JP3508437B2 - 車両用自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

車両用自動変速機の油圧制御装置

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JP3508437B2
JP3508437B2 JP34528096A JP34528096A JP3508437B2 JP 3508437 B2 JP3508437 B2 JP 3508437B2 JP 34528096 A JP34528096 A JP 34528096A JP 34528096 A JP34528096 A JP 34528096A JP 3508437 B2 JP3508437 B2 JP 3508437B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用自動変速機
の油圧式摩擦係合装置を制御するための油圧制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】自動変速機を備えた車両において、その
自動変速機のギヤ段を切り換える油圧式摩擦係合装置へ
供給される作動油に付与する流通抵抗を複数種類のいず
れかに変更する作動油流通抵抗変更装置を備えた油圧制
御装置が知られている。たとえば、特公昭52−183
44号公報に記載された油圧制御装置がそれである。こ
のような油圧制御装置によれば、エンジン出力、或いは
伝達トルクの大きさに応じて作動油の流路が拡げられる
ため、たとえば緩やかな加速操作時には油圧式摩擦係合
装置の係合が緩やかとされて変速ショックが緩和され、
急加速時には速やかに油圧式摩擦係合装置が係合させら
れて変速応答性が改善されるという利点がある。
【0003】ところで、上記自動変速機の変速ショック
の改善の要求は留まるところがなく、近年では、たとえ
ばエンジンブレーキ走行時のように、アクセルペダル操
作量が小さく駆動輪からエンジンへ逆方向へ動力が伝達
されるような逆駆動時の変速ショックさえも問題とされ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の油圧制御装置のように、油圧式摩擦係合装置へ供給
される作動油を導く油路の流通抵抗を切り換えるだけで
は、スロットル弁開度が大きくされた加速操作時の変速
すなわちパワーオンダウン変速と、スロットル弁開度が
小さくされた惰行操作時或いは逆駆動時の変速とにおい
て、変速ショックの低減および変速応答性を共に得るこ
とは困難であった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、スロットル弁開
度が大きくされた変速時とスロットル弁開度が小さくさ
れた変速時とにおいて、変速ショックの低減と変速応答
性が共に得られる車両用自動変速機の油圧制御装置を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
達成するために種々検討を重ねた結果、油圧式摩擦係合
装置に接続されたアキュムレータの背圧室から流出する
作動油に流通抵抗を付与すると、アキュムレータのアキ
ュム作動期間すなわち油圧式摩擦係合装置の係合圧の立
ち上がりを緩和する期間が拡大され、伝達トルクが小さ
いときや逆方向であるときでも変速ショックが低減され
るような係合圧の立ち上がりが得られることを見いだし
た。本発明はこのような知見に基づいて為されたもので
ある。
【0007】すなわち、本発明の要旨とするところは、
自動変速機のギヤ段を切り換える油圧式摩擦係合装置へ
供給される作動油に付与する流通抵抗を複数種類のいず
れかに変更する作動油流通抵抗変更装置を備えた車両用
自動変速機の油圧制御装置であって、(a) 前記油圧式摩
擦係合装置に接続され、その油圧式摩擦係合装置内の係
合油圧の上昇を緩和するアキュムレータと、(b) 前記作
動油流通抵抗変更装置による流通抵抗の切り換えに連動
して、前記アキュムレータに背圧を供給する油路の流通
抵抗を変更する背圧流通抵抗変更装置と (c) 車両の駆
動走行を判定する駆動走行判定手段と、 (d) その駆動走
行判定手段により車両の駆動走行が判定された場合に
は、前記作動油流通抵抗変更装置に、前記油圧式摩擦係
合装置へ供給される作動油に付与する流通抵抗を増加さ
せ、且つ前記背圧流通抵抗変更装置に、前記アキュムレ
ータに背圧を供給する油路を該アキュムレータの背圧室
から流出する作動油に付与する流通抵抗を増加させる流
通抵抗増加手段とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、自動変速機のギヤ段
を切り換える油圧式摩擦係合装置に接続されてその油圧
式摩擦係合装置内の係合油圧の上昇を緩和するアキュム
