JP3512652B2 - 壁貫通筒体を構成する区画壁形成体、及び防火区画貫通部の形成方法 - Google Patents
壁貫通筒体を構成する区画壁形成体、及び防火区画貫通部の形成方法Info
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Description
壁に管・ケーブルを耐火構造にて貫通配管又は配線する
際に使用される壁貫通筒体を構成する区画壁形成体、及
び防火区画貫通部の形成方法に関するものである。
ート壁に、管・ケーブルを耐火構造によって貫通させて
配管又配線するには、図19に示されるように、(1)
コンクリート壁W’に設けられた貫通孔31に金属製の
壁貫通筒体A’を貫通設置し、(2)前記壁貫通筒体
A’内に管類P又はケーブル類を挿通させて配管・配線
した後に、(3)前記壁貫通筒体A’の両側開口から、
当該開口と、管類P又はケーブル類との隙間を塞ぐよう
にして、該壁貫通筒体A’の内部に耐火剤Fを充填す
る。
て、管・ケーブルの壁貫通部に耐火構造を実現して、火
災により一方の壁側の管・ケーブルが焼けても、他方の
壁側の管・ケーブルが延焼しないようにして、火災時に
おける被害の拡大を防止している。
通構造では、防火区画壁に貫通された壁貫通筒体の開口
面に対して耐火剤を均一の厚さに充填するのは、難し
い。即ち、壁貫通筒体の両開口から充填された耐火剤
は、硬化するまでの間において、自重により壁貫通筒体
の奥側に流動して、その下方側に堆積し、壁貫通筒体の
開口面に対して垂直な方向に沿った耐火剤の充填厚は、
壁貫通筒体の開口上方側から、その下方側に向けて厚く
なる。この結果、壁貫通筒体の開口上方側の耐火剤の厚
さが、耐火に必要な厚さを維持できない事態を招いて、
耐火性が低下する恐れがある。また、壁貫通筒体の内部
において、耐火剤が開口下方側に向けて流動して堆積す
ることは、耐火剤の無駄を招くのみで、耐火性の向上に
は全く寄与せず、極めて不経済でもある。
る耐火剤には、熱膨張性を有するものと、これを有しな
いものとがあるが、前者は、火災時の熱で膨張して、壁
貫通筒体の内周面との間に生じている隙間を閉塞する作
用があるために、後者に比較して優れている。そして、
熱膨張性を有する耐火剤において、壁貫通筒体の内周面
との間に生じている隙間を熱膨張により閉塞させる場合
には、周方向に沿った各部位で均一に膨張することが、
最も閉塞効果が高い。これを実現するには、耐火剤を壁
貫通筒体の開口から内部に充填する際に、管・ケーブル
を壁貫通筒体の断面視の中央部に配置させる必要があ
る。このようにするには、一方の手で管・ケーブルを保
持し、他方の手によって耐火剤を充填する必要があり、
作業性が悪い。
における従来の管・ケーブルの貫通構造の上記諸問題に
鑑み、壁貫通筒体の断面視の中央部において管・ケーブ
ルを安定支持できて、しかも壁貫通筒体の開口端面から
の充填厚を均一にして、耐火剤を充填できるようにし
て、最少量の耐火剤によって最大の耐火性を得ることを
課題にしている。
の請求項1の発明は、壁貫通筒体の開口端面から適宜距
離だけ奥方に設置されて、その両開口端部に、耐火剤の
充填空間を内部と区画して形成するための区画壁形成体
であって、断面視において2分割されてヒンジ連結され
た一対の分割体で構成されて、管・ケーブルを充填空間
の断面視の略中央部で支持すべく、自身の弾性により開
閉可能な弾性弁を備えてなることを特徴としている。請
求項1の発明によれば、区画壁形成体は、断面視におい
て2分割されてヒンジ連結された一対の分割体で構成さ
れているため、区画壁形成体を壁貫通筒体の両端開口か
らその内部に挿入前に、一対の分割体が分離することな
く、管・ケーブルの外側を覆う作業が容易となる。管・
ケーブルの外側を一対の分割体から成る区画壁形成体で
