JP3510446B2 - 脱硫ファン動翼付着灰の除去方法 - Google Patents
脱硫ファン動翼付着灰の除去方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は火力発電プラント等
における排煙脱硫装置による脱硫後の排ガス放出用脱硫
ファン動翼に付着した灰の除去方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、大気環境汚染防止のために火力発
電プラントのボイラなど各種燃焼装置から排出される排
ガス中の有害物質の規制が厳しくなってきている。この
有害物質の中で硫黄酸化物は(SO2 など)はSを含む
燃料の燃焼により生成する。この燃焼により生成した硫
黄酸化物を除去するため、ボイラなどの燃焼装置の後流
側に排煙脱硫装置を設置し脱硫を行っている。排煙脱硫
装置で用いられる脱硫方法には種々の方法があるが、性
能面から消石灰、生石灰などのアルカリスラリと排煙を
接触させ、排煙中のSO2 を石膏として除去する湿式法
の石灰−石膏法が多用されている。 【0003】この種の排煙脱硫プラントにおいては、脱
硫を終えた排煙を煙突を介して大気に放出するため排煙
脱硫装置と煙突との間に脱硫通風機があり、これに動翼
を備えた脱硫ファンが設置されている。特にエネルギ事
情により石炭焚きボイラも多く稼働している中で、石炭
中のSiO2 、Al2 O3 を主体とする灰分とCaSO
4 とが混合した灰が動翼表面に固着しファンの性能が大
幅に低下し、排煙脱硫装置の正常な運転に支障をきたし
ているのが現状である。 【0004】ちなみに脱硫ファンの大きさなどを示す例
を示すと、1基のファンに18枚の動翼が使用され、平
均的1枚の大きさは幅70cm、長さ1.1m、厚さ3
cm程度である。動翼の材質はNi、Crを主体とする
インコネル材(商品名)が使用されている。この表面に
厚さ約50μmの灰が付着する。この灰は吸湿性が高
く、通常、SO4 2- イオンを10〜20%含み、pH≒
3の酸性を示す。主な構成物質としてはCaSO4 ・2
H2 O、Al(SO4 )OH・2H2 O、3Al 2 O3
・SiO2 などであり、これらは硫黄化合物と元来石炭
に含まれている鉱物質である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このため、従来はメン
テナンス工事として定期的に脱硫ファンを停止し、人手
によりタガネ、ハンマ、グラインダなどで物理的に除去
していた。しかしながら、このような方法で付着灰を除
去した場合、動翼を含むファン本体のメタル部に損傷を
与え、メンテナンス工事終了後の運転中においてき裂発
生の原因となる可能性がある。また、人手による作業の
ため多大な労力と時間を要し、作業により粉塵が発生す
るため作業環境が悪いなどの問題があった。本発明はこ
のような従来技術の実状に鑑み、動翼を傷つけることが
なく、また、作業効率及び作業環境が良好な脱硫ファン
動翼付着灰の除去方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は灰の付着した動
翼に次の〜の工程の処理を順次施すことを特徴とす
る排煙脱硫装置の脱硫ファン動翼付着灰の除去方法であ
る。 灰の付着した動翼を塩酸水溶液に浸漬する工程。 前記塩酸水溶液で処理した動翼をフッ化水素酸水溶
液に浸漬する工程。 前記フッ化水素酸水溶液で処理した動翼を水に浸漬
して酸を水洗除去する工程。 前記水洗後の動翼を炭酸カルシウム又は水酸化マグ
ネシウムのスラリに浸漬後、乾燥して表面にアルカリ性
の皮膜を形成させる工程。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明においては、先ず、脱硫フ
ァン動翼を本体から取り外し、濃度3〜15重量%、好
ましくは7〜13重量%の塩酸水溶液中に、35〜45
℃、好ましくは39〜41℃の条件下で、30〜60分
程度浸漬させる。これにより、付着灰を構成している成
分のうち主としてAl(SO4 )OH・2H2 O及びF
e分の大部分とその他の水溶性の物質が溶解除去され
る。 【0008】動翼の材質としては、通常NiとCrを主
とする耐酸性の合金(商品名:インコネルなど)が使用
されており、この材質は特に高温長時間でなければ濃度
15%を超える塩酸にも耐えことができる。しかしなが