レータと、前記作動油流通抵抗変更装置による流通抵抗
の切り換えに連動して、前記アキュムレータに背圧を供
給する油路の流通抵抗を変更する背圧流通抵抗変更装置
とが設けられていることから、作動油流通抵抗変更装置
により油圧式摩擦係合装置に供給される作動油に付与さ
れる流通抵抗の切り換えに連動して、上記背圧流通抵抗
変更装置によりアキュムレータから流出する作動油に付
与される流通抵抗が切り換えられるので、スロットル弁
開度が大きく伝達トルクが大きいときの変速の変速ショ
ックが低減され且つ変速応答性が得られると共に、スロ
ットル弁開度が小さく伝達トルクが小さいか逆方向であ
るときの変速でも、変速ショックが低減され且つ変速応
答性が好適に得られる。同時に、車両の駆動走行を判定
する駆動走行判定手段と、その駆動走行判定手段により
車両の駆動走行が判定された場合には、前記作動油流通
抵抗変更装置に、前記油圧式摩擦係合装置へ供給される
作動油に付与する流通抵抗を非駆動走行時に比較して増
加させ、且つ前記背圧流通抵抗変更装置に、前記アキュ
ムレータに背圧を供給する油路をそのアキュムレータの
背圧室から流出する作動油に付与する流通抵抗を非駆動
走行時に比較して増加させる流通抵抗増加手段とが設け
られていることから、スロットル弁開度が大きくて伝達
トルクが大きい場合でも、一層、油圧式摩擦係合装置の
係合油圧が緩やかに立ち上がって変速ショックが低減さ
れる。
【0009】
【0010】
【発明の他の態様】ここで、 好適には、前記駆動走行判
定手段により車両の駆動走行でないと判定された場合、
すなわち車両の非駆動走行である場合には、前記作動油
流通抵抗変更装置に、前記油圧式摩擦係合装置へ供給さ
れる作動油に付与する流通抵抗を駆動走行時に比較して
減少させ、且つ前記背圧流通抵抗変更装置に、前記アキ
ュムレータに背圧を供給する油路をそのアキュムレータ
の背圧室から流出する作動油に付与する流通抵抗を駆動
走行時に比較して減少させる流通抵抗減少手段がさらに
設けられる。このようにすれば、スロットル弁開度が小
さくて伝達トルクが小さいか或いは逆方向である場合で
は、油圧式摩擦係合装置の係合油圧が速やかに立ちあが
り、変速応答性が好適に改善されるとともに、伝達トル
クが本来的に小さいので変速ショックも発生しない。
【0011】また、好適には、自動変速機のギヤ段が手
動操作体の操作に応答して切り換えられるマニュアル変
速であるか否かを判定するマニュアル変速判定手段を備
え、前記流通抵抗減少手段は、そのマニュアル変速判定
手段によりマニュアル変速であると判定された場合は、
前記作動油流通抵抗変更装置に、前記油圧式摩擦係合装
置へ供給される作動油に付与する流通抵抗を駆動走行時
に比較して減少させ、且つ前記背圧流通抵抗変更装置
に、前記アキュムレータに背圧を供給する油路をそのア
キュムレータの背圧室から流出する作動油に付与する流
通抵抗を駆動走行時に比較して減少させる。このマニュ
アル変速操作時のようなスポーツ走行では、変速ショッ
クの低減よりも変速応答性が優先される利点がある。
【0012】
【発明の実施の態様】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明の一実施例の変速制御装置
により変速制御される車両用自動変速機の一例を示す骨
子図である。図において、エンジン10の出力は、トル
クコンバータ12を介して自動変速機14に入力され、
図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝
達されるようになっている。
【0014】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸16に連結されたポンプ翼車18と、自
動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車2
2と、それらポンプ翼車18およびタービン翼車22の
間を直結するロックアップクラッチ24と、一方向クラ
ッチ26によって一方向の回転が阻止されているステー
タ28とを備えている。
【0015】上記自動変速機14は、ハイおよびローの
2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段お
よび前進4段の切り換えが可能な第2変速機32を備え
ている。第1変速機30は、サンギヤS0、リングギヤ
R0、およびキャリヤK0に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされて
いる遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置34と、サ
ンギヤS0とキャリヤK0との間に設けられたクラッチ
