JP3512667B2 - 相変化記録媒体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
相変化記録媒体の製造方法及び製造装置Info
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Description
情報の記録・再生を行う相変化記録媒体の製造方法及び
製造装置に関し、より詳細には、本発明は、初期結晶化
工程を経ることなく直ちにデータの記録が可能な相変化
記録媒体の製造方法及び製造装置に関する。
行う相変化記録媒体は、大容量性、高速アクセス性、媒
体可搬性を兼備する他、競合する光磁気ディスクに比較
して、再生原理がCDと同じ反射率変化形なのでCD互
換ドライブが安価に提供出来る、信号品質が優れている
ので高密度化し易い、1ビームオーバライトが容易なの
で記録データ転送速度が速い、等の利点を有している。
の光照射で記録層を溶融してランダムな状態にし、記録
層の結晶化時間よりも短い時間で冷却してランダムな状
態を室温にクエンチして非晶質の記録マークを形成し、
一方、消去レベルの光照射で記録膜をその融点未満、結
晶化温度以上に昇温して、この昇温時間を記録層の結晶
化時間よりも長く保持することで結晶化即ち消去するこ
とにある。
記録が成立するので、1ビームでオーバライトが出来
る。再生は、結晶と非晶質との反射率の違いを利用して
行われる。
物、例えばGeSbTe、AgInSbTe、InSb
TeやそれらにCr、V、N等を適宜微量添加した薄膜
が用いられる。ディスクの形態は、代表的には、アドレ
ス部とデータ部がプリフォーマットされたポリカーボネ
イト基板上に、下側誘電体層、記録層、上側誘電体層、
反射層を順次積層した構造を有し、反射層上には接着層
を介して対向基板を貼合わせるか、レーベルを貼り付け
る。
積算オーバライトによる劣化の防止、記録時の熱応答の
調整、再生時の光学的エンハンス等の役割りを担ってい
る。特に、光学的エンハンスメント効果に関しては、下
側誘電体層は基板と記録層との間での多重干渉効果、上
側誘電体層は記録層と反射層との間での多重干渉効果に
より、記録層単層の反射率変化量を増加させ、信号品質
を向上する。
媒体の従来の典型的な製造工程は、 (1)原盤のマスタリングプロセス (2)スタンパ作成プロセス (3)インジェクションによる基板の形成プロセス (4)スパッタによる膜付けプロセス (5)(必要に応じて貼り合せプロセス) (6)初期結晶化プロセス (7)ベリファイプロセス という流れに従っていた。
晶化プロセス」とは、アズデポ(as-depo.:堆積したま
まの状態)の相変化記録層をディスク全面に亘って結晶
化する工程である。この工程を設ける理由は、アズデポ
の非晶質状態の記録層には記録ができないからである。
相変化記録媒体の記録原理は、非晶質状態と結晶状態と
の間の可逆的変化を利用するものである。しかし、アズ
デポの非晶質状態は、光記録で形成する非晶質マーク部
よりも、原子配列のランダムネスが高い状態にある。こ
のために、実動作すなわちデータの再生記録動作の際に
用いるような微小スポットのレーザ光を高速に移動させ
る態様では結晶化しない。このために、「初期結晶化プ
ロセス」が必要とされている。
方向に長い楕円状のレーザビームを高パワーで照射しな
がらディスクを比較的低速で回転させ、さらに楕円ビー
ムの長軸よりも短い送りピッチでビームを半径方向に送
ることにより、徐々に記録層をアニールして結晶化する
方式を採用している。初期化に要する時間は、ディスク
径、初期化時の線速度、送りピッチに依存するが、フォ
ーカシング時間も含めると最低でも数分間を要し、甚だ
生産性が悪い。現実の製造ラインは、ディスク1枚当り
のタクトが数秒になるように設計するので、初期化装置
を数10台並べて実施する必要があり、装置コスト、装
置設置面積、装置保守等が問題視されている。
れたものである。すなわち、その目的は、特に初期化せ
ずともアズデポの非晶質状態に直接、実ドライブで高速
に結晶スペースを形成することが可能な相変化記録媒体
の製造方法とそれを実施する製造装置を提供することに
ある。
手段として、基板と前記基板上に堆積された記録膜とを
有する相変化記録媒体の製造方法であって、前記基板上
に前記記録膜をスパッタリングにより堆積する際に、タ
ーゲットに印加する電圧Vdcとターゲット構成元素の
スパッタ閾値電圧Vthとの関係をVth<Vdc≦1
0Vthとすることを特徴とする相変化記録媒体の製造
方法を提供する。
