JP4116610B2 - 塗装アルミ部材 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミ基材をベースとした関連製品(半製品を含む。)や部材(以下、単にアルミ部材ということがある。)、特に、長期の使用に耐え優れた光輝性を示す高付加価値の塗装アルミホイールなどの塗装アルミ部材及びその経済的な製造方法に関する。
従来、金属材料表面の金属光輝性の付与処理として、一般に電解クロムメッキ法が用いられて来た。電解クロムメッキ法による表面処理においては、高い反射率や高級感がある外観と、優れた耐摩耗性、耐食性などが得られるため、自動車用のアルミホイール、ホイールカバー、ドアノブ、エンブレム等に広く用いられてきた。しかしながら、電解クロムメッキは排水処理の対策が必要であるため電解クロムメッキに代わる方法が各種検討されている。
また、鋳造物に直接、電解クロムメッキを形成するには、複雑な研磨工程が必須であるため、この研磨工程を省略して、平滑な塗装皮膜にクロムメッキを施す手法も提案されている。しかしながら、前記クロムメッキとしてはパラジウム処理、無電解銅メッキの後に電解クロムメッキがなされているが、この方法もコスト高は否めず、かつ銅メッキと塗装皮膜への配慮が必要である。
更に、自動車用のアルミホイールにあっては、リサイクル性の観点から鋳鉄ホイールの代替として注目されているが、塗装アルミホイールでは防錆対策として、従来の化成処理もクロム公害の観点からクロメート処理から脱クロメート処理へとクロメートを用いない環境対策がなされつつあり、自動車部品からクロム化合物の使用を排除、低減化する傾向にある。
その他の金属光輝性の付与処理として、金属及び金属酸化物の蒸着、スパタリング等が提案されているが、いずれも真空下での作業で高価な設備や技術の熟練が必要である。
一方、古くから、かつ現在も実施されている金属光輝性の付与処理として、アルミフレーク、マイカ等の光輝性粉末を透明樹脂に分散させた光輝性塗料を利用する方法があるが、光輝性粉末粒子の大きさ、形状の制限などからメッキや蒸着同等の金属光輝性を得るには至っていない。
以上の技術として特許公開公報として開示されている技術としては、以下のものが提案されている。
(1).2004−017738は、凹凸基材に着色エナメルを塗布、チタン合金をスパッタ、クリヤー仕上げによりクロム調を得ている。
(2).2003−025495は、基材に粉体塗装、着色のアンダーコートを施し、TiN、各種窒化膜、銅、金、Cr、Al、Ni等をスパッタする。
(3).2002−219771は、基材に樹脂塗膜を施し、チタン合金をスパッタ、透明樹脂層仕上げでクロム調を発現させている。
(4).2001−107291は、基材に粉体塗装、湿式メッキ用プライマーを施し、銅、ニッケル、クロムの多層金属メッキで光輝性を発現させている。
(5).平10−263472は、アルミホイールに剤塗料を吹き付けた後、蒸着メッキを施している。
(6).再表/0431553では、鋳造アルミホイールの表面を研磨、樹脂皮膜を形成後、蒸着、スパッタ、イオンプレーィングなどの乾式メッキでアルミ皮膜などを形成している。
(7).平6−346007は、燐片状金属粉顔料、アルカリ土類金属のチタン酸粉末を含む塗膜で光輝性塗膜を得ている。
(8).2002−45785は、光輝性合成樹脂フィルムに5〜50μm角のパウダー状又は板状の粉砕物を含む塗膜を形成して光輝性を発現させている。
前記した従来の各種の処理法において、蒸着やスパッタなどの乾式メッキは真空下での製法など熟練を必要とし、かつ、下地への密着、蒸着金属層の膜強度が不十分で結合樹脂の併用が必要であり、更に光輝性が低下するという欠点がある。
特に蒸着、イオンスパッタなどのPVD(物理的皮膜形成)やメッキなどの化学的表面処理技術では部分的処理が困難であり、ボルトやタイヤとの接触面など意匠性が不要で強度面ではむしろ不適な部分にも皮膜形成がなされ、経済性、実用性能の面で問題があった。
(9).2003−213214、2003−206444、2003−147274、2002−275423、2001−62391、2002−80792等には、アルミフレーク、ステンレスフレーク、チタンフレーク、マイカ、酸化鉄、ガラスフレークなどの各種光輝性材料を含有した塗膜での光輝性皮膜が提案されているが、メッキや蒸着によるものと比較して光輝性が劣る。
(10).2004−250644は、銀メッキしたアルミ粉末、2003−291255では中心粒径(10〜50μm)の高分子粒子の併用、下地に黒色のエナメル等を用いている。しかしながら、不連続なアルミ箔のために乱反射しやすく光輝性が劣るため、下地での反射光による金属色相の調整、大きな樹脂粒子による光輝性の制御など、いずれもアルミ箔(粉末)間で乱反射する光の拡散光の制御、活用を利用している。
前記した従来技術は、環境汚染、真空雰囲気での製造など、種々の問題があった。
近年、機能性表面改質技術、ナノテクノロジーの発達により、導電性、光活性に関し金属コロイドの製法及びその用途技術が提案され、金属コロイド関連でも平成5年以降約300件の技術が開示されている。これらの多くは、ナノ粒子を用いた金属皮膜の薄膜化による可視光透過(透明)皮膜や導電性皮膜の形成法に関する提案であり、これらはスクリーン印刷、インクジェット印刷等により熱可塑性基材、多孔質基材に塗布されている。更に、これらの金属皮膜は導電性の利用が中心で意匠性の配慮に乏しく、金属皮膜が指紋などで汚染、特に銀皮膜では酸化による変色への配慮がなされていない。前記したカテゴリーに属する従来技術としては、以下のものを例示することができる。