覆った後に、前記管・ケーブルを壁貫通筒体の両端開口
から内部に挿入すると、該管・ケーブルは、区画壁形成
体が具備する弾性片により断面視の略中央で支持され
る。
口端面から適宜距離だけ奥方に設置されて、その両開口
端部に、耐火剤の充填空間を内部と区画して形成するた
めの区画壁形成体であって、前記壁貫通筒体の開口端に
係合可能な係合部と、管・ケーブルを充填空間の断面視
の略中央部で支持すべく、自身の弾性により開閉可能な
弾性弁とを備えてなることを特徴としている。請求項2
の発明に係る区画壁形成体は、前記壁貫通筒体の開口端
に係合可能な係合部を備えているために、壁貫通筒体に
端面開口からその内部に区画壁形成体を押し込んで挿入
すると、前記係合部が壁貫通筒体の端面に当接して押込
み不能となるため、壁貫通筒体に対する区画壁形成体の
押込み端を規制できる。
口端面から適宜距離だけ奥方に設置されて、その両開口
端部に、耐火剤の充填空間を内部と区画して形成するた
めの区画壁形成体であって、前記耐火剤が充填されて抜
止作用を果たすために本体部の周壁に設けられた抜止開
口と、管・ケーブルを充填空間の断面視の略中央部で支
持すべく、自身の弾性により開閉可能な弾性弁とを備え
てなることを特徴としている。請求項3の発明に係る区
画壁形成体は、前記耐火剤が充填されて抜止作用を果た
すために本体部の周壁に設けられた抜止開口を備えてい
るために、壁貫通筒体の端面開口から内部に区画壁形成
体を挿入して形成された耐火剤の充填空間に耐火剤を充
填すると、前記抜止開口の部分では耐火剤が直接に壁貫
通筒体の内周面に密着して、区画壁形成体の抜止め作用
を果たす。
口端面から適宜距離だけ奥方に設置されて、その両開口
端部に、耐火剤の充填空間を内部と区画して形成するた
めの区画壁形成体であって、前記壁貫通筒体に装着する
前に耐火剤を予め注入するために本体部の周壁に設けら
れた耐火剤注入口と、管・ケーブルを充填空間の断面視
の略中央部で支持すべく、自身の弾性により開閉可能な
弾性弁とを備えてなることを特徴としている。請求項4
の発明によれば、壁貫通筒体に区画壁形成体を挿入する
前に、本体部の周壁に設けられた耐火剤注入口から耐火
剤を注入できるので、壁貫通筒体に区画壁形成体を挿入
した後に、充填剤を注入するのに比較して、壁貫通筒体
の奥部まで確実に耐火剤を注入できて、耐火剤の充填厚
を確実に確保できる。
4のいずれかの発明において、断面視で2分割された一
対の分割体で区画壁形成体が構成されていることを特徴
としている。請求項5の発明によると、壁貫通筒体に管
・ケーブルが挿通された後において、その開口近傍から
2分割構造の区画壁形成体を挿入できるため、作業性が
一層高まる利点がある。また、請求項6の発明は、請求
項3又は4の発明において、壁貫通筒体の開口端に係合
可能な係合部を備えていることを特徴としているため、
請求項3又は4の発明の上記作用効果に加えて、壁貫通
筒体に対する区画壁形成体の押込み端を規制できる別の
効果が奏される。また、請求項7の発明は、請求項2な
いし4のいずれかの発明において、一対の分割体はヒン
ジ連結されていることを特徴としているため、区画壁形
成体を壁貫通体の両端開口からその内部に挿入前に、一
対の分割体が分離することなく、管・ケーブルの外側を
覆う作業が容易となるという別の効果が奏される。ま
た、請求項8の発明は、請求項4ないし6のいずれかの
発明において、奥行方向に沿って所定間隔をおいた2つ
の弾性弁を備えていて、本体部の周壁における前記各弾
性弁の間に耐火剤注入口が設けられていることを特徴と
している。このため、区画壁形成体を壁貫通筒体に挿入
する前に、2つの弾性片の間に形成された充填空間に耐
火剤を充填できて、耐火剤の充填厚を確実に確保できる
と共に、壁貫通筒体に区画壁形成体を挿入した後におい
