JP5277895B2 - 酸性付着物除去剤および酸性付着物の除去方法 - Google Patents
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Description
前記装置または配管は、熱交換器または電気集塵機であることが好ましい。
本発明の酸性付着物除去剤は、アルカリ金属の炭酸水素塩と、アルカリ金属の炭酸塩とを含む。
アルカリ金属の炭酸塩の割合は、アルカリ金属の炭酸水素塩とアルカリ金属の炭酸塩との合計(100質量%)のうち、2〜30質量%であり、2〜10質量%が好ましい。
アルカリ金属の炭酸水素塩は、水に溶解させたときのpHが低く、弱アルカリ性であるため、水質汚濁防止法に定められているpHの規制値を超えず、かつ作業者が安全に取り扱うことができる。また、アルカリ金属の炭酸水素塩は、アルカリ金属の炭酸塩に比べ、物質単位質量あたりの発生可能な二酸化炭素の量が多いため、発泡による洗浄効果が高い。
アルカリ金属の炭酸水素塩としては、物質単位質量あたりの発生可能な二酸化炭素の量が多く、発泡による高い洗浄効果が得られる点、および洗浄剤中の炭酸水素塩の濃度が飽和濃度となってもpHが8.5を超えることがなく、作業安全上かつ環境保全上好ましい点から、炭酸水素ナトリウムが好ましい。
炭酸水素ナトリウムの割合は、アルカリ金属の炭酸水素塩(100質量%)のうち、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、これらの混合物等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、防錆効果の点から、炭酸カリウムが好ましい。
炭酸カリウムの割合は、アルカリ金属の炭酸塩(100質量%)のうち、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
また、以上説明した本発明の酸性付着物除去剤にあっては、触媒量のアルカリ金属の炭酸塩を含むため、理由は明らかではないが、防錆効果が高く、被洗浄物の腐食を抑制できる。
本発明の酸性付着物の除去方法は、水と本発明の酸性付着物除去剤とを含む洗浄液を、硫黄化合物を含む酸性付着物が付着した被洗浄物に噴霧する方法である。
洗浄液に含まれる酸性付着物除去剤は、溶解された状態であってもよく、一部が溶解せずに分散したスラリーの状態であってもよく、溶解された状態が好ましい。
水としては、工業用水、水道水、井戸水等が挙げられる。海水は、被洗浄物の腐食の要因となる塩化物イオンを含むため、適当ではない。
調製時の洗浄液の温度は、5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。調製時の温度が高いほど溶解しやすい。
使用時の洗浄液の温度は、5℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。使用時の温度が高いほど洗浄効果が高い。
洗浄液を循環して使用する場合は、使用中の液に含まれる付着物由来の不溶解分の量が増大する場合、定期的に洗浄液全体を交換することが好ましい。
酸性付着物は、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩で除去可能な酸性の付着物であればよく、硫黄化合物を含む酸性付着物が好ましい。
本発明は、燃焼排ガスに由来する酸性付着物、特にボイラの燃焼排ガスに由来する酸性付着物に好適に適用できる。燃焼排ガスとしては、ボイラ、焼却炉等の燃焼炉から発生する排ガスが挙げられる。
被洗浄物としては、燃焼炉(ボイラ、焼却炉等。)から発生する燃焼排ガスが接触する装置、煙道配管等が挙げられる。本発明は、ボイラの燃焼炉から煙突までの間に配置された装置(その構成部品を含む。)または煙道配管が被洗浄物である場合に好適に適用できる。
以下、縦型(V型)の蓄熱再生式回転型熱交換器から酸性付着物を除去する場合を例にとり、本発明の酸性付着物の除去方法について説明する。なお、横型(H型)の蓄熱再生式回転型熱交換器や、シェル&チューブ型熱交換器でも同様の方法で良好な効果を得ることができる。
なお、水洗浄は必須ではなく、アルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が残留した状態のまま洗浄を終了してもよい。
実施例における防錆効果は以下のように評価した。
縦:30mm、横:14.65mm、厚さ:1.65mmの冷間圧延鋼板(SPCC)に、直径:3.5mmの孔を2つ設け、アセトンで脱脂したもの(総表面積:10.52dm2)を試験片とした。
試験液(22℃)の1Lを、溶出試験機(富山産業社製、NTR−VS6P)のビーカーに充填した。あらかじめ質量を計測した試験片全体を通電性のない糸で吊るし、試験液中に試験片全体を浸し、200rpmの回転数で回転する撹拌羽根により撹拌した。試験液の液温を22℃に保ったまま、この状態を2時間継続した。その後、試験片を取り出して錆の部分を磨き落とした際の試験片の質量を計測し、試験液浸漬前後の質量差を求めた。なお、撹拌羽としては、日本薬局方一般試験法溶出試験法第2法(パドル法)で規定されているものを用いた。
下式から、試験液による試験片の腐食量を求めた。
腐食量[mg/(dm2・day)]
=試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]÷試験片の表面積[dm2]÷浸漬時間[day]
=試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]÷10.52[dm2]÷2/24[day]。
