JP3507939B2 - 新規なフェノール化合物 - Google Patents

新規なフェノール化合物

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JP3507939B2
JP3507939B2 JP16191097A JP16191097A JP3507939B2 JP 3507939 B2 JP3507939 B2 JP 3507939B2 JP 16191097 A JP16191097 A JP 16191097A JP 16191097 A JP16191097 A JP 16191097A JP 3507939 B2 JP3507939 B2 JP 3507939B2
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史生 河村
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勝明 小久保
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雅文 守屋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なフェノール化
合物に関し、さらに詳しくは、熱エネルギーを制御する
ことにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記
録材料の顕色剤として有用な新規なフェノール化合物に
関する。
【0002】
【従来の技術】本発明のフェノール化合物が利用される
可逆性感熱記録媒体は、電子供与性呈色性化合物(以
下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化
合物(以下、顕色剤ともいう)とを主成分とする感熱記
録層を設けて構成されている。従来、感熱記録媒体は広
く知られており、ファクシミリ、ワードプロセッサー、
科学計測機などのプリンターに使用されている。しか
し、これらの実用化されている従来の記録媒体はいずれ
も不可逆的な発色であり、一度記録した画像を消去して
繰り返して使用することはできない。
【0003】ただ、特許公報によれば発色と消色を可逆
的に行うことができる記録媒体も提案されており、たと
えば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールを組
合せを用いる特開昭60−193691号公報、顕色剤
にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化
合物を用いる特開昭61−237684号公報、発色剤
と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に
含有する特開昭62−138556号、特開昭62−1
38568号および特開昭62−140881号各公
報、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いる特開昭63
−173684号公報、顕色剤にビス(ヒドロキシフェ
ニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を
用いる特開平2−188293号公報および特開平2−
188294号公報などが開示されている。しかしなが
ら、以上に示した従来の可逆性感熱記録媒体は、発色の
安定性と消色性の両立という点、あるいは発色の濃度や
繰り返しにおける安定性という点で問題を残しており、
実用的な記録媒体として満足し得るものではない。
【0004】本発明者らは、先に特開平5−12436
0号公報において、顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基
をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物また
はフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ
染料と組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷
却条件により容易に行わせることができ、しかもその発
色状態と消色状態を常温において安定に保持させること
が可能であり、その上発色と消色を安定して繰り返すこ
とが可能な可逆性感熱発色組成物、およびこれを記録層
に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。これは発色の
安定性と消色性のバランスや発色濃度の点で実用レベル
の性能を持つものであるが、さらに広範囲な使用環境へ
の対応や発色消色条件の適用範囲の面で改良すべき余地
があった。その後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノ
ール化合物について特定の構造の使用が提案されている
が(特開平6−210954号公報)、これも同様の問
題を持っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、可逆
性感熱記録材料の顕色剤として用いられたとき、安定な
発色性と消色性を保持し、広範囲な使用条件、環境条件
に対応できる新規なフェノール化合物を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、安定な発
色性と消色性を保持し、広範囲な使用条件、環境条件に
対応できる新規な顕色剤を種々設計、合成、検討した結
果、顕色剤として有用な新規なフェノール化合物を得る
ことに成功した。
【0007】すなわち、本発明は、下記一般式(I)で
表される新規なフェノール化合物に関する。
【化1】 (式中、Xは−NHCONH−、−NHCO−、−NH
COCONH−、−CONHNHCO−または−SO2
−で示される基を表し、nは2〜11、mは6〜21の
整数を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳しく説明
する。本発明の新規なフェノール化合物は、前記一般式
(I)で表される。この化合物(I)は、例えば、下記
一般式(II)のカルボン酸化合物とp−アミノフェノ
ールとの縮合反応から合成することができる。
【化2】 (式中、Xは−NHCONH−、−NHCO−、−CO
NH−、−NHCOCONH−、−CONHNHCO−
または−SO2−で示される基を表し、nは2〜11、
mは6〜21の整数を表す。)
【0009】この縮合反応は、一般的に知られるアミド
結合生成反応を利用することができる。例えば、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイ
ミド等の縮合剤を用いることができる。また、これら縮
合剤とともに、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒ
ドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ酒石酸イミ
ド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等の縮合助剤を
用いることもできる。また、一般式(II)のカルボン
酸化合物を塩化チオニル等を用いて、ハロゲン化し、p
−アミノフェノールと縮合し合成することも可能であ
る。なお、本発明のフェノール化合物は、これらの合成
方法に何ら限られるものではない。
【0010】本発明のフェノール化合物は可逆性感熱記
録材料の顕色剤として有用であり、この可逆性感熱記録
材料は、基本的に本発明の顕色剤と発色剤を組み合わせ
ることによって構成されるものである。本発明の化合物
を使用した可逆性感熱記録媒体は、支持体上に本発明の
顕色剤と発色剤を主成分とした記録層を設けるものであ
る。支持体としては、紙、樹脂フィルム、合成紙、金属
箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、記録層を
保持できるものであればよい。
【0011】本発明の化合物と共に用いる発色剤は電子
供与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の