て、耐火剤注入口の部分の耐火剤が壁貫通筒体の内周面
に直接に密着して、区画壁形成体の抜止め作用を果た
す。また、請求項9の発明によれば、区画壁形成体の奥
側の空間部に耐火剤を充填した後に、この区画壁形成体
を壁貫通筒体に挿入し、その後に壁貫通筒体の内部に形
成された未充填の空間部に耐火剤を充填するために、耐
火剤の充填厚が確実に確保されると共に、その充填作業
が容易となる。
更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る2分割構造
の区画壁形成体S1 を分離させた状態の斜視図であり、
図2は、区画壁形成体S1 の平面図であり、図3は、図
2のX−X線断面図である。図1ないし図3において、
区画壁形成体S1 は、図4に示されるような防火区画壁
Wに設けられた貫通孔31に貫通設置される円筒状の壁
貫通筒体A1 の開口端面から適宜距離だけ奥方に設置さ
れて、その両開口端部に、耐火剤の充填空間Bを形成す
るための部材である。本実施例の区画壁形成体S1 は、
樹脂で成形されていて、その断面視において2分割され
た一対の分割体S1aにより構成される。
した本体部1と、該本体部1の一端の開口端面に外側に
折り曲げられて形成されたフランジ状の係合部2と、前
記本体部1の他端面を閉塞可能にして開閉する弾性弁V
とで構成される。即ち、本体部1の他端には、該本体部
1とほぼ同等の肉厚を有する環状基部3が内側に向けて
フランジ状となって設けられ、扇形をした複数の弾性舌
片4が前記環状基部3に連設されて、弾性弁Vを構成し
ている。各弾性舌片4は、前記環状基部3に連結されて
いる部分を基端として、その先端部が弾性変形する構造
になっている。弾性舌片4の肉厚は、本体部1及び環状
基部3の肉厚よりも薄く成形されて、弾性変形し易くし
てある。相隣接する弾性舌片4の間には、放射方向に沿
って僅かの隙間5が形成されている。また、2分割前の
円筒状をした区画壁形成体S1 の本体部1の周壁には、
方形状をした一対の抜止開口6が相対向して設けられて
いる。
に、一体構成の前記区画壁形成体S1 を断面視において
対称となるように2分割して形成される。区画壁形成体
S1 の本体部1の外径は、対応する壁貫通筒体A1 の内
部に挿入可能な大きさに定められている。
割構造の上記区画壁形成体S1 を用いて、建築物の防火
区画壁Wに電線管Pを耐火構造にて貫通配管する場合に
ついて説明する。まず、図4に示されるように、コンク
リート壁から成る防火区画壁Wに設けられた貫通孔31
に壁貫通筒体A1 を貫通設置して、該壁貫通筒体A1 の
内部に電線管Pを挿通する。壁貫通筒体A1 は、このよ
うにして貫通設置した状態において、その両端部が所定
長だけ防火区画壁Wの両壁面から突出するような長さの
ものが使用される。
壁形成体S1 を構成する一対の分割体S1aを壁貫通筒体
A1 の両開口から内部に別々に挿入する。即ち、各分割
体S1aの奥側の端面に設けられた複数の弾性舌片4を挿
通済の電線管Pに押し当てることにより、弾性変形させ
て奥方に押し込むと、その手前側の端部に設けられた環
状の係合部2が壁貫通筒体A1 の開口端に係合されるこ
とにより、これを超える押込みが出来なくなって、図5
に示されるように、一対の分割体S1aは、壁貫通筒体A
1 の両開口端部の内側に挿入されて、当該部分に装着さ
れる。このように、区画壁形成体S1 が2分割構造にな
っているために、壁貫通筒体A1 に電線管Pを挿通した
後においても、該壁貫通筒体A1 の開口近傍から、区画
壁形成体S1 を壁貫通筒体A1 の両開口端部に容易に装
着できる。
口端部に装着された区画壁形成体S1 の各弾性舌片4
は、いずれも壁貫通筒体A1 の開口側を向いて弾性変形
されて電線管Pの外周面に弾接し、これにより複数の弾
性舌片4で構成される弾性弁Vは、壁貫通筒体A1 の開
