュラウド胴
3に沿って、効率よく先端に取り付けた作業工具12を走
査することができる。
【0047】第3実施例は、作業マニピュレータの他の
実施例の詳細に係るもので、図9の斜視図に示すように
上記第1実施例の遠隔炉内作業装置1の多段マスト10の
先端に取付けて、特にジェットポンプ14を廻り込む機能
を備えたものである。ジェットポンプ14のライザー管50
やディフェーザ管51の周囲は、アニュラス部5において
も特に狭あいな部分で、ここの溶接線などの健全性を確
保するための検査や補修、予防保全および交換作業を効
果的に支援するためのものである。
【0048】作業マニピュレータ52は図10の模式図に示
すように、多段マスト10の先端に水平回転機構53を介し
たロック機構20と、複数の関節54およびアーム55を持つ
2組の偏平薄型水平多関節56,57により構成されてい
る。
【0049】また、偏平薄型水平多関節57の先端部には
工具着脱機構58を介して、各種の作業工具12を遠隔着脱
による交換が可能な構成としている。なお、上記水平回
転機構53および偏平薄型水平多関節56,57の関節54は、
いずれも、それぞれに図示しない回動駆動装置と位置検
出センサを備えていて、自在に回動可能となっている。
【0050】次に上記構成による作用について説明す
る。遠隔炉内作業装置1の多段マスト10の先端に取り付
けた作業マニピュレータ52を、アニュラス部5の検査や
補修の作業対象領域まで多段マスト10により降ろす。こ
の時に偏平薄型水平多関節56,57は、各関節54を制御し
て、関節54の先端で工具着脱機構58と共に取り付けた作
業工具12をが、ジェットポンプ14などの炉内構造物と干
渉しないように避けながら姿勢の修正をする。
【0051】作業対象領域においては、2組の偏平薄型
水平多関節56,57の自由度を用いて作業工具12を対象部
位へ位置決めし、検査箇所などへの接近を行う。一例と
して、シュラウド下部胴59とシュラウドサポートリング
60との水平溶接部位への作業マニピュレータ52の配置状
態を図9に示す。なお、各偏平薄型水平多関節56,57は
最大に展開した状態で、アニュラス部5における挿入箇
所の位置から左右に各々のジェットポンプ14の中心まで
作業工具12が届く長さとする。
【0052】次に、シュラウド胴3へ展開した作業工具
12を、原子炉圧力容器2の内壁へ移動するためには、図
9に示すように狭いジェットポンプ14相互の間隙を抜け
て、180度方向転換することが要求されるが、その操作
順序を図11と図12の模式図に示す。
【0053】なお、この図11と図12は一連の操作順序を
便宜上2つの図に分割して、それぞれ(a)〜(c)で
示しているが、図11の(a)〜(c)と図12の(a)〜
(c)の順で示すように作業工具12は、複数の関節54を
用いて2組の偏平薄型水平多関節56,57をジェットポン
プ14相互の間隙で適宜折り返し操作することで、アニュ
ラス部5内における方向転換を実施している。
【0054】本第3実施例による遠隔炉内作業による
と、偏平薄型水平多関節56,57の自由度構成を用いてジ
ェットポンプ14相互間において、周囲の炉内構造物に干
渉せずに伸展させることで、左右のライザー管50まで廻
り込むことができて、ジェットポンプ14の周囲を始め、
アニュラス部5内の炉内構造物への作業工具12の接近と
共に位置決めを容易に行なうことができる。
【0055】第4実施例は、遠隔炉内作業装置1におい
て適用する作業工具に係り、超音波探傷試験による溶接
線の健全性検査を行う超音波探傷ユニットの例を示す。
図13(a)の正面図に示すように、作業工具12の超音波
探傷ユニット61は、スライド機構21に取付けた偏平薄型
水平多関節57のアーム55の先端に取付けてある。四角の
ガイドフレーム62の内部には、水平方向に摺動する水平
走査機構63と、この水平走査機構63と直角で垂直方向に
摺動自在に垂直走査機構64が設けられている。
【0056】この垂直走査機構64は、図13(b)の