て、前記電圧Vdcと前記スパッタ閾値電圧Vthとの
関係を3Vth≦Vdc≦8Vthとすることを特徴と
する。
る負グロープラズマ中のイオン密度Niが、1011(c
m-3)<Niなる範囲にあることを特徴とする。
AgInSbTeを主成分とすることを特徴とする。
は、基板と前記基板上に堆積された記録膜とを有する相
変化記録媒体を製造する製造装置であって、前記基板上
に前記記録膜をスパッタリングにより堆積するためのタ
ーゲットと、前記ターゲットに電力を印加して負グロー
プラズマを生成するための電源と、前記負グロープラズ
マの密度を高めるために設けられたプラズマ密度増加手
段と、を備えたことを特徴とする。
に、アズデポの非晶質状態を初期化プロセスの後の光記
録で形成する非晶質状態に近づけるべく、記録層のスパ
ッタ条件とスパッタ方法を検討した結果、上記した発明
に至った。相変化記録層を形成する際に用いられるター
ゲットの構成元素としては、Ge、Sb、Te、Ag、
Inが代表的である。これらの元素のスパッタ閾値電圧
(Vth)は、元素の種類とスパッタガスの種類に依存
するが、概ね20V前後の値を示す。従来は、成膜速度
を速めるために、典型的なVdcの値は300V〜60
0Vとされ、Vthの15〜30倍の値が採用されてい
た。本発明者は、記録層のスパッタ条件を詳細に変えな
がら、初期化プロセス無しの記録層の記録特性、特に初
期化無しで初回記録した際の反射率の変化量に着目して
実験を行った結果、従来用いられていたVdcよりもか
なり低いVdcの範囲で良好な無初期化記録特性が得ら
れることを見出した。
状態で実用的に十分な初回記録特性が得られるVdcの
範囲は、Vth<Vdc≦10Vthである。ここで、
Vdcは、一般的には気体放電において、放電陰極と負
グロープラズマとの間に印加する電圧である。スパッタ
リングにおいては、ターゲットが陰極に相当し、負グロ
ー中の正イオンは陰極降下部でターゲット方向に加速さ
れ、ほぼVdcに相当するエネルギでターゲットに入射
し、ターゲット物質をスパッタ放出する。VdcはDC
放電でもRF放電でも存在し、RF放電の場合にはしば
しば「自己バイアス電圧」とも呼称される。Vthはタ
ーゲット物質がスパッタ放出する閾値エネルギであり、
ターゲットに入射するイオンのエネルギがVth未満の
領域では実質的なスパッタ放出は起こらないことを意味
する。
ポから光照射を繰返した場合の記録層の微細構造の変化
の様子を詳細に調べた。この調査においては、記録層の
成膜は従来技術に従い、Vdc>10Vthの条件、よ
り具体的にはVdc=400Vの条件で行った(Vth
については後記する)。アズデポの非晶質状態に結晶化
レベルの強度の光照射を繰り返すと徐々に記録層が結晶
化し、反射率が非晶質レベルから結晶レベルに遷移し、
100回以上の繰返し照射で完全に結晶化レベルに移行
する。非晶質と結晶の中間状態の反射率を持つ媒体の記
録層と、アズデポの非晶質の記録層、及び200回光照
射を繰り返して完全に結晶化した記録層の各々を高分解
能の透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した。
いては、特に微細構造は見えず、電子線回折パターンも
非晶質特有のハローパターンを呈した。一方、完全に結
晶化した記録層は、粒径50nm程度の結晶粒の集合体
であり、電子線回折もスポッティなパターンを呈した。
これらの構造は、従来から良く知られている構造であ
る。
と結晶レベルの中間に位置する中間状態は、数nmの微
細な結晶核が非晶質中に点在する構造を呈し、光照射回
数に応じて、結晶核の密度の増加と、結晶核の粒成長が
起こっている様子が観察された。本発明者は、この結果
から、アズデポで微細結晶核が点在する構造の記録層が
形成出来れば、アズデポ状態から記録が出来る、という
着想に至った。
成すべく、記録層のスパッタ条件とスパッタ方法とにつ
いて検討した結果、スパッタ中のVdcを本発明に規定
する範囲に制御すればアズデポから記録が可能なことを
見出した。相変化記録層を形成する際に用いられるター
ゲットの構成元素は、Ge,Sb,Te,Ag,Inが
代表的である。これらの元素のスパッタ閾値電圧(Vt
h)は、元素の種類、スパッタガスの種類に依存する
が、12〜30eV前後の値を示す。表1に上記した各
元素のVthを各種希ガスに対して示す。 表1のデータは、スパッタリングイールドの報告値と、
本発明者が行った成膜速度とVdcとの関係を調べた実
験結果の内挿値(成膜速度が実質的に”0”になるVd
c)をまとめたものである。
