JP3512052B2 - レピドクロサイト粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

レピドクロサイト粒子粉末及びその製造法

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JP3512052B2 JP22754596A JP22754596A JP3512052B2 JP 3512052 B2 JP3512052 B2 JP 3512052B2 JP 22754596 A JP22754596 A JP 22754596A JP 22754596 A JP22754596 A JP 22754596A JP 3512052 B2 JP3512052 B2 JP 3512052B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、直方体状を呈してお
り、且つ、個々の粒子がバラバラであるレピドクロサイ
ト粒子粉末及びその製造法に関するものである。
【0002】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末の
主な用途は、塗料用、樹脂成形物用、印刷インキ用、道
路アスファルト用、化粧品用等の着色顔料である。
【0003】
【従来の技術】近年、橙色顔料は、ビヒクルや樹脂中に
分散させて、塗料、樹脂、印刷インキ、道路アスファル
ト、化粧品等を製造する際の着色顔料として広く使用さ
れている。橙色は交通上の規則や警戒を表す色であるこ
とから、殊に、道路アスファルト用や路面表示塗料(ト
ラフィックペイント)用着色顔料としての用途が拡大し
ている。ここで、橙色とは、「L* * * 表色系」に
おいてa* 値が15〜50であって、且つ、b* 値が2
0〜55である色相を示すものである。
【0004】従来、橙色顔料としては、スダーンI、パ
ーマネントオレンジやリソールファストオレンジ等の有
機顔料と赤口黄鉛(PbCrO4 ・PbO)やクロムバ
ーミリオン(PbCrO4 ・PbMoO4 ・PbS
4 )等の無機顔料が実用化され広く使用されている。
【0005】しかし、有機顔料は一般に高価であり、一
方、無機顔料は鉛やクロムなどの重金属を含有している
ため有毒であることから、安価で且つ無毒である橙色顔
料が強く要求されている。
【0006】ところで、酸化鉄粒子粉末や含水酸化第二
鉄粒子粉末等の鉄酸化物粒子粉末は、空気中の酸素によ
る酸化に対し安定であり、また、無害である等環境安定
性に優れているとともに各種色相を有することから、塗
料用、樹脂成形物用、印刷インキ用、道路アスファルト
用、化粧品用等の着色顔料として、従来から広く使用さ
れている。
【0007】安価で無毒である各種鉄酸化物粒子粉末の
うち、橙色顔料として使用されているものは、黄色ゲー
タイト(α−FeOOH)粒子粉末と赤色ヘマタイト
(α−Fe2 3 )粒子粉末との混合粉末やレピドクロ
サイト(γ−FeOOH)粒子粉末である。
【0008】これら顔料を用いて塗料等を製造するに際
しては、省エネルギー時代における作業能率の向上並び
に塗膜物性の改良という観点から、粒子粉末の諸特性の
向上が強く要求されている。
【0009】即ち、顔料のビヒクルや樹脂への分散性が
良好であることはもちろん、着色力や隠蔽力の向上が強
く要求されている。
【0010】従来、レピドクロサイト粒子粉末の製造法
としては、第一鉄塩溶液とアルカリ性溶液とを反応さ
せて得られる水酸化第一鉄を含むpH7.0〜9.0の
懸濁液に、15℃以下の温度で酸素含有ガスを通気する
ことによりレピドクロサイト粒子を製造する方法(特公
昭33−6734号公報等)、硫酸第一鉄水溶液とア
ルカリ水溶液とを反応させて得られる水酸化第一鉄を含
むpH5.5〜7.0の懸濁液に、温度温度5〜15℃
の温度において酸素含有ガスを通気することによりレピ
ドクロサイト粒子を製造する方法(特開昭55−332
3公報等)、硫酸第一鉄水溶液と水酸化ナトリウム水
溶液とを反応させて得られる水酸化第一鉄を含むpH
5.5未満の懸濁に、リン酸水素二ナトリウムの存在
下、温度45℃程度において酸素含有ガスを通気するこ
とによりレピドクロサイト粒子を製造する方法(特開昭
62−108738号公報等)、硫酸第一鉄水溶液と
水酸化アルカリ水溶液とを反応して得られる水酸化第一
鉄を含むpH10程度以上の懸濁液に、水溶性リン化合
物や砒素化合物の存在下で酸素含有ガスを通気してレピ
ドクロサイトの種結晶を生成させ、次いで、55〜10
0℃の温度範囲で上記レピドクロサイトの種結晶を成長
させることによりレピドクロサイト粒子を製造する方法
(特公昭43−2214号公報等)等がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】分散性が優れていると
ともに、着色力及び隠蔽力が優れた安価で且つ無毒であ
る橙色顔料を工業的、経済的に得ることは、現在最も要
求されているところであるが、前出公知の鉄酸化物粒子
粉末からなる橙色顔料には、これら要求を十分満たすも
のとは言い難い。
【0012】即ち、黄色ゲータイト(α−FeOOH)
粒子粉末と赤色ヘマタイト(α−Fe2 3 )粒子粉末
との混合粉末は、相異なる種類の粒子粉末を混合してい
る為、塗料等の製造に際しては、ビヒクルや樹脂への分
散性が十分ではなく、また、分散後においては、塗料中
等においては色分かれが生じやすいという欠点があっ
た。
【0013】レピドクロサイト粒子粉末は、生成反応に
起因して針状を呈した粒子が凝集体を形成して生成され
やすいため、ビヒクルや樹脂中への分散性が十分ではな
く、また、その粒子形態に起因して着色力及び隠蔽力が
十分ではない。
【0014】この事実について、以下に説明する。
