JP4153620B2 - 相変化記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ビームを照射して情報の記録・再生を行う相変化記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームを照射して情報の記録・再生を行う相変化記録媒体は、高速アクセス性と媒体可搬性とを兼ね備えた大容量の記憶デバイスである。相変化記録媒体は記録層の反射率変化を利用して再生するため、種々の利点が期待できる。すなわち、CD互換ドライブを安価に提供できる、信号品質が優れているので高密度化しやすい、1ビーム光変調オーバーライトが可能なので記録時のデータ転送速度が速い、などの利点がある。
【0003】
相変化ディスクの動作原理は以下の通りである。記録は、記録層に記録レベルの光を照射し、記録層を溶融してその構成元素の配列をランダムな状態にした後、記録層をその結晶化時間よりも短い時間で冷却して非晶質化することにより行われる。再生は、結晶部と非晶質部との反射率の違いまたは反射光の位相差を利用して行われる。消去は、記録層に消去レベルの光を照射し、記録層をその融点未満、結晶化温度以上に昇温し、その結晶化時間よりも長く保持して結晶化することにより行われる。この場合、記録前の状態が非晶質か結晶質かにかかわらず、記録・消去が可能なので1ビームで光変調オーバーライトが可能となる。
【0004】
相変化記録材料としては、カルコゲン系の金属化合物、例えばGe−Sb−Te、Ag−In−Sb−Teや、これらにCr、V、Nなどを微量添加したものが用いられる。相変化記録媒体として好適な記録層の組成範囲は、結晶化温度以上の温度における高速結晶化、および室温付近における非晶質状態の熱的安定性の2つの特性が両立するように決定される。Ge−Sb−Teの最適組成範囲は、例えば J. Appl. Phys., 69(5), pp.2849-2856(1991) に開示されている。具体的には、GeTeとSb2Te3の2つの金属化合物組成を結ぶ線上で、GeTe:Sb2Te3の比率が5:2から1:6までの線分を中心としてGe、Sb、Teの組成範囲が各々±5at%の範囲である。Ag−In−Sb−Teの最適組成範囲は、例えば Jpn. J. Appl. Phys., 32(1-11B), pp.5241-5247(1993) に開示されている。具体的には、(AgSbTe2x(In1-ySby1-xと表記したときに、x=0.37〜0.42、y=0.62〜0.79の範囲である。
【0005】
代表的なディスクの形態は、アドレスピッチとトラッキンググルーブがプリフォーマットされた光ディスク基板上に、下側誘電体層、記録層、上側誘電体層、および反射層を順次積層した構造である。なお、ディスクの層構造は種々の変形が考えられている。反射層上には接着剤を介して対向基板を貼り合わせるか、またはレーベルを貼り付ける。誘電体層と反射層は、記録層の酸化防止、オーバーライトの繰り返しによる劣化の防止、記録時の熱応答の調整、再生時の光学的エンハンスなどの役割を担っている。特に光学的エンハンスメント効果に関して、下側誘電体層は基板と記録層との間での多重干渉効果、上側誘電体層は記録層と反射層との間での多重干渉効果により、記録層の反射率変化量を増加させ、信号品質を向上させる機能を有する。
【0006】
相変化記録媒体の典型的な製造工程は、原盤のマスタリング、スタンパー作製、インジェクションによる基板の形成、スパッタリングによる成膜、(必要に応じて対向基板の貼り合わせ)、初期結晶化、ベリファイの各工程を含む。
【0007】
上記の一連の工程のうち初期結晶化工程は、相変化記録層をディスク全面にわたって結晶化する工程である。この工程は、相変化記録層がスパッタしたまま(アズスパッタ)の非晶質状態であると高速動作ができないので、これを解消するために行われる。前記したように、相変化記録媒体は上述したように非晶質と結晶との間の可逆的な相変化を利用して動作する。ところが、アズスパッタの非晶質は、光記録で形成される非晶質マークよりもランダムネスが高い状態にあるため、微小スポットが高速に移動する実ドライブでの動作態様では容易に結晶化しない。このため、相変化記録層の初期結晶化工程が必要になる。
【0008】
一般的な初期化工程は、ディスク半径方向に長い楕円ビームを高パワーで照射しながらディスクを比較的低速で回転させ、さらに楕円ビームの長軸よりも短いピッチでビームをディスク半径方向に送り、記録層を徐々にアニールして結晶化する方式を採用している。
【0009】