ら、高濃度で短時間の急激な処理よりも比較的穏やかな
条件で長時間処理を行った場合の方が長期的には良好な
耐久性を示す。浸漬時間が60分を超えてもその後の除
去効果は変わらない。処理条件が上記範囲より穏やかに
なると除去効果が十分でなく、また、厳しくなりすぎる
と母材が浸食しやすくなったり、塩化水素のガスが発生
するため、運転状況等に応じて上記範囲内で適当な条件
を設定するのが好ましい。 【0009】次いで、前記塩酸水溶液で処理した動翼を
1〜3重量%の濃度のフッ化水素酸水溶液に35〜45
℃、好ましくは39〜41℃の条件下で、10〜30分
程度浸漬させる。これにより、主に付着灰構成物質中の
SiO2 とCaOが溶解し、除去される。フッ化水素酸
濃度が1重量%未満や浸漬時間が10分未満では溶解が
速やかに進行しないため洗浄効果が小さく、逆にフッ化
水素酸濃度が3重量%を超えたり、浸漬時間が30分間
を超えると母材の浸食が進むため好ましくない。 【0010】次に、前記により酸処理を行った動翼を水
を入れた水槽中に浸漬して水洗し、動翼表面に残った塩
酸、フッ化水素酸と灰の一部を除去する。水洗はエアー
バブリングを行いながら1時間程度浸漬することで効率
よく行うことができる。この時のエアーバブリングが超
音波的な作用をして、物理的に動翼表面を振動し、残留
する灰を落とす効果がある。 【0011】最後に動翼表面に付着灰が認められなくな
り、洗浄水のpHが中性になることによって塩酸及びフ
ッ化水素酸の除去を確認後、炭酸カルシウム又は水酸化
マグネシウムなどのアルカリスラリに浸漬する。このよ
うにしてアルカリスラリを付着させた動翼を風乾するこ
とによって表面にアルカリ性の皮膜を形成させる。な
お、付着灰の組成によっては塩酸洗浄のみで完全剥離す
る場合もある。この時はフッ化水素酸処理工程を省略し
てアルカリ被膜形成のための操作に移行しても差し支え
ない。 【0012】ここで使用するアルカリスラリとしては炭
酸カルシウム又は水酸化マグネシウムの濃度20重量%
程度のスラリが好適である。その理由は、一般に排煙脱
硫装置では炭酸カルシウム又は水酸化マグネシウムの単
品で20重量%前後のスラリが用いられていること多
く、また、20重量%程度のスラリが動翼表面に数十μ
mの被膜を形成するのに都合がよく、これより高濃度に
なると被膜のむらが発生するのと水槽の均一化のための
ハンドリングが困難となってくるためである。なお、条
件によっては炭酸カルシウム又は水酸化マグネシウムの
スラリに代えて炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムな
どの水溶液を使用し、アルカリ性の皮膜を形成させるこ
ともできる。 【0013】以上の操作は、通常、4基の水槽とクレー
ンを使用し、処理対象の動翼を各々の水槽間を移動させ
ながら行うのが好都合である。また、各工程で使用後の
薬液は付着灰による固形物を分離して、消費された分だ
け薬液を追加して繰り返し使用することができる。 【0014】本発明において、脱硫ファン動翼に固着し
た付着灰の構成物質はSiO2 、CaSO4 ・2H
2 O、Al(SO4 )OH・2H2 O、3Al2 O3 ・
2SiO 2 、H2 SO4 、CaO、Feなどであるが、
塩酸はAl(SO4 )OH・2H 2 OとFeに作用し、
これらを溶解させる。フッ化水素酸はSiO2 、CaO
に作用し溶解させる。これらの酸の作用により付着灰の
95%程度を溶解、除去することができる。水洗水は動
翼表面に残った塩酸、フッ化水素酸と灰の一部を除去す
る。炭酸カルシウム又は水酸化マグネシウムのアルカリ
スラリは、動翼表面に付着したまま、本体に復帰取り付
けて運転した場合、運転中に飛来し固着する酸性を示す
付着灰の付着を防止し、例え、付着したとしても次回の
除去操作が容易になる。なぜなら、動翼表面にアルカリ
スラリを形成しておけば、運転中排ガスに存在する硫酸
(H2 SO4 )との接触で中和反応を起こし、付着灰の
剥離が促進されたり、除去操作時も塩酸との作用時に同
じ原理で剥離が早まるからである。 【0015】 【実施例】以下実施例により本発明の方法をさらに具体
的に説明する。石炭焚きボイラ排ガスを処理する2か所
の排煙脱硫装置の実機で8000時間使用され、表面に
約50μmの厚さに灰が付着した脱硫ファンの動翼(材
質:インコネル、概略の大きさ:幅70cm,長さ1.