染料前駆体(ロイコ染料)であり、とくに限定されず、
従来公知なもの、例えばトリフェニルメタンフタリド系
化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合
物、ロイコオーラミン系化合物、インドリノフタリド系
化合物、アザフタリド系化合物などから選択できる。例
えば、以下に示す発色剤が挙げられるが、何等これらに
限定されるものではない。
【0012】2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−
ジブチルアミノフルオラン、2−(N−メチル−o−ク
ロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−
アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−
メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−
n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2,3
−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、2−(o
−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノ
フルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシ
フェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインド−3
−イル)−4−アザフタリド等。
【0013】可逆性感熱記録媒体において、本発明の化
合物と発色剤の割合は、使用する化合物の組合せにより
適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に
対し本発明の化合物が0.1から20の範囲であり、好
ましくは0.2から10の範囲である、この範囲より本
発明の化合物が少なくても多くても発色状態の濃度が低
下し、実用に適さない。
【0014】記録層は本発明の化合物と発色剤が存在し
ていればどのようなものでもよいが、一般的にはバイン
ダー樹脂中に発色剤と本発明の化合物が細かく均一に分
散した状態が用いられる。発色剤と本発明の化合物は個
々に粒子を形成していてもよいが、より好ましくは複合
された粒子として分散された状態を形成する。これは発
色剤と本発明の化合物をいったん溶融したり溶解するこ
とによつて達成できる。このような記録層の形成は、各
材料をそれぞれ溶剤中で分散溶解したのち混合した液、
あるいは各材料を混合して溶剤中で分散または溶解した
液を支持体上に塗布し、乾燥することによって行なわれ
る。発色剤と本発明の化合物はマイクロカプセル中に内
包して用いることもできる。
【0015】本発明のフェノール化合物を用いた可逆性
感熱記録媒体には、必要に応じて記録層の塗布特性や発
色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いる
ことができる。これらの添加剤には、たとえば分散剤、
界面活性剤、導電剤、充填剤、滑剤、酸化防止剤、光安
定化剤、紫外線吸収剤、発色安定化剤、消色促進剤など
がある。
【0016】記録層の形成に用いられるバインダー樹脂
としては、たとえばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポ
リスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポ
リエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
カーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリ
ル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共
重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコ
ール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロース、デンプン類などがある。これらのバインダ
ー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加に
よって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことに
ある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹
脂を用いることが好ましい。また、熱硬化性樹脂を用い
ても良い。
【0017】硬化性樹脂としては、たとえば架橋剤およ
びこの架橋剤と反応する活性基を有する樹脂の組合せで
あり、熱、電子線、紫外線等により架橋硬化できる樹脂
である。熱硬化で用いられる樹脂は、たとえばフェノキ
シ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテ
ートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート
など、水酸基、カルボキシル基など架橋剤と反応する基
を持つ樹脂、または水酸基、カルボキシル基などを持つ
モノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂があ
る。共重合樹脂には、たとえば塩ビ系、アクリル系、ス
チレン系などの樹脂があり、具体的には塩化ビニル−酢
酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢
酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体、
塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等が
例示できる。
【0018】熱架橋の架橋剤としては、たとえばイソシ
アネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物
等が挙げられる。たとえば、イソシアネート類として
は、イソシアネート基を複数持つポリイソシアネート化
合物であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネー
ト(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、
キシリレンジイソシアネート(XDI)等、およびこれ
らのトリメチロールプロパンなどによるアダクトタイ
プ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプおよび
ブロック化イソシアネート類等が挙げられる。架橋剤の
樹脂に対する添加量としては、樹脂中の含まれる活性基
の数に対する架橋剤の官能基の比が0.01〜2.0が
好ましく、これ以下では熱強度が不足してしまい、また
これ以上添加すると発色・消色特性に悪影響をおよぼ
す。またさらに、架橋促進剤としてこの種の反応に用い
られる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、たと
えば1,4−ジアザービシクロ〔2,2,2〕オクタン
などの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物
などが挙げられる。
【0019】次に、電子線および紫外線硬化の際に用い
られるモノマーとしては、たとえば以下のものが挙げら
れる。 単官能性モノマーの例 メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸
t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル
酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸ベンジル、メタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メ
タクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチルメチルクロライド塩、メタクリル酸ジエ
チルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリル、ジ
メタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリ
エチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレング
リコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコー
ル、ジメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、トリメ
タクリル酸トリメチロールプロパン、メタクリル酸2−
エトキシエチル、2−エチルヘキシルアクリレート、2
−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシ
エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジシクロペ
ンテニルエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、
酢酸ビニル等。
【0020】2官能性モノマーの例 1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオール
ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプ
ロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレング
リコールジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオ
キサイド付加物ジアクリレート、グリセリンメタクリレ
ートアクリレート、ネオペンチルグリコールのプロピレ
ンオキサイド2モル付加物のジアクリレート、ジエチレ
ングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール
(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸とネ
オペンチルグリコールのエステルのジアクリレート、
2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)
プロパン、ネオペンチルグリコールジアジペートのジア
クリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコ
ールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2
−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−
ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジ
アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリ
レート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート
のε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオー
ルのグリシジルエーテルのジアクリレート等。
【0021】多官能性モノマーの例 トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリン
プロピレンオキサイド付加アクリレート、トリスアクリ
ロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリト
ールアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレ
ンオキサイド3モル付加物のトリアクリレート、ジペン
タエリスリトール・ポリアクリレート、ジペンタエリス
リトールのカプロラクトン付加物のポリアクリレート、
プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロ
パントリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリ
トールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパ
ンテトラアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリ
トールのペンタアクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサア
クリレートのε−カプロラクトン付加物等。
【0022】オリゴマーの例 ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物等。
【0023】また、紫外線を用いて架橋させる場合に
は、次のような光重合開始剤、光重合促進剤を用いる。
光重合開始剤の例としては、イソブチルベンゾインエー
テル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイ
ンエーテル類;1−フェニル−1,2−プロパンジオン
−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のα−ア
シロキシムエステル;2,2−ジメトキシ−2−フェニ
ルアセトフェノン、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシ
ルフェニルケトン等のベンジルケタール類;ジエトキシ
アセトンフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−
フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン誘導
体;ベンゾフェノン、1−クロロチオキサントン、2−
クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−クロロベンゾフェノン
等のケトン類が挙げられる。これらの光重合開始剤は、
単独でまたは2種類以上併用して使用される。添加量と
してはモノマーまたはオリゴマー1重量部に対して0.
005〜1.0重量部が好ましく、さらに好ましくは
0.01〜0.5重量部である。
【0024】光重合促進剤としては、芳香族系の第3ア
ミンや脂肪族系アミンがある。具体的には、p−ジメチ
ルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルア
ミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。これらの
光重合促進剤は、単独でまたは2種類以上併用して使用
される。添加量としては光重合開始剤1重量部に対して
0.1〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.3
〜3重量部である。
【0025】本発明に用いる紫外線照射の際の光源とし
ては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムラ
ンプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどがあ
るが、前記した光重合開始剤および光重合促進剤の紫外
線吸収波長に対応した発光スペクトルを有する光源を使
用すればよい。また、紫外線照射条件としては、樹脂を
架橋させるために必要な照射エネルギーに応じてランプ
出力、搬送速度を決めればよい。
【0026】また、電子線照射装置としては、照射面
積、照射線量などの目的に応じて走査形、非走査形いず
れかを選べは良く、照射条件としては樹脂を架橋するの
に必要な線量に応じて、電子流、照射幅、搬送速度を決
めれば良い。
【0027】本発明のフェノール化合物を用いた可逆性
