JP5277895B2 - 酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法 - Google Patents

酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、装置、配管等に付着した硫黄化合物を含む酸性付着物を除去する酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法に関する。
重油、残渣油、石炭等の燃料を燃焼させると、該燃料に含まれる硫黄が燃焼し、二酸化硫黄(SO)が生成する。該二酸化硫黄は、一部が酸化されて三酸化硫黄(SO)となり、該三酸化硫黄が燃焼排ガス中の水分と反応して硫酸(HSO)を生成する。したがって、ボイラ等の燃焼炉から煙突までの間に設置された装置、配管等には、硫酸等の燃料由来の酸性成分と未燃灰とを含む混合物が付着しやすい。該混合物の付着は、特に、燃焼排ガスの温度が下がり、硫酸の露点以下になる温度領域にて顕著となる。また、脱硝を目的にアンモニアが注入される設備では、脱硝用に注入されたアンモニアのうちの余剰のアンモニアと、前記硫酸が反応することで生成する酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO)が付着物中に含まれる。装置、配管等に付着した酸性付着物を洗浄することは、安定な運転の維持に欠くことができない。
酸性付着物の除去方法としては、通常、工業用水を用いて酸性付着物を洗い流す方法が採用される。しかし、該方法では、酸性成分が水に溶解して酸性水溶液が生成し、装置、配管等の金属製部分において、腐食が発生しやすいため、設備寿命、安定した運転の継続の点で問題となる。
そこで、腐食を発生させることなく酸性付着物を除去する方法として、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを含む洗浄液を用い、中和反応を利用して酸性付着物を効果的に除去する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、該方法でも、下記の理由から、装置、配管等の金属製部分の腐食を充分に抑えることはできない(特許文献2)。
すなわち、燃焼炉から煙突までの間に設置された装置、配管等の洗浄を実施する際、洗浄液中に含まれるアルカリ成分の量が、被洗浄物に付着している酸性成分の量より少ない時期または領域が存在する。特に、炭酸水素ナトリウムの水溶液を噴霧して洗浄する場合、洗浄初期において、洗浄液中に含まれるアルカリ成分の量が、被洗浄物に付着している酸性成分の量より少ない時期が存在する。また、ヒーティングエレメント(蓄熱要素部品)を有する蓄熱再生式回転型の熱交換器のように、複雑な形状の装置等では、狭隘部の洗浄液が置換しにくく、ある程度洗浄を継続した段階でも、洗浄液中に含まれるアルカリ成分の量が、被洗浄物に付着している酸性成分の量より少ない領域が存在する。
このように、洗浄液中に含まれるアルカリ成分の量が、被洗浄物に付着している酸性成分の量より少ない時期または領域では、洗浄液の水素イオン濃度(pH:ピーエイチ)が酸性領域となり、鉄系材料で構成される装置、配管等は、腐食環境にさらされることとなる。したがって、さらなる防錆対策を要する。
特開2001−348689号公報 特開2007−211037号公報
本発明は、被洗浄物の腐食を抑制しつつ、酸性付着物を効果的に除去できる酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法を提供する。
本発明の酸性付着物除去剤は、燃焼炉から煙突までの間に配置された装置または配管に付着した硫黄化合物を含む酸性付着物を除去する薬剤であり、アルカリ金属の炭酸水素塩と、アルカリ金属の炭酸塩とを含み、前記アルカリ金属の炭酸水素塩と前記アルカリ金属の炭酸塩との合計(100質量%)のうち、アルカリ金属の炭酸水素塩の割合が、98〜70質量%であり、アルカリ金属の炭酸塩の割合が、2〜30質量%であり、前記アルカリ金属の炭酸塩が、アルカリ金属の炭酸塩(100質量%)に占める炭酸カリウムの割合が50質量%以上のものであることを特徴とする。
前記アルカリ金属の炭酸水素塩は、アルカリ金属の炭酸水素塩(100質量%)に占める炭酸水素ナトリウムの割合が50質量%以上のものであることが好ましい。
本発明の酸性付着物の除去方法は、水と本発明の酸性付着物除去剤とを含む洗浄液を、硫黄化合物を含む酸性付着物が付着した、燃焼炉から煙突までの間に配置された装置または配管に噴霧することを特徴とする。
前記装置または配管は、熱交換器または電気集塵機であることが好ましい。
本発明の酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法によれば、被洗浄物の腐食を抑制しつつ、酸性付着物を効果的に除去できる。
<酸性付着物除去剤>