(a)のA−A矢視断面図で示すように、超音波探触子
65を取付けた探触子ホルダ66と共に移動するための機構
であり、探傷子ホルダ66はジンバル機構67とスプリング
68からなり、図示していないがリニアガイドやボールネ
ジなどからなる直動機構とモータ、位置検出器などのサ
ーボ駆動系から構成されている。
【0057】また、前記ガイドフレーム62の走査面側の
四隅には、図13(c)の(a)のB−B矢視側面図で示
すように、ピストン69により軸方向に直動可能な1自由
度を有する真空吸着パッド70が設けられて構成してい
る。なお、真空吸着パッド70は、前記ガイドフレーム62
のように四角形の場合には、その四隅に4個を設置する
など、作業工具12の形状および作業内容により適宜1個
以上設ける。
【0058】次に上記構成による作用について説明す
る。先ず遠隔炉内作業装置1の作業マニピュレータ11の
自由度を用いて、超音波探触ユニット61を検査すべき溶
接線に対し、図1に示すような位置に移動して接近させ
ると共に、ピストン69を動作して壁面に押し付けて真空
吸着パッド70にて壁面に吸着させる。
【0059】次にピストン69を引くことにより、超音波
探触子65を壁面に押し付ける。この時に、探触子ホルダ
61のジンバル機構67の自由度により、作業マニピュレー
タ11のガタや、位置決め誤差などの要因により超音波探
触子ユニット61の姿勢が壁面に対して多少傾いても、超
音波探触子65を壁面に密着させることができる。
【0060】この押付け方向の誤差の逃げは、スプリン
グ68のストロークにより吸収される。ここで、本作業を
水中で行うことによりカップラントとしては周囲の冷却
水を利用する。なお、上記した作業は直接法に基づく超
音波探傷の原理を用いているが、水中で実施する本作業
では、超音波探触子65を壁面に対し、ある程度の距離を
離して走査する水浸法に基づく超音波探傷も実施可能で
ある。
【0061】このような超音波探傷ユニット61を用いる
ことにより、炉内における溶接線近傍に発生する応力腐
食割れなどのひび割れなどの傷、および欠陥の非破壊検
査を水中で遠隔操作にて実施できる。
【0062】第5実施例は、遠隔炉内作業装置1に適用
する作業工具12に係り、フラップホイールや砥石による
炉内構造物金属表面の研磨や研削作業を行う装置の例で
ある。図14の側面図は、水中グラインダ工具71を作業工
具12として使用した場合を示す。この水中グラインダ工
具71は、水中モータ72、チャック73、砥石74などから構
成されている。
【0063】水中モータ72は回転アクチュエータであれ
ば良く、水中仕様であれば電動機など他のアクチュエー
タでも適用可能である。また砥石74は研磨や研削など、
その目的に応じてチャック73において適宜交換する。な
お、この水中グラインダ工具71は、例えば作業マニピュ
レータ11のスライド機構21の先端の関節54に取付けた工
具着脱機構58を介して取付ける。
【0064】次に上記構成による作用について説明す
る。作業マニピュレータ11の自由度を用いて水中グライ
ンダ工具71を研磨あるいは研削すべきシュラウド胴3の
壁面に、移動させると共に接近して砥石74を押し付け
て、壁面の研磨や研削作業を実施する。
【0065】このような研磨工具を用いることにより、
アニュラス部5内の構造物の表面の研磨作業や、研削作
業を水中で遠隔操作にて実施することが可能で、特に溶
接線近傍に発生した微小な傷(クラック)を研削して削
り取り、傷の成長を停止させる効果や目視検査前の準備
作業として、所定の表面に堆積した放射性腐食生成物
(クラッド)などの除去作業などに効果的である。
【0066】第6実施例は、遠隔炉内作業装置1に適用
する作業工具12に係り、ショットブラストによる炉内構
造物の金属表面の研磨(ブラスト)や、表面を金属粉や
ガラス粒などで叩いて溶接部近傍における残留引張り応
力を、圧縮応力に変えるピーニング作業を行う装置であ
る。