(11).2004−207558、205435、185914、178919、169162、14325、127851、075703、2003−306625、213442、2001−508091、再表02/013999などを例示することができる。
(12).特開2003−327870は、貴金属ナノ分散液を用いた金属反射膜形成用塗料を提案しているが、0.1〜50(好ましくは1〜30)%の樹脂バインダーを用いている。
(13).特開2004−256915、2004−217940、2002−338850、平11−080647、11−076800は、貴金属又は銅コロイドを用いた塗料を提案しているが、樹脂を併用したもの、金属コロイドをそのまま製膜した技術である。
本発明は、前記した従来技術の現状、問題点等に鑑み創案されたものであり、特に、アルミホイールとして優れた金属光輝性を示す塗装アルミホイール及びその経済的な製造方法を提供しようとするものである。
光輝性を示すアルミホイールとしては、鋳造地金への電解メッキ若しくは塗装下地への無電解メッキを施したものが意匠面で最も好ましいものである。しかしながら、前者では鋳造地金表面の平滑性と耐蝕性、後者では塗装下地と無電解メッキ層の密着、厚み、色調の管理等に問題があった。
従来、金属メッキ、蒸着やスパッタにあっては色相、色彩の調整が困難で、特開2003−025495などでは着色アンダーコートを利用したり、2003−291255では平均粒径10〜50μmの真球状樹脂粒子を光輝性顔料からなる塗膜面にクリヤー塗装で梨地様に仕上げしたりして、意匠調整を行っている。
しかしながら、前記メッキでは、生成される金属膜は凝集力が十分で基材に対する接着力や耐摩耗性に優れるが、アルミ素材は化学的に不安定で前処理が必要であり、塗装下地等の絶縁体への無電解メッキの適用には、密着力の向上などの高度の技術が必要である。更には、アルミ基材が露出した部分においては、メッキ処理液の作用により劣化しやすいため保護処理が必要である。
また、前記した蒸着やイオンスパッタなどのPVD法では、金属分子が分子レベルで積層した光輝性に優れた金属膜は得られるが、分子間の凝集力が不足しておりそのままでは接着力、摩耗に対する抵抗力が不十分で接着若しくは結合用の樹脂材料が必要であり、更には曲面の多いホイールでは均質な皮膜形成が困難でしかも大規模な設備が必要である。
前記したことからわかるように、メッキや蒸着に匹敵する金属光輝性を得るための簡便なアルミホイール基材に対する表面処理技術が確立されていないのが現状である。
本発明者等は特開昭58−20722、特開平02−51535、05−81919等でチタン酸ウィスカー及びシリカ微小球状体への無電解技術を提示し、特開昭58−199767でチタン酸ウィスカーの着色と成形品等微細無機充填剤の表面の金属処理、着色処理、球状体の充填効果等の技術を提案し、又、特開平07−102256、07−315803で酸化アンチモンの微細分散液、金属塩化物溶液の安定化法などを提案した。
本発明は、下地塗装面に金属粒子の焼結皮膜を被覆することにより下地塗装面への密着性に優れ、かつ、電解、無電解メッキと同等以上の金属光輝性を示す塗装アルミ部材を提供することを目的とする。
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、塗装アルミ部材において、所望の形状に加工されたアルミ部材上の熱硬化性下塗り塗装面もしくは前記下塗り塗装面上の熱硬化性中塗り塗装面が、粒径が1ナノ(n)m〜1μmの金属光沢を有する微細金属粒子を90wt%以上100wt%未満、及び、粒径が1ナノ(n)m〜10μmの真球状の無機粒子を0wt%を超え10wt%以下、を含む分散液による塗膜を加熱焼結して形成した微細金属粒子の焼結皮膜で被覆されたことを特徴とする金属光輝性に優れた塗装アルミ部材に関するものである。
また、本発明の第2の発明は、所望の形状に加工されたアルミ部材に対し、
(1).化成処理、
(2).熱硬化性下塗り塗装、または、熱硬化性下塗り塗装と中塗り塗装
(3).粒径が1ナノ(n)m〜1μmの金属光沢を有する微細金属粒子を90wt%以上100wt%未満、及び、粒径が1ナノ(n)m〜10μmの真球状の無機粒子を0wt%を超え10wt%以下、を含む微細金属粒子分散液の塗布、
(4).前記微細金属粒子分散液の塗布により形成される塗膜の加熱焼結、
の工程からなる微細金属粒子の焼結皮膜を熱硬化性塗り膜または熱硬化性下塗り塗膜と中塗り塗膜に固着させたことを特徴とする金属光輝性に優れた塗装アルミ部材の製造方法に関するものである。
本発明により、従来法による電気メッキ・無電解メッキあるいは蒸着やスパッタリングなどの欠点、限界を克服し、アルミ部材に対して簡便な金属光輝性の付与処理法を適用することにより、基材に対する密着性はもとより高品質の金属光輝性皮膜をもった塗装アルミホイールなどの塗装アルミ部材とその経済的、効率的な製造方法が提供される。
より詳しくは、本発明は、金属粒子の焼結皮膜で被覆された金属光輝性に優れた塗装アルミ部材及びその簡便な製造方法であり、金、銀、ニッケル、クロム、アルミ、その他任意の金属光輝性の調整が可能で意匠性に優れ、かつ耐蝕性、耐摩耗性に優れた塗装アルミ部材の提供を可能にするものである。