を用いる場合には、表1の値の相加平均を用いれば良
い。又、微量添加元素、酸素、窒素、水素などの反応性
ガスの微量添加は表1の値には大きな影響は与えない。
なVdcの値は、400〜600VとVthの10数倍
以上の値が採用されていた。これに対して、本発明者は
記録層をスパッタする際のVdcを変えながら媒体を試
作し、結晶化レベルの光を1回照射した後の反射率に着
目して実験を繰り返した結果、従来用いられていたVd
cよりもかなり低いVdcの範囲で、記録層中への微細
な結晶核の生成と、それによる良好なアズデポ記録特性
が得られることを見出した。有意な高速初期化特性が得
られるVdcの範囲は、Vdc≦10Vthであった。
VdcがVth以下では膜が形成されないので、Vdc
の下限がVthであることは言うまでもない。
整するとアズデポ非晶質中に微細な結晶核が生成される
理由は以下の通りである。すなわち、前述したように相
変化記録層は、その結晶化温度以上で融点未満の温度帯
では結晶化が進行する。記録層が結晶化温度以上で融点
未満の温度帯に保持される時間を「結晶化保持時間」と
呼ぶが、この結晶化保持時間が、記録層の材料毎に特有
の「結晶化時間」よりも十分に長ければ記録層は完全に
結晶化し、短ければ殆ど結晶化しない。
くはジョンソンメールアブラミ式における結晶化の時定
数に相当する。スパッタリングの過程を考えると、ター
ゲットからスパッタ放出されたスパッタ粒子(Ge,S
b,Te,Ag,In及びそれらのダイマー、トリマー
等)は、数eV程度(数万K)のエネルギを有する気相
の状態で基板上に入射し、薄膜という固相状態に変態す
る。気相から固相へ変化する際にも、融点未満から結晶
化温度の結晶化可能温度帯を通過するが、従来のVdc
条件では、基板へ入射する際のスパッタ粒子のエネルギ
ーが極めて高かったために、基板上でのスパッタ粒子の
冷却速度が極めて早く、結晶化保持時間が記録層の結晶
化時間よりもはるかに短すぎた。それゆえ、従来技術で
形成した相変化記録層のアズデポ状態においては、結晶
核は存在せず、極めてランダムネスの高い非晶質状態に
なっていた。このようなアズデポ非晶質の膜は結晶化す
るに多大な時間を要する。
いると、ターゲットから放出するスパッタ粒子のエネル
ギが低下するため、基板に入射するスパッタ粒子のエネ
ルギも低下する。その結果として、スパッタ粒子の基板
上での冷却速度が低下し、気相から固相へ変化する際の
結晶化保持時間が長くなって微細な結晶核が生成され
る。そして、このような微細結晶核の存在によって、光
照射を1回するだけで完全に結晶化することができる。
得るためには、Vth<Vdc≦10Vthとするのが
良いが、これらの範囲は従来用いられてきたVdcより
も低い。しかし、単純にVdcを低く設定すると、記録
層の成膜速度が低下してスパッタ工程の生産効率上好ま
しくない。工程全体の効率を向上させるためには、Vd
cは良好なアズデポ記録特性が得られる範囲に設定しつ
つ、スパッタ工程の生産効率の低下分(成膜速度の低下
分)を初期化工程削減効果が上回るように、工程全体の
コストを上げずにスループットを高めるか、もしくは工
程全体のスループットを損ねることなくコストを低減化
すること重要である。工程全体の効率は、製造規模、デ
ィスク1枚当りの製造時間などを前提とする設計事項な
ので一義的には決まらないが、本発明者の実験(後に詳
述する)からは、Vth<Vdc≦10Vthの範囲全
体に亘り、工程全体の効率が向上するという結果が得ら
れている。
パッタ工程自体に更なる工夫を施すことでも実現出来
る。例えば、Vdcは良好な無初期化初回記録特性が得
られる範囲に設定しつつ、ターゲットに流入するイオン
電流密度(Ii)の増加、即ち負グロープラズマ中のイ
オン密度(Ni)の増加を試みることが挙げられる。こ
こでスパッタ放出量は、スパッタリングイールドをγ、
ターゲット面積をStとおくと、γ(Vdc)・Ii・
Stと表すことが出来る。γ(Vdc)は、γがVdc
(ターゲットに入射するイオンのエネルギーに比例す
る)の関数であることを表わし、γ(Vth)=0であ
る。また、IiとNiとの間には、Ii=e・Ni・v
i/4なる関係がある。ここで、eは素電荷量、viは
負グロープラズマ中のイオンのランダム速度である。従
って、Vdcが低くてもNiが高ければ高い成膜速度を
実現することが可能である。Vdcを低い値に保持した
ままNiを増加させる手段としては、マグネトロンプラ
ズマ用磁石の磁界強度の増加、プラズマ励起電源の高周
波数化、ホローカソード電子源、イオン源、誘導結合プ