【0015】レピドクロサイト粒子粉末は、一般に、鉄
原料として塩化第一鉄水溶液を用いる場合と硫酸第一鉄
水溶液を用いる場合とがある。鉄原料として塩化第一鉄
水溶液を用いる場合には、反応容器等の腐蝕が生じ、工
業的ではない。
【0016】鉄原料として硫酸第一鉄水溶液を用いる場
合には、反応容器等の腐蝕を生じることはないが、前出
公知の乃至のいずれの方法による場合も生成レピド
クロサイト粒子の粒子形態は針状粒子である。そして、
その生成反応に起因してレピドクロサイト粒子以外の他
の粒子が混在しやすいものである。
【0017】即ち、反応生成pHが酸性領域では、レピ
ドクロサイト粒子以外に針状ゲータイト粒子が混在し、
反応生成pHがアルカリ領域では、レピドクロサイト粒
子以外に粒状マグネタイト粒子が混在する。
【0018】また、生成反応溶液のpH領域がpH7未
満と低い場合には、レピドクロサイト粒子が生成するに
際して同時に生成されるアルカリ金属、SO4 分を含む
沈澱、即ち、RFe3 (SO4 2 (OH)6 (R=K
+ 、Na+ 、NH+ )で示される難溶性の含硫鉄塩が必
然的に粒子内部及び粒子相互間に含まれることとなり、
この難溶性の含硫鉄塩は、水洗による除去が困難で、粒
子相互間を架橋した状態で残存するため凝集粒子が生成
しやすいものである。
【0019】また、レピドクロサイト粒子の生成反応が
15℃以下である場合には、冷却する等の必要が生じ、
工業的、経済的ではない。
【0020】前出公知のの方法による場合には、核晶
生成時に水溶性リン化合物や砒素化合物を存在させるこ
とにより、核晶成長時に55〜100℃の高温で反応す
ることができ、そして、核晶の粒子形態を非等軸晶から
等軸晶に変態させて、等軸晶、即ち、粒状レピドクロサ
イト粒子を得るものである。
【0021】この方法による場合には、得られるレピド
クロサイト粒子の形態が粒状であるため、着色力や隠蔽
力が悪いものである。
【0022】また、核晶の生成反応においては、後出比
較例に示す通り、レピドクロサイト粒子の形態は針状で
あり、針状レピドクロサイト粒子以外に粒状マグネタイ
ト粒子が混在してくる。
【0023】そこで、本発明は、分散性が優れていると
ともに、着色性及び隠蔽性が優れたレピドクロサイト粒
子粉末を工業的、経済的に得ることを技術的課題とす
る。
【0024】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0025】即ち、本発明は、短軸径が0.045〜
0.5μm、長軸径が0.05〜1.0μmであって、
厚みが0.001〜0.3μmである直方体状を呈した
レピドクロサイト粒子からなり、前記長軸径の幾何標準
偏差値が1.70以下、必要により、1.40以下であ
ることからなるレピドクロサイト粒子粉末である。
【0026】また、本発明は、硫酸第一鉄水溶液と水酸
化アルカリ水溶液とFeに対し0.1〜5.0mol%
のリン化合物又はクエン酸化合物若しくは当該両化合物
とを温度25〜55℃の温度範囲において混合すること
により、鉄の水酸化物を含むpH値が7〜9の懸濁液を
生成し、次いで、該懸濁液に、必要により、核晶の存在
下、pH値を7〜9の範囲に調整しながら25〜55℃
の温度範囲において酸素含有ガスを通気して前記鉄の水
酸化物を酸化することからなる前記各レピドクロサイト
粒子粉末の製造法である。
【0027】本発明の構成をより詳しく説明すれば、次
の通りである。
【0028】先ず、本発明に係るレピドクロサイト粒子
粉末について述べる。
【0029】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末
は、直方体状を呈している。ここで、直方体状とは、長
方形ばかりからなる六面体である直方体はもちろん、該
直方体の稜や辺が必ずしも直線でなくても、多少の凹凸
があったり、若干の丸みを帯びた粒子であってもよく、
軸比(長軸径と短軸径との比、以下「軸比」と言う。)
が1.1:1〜5:1程度の粒子を言う。粒子の形状が
直方体状でない場合には、優れた着色力や隠蔽力が得ら
れない。着色力や隠蔽力を考慮すれば、1.2:1〜
4.8:1程度が好ましい。
【0030】短軸径は0.045〜0.5μmである。
0.045μm未満の場合には、粒子の微細化による分
子間力の増大により分散性が損なわれる。また、粒子が
針状化し、優れた着色力や隠蔽力が得られない。0.5
μmを越える場合には、ビヒクルや樹脂への分散性はよ
いが、粒子の粗大化により、表面平滑な塗布面もしくは
樹脂組成物が得られない。好ましい短軸径は0.045
〜0.3μm、より好ましくは0.045〜0.2μm
である。
【0031】長軸径は0.05〜1.0μmである。
0.05μm未満の場合には、粒子の微細化による分子
間力の増大により分散性が損なわれる。1.0μmを越
える場合には、粒子が針状化し、優れた着色力や隠蔽力
が得られない。また、粒子の粗大化により、表面平滑な
塗布面もしくは樹脂組成物が得られない。好ましい長軸
径は0.05〜0.7μm、より好ましくは0.05〜
0.5μmである。
【0032】厚みは0.001〜0.3μmである。
0.001μm未満の場合には、粒子の微細化による分
子間力の増大により分散性が損なわれる。また、厚みが
薄くなるため、優れた着色力や隠蔽力が得られない。
0.30μmを越える場合には、粒子の粗大化により、
表面平滑な塗布面もしくは樹脂組成物が得られない。好
ましい厚みは0.001〜0.2μm、より好ましくは
0.001〜0.1μmである。
【0033】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末の
SO4 含有量は1000ppm以下、好ましくは500
ppm以下、より好ましくは200ppm以下であり、