本発明の塗装アルミ部材は、クロムなどの有害な物質を含まず、環境負荷の小さい循環型素材であり、極めて産業利用性の高いものである。
以下、本発明の技術的構成及び実施態様を詳細に説明する。
本発明において、アルミ基材としては、例えばJISH4000乃至4140規定のアルミ及びアルミ合金及びこれらを陽極酸化したものを例示することができる。
本発明において、前記アルミ基材としては、防錆処理されたものが好ましい。
防錆処理とは、従来から用いられている6価クロム系化成処理も利用出来るが、環境汚染、リサイクル性等から3価クロム系化成処理、あるいはジルコニューム、チタネート系のクロムフリー化成処理が好ましい。なお、この種の防錆処理技術としては、例えば特許庁ホームページにおいて、(株)日鉄技研情報センター作成の「金属表面処理における6価クロムフリーなどの環境対応技術」に示される任意の技術が選択できる。
本発明において、下塗り塗膜は、有機、無機いずれでも良いが熱硬化性のものから選択される。
下塗り塗装の形成は、溶剤型及び無溶剤型の溶液型塗料や粉体塗料などいずれでも良いが、環境対策面から粉体塗料での実施が好ましい。
下塗り塗装の目的は、防錆、特に点錆、白錆の抑制、金属粒子の焼結皮膜の固定であり、特別の意匠を目的としない限り平滑面が好ましい。下塗り塗膜の構成としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、アミノ樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル−フッ素樹脂等の1種及び2種以上の組成からなる熱硬化性有機質塗膜、更には無機−有機複合組成の塗膜であっても良い。
本発明の下塗り塗料には、有機や無機の充填剤、着色剤、防錆剤、密着付与剤等常用されている任意の塗料添加剤が含まれていてもよい。
本発明において、金属粒子の金属種としては、特に、金属光沢を示すもの、例えば金、銀、白金、ロジウムが選択されるが、錫、アンチモン、ニッケル、銅、チタン及びこれらの酸化物なども利用することができ、特に限定されるものではない。
金属粒子の粒子径は、1nm〜1μm、好ましくは1nm〜500nmであり、細かすぎると成膜時、表面に微細粒子が浮遊、干渉光や表面プラズモンにより濃淡が不均一な有彩色が発生しやすく、逆に粗すぎると平滑な金属膜が得にくく、且つ、成膜に過大なエネルギーを要するので、焼結温度が高温となり、下塗り塗膜の耐熱性が要求される。
本発明の金属粒子の分散液は、例えば金属化合物の溶液を攪拌下で中和、酸化、若しくは還元することにより得られるが、高濃度品にするには分散安定剤を加えるのが好ましい。
金属粒子の焼結皮膜は、これら微細金属粒子の分散液を熱硬化性下塗り塗装塗膜面に塗布、乾燥後、100〜300℃、好ましくは100〜200℃で1〜60分間加熱焼結することにより下塗り塗装面に焼結、固着される。本発明の微細金属粒子の分散液においては、上述の焼結温度のもとで分解する成分の混在は好ましくない。
本発明において、微細金属粒子の分散液中の固形分(焼成温度での不揮発成分)の濃度は、金属成分が連続な焼結金属皮膜を形成することが必要であり、このため一般に臨界金属体積濃度(CMVC)以上が好ましい。前記CMVCは、金属粒子が最密充填される体積濃度、焼結により連続金属膜が得られる限界濃度を意味する。
前記したCMVC値は金属種、分散剤、その他の添加剤、金属粒子径などにより明確に特定できないが、導電性の金属粒子では、焼結前の乾燥皮膜の体積抵抗や各種物性が急激に変化する点として求められ、大まかな目安として金属成分が90重量%である。但し、CMVCには後述する真球無機粒子は除外する。
本発明において、例えば銀粒子の焼結皮膜はクロムメッキ調から白銀までの金属光輝性が得られ、その自由度が高いので好ましい微細金属粒子である。
金属光輝性とは、アルミ、金、銀、白金、銅、ニッケル、クロム、チタン等の金属研磨面で、金、銅、チタン以外は一般に無彩色に近いが、自然光、白色光、蛍光灯等で黄色系、又周囲の有彩色の反射光を採光する性質がある。
更に、金属面では視覚の角度変化により、光沢、輝度が変化するフリップ/フロップ性(以下、F/F性という。)と呼ばれる金属独特の光輝性があり、アルミフレークなどの金属粉末を分散させたメタリック塗装や金属蒸着ではF/F性が発現しにくく単純な反射光になりやすい。
この点、本発明においては、F/F性の優れた金属光輝性を示すアルミホイールなどの塗装アルミ部材が得られるとともに、F/F性の調整を容易にする製造法が提供される。
本発明において、F/F性とは、光輝基材を真正面(ハイライト部)からみたときと、斜め(シェード部)からみた時で異なる発色の発現現象を意味する。
本発明の微細金属分散液を熱硬化性塗膜に塗布、熱処理することにより焼結金属皮膜が得られるが、熱硬化性塗膜の表面状態により、焼結金属皮膜の光輝性が影響、安定な金属光輝性が得がたいケースがある。又、微細(ナノ)金属粒子は粒子表面の活性が大きく、低い温度(100〜300℃程度)で焼結出来るが、焼結金属皮膜も活性が大きいため酸化や指紋痕の汚染などで表面輝度が変化しやすく、更に耐磨耗性等の機械強度も不十分なのでロジウムメッキや透明塗膜で保護することが好ましい。しかしながら、前記した透明塗膜での保護処理を行う場合、理由は不明であるがF/F性等の金属光輝性が低下しやすくなる。
また、熱硬化性の下塗り塗膜の平滑性を高めると若干安定したF/F性が得られるが不十分である。