下式から、試験片の防錆率を求めた。
防錆率[%]
={例1〜6のいずれかの試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]
−例1の試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]}
÷例1の試験液浸漬前後の試験片の質量差[mg]×100。
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の50gを溶解し洗浄液1を調製した。
洗浄液1の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH4)HSO4、関東化学社製)の77.0gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.03)となった状況に相当する試験液1を調製した。該試験液1は、防錆率の評価の基準となる。
試験液1を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の49gおよび炭酸カリウム(K2CO3)の1gを溶解し、洗浄液2を調製した。
洗浄液2の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH4)HSO4、関東化学社製)の79.4gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.01)となった状況に相当する試験液2を調製した。
試験液2を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の48gおよび炭酸カリウム(K2CO3)の2gを溶解し、洗浄液3を調製した。
洗浄液3の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH4)HSO4、関東化学社製)の81.0gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約1.98)となった状況に相当する試験液3を調製した。
試験液3を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の45gおよび炭酸カリウム(K2CO3)の5gを溶解し、洗浄液4を調製した。
洗浄液4の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH4)HSO4、関東化学社製)の78.9gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.01)となった状況に相当する試験液4を調製した。
試験液4を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の40gおよび炭酸カリウム(K2CO3)の10gを溶解し、洗浄液5を調製した。
洗浄液5の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH4)HSO4、関東化学社製)の80.2gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.02)となった状況に相当する試験液5を調製した。
試験液5を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
純水950gに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3、旭硝子社製、商品名:サンファイブパワー)の35gおよび炭酸カリウム(K2CO3)の15gを溶解し、洗浄液6を調製した。
洗浄液6の1000gに、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム:(NH4)HSO4、関東化学社製)の83.1gを溶解することによって、洗浄初期や、被洗浄物の狭隘部分において、洗浄液中の中和に供するアルカリ金属の炭酸水素塩およびアルカリ金属の炭酸塩が消耗して酸性(pH:約2.02)となった状況に相当する試験液6を調製した。
試験液6を用いて、防錆効果の評価を行った。結果を表1に示す。
2 ノズル
3 ノズル
5 洗浄液槽
6 循環ポンプ
7 薬剤溶解槽
Claims (4)
- 燃焼炉から煙突までの間に配置された装置または配管に付着した硫黄化合物を含む酸性付着物を除去する薬剤であり、
アルカリ金属の炭酸水素塩と、
アルカリ金属の炭酸塩とを含み、
前記アルカリ金属の炭酸水素塩と前記アルカリ金属の炭酸塩との合計(100質量%)のうち、アルカリ金属の炭酸水素塩の割合が、98〜70質量%であり、アルカリ金属の炭酸塩の割合が、2〜30質量%であり、
前記アルカリ金属の炭酸塩が、アルカリ金属の炭酸塩(100質量%)に占める炭酸カリウムの割合が50質量%以上のものである、酸性付着物除去剤。 - 前記アルカリ金属の炭酸水素塩が、アルカリ金属の炭酸水素塩(100質量%)に占める炭酸水素ナトリウムの割合が50質量%以上のものである、請求項1に記載の酸性付着物除去剤。
- 水と請求項1または2に記載の酸性付着物除去剤とを含む洗浄液を、硫黄化合物を含む酸性付着物が付着した、燃焼炉から煙突までの間に配置された装置または配管に噴霧する、酸性付着物の除去方法。
- 前記装置または配管が、熱交換器または電気集塵機である、請求項3に記載の酸性付着物の除去方法。
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