JP3513143B2 - 真空断熱材、および真空断熱材を用いた冷蔵庫 - Google Patents

真空断熱材、および真空断熱材を用いた冷蔵庫

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空断熱材、およ
び真空断熱材を使用した冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護が大きく叫ばれるな
か、家電製品の省エネルギー化は緊急に取り組むべき重
要な課題となってきている。この解決方法の一つとし
て、無駄な熱の授受を防ぐ目的での真空断熱材の適用が
ある。
【0003】真空断熱材とは、発泡樹脂や繊維等を芯材
として外被材内に入れて内部を減圧した断熱材で、断熱
材内部を真空に保つことにより気体の熱伝導率を著しく
低下させたものである。
【0004】断熱材の熱伝導率を低減する方法として、
断熱材を構成する繊維を伝熱方向に対して垂直に配向し
た技術がある。これは繊維を伝熱方向に対して垂直に配
向することによって、繊維による伝熱を抑制したもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、繊維を
伝熱方向に垂直に積層しただけでは、繊維を伝わる熱が
存在してしまうために固体熱伝導率が大きくなり、真空
断熱材において初期熱伝導率の低減に限界があった。本
発明は、真空断熱材の芯材において、固体熱伝導率を改
善し、初期熱伝導率に優れた真空断熱材を提供すること
を目的とするものである。更にこの真空断熱材を使用し
た省エネルギーの冷蔵庫を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維の配向方
向が伝熱方向に対して垂直な無機繊維からなる芯材と、
吸着剤とを外被材内に減圧密封してなる真空断熱材にお
いて、前記芯材は、バインダーを使用して無機繊維を
式法により加熱加圧形成したものであり、加熱加圧によ
り前記芯材の密度が270〜500kg/m 3 となって
おり、長さが100μm以下の短い繊維を40〜70%
含有することを特徴とする。この発明は、真空断熱材の
芯材として、繊維を伝熱方向に対して垂直に配向するだ
けでなく、長さが100μm以下の短い繊維を40〜7
0%含有させることにより、繊維を伝わる熱を途切れさ
せ、固体熱伝導率を低減したものである。また、本発明
の真空断熱材を外箱または内箱の内面側に配設した冷蔵
庫は、固体熱伝導率が低下することにより冷蔵庫の断熱
性能を向上できるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の真空断熱材の実施
の形態について説明する。
【0008】本発明は、繊維の配向方向が伝熱方向に対
して垂直な無機繊維からなる芯材と、吸着剤とを外被材
内に減圧密封してなる真空断熱材において、前記芯材
は、バインダーを使用して無機繊維を乾式法により加熱
加圧形成したものであり、加熱加圧により前記芯材の密
度が270〜500kg/m 3 となっており、長さが1
00μm以下の短い繊維を40〜70%含有することを
特徴とし、初期熱伝導率を低減した真空断熱材である。
無機繊維としては、グラスウール、グラスファイバー、
アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロッ
クウール、炭化ケイ素繊維等特に指定するものではな
い。また、ボード状に加熱加圧成形する時には、取り扱
い性向上のためバインダーを使用するが、使用するバイ
ンダーとしては、ホウ酸、酸化ホウ素、リン酸、コロイ
ダルシリカ、水ガラス、アルミナゾル、セッコウ、ケイ
酸ナトリウム、アルキルシリケートなどの無機バインダ
ー、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などの有
機バインダーなど特に指定するものではない。
【0009】前記外被材は少なくともガスバリア層およ
び熱溶着層を有するものであり、必要に応じて表面保護
層等を設けてもよい。
【0010】ガスバリア層としては、金属箔が最も適し
ているが、金属または金属酸化物、あるいはダイヤモン
ドライクカーボンを蒸着したプラスチックフィルム等を
用いることもでき、ガス透過を低減する目的で用いるも
のであれば特に指定するものではない。
【0011】上記金属箔としては、アルミニウム、ステ
ンレス、鉄等を用いることができるが、特に指定するも
のではない。
【0012】プラスチックフィルムへの金属蒸着の材料
は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、
銀、あるいはそれらの混合物等を用いることができる
が、特に指定するものではない。
【0013】また、前記プラスチックフィルム上への金
属酸化物蒸着の材料は、シリカ、アルミナ等を用いるこ
とができるが、特に指定するものではない。
【0014】前記外被材の熱溶着層は、外被材を構成す