C0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0および
ハウジング41間に設けられたブレーキB0とを備えて
いる。
【0016】第2変速機32は、サンギヤS1、リング
ギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されて
それらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わさ
れている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36
と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK
2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリ
ングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成
る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤ
R3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされて
いる遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備
えている。
【0017】上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに
一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキ
ャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は
出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2が
サンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リン
グギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にク
ラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS
2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられてい
る。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止
めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41
に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤ
S2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1
およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方
向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が
入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合
させられるように構成されている。
【0018】キャリヤK1とハウジング41との間には
ブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウ
ジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチ
F2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF
2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合さ
せられるように構成されている。
【0019】以上のように構成された自動変速機14で
は、たとえば図2に示す作動表に従って後進1段および
前進5段のギヤ段が切り換えられる。図2において○印
は係合状態を示し、×印は非係合状態を示し、◎はロッ
クアップクラッチ24が係合或いはスリップ状態である
ときに作動させられることを示している。たとえば、第
5速ギヤ段から第4速ギヤ段へダウン変速される場合に
は、ブレーキB0の解放後の一方向クラッチF0または
クラッチC0の係合によって第4速ギヤ段が達成され
る。本実施例では、スロットル弁開度θTH(=エンジン
出力トルク)が大きいパワーオンダウン変速(5→4変
速)操作では、一方向クラッチF0を先に係合させるた
めに、上記クラッチC0へ供給される作動油の流通抵抗