感熱記録媒体は、基本的に支持体上に上記の記録層が設
けられたものであるが、記録媒体としての特性を向上す
るため、保護層、接着層、中間層、アンダーコート層、
バックコート層などを設けることができる。
【0028】サーマルヘッドを用いた印字では、熱と圧
力のため記録層の表面が変形し、いわゆる打痕ができる
場合がある。これを防止するため、表面に保護層を設け
ることが好ましい。保護層には、ポリビニルアルコー
ル、スチレン無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性
ポリエチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素
−ホルムアルデヒド樹脂のほか、紫外線硬化樹脂および
電子線硬化樹脂などが使用できる。また、保護層中には
紫外線吸収剤などの添加剤を含有させることができる。
【0029】記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗
布による記録層の変質防止、保護層中の添加剤の記録層
への移行を防止する目的で、両者の間に中間層を設ける
ことも好ましい。また、記録層の上に設置される保護
層、中間層には酸素透過性の低い樹脂を用いることが好
ましい。記録層中の発色剤および顕色剤の酸化を防止ま
たは低減することが可能になる。
【0030】また、印加した熱を有効に利用するため、
支持体と記録層の間に断熱性のアンダーコート層を設け
ることができる。断熱層は、有機または無機の微小中空
体粒子をバインダー樹脂を用いて塗布することにより形
成できる。支持体と記録層の接着性の改善や支持体への
記録層材料の浸透防止を目的としたアンダーコート層を
設けることもできる。
【0031】中間層、アンダーコート層には、前記の記
録層用の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。ま
た、保護層、中間層、記録層およびアンダーコート層に
は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、
酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクな
どのフィラーを含有させることができる。その他、滑
剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもでき
る。
【0032】本発明の化合物を用いた可逆性感熱記録媒
体において、発色画像を形成させるためには、いったん
発色温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよ
い。具体的には、たとえばサーマルヘッドやレーザー光
で短時間加熱すると記録層が局部的に加熱されるため、
直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、発色状態が固定
できる。一方、消色させるためには適当な熱源を用いて
比較的長時間加熱し冷却するか、発色温度よりやや低い
温度に一時的に加熱すればよい。長時間加熱すると記録
媒体の広い範囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるた
め、その過程で消色が起きる。この場合の加熱方法に
は、熱ローラー、熱スタンプ、熱風などを用いてもよい
し、サーマルヘッドを用いて長時間加熱してもよい。記
録層を消色温度域に加熱するためには、例えばサーマル
ヘッドへの印加電圧やパルス幅を調節することによっ
て、印加エネルギーを記録時よりやや低下させればよ
い。この方法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・
消去ができ、いわゆるオーバーライトが可能になる。も
ちろん、熱ローラー、熱スタンプによって消色温度域に
加熱して消去することもできる。
【0033】また、本発明の化合物を用いた可逆性感熱
記録媒体は、必要に応じ、一層あるいは多層の着色層を
記録媒体の全面もしくは一部分に設けても良く、これら
の着色層上にさらに保護層を設けていても良い。このと
き着色層および保護層は繰り返し耐久性を満足するもの
が好ましい。また、保護層は着色層を覆っていれば良
く、着色層が記録媒体の一部分に設けられている場合に
は着色層を覆う部分だけでも良く、記録媒体全体を覆っ
ていても良い。また、本発明の可逆性感熱記録媒体の表
面および裏面の最上層が具備すべき特性としては、前記
の繰り返し耐久性に加え、搬送性、耐指紋性などの汚れ
・付着物に対する耐性、印字装置のクリーニング性など
が挙げられる。また、本発明の化合物を用いた可逆性感
熱記録媒体は、任意の形状に加工することができ、ま
た、粘着剤などを介して他の媒体に貼り付けることもで
きる。
【0034】
【実施例】本発明を下記実施例によって具体的に説明す
る。
【0035】実施例1 〔N−(4−ヒドロキシフェニル)−6−〔(N−n−
オクタデシルカルバモイル)アミノ〕ヘキサンアミド
(表1中、化合物No.3)の合成〕ε−アミノカプロ
ン酸ナトリウム塩18.4g、オクタデシルイソシアナ
ート35.5g、2−ブタノン900mlを仕込み、還
流下で6時間撹拌した。次いで、析出した結晶を濾別、
水洗後、酢酸水溶液中に投じ3時間撹拌した後、再び瀘
別した、得られた結晶を水洗、乾燥後トルエンから再結
晶した。得られた結晶をテトラヒドロフラン1200m
l中に懸濁させ、65℃に加熱した。懸濁液を撹拌しな
がら、1−ヒドロキシベンズトリアゾール16.2g、
ジイソプロピルカルボジイミド15.1g、p−アミノ
フェノール13.1gを加え、還流下2時間反応させ
た。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、瀘別、水洗
後、エタノールから再結晶を行い、目的物を得た。この
ときの目的物の収率、融点、元素分析結果を表1に示し
た。元素分析、赤外吸収スペクトルから目的物であるこ
とを確認した。また、同様にして、表1中、化合物N
o.1、2およびNo.4〜No.7の化合物を合成し
た。その結果を表1に示した。
【0036】実施例2 〔N−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(n−オクタ
デカノイルアミノ)プロパンアミド(表1中、化合物N
o.8)の合成〕β−アラニン9.7g、水酸化ナトリ
ウム6.7g、アセトン200ml、水150mlを仕
込み撹拌下、オクタデカン酸クロリド25.3gを滴下
した。滴下後、昇温し、50〜60℃とし3時間撹拌し
た後、30%硫酸水溶液にて酸性とし析出した結晶を濾
別、水洗、乾燥した。この結晶をトルエンから再結晶し
た。次いで、得られた結晶をテトラヒドロフラン120
0ml中に懸濁させ、65℃に加熱した。懸濁液を撹拌
しながら、1−ヒドロキシベンズトリアゾール6.8
g、ジイソプロピルカルボジイミド6.3g、p−アミ
ノフェノール5.5gを加え、還流下2時間反応させ
た。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、瀘別、水洗
後、エタノールから再結晶を行い、目的物を得た。この
ときの目的物の収率、融点、元素分析結果を表1に示し
た。また、同様にして、表1中、化合物No.9〜13
の化合物を合成した。その結果を表1に示した。
【0037】実施例3 〔N−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(n−オクタ
デジルスルホニル)プロパンアミド(表1中、化合物N
o.14)の合成〕メチルエチルケトン50mlに1−
オクタデセン15.1g、チオプロピオン酸5.3gを
溶解し、80〜90℃で8時間撹拌した。次いで水を加
え析出した結晶を濾別、水洗後、ヘキサンから再結晶し
た。得られた結晶に酢酸75gを加え、撹拌下90〜1
00℃で過酸化水素水(33%)50gを滴下し、7時
間撹拌した。析出した結晶を、濾別、水洗し、エタノー
ルで再結晶した。さらに、得られた結晶をテトラヒドロ
フラン250mlに溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリ
アゾール3.9g、ジイソプロピルカルボジイミド3.