1m,厚さ3cm)それぞれに本発明の方法を適用して
付着灰の除去試験を行った。なお、付着した灰はCaS
O4 ・2H2 O、Al(SO4 )OH・2H2 O及び3
Al2 O3 ・SiO2 を主成分とするものである。除去
試験にはそれぞれ塩酸水溶液、フッ化水素酸水溶液、水
洗用水及び炭酸カルシウムスラリを入れた水槽4個を用
意し、クレーンを用いて動翼を各水槽間に順次移動させ
ることによって処理した。処理条件を表1に示す。 【0016】 【表1】 【0017】その結果、動翼の損傷をきたすことなく効
率よく付着灰の除去を行うことができ、従来のタガネや
ハンマによる除去方法に比較して、粉塵の発生がなく作
業環境の改善ができ、作業人員及び作業所要時間をそれ
ぞれ1/2とすることができた。このようにして付着灰
の除去を行った動翼を再度8000時間使用したのち、
前記と同様の方法により付着灰の除去を行ったところ、
作業はさらに容易となり、作業人員及び作業所要時間を
さらに20%程度削減することができた。 【0018】 【発明の効果】本発明の方法によれば次のような効果が
達成される。 (1)脱硫ファンの動翼に損傷を与えず、付着灰の除去
が可能となったため、き裂発生のトラブルの可能性がな
くなった。 (2)多数の動翼について同時に除去作業ができるた
め、省力化、工程の短縮が可能となった。 (3)液体による除去作業のため、除去工程の全てにお
いて粉塵が発生することなく、作業環境が大幅に改善さ
れた。 (4)工程の最後に動翼表面にアルカリの被膜を形成す
ることで、次回からの除去操作が容易となった。
における排煙脱硫装置による脱硫後の排ガス放出用脱硫
ファン動翼に付着した灰の除去方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、大気環境汚染防止のために火力発
電プラントのボイラなど各種燃焼装置から排出される排
ガス中の有害物質の規制が厳しくなってきている。この
有害物質の中で硫黄酸化物は(SO2 など)はSを含む
燃料の燃焼により生成する。この燃焼により生成した硫
黄酸化物を除去するため、ボイラなどの燃焼装置の後流
側に排煙脱硫装置を設置し脱硫を行っている。排煙脱硫
装置で用いられる脱硫方法には種々の方法があるが、性
能面から消石灰、生石灰などのアルカリスラリと排煙を
接触させ、排煙中のSO2 を石膏として除去する湿式法
の石灰−石膏法が多用されている。 【0003】この種の排煙脱硫プラントにおいては、脱
硫を終えた排煙を煙突を介して大気に放出するため排煙
脱硫装置と煙突との間に脱硫通風機があり、これに動翼
を備えた脱硫ファンが設置されている。特にエネルギ事
情により石炭焚きボイラも多く稼働している中で、石炭
中のSiO2 、Al2 O3 を主体とする灰分とCaSO
4 とが混合した灰が動翼表面に固着しファンの性能が大
幅に低下し、排煙脱硫装置の正常な運転に支障をきたし
ているのが現状である。 【0004】ちなみに脱硫ファンの大きさなどを示す例
を示すと、1基のファンに18枚の動翼が使用され、平
均的1枚の大きさは幅70cm、長さ1.1m、厚さ3
cm程度である。動翼の材質はNi、Crを主体とする
インコネル材(商品名)が使用されている。この表面に
厚さ約50μmの灰が付着する。この灰は吸湿性が高
く、通常、SO4 2- イオンを10〜20%含み、pH≒
3の酸性を示す。主な構成物質としてはCaSO4 ・2
H2 O、Al(SO4 )OH・2H2 O、3Al 2 O3
・SiO2 などであり、これらは硫黄化合物と元来石炭
に含まれている鉱物質である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このため、従来はメン
テナンス工事として定期的に脱硫ファンを停止し、人手
によりタガネ、ハンマ、グラインダなどで物理的に除去
していた。しかしながら、このような方法で付着灰を除
去した場合、動翼を含むファン本体のメタル部に損傷を
与え、メンテナンス工事終了後の運転中においてき裂発
生の原因となる可能性がある。また、人手による作業の
ため多大な労力と時間を要し、作業により粉塵が発生す
るため作業環境が悪いなどの問題があった。本発明はこ
のような従来技術の実状に鑑み、動翼を傷つけることが
なく、また、作業効率及び作業環境が良好な脱硫ファン
動翼付着灰の除去方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は灰の付着した動
翼に次の〜の工程の処理を順次施すことを特徴とす
る排煙脱硫装置の脱硫ファン動翼付着灰の除去方法であ
る。 灰の付着した動翼を塩酸水溶液に浸漬する工程。 前記塩酸水溶液で処理した動翼をフッ化水素酸水溶
液に浸漬する工程。 前記フッ化水素酸水溶液で処理した動翼を水に浸漬
して酸を水洗除去する工程。 前記水洗後の動翼を炭酸カルシウム又は水酸化マグ
ネシウムのスラリに浸漬後、乾燥して表面にアルカリ性