しかし、従来は初期化のための光ビーム照射に要する時間(初期化時の線速度、送りピッチおよびディスク径に依存する)が長く、ディスクの架け替え時間も含めると、初期化工程全体では数分程度を要していた。現実の製造ラインにおけるその他の工程では、ディスク1枚当りのタクトを数秒に設計するのが一般的である。このため、各工程を円滑に進行させるためには1ラインに初期化装置を10台程度並べる必要があり、装置価格、装置設置面積、装置保守が問題となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、初期化工程を高速化することにより、工程全体の効率化を実現できる相変化記録媒体の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の相変化記録媒体の製造方法は、相変化記録材料からなるターゲットをスパッタリングして基板上に相変化記録層を成膜する工程と、前記相変化記録層の初期結晶化を行う工程とを具備した相変化記録媒体の製造方法において、前記相変化記録層を成膜する工程は、ターゲット近傍に形成される陰極降下電圧をVdc、ターゲットを構成する相変化記録材料のスパッタリング放出のしきい値電圧をVthとするとき、1.4V th ≦V dc ≦10V thなる条件で行われるとともに、前記相変化記録層の初期結晶化を行う工程は、ディスク半径方向に長い楕円ビームを、該楕円ビームの長軸よりも短いピッチでディスク半径方向に送り初期化することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
陰極降下電圧Vdcとは、一般的には気体放電において放電陰極と負グロープラズマとの間に生じる電圧である。スパッタリングにおいては、ターゲットが陰極に相当し、負グロー中の正イオンは陰極降下部でターゲット方向に加速されてほぼVdcに相当するエネルギーでターゲットに入射し、ターゲット物質をスパッタ放出する。VdcはDC放電でもRF放電でも存在し、RF放電の場合にはしばしば自己バイアス電圧と呼ばれる。
【0013】
相変化記録材料のスパッタリング放出のしきい値電圧Vthとは、ターゲット物質がスパッタ放出するしきい値電圧である。すなわち、ターゲットに入射するイオンのエネルギーがVthに相当するエネルギー未満の領域では、有意なスパッタ放出は起こらないことを意味する。
【0014】
本発明者らは、まず従来一般的に採用されているスパッタリング条件で成膜された記録層の初期化を行い、この初期化工程途中における微細構造の変化の様子を詳細に調べた。この実験においては、従来技術に従ってVdc=400Vの条件で記録層を成膜した。また、初期化工程は、ディスクを線速度viで回転させながら、ディスク半径方向に沿う長軸の長さが約100μm程度である楕円形状の初期化ビームを照射し、初期化ビームを所定の送りピッチpでディスク半径方向へ送ることにより行った。初期化ビームの送りピッチは、初期化ビームの長軸よりも短く設定される。この際、記録層の結晶化の進行度合は、投入される光エネルギー量に比例する。したがって、線速度viが小さい条件では送りピッチpは大きく設定され、線速度viが大きい条件では送りピッチpは小さく設定される。例えばviが2m/sのときpは20μmに設定され、vi×p=0.4[cm2/sec]となる。通常の初期化工程で設定される数m/sの線速度では、媒体の同一個所が初期化ビームで複数回照射されて結晶化が完了する。しかし、初期化ビームによる照射回数が不足する場合には、結晶化が不十分であり、媒体反射率は非晶質レベルと結晶レベルの中間に位置する。
【0015】
以上のように、アズデポの非晶質状態の媒体と、初期化ビームの照射を複数回行い完全に結晶化した媒体と、中間状態の反射率を持つ媒体とを用意した。そして、これらの媒体の記録層を高分解能の透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。その観察結果は以下の通りである。
【0016】
アズデポの非晶質の記録層には特に微細構造は認められず、電子線回折パターンも非晶質特有のハローパターンを呈した。完全に結晶化した記録層は、粒径50nm程度の結晶粒の集合体からなり、電子線回折パターンもスポッティなパターンを呈した。一方、媒体反射率が非晶質レベルと結晶レベルとの中間に位置する中間状態の記録層は、非晶質中に数nmの微細な結晶核が点在する構造を有することが確認された。また、初期化ビームの照射回数に応じて、結晶核の密度の増加と、結晶核の粒成長が起っている様子が観察された。
【0017】
