JP3512592B2 - 耐候性の優れたメタリック塗料 - Google Patents

耐候性の優れたメタリック塗料

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車車体,外装建材
等の塗装に使用され、メタリック調の塗膜面を呈するメ
タリック塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】メタリック塗料を用いて形成される塗膜
は、塗膜に含まれている鱗片状のメタリック顔料で外部
からの入射光が反射され、キラキラと輝く表面となる。
光の反射は、塗膜の各色色調と相俟つて意匠性に優れた
独特の外観を呈する。メタリック塗料は、このような特
徴を活用し、自動車,オートバイ等の車体や意匠性が要
求される内装建材や外装建材等に使用されている。この
種の塗料に混合されるメタリック顔料としては、アルミ
ニウムフレーク,銅フレーク,ステンレスフレーク等の
金属箔やマイカ,板状酸化鉄等が従来から使用されてい
る。しかし、これらの顔料は、何れも光輝性及び耐候性
を兼ね備えたメタリック顔料とはいえない。
【0003】たとえば、金属箔は、ある程度の光輝性を
呈するが、ガラスフレークに比較すると劣っている。光
輝性の差は、製造方法に由来するものと考えられる。ガ
ラスフレークは、液体状態から冷却・固化して製造され
るため、極めて平滑な表面をもつ。他方、金属箔は、ボ
ールミル,スタンプミル等の機械加工によって製造され
るため、加工に伴う微細な凸凹が表面に残り、乱反射の
原因となる。しかも、アルミニウムフレークや銅フレー
クは、耐食性にやや劣ることも欠点である。他方、マイ
カ,板状酸化鉄等の非金属性のフレークは、耐食性には
優れているものの、微細な凹凸が表面に形成されている
ため、ガラスフレークに比較すると光輝性はかなり劣
る。現在最も優れた光輝性を有するメタリック顔料とし
て、無電解ニッケルめっき又は無電解銀めっきを施した
ガラスフレークが市販されている。このガラスフレーク
を用いたメタリック塗料は、たとえば特開平4−359
937号公報,特開平5−17710号公報等で紹介さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】無電解めっきでNiや
Agを被覆したガラスフレークで十分な光輝性を発現さ
せるためには、500〜2000Åとかなり厚膜のめっ
きが必要とされる。しかし、高価な材料であるNiやA
gを厚くめっきすると、製造コストが高くなる。しか
も、無電解めっきは、前処理,水洗,濾過,廃液処理等
の数多くの工程を必要とし、製造コストを上昇させる原
因となっている。更に、Agは、酸化しやすく、硫化物
と反応すると黒変しやすい。そのため、外装建材用のメ
タリック顔料として使用するには、耐候性が不十分であ
った。他方、酸性雨を初めとする環境の悪化に伴って、
メタリック塗料にも高度な耐候性が要求されるようにな
ってきた。このようなことから、自動車車体や外装建材
向けに、耐候性が優れた高光輝性メタリック塗料の開発
が強く望まれている。しかし、従来の技術では、今以上
に耐候性及び光輝性を向上させたメタリック塗料を製造
することは極めて困難である。本発明は、このような要
求に応えるべく案出されたものであり、鱗片状基体の表
面に耐食性に優れたFe系合金又はNi系合金の均一な
被覆層をスパッタリング法で形成することにより、耐候
性が改善され光輝性に優れたメタリック塗料を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のメタリック塗料
は、その目的を達成するため、パールマイカ又はガラス
フレークの鱗片状基体の表面にFe系合金又はNi系合
金の被覆層をスパッタリング法で形成した顔料が塗料樹
脂に分散されていることを特徴とする。鱗片状基体に
