JP3510801B2 - ゴムローラ基体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

ゴムローラ基体の製造方法及び製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば事務機器に
用いる紙送りローラ等として好適なゴムローラのための
ゴムローラ基体を、能率良く安価にかつ高精度で製造し
うるゴムローラ基体の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機、ファクシミリー機、プ
リンター機などの事務機器には、例えば紙送りローラ等
として種々のゴムローラが用いられており、このゴムロ
ーラは、通常、合成樹脂製或いは金属製の製品用芯体の
外周に、予め所定の製品寸法に加工した管状のゴムロー
ラ基体を圧入することにより製造している。
【0003】又このようなゴムローラ基体の製造方法と
して、一般的には、図5に示すように、 (1)プレス成型機や押出し成型機等を用いて既加硫の
長尺な管状体aを作成するステップ; (2)この管状体aを、研磨加工用の第1の仮芯bに嵌
挿し、例えば円筒研削盤等を用いて前記管状体aを表面
研磨するとともに、その後、管状体aから前記第1の仮
芯bを抜取るステップ;及び (3)この研磨した管状体aを、切断加工用の第2の仮
芯cに嵌挿し、切断機dで所定巾毎に切断した後、前記
第2の仮芯cを抜取ることにより、複数に切断されたゴ
ムローラ基体eを得るステップ;を具えている。
【0004】ここで、前記(2)で使用する第1の仮芯
bには、管状体aの肉厚精度の維持のために高い寸法精
度が要求され、従ってステンレス、アルミ、或いはメッ
キ処理した鉄等の金属製の芯材が必要となる。これに対
して、前記(3)で使用する第2の仮芯cにおいては、
管状体aを完全に切断するためにカット刃d1を第2の
仮芯cに接触させて切断する必要があり、従って、第2
の仮芯cでは、カット刃を痛めないためにポリウレタン
等の軟質の合成樹脂材で形成するとともに、傷付いた仮
芯cは順次交換することとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の製
造方法では、前記研磨加工と切断加工とで夫々異なる仮
芯b、cを使用する必要があるため、仮芯の嵌挿/抜取
りの工程を二度行わねばならす、工程簡略化の障害及び
コストアップの原因となってる。又仮芯の嵌挿時に管状
体aに歪みが生じてしまうことは、その工程上止むを得
ないが、二度の嵌挿工程をへることで、歪みの危険性が
倍増し、その結果、特に第2の仮芯cの嵌挿時の歪みが
原因して、切断巾の寸法精度不良が頻発するという問題
もある。
【0006】そこで本発明は、前記第1、第2の仮芯の
寸法形状を工夫し共用化を図ることを基本として、仮芯
の嵌挿/抜取りの工程数を半減でき、ゴムローラ基体を
能率良く安価にしかも高精度を有して製造することが可
能となり、前記問題点を解決しうるゴムローラ基体の製
造方法及び製造装置の提供を目的としている。
【0007】前記目的を達成するために、本件請求項1
に係る発明は、成形されたゴム製の長尺管状体の外周面
を研磨するとともに、研磨された長尺管状体を切断しゴ
ムローラ用のゴムローラ基体を製造するゴムローラ基体
の製造方法であって、前記長尺管状体の中心孔内に締め
代を有して嵌挿される金属製の基軸の外周に、切断用の
周方向の逃げ溝が設けられた共用芯金を支持して回転す
るとともに、この長尺管状体を研磨した後、前記逃げ溝
に合わせて前記研磨された長尺管状体を切断することを
特徴としている。
【0008】又請求項2に係る発明は、請求項1のゴム
ローラ基体の製造方法で用いるゴムローラ基体の製造装
置であって、前記長尺管状体の中心孔内に締め代を有し
て嵌挿される金属製の基軸の外周に、切断用の周方向の
逃げ溝が設けられた共用芯金を支持して回転する芯金支
持手段と、前記共用芯金に嵌挿された長尺管状体を研磨
する研磨手段と、この研磨された管状体を前記逃げ溝に
合わせて切断する切断手段とを具えてなるゴムローラ基
体の製造装置。
【0009】又請求項3の発明の製造装置では、前記長
尺管状体は、研磨後の管壁の厚さTを1.5mm以上と
し、かつ前記共用芯金の外径Daと長尺管状体の中心孔
の内径Dbとの差Da−Dbを、前記外径Daの0.0
5〜0.2倍としたことを特徴としている。
【0010】又請求項4の発明の製造装置では、前記共
用芯金は、前記逃げ溝の溝中心間の距離L1を5.0m
m以上とし、しかも逃げ溝の溝巾W1を0.5〜3.0
mm、かつ溝深さH1を1.0mm以上としたことを特
徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のゴムローラ基体の
製造方法を、製造装置の実施の形態とともに、図面に基
づき説明する。図1は、ゴムローラ基体の製造装置1を
示す概念図であり、製造装置1は、ゴム製の長尺管状体
2を嵌挿する共用芯金3を支持して回転する芯金支持手
段4と、前記共用芯金3に嵌挿された長尺管状体2を研
磨する研磨手段5と、この研磨された長尺管状体2を切
断する切断手段6とを具えている。
【0012】なお前記長尺管状体2は、従来と同様に、
プレス成型機や押出し成型機等を用いて成形されかつ加
硫することにより形成される。この長尺管状体2として
種々のゴム材が使用できるが、例えば熱可塑性エラスト
マなどの非熱加硫形のゴム材からなる場合には、当然の
ことながら加硫工程は排除できる。
【0013】又前記製造装置1で用いる共用芯金3は、
図2に示すように、前記長尺管状体2の中心孔2A内に
締め代を有して嵌挿される金属製の基軸9の外周に、周
方向にのびる切断用の複数の逃げ溝10・・・を、製造す
るゴムローラ基体7の設定長さL0に相当する間隔を有
して形成している。この共用芯金3は、従来の仮芯b、
cを共用化するものであって、前記長尺管状体2の研磨
のために高い寸法精度が必要である。そのため、例えば
ステンレス、アルミ、メッキ処理した鉄等の金属材料で
形成される。
【0014】又前記芯金支持手段4は、前記共用芯金3
の両端を着脱自在にかつ一体回転可能に保持する一対の
チャック部11を有し、このチャック部11は電動機に
接続している。従って、前記芯金支持手段4は、電動機
による駆動によって前記長尺管状体2を共用芯金3と一
体に回転させる。
【0015】又前記研磨手段5は、例えば高速回転可能
に支持される円盤状の砥石12を有し、この砥石12
は、前記共用芯金3の軸心と平行な横方向、並びに軸心
と直角な前後(近離)方向に向かって、前記共用芯金3
と相対移動可能に保持される。従って、回転する長尺管
状体2に対して、砥石12を接触させながら横方向に相
対移動させることにより、前記研磨手段5は、長尺管状
体2が所定のゴム厚さTになるまで研磨できる。
【0016】又前記切断手段6は、前記の研磨の後、
磨された前記長尺管状体2を前記逃げ溝10に合わせて
切断するカッター刃13Aを有する。本例では、切断手
段6は、複数のカッター刃13A・・・ を、前記設定
長さL0に相当する間隔を有して互いに平行に横方向に
隔設したカッター13を具え、このカッター13は、前
後方向に向かって前記共用芯金3と相対移動可能に保持
される。
【0017】従って、図3(A)、(B)に示すよう
に、前記カッター13が前進移動する際、各カッター刃
13Aは、共用芯金3の前記逃げ溝10内に進入するこ
とができるため、前記長尺管状体2の管壁を完全に突っ
切ることが可能となり、この長尺管状体2を複数のゴム
ローラ基体7・・・に確実に切断しうる。このとき、各カ
ッター刃13Aは、前記逃げ溝10によって共用芯金3
との接触が防止されるため、双方の損傷を防ぐことが可
能となる。この損傷防止のために、前記切断手段6に
は、カッター13の前進移動の終端位置を規制し、カッ
ター刃13Aと逃げ溝10の溝底との間に間隙Gを確保
するためのストッパー(図示しない)を設けることが好
ましい。
【0018】このように、前記逃げ溝10を設けること
により、1本の共用芯金3を用いて、長尺管状体2の研
磨と切断との双方を行うことが可能となるのである。そ
の結果、従来に比べ芯金の嵌挿/抜取りの工程数を半減
でき、生産効率を高めかつコストダウンを達成しうる。
しかも、研磨から切断に至り芯金の交換がなくなるた
め、この交換による歪みの発生がなくなり、切断巾の寸
法不良の発生を一掃することができる。
【0019】ここで、前記共用芯金3は、前記長尺管状
体2をスリップ並びに位置ズレすることなく一体に保持
することが必要である。そのために、図4(A)、
(B)に示すように、前記基軸部9の外径Daと長尺管
状体2の中心孔2Aの内径Dbとの差Da−Dbを、前
記外径Daの0.05〜0.2倍とすることが好まし
い。なお前記差Da−Dbが0.05×Da未満の時、
研磨の際に長尺管状体2がスリップしやすく、研磨精度
を損ねる恐れがある。逆に0.2×Daを越えると、長
尺管状体2への挿入がきつくなり装着性を損ねる或いは
装着を困難とする。
【0020】又研磨後の長尺管状体2のゴム厚さTが少
なすぎると、前記逃げ溝10の輪郭がゴム表面に表れる
などゴム厚さの均一性が減じる傾向となる。従って、研
磨後の前記ゴム厚さTが1.5mm以上である製品(ゴ
ムローラ基体7)の製造には適しているが、それ未満で
は、使用は望ましくない。