本発明者らは、これらの結果から、アズデポで微細結晶核が点在する構造の記録層を形成できれば、初期化工程の高速化を図ることができるという着想に至った。次に、本発明者らは、アズデポの記録層を非晶質中に微細結晶核が点在する構造に形成するための、スパッタ条件とスパッタ方法を検討した。そして、スパッタ時のVdcを制御すれば、高速初期化が可能になることを見出した。
【0018】
ここで、Vdcの値は、相変化記録材料のスパッタリング放出のしきい値電圧Vthとの関係で表すのが適当である。相変化記録層を形成する際に用いられるターゲットの構成元素は、Ge、Sb、Te、Ag、Inが代表的である。これらの元素のスパッタ放出のしきい値エネルギーは、元素の種類およびスパッタガスの種類に依存するが、12〜30eV前後の値を示す。表1に、各種希ガスに対する各元素のしきい値エネルギーを示す。表1は、スパッタリングイールドの報告値、および本発明者らが行った成膜速度とVdcとの関係を示す実験結果をプロットし、これを内挿して成膜速度が実質的に0になるVdcとして求めた値をまとめたものである。
【0019】
【表1】
Figure 0004153620
【0020】
多成分系の材料または多成分系のスパッタガスを用いる場合には、表1の値の相加平均から求められるVthを用いればよい。なお、微量添加元素や、酸素、窒素、水素などの反応性ガスの微量添加は、表1の値には大きな影響を与えない。
【0021】
次に、本発明者らは、記録層のスパッタリング時のVdcを変えながら媒体を試作し、初期化工程において媒体反射率が完全に結晶化レベルに到達する送りピッチと線速度に着目して実験を行った。従来は、記録層の成膜速度を重視して典型的なVdcの値は400〜600VとVthの10数倍以上の値が採用されていた。これに対して本発明者らは、従来用いられていたVdcよりもかなり低いVdcの範囲で成膜すると記録層中に微細な結晶核が生成し、それによって初期化工程の高速化が達成できることを見出した。有意な高速初期化特性が得られるVdcの範囲は、Vdc≦10Vthであった。一方、VdcがVth以下では膜が形成されないのでVdcの下限がVthであることはいうまでもない。
【0022】
Vth<Vdc≦10Vthに調整すると、アズデポ非晶質中に微細な結晶核が生成される理由は以下の通りである。前述したように、相変化記録層はその結晶化温度以上、融点未満の温度領域で結晶化が進行する。記録層が結晶化温度以上、融点未満に保持される時間を結晶化保持時間と呼ぶ。結晶化保持時間が相変化記録材料特有の結晶化温度よりも十分に長ければ、記録層は完全に結晶化し、短ければほとんど結晶化しない。ここで、結晶化時間はアレニウス式またはジョンソンメールアブラミ式における結晶化の時定数(τ)に相当する。アレニウス式においては、結晶粒の含有率は、1−exp(−t/τ)で与えられる。ここで、式中のtは結晶化保持時間に相当する。
【0023】
スパッタリングの過程を考えると、ターゲットからスパッタ放出したスパッタ粒子(Ge,Sb,Te,Ag,Inならびにこれらのダイマーおよびトリマーなど)は、数eV程度(数万K)のエネルギーの気相状態で基板上に入射し、薄膜という固体状態に変態する。こうして気相から固相へ変化する際にも、相変化記録材料は融点未満から結晶化温度までの結晶化可能温度領域を通過する。しかし、従来のVdc条件では、基板へ入射する際のスパッタ粒子のエネルギーが極めて高いため、基板上でのスパッタ粒子の冷却速度が極めて速く、結晶化保持時間(t)が記録層の結晶化時間(τ)と比較して非常に短い。このため、従来技術で形成したアズデポ状態の相変化記録層は、特に結晶核は生成せずに極めてランダムネスの高い非晶質状態になる。このようなアズデポ非晶質の膜は初期化に長時間を要する。
【0024】
一方、本発明のVdcの範囲を用いると、ターゲットから放出されるスパッタ粒子のエネルギーが低下するため、基板に入射するスパッタ粒子のエネルギーが低下する。したがって、基板上でのスパッタ粒子の冷却速度が低下し、気相から固相へ変化する際の結晶化保持時間が長くなって微細な結晶核の生成するようになる。この結果、短時間の初期化工程を施すだけで十分な結晶状態に変化する。
【0025】
前述したように、良好な高速初期化特性を得るうえでは、Vth<Vdc≦10Vthとすることが好ましい。この範囲は、従来用いられてきたVdcよりも低い。ただし、Vdcを低く設定すると記録層の成膜速度が低下するため、スパッタ工程の生産効率上は好ましくない。工程全体の効率を向上させるうえでは、スパッタ工程の生産効率の低下分(成膜速度の低下分)を、高速初期化による初期化工程の生産効率の向上分が上回ることが重要である。同様に、コスト面からは、工程全体のコストを上げずにスループットを高めるか、または工程全体のスループットを損ねることなくコストを低減することが重要である。