本発明の酸性付着物除去剤は、アルカリ金属の炭酸水素塩と、アルカリ金属の炭酸塩とを含む。
アルカリ金属の炭酸水素塩の割合は、アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩との合計(100質量%)のうち、98〜70質量%であり、98〜90質量%が好ましい。
アルカリ金属の炭酸塩の割合は、アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩との合計(100質量%)のうち、2〜30質量%であり、2〜10質量%が好ましい。
アルカリ金属の炭酸塩の割合が2質量%以上であれば、添加による防錆効果が発揮されるが、アルカリ金属の炭酸塩の割合が30質量%を超えると、添加による防錆効果の優位性が見られなくなる。このように、アルカリ金属の炭酸塩の割合が触媒量である場合に、高い防錆効果が発揮されることが確認されている。また、アルカリ金属の炭酸塩の割合が30質量%を超えると、洗浄液のpH値が高くなりすぎ、作業安全上かつ環境保全上好ましくない。
本発明の酸性付着物除去剤は、アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩とがが、紙袋、フレキシブルコンテナーバック等の一包装単位にともに充填されたものであってもよく、アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩とが、別個に包装されてセットとして取り扱われるものであってもよい。取り扱いの便宜上、両者が一包装単位にともに充填されたものが好ましい。
アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩とを一包装単位にともに充填する場合、両者は混合されていてもよく、混合されていなくてもよい。包装単位内での存在に偏りがあると、両者を水に溶解させる際に溶け残りを生じる場合があるため、できるだけ均一に混合させることが好ましい。
アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩との混合は、工業的に用いられる混合器(V型混合器、リボンミキサー、遊星スクリュー型混合器等。)を用いて行えばよい。混合の際は、両者のうち一方を先に混合器へ投入してもよく、両者を同時に投入してもよい。
(アルカリ金属の炭酸水素塩)
アルカリ金属の炭酸水素塩は、水に溶解させたときのpHが低く、弱アルカリ性であるため、水質汚濁防止法に定められているpHの規制値を超えず、かつ作業者が安全に取り扱うことができる。また、アルカリ金属の炭酸水素塩は、アルカリ金属の炭酸塩に比べ、物質単位質量あたりの発生可能な二酸化炭素の量が多いため、発泡による洗浄効果が高い。
アルカリ金属の炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、これらの混合物等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸水素塩としては、物質単位質量あたりの発生可能な二酸化炭素の量が多く、発泡による高い洗浄効果が得られる点、および洗浄剤中の炭酸水素塩の濃度が飽和濃度となってもpHが8.5を超えることがなく、作業安全上かつ環境保全上好ましい点から、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
よって、アルカリ金属の炭酸水素塩は、炭酸水素ナトリウムを主成分とすることが好ましい。主成分とは、アルカリ金属の炭酸水素塩(100質量%)に占める割合が50質量%以上であることをいう。
炭酸水素ナトリウムの割合は、アルカリ金属の炭酸水素塩(100質量%)のうち、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
(アルカリ金属の炭酸塩)
アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、これらの混合物等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、防錆効果の点から、炭酸カリウムが好ましい。
よって、アルカリ金属の炭酸塩は、炭酸カリウムを主成分とすることが好ましい。主成分とは、アルカリ金属の炭酸塩(100質量%)に占める割合が50質量%以上であることをいう。
炭酸カリウムの割合は、アルカリ金属の炭酸塩(100質量%)のうち、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