は、平均粒径10〜300μm,平均厚さ0.1〜20
μmのパールマイカ又はガラスフレークが使用される。
Fe系合金には、たとえばオーステナイト系ステンレス
鋼が使用される。Fe系合金又はNi系合金は、スパッ
タリング法で膜厚50〜300Åの被覆層として鱗片状
基体の表面に形成される。
【0006】
【実施の形態】パールマイカ,ガラスフレーク,アルミ
フレーク,グラファイト,二硫化モリブデン,板状酸化
鉄等が鱗片状基体として知られているが、平均粒径10
〜300μm,平均厚さ0.1〜20μmのパールマイ
カ又はガラスフレークが好適な鱗片状基体として使用さ
れる。平均粒径10μm未満の鱗片状基体は、塗膜中で
一定方向に配向しがたく、十分な光輝感を発現しない。
鱗片状基体の平均粒径は、入手可能性を考慮すると一般
的には20〜100μmの範囲にあることが好ましい。
因みに、塗料用顔料として市販されているパールマイカ
は厚み0.1〜1μmのものが多い。
【0007】本発明の塗料は、この鱗片状基体の表面を
オーステナイト構造を有するFe系合金又はNi系合金
で被覆した顔料を使用している。Fe系又はNi系合金
の被覆層は、空気との接触で自然発生する数10原子層
の薄い不働態皮膜で最表層が覆われる。この不働態化の
効果によって、高い光沢を保持した状態で、耐食性や耐
候性が著しく向上する。また、塗料に対する分散性や塗
膜構成樹脂との相関密着性を改善するため、Fe系又は
Ni系合金をスパッタリングした後の鱗片状基体に表面
処理を施しても良い。表面処理には、クロム酸系,リン
酸系,アルミナゾル系,ジルコニアゾル系等の無機系表
面処理剤や、各種のシランカップリング剤,チタネート
カップリング剤等が使用される。
【0008】オーステナイト構造を有するFe系合金と
しては、SUS304,SUS309S,SUS310
S,SUS316,SUS317,SUS321,SU
S347等が使用される。これらの合金の種類は、目的
とする耐食性や耐熱性等によって選択される。なお、
C,N,Si,Al,Ti,Mo等を含む他のオーステ
ナイト系ステンレス鋼も使用できる。オーステナイト構
造を有するNi系合金としては、ハステロイB,ハステ
ロイC,ハステロイG,ハステロイH,ハステロイN,
ハステロイX,ハステロイXR,インコネル系のNi基
合金等が使用される。オーステナイト構造を有するFe
系又はNi系合金は、50〜300Å(好ましくは10
0〜200Å)の膜厚で鱗片状基体の表面に施される。
膜厚が50Åに満たないと、鱗片状基体を均一に被覆す
ることができず、十分な光輝性が得られない。逆に、3
00Åを超える厚い膜厚は、鱗片状基体の表面を完全に
被覆できるものの、膜厚増加に見合った耐候性,光輝性
等の改善がみられず、却って製造コストを上昇させる原
因となる。
【0009】Fe系合金又はNi系合金の被覆層形成に
はスパッタリング法,イオンプレーティング法等が考え
られるが、スパッタリング法、なかでも本発明者等が開
発した粉末スパッタリング法が最適である。これに対
し、無電解めっきでは、オーステナイト構造を有する合
金の被覆層を形成できない。また、真空蒸着法では、合
金を構成している金属の融点や蒸気圧(高真空条件下)
が各々異なるので、一定組成の被覆層を得ることが極め
て難しい。コーティング時の温度が600℃を超えるC
VD法等では、ガラスフレーク自体が軟化するので好ま
しくない。オーステナイト構造を有する合金の被覆層
は、本発明者等が開発した粉末スパッタリング装置を使
用するとき、鱗片状基体の表面に容易に形成される。た
とえば、粉末を入れた容器を回転させることにより形成
した流動層に金属をスパッタリングする装置(特開平2
−153068号公報)が使用される。
【0010】スパッタリングは、通常Ar雰囲気で実施
される。このとき、スパッタリング中にN2 含有ガスを
導入すると、オーステナイト安定元素であるN2 ガスが