5g、p−アミノフェノール2.7gを加え、室温にて
6時間撹拌した。その後析出した結晶を瀘別し、水洗
後、トルエンから再結晶し、目的物を得た。このときの
目的物の収率、融点、元素分析結果を表1に示した。元
素分析、赤外吸収スペクトルから目的物であることを確
認した。
【0038】実施例4 〔N−(n−オクタデカノイルアミノ)−N’−(4−
ヒドロキシフェニル)ヘキサン−1,6−ジアミド(表
1中、化合物No.15)の合成〕テトラヒドロフラン
400mlにステアリン酸ヒドラジド20g、アジピン
酸モノエチル11.6g、ジイソプロピルカルボジイミ
ド10.2g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1
0.8gを溶解し、室温にて12時間撹拌した。次いで
濾過後、アセトンから再結晶し得られた結晶を85%エ
タノール水溶液400mlに水酸化ナトリウム4.6g
を溶解させた液中に入れ、還流下4時間撹拌した。この
反応液に30%硫酸水溶液を加え酸性とし、冷却、濾
過、水洗、乾燥した。得られた結晶をテトラヒドロフラ
ン200mlに溶解し、ここにp−アミノフェノール
5.6g、ジイソプロピルカルボジイミド6.4g、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾール6.8gを加え、還流
下3時間撹拌した。冷却後、析出した結晶を瀘別、乾燥
し、イソプロピルアルコールから再結晶し目的物を得
た。このときの目的物の収率、融点、元素分析結果を表
1に示した。元素分析、赤外吸収スペクトルから目的物
であることを確認した。
【0039】実施例5 〔N−n−オクタデシル−N’−(5−(N−(4−ヒ
ドロキシフェニル)−カルバモイル)ペンチル)エタン
−1,2−ジアミド(表1中、化合物No.16)の合
成〕テトラヒドロフラン100mlにステアリルアミン
17.0g、ピリジン6.5gを溶解し、ここに40〜
50℃でシュウ酸モノエチルクロリド12.5gを滴
下、5時間撹拌した。次いで、析出した固体を濾過によ
り除いた後、得られた液体に水を加え、浮遊した油状物
を集めアセトンに溶解、冷却し、析出した結晶を瀘別し
た。この結晶を90%エタノール水溶液100mlに水
酸化ナトリウム4.1gを溶解させた液中に移し、還流
下2時間撹拌した。次いで、塩酸水で酸性とし、析出し
た結晶を水洗後、アセトンから再結晶して得られた結晶
10gをテトラヒドロフラン150mlに溶解し、ここ
にアミノカプロン酸エチルエステル・塩酸塩14.6
g、ピリジン3.5g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ
ール6.8gを加え、室温下で撹拌しながらジイソプロ
ピルカルボジイミド5.6gを滴下し、16時間撹拌し
た。析出した結晶を濾別し、60%エタノール水溶液2
50mlに水酸化ナトリウム3.8gを溶解させた液中
に移し、還流下で4時間撹拌後、硫酸水で酸性とし析出
した結晶を水洗、乾燥した。この結晶をテトラヒドロフ
ラン100mlに溶解し、p−アミノフェノール2.5
g、1−ベンゾトリアゾール2.3g、ジイソプロピル
カルボジイミド2.2gを加え、室温で8時間撹拌し
た。そして析出した結晶を瀘別し、水、およびテトラヒ
ドロフランで洗浄後、トルエンから再結晶し、目的物を
得た。このときの目的物の収率、融点、元素分析結果を
表1に示した。元素分析、赤外吸収スペクトルから目的
物であることを確認した。
【0040】実施例6 〔N−(n−オクタデシル)−N’−(4−ヒドロキシ
フェニル)ヘキサン−1,6−ジアミド(表1中、化合
物No.17)の合成〕オクタデシルアミン13.5
g、ピリジン3.7gをテトラヒドロフラン150ml
に溶解し、次いで室温下でアジピン酸モノエチルクロリ
ド9.6gを滴下した。滴下後、50〜60℃で4時間
撹拌したのち、この反応液に90%エタノール水溶液3
00mlに水酸化ナトリウム20gを溶解させた液を加
え、還流下4時間撹拌した。反応液に水500mlを加
え、4N塩酸で酸性とし析出した結晶を瀘取し、水洗、
乾燥後2−ブタノンから再結晶した。得られた結晶をテ
トラヒドロフラン1200ml中に懸濁させ、65℃に
加熱した。懸濁液を撹拌しながら、1−ヒドロキシベン
ズトリアゾール3.7g、ジイソプロピルカルボジイミ
ド3.4g、p−アミノフェノール3.0gを加え、還
流下2時間反応させた。反応終了後、反応物を室温まで
冷却し、瀘別、水洗後、エタノールから再結晶を行い、
目的物を得た。このときの目的物の収率、融点、元素分
析結果を表1に示した。元素分析、赤外吸収スペクトル
から目的物であることを確認した。
【0041】
【表1−(1)】
【0042】
【表1−(2)】
【0043】応用例1(可逆性感熱記録媒体の作製例
1) 下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉
砕分散して、記録層塗布液を調整した。 2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチル アミノアミノフルオラン 2部 表2に示す本発明の化合物 8部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (ユニオンカーバイト社製、VYHH) メチルエチルケトン 45部 トルエン 45部 上記組成の記録層塗布液を、厚さ100μmのポリエス
テルフィルム上にワイヤーバーを用い塗布し、乾燥して
膜厚約6.0μmの記録層を持つ可逆性感熱記録媒体を
作製した。
【0044】得られた記録媒体を8ドット/mmのサー
マルヘッドによって印加電圧13.3V、印加パルス幅
1.2ミリ秒の条件で印字し発色画像を得た。この発色
画像の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を使用し
測定した。次に、この発色した記録媒体をホットスタン
プを用いて表2に示す消去温度で、0.2秒、0.5秒
間および1秒間加熱したのち濃度を測定した。これらの
結果を表2に示す。また、この印字、1秒間の加熱消去
を繰り返し10回行った結果を表2に示す。表2より、
本発明の記録媒体が、0.2秒〜0.5秒間の加熱で地
肌濃度と同レベルまで消色することがわかる。また、印
字、消去が安定して繰り返されることがわかる。また、
発色した記録媒体を40℃乾燥条件下に24時間保持
し、保存前後の地肌濃度および発色濃度を測定し保存性
を調べた。その結果を表2に示す。なお、表中の濃度保
持率は下記式で与えられる。 濃度保持率(%)={(保存後発色濃度−保存後地肌濃
度)/(保存前発色濃度−保存前地肌濃度)}×100 これらの結果から、この記録媒体が、40℃の環境にお
いても、画像の退色がないことがわかる。したがって、
本発明の化合物を用いた記録媒体が高速に消去可能であ
り、かつ保存安定性に優れた可逆性感熱記録媒体である
ことが明らかになった。
【0045】
【表2】
【0046】応用例2(可逆性感熱記録媒体の作製例
2) 下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉
砕分散して、記録層塗布液を調製した。 2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン 2部 本発明の化合物No.1 8部 ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製 タケラックU−21)の15%テトラヒドロフラン (THF)溶液 150部 得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL
(アダクト型ヘキサメチレンジアミンジイソシアネート
75%酢酸エチル溶液)20部を加え、良く撹拌し記録
層塗布液を調製した。上記組成の記録層塗布液を、厚さ
100μmのポリエステルフィルム上にワイヤーバーを
用いて塗布し、80℃で乾燥した後、60℃で24時間
加熱して膜厚約6μmの記録層を設けた。
【0047】この記録層上に下記組成からなる中間層塗
液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥した
後、60℃で24時間加熱して膜厚約2μmの中間層を
設けた。 〈中間層塗液〉 ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製 タケラックU−21)の10%メチルエチルケトン (MEK)溶液 100部 超微粒子窒化珪素(平均粒径70nm) 10部 コロネートHL 15部
【0048】さらに、中間層上に下記組成からなる保護
層液をワイヤーバーを用いて塗工した後、照射エネルギ
ー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度
で通し、硬化して膜厚3μmの保護層を設け、可逆性感
熱記録媒体を作製した。 〈保護層塗液〉 ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂 (大日本インキ社製 C7−157) 10部 シリカ(水沢化学社製 P−527) 0.1部 酢酸エチル 90部
【0049】以上のように作製した記録媒体を8ドット
/mmのサーマルヘッドによって印加電圧13.3V、
印加パルス幅1.2ミリ秒の条件で印加した。この印字
部および地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−91
4を使用し測定したところ、印字濃度は1.16で、地
肌濃度は0.10であった。次に、この印字部をホット
スタンプを用い、150℃、0.5秒で消去したとこ
ろ、消去濃度は0.10であった。また、前記の印字・
消去を50回繰り返したところ、印字濃度の低下および
消去濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態
であった。また、印字サンプルを蛍光灯5500lu
x、100時間照射したところ、印字部・地肌部共に変
色、消去時の消し残りは認められず良好な状態であっ
た。
【0050】応用例3(可逆性感熱記録媒体の作製例
3) 下記記録層分散液を用いた他は、応用例2と同様にして
記録層を設けた。 3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル−3− (1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4− アザフタリド 2部 本発明の化合物No.4 8部 N,N’−ジオクタデシル尿素 0.4部 ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製 タケラックU−21)の15%THF溶液 150部 次に、応用例2で使用した中間層塗液中から超微粒子珪
素(平均粒径70nm)を除いた他は、応用例2と同様
にして中間層を設けた。
【0051】次に、下記の保護層塗液を用いた他は、応
用例2と同様にして保護層を設けた。 〈保護層塗液〉 ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂 (大日本インキ社製C7−157) 10部 下記の構造の紫外線吸収剤 0.5部 酢酸エチル 90部 紫外線吸収剤構造式
【化3】 次に、大日本インキ社製OPニス(ニューダイキュア
OL OPニス)をR1テスターを用い印刷した後、7
m/分でUV照射して膜厚1.5μmのOP層を設け、
可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0052】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は0.88で、地肌濃度は0.09であった。
次に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.09であっ
た。また、前記の印字・消去を50回繰り返したとこ
ろ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどな
く、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプ
ルを蛍光灯5500lux、100時間照射したとこ
ろ、印字部・地肌部共に変色、消去時の消し残りは認め
られず良好な状態であった。
【0053】応用例4(可逆性感熱記録媒体の作製例
4) 下記の記録層分散液を用い、コロネートHLを10部添
加して記録層分散液を調製した他は、応用例2と同様に
して記録層を設けた。 2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン 2部 本発明の顕色剤No.3 8部 アクリルポリオール樹脂(三菱レーヨン社製 LR286)の15%THF溶液 150部
【0054】次に、下記の中間層塗液を用いた他は、応
用例2と同様にして中間層を設けた。 〈中間層塗液〉 アクリルポリオール樹脂(三菱レーヨン社製 LR286)の10%MEK溶液 100部 超微粒子酸化亜鉛(平均粒径20nm) 10部 コロネートHL 5部
【0055】次に、下記の保護層塗液を用いた他は、応
用例2と同様にして保護層を設けた後、応用例3と同様
にしてOP層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製した。 〈保護層塗液〉 ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂 10部 (大日本インキ社製C7−157) 酢酸エチル 90部
【0056】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は1.21、地肌濃度は0.09であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.09であっ
た。また、前記の印字・消去を50回繰り返したとこ
ろ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどな
く、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプ
ルを蛍光灯5500lux、100時間照射したとこ
