JP3511318B2 - 釣竿とその製造方法 - Google Patents
釣竿とその製造方法Info
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- JP3511318B2 JP3511318B2 JP23065294A JP23065294A JP3511318B2 JP 3511318 B2 JP3511318 B2 JP 3511318B2 JP 23065294 A JP23065294 A JP 23065294A JP 23065294 A JP23065294 A JP 23065294A JP 3511318 B2 JP3511318 B2 JP 3511318B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱硬化性樹脂や熱可塑
性樹脂をマトリックスとし、高強度繊維によって強化し
た釣竿とその製造方法に関する。
性樹脂をマトリックスとし、高強度繊維によって強化し
た釣竿とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度繊維シートの片面に合成樹脂フィ
ルムを接着したシートを、でき上がった竿管本体の外側
表面に合成樹脂層が来るように芯金に巻回して釣竿を形
成し、釣竿外側表面に凹みのない軽量で丈夫な釣竿にせ
んとする方法が特公昭58−293号公報に開示されて
いる。
ルムを接着したシートを、でき上がった竿管本体の外側
表面に合成樹脂層が来るように芯金に巻回して釣竿を形
成し、釣竿外側表面に凹みのない軽量で丈夫な釣竿にせ
んとする方法が特公昭58−293号公報に開示されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上記のよ
うに単に合成樹脂の層で表面を平滑にしようとすれば、
一般に合成樹脂層の肉厚を厚く必要とし、その分重くな
るため、比強度、比弾性の低い釣竿になる。また、加熱
成形時の軟化した合成樹脂層の中にカーボン繊維等の高
強度繊維が入り込み易く、合成樹脂層の肉厚を厚くする
程繊維の蛇行や屈曲等の動きや繊維の乱れが増大するた
め、釣竿強度のばらつきが増大し、ひいては強度低下を
来す問題がある。
うに単に合成樹脂の層で表面を平滑にしようとすれば、
一般に合成樹脂層の肉厚を厚く必要とし、その分重くな
るため、比強度、比弾性の低い釣竿になる。また、加熱
成形時の軟化した合成樹脂層の中にカーボン繊維等の高
強度繊維が入り込み易く、合成樹脂層の肉厚を厚くする
程繊維の蛇行や屈曲等の動きや繊維の乱れが増大するた
め、釣竿強度のばらつきが増大し、ひいては強度低下を
来す問題がある。
【0004】依って本発明は、極薄の合成樹脂層によっ
て釣竿表面を平滑にして強度を向上させると共に、軽量
化に反せず、比強度、比弾性の優れた釣竿とその製造方
法の提供を目的とする。
て釣竿表面を平滑にして強度を向上させると共に、軽量
化に反せず、比強度、比弾性の優れた釣竿とその製造方
法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて本発明
は請求項1に対応して、合成樹脂をマトリックスとして
高強度繊維によって補強された竿管本体層の表面に、前
記合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有する合成樹脂
材料からなり、かつ、前記竿管本体層の表面近傍の高強
度繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚の合成樹脂層を一
体的に加熱形成したことを特徴とする釣竿を提供する。
本明細書でいう表面とは、竿管本体層の外側表面でもよ
く、また、内側表面でもよい意味である。従って、内と
外の両側表面の場合、一側だけの表面の場合がある。ま
た、成形温度とは、マトリックス合成樹脂が熱硬化性樹
脂の場合は硬化温度、熱可塑性樹脂の場合は融点を意味
する。
は請求項1に対応して、合成樹脂をマトリックスとして
高強度繊維によって補強された竿管本体層の表面に、前
記合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有する合成樹脂