以上説明した本発明の酸性付着物除去剤にあっては、アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩とを含むため、酸性付着物を効果的に除去できる。すなわち、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩は、酸性付着物と反応して、二酸化炭素ガスを発生し、発泡するため、酸性付着物を発泡の機械的作用により剥離しながら溶解する。酸性付着物中の鉄錆、粉塵、煤等も同時に剥離して除去する。二酸化炭素の発泡により、洗浄効果が上がり、洗浄時間の短縮ができる。被洗浄物の形状が複雑で洗浄しにくいものであっても短時間に洗浄できる。
また、以上説明した本発明の酸性付着物除去剤にあっては、触媒量のアルカリ金属の炭酸塩を含むため、理由は明らかではないが、防錆効果が高く、被洗浄物の腐食を抑制できる。
<酸性付着物の除去方法>
本発明の酸性付着物の除去方法は、水と本発明の酸性付着物除去剤とを含む洗浄液を、硫黄化合物を含む酸性付着物が付着した被洗浄物に噴霧する方法である。
(洗浄液)
洗浄液に含まれる酸性付着物除去剤は、溶解された状態であってもよく、一部が溶解せずに分散したスラリーの状態であってもよく、溶解された状態が好ましい。
水としては、工業用水、水道水、井戸水等が挙げられる。海水は、被洗浄物の腐食の要因となる塩化物イオンを含むため、適当ではない。
アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩との合計の含有率は、洗浄液(100質量%)中、3〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がより好ましく、アルカリ金属の炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムである場合は、3〜16質量%がさらに好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。該含有率が3質量%以上であれば、水の使用量および排水量を少なくできる。該含有率が30質量%以下であれば、未溶解のアルカリ金属の炭酸水素塩の割合を少なくでき、アルカリ金属の炭酸水素塩の固体が沈降して、たとえば薬液槽等の底や配管中に滞留し、アルカリ金属の炭酸水素塩が洗浄に有効に利用されなくなることを回避できる。また、有効に利用されずに滞留するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が存在しなければ、これらを洗い流すために要する水量を少なくできる。
アルカリ金属塩化物(塩化ナトリウム等。)の含有率は、洗浄液(100質量%)中、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が特に好ましい。アルカリ金属塩化物の含有量が0.1質量%以下であれば、塩素イオンが被洗浄物のステンレス鋼等を腐食させ、応力割れを起こす危険性を低減できる。
洗浄液の調製方法としては、(i)アルカリ金属の炭酸水素塩を含む水にアルカリ金属の炭酸塩を添加する方法、(ii)アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩を同時に水に添加する方法が挙げられ、洗浄現場での調製作業の手間がかからず、洗浄作業時間が短く済む点から、(ii)の方法が好ましい。また、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩をあらかじめ充分に混合した後、水に添加する方法が、均一な溶解性または分散性を確保する点から好ましい。
調製時の洗浄液の温度は、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。調製時の温度が低いほど安全に作業できる。
調製時の洗浄液の温度は、5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。調製時の温度が高いほど溶解しやすい。
調製後の洗浄液は経時変化しにくく、有効成分であるアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩には、常温での揮発性はないため、水溶液またはスラリーの状態で保管しても構わない。
使用時の洗浄液の温度は、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。使用時の温度が低いほど安全に作業できる。
使用時の洗浄液の温度は、5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。使用時の温度が高いほど洗浄効果が高い。
洗浄液を循環して洗浄に使用すると、組成が徐々に変化する。洗浄液の組成が洗浄に適切な範囲を保っているかどうかは、洗浄液のpHにより評価できる。洗浄液のpHは、6.5〜9.5が好ましく、6.9〜9.0がより好ましく、6.9〜8.5が特に好ましい。pHが6.5未満では、除去した酸性付着物との反応により、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が不足していることが推定される。該場合、高濃度のアルカリ金属の炭酸水素塩ならびにアルカリ金属の炭酸塩の水溶液、および/または粉末状のアルカリ金属の炭酸水素塩ならびにアルカリ金属の炭酸塩を添加することが好ましい。pHが9.5を超えると、被洗浄物がアルカリにより侵食される場合がある。特に、被洗浄物がほうろうコーティングされている場合は、アルカリにより侵食される場合がある。該場合、洗浄液中に水を添加することが好ましい。