ラズマ生成コイル、などの補助的なプラズマ密度増加手
段を挙げることが出来る。また、エネルギ制御可能な高
密度プラズマ源としてECRプラズマ、ヘリコンプラズ
マなどを用いることも効果的である。
結果、Niが1011(cm-3)<Niに調整されている
場合に良好な無初期化初回記録特性を保持したまま、高
速成膜が可能であることを見出した。Niの下限は、実
用的な成膜速度、例えばVdcが2Vth程度の低い値
の場合でも0.5nm/秒以上であり、Vdcが10V
thの場合には2nm/秒程度の十分に速い成膜速度を
得る為の条件である。Niに特に上限は無いが、プラズ
マ密度の過度な増加は基板の加熱を誘発するので、好ま
しくはNi<1012(cm-3)とするのが良い。本発明
の相変化記録媒体の製造装置ではプラズマ密度増加手段
を設けているので、Vth<Vdc≦10Vthの範囲
において、Niが1011(cm-3)以上の高密度プラズ
マを生成できる。
して設置されているモニタから直読出来る。Vdcは、
ターゲットに電圧プローブを取付けることによってもモ
ニタでき、RF放電の場合には高周波高耐圧のプローブ
を用いて、オシロスコープで電圧波形観測をすればモニ
ターすることが出来る。Niは、プローブ法で測定する
ことが出来る。プローブ法の詳細は、例えば、堤井信カ
著「プラズマ基礎光学」(内田老鶴圃出版)に詳述され
ている。
実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施に
使用したマグネトロンスパッタリング装置の構成を表す
概念図である。図1に表した装置は、主に記録層の形成
に使用されるものであり、干渉層、反射層など記録層以
外の膜の形成は従来と同一のスパッタリング装置を用い
ることが出来る。もちろん、記録層以外の膜の形成に図
1の装置を用いても構わない。
タ源、21はスパッタ源2を構成するスパッタリングタ
ーゲット、22はスパッタ源2を構成するターゲットハ
ウジシグ、23はスパッタ源2を構成するマグネット、
3はスパッタ電源、31はスパッタ電源3を構成する直
流遮断容量、32はスパッタ電源3を構成するRF(1
3.56MHz)電源、4はVdcモニタ系、41はモ
ニタ系4を構成するVdcモニタ、42はモニタ系4を
構成する高周波高耐圧プローブとオシロスコープ、5は
基板ホルダ、6は光ディスク基板、7はスパッタガス供
給系、8は排気系、9はプラズマプローブ、10はプロ
ーブ回路、11はマグネトロンプラズマ、12は誘導結
合コイルである。
を示すが、ターゲットヘの電力供給はDCでも構わず、
また、マグネトロン放電では無い通常の二極放電でも本
発明の実施に支障は無い。当然の事であるが、スパッタ
電源には電力計が取付けられておりスパッタ入力をモニ
タする。上記構成中、Vdcモニタ41はスパッタリン
グ装置に予め取付けられているもので、RF遮断とチュ
ーニング用のLC回路と直流電圧(Vdc)モニタから
成立っている。プローブとオシロスコープからなるモニ
タ42は、特に本発明の実施には必要無いが、本発明の
本質的パラメータであるVdcの確認測定用に設置し
た。プラズマプローブ9は、通常の相変化記録媒体のス
パッタリング装置には取付けられていないもので、ここ
では本発明に関わるプラズマ電位、イオン密度などのプ
ラズマパラメータを測定する目的で取付けた。プローブ
回路は通常のもので、プローブヘの電圧印加系、プロー
ブ電流モニタ系から成立っている。ここでは、マグネト
ロンプラズマ密度(イオン密度)は磁界の影響が少ない
イオン飽和電流から算定した。誘導結合コイル12は本
発明の実施の為に特別に取付けたもので、プラズマ密度
とターゲットヘ入射するイオン電流密度を増加させる目
的で設置したものである。
置の構成を例示するが、本発明はターゲットと基板との
配置関係には限定されず、基板がターゲットに対して偏
心し自転もしくは自公転する構成でも構わない。スパッ
タガスはとしては、アルゴン(Ar)が一般的だが、H
e,Ne,Kr,Xeもしくはそれらの混合ガスを用い
ても良く、また、必要に応じて酸素、窒素、水素などの
反応性ガスを添加しても構わない。
を実施した。
基本的実施例として特にプラズマ密度を高める工夫を施
さない場合のVdcと無初期化初回記録特性及び成膜速
度の関係を調べた結果について示す。図1に表した装置
を用いて以下の手順で実施した。
体の断面構造を表す概念図である。同図において、6は
トラッキンググルーブの設けられたポリカーボネイト基
板である。基板6としては、直径120mm、板厚0.