粒子相互間で架橋は見られず、個々の粒子はバラバラで
ある。得られるレピドクロサイト粒子粉末のSO4 含有
量の下限値は0.01ppm程度である。
【0034】本発明に係る核晶の不存在下で得られるレ
ピドクロサイト粒子粉末は、長軸径の幾何標準偏差値が
1.70以下である。幾何標準偏差値は、粒子の粒度分
布の程度を表す指標となるものであり、値が小さくなる
程粒子の粒度分布が良いことを意味する。1.70を越
える場合には、着色力及び隠蔽力が不十分となる。着色
力及び隠蔽力を考慮すれば、好ましくは1.60以下で
ある。得られるレピドクロサイト粒子粉末の長軸径の
何標準偏差値の下限値は1.05程度である。
【0035】本発明に係る核晶の存在下で得られるレピ
ドクロサイト粒子粉末は、長軸径の幾何標準偏差値が
1.40以下である。1.40を越える場合には、粒度
分布がより向上したものとは言い難い。着色力及び隠蔽
力を考慮すれば、好ましくは1.38以下、より好まし
くは1.35以下である。得られるレピドクロサイト粒
子粉末の長軸径の幾何標準偏差値の下限値は1.01程
度である。
【0036】短軸径が0.045〜0.5μm、長軸径
が0.05〜1.0μmであって、厚みが0.001〜
0.3μmである直方体状を呈したレピドクロサイト粒
子からなる本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末の色
相は、a* 値が15.0〜50.0であって、且つ、b
* 値が20.0〜55.0であり、L* 値が20.0〜
70.0である。
【0037】a* 値が50.0を越える場合には、赤味
が強くなり好ましくない。15.0未満の場合には、赤
味が不足し、好ましくない。
【0038】b* 値が55.0を越える場合には、黄味
が強くなり好ましくない。20.0未満の場合には、橙
色発現に必要な黄味が不足し、好ましくない。
【0039】L* 値が70.0を越える場合には、顔料
の色が明るくなりすぎて好ましくない。20.0未満の
場合には、暗くくすんだ状態になるので好ましくない。
【0040】尚、幾何標準偏差値の相違は、a* 値やb
* 値等の色相に影響することはないが、周知の通り、に
ごりに若干の相違が生じ、幾何標準偏差値が小さくなる
程、にごりが小さくなる傾向にある。
【0041】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末を
用いて得られた溶剤系塗料は、着色力が4〜5、隠蔽力
が25以下、好ましくは23以下であり、好ましい下限
値は10である。塗布片の塗膜面における光沢度は75
以上、好ましくは78以上であり、好ましい上限値
は140である。
【0042】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末を
用いて得られた水系塗料は、着色力力が4〜5、隠蔽力
が29以下、好ましくは27以下であり、好ましい下限
値は15である。塗布片の塗膜面における光沢度は71
以上、好ましくは75以上であり、好ましい上限値
は130である。
【0043】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末を
用いて得られた樹脂組成物は、分散状態が4〜5であ
る。
【0044】次に、前記の通りの本発明に係るレピドク
ロサイト粒子粉末の製造法について述べる。
【0045】本発明における第一鉄塩水溶液は、硫酸第
一鉄水溶液である。
【0046】本発明における水酸化アルカリ水溶液とし
ては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液
等を使用することができる。
【0047】本発明におけるリン化合物としては、オル
トリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸及び四リ
ン酸等のリン酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二
水素ナトリウム及びリン酸三ナトリウム等のナトリウム
塩、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニ
ウム及びリン酸水素アンモニウムナトリウム等のアンモ
ニウム塩、リン酸三カリウム、リン酸二水素カリウム及
びリン酸水素二カリウム等のカリウム塩などを使用する
ことができる。
【0048】本発明におけるクエン酸化合物としては、
クエン酸はもちろん、クエン酸アンモニウム、クエン酸
水素アンモニウム等のアンモニウム塩、クエン酸カリウ
ム、クエン酸水素カリウム等のカリウム塩、クエン酸ナ
トリウム、クエン酸水素ナトリウム等のナトリウム塩、
クエン酸リチウム等のリチウム塩などを使用することが
できる。
【0049】本発明における硫酸第一鉄水溶液と水酸化
アルカリ水溶液とリン化合物又はクエン酸化合物若しく
は当該両化合物の添加順序は、いずれが先でも同時であ
ってもよく、いずれの場合にも本発明の目的とするレピ
ドクロサイト粒子粉末が得られる。
【0050】レピドクロサイト粒子以外の他の粒子を生
成させることなくレピドクロサイト粒子粉末のみを生成
させることを考慮すれば、硫酸第一鉄水溶液と水酸化ア
ルカリ水溶液とリン化合物又はクエン酸化合物若しくは
当該両化合物をできるだけ均一に混合することが好まし
い。
【0051】その為には、リン化合物又はクエン酸化合
物若しくは当該両化合物と硫酸第一鉄水溶液とをあらか
じめ混合した後、該混合溶液を水酸化アルカリ水溶液に
添加することが好ましい。より好ましくは、上記混合溶
液をあらかじめ熟成した後、水酸化アルカリ水溶液に添
加すればよい。
【0052】混合溶液の熟成時間は10分間以上が好ま