ろ、印字部・地肌部共に変色、消去時の消し残りは認め
られず良好な状態であった。
【0057】応用例5(可逆性感熱記録媒体の作製例
5) 応用例3の記録層分散液中から、N,N’−ジオクタデ
シル尿素を除いた他は、応用例3と同様にして記録層を
設けた。次に、記録層上に応用例3と同様の保護層を設
けて、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0058】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は0.91、地肌濃度は0.10であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.10であっ
た。また、前記の印字・消去を50回繰り返したとこ
ろ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどな
く、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプ
ルを蛍光灯5500lux、100時間照射したとこ
ろ、印字部・地肌部共に変色、消去時の消し残りは認め
られず良好な状態であった。
【0059】応用例6(可逆性感熱記録媒体の作製例
6) 応用例5と同様にして記録層を設けた後、応用例2と同
様にして中間層を設けた。次に、中間層上に応用例3と
同様のOP層を設けて、可逆性感熱記録媒体を作製し
た。
【0060】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は0.89、地肌濃度は0.09であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.09であっ
た。また、前記の印字・消去を50回繰り返したとこ
ろ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどな
く、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプ
ルを蛍光灯5500lux、100時間照射したとこ
ろ、印字部・地肌部共に変色、消去時の消し残りは認め
られず良好な状態であった。
【0061】応用例7(可逆性感熱記録媒体の作製例
7) 応用例5と同様にして記録層を設けた。この記録層上に
下記組成からなる中間層液をワイヤーバーを用いて塗布
し、80℃で乾燥した後、60℃で24時間加熱して膜
厚約2μmの中間層を設けた。 〈中間層塗液〉 ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製 タケラックU−21)の10%MEK溶液 100部 下記の構造の紫外線吸収剤 10部 コロネートL 15部 紫外線吸収剤構造式
【化3】 次に、中間層上に応用例3と同様のOP層を設けて、可
逆性感熱記録媒体を作製した。
【0062】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は0.90、地肌濃度は0.09であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.09であっ
た。また、前記の印字・消去を50回繰り返したとこ
ろ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどな
く、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプ
ルを蛍光灯5500lux、100時間照射したとこ
ろ、印字部・地肌部共に変色、消去時の消し残りは認め
られず良好な状態であった。
【0063】応用例8(可逆性感熱記録媒体の作製例
8) 下記の記録層分散液を用いた他は、応用例2と同様にし
て記録層を設けた。 3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル−3− (1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4− アザフタリド 2部 本発明の顕色剤No.9 8部 ポリエステルポリオール樹脂(武田薬品工業社製 タケラックU−21)の15%THF溶液 150部
【0064】この記録層上に応用例2と同様の中間層を
設けた後、下記の保護層塗液を用いた他は、応用例2と
同様にして保護層を設け、可逆性感熱記録媒体を作製し
た。 〈保護層塗液〉 ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂 10部 (大日本インキ社製C7−157) 酢酸エチル 90部
【0065】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は0.91、地肌濃度は0.10であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.10であっ
た。また、前記の印字・消去を50回繰り返したとこ
ろ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどな
く、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプ
ルを蛍光灯5500lux、100時間照射したとこ
ろ、印字部・地肌部共に変色、消去時の消し残りは認め
られず良好な状態であった。
【0066】応用例9(可逆性感熱記録媒体の作製例
9) 応用例8と同様にして記録層を設けた後、記録層上に応
用例3と同様に保護層を設け、可逆性感熱記録媒体を作
製した。
【0067】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は0.93、地肌濃度は0.10であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.10であっ
た。また、前記の印字・消去を50回繰り返したとこ
ろ、印字濃度の低下および消去濃度の上昇がほとんどな
く、打痕もない良好な状態であった。また、印字サンプ
ルを蛍光灯5500lux、100時間照射したとこ
ろ、印字部・地肌部共に変色、消去時の消し残りは認め
られず良好な状態であった。
【0068】応用例10(可逆性感熱記録媒体の作製例
10) 下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉
砕分散して、記録層塗布液を調整した。 2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン 2部 本発明の顕色剤No.8 8部 ポリn−ブチルメタクリレート樹脂(三菱レーヨン社製 BR102)の15%THF溶液 150部 上記組成の記録層塗布液を、厚さ100μmの白色ポリ
エステルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、8
0℃で乾燥して膜厚約6μmの記録層を設けた。
【0069】この記録層上に下記組成からなる中間層を
ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥して、膜厚