6mm、トラックピッチ0.6μmの試作品を使用し
た。無初期化状態での初回記録特性を調べる目的で基板
上に形成する媒体膜の構成は、膜厚10nmの金(A
u)半透明層62、膜厚80nmのZnS−Si02第
一干渉層63、膜厚20nmのGeSbTe(2:2:
5)記録層64、膜厚30nmのZnS−Si02第二
干渉層65、膜厚50nmのAl合金反射層66からな
る5層構成とした。
0%、結晶状態にある時の反射率は5%の所謂LtoH
(low to high)構成の媒体構成である。LtoH構成
を採用した理由は、無初期化状態即ちアズデポの非晶質
状態での反射率を高めて、トラッキングサーボ信号の安
定性を向上するためである。結晶反射率の方が非晶質反
射率よりも高い所謂HtoL構成の媒体でも本発明の適
用は可能であり、その様な場合は非晶質反射率を十分に
サーボの安定性が得られる値に設計すれば良い。
に使用する。記録層以外の層の形成は、図1とは独立し
たスパッタリング装置で行っても良く、図1と連結した
スパッタリング装置で行っても良い。以下の説明では、
記録層以外の層は、通常のスパッタリング装置、即ち図
1からVdc確認用のオシロスコープ系42、プラズマ
プローブ10、誘導結合コイル12を除いた構成のスパ
ッタリング装置を用いた場合について述べる。また、成
膜後の記録層の表面酸化を防止するために、連結形の装
置を使用し、真空中で連続して各層の形成を行う。
2、ZnS−Si02第一干渉層63を形成した後、基
板6を基板ホルダー5と共に図1のスパッタリング装置
の成膜容器1内に搬送する。前記した様に、本実施例に
おいては、記録層の形成に際してプラズマ密度増加用の
誘導結合コイルは動作させない。スパッタガス供給系の
マスフローコントローラを調整して成膜容器内に1OO
sccmのアルゴン(Ar)ガスを導入し、排気系を調
整して容器内のガス圧力を2Paに保持する。
にP(W)の電力を投入すると、GeSbTeターゲッ
ト21の上部の空間にドーナツ状のマグネトロンプラズ
マが生成し、Vdcモニタ4にPに依存してVdcが表
示される。ここで、Pは放電パラメータとして成膜毎に
変化させる。Vdcのモニタ値は、装置に付随のモニタ
41の読みと、確認用の電圧プローブとオシロスコープ
の系での測定値は、プラスマイナス5Vの範囲で一致し
たので、以下ではスパッタ装置に付随するモニタ41の
直読値を説明する。
する平均的なイオン電流密度となる。予め調べた成膜速
度を参考にして、膜厚20nmのGeSbTe記録層6
4が第一干渉層63の上に堆積されるまでスパッタ放電
を継続した後、RF電源3をオフしガス遮断後、記録層
64が堆積された基板を第二干渉層65、反射層66の
成膜室に順次移動して相変化ディスクを形成する。
いないダミー基板と貼り合せ、アズデポの状態のまま記
録再生動作に供した。媒体膜の形成においては、成膜時
間が比較的短い場合が多く、成膜中にプローブ測定する
事が困難であるため、成膜と同一条件で別途プローブ測
定を行い、イオン密度を導出することが望ましい。ター
ゲットに入射するイオン電流密度と、プラズマ中のイオ
ン密度については、次の実施例に関して言及することと
し、ここではVdcと無初期化状態での初回記録特性及
び成膜速度の関係について説明する。
録特性及び成膜速度の関係を表すグラフ図である。ここ
で、Vthは、Ge、Sb、Te各元素のVthの重み
付き相加平均を用いても良く、また、成膜速度とVdc
のデータから実験的に求めても良い(成膜速度が零にな
るVdcの内挿値がVthを与える)。ここでは、スパ
ッタデータブックに記載されているGe、Sb、Te各
元素のVthの重み付き相加平均値と実験的に求めたV
thとがほぼ20Vで一致した。
は、アズデポの非晶質反射率(Ra)と、アズデポで初
回記録を行い形成した結晶スペースの反射率(Rc1)
と、100回以上のオーバライトを行った後の結晶スペ
ースの反射率(Rc)を用いて求めたものである。Rc
はいわば従来技術に従って初期結晶化工程を施した後の
結晶部の反射率に相当するものなので、(Ra−Rc
1)/(Ra−Rc)はアズデポでの初回記録で如何に
良好な結晶スペースが形成されたかの指標になる。この
値が100%ならば、初回から完全に結晶スペースが形
成できており、x%の時には(100−x)%分は未だ
十分に結晶にならずに非晶質の残渣が存在していること
を意味する。
≦10Vthとすることで、良好な無初期化初回記録特
性が得られることがわかる。つまり、相変化記録媒体の
製造工程から初期結晶化工程を除外することできる。特
に、Vdc≦8Vthの範囲では、(Ra−Rc1)/
(Ra−Rc)は100%と完全な値を示し、かつその
再現性も十分に高かった。
と成膜速度が極端に遅くなり、膜密度が減少して耐酸化
性が若干劣化する傾向が見られるため、3Vth≦Vd
cであることがより望ましい。
速度を表す。本実施例により得られた成膜速度は、同図
において「実施例1」として表した。
は、Vdcが低くなるほど低下する。例えば、Vdcを
2Vthとした場合、記録層の成膜速度は約0.5nm
/秒となる。従来の方法による成膜速度の典型値は2n
m程度であるので、Vdc=2Vthにおいては、成膜