本発明において、下塗り塗膜の光沢を高めたり、更に、下塗り塗膜上に透明塗膜層(熱硬化性中塗り塗膜)を形成すると、これら表面に微細金属粒子を焼結させると安定な金属光輝性が得られる。そのような現象は推測ではあるが、焼結された金属薄膜を若干の光が透過、透明な中塗り塗膜面を透過、下塗り面で反射された裏面光で光輝性が増幅、安定な金属光輝性が得られるものと思われる。
本発明において、前記した中塗り塗膜は、塗膜の表面が高い光沢を示すか、あるいは透明性の優れた塗膜を形成するもので有れば任意に選択することができ、本発明の下塗り塗膜として選択される樹脂成分をそのまま用いてもよく、あるいは下塗りと異なった樹脂系であっても良い。但し、中塗り塗膜層を通過した光が下塗り面で反射されるのが好ましく、かかる意味では、中塗り塗膜の屈折率が小さい方が下塗り塗膜面で全反射しやすいので好ましい。
なお、本発明において、微細金属分散液がアルコールなどの極性分散液の場合、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート等のアルキルシリケートの1種又は2種以上の縮合物等の非炭素系中塗り塗膜が好ましい結果を与える。
本発明において、中塗り塗膜の光沢は、JISK5400規定の60度反射率から求める光沢で80以上、好ましくは90以上である。本発明の下塗り塗装は防錆や、基材表面の平滑度の調整を主目的としているが、表面の光沢を高めた場合(60度表面反射率、90以上)、中塗り塗装を省略することも可能であるが、安定な光沢を得るには、中塗り塗装を行うことが好ましい。
本発明において、金属光輝性を向上させるために、前記中塗り塗装面に更に透明塗膜を形成しても良い。かかる塗膜の光沢も80以上が必要である。
本発明の前記下塗り塗膜は10〜200μm、好ましくは20〜150μmであり、薄すぎると基材の凹凸などを埋めて平滑度を高めることができなかったり、防錆性能の適合が不十分であり、また厚すぎると、経済性、意匠性の低下等で好ましくない。
また、中塗り塗膜は平滑な高光沢性の付与が目的で、1〜30μm、好ましくは5〜20μmであり、厚すぎると経済性、密着性の低下等物性面から、逆に薄すぎると平滑面が得にくいので好ましくない。但し、高光沢の下塗り塗膜を形成するときは中塗りを省略することが出来る。しかしながら、一般的には下塗りの塗膜の表面に透明な中塗り塗膜を形成すると金属光輝性の焼結皮膜が得やすい。
本発明の金属粒子の焼結皮膜は、前記した高光沢の中塗り塗面及び/又は透明塗膜の表面に微細金属粒子分散液(ナノ金属分散液)を塗布、乾燥、加熱焼結することで金属光輝性の焼結皮膜が得られる。特に、銀ナノ分散液からなる焼結膜は、クロム、銀、アルミ、ステンレス、ニッケル調の金属光輝性を表現しやすく意匠面からも好ましいものである。
ただし、銀ナノ分散液を用いた焼結膜は、焼結銀膜が酸化しやすく、光輝性が安定しないこと、及び、塗布、乾燥前のレベリング段階で微細銀粒子が塗布膜表面に浮遊、プラズモン現象により赤色(金色)の光輝性が現れ、銀鏡意匠が得にくい。
更に、原因不明であるが、金属の焼結皮膜の表面に、保護を目的としてクリヤー塗装を施すとF/F性が低下し、金属光輝性が変化、銀鏡意匠が得にくい。
前記した現象は、スプレー塗布の場合に現れやすいが、透明塗膜の表面にナノ銀分散液を塗布、焼結、更に保護クリヤーを塗布した場合、安定なF/F性、金属光輝性を示す意匠性を得ることができる。
保護クリヤー塗装は、焼結金属皮膜の酸化、磨耗性の抑制、光輝性の安定化にとって重要であり、透明度の優れたものが適しているが、いぶし銀など意匠性の調整でつや消しクリヤーも利用することができる。つや消し塗装は任意のマッド剤の併用で調整することができるが、真球状のシリコーン、シリカなどの無機、アクリル、ウレタンなどのマッド剤が分散性、艶の調整面で簡便である。
本発明において、クリヤー塗装は、下塗り、中塗りに用いたのと同様の材料が利用できる。
なお、熱硬化性で有れば、加熱硬化性でなくても、紫外線や電子線硬化性、室温硬化性など任意の硬化機構が利用できる。
クリヤー塗装の厚みは、特に制限されないが1〜100μm、好ましくは5〜30μmである。薄すぎると保護機能が不十分で光輝性も安定せず、また、厚すぎると経済性で無駄である以外、密着性の低下や金属感のある光輝性が得にくくなる。
本発明のクリヤー塗装では、染料、透明顔料などの着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤などの密着改善剤等、常用されている塗膜改質用添加剤を併用しても良い。
特に、本発明において、焼結金属皮膜は、理由が不明であるが、下地(下塗り及び中塗り)塗膜に対しては焼結時強固な密着性を示すが、焼結金属面に塗布した上塗りクリヤー塗膜に対して密着しにくい性質がある。
このため、本発明では、前記した点を改善するためにクリヤー塗膜成分にアミノシラン化合物をクリヤー塗膜成分(樹脂成分)に対して、10ppm〜20%、好ましくは0.1〜10%添加することによって、焼結金属皮膜との密着性を改善することができる。
前記アミノシラン化合物とは、アミノ基またはアンモニウム基置換炭化水素基含有シリコーン化合物の置換炭化水素基で、次のような一般式(I)〜(III)で示される基が例示でき、Qの炭素原子によってケイ素原子に結合するものである。
(R− …………(I)
(RNQNHQ− …………(II)
(RNQ− …………(III)
ただし上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、Rは水素原子またはアルキル基、Xは陰イオン原子、Qは炭素数3〜6のアルキレン基、Qは炭素数2〜4のアルキレン基を示す。