およびアキュムレータ102の背圧室104から流出す
る作動油の流通抵抗が大きくされてその係合が遅らされ
るので、変速ショックの抑制と変速応答性の改善とが両
立させられている。また、スロットル弁開度θTH(=エ
ンジン出力トルク)が小さい惰行走行時のコーストダウ
ン変速(5→4変速)操作、或いはマニュアル変速時で
は、クラッチC0へ供給される作動油の流通抵抗および
アキュムレータ102の背圧室104から流出する作動
油の流通抵抗が小さくされてその係合が速やかとされる
ので、変速応答性が得られる。この惰行走行でも、エン
ジン出力トルクが小さく本来的に変速ショックが少ない
ので、変速応答性および変速ショックが両立させられて
いる。
【0020】図3に示すように、車両のエンジン10の
吸気配管には、アクセル操作量センサ52により検出さ
れたアクセルペダル50の操作量に基づいてスロットル
アクチュエータ54により駆動されるスロットル弁56
が設けられている。また、エンジン10の回転速度NE
を検出するエンジン回転速度センサ58、エンジン10
の吸入空気量Q/Nを検出する吸入空気量センサ60、
吸入空気の温度TA を検出する吸入空気温度センサ6
2、上記スロットル弁56の開度θTHを検出するスロッ
トルセンサ64、出力軸42の回転速度NOUT すなわち
車速Vを検出する車速センサ66、エンジン10の冷却
水温度TW を検出する冷却水温センサ68、ブレーキの
作動を検出するブレーキスイッチ70、シフトレバー7
2の操作位置PSHを検出する操作位置センサ74、入力
軸20すなわちクラッチC0の回転速度NC0を検出する
クラッチC0回転センサ75、油圧制御回路84の作動
油温度TOIL を検出する油温センサ77などが設けられ
ており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE
吸入空気量Q/N、吸入空気温度TA 、スロットル弁の
開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキの
作動状態BK、シフトレバー72の操作位置PSH、クラ
ッチC0の回転速度NC0、作動油温度TOIL を表す信号
がエンジン用電子制御装置76或いは変速用電子制御装
置78に供給されるようになっている。
【0021】エンジン用電子制御装置76は、CPU、
RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラ
ムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実
行する。たとえば、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁
79を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ80を
制御し、アイドルスピード制御のために図示しないバイ
パス弁を制御し、トラクション制御のためにスロットル
アクチュエータ54によりスロットル弁56を制御す
る。このエンジン用電子制御装置76は、変速用電子制
御装置78と相互に通信可能に接続されており、一方に
必要な信号が他方から適宜送信されるようになってい
る。
【0022】変速用電子制御装置78も、上記と同様の
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラ
ムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路84の各電
磁弁或いはリニヤソレノイド弁を駆動する。たとえば、
変速用電子制御装置78は、スロットル弁56の開度θ
THに対応した大きさのスロットル圧PTHを発生させるた
めにリニヤソレノイド弁SLT を、アキュム背圧を制御す
るためにリニヤソレノイド弁SLN を、ロックアップクラ
ッチ24の係合、解放、スリップ量、ブレーキB3の直
接制御、およびクラッチツウクラッチのシフトを制御す
るためにリニヤソレノイド弁SLU をそれぞれ駆動する。
また、変速用電子制御装置78は、たとえば図6に示す
予め記憶された変速線図から実際のスロットル弁開度θ
THおよび車速Vに基づいて自動変速機14のギヤ段を決
定し、この決定されたギヤ段および係合状態が得られる
ように電磁弁S1、S2、S3を駆動し、エンジンブレ
ーキを発生させる際には電磁弁S4を駆動する。
【0023】図4は、上記油圧制御回路84の要部を示
している。図において、4−5シフト弁90は、4→5
変速出力によりその破線に示す5速側に切り換えられる
ものであり、クラッチC0をドレンさせると同時に、ブ
レーキB0に係合油圧PB0を供給することにより、第5
速ギヤ段を成立させる。また、4−5シフト弁90は、
5→4変速出力によりその実線に示す4速側に切り換え