口側を向いて拡開して、当該拡開部で電線管Pを支持し
ている(図7参照)。この弾性弁Vの部分において、壁
貫通筒体A1 の両開口端部は、その内部の部分と区画さ
れて、耐火剤Fの充填空間B(図5参照)が形成され
る。このように、区画壁形成体S1 の弾性弁Vが壁貫通
筒体A1 の開口側に向けて拡開されると、後工程におい
て前記充填空間Bに充填される耐火剤Fが弾性舌片4の
間を通って奥方に流入しにくくなる利点がある。
キングガンGを使用して、壁貫通筒体A1 の両開口端部
に形成された各充填空間Bに耐火剤Fを充填する。壁貫
通筒体A1 の開口から所定距離だけ奥方に位置した部分
には、区画壁形成体S1 を構成する弾性弁Vにより区画
壁部が形成され、しかも上記のように弾性弁Vは、壁貫
通筒体A1 の開口側を向いて拡開されているために、こ
の区画壁部を超えて耐火剤Fが奥方に流入しなくなっ
て、充填空間Bのみに耐火剤Fを充填できる。また、耐
火剤Fの充填中においても、壁貫通筒体A1 に挿通され
た電線管Pは、区画壁形成体S1 の複数の弾性舌片4に
よって断面視の中央部に配置された状態が維持されるた
めに、耐火剤Fの充填作業が容易であると共に、その充
填後においても、電線管Pの位置は、壁貫通筒体A1 の
断面視の中央部からずれることはない。なお、図7にお
いて、Cは、電線管P内に挿通されたケーブルを示す。
体A1 の両開口端部に形成された充填空間Bに耐火剤F
が充填されると、この耐火剤Fは、区画壁形成体S1 の
本体部1に設けられた抜止開口6にも充填されて、当該
抜止開口6の部分においては、壁貫通筒体A1 の内周面
に耐火剤Fが直接に密着して、区画壁形成体S1 の抜止
作用を果たす。また、区画壁形成体S1 の存在によっ
て、壁貫通筒体A1 に挿通された電線管Pは、その断面
視の略中央部において支持されるために、電線管Pの周
囲の充填空間Bに耐火剤Fを均等に充填できる。このた
め、熱膨張性を有する耐火剤の場合には、火災発生時に
おいて、前記電線管Pが焼けて、この部分に空洞部が生
じも、その周囲に均等に充填されている耐火剤の膨張に
よって、当該空洞部が確実に閉塞される。この結果、耐
火性も高まる。
れた壁貫通筒体A1 に電線管Pを挿通した後において、
該壁貫通筒体A1 の両開口端部に2分割構造の区画壁形
成体S1 を挿入する例である。これに対して、図8に示
されるように、壁貫通筒体A1 の両開口端部に予め区画
壁形成体S1 を装着しておき、この状態の壁貫通筒体A
1 を防火区画壁Wに貫通設置した後に、該壁貫通筒体A
1 の一方から他方に電線管Pを挿通させる施工法(図9
参照)も可能である。区画壁形成体S1 の奥側の端部に
設けられた弾性弁Vを構成する複数の弾性舌片4は、当
該部分に挿通される電線管Pによって、その挿通方向Q
に拡開されて、当該電線管Pの外周面に弾接し、これに
より、壁貫通筒体A1 の両開口端部に、内部と区画され
た耐火剤の充填空間Bがそれぞれ形成される。なお、電
線管の挿通前に壁貫通筒体A1 に区画壁形成体を装着し
ておく場合には、この区画壁形成体は、一体構造でもよ
い。
或いは電線等のケーブル類が挿通されるのであるが、前
者の管類の場合には、所定長のものを接続して使用する
場合が多い。よって、壁貫通筒体に挿通されるものが管
類の場合には、防火区画壁に貫通設置された壁貫通筒体
に管類を挿通した後において、該管類の一端部から、そ
の外側に一体構造の区画壁形成体を嵌め込むことができ
る。このため、一体構造の区画壁形成体を、管類の挿通
後において装着することが可能となる。
図10に示される分割体S'1a のように、弾性弁Vを構
成する弾性舌片4’を、基端部から先端部に向けて漸次
肉厚が薄くなる構造にして、弾性変形し易くしてもよ
い。また、区画壁形成体の材質に関しては、弾性舌片の