【0026】
工程全体の効率は、製造規模、ディスク1枚当りの製造時間などを前提とする工程の設計事項なので一意に決まらない。しかし、後述する本発明者らの実験からは、Vdcの下限は工程設計によって変化するものの、Vth<Vdc≦10Vthの範囲のほぼ全体にわたって工程全体の効率が向上するという結果が得られている。Vdcの下限は、一般的な工程設計においては1.5Vth〜2.0Vthである。ただし、設計によっては、Vdcの下限としてVthに近い値を用いることも可能である。
【0027】
ここで、Vdcは通常スパッタ装置に付随して設置されているモニターから直読できる。また、Vdcはターゲットに電圧プローブを取り付けることによりモニターできる。RF放電の場合には、高周波高耐圧のプローブを用いて、オシロスコープで電圧波形を観測することにより、モニターできる。Vdcは、正確には負グロープラズマとターゲット間に印加される電位であるが、通常プラズマ電位は接地電位にほぼ等しいか数V程度の値なので、接地電位に対するターゲット電位または放電電圧そのものをVdcとみなしても差し支えない。
【0028】
本発明においては、Vdcの値が重要な意味を持つので、放電中のVdcをモニターし、フィードバック回路を用いて常に所定のVdcになるようにスパッタ電源を制御し、外乱によるVdcへの影響を抑制することが好ましい。フィードバック回路を用いない場合にはVdcの変動は±20%であるが、フィードバック回路を用いればVdcの変動を±10%未満に抑制することができる。
【0029】
本発明において、スパッタ装置としては、例えばマグネトロンスパッタ装置を好適に用いることができる。マグネトロンスパッタ装置は、マグネットがターゲット裏面に設けられている構造でもよいし、マグネットがターゲットに対してディスク基板側に設けられている構造でもよい。なお、スパッタ装置として通常の非マグネトロンタイプの二極スパッタ装置やECRスパッタ装置を用いることもできる。スパッタ電源はDCでもRFでもよい。具体的には、通常の13.56MHzのRF電源や、その他の適当な周波数の交流電源を用いることができる。ターゲットとディスク基板とは静止対向した構成でもよいし、ターゲットに対して基板が偏心して自転または自公転する構成でもよい。
【0030】
スパッタガスとしては、Ar、He、Ne、Kr、Xeおよびこれらの混合ガスが用いられる。また、必要に応じて、これらのガスに酸素、窒素、水素などの反応性ガスを添加してもよい。Vdcを低下するうえでは質量数の小さいガスを用いることが好ましい。希ガスを用いる場合には、He、Ne、Kr、Xeを適当な比率で混合することが好ましい。
【0031】
本発明の方法により製造される相変化記録媒体の層構造は特に限定されない。最も代表的なものとして、ポリカーボネート基板/ZnS−20%SiO2下側干渉層/Ge2Sb2Te5記録層/ZnS−20%SiO2上側干渉層/Al−Mo合金反射層という構造を有する相変化記録媒体が挙げられる。その他の相変化記録媒体の構造を以下に示す。
【0032】
ポリカーボネート基板/ZnS−SiO2第1干渉膜/GeSbTe記録膜/ZnS−SiO2第2干渉膜/Si半透明膜/ZnS−SiO2第3干渉膜/UV樹脂(Joint-MORIS/ISOM'97,テクニカルダイジェストpp.66-67のFig.4)。
ポリカーボネート基板/Au半透明膜/ZnS−SiO2第1干渉膜/GeSbTe記録膜/ZnS−SiO2第2干渉膜/Al合金系反射膜(同上pp.74-75のFig.1)。
基板/保護膜/コントラストエンハンスメント膜/記録膜/誘電体膜/熱緩衝膜/金属膜(同上ポストデッドラインペーパー・テクニカルダイジェストpp.23-24のFig.1(b))。
ポリカーボネート基板/ZnS−SiO2第1干渉膜/SiO2第2干渉膜/ZnS−SiO2第3干渉膜/GeSbTe記録膜/ZnS−SiO2第4干渉膜/Al合金系反射膜(第10回相変化記録研究会シンポジウム講演論文集pp.104-109のFig.1)。
基板/下部誘電体膜/Sb系膜/AgInSbTe記録膜/上部誘電体膜/反射膜(特開平10−226173号公報)、などである。
【0033】