の皮膜を形成させる工程。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明においては、先ず、脱硫フ
ァン動翼を本体から取り外し、濃度3〜15重量%、好
ましくは7〜13重量%の塩酸水溶液中に、35〜45
℃、好ましくは39〜41℃の条件下で、30〜60分
程度浸漬させる。これにより、付着灰を構成している成
分のうち主としてAl(SO4 )OH・2H2 O及びF
e分の大部分とその他の水溶性の物質が溶解除去され
る。 【0008】動翼の材質としては、通常NiとCrを主
とする耐酸性の合金(商品名:インコネルなど)が使用
されており、この材質は特に高温長時間でなければ濃度
15%を超える塩酸にも耐えことができる。しかしなが
ら、高濃度で短時間の急激な処理よりも比較的穏やかな
条件で長時間処理を行った場合の方が長期的には良好な
耐久性を示す。浸漬時間が60分を超えてもその後の除
去効果は変わらない。処理条件が上記範囲より穏やかに
なると除去効果が十分でなく、また、厳しくなりすぎる
と母材が浸食しやすくなったり、塩化水素のガスが発生
するため、運転状況等に応じて上記範囲内で適当な条件
を設定するのが好ましい。 【0009】次いで、前記塩酸水溶液で処理した動翼を
1〜3重量%の濃度のフッ化水素酸水溶液に35〜45
℃、好ましくは39〜41℃の条件下で、10〜30分
程度浸漬させる。これにより、主に付着灰構成物質中の
SiO2 とCaOが溶解し、除去される。フッ化水素酸
濃度が1重量%未満や浸漬時間が10分未満では溶解が
速やかに進行しないため洗浄効果が小さく、逆にフッ化
水素酸濃度が3重量%を超えたり、浸漬時間が30分間
を超えると母材の浸食が進むため好ましくない。 【0010】次に、前記により酸処理を行った動翼を水
を入れた水槽中に浸漬して水洗し、動翼表面に残った塩
酸、フッ化水素酸と灰の一部を除去する。水洗はエアー
バブリングを行いながら1時間程度浸漬することで効率
よく行うことができる。この時のエアーバブリングが超
音波的な作用をして、物理的に動翼表面を振動し、残留
する灰を落とす効果がある。 【0011】最後に動翼表面に付着灰が認められなくな
り、洗浄水のpHが中性になることによって塩酸及びフ
ッ化水素酸の除去を確認後、炭酸カルシウム又は水酸化
マグネシウムなどのアルカリスラリに浸漬する。このよ
うにしてアルカリスラリを付着させた動翼を風乾するこ
とによって表面にアルカリ性の皮膜を形成させる。な
お、付着灰の組成によっては塩酸洗浄のみで完全剥離す
る場合もある。この時はフッ化水素酸処理工程を省略し
てアルカリ被膜形成のための操作に移行しても差し支え
ない。 【0012】ここで使用するアルカリスラリとしては炭
酸カルシウム又は水酸化マグネシウムの濃度20重量%
程度のスラリが好適である。その理由は、一般に排煙脱
硫装置では炭酸カルシウム又は水酸化マグネシウムの単
品で20重量%前後のスラリが用いられていること多
く、また、20重量%程度のスラリが動翼表面に数十μ
mの被膜を形成するのに都合がよく、これより高濃度に
なると被膜のむらが発生するのと水槽の均一化のための
ハンドリングが困難となってくるためである。なお、条
件によっては炭酸カルシウム又は水酸化マグネシウムの
スラリに代えて炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムな
どの水溶液を使用し、アルカリ性の皮膜を形成させるこ
ともできる。 【0013】以上の操作は、通常、4基の水槽とクレー
ンを使用し、処理対象の動翼を各々の水槽間を移動させ
ながら行うのが好都合である。また、各工程で使用後の
薬液は付着灰による固形物を分離して、消費された分だ
け薬液を追加して繰り返し使用することができる。 【0014】本発明において、脱硫ファン動翼に固着し
た付着灰の構成物質はSiO2 、CaSO4 ・2H
2 O、Al(SO4 )OH・2H2 O、3Al2 O3 ・
2SiO 2 、H2 SO4 、CaO、Feなどであるが、
塩酸はAl(SO4 )OH・2H 2 OとFeに作用し、
これらを溶解させる。フッ化水素酸はSiO2 、CaO
に作用し溶解させる。これらの酸の作用により付着灰の
95%程度を溶解、除去することができる。水洗水は動
翼表面に残った塩酸、フッ化水素酸と灰の一部を除去す
る。炭酸カルシウム又は水酸化マグネシウムのアルカリ
スラリは、動翼表面に付着したまま、本体に復帰取り付
けて運転した場合、運転中に飛来し固着する酸性を示す
付着灰の付着を防止し、例え、付着したとしても次回の
除去操作が容易になる。なぜなら、動翼表面にアルカリ
スラリを形成しておけば、運転中排ガスに存在する硫酸
(H2 SO4 )との接触で中和反応を起こし、付着灰の
剥離が促進されたり、除去操作時も塩酸との作用時に同
じ原理で剥離が早まるからである。 【0015】 【実施例】以下実施例により本発明の方法をさらに具体