部分のみを樹脂で成形し、弾性舌片を除く他の部分を金
属で成形して、両者を一体に結合させることにより、区
画壁形成体を材質的に耐火構造にすることも可能であ
る。
いて説明する。図11及び図12に示される区画壁形成
体S2 は、前記区画壁形成体S1 と異なって、壁貫通筒
体A2 に挿入する前に、奥側の空間部に耐火剤Fを注入
するための耐火剤注入口17が設けられている構成に特
徴を有する。また、本実施例の壁貫通筒体A2 には、1
本のケーブルCが挿通されるのみであるため、前記壁貫
通筒体A1 に比較して、その長さはほぼ同一であるが、
その内径は、相当に小さくなっている。即ち、区画壁形
成体S2 は、一対の半円筒状の分割体S2aが軸心方向に
沿ったヒンジ部18を介して連結されている。各分割体
S2aを円筒状にした区画壁形成体S2 は、円筒状をした
本体部11と、該本体部11の手前側の開口端部に外側
に折り曲げられて形成されたフランジ状の係合部12
と、前記本体部11の奥側の開口端部、及びこれよりも
僅かに内側の部分との2カ所を閉塞可能に開閉するため
の2つの弾性弁Vとで構成される。この弾性弁Vは、前
記区画壁形成体S1 のそれと同一構成であって、円弧状
の部分が本体部11に固着された複数の扇形の弾性舌片
14で構成され、各弾性舌片14の間には、所定の隙間
15が形成されている。なお、図11において、19
は、各弾性舌片14の変形を容易にするために、その基
端部に設けられた円弧状の溝を示す。
成した区画壁形成体S2 には、前後の2つの弾性弁Vの
間に形成される第1充填空間B1 と、手前側の弾性弁V
と手前側の開口との間に形成される第2充填空間B2 と
の2種類の充填空間が形成される。そして、区画壁形成
体S2 を構成する一対の分割体S2aの一方には、その本
体部11の周壁における手前側の弾性弁Vと手前側の開
口との間に方形状の抜止開口16が設けられているのみ
である。しかし、一対の分割体S2aの他方には、その本
体部11における上記部分に抜止開口16が設けられ、
しかも該本体部11の周壁における前後の2つの弾性弁
Vの間に、同じく方形状の耐火剤注入口17が設けられ
ている。
の防火区画壁WにケーブルCを耐火構造にて貫通配管す
るには、以下のようにして行われる。まず、図13に示
されるように、防火区画壁Wに設けられた貫通孔31に
壁貫通筒体A2 を貫通設置して、該壁貫通筒体A2 の内
部にケーブルCを挿通する。次に、壁貫通筒体A2 から
突出したケーブルCの外側を、区画壁形成体S2 を構成
する各分割体S2aで覆うことにより、各分割体S2aを円
筒状に形成して、その内部にケーブルCが挿通された状
態にして、コーキングガンGを使用して、その耐火剤注
入口17から奥側の第1充填空間B1 に耐火剤Fを注入
して充填させる。
空間B1 のみに耐火剤Fが充填された状態の区画壁形成
体S2 を壁貫通筒体A2 の開口からその内部に挿入する
と、該壁貫通筒体A2 の開口の側に向けて弾性変形され
た各弾性舌片14が、ケーブルCの外周面を摺動して
(図16参照)、該壁貫通筒体A2 の一端の係合部12
が壁貫通筒体A2 の端面に当接する。これにより、壁貫
通筒体A2 の端部に区画壁形成体S2 が装着される。こ
の状態で、コーキングガンGを使用して、区画壁形成体
S2 の開口から第2充填空間B2 に耐火剤Fを充填す
る。
貫通筒体A2 の両端部に装着された各区画壁形成体S2
の第1及び第2の各充填空間B1,B2 に耐火剤Fが隙間
なく充填される。ここで、耐火剤Fの充填厚Tは、法規
によって、50mmは必要とされており、区画壁形成体
S2 の開口のみから耐火剤Fを注入する場合には、その
奥部まで十分に耐火剤Fが充填されない恐れがある。し
かし、本実施例の区画壁形成体S2 においては、前後が
それぞれ弾性弁Vで区画された第1充填空間B1 を形成