洗浄液を循環して使用する場合は、使用中の液に含まれる付着物由来の不溶解分の量が増大する場合、定期的に洗浄液全体を交換することが好ましい。
(酸性付着物)
酸性付着物は、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩で除去可能な酸性の付着物であればよく、硫黄化合物を含む酸性付着物が好ましい。
本発明は、燃焼排ガスに由来する酸性付着物、特にボイラの燃焼排ガスに由来する酸性付着物に好適に適用できる。燃焼排ガスとしては、ボイラ、焼却炉等の燃焼炉から発生する排ガスが挙げられる。
燃焼排ガスに由来する酸性付着物に含まれる硫黄化合物としては、硫酸または硫酸塩が挙げられる。すなわち、酸性付着物は、不溶解分である未燃カーボン、鉄錆、フライアッシュのほか、燃料に含まれる硫黄由来の硫酸(HSO)、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO)等を含み、水に溶解すると強酸性を示すものである。酸性硫安は、前記硫酸と、脱硝用に注入されるアンモニアの余剰分(リークアンモニア)との反応により生成する。
(被洗浄物)
被洗浄物としては、燃焼炉(ボイラ、焼却炉等。)から発生する燃焼排ガスが接触する装置、煙道配管等が挙げられる。本発明は、ボイラの燃焼炉から煙突までの間に配置された装置(その構成部品を含む。)または煙道配管が被洗浄物である場合に好適に適用できる。
装置としては、熱交換器(ガスエアヒーター(GAH)、ガスガスヒーター(GGH)、排ガス熱回収器(SO凝縮器等。)、節炭器等。)、電機集塵機(EP)、排煙脱硫装置、排煙脱硝装置等が挙げられる。
被洗浄物が、熱交換器、特に蓄熱再生式回転型のガスエアヒーターまたはガスガスヒーターである場合は、ヒーティングエレメント(蓄熱要素部品)の形状が複雑であること、低温部がエナメルコーティングされた鉄系材料(ほうろう用鋼板)または鉄系耐食鋼であること、高温部が鉄系耐食鋼または冷間圧延鋼板(SPCC)であることが多いこと、等から、本発明の効果が顕著である。通常のシェル&チューブ型熱交換器の場合でも、同様に良好な結果が得られる。
被洗浄物が、電機集塵機である場合は、設備から取り外して洗浄液中に浸漬して洗浄することができず、内部は洗浄液の噴霧による洗浄しかできないため、本発明を好適に適用できる。
(酸性付着物の除去)
以下、縦型(V型)の蓄熱再生式回転型熱交換器から酸性付着物を除去する場合を例にとり、本発明の酸性付着物の除去方法について説明する。なお、横型(H型)の蓄熱再生式回転型熱交換器や、シェル&チューブ型熱交換器でも同様の方法で良好な効果を得ることができる。
図1は、本発明の酸性付着物の除去方法を実施する設備の概略構成図である。該設備は、蓄熱再生式回転型熱交換器のヒーティングエレメント1に対して、上方から洗浄液を噴霧する複数のノズル2,2・・・と、下方から洗浄液を噴霧する複数のノズル3,3・・・と、洗浄液が貯留される洗浄液槽5と、洗浄液槽5の洗浄液を前記ノズルに循環供給する循環ポンプ6と、酸性付着物除去剤を溶解して洗浄液槽5に供給する薬剤溶解槽7とから概略構成される。
循環ポンプ6は、一端が洗浄液槽5に挿入された主配管11に設けられている。主配管11の他端は、ノズル2,2・・・に洗浄液を供給する上側配管12およびノズル3,3・・・に洗浄液を供給する下側配管13の双方の上流側に接続している。また、洗浄後の洗浄液を回収して洗浄液槽5に戻す戻り配管14が設けられている。さらに、工業用水を供給する水供給管15が、上側配管12および下側配管13の双方の上流側に接続している。薬剤溶解槽7には撹拌装置17が設けられている。また、薬剤溶解槽7から溶解液を洗浄液槽5に供給する溶解液供給管18が設けられている。また、循環ポンプ6の吐出側の主配管11から分岐し、廃水処理設備または廃水貯留設備へつながる配管19が設けられている。
図1の設備にてヒーティングエレメント1を洗浄するには、まず、薬剤溶解槽7で酸性付着物除去剤を溶解し、これを洗浄液槽5に供給する。そして、洗浄液槽5の洗浄液を循環ポンプ6により、ノズル2,2・・・およびノズル3,3・・・から噴霧する。噴霧の水圧は、0.1〜20MPaが好ましい。水圧が0.1MPa以上であれば、高い洗浄効果が得られる。水圧が20MPa以下であれば、ヒーティングエレメント1を傷めにくくなる。なお、噴霧する洗浄液には、未溶解の酸性付着物除去剤成分が含まれていてもよい。