【0067】図15(a)の平面図および(b)の側面図
に示すように、ショットピーニング作業ユニット75を作
業工具12として使用したもので、中央の吹出しノズル76
を囲む円錐状のチャンバー77と、このチャンバー77の先
端周囲に設けたブラシ78、さらにチャンバー77の根元に
は吸込みノズル79と、外周に押付け用水ジェットノズル
80が設けられている。また、左右には非接触式の距離セ
ンサ81を備えて構成されている。
【0068】このショットピーニング作業ユニット75の
上記遠隔炉内作業装置1への取り付けは、作業マニピュ
レータ11のスライド機構21の先端でアーム55の関節54
に、工具着脱機構58を介して取付けている。
【0069】次に上記構成による作用について説明す
る。作業マニピュレータ11の自由度を用いて、作業工具
12であるショットピーニング作業ユニット75を、作業対
象物である原子炉圧力容器2の壁面に移動すると共に接
近させてブラシ78を壁面に押し付け、密着させて壁面に
対して吹出しノズル76より金属粉やガラス粒などを吹き
付けて、ショットピーニング作業、またはショットブラ
スト作業を実施する。
【0070】遠隔操作による水中におけるショットピー
ニング作業ユニット75で、アニュラス部5内の構造物の
表面に対してピーニングを行うことにより、溶接線近傍
の熱影響部に残留する引張り応力を表層部分を金属粒で
叩くことにより圧縮応力に変え、溶接部近傍に生じた応
力腐食割れの発生要因の一つを除去することで、応力腐
食割れを未然に防止したり、構造物の延命を図るなどの
効果がある。
【0071】また、この他に研磨作業や、研削作業を実
施することも可能で、上記第5実施例と同様に溶接線近
傍に発生した微小な傷(クラック)を研削して除去し、
傷の成長を停止させることや、目視検査前の準備作業と
して放射性腐食生成物などの除去作業などに有効であ
る。
【0072】第7実施例は、上記遠隔炉内作業装置1に
おいて適用する作業工具12の遠隔交換を行うための工具
着脱機構58に関するもので、作業工具12と作業マニピュ
レータ11との結合部に設けて、各種の作業工具12の交換
を遠隔炉内作業装置1を原子炉フロア9に引き上げるこ
となく、炉内の水中で実施可能とする。
【0073】工具着脱機構58は、図16の斜視図に示すよ
うに作業マニピュレータ11側の遠隔着脱部58aと、作業
工具12側の着脱部58bとで構成されていて、この遠隔着
脱部58aと着脱部58bは互いに嵌着される。また、図17
の断面図は工具着脱機構58の嵌着前を、図18の縦断面図
は嵌着した状態を示す。
【0074】作業マニピュレータ11側の遠隔着脱部58a
は、主に着脱プレート82、蟻溝83、ロック機構84、空圧
コネクタ85、水圧コネクタ86、電気コネクタ87、および
2つの位置決めピン穴88から構成されている。なお、前
記ロック機構84は、2段直動式空圧ピストン89、係止爪
90、リンク機構91、リミットスイッチ92、スプリング93
などから構成されている。
【0075】次に作業工具12側の着脱部58bは、主に着
脱プレート94、蟻溝95、空圧コネクタ96、水圧コネクタ
97、電気コネクタ98、位置決めピン99で構成している。
なお、前記電気コネクタ87,98は、水中にて着脱を実施
しても各電極間の絶縁性を保つための各電極毎に部分シ
ールを備えている。
【0076】次に上記構成による作用について、作業工
具12がショットピーニング作業ユニット75を例に、作業
工具ハンガーによる装着について図19の側面図を参照し
て説明する。先ず装着については、予めショットピーニ
ング作業ユニット75に着脱部58bを取付け、これを作業
工具ハンガー100 で保持し、操作ポール101 を用いて、
炉上部からアニュラス部5内の遠隔炉内作業装置1にお
ける作業マニピュレータ11の先端まで吊り降ろす。
【0077】遠隔炉内作業装置1では、作業マニピュレ
ータ11および多段マスト10を操作して、作業マニピュレ
ータ11側の遠隔着脱部58aを前記作業工具ハンガー100