材料からなり、かつ、前記竿管本体層の表面近傍の高強
度繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚の合成樹脂層を一
体的に加熱形成したことを特徴とする釣竿を提供する。
本明細書でいう表面とは、竿管本体層の外側表面でもよ
く、また、内側表面でもよい意味である。従って、内と
外の両側表面の場合、一側だけの表面の場合がある。ま
た、成形温度とは、マトリックス合成樹脂が熱硬化性樹
脂の場合は硬化温度、熱可塑性樹脂の場合は融点を意味
する。
【0006】請求項2に対応して、加熱すると合成樹脂
をマトリックスとして高強度繊維によって補強された状
態になるシートを巻回した竿管本体巻回層の表面に、前
記合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有する合成樹脂
材料からなり、かつ、前記竿管本体巻回層の表面近傍の
高強度繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚のシートかテ
ープを巻装し、成形温度にまで加熱して前記竿管本体巻
回層の表面に極薄肉厚合成樹脂層を一体的に形成するこ
とを特徴とする釣竿の製造方法を提供する。
をマトリックスとして高強度繊維によって補強された状
態になるシートを巻回した竿管本体巻回層の表面に、前
記合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有する合成樹脂
材料からなり、かつ、前記竿管本体巻回層の表面近傍の
高強度繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚のシートかテ
ープを巻装し、成形温度にまで加熱して前記竿管本体巻
回層の表面に極薄肉厚合成樹脂層を一体的に形成するこ
とを特徴とする釣竿の製造方法を提供する。
【0007】
【作用】前者では、極薄肉厚の合成樹脂層は、竿管本体
層の合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有する合成樹
脂材料からなるため、所定の加熱温度にまで加熱した際
に、竿管本体層形成用の巻回層の合成樹脂が流動しても
その表面の合成樹脂材料は流動しておらず、流動状態の
竿管本体巻回層を押えて保持する作用を果たす。その後
に所定の成形温度まで高めれば、合成樹脂材料は軟化
し、竿管本体層の合成樹脂と混合することなく層状態の
まま竿管本体層表面に一体化され、釣竿表面を平滑にで
きる。
層の合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有する合成樹
脂材料からなるため、所定の加熱温度にまで加熱した際
に、竿管本体層形成用の巻回層の合成樹脂が流動しても
その表面の合成樹脂材料は流動しておらず、流動状態の
竿管本体巻回層を押えて保持する作用を果たす。その後
に所定の成形温度まで高めれば、合成樹脂材料は軟化
し、竿管本体層の合成樹脂と混合することなく層状態の
まま竿管本体層表面に一体化され、釣竿表面を平滑にで
きる。
【0008】竿管本体層形成用の巻回層の表面にこの合
成樹脂材料のシートやテープとして前記竿管本体層の表
面近傍の高強度繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚のも
のを使用すれば、極薄のため軽量化に反しない。また、
合成樹脂材料のシートやテープを竿管本体層の表面に巻
装すれば、夫々竿管本体層の円周の一部分又は長手方向
の一部分で重なってそれらの位置に段差ができ、竿管本
体層の表面近傍の高強度繊維が移動したり、蛇行した
り、屈曲したりするが、前記シートやテープが極薄厚さ
であるため、この段差もその極薄厚さ相当であり、繊維
の移動、蛇行、屈曲が殆ど生じない。従って、厚いシー
トやテープを使用する場合に比較して竿管の強度が安定
して強く、軽量であることとも併せて比強度が向上し、
同様に軽量であることから比弾性も向上する。
成樹脂材料のシートやテープとして前記竿管本体層の表
面近傍の高強度繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚のも
のを使用すれば、極薄のため軽量化に反しない。また、
合成樹脂材料のシートやテープを竿管本体層の表面に巻
装すれば、夫々竿管本体層の円周の一部分又は長手方向
の一部分で重なってそれらの位置に段差ができ、竿管本
体層の表面近傍の高強度繊維が移動したり、蛇行した
り、屈曲したりするが、前記シートやテープが極薄厚さ
であるため、この段差もその極薄厚さ相当であり、繊維
の移動、蛇行、屈曲が殆ど生じない。従って、厚いシー
トやテープを使用する場合に比較して竿管の強度が安定
して強く、軽量であることとも併せて比強度が向上し、
同様に軽量であることから比弾性も向上する。
【0009】後者では、竿管本体巻回層の表面に、該竿
管本体巻回層の合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有
する合成樹脂材料からなるシートかテープを巻装するた
め、加熱途中温度で前記竿管本体巻回層の合成樹脂が流
動するが、上記シートやテープはまだ流動しておらず、
竿管本体巻回層を押えて保持しており、流動による繊維
の移動や蛇行を防止できる。その後所定の成形温度にま
で加熱して、これらシートやテープが軟化し、竿管本体
巻回層に一体化される。また、このシートやテープを竿
管本体巻回層の表面に巻装した際に、竿管本体巻回層表
面の円周の一部分又は長手方向の一部分で重なってそれ
らの位置に段差ができ、加熱成形時に竿管本体巻回層の
表面近傍の高強度繊維が移動したり、蛇行したり、屈曲
したりするが、前記竿管本体巻回層の表面近傍の高強度
繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚であるため、この段
差もその極薄厚さ相当であり、繊維の移動、蛇行、屈曲
が殆ど生じない。従って、厚いシートやテープを使用す
る場合に比較して強度が安定して強く、極薄のため軽量
であることとも併せて比強度が向上し、軽量であること
から比弾性も向上する。
管本体巻回層の合成樹脂の成形温度よりも高い融点を有
する合成樹脂材料からなるシートかテープを巻装するた
め、加熱途中温度で前記竿管本体巻回層の合成樹脂が流
動するが、上記シートやテープはまだ流動しておらず、
竿管本体巻回層を押えて保持しており、流動による繊維
の移動や蛇行を防止できる。その後所定の成形温度にま
で加熱して、これらシートやテープが軟化し、竿管本体
巻回層に一体化される。また、このシートやテープを竿
管本体巻回層の表面に巻装した際に、竿管本体巻回層表
面の円周の一部分又は長手方向の一部分で重なってそれ
らの位置に段差ができ、加熱成形時に竿管本体巻回層の
表面近傍の高強度繊維が移動したり、蛇行したり、屈曲
したりするが、前記竿管本体巻回層の表面近傍の高強度
繊維の平均直径程度以下の極薄肉厚であるため、この段
差もその極薄厚さ相当であり、繊維の移動、蛇行、屈曲
が殆ど生じない。従って、厚いシートやテープを使用す
る場合に比較して強度が安定して強く、極薄のため軽量
であることとも併せて比強度が向上し、軽量であること
から比弾性も向上する。
【0010】
【実施例】以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づ
き、更に詳細に説明する。図1は本発明に係る釣竿竿管
の部分破断図を示す。このB部を図2において拡大して
いる。繊維の長さ方向が主として竿管の略長手方向に指
向するように配向された軸長方向層10Aと、その外側
表面において繊維が主として竿管の略円周方向に指向す
るように配向された外側補強層10Bと、その内側表面
において繊維が主として竿管の略円周方向に指向するよ
うに配向された内側補強層10Cとが竿管本体層10を
構成している。本発明では、この竿管本体層10の外側
と内側の各表面に極薄肉厚の合成樹脂層12、14を一
体的に形成している。更に外側表面の合成樹脂層12の
外側には、塗膜層16が塗装形成されている。
き、更に詳細に説明する。図1は本発明に係る釣竿竿管
の部分破断図を示す。このB部を図2において拡大して
いる。繊維の長さ方向が主として竿管の略長手方向に指
向するように配向された軸長方向層10Aと、その外側
表面において繊維が主として竿管の略円周方向に指向す