熱平衡状態以上に固溶し、オーステナイト化がより促進
される。この点で、スパッタリング中の雰囲気に1〜1
0容積%量のN2 ガスを含むArガスを導入することが
好ましい。一般に、被膜をある程度厚くしないと、表面
の凸凹が大きく、光輝性が低下するといわれている。た
とえば、無電解めっき法では、1000Å以上と厚くコ
ーティングしないと、粉末の表面全体を均一に被覆でき
ないとされている。これに対し、スパッタリング法で
は、300Å未満でも、表面全体を均一に被覆できるの
で、よりすぐれた光輝性が付与される。
【0011】
【作用】スパッタリング法では、プラズマ状態まで励起
された合金を構成している複数の金属原子が鱗片状基体
の表面に高速で衝突する現象を繰り返す。この衝突エネ
ルギーによって、パールマイカやガラスフレークを構成
しているTiO2 ,SiO2 ,Al23 等の酸化物と
Fe系又はNi系合金とが反応し、界面にFe−Ti−
O,Ni−Si−O,Cr−Al−O等の化合物が形成
される。その結果、形成された被覆層は、鱗片状基体に
対する密着性が優れたものとなる。また、生成した化合
物層が被覆層形成の起点として働く核となり、極めて高
い密度で多数の核が形成される。したがって、少量のF
e系又はNi系合金で鱗片状基体の表面を均一に被覆で
き、形成された被覆層も欠陥のない緻密な構造になる。
その結果、優れた耐候性及び光輝性が付与される。これ
に対し、無電解めっき法では、鱗片状基体の表面をパラ
ジウム等で予め活性化する前処理が施される。パラジウ
ム付着部分は、無電解めっき時に被膜形成の核発生点に
なる。しかし、パラジウムは、物理吸着現象で付着して
いるので、スパッタリング法に比較すると付着強度が低
い。しかも、パラジウムの付着密度は、プラズマ状態に
励起された金属原子の衝突密度に比較すると大幅に小さ
い。そのために、形成された被覆層が粗くなりがちで、
このことから光輝性が劣ると推定される。
【0012】本発明に従ったメタリック塗料は、オース
テナイト構造をもつFe系合金又はNi系合金で被覆さ
れた鱗片状顔料の外に、マトリックスを構成する樹脂,
溶剤,その他の顔料及び種々の添加剤を含んでいる。マ
トリックスを構成する樹脂は、基体樹脂と架橋剤とを主
成分とする硬化性樹脂組成物が好ましい。基体樹脂とし
ては、架橋性官能基をもつアクリル系樹脂,ポリエステ
ル系樹脂,メラミン系樹脂,アルキッド系樹脂,ウレタ
ン系樹脂,フッ素系樹脂等があるが、できるだけ透明な
樹脂が好ましい。架橋剤としては、メチロール化又はア
ルキルエーテル化メラミン樹脂,尿素樹脂,ポリイソシ
アネート化合物等が使用される。また、自己硬化性樹
脂,熱硬化性樹脂,熱可塑性樹脂等も、マトリックスを
構成する樹脂として使用可能である。オーステナイト構
造をもつFe系合金又はNi系合金で被覆された鱗片状
顔料の配合量は、マトリックスを構成する樹脂100重
量部に対して0.1〜30重量部の範囲にすることが好
ましい。鱗片状顔料の配合量が少なすぎると、奥行き感
のある高級なメタリック感が得られ難くなる。配合量の
上限は、特に規制されるものではなく、樹脂の種類や要
求される特性等に応じて適宜決定される。通常は、鱗片
状樹脂配合量の上限を20重量部まで、特に好ましくは
5重量部までとする。
【0013】
【実施例】
実施例1:図1に示す粉末スパッタリング装置を用い、
シルバー色のパールマイカ顔料(マール社製 平均粒
径:10μm,平均厚さ:0.1μm)の表面にSUS
304合金(74重量%Fe−18重量%Cr−8重量
%Ni)をコーティングし、膜厚200Åの被覆層を形
成した。粉末スパッタリング装置は、内径200mm,
軸方向長さ200mmの回転ドラム1を2本のロール2
で支持し、その一方のロール2をモーター3で回転させ
るようになっている。回転ドラム1の内部には、2個の
SUS304合金のスパッタリング源4(周波数13.