洗浄後の洗浄液は、戻り配管14により洗浄液槽5に戻され循環使用される。循環を繰り返すと、除去した酸性付着物の溶解等により洗浄液の組成が変化してpHが低下するため、適宜洗浄液の組成を調整する。具体的には、pHが所定の基準値(たとえばエアヒーターメーカーによる洗浄終了時の管理基準である工業用水のpH値マイナス1が挙げられる。)より低下した場合、薬剤溶解槽7から高濃度のアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩の水溶液または高濃度の酸性付着物除去剤の水溶液を洗浄液槽5に供給する。また、定期的に洗浄液槽5の洗浄液全体を交換する。洗浄液を交換したり廃棄したりする場合は、廃水処理設備等へ接続される配管19を用い、洗浄液槽5より洗浄液を排出する。
洗浄液で洗浄した後は、循環ポンプ6による洗浄液の噴霧を中止し、代わりに工業用水をノズル2,2・・・およびノズル3,3・・・から噴霧し、水洗浄を行う。水洗浄は、洗浄後の水のpHが6.0〜8.0になるまで行う。洗浄後の水のpHが6.0未満では、酸性付着物が残留している可能性が高い。洗浄後の水のpHが8.0を超えると、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が残留している場合がある。洗浄後の水のpHは6.5〜7.5が特に好ましい。
なお、水洗浄は必須ではなく、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が残留した状態のまま洗浄を終了してもよい。
以上説明した本発明の酸性付着物の除去方法は、本発明の酸性付着物除去剤とを含む洗浄液を用いているため、被洗浄物の腐食を抑制しつつ、酸性付着物を効果的に除去できる。
以下、実施例を示す。例1は比較例であり、例2〜6は実施例である。
実施例における防錆効果は以下のように評価した。
(試験片)
縦:30mm、横:14.65mm、厚さ:1.65mmの冷間圧延鋼板(SPCC)に、直径:3.5mmの孔を2つ設け、アセトンで脱脂したもの(総表面積:10.52dm)を試験片とした。
(防錆効果の測定)
試験液(22℃)の1Lを、溶出試験機(富山産業社製、NTR−VS6P)のビーカーに充填した。あらかじめ質量を計測した試験片全体を通電性のない糸で吊るし、試験液中に試験片全体を浸し、200rpmの回転数で回転する撹拌羽根により撹拌した。試験液の液温を22℃に保ったまま、この状態を2時間継続した。その後、試験片を取り出して錆の部分を磨き落とした際の試験片の質量を計測し、試験液浸漬前後の質量差を求めた。なお、撹拌羽としては、日本薬局方一般試験法溶出試験法第2法(パドル法)で規定されているものを用いた。
(腐食量)
下式から、試験液による試験片の腐食量を求めた。
腐食量[mg/(dm・day)]
=試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]÷試験片の表面積[dm]÷浸漬時間[day]
=試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]÷10.52[dm]÷2/24[day]。
(防錆率)
下式から、試験片の防錆率を求めた。
防錆率[%]
={例1〜6のいずれかの試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]
−例1の試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]}
÷例1の試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]×100。
〔例1〕
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の50gを溶解し洗浄液1を調製した。
洗浄液1の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO、関東化学社製)の77.0gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.03)となった状況に相当する試験液1を調製した。該試験液1は、防錆率の評価の基準となる。
試験液1を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
〔例2〕
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の49gおよび炭酸カリウム(KCO)の1gを溶解し、洗浄液2を調製した。
洗浄液2の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO、関東化学社製)の79.4gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.01)となった状況に相当する試験液2を調製した。
試験液2を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