で保持した着脱部58bの正面で下方から近づけ、蟻溝8
3、95を互いに嵌合させながら着脱プレート82の上部か
ら位置決めピン99と、ロック機構84の係止爪90が通り抜
けるまで遠隔着脱部58aを上昇させる。
【0078】次に空圧ピストン89を動作して、係止爪90
を着脱プレート94に引っかけて、両方の着脱プレート8
2,94を結合する。この時に位置決めピン99をガイドに
して、双方の空圧コネクタ85,96と、水圧コネクタ86,
97および電気コネクタ87,98が接続されて図18で示す状
態となる。なお、この装着の確認は、係止爪90の先端に
設けたリミットスイッチ92の作動により行なう。
【0079】この後に操作ポール101 を操作して、作業
工具ハンガー100 を着脱部58b から外して装着が完了す
る。なお、作業工具12の離脱操作は、前記した装着動作
の逆の手順で行う。従来は作業工具12の交換のために、
その都度炉内遠隔炉内作業装置1全体を炉内水中から引
き上げることが必要であり、この交換作業に時間と手間
がかかっていた。
【0080】しかるに本第7実施例のように、作業マニ
ピュレータ11側の遠隔着脱部58aに対して、作業工具12
側の着脱部58bを複数準備し、それぞれの作業工具12に
取り付けておくことにより、炉内遠隔にて各種作業工具
12のつけ替えが可能とすることにより、短時間で簡単に
種々の作業工具の交換が可能で、工程を短縮することが
できて作業員の被曝量を低減できる。
【0081】第8実施例は、遠隔炉内作業装置1で適用
する各種作業工具12における作業反力の対応に関するも
ので、作業工具12による作業に際して、その作業に応じ
た作業反力が生じる。この作業反力は作業マニピュレー
タ11が受けることから、作業マニピュレータ11を含めて
遠隔炉内作業装置1の剛性を上げることにより対応しな
ければならず、遠隔炉内作業装置1が大型化する支障が
あった。
【0082】本第8実施例においては、この作業反力を
緩和するもので、図15に示した押付け用水ジェットノズ
ル80がその一例で、押付け用水ジェットノズル80は、シ
ョットピーニングを実施するための吹出しノズル76と反
対向きに水ジェットを噴射して、作業反力を緩和するよ
うに設置されている。
【0083】なお、この押付け用水ジェットノズル80に
駆動水を供給するシステムは図示していないが、供給シ
ステムは、減圧弁、アキュムレータ、フィルタ、電動サ
ーボ制御弁などから構成され、原子炉内の炉水である冷
却水8を駆動水として押付け用水ジェットノズル80に供
給する。
【0084】これによる作用としては、押付け用水ジェ
ットノズル80が、ショットピーニングを実施するための
吹出しノズル76とは反対の向きに設置されていることか
ら、ショットピーニング施工時に発生する吹出しノズル
76による推力に十分に打ち勝ち、チャンバー77のブラシ
78が壁面から浮くことがないように、押付け用水ジェッ
トノズル80から噴射する駆動水による押付け力を調整す
る。
【0085】この調整は、距離センサ81で壁面との距離
から押付け量を算出し、この信号を図示しない電動サー
ボ制御弁にフィードバックして、駆動水の供給圧力を制
御することにより達成される。このように水ジェット噴
射を用いることで、容易に作業工具12による作業反力を
打ち消すことができ、作業マニピュレータ11や多段マス
ト10にかかる負荷を軽減することにより、これらの剛性
を過大とせずに構造の小型や軽量化することができる。
【0086】第9実施例は、遠隔炉内作業装置1におい
て適用する作業工具12の固定に関し、作業マニピュレー
タ11や作業工具12を例えば真空吸着により壁面に固着さ
せて位置決めするものである。一実施例として、上記図
13(a),(c)に示す作業工具12の超音波探傷ユニッ
ト61により説明すると、作業マニピュレータ11のアーム
55の先端に取り付けたガイドフレーム62の四端には、真
空吸着パッド70が設けられて構成している。