られるものであり、ブレーキB0をドレンさせると同時
に、クラッチC0に係合油圧PC0を供給することによ
り、第4速ギヤ段を成立させる。
【0024】上記4−5シフト弁90とクラッチC0と
の間を接続する油路92には、流通抵抗を付与する逆止
弁付オリフィス94が設けられ、その逆止弁付オリフィ
ス94と並列に設けられた並列油路96には、オリフィ
ス98およびオリフィス切換弁100が直列に設けられ
ている。また、アキュムレータ102が上記クラッチC
0と接続されており、その背圧室104は、油路10
6、上記オリフィス切換弁100、油路108を介し
て、背圧PACC を出力するアキュム背圧制御弁110に
接続されている。このアキュム背圧制御弁110は、リ
ニヤソレノイド弁SLN の出力圧PSLN によって制御さ
れ、その出力圧PSLN に応じた背圧を背圧室104へ供
給する。
【0025】上記オリフィス切換弁100は、並列油路
96にそれぞれ接続された並列油路ポート112および
114、油路106を介して背圧室104に接続された
背圧室側共通ポート116、油路108を介してアキュ
ム背圧制御弁110に接続された背圧供給ポート11
8、およびドレンポート120と、低流通抵抗側位置
(図4の下側位置)では上記並列油路ポート112およ
び114を相互に接続し、且つ背圧室側共通ポート11
6とドレンポート120とを接続するが、高流通抵抗側
位置(図4の上側位置)では上記並列油路ポート112
および114を相互に遮断し、且つ背圧室側共通ポート
116と背圧供給ポート118とを接続するスプール弁
子122と、そのスプール弁子122を上記低流通抵抗
側位置へ向かって付勢するスプリング124と、スプー
ル弁子122を上記高流通抵抗側位置へ向かって付勢す
るためにリニヤソレノイド弁SLT の出力圧PSLT を受入
れる油室126とを備えている。
【0026】上記の油圧制御回路84において、オリフ
ィス切換弁100のスプール弁子122が低流通抵抗側
位置(図4の下側位置)へ切り換えられた場合は、並列
油路96が開かれ、クラッチC0へ向かう作動油はオリ
フィス94および98により形成された相対的に大きな
流通断面積を通って流通するので、その作動油に付与さ
れる流通抵抗が相対的に小さくされる。また、背圧室1
04から流出し且つ油路106を介してオリフィス切換
弁100へ送られた作動油はドレンポート120からド
レンされるので、その作動油に付与される流通抵抗が相
対的に小さくされる。反対に、オリフィス切換弁100
のスプール弁子122が高流通抵抗側位置(図4の上側
位置)へ切り換えられた場合は、並列油路96が閉じら
れてクラッチC0へ向かう作動油はオリフィス94のみ
により決定される小さな流通断面積を通って流通するの
で、その作動油に付与される流通抵抗が上記低流通抵抗
側位置に比較して相対的に大きくされる。また、背圧室
104から流出し且つ油路106を介してオリフィス切
換弁100へ送られた作動油はドレンポート120から
ドレンされる作動油量が制限されることにより、その作
動油に付与される流通抵抗が上記低流通抵抗側位置に比
較して相対的に大きくされる。なお、オリフィス切換弁
100のスプール弁子122は、リニヤソレノイド弁SL
T の出力圧P SLT に従って上記低流通抵抗側位置(図4
の下側位置)と高流通抵抗側位置(図4の上側位置)と
の中間に位置させられて、そのリニヤソレノイド弁SLT
の流通断面積をオリフィスとして利用することもできる
ので、上記クラッチC0に供給される作動油および背圧
室104から排出される作動油に付与される流通抵抗
は、連続的な値の中から選択された値に設定され得る
し、変速過程においてその流通抵抗が変化させられ得
る。
【0027】図5は、前記変速用電子制御装置78の制
御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図に
おいて、作動油供給用流通抵抗変更装置は、前記クラッ
チC0に対応する油圧式摩擦係合装置へ供給される作動
油に付与される流通抵抗を変更する。また、背圧流通抵
抗変更装置は、上記油圧式摩擦係合装置に接続されたア
キュムレータ102に背圧を供給する油路の流通抵抗、
すなわちクラッチC0の係合に際してアキュムレータ1
02の背圧室104から送り出される作動油に付与され
る流通抵抗を変更する。上記作動油供給用流通抵抗変更
装置および背圧流通抵抗変更装置は、前記オリフィス切
換弁100に対応するものである。
【0028】変速制御手段130は、たとえば図6に示
す予め記憶された関係すなわち基本変速線図から、エン
ジン10の負荷を示す量たとえばスロットル弁開度θTH
と実際の車速Vとに基づいて変速判断を行い、その自動
変速機14のギヤ段を決定し、この決定されたギヤ段お