前記一般式(I)において、窒素原子に結合する3個のRは、互いに同一でも相異なっていても良いが、合成のしやすさから、少なくとも2個がメチル基であることが好ましい。この場合、残りのRとしては原料の入手のしやすさから炭素数12〜18のアルキル基が好ましい。また、Qとしては、炭素数3〜6のアルキレン基、なかでも合成のしやすさや取扱いの容易さからエチレン基が好ましい。
前記一般式(II)において、Xの陰イオン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示される、なかでも原料の入手のしやすさや取扱いの容易さから塩素原子が好ましい。
また、前記一般式(II)、(III)において、窒素原子に結合する2個のRは、互いに同一でも相異なっても良い。
前記した置換炭化水素基を含有するシリコーン化合物を具体的に例示すると、たとえば、C1837(CH(CHSi(OCH、ClN(CH)NH(CHSi(OCH、HN(CH)NH(CHSi(OC、HN(CHSi(OC、(CHN(CHSi(OC、CHNH(CHSi(OCなどがあげられる。
本発明ではこれらのアミノシランの1種又は2種以上の混合物を利用する。
なお、本発明において、前記したアミノシラン以外、常用される各種のシラン化合物を併用しても良い。
本発明はF/F性を示す金属光輝性が安定して得られる塗装アルミ部材の提供に係るものであるが、F/F性は意匠性、商品価値として重要なものであり、これを任意に調整することができれば産業利用性が大幅に改善される。
F/F性の調整法として、中塗り塗膜に真球状粒子を添加する方法が考えられるが、本発明においては、ナノ金属分散液を利用するため中塗り塗膜に凹凸を付けても光輝性が安定しにくい。
これに対して、本発明においては、ナノ金属分散液に真球状の無機質粒子を容易に添加することができ、これによりF/F性を調整することができるという利点がある。更に、本発明においては、前記無機質粒子の表面を金属被覆したものを用いることにより、焼結金属皮膜と融合、安定な焼結金属皮膜が得られ、F/F性、金属感、色調、光輝性を容易に調整することができる。
前記した真球状の無機質粒子、即ち、添加粒子において、その粒径は1ナノ(n)m〜10μmであり、特に下限は制限されない。上限は保護クリヤー塗膜の厚みに依存し、それが1〜100μm以内であれば10μmでも良いが、大きすぎると光輝性が低下する。
添加粒子として、例えば1μm前後の珪素質粒子及びこれらを銀被覆した粒子は銀光輝性を示し好ましい。このような粒子の製法、性質については本発明者がすでに開示している技術が利用できる。
前記添加粒子の添加量は、特に制限されないが微細金属粒子に対し、20%以下、好ましくは10%以下であり、多すぎると、焼結金属皮膜の平滑性が消失、光輝性が無くなる以外、焼結金属皮膜の凝集力が劣り、中塗り塗膜との密着、皮膜形成性能が低下、意匠性も劣る。
本発明において、添加粒子を真球状としたのは、真球状粒子は均質分散しやすく、表面での光の反射、吸収が均一で安定な光輝性を示す。従って、粒子が殻だけの中空粒子でも良い。
また、本発明において添加粒子を無機質に限定したのは、金属粒子の焼結時、金属粒子の凝集を阻害、皮膜形成性を低下させて強固な皮膜が出来ないこと、及び光輝性がばらつきやすいためである。
なお、本発明において、前記無機質粒子の等価代替物(均等物)として、有機質粒子表面をメッキなどにより金属及び/又は金属酸化物を被覆したものは使用可能であるが、この場合、焼結温度に耐える耐熱性が必要である。
本発明では、焼結金属皮膜の酸化防止、摩耗性の向上と、化学及び機械特性の改善のため透明上塗り(保護クリヤー)層を施してもよいが、かかる処理において、原因不明であるが金属皮膜の色調が変化し易い。特にF/F性が強い時に色調変化が起こりやすく、曲面の多いアルミホイールなどのアルミ部材ではF/F性の安定化とともに金属の色彩感が重要である。
このため、本発明においては、金属の色彩調整に、保護クリヤー層に透明着色剤を分散させたカラークリヤーを用いても良い。
前記した着色剤としては、アクリル樹脂、セルローズ樹脂、塩化ビニール樹脂、マレイン酸樹脂等の各種樹脂、必要によりフタル酸エステルなどの可塑剤溶液中で顔料を高濃度に混錬分散させた後、溶剤成分を除去、小片状又は、粒状にしたチップ状の分散顔料で通常カラーチップと呼ばれる加工顔料(カラー・マスターバッチ)が便利であり、上塗りクリヤーに分散顔料を添加、溶解するだけでカラークリヤーが得られる。カラークリヤーには、透明性が必要なので、使用する着色顔料は一般に微細なものが用いられる。
前記したカラークリヤー塗装層の厚みは、特に制限されないが、厚すぎると、着色顔料濃度を小さくしても透明度が劣り、金属光輝性が低下し、薄すぎると、均質な着色力が得にくいため、1〜20μm、好ましくは2〜10μmであり、必要により無色透明の保護透明クリヤーを更に塗装しても良い。
本発明においては、前記したように焼結金属皮膜の下地に中塗り塗膜を施してもよいが、かかる中塗り層にクリヤーと同様、着色したカラークリヤーを用いても良い。
このように、カラークリヤーを用いると、金属光輝性を損なうことなく金属皮膜の色彩が調整でき、任意の金属感を示す意匠が得られる。
本発明の焼結銀皮膜などの微細金属粒子の焼結金属皮膜は、酸化して変色し易いので、保護クリヤーを焼結直後に塗布するのが好ましい。