〔例3〕
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の48gおよび炭酸カリウム(KCO)の2gを溶解し、洗浄液3を調製した。
洗浄液3の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO、関東化学社製)の81.0gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約1.98)となった状況に相当する試験液3を調製した。
試験液3を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
〔例4〕
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の45gおよび炭酸カリウム(KCO)の5gを溶解し、洗浄液4を調製した。
洗浄液4の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO、関東化学社製)の78.9gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.01)となった状況に相当する試験液4を調製した。
試験液4を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
〔例5〕
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の40gおよび炭酸カリウム(KCO)の10gを溶解し、洗浄液5を調製した。
洗浄液5の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO、関東化学社製)の80.2gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.02)となった状況に相当する試験液5を調製した。
試験液5を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
〔例6〕
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の35gおよび炭酸カリウム(KCO)の15gを溶解し、洗浄液6を調製した。
洗浄液6の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH)HSO、関東化学社製)の83.1gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.02)となった状況に相当する試験液6を調製した。
試験液6を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005277895
以上の結果より、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性となった状況に相当する低いpHであっても、アルカリ金属の炭酸塩が、防錆効果を発揮することが分かった。
本発明の酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法は、燃焼炉から煙突までの間に配置された装置、配管等に付着した硫黄化合物を含む酸性付着物の除去に有用である。
本発明の酸性付着物の除去方法を実施する設備の概略構成図である。
符号の説明
1 ヒーティングエレメント
2 ノズル
3 ノズル
5 洗浄液槽
6 循環ポンプ
7 薬剤溶解槽

Claims (4)

  1. 燃焼炉から煙突までの間に配置された装置または配管に付着した硫黄化合物を含む酸性付着物を除去する薬剤であり、
    アルカリ金属の炭酸水素塩と、
    アルカリ金属の炭酸塩とを含み、
    前記アルカリ金属の炭酸水素塩と前記アルカリ金属の炭酸塩との合計(100質量%)のうち、アルカリ金属の炭酸水素塩の割合が、98〜70質量%であり、アルカリ金属の炭酸塩の割合が、2〜30質量%であり、
    前記アルカリ金属の炭酸塩が、アルカリ金属の炭酸塩(100質量%)に占める炭酸カリウムの割合が50質量%以上のものである、酸性付着物除去剤。
  2. 前記アルカリ金属の炭酸水素塩が、アルカリ金属の炭酸水素塩(100質量%)に占める炭酸水素ナトリウムの割合が50質量%以上のものである、請求項1に記載の酸性付着物除去剤。
  3. 水と請求項1または2に記載の酸性付着物除去剤とを含む洗浄液を、硫黄化合物を含む酸性付着物が付着した、燃焼炉から煙突までの間に配置された装置または配管に噴霧する、酸性付着物の除去方法。
  4. 前記装置または配管が、熱交換器または電気集塵機である、請求項に記載の酸性付着物の除去方法。
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