よび係合状態が得られるように電磁弁S1、S2、S3
を駆動し、エンジンブレーキを発生させる際には電磁弁
S4を駆動する。
【0029】自動変速判定手段132は、上記変速制御
手段130により、前記クラッチC0の係合によって達
成される変速たとえば5→4ダウン変速の変速判断或い
は変速出力が為されたか否かを判定する。駆動走行判定
手段134は、車両が駆動走行状態であるか否かを、た
とえばスロットル弁開度θTH或いはトルクコンバータ1
2の入出力軸回転速度などに基づいて判定する。
【0030】流通抵抗増加手段136は、上記自動変速
判定手段132により前記クラッチC0の係合によって
達成される変速たとえば5→4ダウン変速の変速判断或
いは変速出力が為されたことが判定され、且つ上記駆動
走行判定手段134により車両の駆動走行すなわちパワ
ーオン走行が判定された場合には、前記作動油供給用流
通抵抗変更装置および背圧流通抵抗変更装置すなわちオ
リフィス切換弁100に、クラッチC0へ供給される作
動油に付与する流通抵抗を増加させ、且つアキュムレー
タ102に背圧を供給する油路をそのアキュムレータ1
02の背圧室104から流出する作動油に付与する流通
抵抗を増加させる。
【0031】流通抵抗減少手段138は、上記自動変速
判定手段132により前記クラッチC0の係合によって
達成される変速たとえば5→4ダウン変速の変速判断或
いは変速出力が為されたことが判定され、且つ上記駆動
走行判定手段134により車両の駆動走行すなわちパワ
ーオン走行が判定されない場合には、前記作動油供給用
流通抵抗変更装置および背圧流通抵抗変更装置すなわち
オリフィス切換弁100に、クラッチC0へ供給される
作動油に付与する流通抵抗を減少させ、且つアキュムレ
ータ102に背圧を供給する油路をそのアキュムレータ
102の背圧室104から流出する作動油に付与する流
通抵抗を減少させる。
【0032】マニュアル変速判定手段140は、シフト
レバー72のD→4操作、O/Dオフスイッチのオフ操
作、手動変速モードが選択された状態における図示しな
いマニュアル操作体に操作による5→4ダウン変速など
に基づいて、クラッチC0の係合によって達成されるギ
ヤ段への手動変速操作が行われたか否かが判断される。
前記流通抵抗減少手段138は、上記マニュアル変速判
定手段140によりクラッチC0の係合によって達成さ
れるギヤ段への手動変速操作が行われたことが判定され
た場合には、前記作動油供給用流通抵抗変更装置および
背圧流通抵抗変更装置すなわちオリフィス切換弁100
に、クラッチC0へ供給される作動油に付与する流通抵
抗を減少させ、且つアキュムレータ102に背圧を供給
する油路をそのアキュムレータ102の背圧室104か
ら流出する作動油に付与する流通抵抗を減少させる。
【0033】図7は、変速用電子制御装置78の制御作
動の要部を説明するフローチャートである。図におい
て、前記マニュアル変速判定手段140に対応するステ
ップ(以下、ステップを省略する)SA1では、手動変
速操作による5→4ダウン変速であるか否かが判断され
る。このSA1の判断が肯定された場合は、前記流通抵
抗減少手段138に対応するSA2において、リニヤソ
レノイド弁SLT によりオリフィス切換弁100がその低
流通抵抗側位置(図4の下側位置)またはその近傍に位
置させられることにより、クラッチC0へ作動油を供給
する油路において作動油に付与される流通抵抗が減少さ
せられ、且つ背圧室104から流出する作動油に付与さ
れる流通抵抗が減少させられて、変速応答性が高められ
る。図8の破線はこの状態を示している。
【0034】しかし、上記SA1の判断が否定された場
合は、前記自動変速判定手段132に対応するSA3に
おいて、変速制御手段130において5→4変速判断或
いは変速出力が為されたか否かが判断される。このSA
3の判断が否定された場合は本ルーチンが終了させられ
るが、肯定された場合は、前記駆動走行判定手段134
に対応するSA4において、車両の駆動走行すなわちパ
ワーオン走行であるか否かが判断される。
【0035】上記SA4の判断が否定された場合は、前
記SA2が実行されることによりオリフィス切換弁10
0が低流通抵抗側位置に切り換えられる。しかし、SA
4の判断が肯定された場合には、前記流通抵抗増加手段
136に対応するSA5において、オリフィス切換弁1
00がその高流通抵抗側位置またはその近傍に切り換え
られ、クラッチC0へ作動油を供給する油路において作
動油に付与される流通抵抗が非駆動走行時に比較して増
加させられ、且つ背圧室104から流出する作動油に付
与される流通抵抗が非駆動走行時に比較して増加させら
れる。図8の実線はこの状態を示している。これによ
り、クラッチC0の係合前に一方向クラッチF0が係合
させられるので、変速ショックが好適に防止される。図