しておいて、区画壁形成体S2 を壁貫通筒体A2 に挿入
して装着する前に、その本体部11に設けられた耐火剤
注入口17から前記第1充填空間B1 に耐火剤Fを予め
充填しておいて、残りの第2充填空間B2 に対しての
み、区画壁形成体S2 を壁貫通筒体A2 に装着した後
に、その開口から耐火剤Fを充填する構成である。
1及び第2の各充填空間B1,B2 で形成される空間)の
奥部まで確実に耐火剤Fを充填できて、耐火剤Fの充填
厚の確保が確実となる。しかも、本実施例においては、
第1充填空間B1 の前後は、それぞれ弾性弁Vで区画さ
れているため、一旦充填された耐火剤Fが外部に漏出す
る恐れもない。なお、耐火剤注入口17は、抜止開口と
しての機能も果たしており、当該開口17に充填された
耐火剤Fによって、壁貫通筒体A2 に対して区画壁形成
体S2 が抜け出にくくなる。また、区画壁形成体S2 を
構成する一対の分割体S2aは、ヒンジ連結されているた
めに、その取扱中において、両者が分離しない利点があ
る。
に別の実施例の区画壁形成体S3 が示されている。この
区画壁形成体S3 は、円筒状の本体部21の奥側の開口
端部に弾性弁Vが設けられ、しかも、手前側の開口端部
の外側にフランジ状の係合部22が設けられて、該本体
部21に1つの耐火剤注入口27のみが設けられた構成
である。このため、図18に示されるように、壁貫通筒
体A3 に対して区画壁形成体S3 を挿入する前に、該区
画壁形成体S3 にケーブルCを挿通しておいて、前記耐
火剤注入口27から充填空間Bの奥部に耐火剤Fを注入
充填しておき、その後に、壁貫通筒体A3 に対して区画
壁形成体S3 を挿入して、充填空間Bの未充填部に耐火
剤Fを充填する。この構成によっても、区画壁形成体S
3 の充填空間Bの奥部まで耐火剤Fを充填できて、法規
で定められる必要充填厚を確保し易くなる。
断面視において2分割されてヒンジ連結された一対の分
割体で構成されているため、区画壁形成体を壁貫通筒体
の両端開口からその内部に挿入前に、一対の分割体が分
離することなく、管・ケーブルの外側を覆う作業が容易
となる。
は、壁貫通筒体の開口端に係合可能な係合部を備えてい
るために、壁貫通筒体に端面開口からその内部に区画壁
形成体を押し込んで挿入すると、前記係合部が壁貫通筒
体の端面に当接して押込み不能となるため、壁貫通筒体
に対する区画壁形成体の押込み端を規制できる。
は、耐火剤が充填されて抜止作用を果たすために本体部
の周壁に設けられた抜止開口を備えているために、壁貫
通筒体の端面開口から内部に区画壁形成体を挿入して形
成された耐火剤の充填空間に耐火剤を充填すると、前記
抜止開口の部分では耐火剤が直接に壁貫通筒体の内周面
に密着して、区画壁形成体の抜止め作用を果たす。
は、壁貫通筒体に装着する前に耐火剤を予め注入するた
めに本体部の周壁に設けられた耐火剤注入口を備えてい
るため、壁貫通筒体に区画壁形成体を挿入する前に、本
体部の周壁に設けられた耐火剤注入口から耐火剤を注入
できて、壁貫通筒体に区画壁形成体を挿入した後に、充
填剤を注入するのに比較して、壁貫通筒体の奥部まで確
実に耐火剤を注入できて、耐火剤の充填厚を確実に確保
できる。
分離させた状態の斜視図である。
に電線管Pを挿通した後に、該壁貫通筒体A1 の両開口
から内部に2分割構造の区画壁形成体S1 を挿入する状
態を示す縦断面図である。
開口端部に形成された充填空間Bに耐火剤Fを充填して
いる状態を示す縦断面図である。
通筒体A1 の縦断面図である。
た壁貫通筒体A1 の一部を破断した斜視図である。
A1 に電線管Pを挿通している状態を示す縦断面図であ
る。
なる区画壁形成体の分割体S'1a の斜視図である。
S2 の開いた状態における斜視図である。
図である。
した部分に区画壁形成体S2 を覆い被せて、その第1充