56MHZ ,出力1.5KWのマグネトロン型)が配置
されており、投入したパールマイカ顔料5にSUS30
4合金がスパッタリングされる。
【0014】回転ドラム1の上方には、外周に加熱コイ
ル6を有する減圧処理室7が配置されている。減圧処理
室7の底部は、バルブ8を備えた供給管9を介して回転
ドラム1に接続されている。バルブ8よりも下方の位置
で、供給管9の内部に二重管構造のガス導入管10が挿
入されている。ガス導入管10は、側面から回転ドラム
1の内部に挿入され、先端が回転ドラム1の底部に延び
ている。バルブ8よりも下方の位置で、供給管9に分岐
管11が設けられ、分岐管11の先端が流体ジェットミ
ル12に接続されている。流体ジェットミル12の出側
は、循環管13を介して減圧処理室7の上部に接続され
ている。分岐管11,循環管13にはバルブ14,バル
ブ15が組み込まれており、循環管13には固気分離装
置16が接続されている。
【0015】回転ドラム1にパールマイカ顔料5を10
0g投入し、減圧処理室7を3.0×10-3Paに減圧
した後、ガス導入管10からArガスを14cm3
分、N 2 ガスを1cm3 /分の流量で導入した。パール
マイカ顔料5を分岐管11、流体ジェットミル12及び
循環管13経由で減圧処理室7で加熱コイル6により2
00℃に30分間加熱し、乾燥、脱ガスした。次に、回
転ドラム1にパールマイカ顔料5を落下させ、回転ドラ
ム1を5rpmの回転速度で回転させながら、3.0×
10-1Paの減圧下でスパッタリング源4によりスパッ
タリングした。10分後にスパッタリングを中止して、
減圧処理室7を減圧にすると共に、ガス導入管10から
ArとN2 の混合ガスを導入し、パールマイカ顔料5を
流体ジェットミル12経由で減圧処理室7に吸引返送
し、スパッタリング中に塊状になったパールマイカ顔料
5をできるだけ個々の粒子にほぐした。減圧処理室7に
返送されたパールマイカ顔料5には、5Å厚さのSUS
304合金被覆層が形成されていた。このスパッタリン
グ操作を、40回繰り返すことにより、SUS304合
金の被覆層を膜厚200Åまで成長させた後、固気分離
装置16から回収した。
【0016】実施例2〜7:実施例1と同様の手順で、
表1に示すように同じパールマイカ顔料の表面に次のF
e系及びNi系合金の被覆層を形成した。 SUS309S合金(66重量%Fe−22重量%Cr
−12重量%Ni) SUS310S合金(55重量%Fe−25重量%Cr
−20重量%Ni) SUS316合金(67.5重量%Fe−18重量%C
r−12重量%Ni−2.5重量%Mo) ハステロイB合金(67重量%Ni−28重量%Mo−
5重量%Fe) ハステロイC合金(58重量%Ni−22重量%Cr−
13重量%Mo−4重量%Fe−3重量%W) ハステロイG合金(51.5重量%Ni−22重量%C
r−19.5重量%Fe−7重量%Mo)、 比較例1:実施例1と同様に、パールマイカ顔料の表面
に膜厚200ÅのAg被覆層を形成した。
【0017】実施例8:実施例1と同様に、表2に示す
ように透明ガラスフレーク(バロティーニ社製平均粒
径:300μm,平均厚さ:20μm)の表面に膜厚2
00ÅのSUS304合金(74重量%Fe−18重量
Cr−8重量%Ni)の被覆層を形成した。 実施例9〜14:実施例1と同様に、表2に示すように
同じ透明ガラスフレークの表面に次の鉄系及びNi系合
金の被覆層を形成した。 SUS309S合金(66重量%Fe−22重量%Cr
−12重量%Ni) SUS310S合金(55重量%Fe−25重量%Cr
−20重量%Ni) SUS316合金(67.5重量%Fe−18重量%C
r−12重量%Ni−2.5重量%Mo) ハステロイB合金(67重量%Ni−28重量%Mo−
5重量%Fe) ハステロイC合金(58重量%Ni−22重量%Cr−
13重量%Mo−4重量%Fe−3重量%W) ハステロイG合金(51.5重量%Ni−22重量%C
r−19.5重量%Fe−7重量%Mo) 比較例2:実施例1と同様に、透明ガラスフレークの表
面に膜厚200ÅのAg被覆層を形成した。
【0018】実施例1〜14及び比較例1,2で得られ
た各試料を用いて、次に示す条件で塗装板を作成した。
試料10重量部にトルエン8重量部を加えて攪拌し、試
料をトルエン中に均一に分散した。得られた分散液に熱
硬化アクリル樹脂ワニス(三井東圧化学株式会社製 ア
ルマテックス448−O)60重量部,メラミン樹脂ワ
ニス(三井東圧化学株式会社製 ユーバン20N−6
0)12重量部及び溶剤(トルエン65%とn−ブタノ
ール35%の混合溶剤)15重量部を加え、ディスパー
で30分間攪拌し、塗料を調製した。板厚0.8mmの
磨き鋼板を幅300mm,長さ500mmに裁断し、塗
装原板とした。リン酸亜鉛処理液(日本ペイント株式会
社製 グラノジンSD5000)を使用して塗装原板を
前処理した後、カチオン電着塗料(日本ペイント株式会