しく、より好ましくは30分間以上である。熟成時間の
上限値は、特に限定されるものではないが、工業的には
120分程度である。
【0053】また、水酸化アルカリ水溶液に添加する上
記混合溶液は、一時に添加してもよいが水溶液の均一混
合を考慮すれば、少量づつを10〜120分かけて継続
的又は間歇的に添加することが好ましく、殊に、50〜
70分程度かけて添加するのがより好ましい。
【0054】硫酸第一鉄水溶液と水酸化アルカリ水溶液
の混合割合は、硫酸第一鉄水溶液と水酸化アルカリ水溶
液とを反応して生成した鉄の水酸化物を含む懸濁液のp
H値が7〜9の範囲となる割合であればよい。懸濁液の
pH値が7未満の場合には、レピドクロサイト粒子以外
に針状ゲータイト粒子が混在してくる。懸濁液のpH値
が9を越える場合には、レピドクロサイト粒子以外に粒
状マグネタイト粒子が混在してくる。
【0055】リン化合物又はクエン酸化合物若しくは当
該両化合物の混合割合は、Feに対して0.1〜5mo
l%である。0.1mol%未満の場合には、レピドク
ロサイト粒子のみを生成することが困難となり、粒状マ
グネタイト粒子が混在してくる。5mol%を越える場
合には、レピドクロサイト粒子は得られるが、添加効果
が飽和するため、必要以上に添加する意味がない。
【0056】リン化合物又はクエン酸化合物若しくは当
該両化合物の添加は、懸濁液に酸素含有ガスを通気する
前であることが必要であり、硫酸第一鉄水溶液、水酸化
アルカリ水溶液、鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずれか
の液中に添加することができる。
【0057】レピドクロサイト粒子以外の他の粒子を生
成させることなくレピドクロサイト粒子粉末のみを生成
させることを考慮すれば、前述した通り、硫酸第一鉄水
溶液中に添加することが好ましい。
【0058】原料の混合時における温度は25〜55℃
である。25℃未満の場合には、レピドクロサイトの生
成反応に長時間を要し、工業的、経済的ではない。55
℃を越える場合には、レピドクロサイト粒子以外の粒状
マグネタイト粒子が混在してくる。
【0059】原料の混合時におけるpH値は、7〜9の
範囲となるように調整することが肝要である。pH値が
範囲外となった場合には、レピドクロサイト粒子粉末の
みを生成することが困難となる。また、pH値が7未満
の場合には、レピドクロサイト粒子粉末に多量の含硫鉄
塩が含まれることとなる。
【0060】本発明における鉄の水酸化物を含む懸濁液
の酸化は、酸素含有ガス(例えば、空気)を液中に通気
することにより行う。通気量は反応母液10lに対して
1分間当たり0.5〜100lが好ましい。
【0061】本発明における酸化反応温度は、25〜5
5℃である。25℃未満の場合には、酸化反応に長時間
を要し、工業的、経済的ではない。55℃を越える場合
には、レピドクロサイト粒子のみを生成させることが困
難となり、レピドクロサイト粒子以外に粒状マグネタイ
ト粒子等が混在してくる。
【0062】本発明における酸化反応においては、酸化
反応の進行に伴ってpH値が少しづつ低下するので水酸
化ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加してpH値を7
〜9の範囲に調整することが肝要である。pH値が7未
満の場合には、レピドクロサイト粒子のみを生成させる
ことが困難となり、針状ゲータイト粒子が混在してく
る。pH値が9を越える場合には、レピドクロサイト粒
子のみを生成させることが困難となり、粒状マグネタイ
ト粒子が混在してくる。
【0063】本発明における酸化反応開始から反応終了
までの酸化反応時間は、24時間以下、殊に、12時間
以下である。そのため、単位時間当たりのレピドクロサ
イト粒子粉末の収率(単位容量・単位時間当たりの収
量)が4.3〜15.6kg/m3 ・hrと大きく、工
業的、経済的に有利である。
【0064】尚、レピドクロサイト粒子の生成反応が終
了し、もはや酸化反応が進行しなくなれば、pH値の変
化がなくなることから、pH値が一定となり、もはやp
H調整用NaOH溶液の添加の必要がなくなった時点を
酸化反応の終点とした。
【0065】前述した通りの本発明に係るレピドクロサ
イト粒子粉末の生成反応においては、必要により、核晶
を存在させてもよく、この場合には、長軸径の幾何標準
偏差が1.40以下、換言すれば、粒度分布がより優れ
たレピドクロサイト粒子粉末を生成することができる。
【0066】核晶は、周知の製造法により得られる水酸
化第一鉄コロイドや水酸化第二鉄コロイドやグリーンラ
スト等の鉄の水酸化物、ヘマタイトやマグネタイトやマ
グヘマイト等の鉄の酸化物及びゲータイトやレピドクロ
サイトやアカガナイト等の鉄の含水酸化物のいずれでも
よく、これら核晶は、本発明に係るレピドクロサイト粒
子粉末を製造する為の反応塔と同一の反応塔を用いて製
造してもよいし、別の反応塔を用いて製造してもよい。
目的物であるレピドクロサイト粒子粉末の長軸径の粒度
分布を考慮すれば、凝集粒子が少なく1個1個がバラバ
ラになっている粒子が好ましい。
【0067】好ましい核晶の製造法は、硫酸第一鉄水溶
液と水酸化アルカリ水溶液とFeに対し0.1〜5.0
mol%のリン化合物又はクエン酸化合物若しくは当該
両化合物を、温度25〜55℃、pH7〜9の範囲で混
合して鉄の水酸化物を得る方法や該鉄の水酸化物を含む
懸濁液に、更に、空気を吹き込んでレピドクロサイト核
晶を得る方法などである。
【0068】核晶の存在量は、Fe換算で0.001〜
0.5mol/lが好ましい。0.001mol/l未
満の場合には、核晶が少なすぎるため、粒子の成長が不
均一となり、粒度分布の優れたレピドクロサイト粒子の
生成が困難となる。0.5mol/lを越える場合に