速度が従来の典型値の1/4程度に低下する。しかし、
この場合においても初期化工程を削減できる効果の方が
大きい。
来と同一とする条件で製造コストの比較を行う。スパッ
タリング装置の価格は、典型的には初期化装置価格の1
0〜20倍程度である。記録層成膜速度の低下分をスパ
ッタ室の増分に置換えると、スパッタ室一室の増加は、
スパッタリング装置全体の価格の5〜10%程度の価格
上昇をもたらすので、成膜速度の1/4の低下は初期化
装置4台分の価格に置換えられる。しかし、従来は、ス
パッタ装置1台当り10台程度の初期化装置を設置して
いた。これに対して、本発明によれば10台の初期化装
置が不要となるので、前記した成膜速度の低下分の初期
化装置換算分(4台)を大幅に上回ることができる。
10Vthのほぼ全範囲に亘って成立する。Vdcの下
限は、上記試算に従えば成膜速度が従来の1/10に低
下するVdcとなり、本実施例では1.3Vthとな
る。但し、工程全体の効率の算出方法は、工程の設計に
依存して変化する。ここでVdcをVthを含まないV
th以上と規定する。
(P)によって制御したが、Vdcはガスの種類、ター
ゲット構成元素の種類によっても僅かではあるものの変
化する。また、発明者などの実験結果から、DRはγ
(Vdc)・Iiに比例することが確認された。実施例
1におけるIiは、Vdc/Vth:2〜10の範囲に
おいて、0.4〜0.8mA/cm2、Niは、2x1
010〜4×101O(cm- 3)であった。
て作成した相変化記録媒体の断面構造を例示する概念図
である。同図において、71は光ディスク基板、72は
下側干渉層、73は記録層、74は上側干渉眉、75は
反射層である。
ては、図1のスパッタリング装置では無く、純Ar、通
常のマゲネット(1T級)、13.56MHz電源、フ
ィードバックク無しの手法を採用した。また、全ての層
の形成は真空中で一環して行った。
媒体の層構造として4層構造を採用したが、本発明は特
に媒体の層構造には限定されるものではなく、例えば、
Joint−MORIS/ISOM1997のテクニカ
ルダイジェストpp.66−67のFig.4に示され
ている構造、同pp.74−75のFig.1に開示さ
れている構造、同ポストデッドラインペーパ・テクニカ
ルダイジェストpp.23−24のFig.1(b)に
開示されている構造、第10回相変化記録研究会シンポ
ジウム講演論文集pp.104−109のFig.1に
開示されている欄造、特開平10−226173号公報
に開示されている構造、など幅広く適用可能である。
されたポリカーポネイト製の円盤を用いるのが一般的で
ある。基板の直径は64mm,80mm,120mm,
135mm,300mm等であり、基板の厚みは0.6
mmまたは1.2mmが代表的である。本実施例では、
DVD−RAMフォーマットのディスク基板を用いた。
上下の干渉層には、ZnS−20%SiO2が主に用い
られるが、その他にも、Ta−O,Si−0,Si−
N,Al−N,Ti−O,B−N,Al−Oなど透明誘
電体材料の中から自由に用いることも可能である。
はAg−In−Sb−Te系が代表的であり、本実施例
ではGe2Sb2Te5を用いた。反射層としては、Al
合金、Au,Cu,Ag、Ti−Nなどの高反射率材料
を用いることが出来、本実施例ではAl−Mo合金を採
用した。
録層73が20nm、上側干渉層74が15nm、反射
層75が100nmとした。光学計算上、波長650n
mの光に対して非晶質部の反射率は5%、結晶部反射率
は20%となる媒体構成である。
手順を説明する。スパッタリング装置に基板71を装着
し、真空排気して従来条件で下側干渉層72を形成した
後、図1の構成のスパッタリング装置内に基板を搬送し
て、記録層73形成を以下の手順で実施した。
ており、下側干渉層72の形成室から基板は基板ホルダ
ー5とともに真空中を搬送されてくる。ガス導入系7か
らAr−Kr混合ガスを200sccm導入し、成膜容
器1の内部の圧力を2Paに維持しつつ、パルス変調R
F電源32を投入してGeSbTeターゲット21の上
部空間にドーナツ状のマグネトロンプラズマ11を生成
する。
には陰極降下部が形成され、ターゲットは接地電位に対
して−Vdcの電位を持つ。プラズマ中のイオンの中、
陰極降下部に拡散してきたものは、ターゲットに向けて
加速され、ほぼVdcのエネルギでターゲットを衝撃
し、ターゲット構成元素をスパッタ放出する。スパッタ
放出時のエネルギは、入射したイオンのエネルギ即ちV
dcにほぼ比例するので、本発明ではスパッタ粒子のエ
ネルギは従来よりも低く抑えられる。
後に、再度従来のスパッタリング方法により、上側干渉
層74、反射層75を順次積層して、ディスクを大気中
に取出した。
として多数の光記録媒体を試作し、そのアズデポ状態で
の記録特性について評価した。その結果、Vdc/Vt
hと無初期化初回記録特性及び成膜速度との関係は、図
3に表したものとほぼ同様であり、Vth<Vdc≦1
0Vthなる範囲において良好な無初期化初回記録特性
が得られた。
量は、前述した各種のプラズマ密度増加手段を用いて高
密度プラズマを生成することにより、従来より低いVd
cにおいても、従来と同等の数nm/秒程度の高い値を