その他、同様の目的のために、即ち、微細金属粒子の焼結金属皮膜の酸化抑制、安定化のために、ロジウムメッキを施すことが好ましく、湿式、乾式ロジウムメッキが利用できる。ロジウムメッキを施すと銀皮膜などの微細金属粒子の焼結金属皮膜は安定化、磨耗性が改善されてそのままの表面状態でも良く、更に保護クリヤーを施してもよい。
本発明において、焼結前の微細金属分散液に焼結を阻害しない還元剤、例えば、ブドウ糖等の還元糖を焼結前に添加して焼結したり、また下地クリヤーや上塗りクリヤーにt−ブチルフェノール、ベンゾフェノンなどの常用されている酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加しても良い。
本発明はアルミ基材をベースとした関連製品(半製品を含む。)の製造に適用される。例えば、アルミホイールの製造に好適に適用される。これは鋳鉄基材では容易に金属メッキが可能で光輝性が得られること、蒸着やイオンスパッタでは全面処理になるが、本発明では塗装により光輝性を部分加飾することが出来ること、更にアルミ基材では200℃以上の高温での熱処理を行うと熱劣化し易いので低温焼結が出来ること、など本発明の利用が便利なことによる。
本発明で使用する微細金属粒子の分散液をアルミ基材上に単に塗布、室温で乾燥させるだけでも、金属粒子の凝集体からなる皮膜が得られるが、かかる状態では、金属粒子間の凝集力が不十分で、上塗りのクリヤー塗装を行うと金属粒子間にクリヤー成分が浸透するためか、光輝性の低下、金属感の消失現象が認められる。このため、本発明においては、これらの欠点を解消すべく、金属粒子間を焼結させ、クリヤー成分の浸透を抑制して光輝性を向上させ、一方、焼結金属皮膜はクリヤー成分の浸透によるアンカー効果の欠如によりクリヤー層との密着性が低下しやすい。本発明では、焼結金属皮膜との密着性向上を図っている。
以下、本発明を実験例、参考例、実施例、及び比較例により更に詳しく説明する。
なお、本発明は、実施例のものに限定されないことはいうまでもないことである。
実験例1−1(真球粒子の合成)
温度計、滴下ロート、冷却管を付した200ml(ミリリットル)3つ口フラスコに、50%メチルアルコール水溶液100g、28%アンモニア水5gを仕込み、マグネットスターラで攪拌下、室温で、テトラエチルシリケート50gを30分で添加、2時間攪拌を維持、オパールレッセンを示す半透明溶液を得た。反応溶液を減圧蒸留、105℃で乾燥により14gの白色粉体を得た。次いで、600℃で3時間焼成、白色粉体の走査型電子顕微鏡観察、FTIR分析から、粒径50〜150nm(ナノm)で、凝集していない真球状のSiOを主成分とする均質粒子であった。
実験例1−2(真球粒子の合成)
前記実験例1−1の50%メチルアルコールを50%エチルアルコールに変更した以外は同法で行い、粒径550〜750nmの真球状のSiOを主成分とする均質粒子、10gを得た。
但し、本反応では、蒸留前の反応液にはオパールレッセンは認められなかった。
実験例2−1(銀メッキ粒子の調整)
特開平5−81919(導電性粉末とその製造法)の実施例3と同法で粒径2μmのシリコーンビーズ(トスパール130)を用い銀メッキされた真球状のシリコーンビーズを作成した。
実験例2−2(ニッケルメッキ粒子の調整)
特開平5−81919、実施例4に準じ、実験1−2の粉体100g、センシタイザー400g、及びイオン交換水1600gとの混合液(感応化処理剤)で3分処理し、濾別、水洗後、更にアクチベーター(奥野製薬工業(株)社製)100gとイオン交換水1900gとの混合液(活性化処理剤)で40℃、5分間処理し、濾別、水洗してアクチベーター(パラジウム処理)による活性化処理をした。
その後、この活性化処理した粉末を、トップニコロンN−47−1(奥野製薬工業(株))10000gとイオン交換水40000gからなる無電解ニッケルメッキ液に攪拌下で投入し、攪拌を維持したまま50℃で15分間無電解メッキ処理を行なって、表面がニッケル皮膜で被覆された粒径600〜800nmの真球状のシリカ粒子を得た。
実験例3(アルミ基材の調整)
アルミニューム合金(日本テストパネル社、A5454)板を、サーフクリーナー(日本ペイント社製)で脱脂、酸洗浄後、燐酸ジルコニューム系処理剤(アルサーフ501N、日本ペイント社製)で化成処理を行なった。
実験例4(下塗り塗装)
実験例3で化成処理したアルミニューム合金試験片にエポキシ−ポリエステル系下塗り塗料(日本ペイント社製、カプロン400)を乾燥厚み100μmになるよう、塗布、加熱乾燥させて、光沢60の熱硬化性下塗り塗膜を完成させた。
参考例1
実験例4の化成処理したアルミ基材に下塗り塗装した塗面に、下地処理剤ST−K300(密着向上剤、日産化学社製)を塗布、乾燥後、シリケート系熱硬化性クリヤー塗料、ST−K102(日産化学社製)を乾燥塗膜(以下、塗膜厚みは乾燥厚みで示す。)10μmで中塗り塗装、100℃、20分で加熱硬化させた。次いで、銀ナノ分散液(日本ペイント社製、AGE−102)を塗布、150℃で30分熱処理により、透明中塗り塗膜面に優れた密着性を示す、金属光輝性を示す焼結銀皮膜を形成させた。
次に、焼結銀皮膜面に、アクリル樹脂(大日本インキ工業社製、アクリディックA−405)とアミノ樹脂(大日本インキ工業社製、スーパーベッカミンG−821)の80/20の混合物からなる熱硬化性アクリルクリヤーを10μm、上塗り透明塗装、130℃、20分間加熱硬化させることにより、金属光輝性を示す塗装アルミ板を作成した。