るように配向された外側補強層10Bと、その内側表面
において繊維が主として竿管の略円周方向に指向するよ
うに配向された内側補強層10Cとが竿管本体層10を
構成している。本発明では、この竿管本体層10の外側
と内側の各表面に極薄肉厚の合成樹脂層12、14を一
体的に形成している。更に外側表面の合成樹脂層12の
外側には、塗膜層16が塗装形成されている。
【0011】上記竿管本体層10の高強度繊維は、例え
ば炭素繊維であり、含浸されたマトリックス合成樹脂は
熱硬化性のエポキシ樹脂である。一方、内外の合成樹脂
層12、14には、エポキシ樹脂に対して接着性の良い
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン
ナフタレート(PEN)が使用される。夫々の融点は2
65℃(PET),275℃(PEN)であり、上記熱
硬化性のエポキシ樹脂の成形温度(硬化温度)よりも高
い。然しながら、これらの合成樹脂層に熱可塑性でなく
て、竿管本体層10と同様に熱硬化性樹脂を使用しても
良い。但し、竿管本体層の合成樹脂の成形温度よりも融
点が高いことが条件である。更には、竿管本体層に熱可
塑性樹脂を使用した竿管の場合でも、内外の合成樹脂層
12、14に上記のような熱可塑性樹脂を用いても良
い。但し、竿管本体層の合成樹脂の成形温度(融点)よ
りも融点の高いことが条件である。
ば炭素繊維であり、含浸されたマトリックス合成樹脂は
熱硬化性のエポキシ樹脂である。一方、内外の合成樹脂
層12、14には、エポキシ樹脂に対して接着性の良い
ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン
ナフタレート(PEN)が使用される。夫々の融点は2
65℃(PET),275℃(PEN)であり、上記熱
硬化性のエポキシ樹脂の成形温度(硬化温度)よりも高
い。然しながら、これらの合成樹脂層に熱可塑性でなく
て、竿管本体層10と同様に熱硬化性樹脂を使用しても
良い。但し、竿管本体層の合成樹脂の成形温度よりも融
点が高いことが条件である。更には、竿管本体層に熱可
塑性樹脂を使用した竿管の場合でも、内外の合成樹脂層
12、14に上記のような熱可塑性樹脂を用いても良
い。但し、竿管本体層の合成樹脂の成形温度(融点)よ
りも融点の高いことが条件である。
【0012】また、合成樹脂層は竿管本体層10の内外
の両表面に形成しているが、何れか一方だけの場合もあ
る。更には、この層の厚さは、竿管本体層10の表面近
傍、即ち、外側補強層10B又は内側補強層10Cの炭
素繊維の平均直径(商品名により異なるが6〜9ミクロ
ン)程度以下の極薄肉厚であるが、9ミクロン程度の直
径の炭素繊維に対して、好ましくは半径程度の5ミクロ
ン以下、更に好ましくは1ミクロン程度(2.5ミクロ
ン〜0.5ミクロン)の厚さの層にする。ガラス繊維は
直径が10ミクロン程度であり、アラミド繊維の直径は
12ミクロン程度であるため、これらの高強度繊維の場
合も、好ましくは5ミクロン以下、更に好ましくは1ミ
クロン程度(2.5ミクロン〜0.5ミクロン)の厚さ
の極薄層に設定する。ここでは1.2ミクロンの厚さに
設定している。
の両表面に形成しているが、何れか一方だけの場合もあ
る。更には、この層の厚さは、竿管本体層10の表面近
傍、即ち、外側補強層10B又は内側補強層10Cの炭
素繊維の平均直径(商品名により異なるが6〜9ミクロ
ン)程度以下の極薄肉厚であるが、9ミクロン程度の直
径の炭素繊維に対して、好ましくは半径程度の5ミクロ
ン以下、更に好ましくは1ミクロン程度(2.5ミクロ
ン〜0.5ミクロン)の厚さの層にする。ガラス繊維は
直径が10ミクロン程度であり、アラミド繊維の直径は
12ミクロン程度であるため、これらの高強度繊維の場
合も、好ましくは5ミクロン以下、更に好ましくは1ミ
クロン程度(2.5ミクロン〜0.5ミクロン)の厚さ
の極薄層に設定する。ここでは1.2ミクロンの厚さに
設定している。
【0013】この釣竿竿管の製造は、芯金18(図4)
に上述した薄肉厚の上記PET製のシートやテープを巻
回し、この上に繊維を主として一方向に引き揃え、エポ
キシ樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグを、その