【0087】なお、この真空吸着パッド70を吸着させる
ための真空システムについては図示していないが、真空
ポンプ、調圧弁、アキュムレータ、水フィルタ、三方
弁、コンプレッサなどから構成している。
【0088】上記構成による超音波探傷ユニット61を固
定する作用は、先ず作業マニピュレータ11の自由度を用
いて超音波探触子ユニット61を検査すべき構造物である
図示しないシュラウド胴3の壁面の溶接線に対し、図1
に示すような位置に移動すると共に接近させる。この後
にピストン69を動作して真空吸着パッド70をシュラウド
胴3の壁面に押し付け、真空吸着パッド70で壁面に吸着
する。
【0089】次にピストン69を引いて、超音波探触子65
を壁面に押し付ける。なお、真空吸着パッド70で吸着す
る手順は、まず三方弁で真空吸着パッド70にコンプレッ
サから高圧空気を供給して吸引ライン中の水を排出す
る。その後に三方弁を真空ポンプ側に切り換えて、吸引
ラインで真空吸着パッド70内を吸気し、負圧にして壁面
に吸着させる。また、真空吸着パッド70を壁面より離す
場合は、三方弁をコンプレッサ側に切り換えて、吸引ラ
インを加圧することにより超音波探傷ユニット61を壁面
より積極的に離脱させる。
【0090】このように、作業工具12や作業マニピュレ
ータ11の先端を、真空吸着パット70により壁面に吸着さ
せて固着することにより、精度の高い走査を必要とする
超音波探傷試験などの超音波探触子65の位置決めが容易
に実現できる。また、グラインダ作業などのような作業
反力が高い作業においては、その作業反力を吸着力で保
持することにより、作業マニピュレータ11や多段マスト
10に対する作業負荷を軽減し、これらの機械的強度や構
造の簡略化と軽量化が容易となる。
【0091】
【発明の効果】以上本発明によれば、従来は狭あい部で
作業が困難であった原子炉内のアニュラス部における炉
内構造物に対して、検査および補修作業用の工具を作業
マニピュレータにより、シュラウド胴の全周にわたり遠
隔操作で移動と接近させることができ、効率良く確実に
位置決めと各種の炉内作業が可能となる。また、ジェッ
トポンプの間隙を利用して炉壁側からシュラウド胴壁側
において、作業工具の走査ができ、特にシュラウド胴外
壁からのシュラウド胴の各溶接線の検査や補修、交換お
よび予防保全などの作業が行える。
【0092】さらに、各種の作業工具の交換を炉内の水
中で遠隔にて実施できることから、作業工具交換時間の
短縮と、交換作業中の作業員の放射線被曝低減などの効
果が得られる。また、作業反力を軽減することで作業マ
ニピュレータや多段マストの小型、軽量化されることか
ら、作業工具の保持が容易となり自動探傷試験のような
高精度の走査作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の遠隔炉内作業装置炉
内における斜視図。
【図2】本発明に係る一実施例を示す原子炉圧力容器の
縦断面図。
【図3】本発明に係る第1実施例の遠隔炉内作業装置の
一部切断正面図。
【図4】本発明に係る第1実施例の半径方向位置決め機
構とマストスライド機構の斜視図。
【図5】本発明に係る第1実施例のマストスライド機構
と作業マニピュレータの斜視図。
【図6】本発明に係る第1実施例の遠隔炉内作業装置の
斜視図。
【図7】本発明に係る第2実施例の作業マニピュレータ
の斜視図。
【図8】本発明に係る第2実施例のスライド機構の構成
図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視断
面図、(c)は(b)の縮小を表す断面図、(d)は
(a)のB−B矢視断面図。
【図9】本発明に係る第3実施例の炉内における斜視
図。
【図10】本発明に係る第3実施例の作業マニピュレー
タの模式図。
【図11】本発明に係る第3実施例の作業マニピュレー
タの第1の展開模式図で、(a)〜(c)は展開順を示
す。
【図12】本発明に係る第3実施例の作業マニピュレー