ディスク基板としては、一般的にプリフォーマットされたポリカーボネート製の円盤が用いられる。基板の直径は、64mm,80mm,120mm,135mm,300mmなどがある。基板の厚みは、0.6mm,1.2mmが代表的である。干渉層としてはZnS−SiO2が主に用いられるが、Ta−O,Si−O,Si−N,Al−N,Ti−O,B−N,Al−Oなどの透明誘電体材料から適宜選択できる。記録層としてはGe−Sb−Te,Ag−In−Sb−Teが代表的である。反射層としては、Al合金,Au,Cu,Ag,Ti−Nなどの高反射率材料を用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0035】
図1に本実施例で製造した相変化記録媒体を示す。図1に示すように、DVD−RAMフォーマットされた直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製の光ディスク基板1上に、厚さ120nmのZnS−20%SiO2からなる下側干渉層2、厚さ20nmのGe2Sb2Te5からなる記録層3、厚さ15nmのZnS−20%SiO2からなる上側干渉層4、および厚さ100nmのAl−Mo合金からなる反射層5が形成されている。この膜構成では、光学計算上、波長650nmの光に対して非晶質部の反射率は5%、結晶部の反射率は20%となる。
【0036】
図2に本実施例で使用したマグネトロンスパッタ装置の構成を示す。この図は多室マグネトロンスパッタ装置のうち記録層形成室を示している。図示しない他の層の形成室も図2と同様な構成を有する。図2において、成膜チャンバー11には排気系12、ガス導入系13が接続されている。スパッタ源14はターゲット15とその裏面に設けられたマグネット16からなっている。ターゲット15に対向するように基板ホルダー17が設けられ、基板ホルダー17上に光ディスク基板18が設置される。ターゲット15にはスパッタ電源19が接続されている。スパッタ時のVdcはVdcモニタ20によりモニタされ、フィードバック回路21により所定のVdc値に設定される。
【0037】
図2の装置を用い、以下のようにして図1に示す相変化記録媒体を作製した。まず、図示しない下側干渉層形成室に光ディスク基板を装着し、真空排気した後、不活性ガス中でZnS−20%SiO2からなるターゲットをスパッタリングすることにより下側干渉層を形成する。この基板を図2に示す記録層形成室に搬送し、以下の手順で記録層を形成する。成膜チャンバー11は排気系12により予め真空排気されている。基板18は基板ホルダー17とともに、下側干渉層形成室から記録層形成室へ真空を破らずに搬送されてくる。ガス導入系13からAr−10%Kr混合ガスを200sccmの流量で導入し、成膜チャンバー11内部の圧力を2Paに維持した後、スパッタ電源19を投入して相変化記録材料であるGeSbTeからなるターゲット15の上部にドーナツ状のマグネトロンプラズマPを生成させる。スパッタガスとして、質量数の大きいKrを添加したArガスを用いることにより、低イオンエネルギーでもスパッタ放出の効率を上げることができる。
【0038】
負グロープラズマPとターゲット15との間には陰極降下部が形成され、ターゲット15は接地電位に対してほぼ−Vdcの電位を持つ。プラズマ中の正イオンのうち陰極降下部に拡散してきたものは、ターゲット15に向けて加速され、ほぼVdcのエネルギーでターゲット15に衝突し、相変化記録材料をスパッタ放出する。スパッタ放出時のエネルギーは、入射したイオンのエネルギーすなわちVdcにほぼ比例する。このとき、Vdcを従来の条件または本発明の条件の条件に設定する。本発明ではVdcが従来よりも低いので、スパッタ粒子のエネルギーも従来よりも低く抑えられている。
【0039】
以上のようにして記録層を形成した後に、スパッタリングにより上側干渉層および反射層を順次積層し、ディスクを大気中に取り出した。さらに、このディスクを媒体膜の設けられていないディスク基板にUV硬化接着剤で貼り合わせた後に初期化工程に供した。
【0040】
初期化工程の条件は、線速度(vi)とビーム送りピッチ(p)をパラメータとして変化させた。初期化時のレーザービームのパワーは、viおよびpに対して、初期化後の媒体ノイズが最も低くなるパワーを選定した。例えば、vi×p=0.4cm2/secではパワーを約400mW、vi×p=2.4cm2/secではパワーを初期化装置の最大パワーである約900mWとした。
【0041】
初期化後のディスクを市販の記録再生試験装置にセットし、ミラー部反射率(Rm)を測定することにより初期化の程度を評価した。初期化工程で記録層が十分に結晶化している場合には、Rmは結晶反射率に相当する20%となる。結晶化が不十分な場合には、Rmは非晶質反射率(5%)と結晶反射率(20%)との中間の値を示す。