約2μmの中間層を設けた。 〈中間層塗液〉 ポリn−ブチルメタクリレート樹脂(三菱レーヨン社製 BR102)の10%メチルエチルケトン(MEK)溶液 100部 超微粒子酸化亜鉛(平均粒径20nm) 10部 次に、中間層上に応用例2と同様にして保護層を設け
て、可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0070】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は1.17、地肌濃度は0.10であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.10であっ
た。また、また、印字サンプルを蛍光灯5500lu
x、100時間照射したところ、印字部・地肌部共に変
色、消去時の消し残りは認められず良好な状態であっ
た。
【0071】応用例11(可逆性感熱記録媒体の作製例
11) 応用例10と同様にして記録層を設けた後、記録層上に
応用例3と同様の保護層を設けて、可逆性感熱記録媒体
を作製した。
【0072】以上のように作製した記録媒体を応用例2
と同様に印字し、この印字部および地肌部の光学濃度を
マクベス濃度計RD−914を使用し測定したところ、
印字濃度は1.22、地肌濃度は0.11であった。次
に、この印字部をホットスタンプを用い、150℃、
0.5秒で消去したところ、消去濃度は0.11であっ
た。また、印字サンプルを蛍光灯5500lux、10
0時間照射したところ、印字部・地肌部共に変色、消去
時の消し残りは認められず良好な状態であった。
【0073】
【発明の効果】本発明のフェノール化合物は、新規な化
合物である。さらに、本発明の化合物を、顕色剤として
用いた可逆性感熱記録媒体は、コントラストの高い画像
の形成と消去が容易な操作により可能であり、発色画像
は通常の使用条件下で安定であり、記録消去の繰り返し
に対する耐久性も高く、実用性の高い書き換え型記録媒
体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物No.1の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図2】本発明の化合物No.2の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図3】本発明の化合物No.3の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図4】本発明の化合物No.4の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図5】本発明の化合物No.5の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図6】本発明の化合物No.6の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図7】本発明の化合物No.7の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図8】本発明の化合物No.8の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図9】本発明の化合物No.9の赤外線吸収スペクト
ルを示す図である。
【図10】本発明の化合物No.10の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図11】本発明の化合物No.11の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図12】本発明の化合物No.12の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図13】本発明の化合物No.13の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図14】本発明の化合物No.14の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図15】本発明の化合物No.15の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図16】本発明の化合物No.16の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
【図17】本発明の化合物No.17の赤外線吸収スペ
クトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B41M 5/26 C09B 57/00 C09B 57/00 B41M 5/18 (72)発明者 古屋 浩美 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 河村 史生 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 筒井 恭治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 杉山 克之 東京都葛飾区堀切四丁目六六番一号 ミ ヨシ油脂株式会社内 (72)発明者 小久保 勝明 東京都葛飾区堀切四丁目六六番一号 ミ ヨシ油脂株式会社内 (72)発明者 河合 功治 東京都葛飾区堀切四丁目六六番一号 ミ ヨシ油脂株式会社内 (72)発明者 細田 和夫 東京都葛飾区堀切四丁目六六番一号 ミ ヨシ油脂株式会社内 (72)発明者 守屋 雅文 東京都葛飾区堀切四丁目六六番一号 ミ ヨシ油脂株式会社内 (72)発明者 神尾 克久 東京都葛飾区堀切四丁目六六番一号 ミ ヨシ油脂株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−295458(JP,A) 特開 平7−108761(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 233/25 C07C 233/56 C07C 237/22 C07C 243/28 C07C 317/44 B41M 5/26 C09B 57/00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される新規なフェ
    ノール化合物。 【化1】 (式中、Xは−NHCONH−、−NHCO−、−CO
    NH−、−NHCOCONH−、−CONHNHCO−
    または−SO2−で示される基を表し、nは2〜11、
    mは6〜21の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 前記Xが−NHCONH−である請求項
    1記載のフェノール化合物。
  3. 【請求項3】 前記Xが−NHCO−である請求項1記
    載のフェノール化合物。
  4. 【請求項4】 前記Xが−CONH−である請求項1記
    載のフェノール化合物。
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