るフィルムの中で最もガス透過度が大きい部分であり、
熱溶着層の性質は真空断熱材の経時断熱性能に大きく影
響する。熱溶着層の厚さは、減圧封止工程における封止
品質の安定性や、熱溶着部端面からのガス侵入の抑制
や、ガスバリア層として金属箔を使用した場合における
熱伝導による表面からのヒートリークを考慮すると、2
5μm〜60μmが適している。熱溶着層の材料として
は、無延伸ポリプロピレンフィルム、高密度ポリエチレ
ンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム等を用
いることができ、特に指定するものではない。
【0015】また、ガスバリア層の外側にさらに表面保
護層を設けることも可能である。
【0016】表面保護層としては、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロン
フィルムの延伸加工品などが利用でき、さらに外側にナ
イロンフィルムなどを用いると、耐折り曲げ性、耐突き
刺し性などが向上する。
【0017】また、外被材の袋形状は、四方シール袋、
ガゼット袋、三方シール袋、ピロー袋、センターテープ
シール袋等があるが、特に指定するものではない。
【0018】また、真空断熱材の初期断熱性能および経
時断熱性能をより一層向上させる場合は、ガス吸着剤や
水分吸着剤等のゲッター物質を使用することも可能であ
る。
【0019】その吸着機構は、物理吸着、化学吸着、お
よび吸蔵、収着等のいずれでもよいが、非蒸発型ゲッタ
ーとして作用する物質が良好である。
【0020】具体的には、合成ゼオライト、活性炭、活
性アルミナ、シリカゲル、ドーソナイト、ハイドロタル
サイト等の物理吸着剤である。
【0021】化学吸着剤としては、アルカリ金属やアル
カリ土類金属の酸化物や、アルカリ金属やアルカリ土類
金属の水酸化物等が利用でき、特に、酸化リチウム、水
酸化リチウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸
化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化バリウム、
水酸化バリウムが効果的に作用する。
【0022】また、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウ
ム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
塩化カルシウム、炭酸リチウム、不飽和脂肪酸、鉄化合
物等も効果的に作用する。
【0023】また、バリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、バナジウ
ム等の物質を単独、もしくは合金化したゲッター物質を
適用するのがより効果的である。
【0024】さらには、このような前記ゲッター物質を
少なくとも窒素、酸素、水分、二酸化炭素を吸着除去す
るため、種々混合して適用することも可能である。
【0025】次に、本発明の真空断熱材を使用した冷蔵
庫について説明する。
【0026】真空断熱材を冷蔵庫に適用した場合、冷蔵
庫の外箱と内箱とからなる空間の、外箱側または内箱側
に真空断熱材を貼付し、残りの空間に樹脂発泡体を充填
するのが一般的であるが、真空断熱材と発泡樹脂体とを
一体発泡した断熱体を冷蔵庫の外箱と内箱の間の空間に
配設しても良い。これらの適用は冷蔵庫本体の他、ドア
部、仕切り板部等にもでき、特に指定するものではない
が、広範囲に使用するほど使用電力量が低減できるもの
であり、機械室と内箱との間、あるいは冷凍室の周囲に
前記真空断熱材を用いることは、温度差が大きいため特
に断熱効率に優れ、より低電力量で冷蔵庫を運転でき
る。
【0027】空間に充填する樹脂発泡体は、例えば硬質
ウレタンフォーム、フェノールフォームやスチレンフォ
ーム等を使用することができるが、特に指定するもので
はない。
【0028】また、例えば硬質ウレタンフォームを発泡
する際に用いる発泡剤としては、特に指定するものでは
ないが、オゾン層保護、地球温暖化防止の観点から、シ
クロペンタン、イソペンタン、n−ペンタン、イソブタ
ン、n−ブタン、水(炭酸ガス発泡)、アゾ化合物、ア
ルゴン等が望ましく、特に断熱性能の点からシクロペン
タンが望ましい。
【0029】また、使用する冷媒は、フロン134a、
イソブタン、n−ブタン、プロパン、アンモニア、二酸
化炭素、水等があるが、特に指定するものではない。
【0030】以下、本発明の実施の形態について更に詳
しく説明する。
【0031】(実施の形態1)図1は本発明の一実施例
における真空断熱材の断面図である。
【0032】真空断熱材1は、外被材2と芯材3および
吸着材4とから構成されており、あらかじめ三方シール
にて製袋した外被材2内に、芯材3および吸着剤4を挿
入し、外被材2の内部を減圧後、密封している。
【0033】外被材2は保護層、ガスバリア層、熱溶着
層を有するラミネートフィルムであり、2枚のラミネー