【0042】
図3に、ミラー部反射率Rm(%)と初期化パラメータvi×p(cm2/sec)との関係を示す。この図において、従来の条件で記録層を形成したディスクをB、本発明の条件で記録層を形成したディスクをAで表している。また、本発明の条件に関しては、設定したVdcの値をカッコ内に記載している。
【0043】
この図に示されるように、いずれのカーブでも、vi×pの低い範囲すなわち低速初期化条件では結晶化が十分に進行してRmが結晶反射率に達する。vi×pを増加させると、あるvi×p以上で結晶反射率から低下し始め、さらにvi×pを増加させると、Rmが次第に非晶質反射率に漸近することがわかる。Rmが結晶反射率から低下しはじめるvi×pを、図3中に上向き矢印で示している。これらの値を、完全に結晶化可能な臨界的なvi×pという意味で(vi×p)cと記す。Rmが結晶反射率から低下するということは、完全に結晶化に至らずに非晶質部分が残存していることを意味する。
【0044】
図4に、陰極降下電圧Vdcと(vi×p)cとの関係を示す。この図には、Vdcと記録層の成膜速度との関係についても併記する。この図から、Vdc≦10Vthの範囲で(vi×p)cが従来よりも有意に増加していることが明らかである。Vdc=10Vthの条件では従来の条件(典型的にはVdc>13Vth)に比較して、ほぼ1.5倍の高速初期化が実現できている。このときの記録層の成膜速度は、従来の典型値の90%程度の成膜速度である。したがって、工程全体の効率化が図れることがわかる。また、Vdcを2Vthに設定した場合、記録層の成膜速度は従来の典型値の1/8程度に低下するが、初期化工程は従来よりも16倍程度の高速化が可能となり、工程全体の効率向上が可能である。
【0045】
なお、VdcがVthに近すぎると、成膜速度の低下分が、初期化工程の高速化よりも顕著となる。例えば、Vdc=1.3Vthでは、従来技術に対して成膜速度が1/40程度に低下し、初期化工程は20倍程度の高速化に留まる。Vdc=1.5Vthでは、成膜速度は1/16の低下、初期化は18倍以上の高速化で、工程全体が高速化可能である。したがって、本実施例ではVdcの下限がVdc=1.4Vth前後であることがわかる。
【0046】
次に、相変化記録材料をGe−Sb−TeからAg8In13Sb49Te30(at%)に変えて、上記と同様な方法で相変化記録媒体を作製した。その結果、組成の選び方、膜構造にも依存するが、Ag−In−Sb−Te膜の場合にもGe−Sb−Te膜と同様な傾向を示した。そして、Vth<Vdc≦10Vthの全範囲で、初期化の高速化効果の方が成膜速度の低下率を上回り、工程全体の効率を向上できることが確認できた。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の方法を用いれば、初期化工程を高速化することにより、相変化記録媒体の製造工程全体の効率化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において作製した相変化記録媒体の断面図。
【図2】本発明の実施例において使用したマグネトロンスパッタリング装置の構成図。
【図3】ミラー部反射率Rmとvi×pとの関係を示す図。
【図4】陰極降下電圧Vdcと(vi×p)cとの関係を示す図。
【符号の説明】
1…光ディスク基板
2…下側干渉層
3…記録層
4…上側干渉層
5…反射層
11…成膜チャンバー
12…排気系
13…ガス導入系
14…スパッタ源
15…ターゲット
16…マグネット
17…基板ホルダー
18…光ディスク基板
19…スパッタ電源
20…Vdcモニタ
21…フィードバック回路

Claims (1)

  1. 相変化記録材料からなるターゲットをスパッタリングして基板上に相変化記録層を成膜する工程と、前記相変化記録層の初期結晶化を行う工程とを具備した相変化記録媒体の製造方法において、
    前記相変化記録層を成膜する工程は、ターゲット近傍に形成される陰極降下電圧をVdc、ターゲットを構成する相変化記録材料のスパッタリング放出のしきい値電圧をVthとするとき、
    1.4V th ≦V dc ≦10V th
    なる条件で行われるとともに、
    前記相変化記録層の初期結晶化を行う工程は、ディスク半径方向に長い楕円ビームを、該楕円ビームの長軸よりも短いピッチでディスク半径方向に送り初期化する
    ことを特徴とする相変化記録媒体の製造方法。
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