得られた金属光輝性塗膜は、クロムメッキ調のF/F性を示した。
比較例1
参考例1において、AGE−102を単に塗布、室温で乾燥、放置したもの(加熱焼結しないもの)は、金属光輝性を示したが錦布(ベンコット)で簡単に剥離した。又、上塗り透明塗装を施さないものは酸化されて褐色(金色系)に変色した。
参考例1において、銀ナノ分散液(AGE−102、不揮発分30%)に実験例2−1で作成した銀被覆真球状シリカビーズを1%添加した以外は同法で行い、F/F性の優れた銀類似の光輝性を示す塗装アルミ板が得られた。
実施例において、実験例2−2で作成したニッケル被覆真球状シリカビーズを0.5%添加する以外は同法で行い、F/F性が優れ、ニッケルメッキ調の光輝性を示す塗装アルミ板が得られた。
比較例2
実験例4及び、参考例1の中塗り塗装を行なった塗装面に特開平5−81919の実施例1のセンシタイザー(前出、感応化剤)処理後、無電解メッキ液(硝酸銀8、アンモニア水8、イオン交換水150/酒石酸カリウムナトリウム液400)で処理したが、光輝性にムラがあり、密着も不十分であった。又、無電解メッキ面に上塗り塗装を行なっても光輝性は改善できず、金属光輝性を得るには熟練が必要であった。
参考例2
参考例1において、AGE−102塗布、焼結後、無電解ロジウムメッキ(奥野製薬工業、ロジウムRH−1)処理したものは、ベンコットによる摩耗試験に耐久性を示し、酸化安定性も優れていた。更に、上塗り透明塗膜を塗布することで指紋汚染性が改善された。
比較例3
比較例1と同様の焼結されていない銀皮膜に対して、参考と同様に無電解ロジウムメッキを行なったが、皮膜強度が改善されず、光輝性のバラツキが大きくなった。
比較例4
比較例1と同様の焼結されていない銀皮膜に対して、参考例1と同様のアクリルクリヤー塗装を行なったが、暗黒色で光輝性の乏しい、ブリキ調の塗装面であった。
参考例3
参考例1において、上塗りのアクリルクリヤー(上塗り透明塗装)にアミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製、A−1100)の添加量を変化させて密着性を評価した。結果を下記の表1に示す。
なお、破壊面の評価は、以下の基準で行った。
・ A ; 焼結銀皮膜とアクリル上塗りクリヤー面。
・ なし; 下地塗装面と中塗り塗装面にクロスカット切り込み瑕のみ。
Figure 0004116610



表1より、アミノシラン添加量が1%以下では、下地(燒結皮膜)に対する接着力が不十分であることがわかる。
なお、この「参考例3」は、上塗りアクリルクリヤー(上塗り透明塗装)にアミノシラン化合物を添加したとき、上塗りアクリルクリヤーの参考例1の微細(ナノ)金属粒子の単独系の燒結皮膜に対する接着強度の改善効果を示している。このことから、アミノシラン化合物を含む上塗りアクリルクリヤーは、焼結皮膜が微細(ナノ)金属粒子(90wt%以上)と球状無機粒子(10wt%以下)との併用系分散液から調製したものにおいても、同様の接着強度の改善効果を持つものである
実施例において各種の無機質粒子を用いた結果を実施例及び比較例5として下記の表2に示す。
なお、表2において、シリコーンTSPはGE東芝シリコーン(株)、トスパールを意味し、また、架橋アクリルMPは綜研化学(株)のアクリル微粉体を意味する。



Figure 0004116610

参考例4
鋳造アルミホイール(材質A356)に参考例1(実験例3、4)と同法で脱脂、化成処理、下地粉体塗装後、♯400及び#800の研磨紙で表面を研磨、以下、参考例1と同法で、ST−K300、ST−K102を塗布して10μmの中塗りクリヤー層を形成後、銀ナノ分散液(日本ペイント社製、AGE−102)を塗布、150℃で30分熱処理により透明中塗り塗膜面に優れた密着性を示す、金属光輝性を示す焼結銀皮膜が得られた。
次に、焼結銀皮膜面に、アクリル樹脂(大日本インキ工業社製、アクリディックA−405)とアミノ樹脂(大日本インキ工業社製、スーパーベッカミンG−821)の80/20の混合物にアミノプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー社製、A−1100)を1%添加した熱硬化性アクリルクリヤーを10μm上塗り塗装(上塗り透明塗層)、130℃、20分加熱硬化させることにより金属光輝性を示す、塗装アルミホイールから得られた。
得られた塗装アルミホイールは、優れた密着性、耐磨耗性を示し、クロムメッキ調のF/F性を有する意匠性の優れたものであった。
比較例6
参考において、銀ナノ分散液塗布後、150℃、30分の熱処理を行わない以外は同法で行った。
得られた塗装アルミホイールは、上塗りクリヤー塗布前は金属光輝性があったが、上塗り塗布、130℃、20分加熱硬化させると、光輝性が消失、黒ずんだブリキ調の意匠性の劣ったものであった。
参考において、実施例で用いた銀被覆シリカ粒子1%含んだ銀ナノ分散液を使用した(AGE−102)以外は同法で行った。これによりF/F性を示し、光輝性の優れた光沢銀材類似の塗装アルミホイールが得られた。
比較例7
実施例において、熱硬化性アクリル上塗りクリヤー塗装を行なわない以外は同法で行った。得られた塗装アルミホイールは銀メッキ調で光輝性も優れていたが、指紋の付着後が指紋痕跡のまま暗黒褐色の汚染が残り、光輝性も徐々に低下した。