は、核晶が多くなるため、粒子の成長が不十分となる。
【0069】
【本発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は
次の通りである。
【0070】粒子の長軸径及び短軸径は、電子顕微鏡写
真(×30000)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍
に拡大した写真(×120000)に示される粒子約3
50個について、長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、そ
の平均値で示した。
【0071】粒子の厚みは、上記と同様にして準備した
写真に示される粒子のうち、倒立している状態の粒子の
みを抽出し、約100個の粒子の厚みを測定し、その平
均値で示した。
【0072】粒子の長軸径の幾何標準偏差(σg)は下
記の方法により求めた値で示した。即ち、上記拡大写真
に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測定値か
ら計算して求めた粒子の実際の長軸径と個数から統計学
的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子の長軸径
を、縦軸に所定の長軸径区間のそれぞれに属する粒子の
累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットした。そ
して、このグラフから粒子の個数が50%及び84.1
3%のそれぞれに相当する長軸径の値を読み取り、幾何
標準偏差値(σg)=積算フルイ下84.13%におけ
る長軸径/積算フルイ下50%における長軸径(幾何平
均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が
1に近い程、粒子の長軸径の粒度分布が優れていること
を意味する。
【0073】SO4 含有量は、試料5gを300mlの
三角フラスコに秤り取り、純水100mlを加え、約5
分間加熱して煮沸状態にし、粒子表面に存在する難溶性
の含硫鉄塩を溶解させた。得られた上澄み液をNo.5
C濾紙を用いて濾過し、濾液中のSO4 2-を誘導プラズ
マ発光分光分析装置(セイコー電子工業(株)製)を用
いて測定した。
【0074】粉末の色相は、レピドクロサイト粒子粉末
0.5gとヒマシ油0.7ccとをフーバー式マーラー
で練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカ
ー4.5gを加え、混練、塗料化して、キャストコート
紙上に6milのアプリケーターを用いて塗布した塗布
片(塗膜厚み:約30μm)を作成し、該塗膜片につい
て多光源分光測色計MSC−1S−2D(スガ試験機
(株)製)を用い、JIS Z 8729に定めるとこ
ろに従って表色指数L* 値、a* 値及びb* 値をそれぞ
れ測定した値で示した。
【0075】a* 値は赤味を表し、値が大きい程、赤味
が強いことを意味する。b* 値は黄味を表し、値が大き
い程、黄味が強いことを意味する。従って、橙色は、a
* 値とb* 値とで表すことでできる。L* 値は、明度を
示す。
【0076】塗料ビヒクルへの分散性は、後出発明の実
施の形態と同様にして作製した塗布片について、塗布面
の光沢度の大小によって調べた。
【0077】光沢度は、グロスメーターUGV−5D
((株)島津製作所製)を用いて塗布面の60°の光沢
を測定して求めた。光沢度の値が大きい程、分散性が優
れていることを意味する。
【0078】樹脂組成物への分散性は、得られた樹脂組
成物表面における未分散の凝集粒子の個数を目視により
判定し、5段階(1:1cm3 当たりに50個以上。
2:1cm3 当たりに50個未満、3:1cm3 当たり
に10個未満、4:1cm3 当たりに5個未満、:1
cm3 当たりに未分散物なし)で評価した。5が最も分
散状態が良いことを示す。
【0079】隠蔽力は、得られた塗料について、JIS
K 5101−1991「顔料試験方法」の「8.2
隠蔽力」の項に記載されているクリプトメーター法によ
り求めた。隠蔽力は、境界線が隠れて見えなくなる時の
目盛の値で示し、目盛の値が大きい程、隠蔽力が小さい
ことを示す。
【0080】塗料における着色力は、得られた塗料と後
出発明の実施の形態と同一条件下で作成した標準白塗料
(TiO2 :TCR73(株)トーケムプロダクツ製を
使用した標準塗料)とを1:10の割合で混合して得ら
れた着色塗料について、着色の程度を目視で調べ、5段
階評価(1:着色ほとんどなし、2:判明可能程度に着
色、3:明らかに着色、4:かなり着色、5:顕著に着
色)で示した。5が最も着色力が大きいことを示す。
【0081】<レピドクロサイト粒子粉末の製造>先
ず、あらかじめ、下記のA溶液を作製し、35℃のチャ
ンバーに入れた。
【0082】A溶液:8.66gのリン酸水素二ナトリ
ウムを300mlの水に溶解したリン酸水素二ナトリウ
ム溶液に、1.834mol/lの硫酸第一鉄水溶液1
663mlを添加、混合し、更に水を加えて容量270
0mlとした混合溶液。
【0083】次に、レピドクロサイト粒子の生成反応を
行う。
【0084】実効容積5lの気泡塔(リアクター)に投
入した水2000mlを加熱して40℃にした後、15
l/minの速度で空気を通気して攪拌し、次いで、
0.1NのNaOH溶液を添加してpH値を8に調整し
た。pH値の調整を完了した後、直ちに上記35℃であ
らかじめ30分間熟成しておいたA溶液を気泡塔内に4
5ml/minの速度で投入を開始し、60分間投入を
継続した。A溶液の投入中は、気泡塔内の温度を40℃
にコントロールするとともに、NaOHタンクから4.