繊維方向が略円周方向に指向するように配向して巻回
し、その上に繊維を主として一方向に引き揃え、エポキ
シ樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグを、その繊
維方向が略長手方向に指向するように配向して巻回し、
この上に繊維を主として一方向に引き揃え、エポキシ樹
脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグを、その繊維方
向が略円周方向に指向するように配向して巻回し、更に
その上に上述した薄肉厚の上記PET製のシートやテー
プを巻回し、この上から緊締テープを巻回する。この緊
締テープはその温度膨張係数や熱収縮率が小さいことと
融点が高いことより上記PENが適する。
に上述した薄肉厚の上記PET製のシートやテープを巻
回し、この上に繊維を主として一方向に引き揃え、エポ
キシ樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグを、その
繊維方向が略円周方向に指向するように配向して巻回
し、その上に繊維を主として一方向に引き揃え、エポキ
シ樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグを、その繊
維方向が略長手方向に指向するように配向して巻回し、
この上に繊維を主として一方向に引き揃え、エポキシ樹
脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグを、その繊維方
向が略円周方向に指向するように配向して巻回し、更に
その上に上述した薄肉厚の上記PET製のシートやテー
プを巻回し、この上から緊締テープを巻回する。この緊
締テープはその温度膨張係数や熱収縮率が小さいことと
融点が高いことより上記PENが適する。
【0014】こうして準備した素材を、成形温度まで加
熱する。その後冷却して緊締テープを取り除き、外側表
面に塗装すれば、図1や図2に示す釣竿竿管が形成され
る。この場合、上記成形温度よりも高く、PETがある
程度軟化流動する程度まで加熱して一体化を促進させて
もよい。合成樹脂層12、14を構成する合成樹脂材料
の融点が、竿管本体層10の合成樹脂の成形温度よりも
高いことにより、この成形温度まで加熱すれば、その途
中温度において竿管本体層10の合成樹脂が流動する
が、この温度では合成樹脂層の合成樹脂材料は流動して
おらず、流動状態の竿管本体層10を保持でき、流動に
よる繊維の移動や蛇行を防止できる。
熱する。その後冷却して緊締テープを取り除き、外側表
面に塗装すれば、図1や図2に示す釣竿竿管が形成され
る。この場合、上記成形温度よりも高く、PETがある
程度軟化流動する程度まで加熱して一体化を促進させて
もよい。合成樹脂層12、14を構成する合成樹脂材料
の融点が、竿管本体層10の合成樹脂の成形温度よりも
高いことにより、この成形温度まで加熱すれば、その途
中温度において竿管本体層10の合成樹脂が流動する
が、この温度では合成樹脂層の合成樹脂材料は流動して
おらず、流動状態の竿管本体層10を保持でき、流動に
よる繊維の移動や蛇行を防止できる。
【0015】最終の温度まで加熱すれば、PETシート
やテープは軟化し、その厚さ程度のまま層状で竿管本体
層10に一体化する。従って、極薄の合成樹脂層であっ
ても竿管本体層10の表面を覆って平滑にできる。ま
た、こうして形成した極薄の合成樹脂層12、14を有
する竿管は、厚肉の合成樹脂層を形成する場合よりも強
度のばらつきが少なく、比強度、比弾性が向上する理由
を図3と図4を参照しながら説明する。
やテープは軟化し、その厚さ程度のまま層状で竿管本体
層10に一体化する。従って、極薄の合成樹脂層であっ
ても竿管本体層10の表面を覆って平滑にできる。ま
た、こうして形成した極薄の合成樹脂層12、14を有
する竿管は、厚肉の合成樹脂層を形成する場合よりも強
度のばらつきが少なく、比強度、比弾性が向上する理由
を図3と図4を参照しながら説明する。
【0016】図3は本発明と異なり、厚肉の合成樹脂テ
ープ12Tを、竿管本体層用プリプレグの巻回層10
A’、10B’の外側表面に巻回した状態を示す。この