トフィルムを四方シールにて封止している。
【0034】芯材3は、バインダーを使用して乾式法に
より加熱加圧成形したグラスウールボードからなるボー
ド状成形体であり、真空断熱材1内部のガス成分は吸着
剤4によって取り除かれている。芯材3は繊維長が短い
繊維を含有し、真空断熱材1の熱伝導率を評価したとこ
ろ、(表1)の実施例1,2,3のようになった。ここ
でいう圧縮率は芯材3の厚みから真空断熱材1の厚みの比
率をあらわすものである。
【0035】
【表1】 このような真空断熱材1を開封して、芯材2を取り出し
て撮影した光学顕微鏡写真が図2〜図4であり、写真内
における繊維長の確認では、100μm以下の繊維の割
が約40〜70%あった。図2〜図5は光学顕微鏡は
常温常圧下で、写真倍率200倍(対物レンズ倍率×5
0)で測定したものの写真で、写真内に繊維全体が収ま
っているものは繊維長計測を行い、収まっていないもの
を繊維長100μm超えるとして本数を数えた結果(表
1)のようになった。なお、比較例は繊維からなる芯材
を外被材にて覆って減圧シールした真空断熱材をいい、
この時繊維には繊維長100μm以下のものが約30%含
まれるものであり、光学顕微鏡での写真を図5に示して
いる。本願発明と同様繊維長さをもとに本数を数えると
(表1)の比較例のようになった。(表1)のデータを
整理して繊維長100μm以下の本数を計算すると(表
2)のようになった。
【0036】
【表2】 すなわち、短い繊維を含有させることにより、繊維によ
る伝熱が途切れたために、優れた初期熱伝導率となっ
た。
【0037】(実施の形態2)図6は本発明の第2の実
施例における冷蔵庫の本体部分の断面図である。
【0038】冷蔵庫本体6は、鋼板からなる外箱7と、
ABS樹脂からなる内箱8とで構成される空間の片面に
真空断熱材1を配設し、真空断熱材1以外の空間を硬質
ウレタンフォーム9で発泡充填している。10は冷蔵
室、11は冷凍室である。また、12は機械室で、13
は圧縮機である。
【0039】真空断熱材1は実施例1に示したものと同
様の構成のものを設置している。このように構成された
冷蔵庫の消費電力量を測定したところ、真空断熱材を装
着しない冷蔵庫よりも20%低下しており、優れた断熱
効果による省エネルギーの達成を確認した。
【0040】
【発明の効果】本発明は、繊維の配向方向が伝熱方向に
対して垂直な無機繊維からなる芯材と、吸着剤とを外被
内に減圧密封してなる真空断熱材において、前記芯材
は、バインダーを使用して無機繊維を乾式法により加熱
加圧形成したものであり、加熱加圧により前記芯材の密
度が270〜500kg/m 3 となっており、長さが1
00μm以下の短い繊維を40〜70%含有することを
特徴とするものであり、固体熱伝導率が下がり、初期熱
伝導率を低減することができる。
【0041】
【0042】また、本発明は、上記真空断熱材を冷蔵庫
に用いることにより、優れた熱伝導率を持つ真空断熱材
を外箱と内箱とからなる空間に配置し、残りの空間に発
泡断熱材を充填することにより、断熱性能に優れた省エ
ネルギーの冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における真空断熱材の断面図
【図2】本発明の実施例1における芯材の光学顕微鏡写
【図3】本発明の実施例2における芯材の光学顕微鏡写
【図4】本発明の実施例3における芯材の光学顕微鏡写
【図5】比較例を示す真空断熱材の芯材の光学顕微鏡写
【図6】本発明の実施例における冷蔵庫の本体部分の断
面図
【符号の説明】
1 真空断熱材 2 外被材 3 芯材 4 吸着材 5 繊維 6 冷蔵庫 7 内箱 8 外箱 9 ウレタンフォーム 10 冷蔵室 11 冷凍室 12 機械室 13 圧縮機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16L 59/00 - 59/22 F25D 23/02 - 23/08 B32B 1/00 - 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維の配向方向が伝熱方向に対して垂直
    な無機繊維からなる芯材と、吸着剤とを外被材内に減圧
    密封してなる真空断熱材において、前記芯材は、バイン
    ダーを使用して無機繊維を乾式法により加熱加圧形成し
    ものであり、加熱加圧により前記芯材の密度が270
    〜500kg/m 3 となっており、長さが100μm以
    下の短い繊維を40〜70%含有することを特徴とする
    真空断熱材。
  2. 【請求項2】 外箱と、内箱と、前記外箱と前記内箱に
    よって形成される空間に充填された発泡断熱材とを有
    し、前記空間の前記外箱または前記内箱のいずれか一方
    の壁面に請求項に記載の真空断熱材を備えた冷蔵庫。
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