5NのNaOH水溶液を間歇的に添加して反応スラリー
のpH値を常時8程度に調整した。A溶液の投入が終了
した後も、引き続き、空気を通気して攪拌しながら、温
度を40℃、pH値を8に維持した。反応開始後4.5
時間後に橙色沈澱を得た。
【0085】得られた橙色沈澱を常法により濾過、水洗
した後、80℃で24時間乾燥して乾燥物を得た。収率
は12.04kg/m3 ・時間であった。この乾燥物
は、図1のX線回折図に示す通り、レピドクロサイト粒
子粉末であった。図1中、ピークAはレピドクロサイト
(γ−FeOOH)である。このレピドクロサイト粒子
粉末は、図2の電子顕微鏡写真(×30000)に示す
通り、直方体状を呈した粒子であり、短軸径が0.05
7μm、長軸径が0.12μm、厚みが0.017μm
であって、長軸径:短軸径は2.1:1であった。長軸
径の幾何標準偏差値はσg=1.38であり、粒度分布
の優れたものであった。また、可溶性SO4 は52pp
mであった。
【0086】<溶剤系塗料の製造>140mlのガラス
容器に、上記レピッドクロサイト粒子粉末10gとアミ
ノアルキッド樹脂及びシンナーとを下記の組成割合で配
合して3mmφのガラスビーズ90gとともに投入し、
ペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベース
を作製した。
【0087】 レピッドクロサイト粒子粉末 12.2重量部 アミノアルキッド樹脂 19.5重量部 (アミラックNo.1026 関西ペイント株式会社製) シンナー 7.3重量部
【0088】140mlのガラス容器に、得られたミル
ベースとアミノアルキッド樹脂とを下記の組成割合で配
合したものを投入し、ペイントシェーカーでさらに15
分間混合分散し、溶剤系塗料を得た。
【0089】 ミルベース 39.0重量部 アミノアルキッド樹脂 61.0重量部 (アミラックNo.1026 関西ペイント株式会社製)
【0090】得られた塗料を用いて測定した着色力は
5、隠蔽力は18であった。
【0091】得られた塗料を150μmのアプリケータ
を用いて標準試験板(長さ150mm×幅70mm×厚
み0.8mm、JIS G 3141、冷間圧延鋼板、
日本テストパネル大阪株式会社製)に塗布し、30分間
風乾した後、120℃で30分間焼き付けを行った。
【0092】この塗布片の塗布面の光沢度は89%であ
った。そして、色相は橙色であって、a* 値が23.
3、b* 値が37.0であった。また、L* 値が51.
4であった。
【0093】<水系塗料の製造>140mlのガラス容
器に、上記レピッドクロサイト粒子粉末7.62gと水
溶性アルキッド樹脂、消泡剤及び水とを用い、下記の組
成割合で配合して3mmφのガラスビーズ90gととも
に投入し、ペイントシェーカーで90分間混合分散し、
ミルベースを作製した。
【0094】 レピッドクロサイト粒子粉末 12.4重量部 水溶性アルキッド樹脂 9.0重量部 (S−118 大日本インキ化学工業株式会社製) 消泡剤 0.1重量部 (ノプコ8034 サンノプコ株式会社製) 水 4.8重量部 ブチルセロソルブ 4.1重量部
【0095】140mlのガラス容器に、得られたミル
ベースと水溶性アルキッド樹脂、消泡剤及び水とを下記
の組成割合で配合したものを投入し、ペイントシェーカ
ーでさらに15分間混合分散し、水溶性塗料を得た。
【0096】 ミルベース 30.4重量部 水溶性アルキッド樹脂 46.2重量部 (S−118 大日本インキ化学工業株式会社製) 水溶性メラミン樹脂 12.6重量部 (S−695 大日本インキ化学工業株式会社製) 消泡剤 0.1重量部 (ノプコ8034 サンノプコ株式会社製) 水 9.1重量部 ブチルセロソルブ 1.6重量部
【0097】得られた塗料を用いて測定した着色力は
5、隠蔽力が21であった。
【0098】得られた塗料を用いて前出溶剤系塗料と同
様にして塗布片を得た。
【0099】この塗布片の塗布面の光沢度は83%であ
った。そして、色相は橙色であって、a* 値が23.
1、b* 値が35.2であった。また、L* 値が48.
6であった。
【0100】<樹脂組成物の製造>上記レピドクロサイ
ト粒子粉末1.5gとポリ塩化ビニル樹脂粉末(103
EP8D、日本ゼオン株式会社製)48.5gとを10
0ccのポリビーカーに投入し、スパチュラで良く混合
してレピドクロサイト粒子粉末とポリ塩化ビニル樹脂と
の混合粉末を得た。
【0101】この混合粉末に、ステアリン酸カルシウム
0.5gを加えて、更に混合した混合物を、160℃に
加熱した熱間ロール(クリアランスは0.2mmに設
定。)を用いて、少しづつ練り込んで、混合物が均一に
なるまで混練して樹脂組成物とした。
【0102】この樹脂組成物をロールから剥離した後、
表面研磨されたステンレス板(200mm×200m
m、間隔1mm)の間に挟み、次いで、180℃に加熱
したホットプレス内に入れ、1トン/cm2 の圧力で加
圧成形して、厚さ1mmの着色樹脂プレートを得た。
【0103】得られた着色樹脂プレートは、目視で判定
した分散状態が5であった。そして、色相は橙色であっ
て、a* 値が25.5、b* 値が31.6であった。ま
た、L* 値が46.8であった。
【0104】
【作用】先ず、本発明において最も重要な点は、硫酸第
一鉄水溶液と水酸化アルカリ水溶液とFeに対し0.1
〜5.0mol%のリン化合物又はクエン酸化合物若し
くは当該両化合物とを温度25〜55℃の温度範囲にお
いて混合することにより、鉄の水酸化物を含むpH値が
7〜9の懸濁液を生成し、次いで、該懸濁液に、pH値
を7〜9の範囲に調整しながら25〜55℃の温度範囲
において酸素含有ガスを通気した場合には、短軸径が
0.045〜0.5μm、長軸径が0.05〜1.0μ
mであって、厚みが0.001〜0.3μmである直方
体状を呈しており、且つ、個々の粒子がバラバラである
レピドクロサイト粒子粉末が得られるとともに、pH値
が7〜9の領域で、且つ、25〜55℃の温度範囲にお
いてレピドクロサイト粒子以外の異種粒子が混在するこ
となく安定してレピドクロサイト粒子のみが得られると
いう事実である。
【0105】個々のレピドクロサイト粒子がバラバラで