テープのように竿管本体層用プリプレグ巻回層の表面近
傍(巻回層10B’)の高強度繊維の平均直径の、例え
ば2倍程度の厚みを有していれば、軸長方向においてテ
ープの重なった領域C部分でテープ12Tの厚み程度の
段差が生じ、加熱成形時に巻回層10B’の高強度繊維
が移動、蛇行、屈曲する。
ープ12Tを、竿管本体層用プリプレグの巻回層10
A’、10B’の外側表面に巻回した状態を示す。この
テープのように竿管本体層用プリプレグ巻回層の表面近
傍(巻回層10B’)の高強度繊維の平均直径の、例え
ば2倍程度の厚みを有していれば、軸長方向においてテ
ープの重なった領域C部分でテープ12Tの厚み程度の
段差が生じ、加熱成形時に巻回層10B’の高強度繊維
が移動、蛇行、屈曲する。
【0017】また、図4は本発明と異なり、厚肉の合成
樹脂シート12Sを、竿管本体層用プリプレグの巻回層
の外側表面に巻回した状態を示す。このシートのように
竿管本体層用プリプレグ巻回層の表面近傍(巻回層10
B’)の高強度繊維の平均直径の、例えば2倍程度の厚
みを有していれば、円周方向においてシートの重なった
領域D部分でシート12Sの厚み程度の段差が生じ、加
熱成形時に巻回層10B’の高強度繊維が移動、蛇行、
屈曲する。このように段差が生じて高強度繊維の移動、
蛇行、屈曲が生ずると釣竿竿管の強度がばらつき、強度
低下をもたらす。
樹脂シート12Sを、竿管本体層用プリプレグの巻回層
の外側表面に巻回した状態を示す。このシートのように
竿管本体層用プリプレグ巻回層の表面近傍(巻回層10
B’)の高強度繊維の平均直径の、例えば2倍程度の厚
みを有していれば、円周方向においてシートの重なった
領域D部分でシート12Sの厚み程度の段差が生じ、加
熱成形時に巻回層10B’の高強度繊維が移動、蛇行、
屈曲する。このように段差が生じて高強度繊維の移動、
蛇行、屈曲が生ずると釣竿竿管の強度がばらつき、強度
低下をもたらす。
【0018】そこで本発明は、上記段差を極力小さくし
て繊維の移動、蛇行、屈曲を生じさせないようにすべく
極薄のシートやテープを使用して極薄の合成樹脂層を形
成している。即ち、竿管本体層の表面近傍の高強度繊維
平均直径程度以下、好ましくは半径程度以下、更に好ま
しくは1ミクロン程度に設定して、段差を殆ど生じさせ
ないと共に、軽量化に寄与させている。従って、図3や
図4に示すような厚肉のテープやシートによって形成さ
れた釣竿竿管に比べて比強度が向上し、また、軽量であ
ることから比弾性も向上する。従って、軽量で使い易い
釣竿が提供可能になる。
て繊維の移動、蛇行、屈曲を生じさせないようにすべく
極薄のシートやテープを使用して極薄の合成樹脂層を形
成している。即ち、竿管本体層の表面近傍の高強度繊維
平均直径程度以下、好ましくは半径程度以下、更に好ま
しくは1ミクロン程度に設定して、段差を殆ど生じさせ
ないと共に、軽量化に寄与させている。従って、図3や
図4に示すような厚肉のテープやシートによって形成さ
れた釣竿竿管に比べて比強度が向上し、また、軽量であ
ることから比弾性も向上する。従って、軽量で使い易い
釣竿が提供可能になる。
【0019】以上では、竿管本体層の外側表面に合成樹
脂層を形成する場合について説明したが、内側表面に形
成する場合についても同様である。
脂層を形成する場合について説明したが、内側表面に形
成する場合についても同様である。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、竿管本体層の合成樹脂の成形温度よりも高い融
点を有する合成樹脂材料によって極薄の合成樹脂層を一
体的に形成するため、竿管本体層の表面が平滑になり、
高強度繊維の移動、蛇行、屈曲が防止されて釣竿の強度
が向上し、軽量化にも反せず、比強度、比弾性が向上す
る。また、竿管本体層の内側表面に合成樹脂層を形成す
れば、竿管本体層内側表面の凹所を覆って平滑にするた
め、特に中通し釣竿では竿管層内への水の浸入が防止さ
れて使用時に重くなることが防止されると共に、釣竿の
耐久性が向上し、また、平滑化のために釣糸の挿通抵抗
が低減される。外側表面に形成した場合も、塗膜層がな
くても同様に水の浸入を防止でき、その耐久性が向上す
る。
よれば、竿管本体層の合成樹脂の成形温度よりも高い融