填空間B1 に耐火剤Fを注入している状態を示す縦断面
図である。
2 の第2充填空間B2 に耐火剤Fを注入している状態を
示す縦断面図である。
貫通筒体A2 の縦断面図である。
線拡大断面図である。
る。
した部分を区画壁形成体S3 に挿通して、その充填空間
Bに耐火剤Fを注入している状態を示す縦断面図であ
る。
である。
Claims (9)
- 【請求項1】 壁貫通筒体の開口端面から適宜距離だけ
奥方に設置されて、その両開口端部に、耐火剤の充填空
間を内部と区画して形成するための区画壁形成体であっ
て、 断面視において2分割されてヒンジ連結された一対の分
割体で構成されて、管・ケーブルを充填空間の断面視の
略中央部で支持すべく、自身の弾性により開閉可能な弾
性弁を備えてなることを特徴とする区画壁形成体。 - 【請求項2】 壁貫通筒体の開口端面から適宜距離だけ
奥方に設置されて、その両開口端部に、耐火剤の充填空
間を内部と区画して形成するための区画壁形成体であっ
て、 前記壁貫通筒体の開口端に係合可能な係合部と、管・ケ
ーブルを充填空間の断面視の略中央部で支持すべく、自
身の弾性により開閉可能な弾性弁とを備えてなることを
特徴とする区画壁形成体。 - 【請求項3】 壁貫通筒体の開口端面から適宜距離だけ
奥方に設置されて、その両開口端部に、耐火剤の充填空
間を内部と区画して形成するための区画壁形成体であっ
て、 前記耐火剤が充填されて抜止作用を果たすために本体部
の周壁に設けられた抜止開口と、管・ケーブルを充填空
間の断面視の略中央部で支持すべく、自身の弾性により
開閉可能な弾性弁とを備えてなることを特徴とする区画
壁形成体。 - 【請求項4】 壁貫通筒体の開口端面から適宜距離だけ
奥方に設置されて、その両開口端部に、耐火剤の充填空
間を内部と区画して形成するための区画壁形成体であっ
て、 前記壁貫通筒体に装着する前に耐火剤を予め注入するた
めに本体部の周壁に設けられた耐火剤注入口と、管・ケ
ーブルを充填空間の断面視の略中央部で支持すべく、自
身の弾性により開閉可能な弾性弁とを備えてなることを
特徴とする区画壁形成体。 - 【請求項5】 断面視で二分割された一対の分割体で構
成されていることを特徴とする請求項2ないし4のいず
れかに記載の区画壁形成体。 - 【請求項6】 前記壁貫通筒体の開口端に係合可能な係
合部を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記
載の区画壁形成体。 - 【請求項7】 一対の分割体はヒンジ連結されているこ
とを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の区
画壁形成体。 - 【請求項8】 奥行方向に沿って所定間隔をおいた2つ
の弾性弁を備えていて、本体部の周壁における前記各弾
性弁の間に耐火剤注入口が設けられていることを特徴と
する請求項4ないし6のいずれかに記載の区画壁形成
体。 - 【請求項9】 防火区画壁に貫通設置された壁貫通筒体
内に管・ケーブルを挿通して配線・配管を行う工程と、 前記管・ケーブルを挿通した区画壁形成体の奥側となる
空間部に耐火剤を予め充填する工程と、 奥側の空間部に耐火剤が予め充填された前記区画壁形成
体を前記壁貫通筒体の両開口から挿入して、その内部に
装着することにより、該壁貫通筒体の両開口端部に内部
と区画された耐火剤の充填空間を成形すると共に、前記
区画壁形成体の弾性弁を開口側に向けて拡開させて、壁
貫通筒体の断面視の中央部において管・ケーブルを支持
する工程と、 壁貫通筒体の内部に形成された前記充填空間の未充填部
に耐火剤を充填する工程と、 を、上記順序で行うことを特徴とする防火区画貫通部の
形成方法。
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