ある理由について、本発明者は、後出実施例に示す通
り、pH値が7〜9というほぼ中性領域で生成されたも
のであるため、凝集の原因となる難溶性の含硫鉄塩が少
ないことによるもの考えている。
【0106】pH値が7〜9の領域であって、且つ、2
5〜55℃の温度範囲においてレピドクロサイト粒子粉
末を安定して生成させることができる理由について、本
発明者は、後出比較例に示す通り、リン化合物又はクエ
ン酸化合物若しくは当該両化合物を存在させない場合に
は、レピドクロサイト粒子以外の異種粒子が混在してく
ることから、リン化合物又はクエン酸化合物若しくは当
該両化合物の存在が、レピドクロサイト粒子のみを安定
して生成する領域の拡大に影響しているものと考えてい
る。
【0107】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0108】<粒子粉末の製造> 実施例1〜3、比較例1〜7 第一鉄塩水溶液の種類、濃度及び量、リン酸化合物やク
エン酸化合物の種類及び量、アルカリ水溶液の種類及び
濃度、原料の混合方法並びに混合時及び反応時のpH値
及び温度を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形
態と同様にして反応生成物を得た。
【0109】実施例1〜3、比較例4及び比較例6で得
られた粒子は、いずれもX線回折の結果、レピドクロサ
イト粒子粉末のみからなることが認められた。
【0110】比較例1、3及び5で得られた反応生成物
は、X線回折の結果、いずれもレピドクロサイト以外に
マグネタイト(Fe3 4 )が混在していることが認め
られた。
【0111】比較例2で得られた反応生成物のX線回折
図を図3に、電子顕微鏡写真(×30000)を図4に
示す。図3中、ピークAはレピドクロサイト、ピークB
はゲータイト(α−FeOOH)であり、レピドクロサ
イト粒子粉末以外にゲータイト粒子粉末が混在している
ことが認められた。また、図4に示す通り、直方体状粒
子と針状粒子とが混在していた。
【0112】比較例7で得られた反応生成物のX線回折
図を図5に、電子顕微鏡写真(×30000)を図6に
示す。図5中、ピークAはレピドクロサイト、ピークC
はマグネタイトであり、レピドクロサイト粒子粉末以外
にマグネタイト粒子粉末が混在していることが認められ
た。また、図4に示す通り、直方体状粒子と粒状粒子と
が混在していた。
【0113】この時の主要製造条件を表1に、諸特性を
表2に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
【表2】
【0116】<溶剤系塗料の製造> 使用例1〜3、比較使用例1〜7 粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実
施の形態と同様にして溶剤系塗料を得た。
【0117】この時の主要製造条件及び諸特性を表3に
示す。
【0118】
【表3】
【0119】<水系塗料の製造> 使用例4〜6、比較使用例8〜14 粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実
施の形態と同様にして水系塗料を得た。
【0120】この時の主要製造条件及び諸特性を表4に
示す。
【0121】
【表4】
【0122】<樹脂成形物の製造> 使用例7〜9、比較使用例15〜21 粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実
施の形態と同様にして樹脂成形物を得た。
【0123】この時の主要製造条件及び諸特性を表5に
示す。
【0124】
【表5】
【0125】<反応生成物の製造> 実施例4 先ず、あらかじめ、下記のB溶液及びC溶液を作製し、
35℃の別々のチャンバーに入れた。
【0126】B溶液:5.68gのリン酸水素二ナトリ
ウムを300mlの水に溶解したリン酸水素二ナトリウ
ム溶液に、1.834mol/lの硫酸第一鉄水溶液1
091mlを添加、混合し、更に水を加えて容量150
0mlとした混合溶液。
【0127】C溶液:2.98gのリン酸水素二ナトリ
ウムを150mlの水に溶解したリン酸水素二ナトリウ
ムに、1.834mol/lの硫酸第一鉄水溶液572
mlを添加、混合し、更に水を加えて容量1000ml
とした混合溶液。
【0128】次に、核晶の存在下でレピドクロサイト粒
子粉末の生成反応を行う。
【0129】実効容積5lの気泡塔(リアクター)に投
入した水2000mlを加熱して35℃とした後、10
l/minの速度で空気を通気して攪拌しながら、あら
かじめ35℃で30分間熟成した上記C溶液を気泡塔に
添加し、引き続き5分間通気攪拌を行った。
【0130】次に、別に準備した35℃のNaOH水溶
液(18.4NのNaOH水溶液91mlを水に稀釈し
て500mlとし、C溶液に含まれるFeに対して0.
8当量に相当する水溶液とした。)を気泡塔に少しづつ
添加し、添加終了後、さらに5分間、10l/minの
速度で空気を通気して攪拌を行い、核晶反応を行った。
【0131】引き続き、10l/minの速度で空気を
通気して攪拌しながら、40℃に加熱昇温し、次いで、
4.5NのNaOH溶液を少し加えてpH値が8に調整
した。pH値の調整を完了した後、直ちに35℃で30
分間熟成した上記35℃のB溶液を気泡塔内に25ml
/minの速度で投入を開始し、60分間で投入を継続
した。B溶液投入中は、気泡塔内の温度を40℃にコン
トロールするとともに、NaOHタンクから4.5Nの
NaOH水溶液を間歇的に添加して反応スラリーのpH
値を常時8程度に調整した。B溶液の投入が終了した後
も、引き続き、空気を通気しながら、温度を40℃、p
H値を8に維持した。反応開始後8.3時間後に橙色沈
澱を得た。
【0132】得られた橙色沈澱を常法により濾過、水洗
した後、80℃で24時間乾燥して乾燥物を得た。収率
は6.53kg/m3 ・時間であった。この乾燥物は、
X線回折の結果、レピドクロサイト粒子粉末のみが認め
られた。このレピドクロサイト粒子粉末は、電子顕微鏡
観察の結果、直方体状を呈した粒子であり、短軸径が
0.045μm、長軸径が0.090μm、厚みが0.