8において、t1 は5→4ダウン変速出力時点を示し、
2 は一方向クラッチF0の係合時点を示し、t3 はク
ラッチC0の係合時点を示している。
【0036】上述のように、本実施例によれば、自動変
速機14のギヤ段を切り換える油圧式摩擦係合装置(ク
ラッチC0)に接続されてその油圧式摩擦係合装置内の
係合油圧の上昇を緩和するアキュムレータ102と、作
動油流通抵抗変更装置(オリフィス切換弁100の並列
油路ポート112、114、およびオリフィス98)に
よりクラッチC0へ供給される作動油に対する流通抵抗
の切り換えに連動して、アキュムレータ102に背圧を
供給する油路の流通抵抗を変更する背圧流通抵抗変更装
置(オリフィス切換弁100の背圧室側共通ポート11
6、背圧供給ポート118、ドレンポート120)とが
設けられていることから、クラッチC0へ供給される作
動油に対する流通抵抗の切り換えに連動して、上記背圧
流通抵抗変更装置によりアキュムレータ102から流出
する作動に付与される流通抵抗が切り換えられるので、
スロットル弁開度θTHが大きく伝達トルクが大きいとき
の変速の変速ショックが低減され且つ変速応答性が得ら
れると共に、スロットル弁開度θTHが小さく伝達トルク
が小さいか逆方向であるときの変速でも、変速ショック
が低減され且つ変速応答性が好適に得られる。
【0037】また、本実施例によれば、自動変速機14
は、クラッチC0の係合により達成される第4速ギヤ段
を達成する一方向クラッチF0を備え、さらに、車両の
駆動走行を判定する駆動走行判定手段134(SA4)
と、その駆動走行判定手段134により車両の駆動走行
が判定された場合には、クラッチC0へ供給される作動
油に付与する流通抵抗を非駆動走行時に比較して増加さ
せ、且つアキュムレータ102に背圧を供給する油路を
そのアキュムレータ102の背圧室104から流出する
作動油に付与する流通抵抗を非駆動走行時に比較して増
加させる流通抵抗増加手段136(SA5)とが、さら
に設けられることから、スロットル弁開度θTHが大きく
て伝達トルクが大きい場合では、クラッチC0の係合油
圧PC0が緩やかに立ち上がり、一方向クラッチF0の係
合が優先されて変速ショックが低減されると同時に、そ
の一方向クラッチF0は自動変速機14の入出力軸回転
比が第4速ギヤ段の変速比となったときに自動的に係合
させられるので、変速応答性も得られる。
【0038】また、本実施例によれば、駆動走行判定手
段134(SA4)により車両の駆動走行でないと判定
された場合、すなわち車両の非駆動走行である場合に
は、クラッチC0へ供給される作動油に付与する流通抵
抗を駆動走行時に比較して減少させ、且つアキュムレー
タ102に背圧を供給する油路をそのアキュムレータ1
02の背圧室104から流出する作動油に付与する流通
抵抗を駆動走行時に比較して減少させる流通抵抗減少手
段138(SA2)がさらに設けられることから、スロ
ットル弁開度θTHが小さくて伝達トルクが小さいか或い
は逆方向である場合では、クラッチC0の係合油圧PC0
が速やかに立ちあがり、変速応答性が好適に改善される
とともに、伝達トルクが本来的に小さいので変速ショッ
クも発生しない。
【0039】また、本実施例によれば、自動変速機14
のギヤ段が手動操作体の操作に応答して切り換えられる
マニュアル変速であるか否かを判定するマニュアル変速
判定手段140(SA1)が備えられ、前記流通抵抗減
少手段138は、そのマニュアル変速判定手段140に
よりマニュアル変速であると判定された場合は、クラッ
チC0へ供給される作動油に付与する流通抵抗を駆動走
行時に比較して減少させ、且つアキュムレータ102に
背圧を供給する油路をそのアキュムレータ102の背圧
室104から流出する作動油に付与する流通抵抗を駆動
走行時に比較して減少させる。このため、そのマニュア
ル変速操作時のようなスポーツ走行では、変速ショック
の低減よりも変速応答性が優先される利点がある。
【0040】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。
【0041】たとえば、前述の実施例では、油圧式摩擦
係合装置がクラッチC0であり、その油圧式摩擦係合装
置の係合により達成されるギヤ段が第4速ギヤ段であっ
たが、他の油圧式摩擦係合装置やギヤ段であっても差し
支えない。
【0042】また、前述の実施例の自動変速機14は前
進5段であったが、前進4段或いは前進6段に構成され
てもよいし、車両の原動機としてエンジン10を備えて
いたが、電動モータなどであっても差し支えない。
【0043】また、前述の実施例のオリフィス切換弁1
00は、クラッチC0へ作動油を供給する油路において
作動油に付される流通抵抗を切り換える機能と、アキュ
ムレータ102の背圧室104から流出する作動油に付