得ることができる。
施例は、主にVdcと無初期化初回記録特性との関係に
着目した本発明の基本的な形態である。この第3実施例
は、Vdcを無初期化状態での初回記録特性上の好まし
い範囲に設定したままの状態で、成膜速度を高めるべく
プラズマ密度増加手段をさらに備える。
の構成は図1と同様であるが、本実施例では、マグネト
ロンプラズマ生成用磁石23の磁界強度の増加、誘導結
合プラズマ生成用コイル12、及びそれらの併用を試み
る。磁界強度の増加、誘導結合プラズマの生成によりV
dcが変化するが、Vdcは基本的に良好な無初期化初
回記録特性が得られる範囲である2Vth≦Vdc≦1
0Vthの範囲になる様に、スパッタ源への放電入力
(P)も含めて調整する。
手順は、前述した第1実施例の実施手順に以下の改良を
施せば良い。即ち、磁石23を通常の1〜1.5kG級
の磁界を発生させる部材から、2〜2.5kG級の磁界
を発生させるものに変える、もしくはスパッタ源への電
力の印加と同時に誘導結合プラズマコイル12に電力を
供給する。あるいは、それらの両方を実施しても良い。
s材料に代えるか、磁気回路の設計に工夫を施せばすれ
ば良い。誘導結合プラズマコイルとは、半導体プロセス
装置などに使用されている所謂誘導結合プラズマ(IC
P)を生成させる為のもので、CuもしくはSiO2被
覆Cuコイルを成膜容器内のターゲット付近に設置し、
外部からRF電力を投入してICPを生成するものであ
る。
に、プラズマプローブ9を用いてイオン密度(Ni)の
計測を行い、第1実施例と同様に無初期化状態での初回
記録特性、成膜速度を調べた。無初期化状態での初回記
録特性は、誘導結合プラズマの生成のような補助的なプ
ラズマ密度増加手段の実施、マグネトロン磁界強度の増
加の様な工夫を施した場合においても、Vth<Vdc
≦10Vthの範囲で良好な値を示した。これは無初期
化状態での初回記録特性、ひいてはアズスパッタ膜の微
細構造が、記録層の成膜時のプラズマ密度には依らず、
Vdc即ちターゲットに入射するイオンエネルギひいて
はターゲットからスパッタ放出するスパッタ粒子のエネ
ルギによって支配されていることを意味する。
・Iiに比例し、Iiは前述したようにプラズマ中のイ
オン密度(Ni)とプラズマ中のイオンのランダム速度
(vi)によって、Ii=e・Ni・vi/4と表記出
来る。viはイオン温度がほぼ1000Kであることを
考慮すると約5x105(cm/秒)であるから、プロ
ーブ測定のNiからIiを推定でき、それから成膜速度
を推定出来る。前述の第1実施例、すなわちプラズマ密
度を特に増加させる工夫を施さない場合は、良好な無初
期化初回記録特性が得られるVdc/Vth=1〜10
の範囲において、Niは、2x1010〜4x1010(c
m-3)、Iiは0.4〜0.8mA/cm2であった。
これに対して、本実施例では、Vdc/Vth=2〜1
0の範囲において、Niは1011(cm-3)以上、Ii
は2mA/cm2以上の高い値を示した。
R)を図3に「実施例3」として表した。同図から分か
るように、本実施例に従って高密度プラズマを生成した
場合は、Vdc≦8Vthの範囲では、記録層の成膜速
度は従来の典型値を上回っており、工程全体の効率向上
が顕著に図れることが明白である。
密度増加手段として、マグネトロン磁界強度の増加、補
助的なプラズマ生成手段としての誘導結合プラズマコイ
ルを用いた例を示したが、この他に、ホローカソード型
の電子源の設置、イオン源の設置(動作圧力がスパッタ
室よりも低い場合には差動排気系も合わせて設置すれば
良い)、ECRプラズマ、ヘリコンプラズマの利用な
ど、各種の手段を同様に用いることができる。
0%Kr混合ガスを用いた。質量数の重いKrを添加す
ることで低イオンエネルギでもスパッタ放出の効率を上
げることが出来る。Vdcを低下するためには、質量数
の軽いガスを用いた方が好ましいので、希ガスを用いる
場合にはHe,Ne,Kr,Xeを適当な比率で混合す
るのが良い。
ロンスパッタ源の例を示したが、図1のマグネットがタ
ーゲット裏面にあるタイプの他にも、ターゲットの基板
側と同一の面側にマグネットが配置されているタイプで
も良い。また、マグネトロンスパッタ源以外に、通常の
二極スパッタ源(非マグネトロンタイプ)、ECRスパ
ッタ源などでも良い。さらに、前述したようにプラズマ
密度を高めるための、補助的なプラズマ生成手段が附加
されているのが好ましい。本実施例では、プラズマ密度
増加手段として、NdFeB系の強力な磁界源(>2T
級)のマグネットを採用し、負グロー中の電子の捕捉効
率を高めた。スパッタ電源はDCでもRFでも構わず、
通常の13.56MHzのRF以外にも適当な周波数の
交流電源を用いても良く、また、高密度化の為にパルス
変調プラズマを用いても良い。
れた13.56MHzのRF電源を使用した。10kH
zのパルス変調をかけることにより、負グロー中からの
イオン・電子の両極性拡散損失が低減されて、プラズマ
密度が増加する。本発明は、Vdcの制御がポイントな
ので、放電中のVdcは適時モニターし、外乱によるV
dcの変化を抑制するためにフィードバック回路を用い
て、常に所定のVdcになるようにスパッタ電源を制御