点を有する合成樹脂材料によって極薄の合成樹脂層を一
体的に形成するため、竿管本体層の表面が平滑になり、
高強度繊維の移動、蛇行、屈曲が防止されて釣竿の強度
が向上し、軽量化にも反せず、比強度、比弾性が向上す
る。また、竿管本体層の内側表面に合成樹脂層を形成す
れば、竿管本体層内側表面の凹所を覆って平滑にするた
め、特に中通し釣竿では竿管層内への水の浸入が防止さ
れて使用時に重くなることが防止されると共に、釣竿の
耐久性が向上し、また、平滑化のために釣糸の挿通抵抗
が低減される。外側表面に形成した場合も、塗膜層がな
くても同様に水の浸入を防止でき、その耐久性が向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る釣竿の部分断面図である。
【図2】図2は図1のB部の拡大図である。
【図3】図3は本発明の作用説明補助図である。
【図4】図4は本発明の作用説明補助図である。
10 竿管本体層
12,14 極薄合成樹脂層
12T 厚肉テープ
12S 厚肉シート
16 塗膜層
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 実開 平3−126466(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A01K 87/00
Claims (2)
- 【請求項1】 合成樹脂をマトリックスとして高強度繊
維により補強された竿管本体層の表面に、前記合成樹脂
の成形温度よりも高い融点を有する合成樹脂材料からな
り、かつ前記竿管本体層の表面近傍の高強度繊維の平均
直径程度以下の極薄肉厚の合成樹脂層を一体的に加熱形
成したことを特徴とする釣竿。 - 【請求項2】 加熱すると合成樹脂をマトリックスとし
て高強度繊維によって補強された状態になるシートを巻
回した竿管本体巻回層の表面に、前記合成樹脂の成形温
度よりも高い融点を有する合成樹脂材料からなり、か
つ、前記竿管本体巻回層の表面近傍の高強度繊維の平均
直径程度以下の極薄肉厚のシートかテープを巻装し、 成形温度にまで加熱して前記竿管本体巻回層の表面に極
薄肉厚合成樹脂層を一体的に形成することを特徴とする
釣竿の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23065294A JP3511318B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 釣竿とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23065294A JP3511318B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 釣竿とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0870733A JPH0870733A (ja) | 1996-03-19 |
JP3511318B2 true JP3511318B2 (ja) | 2004-03-29 |
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ID=16911160
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23065294A Expired - Fee Related JP3511318B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 釣竿とその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3511318B2 (ja) |
-
1994
- 1994-08-31 JP JP23065294A patent/JP3511318B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH0870733A (ja) | 1996-03-19 |
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