される流通抵抗を切り換える機能とを兼ね備えていた
が、それら2つの機能の一方および他方を備えた一対の
弁が独立に設けられていてもよい。
【0044】また、前述の実施例では、オリフィス94
が常時使用され、オリフィス98を備えた並列油路96
がオリフィス切換弁100によって開閉されることによ
り流通抵抗が切り換えられていたが、オリフィス切換弁
100によってオリフィス94と98とを択一的に流通
させるように構成されてもよい。この場合には、オリフ
ィス94よりもオリフィス98が大きな流通断面積とな
るように構成される必要がある。また、アキュムレータ
102の背圧室104から流出する作動油に付される流
通抵抗を切り換える場合も、上記と同様に、流通断面積
が異なる一対のオリフィスをたとえば上記オリフィス切
換弁100によって択一的に切り換えられるように構成
され得る。
【0045】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の油圧制御装置によって変速
制御される車両用自動変速機の構成を説明する骨子図で
ある。
【図2】図1の自動変速機における、複数の電磁弁或い
は油圧式摩擦係合装置の作動の組合わせとそれにより成
立するギヤ段との関係を示す図表である。
【図3】図1の車両に備えられる制御装置の電気的構成
を説明する図である。
【図4】図3の変速用電子制御装置に設けられる油圧制
御回路の要部を説明する図である。
【図5】図3の変速用電子制御装置の制御機能の要部を
説明する機能ブロック線図である。
【図6】図5の変速制御手段において用いられる変速線
図を示す図である。
【図7】図3の変速用電子制御装置の制御作動の要部を
説明するフローチャートである。
【図8】図3の変速用電子制御装置の制御作動の要部を
説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
14:自動変速機 100:オリフィス切換弁(作動油供給用流通抵抗変更
装置、背圧流通抵抗変更装置) 102:アキュムレータ 134:駆動走行判定手段 136:流通抵抗増加手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−322018(JP,A) 特開 平3−229059(JP,A) 特開 昭60−40854(JP,A) 特開 昭61−48650(JP,A) 特公 昭52−18344(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 63/48

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動変速機のギヤ段を切り換える油圧式
    摩擦係合装置へ供給される作動油に付与する流通抵抗を
    複数種類のいずれかに変更する作動油流通抵抗変更装置
    を備えた車両用自動変速機の油圧制御装置であって、 前記油圧式摩擦係合装置に接続され、該油圧式摩擦係合
    装置内の係合油圧の上昇を緩和するアキュムレータと、 前記作動油流通抵抗変更装置による流通抵抗の切り換え
    に連動して、前記アキュムレータに背圧を供給する油路
    の流通抵抗を変更する背圧流通抵抗変更装置と 車両の駆動走行を判定する駆動走行判定手段と、 該駆動走行判定手段により車両の駆動走行が判定された
    場合には、前記作動油流通抵抗変更装置に、前記油圧式
    摩擦係合装置へ供給される作動油に付与する流通抵抗を
    増加させ、且つ前記背圧流通抵抗変更装置に、前記アキ
    ュムレータに背圧を供給する油路を該アキュムレータの
    背圧室から流出する作動油に付与する流通抵抗を増加さ
    せる流通抵抗増加手段と を、含むことを特徴とする車両
    用自動変速機の油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 前記自動変速機のギヤ段が手動操作体の
    操作に応答して切り換えられるマニュアル変速であるか
    否かを判定するマニュアル変速判定手段と、 該マニュアル変速判定手段によりマニュアル変速である
    と判定された場合は、前記作動油流通抵抗変更装置に、
    前記油圧式摩擦係合装置へ供給される作動油に付与する
    流通抵抗を駆動走行時に比較して減少させ、且つ前記背
    圧流通抵抗変更装置に、前記アキュムレータに背圧を供
    給する油路をそのアキュムレータの背圧室から流出する
    作動油に付与する流通抵抗を駆動走行時に比較して減少
    させる流通抵抗減少手段とを、さらに備えるものである
    請求項1の車両用自動変速機の油圧制御装置。
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