するのが望ましい。フィードバック系の採用により、V
dcとNiの変動は、プラスマイナス1%未満に抑制す
ることが出来る。
ッタリング装置と同等で構わない。本実施例と従来のス
パッタリングプラズマとを比較すると、従来の純Ar、
通常のマグネット(〜1T級)、13.56MHz電
源、フィードバック無しの場合のNiは3x1010(c
m-3)以下であったのに対して、本実施例においてはN
iが1011(cm-3)以上と大幅に改善されて高成膜速
度を実現することが出来た。
ーに依存するが2kW程度の高パワーを投入してもせい
ぜい3x1010(cm-3)程度の値に留まった。また、
フィードバック無しの場合、放電中のNiの変動量はプ
ラスマイナス20%程度の範囲で変動した。
的にVdcに依存し、ターゲットに入射するイオン数即
ちNiには依存しない。従って、特にプラズマ密度を高
めなくても本発明は実施可能である。プラズマ密度が1
011(cm-3)未満の条件、例えばNi=4x10
10(cm-3)の条件で本発明を実施した例を以下に示
す。
同一である。記録層の成膜は、純Ar、通常のマグネッ
ト(〜1T級)、13.56MHz電源、フィードバッ
ク無しの手法を採用した。
(典型的にはVdc>13Vth)条件により作成した
記録媒体と比較してはるかに優れ、実用的に使い得るア
ズデポ記録特性が得られた。この時の、記録層の成膜速
度は、従来の典型値の90%程度を維持しており、工程
全体の効率向上が図れることは明白である。
た場合、記録層の成膜速度は従来の典型値の1/8程度
に低下する。これは、初期化装置8台分のコスト増だが
初期化工程の削減効果は初期化装置10台分なので、工
程全体の効率は向上する。VdcがVthに近すぎる
と、成膜速度の低下分の方が初期化工程削除による高遠
化よりも顕著となる。このバランスポイントは、例え
ば、成膜速度が従来の1/10に低下する条件とするこ
とができる。この条件は、本実施例の場合には、Vdc
=1.7Vth前後といえる。
したGe−Sb−Te系からAg8In13Sb49Te3 0
(原子%)に変えて、Ge−Sb−Te系を用いて前述
した各実施例で実施したのと同様の手法で、本発明を実
施した。
した比較例共々、Ge−Sb−Te系の場合と同様に、
Vth<Vdc≦10Vthの全範囲で、良好なアズデ
ポ記録特性が得られ、初期化工程削減効果の方が、成膜
速度低下率を上回り工程全体の効率が向上することが確
認出来た。
形態について詳細に説明した。しかし、本発明は、これ
らの具体例に限定されるものではない。
の実施にとって重要である他は、特に各層の膜材料、膜
厚、記録膜以外の成膜方法・条件には制約されない。例
えば、記録層の材料としては、上記の他にも、カルコゲ
ン系の金属化合物、例えばGe−Sb−TeやAg−I
n−Sb−TeなどにCr,V,N等を適宜微量添加し
た材料を用いることができる。
ては、Auの他に銀(Ag),銅(Cu),シリコン
(Si)などや、誘電体母材中に金属微粒子を分散した
構造の膜を用いることができる。また、干渉層として
は、ZnS−SiO2以外に、Ta2O5,Si3N4,S
iO2,Al2O3,AlN等の誘電体膜材料、記録層と
してはGeSbTeの他にInSbTe,AgInSb
Te,GeTeSeなどのカルゴゲン系膜材料、反射層
としてはAlMoの他、AlCr,AlTiなどのAl
合金系膜材料などから適宜選択して用いることができ
る。
録媒体の一例として光ディスクを例に挙げて説明した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、その他に
も、例えば、光記録カードなど種々の形態の相変化光記
録媒体に同様に適用し、同様の効果を得ることができ
る。
に高いCNRでの記録が可能となるので、相変化記録媒
体の製造工程から初期結晶化工程を除外することができ
る。その結果として、製造コストを低減させ、相変化記
録媒体を広く普及させることができるようになる。
リング装置の構成を表す概念図である。
を表す概念図である。
膜速度の関係を表すグラフ図である。
面構造を例示する概念図である。
Claims (3)
- 【請求項1】基板と前記基板上に堆積されたGeSbT
eまたはAgInSbTeを主成分とする記録膜とを有
する相変化記録媒体の製造方法であって、 前記基板上に前記記録膜をスパッタリングにより堆積す
る際に、ターゲットに印加する電圧Vdcとターゲット
構成元素のスパッタ閾値電圧Vthとの関係がVth<
Vdc≦10Vthとなるように前記スパッタリングを
行い、前記記録膜として非晶質中に微細な結晶核を含む
膜を堆積することを特徴とする相変化記録媒体の製造方
法。 - 【請求項2】前記電圧Vdcと前記スパッタ閾値電圧V
thとの関係を3Vth≦Vdc≦8Vthとすること
を特徴とする請求項1記載の相変化記録媒体の製造方
法。 - 【請求項3】前記スパッタリングの際に生成される負グ
ロープラズマ中のイオン密度Niが、1011(c
m−3)<Niなる範囲にあることを特徴とする請求項
1または2に記載の相変化記録媒体の製造方法。
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