参考において、銀ナノ分散液に実施例−2、即ち、粒径0.1μmの球状シリカビーズを0.5%添加した銀ナノ分散液を用いた以外は同法で行い、白銀(燻し銀)に似た金属光輝性を示す意匠性の優れた塗装アルミホイールを得た。
比較例8
実施例において、球状シリカビーズの量を15%にした以外は同法で行なった。これにより、光沢、金属感が無く、白色半つや塗膜に近い仕上がりの塗膜アルミホイールが得られた。
比較例9
参考において、球状シリカビーズを比較例5−3のMP3100、1.0%に変更した以外は同法で行なった。得られた結果は、銀皮膜の結合力が弱く、密着試験で凝集破壊しやすく、意匠性も比較例と類似して劣っていた。
比較例10
参考において、球状シリカビーズを比較例5−2のTSP3120、1%に変更した以外は同法で行なった。得られた結果は、比較例9類似の金属感が無く意匠性も劣っていた。
比較例11
参考において、銀ナノ分散液(AGE−102、銀30%、分散剤2%)にSK−K102(固形分10%)を25%(100/25、銀30%に対し、銀以外の成分4.5%)加えた以外は同法で行なった。得られた結果は、黒ずんだブリキ調で意匠性の劣った仕上がりであった。
参考例5
鋳造アルミホイール(材質A5454)に参考と同法で脱脂、化成処理、下地粉体塗装後、研磨紙で表面が研磨された熱硬化性下地塗装されたアルミホイールを調整した。
次いで、ノンリーフ性熱硬化性アクリル系メタリッククリヤー(日本ペイント社製)、15μmを全面に塗布、150℃で20分加熱処理後、銀ナノ分散液(AGE−102、前出)をスポーク部分にのみ塗布、150℃で30分の熱処理で焼結銀皮膜を形成、さらに全面に参考と同様のアクリルクリヤーを上塗り塗装、130℃、20分加熱硬化させた。
得られた塗装アルミホイールは、リムなどタイヤに接する部分はアルミ調の光輝性であり、スポーク部分はクロム調の光輝性で加飾された意匠性の優れたものであった。
参考において、メタリッククリヤー15μm塗布、加熱硬化までは同法で行い、次いで、実施例−1同様、粒径0.1μmの球状シリカを0.1%含んだ銀ナノ分散液を全面塗布、以下、参考同様アクリルクリヤーの上塗り塗装を行い、光輝性の優れた銀材類似の塗装アルミホイールを得た。
実施例おいて、メタリッククリヤーを上塗りに用いたアクリルクリヤーと同じ物に変更した以外は同法で行い光輝性の優れた銀材類似の塗装アルミホイールを得た。
実施例の上塗りにアクリル−シリコーン(カネカゼムラック、鐘淵化学工業社製、硬化触媒10%、A−1100前出、5%含有)を用いた以外は同法で行い、銀材類似の金属光輝性を示す塗装アルミホイールを得た。
実施例において、アクリル−シリコーンとして着色顔料(NR440−A9DA、大成加工社製、セイカファーストイエロー、4%含有)0.5%添加したアクリル−シリコーンを用いた以外は同法で行い、金色の金属光輝性を示す塗装アルミホイールを得た。
比較例12
実施例で銀ナノ分散液を塗布しない以外は同法で行なった。得られた塗装アルミホイールは光沢アルマイト材類似外観を示し、金属光輝性に劣るものであった。
更に、アクリルクリヤーを実施例同様の着色顔料添加アクリル−シリコーンに変更した以外は同法で行った結果、黄色で金属感、光輝性の乏しい塗装アルミホイールが得られた。
実施例のシリカ粒子を0.5%に変更した以外は同様に行い、燻し銀材類似の金属光輝性を示す塗装アルミホイールを得た。
比較例13
実施例10においてシリカ粒子を15%、架橋アクリル、MP3100(前出)1.0%、に変更した以外は同法で行なった。いずれもアルマイト材類似で光輝性の乏しい塗装アルミホイールが得られた。

Claims (6)

  1. 塗装アルミ部材において、所望の形状に加工されたアルミ部材上の熱硬化性下塗り塗装面もしくは前記下塗り塗装面上の熱硬化性中塗り塗装面が、粒径が1ナノ(n)m〜1μmの金属光沢を有する微細金属粒子を90wt%以上100wt%未満、及び、粒径が1ナノ(n)m〜10μmの真球状の無機粒子を0wt%を超え10wt%以下、を含む分散液による塗膜を加熱焼結して形成した微細金属粒子の焼結皮膜で被覆されたことを特徴とする金属光輝性に優れた塗装アルミ部材。
  2. 微細金属粒子の焼結皮膜が、ロジウム鍍金処理及び/又はクリヤー塗膜で保護されたものである請求項に記載の塗装アルミ部材。
  3. クリヤー塗膜がアミノシランを含むものである請求項2に記載の塗装アルミ部材。
  4. 所望の形状に加工されたアルミ部材に対し、
    (1).化成処理、
    (2).熱硬化性下塗り塗装、または、熱硬化性下塗り塗装と中塗り塗装
    (3).粒径が1ナノ(n)m〜1μmの金属光沢を有する微細金属粒子を90wt%以上100wt%未満、及び、粒径が1ナノ(n)m〜10μmの真球状の無機粒子を0wt%を超え10wt%以下、を含む微細金属粒子分散液の塗布、
    (4).前記微細金属粒子分散液の塗布により形成される塗膜の加熱焼結、
    の工程からなる微細金属粒子の焼結皮膜を熱硬化性塗り膜または熱硬化性下塗り塗膜と中塗り塗膜に固着させたことを特徴とする金属光輝性に優れた塗装アルミ部材の製造方法。
  5. 微細金属粒子分散液の塗膜を加熱焼結して焼結皮膜を形成した後、焼結皮膜面にロジウム鍍金及び/又はクリヤー塗装を施す請求項に記載の塗装アルミ部材の製造方法。
  6. クリヤー塗装がアミノシランを含むものである請求項に記載の塗装アルミ部材の製造方法。
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