017μmであって、長軸径:短軸径は2.0:1であ
った。長軸径の幾何標準偏差値はσg=1.32であ
り、粒度分布がより優れたものであった。また、。可溶
性SO4 は90ppmであった。
【0133】実施例5〜7、比較例8 第一鉄塩水溶液の濃度及び量、リン酸化合物やクエン酸
化合物の種類及び量、アルカリ水溶液の種類及び濃度、
原料の混合方法、核晶の種類及び量並びに混合時及び反
応時のpH値及び温度を種々変化させた以外は、実施例
4と同様にして生成反応物を得た。
【0134】実施例5〜7及び比較例8で得られた粒子
は、いずれもX線回折の結果、レピドクロサイト粒子粉
末のみからなることが認められた。
【0135】実施例6で得られた反応生成物のX線回折
図を図7に、電子顕微鏡写真(×30000)を図8に
示す。図7中、ピークAはレピドクロサイトであり、レ
ピドクロサイト粒子粉末のみからなることが認められ
た。
【0136】この時の主要製造条件を表6に、諸特性を
表7に示す。
【0137】
【表6】
【0138】
【表7】
【0139】<溶剤系塗料の製造> 使用例9〜12、比較使用例22 粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、使用例1と同
様にして溶剤系塗料を得た。
【0140】この時の諸特性を表8に示す。
【0141】
【表8】
【0142】<水系塗料の製造> 使用例13〜16、比較使用例23 粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、使用例4と同
様にして水系塗料を得た。
【0143】この時の諸特性を表9に示す。
【0144】
【表9】
【0145】<樹脂成形物の製造> 使用例17〜20、比較使用例24 粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、使用例7と同
様にして樹脂成形物を得た。
【0146】この時の諸特性を表10に示す。
【0147】
【表10】
【0148】
【発明の効果】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末
は、直方体状を呈しており、難溶性含硫鉄塩が少ないこ
とに起因して個々の粒子がバラバラであるので、分散性
が優れているとともに、その形状に起因して着色力及び
隠蔽力に優れているので橙色着色顔料として好適であ
る。
【0149】そして、本発明に係るレピドクロサイト粒
子粉末の製造法によれば、反応塔等腐蝕が生じることな
く、しかも、冷却する必要のない25〜55℃の温度範
囲における反応であるため、多大な熱エネルギーが必要
でなく、工業的、経済的に有利に目的とするレピドクロ
サイト粒子粉末を得ることができる。
【0150】また、その収率も大きいため、工業的、経
済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態で得られた直方体状を呈し
たレピドクロサイト粒子粉末のX線回折図である。
【図2】 発明の実施の形態で得られた直方体状を呈し
たレピドクロサイト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微
鏡写真(×30000)である。
【図3】 比較例2で得られた反応生成物のX線回折図
である。
【図4】 比較例2得られた反応生成物の粒子構造を示
す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図5】 比較例7で得られた反応生成物のX線回折図
である。
【図6】 比較例7得られた反応生成物の粒子構造を示
す電子顕微鏡写真(×30000)である。
【図7】 実施例6で得られた直方体状を呈したレピド
クロサイト粒子粉末のX線回折図である。
【図8】 実施例6で得られた直方体状を呈したレピド
クロサイト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
(×30000)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−183617(JP,A) 特開 平6−92641(JP,A) 特開 平2−279525(JP,A) 特開 平2−271924(JP,A) 特開 昭55−3323(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 49/02 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 短軸径が0.045〜0.5μm、長軸
    径が0.05〜1.0μmであって、厚みが0.001
    〜0.3μmである直方体状を呈したレピドクロサイト
    粒子からなり、前記長軸径の幾何標準偏差値が1.70
    以下であることを特徴とするレピドクロサイト粒子粉
    末。
  2. 【請求項2】 短軸径が0.045〜0.5μm、長軸
    径が0.05〜1.0μmであって、厚みが0.001
    〜0.3μmである直方体状を呈したレピドクロサイト
    粒子からなり、前記長軸径の幾何標準偏差値が1.40
    以下であることを特徴とするレピドクロサイト粒子粉
    末。
  3. 【請求項3】 硫酸第一鉄水溶液と水酸化アルカリ水溶
    液とFeに対し0.1〜5.0mol%のリン化合物又
    はクエン酸化合物若しくは当該両化合物とを温度25〜
    55℃の温度範囲において混合することにより、鉄の水
    酸化物を含むpH値が7〜9の懸濁液を生成し、次い
    で、該懸濁液に、pH値を7〜9の範囲に調整しながら
    25〜55℃の温度範囲において酸素含有ガスを通気し
    て、前記鉄の水酸化物を酸化することを特徴とする請求
    項1記載のレピドクロサイト粒子粉末の製造法。
  4. 【請求項4】 硫酸第一鉄水溶液と水酸化アルカリ水溶
    液とFeに対し0.1〜5.0mol%のリン化合物又
    はクエン酸化合物若しくは当該両化合物とを温度25〜
    55℃の温度範囲において混合することにより、鉄の水
    酸化物を含むpH値が7〜9の懸濁液を生成し、次い
    で、該懸濁液に、核晶の存在下、pH値を7〜9の範囲
    に調整しながら25〜55℃の温度範囲において酸素含
    有ガスを通気して、前記鉄の水酸化物を酸化することを
    特徴とする請求項2記載のレピドクロサイト粒子粉末の
    製造法。
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JP6480715B2 (ja) * 2014-11-20 2019-03-13 Dowaエレクトロニクス株式会社 鉄系酸化物磁性粒子粉の前駆体およびそれを用いた鉄系酸化物磁性粒子粉の製造方法

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