的に説明する。石炭焚きボイラ排ガスを処理する2か所
の排煙脱硫装置の実機で8000時間使用され、表面に
約50μmの厚さに灰が付着した脱硫ファンの動翼(材
質:インコネル、概略の大きさ:幅70cm,長さ1.
1m,厚さ3cm)それぞれに本発明の方法を適用して
付着灰の除去試験を行った。なお、付着した灰はCaS
O4 ・2H2 O、Al(SO4 )OH・2H2 O及び3
Al2 O3 ・SiO2 を主成分とするものである。除去
試験にはそれぞれ塩酸水溶液、フッ化水素酸水溶液、水
洗用水及び炭酸カルシウムスラリを入れた水槽4個を用
意し、クレーンを用いて動翼を各水槽間に順次移動させ
ることによって処理した。処理条件を表1に示す。 【0016】 【表1】 【0017】その結果、動翼の損傷をきたすことなく効
率よく付着灰の除去を行うことができ、従来のタガネや
ハンマによる除去方法に比較して、粉塵の発生がなく作
業環境の改善ができ、作業人員及び作業所要時間をそれ
ぞれ1/2とすることができた。このようにして付着灰
の除去を行った動翼を再度8000時間使用したのち、
前記と同様の方法により付着灰の除去を行ったところ、
作業はさらに容易となり、作業人員及び作業所要時間を
さらに20%程度削減することができた。 【0018】 【発明の効果】本発明の方法によれば次のような効果が
達成される。 (1)脱硫ファンの動翼に損傷を与えず、付着灰の除去
が可能となったため、き裂発生のトラブルの可能性がな
くなった。 (2)多数の動翼について同時に除去作業ができるた
め、省力化、工程の短縮が可能となった。 (3)液体による除去作業のため、除去工程の全てにお
いて粉塵が発生することなく、作業環境が大幅に改善さ
れた。 (4)工程の最後に動翼表面にアルカリの被膜を形成す
ることで、次回からの除去操作が容易となった。
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B01D 53/34
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 灰の付着した動翼に次の〜の工程の
処理を順次施すことを特徴とする排煙脱硫装置の脱硫フ
ァン動翼付着灰の除去方法。 灰の付着した動翼を塩酸水溶液に浸漬する工程。 前記塩酸水溶液で処理した動翼をフッ化水素酸水溶
液に浸漬する工程。 前記フッ化水素酸水溶液で処理した動翼を水に浸漬
して酸を水洗除去する工程。 前記水洗後の動翼を炭酸カルシウム又は水酸化マグ
ネシウムのスラリに浸漬後、乾燥して表面にアルカリ性
の皮膜を形成させる工程。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06073097A JP3510446B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | 脱硫ファン動翼付着灰の除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06073097A JP3510446B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | 脱硫ファン動翼付着灰の除去方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10249147A JPH10249147A (ja) | 1998-09-22 |
JP3510446B2 true JP3510446B2 (ja) | 2004-03-29 |
Family
ID=13150701
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06073097A Expired - Fee Related JP3510446B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | 脱硫ファン動翼付着灰の除去方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3510446B2 (ja) |
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1997
- 1997-03-14 JP JP06073097A patent/JP3510446B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10249147A (ja) | 1998-09-22 |
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---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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