タの第2の展開模式図で、(a)〜(c)は展開順を示
す。
【図13】本発明に係る第4実施例の超音波ユニット
で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A矢視断面
図、(c)は(a)のB−B矢視側面図。
【図14】本発明に係る第5実施例の水中グラインダ工
具の側面図。
【図15】本発明に係る第6実施例のショットピーニン
グ作業ユニット構成図で、(a)は平面図、(b)は側
面図。
【図16】本発明に係る第7実施例の工具着脱機構の分
離した斜視図。
【図17】本発明に係る第7実施例の工具着脱機構にお
ける嵌着前を示す縦断面図。
【図18】本発明に係る第7実施例の工具着脱機構にお
ける嵌着状態を示す縦断面図。
【図19】本発明に係る第7実施例の工具着脱機構によ
る作業工具の嵌着を示す側面図。
【符号の説明】 1…遠隔炉内作業装置、2…原子炉圧力容器、3…シュ
ラウド胴、4…バッフルプレート、5…アニュラス部、
6…炉心、7…シュラウド上部胴、8…冷却水、9…原
子炉フロア、10…多段マスト、11,52…作業マニピュレ
ータ、12…作業工具、13…炉心スプレイ配管、14…ジェ
ットポンプ、15…周方向移動機構、16…半径方向位置決
め機構、17…マスト起立機構、18…マストスライド機
構、19…ベース台車、20,84…ロック機構、21…スライ
ド機構、22…動力および信号ケーブル、23…操作制御
盤、24…走行ガイド、25…走行車輪、26…従属車輪、27
…テンション用ピストン、28…走行駆動モータ、29,35
…位置検出センサ、30…ブレーキ、31,38…リニアガイ
ド、32…ボールネジ、33…ブレーキ機構、34…モータ、
36…回転軸、37…スライドテーブル、39,42,49…ワイ
ヤケーブル、40,44…ワイヤ巻取り機構、41…マスト、
43…プーリ、45,91…リンク機構、45a…空気ピスト
ン、46…スライドアーム、47…スライドローラ、48…ガ
イドレール、50…ライザー管、51…ディフェーザ管、53
…水平回転機構、54…関節、55…アーム、56,57…偏平
薄型水平多関節、58…工具着脱機構、58a…遠隔着脱
部、58b…着脱部、59…シュラウド下部胴、60…シュラ
ウドサポートリング、61…超音波探傷ユニット、62…ガ
イドフレーム、63…水平走査機構、64…垂直走査機構、
65…超音波探触子、66…探触子ホルダ、67…ジンバル機
構、68…スプリング、69…ピストン、70…真空吸着パッ
ド、71…水中グラインダ工具、72…水中モータ、73…チ
ャック、74…砥石、75…ショットピーニング作業ユニッ
ト、76…吹出しノズル、77…チャンバー、78…ブラシ、
79…吸込みノズル、80…押付け用水ジェットノズル、81
…距離センサ、82,94…着脱プレート、83,95…蟻溝、
85,96…空圧コネクタ、86,97…水圧コネクタ、87,98
…電気コネクタ、88…位置決めピン穴、89…2段直動式
空圧ピストン、90…係止爪、92…リミットスイッチ、93
…スプリング、99…位置決めピン、100 …作業工具ハン
ガー、101 …操作ポール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−217090(JP,A) 特開 昭62−854(JP,A) 特開 昭62−245153(JP,A) 特開 平5−40189(JP,A) 特開 平8−114694(JP,A) 特開 平8−201573(JP,A) 特開 平8−240690(JP,A) 特開 平9−159788(JP,A) 特開 平9−211182(JP,A) 実開 平2−101262(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 19/02 G21C 17/003

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉圧力容器の内部に配置されたシュ