【0021】又共用芯金3では、前記逃げ溝10の溝中
心間の距離L1(図2、3に示す)が減少するにしたが
って切断箇所が増加するため、長尺管状体2の回転に対
する切断時の抵抗が大きくなる。従って、前記距離L1
が過小な場合には、前記抵抗によって長尺管状体2の回
転にスリップを招くという問題があり、そのために前記
距離L1は5.0mm以上であることが望ましい。すな
わち長さLOが5.0mm以上の製品(ゴムローラ基体
7)の製造には適しているが、それ未満ではあまり適し
ていない。
【0022】又逃げ溝10では、その溝巾W1(図3
(B)に示す)は0.5〜3.0mmの範囲、溝深さH
1(図3(B)に示す)は1.0mm以上であることが
好ましい。これは、前記溝巾W1が0.5mm未満で
は、逃げ溝10内にカット刃13Aが入らない恐れがあ
り、又3.0mmを越えると、研磨時に逃げ溝10内に
入り込む長尺管状体2のゴム量が増し、ゴム厚さの均一
性を損ねる危険性があるからである。又前記溝深さH1
が1.0mm未満では、溝底とカット刃13Aとの接触
を招いたり或いは切断不良を招いたりするからである。
【0023】
【実施例】図2に示す構造の共用芯金を表1の仕様に基
づき試作するとともに、その共用芯金を用いて長尺管状
体に研磨加工及び切断加工を行うことによって複数のゴ
ムローラ基体を製造した。そして、その時の加工状況を
比較し、その結果を表1に記載した。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明は叙上の如く構成しているため、
1本の共用芯金を用いて、長尺管状体の研磨と切断との
双方を行うことができる。従って 、芯金の嵌挿/抜取
りの工程数を従来に比して半減でき、ゴムローラ基体を
能率良く安価にしかも高精度を有して製造することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す製造装置の概念図であ
る。
【図2】共用芯金の一例を示す側面図である。
【図3】(A)は長尺管状体の切断状態を示す断面図、
(B)はその時の逃げ溝を拡大して示す断面図である。
【図4】(A)は長尺管状体の研磨状態を示す断面図、
(B)は嵌挿前の長尺管状体を示す断面図である。
【図5】従来の製造工程を説明するための線図である。
【符号の説明】
2 長尺管状体 2A 長尺管状体の中心孔 3 共用芯金 4 芯金支持手段 5 研磨手段 6 切断手段 7 ゴムローラ基体 10 逃げ溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B26D 3/00 601 B26D 3/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形されたゴム製の長尺管状体の外周面を
    研磨するとともに、研磨された長尺管状体を切断しゴム
    ローラ用のゴムローラ基体を製造するゴムローラ基体の
    製造方法であって、前記長尺管状体の中心孔内に締め代を有して嵌挿される
    金属製の基軸の外周に、 切断用の周方向の逃げ溝が設け
    られた共用芯金を支持して回転するとともに、この長尺
    管状体を研磨した後、前記逃げ溝に合わせて前記研磨さ
    れた長尺管状体を切断することを特徴とするゴムローラ
    基体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1のゴムローラ基体の製造方法で用
    いるゴムローラ基体の製造装置であって、前記長尺管状体の中心孔内に締め代を有して嵌挿される
    金属製の基軸の外周に、 切断用の周方向の逃げ溝が設け
    られた共用芯金を支持して回転する芯金支持手段と、前
    記共用芯金に嵌挿された長尺管状体を研磨する研磨手段
    と、この研磨された管状体を前記逃げ溝に合わせて切断
    する切断手段とを具えてなるゴムローラ基体の製造装
    置。
  3. 【請求項3】前記長尺管状体は、研磨後の管壁の厚さT
    を1.5mm以上とし、かつ前記共用芯金の外径Daと
    長尺管状体の中心孔の内径Dbとの差Da−Dbを、前
    記外径Daの0.05〜0.2倍としたことを特徴とす
    る請求項2記載のゴムローラ基体の製造装置。
  4. 【請求項4】前記共用芯金は、前記逃げ溝の溝中心間の
    距離L1を5.0mm以上とし、しかも逃げ溝の溝巾W
    1を0.5〜3.0mm、かつ溝深さH1を1.0mm
    以上としたことを特徴とする請求項2又は3記載のゴム
    ローラ基体の製造装置。
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