社製 パワートップU−30)を用いて電着塗装し、1
60℃で30分間加熱し、乾燥膜厚20μmの下塗り塗
膜を形成した。次いで、中塗り塗料(日本ペイント株式
会社製 オルガP−2グレー)を塗装し、140℃で3
0分間加熱し、乾燥膜厚35μmの中塗り塗膜を形成し
た。
【0019】下地処理された各塗装原板を次の条件下で
メタリック塗装した。前掲したように調製された塗料
を、粘度(20℃)がNo.4フォードカップで15秒と
なるように、塗料用シンナー(日本ペイント株式会社製
ニッペ298)で希釈した。希釈された塗料を、乾燥
膜厚で15μmになるように、スプレーガンで中塗り塗
膜の上に静電気噴霧塗装した。次いで、ウエット・オン
・ウエットでクリヤー塗料(日本ペイント株式会社製
スーパーラック128M−1)を塗装し、140℃で3
0分間加熱し、乾燥全膜厚140μmの塗膜を形成し
た。
【0020】得られた各塗装板の光輝性及び耐候性を次
の方法で調査した。光輝性については、デジタル変角光
沢計(スガ試験機株式会社製 UGV−5K)を使用
し、60度鏡面反射率を測定した。耐候性については、
1000時間のQUV試験で調査した。QUV試験と
は、約60℃で紫外線ランプを4時間点灯した後、水分
又は湿気凝結を伴う4時間の非点灯を1サイクルとし、
このサイクルを24時間に3回繰り返す試験方法であ
る。塗装板をQUV試験に暴露し、定期的に試験機から
取り出し、外観の変化を色差計及びデジタル変角光沢計
で測定した。そして、試験前後の変化量を色差ΔE及び
光沢保持率%として求めた。光輝性及び耐候性に関する
調査結果を表1及び表2に併せ示す。表1及び表2から
明らかなように、本発明のメタリック顔料を用いた塗装
板では、何れもQUV試験後において外観の変化が極め
て少なく、長期間にわたって優れた光輝性及び耐候性が
維持されることが判る。これに対し、比較例1,2の塗
装板では、色差ΔE及び光沢保持率が大幅に低下し、太
陽光等の照射により外観が劣化することが示されてい
る。
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のメタリ
ック塗料は、パールマイカやガラスフレーク等の鱗片状
基体の表面にFe系又はNi系合金の被覆層を形成した
顔料を使用している。Fe系又はNi系合金の被覆層
は、耐候性に優れたオーステナイト構造をもつことから
高耐食性を有する不動態皮膜が最表面に形成され、メタ
リック顔料の耐候性を大幅に向上させる。また、スパッ
タリング法で形成した被覆層は、鱗片状基体に対する密
着性が高く、薄い膜厚であっても鱗片状基体を均一に被
覆できるため、少ない被覆量で高性能のメタリック顔料
となる。本発明のメタリック塗料は、このようなメタリ
ック顔料を配合しているので、長期間にわたって優れた
光輝性が維持される塗膜面を形成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鱗片状基体にFe系又はNi系合金の被覆層
をスパッタリングで形成する装置
【符号の説明】
1:回転ドラム 2:ロール 3:モーター
4:スパッタリング源 5:パールマイカ又はガラスフレーク 6:加熱コイ
ル 7:減圧処理室 8:バルブ 9:供給管 10:ガス導入管 1
1:分岐管 12:流体ジェットミル 13:循環管 14:バ
ルブ 15:バルブ 16:固気分離装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−58582(JP,A) 特開 平2−124981(JP,A) 特開 昭60−204801(JP,A) 特開 平2−153068(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10 C09C 1/00 - 3/12 C09D 15/00 - 17/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パールマイカ又はガラスフレークの鱗片
    状基体の表面にFe系合金又はNi系合金の被覆層をス
    パッタリング法で形成した顔料が塗料樹脂に分散されて
    いることを特徴とする耐候性の優れたメタリック塗料。
  2. 【請求項2】 平均粒径10〜300μm,平均厚さ
    0.1〜20μmのパールマイカ又はガラスフレークを
    鱗片状基体とする請求項1記載のメタリック塗料。
  3. 【請求項3】 被覆層がオーステナイト系ステンレス鋼
    である請求項1記載のメタリック塗料。
  4. 【請求項4】 被覆層が50重量%以上のNiを含む合
    金である請求項1記載のメタリック塗料。
  5. 【請求項5】 被覆層の膜厚が50〜300Åである請
    求項1記載のメタリック塗料。
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