    ラウド胴の上端部をガイドとして前記シュラウド胴上部
    シュラウド胴と同芯に回転可能な周方向移動機構
    と、前記周方向移動機構上に搭載されて前記シュラウド
    胴の法線方向に移動可能な半径方向位置決め機構と、
    記半径方向位置決め機構に搭載され、前記シュラウド胴
    と原子炉圧力容器壁とで形成する空間のアニュラス部内
    作業マニピュレータをスライド挿入するための多段マ
    トを回転起立して挿入させるマスト起立機構およびマ
    ストスライド機構とを有することを特徴とする遠隔作業
    装置。
  2. 【請求項2】 前記作業マニピュレータ該作業マニ
    ピュレータを前記シュラウド胴と前記原子炉圧力容器の
    間に固定するロック機構と、このロック機構に設けられ
    前記シュラウド胴の外周に沿って伸長展開するスライド
    機構とを有することを特徴とする請求項1記載の遠隔炉
    内作業装置。
  3. 【請求項3】 前記作業マニピュレータ該作業マニ
    ピュレータを前記多段マストの軸まわりに回転する水平
    回転機構と、前記作業マニピュレータを前記シュラウド
    胴と前記原子炉圧力容器の間に固定するロック機構
    このロック機構に取付けられ任意の水平方向へ展開可能
    な複数の回転関節とその関節に連結したアームを備えた
    複数の水平多関節とを有することを特徴とする請求項1
    記載の遠隔炉内作業装置。
  4. 【請求項4】 前記作業マニピュレータは、超音波を照
    射して前記アニュラス部内の作業対象物の欠陥や傷を検
    出する超音波探触子を備えた超音波探傷ユニットを有す
    ことを特徴とする請求項1記載の遠隔炉内作業装置。
  5. 【請求項5】 前記作業マニピュレータは、バフ研磨や
    研削を行う水中グラインダを有することを特徴とする請
    求項1記載の遠隔炉内作業装置。
  6. 【請求項6】 前記作業マニピュレータは、溶接部付近
    の金属表面の残留応力を引っ張り側から圧縮側に変化さ
    せるショットピーニング作業ユニットを有することを特
    徴とする請求項1記載の遠隔炉内作業装置。
  7. 【請求項7】 前記作業マニピュレータは、作業工具に
    対しての機械的結合によって電気コネクタ,空圧コネク
    タ,水圧コネクタを接続させることを特徴とする請求項
    1記載の遠隔炉内作業装置。
  8. 【請求項8】 前記作業マニピュレータは、作業対象物
    への押し付け方向の推力を発生する水ジェットノズルを
    有することを特徴とする請求項1記載の遠隔炉内作業装
    置。
  9. 【請求項9】 前記作業マニピュレータは、作業対象物
    に固着させて位置決めするための真空吸着パッドを有す
    ことを特徴とする請求項1記載の遠隔炉内作業装置。
  10. 【請求項10】 原子炉圧力容器の内部に配置されたシ
    ュラウド胴の上端部をガイドとして前記シュラウド胴上
    部を該シュラウド胴と同芯に回転可能な周方向移動機構
    と、前記周方向移動機構上に搭載されて前記シュラウド
    胴の法線方向に移動可能な半径方向位置決め機構と、前
    記半径方向位置決め機構に搭載され、前記シュラウド胴
    と前記原子炉圧力容器壁とで形成する空間のアニュラス
    部内に作業マニピュレータをスライド挿入するための多
    段マストを回転起立して挿入させるマスト起立機構およ
    びマストスライド機構とからなる遠隔作業装置を用いた
    遠隔炉内作業方法であって、前記アニュラス部内に設置
    された前記遠隔炉内作業装置の前記作業マニピュレー
    対して、アニュラス部外から作業工具ハンガにより
    業工具を嵌着脱することを特徴とする遠隔炉内作業方
    法。
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