JP3504602B2 - 木材の乾燥方法および装置 - Google Patents

木材の乾燥方法および装置

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JP3504602B2 JP2000338937A JP2000338937A JP3504602B2 JP 3504602 B2 JP3504602 B2 JP 3504602B2 JP 2000338937 A JP2000338937 A JP 2000338937A JP 2000338937 A JP2000338937 A JP 2000338937A JP 3504602 B2 JP3504602 B2 JP 3504602B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材表面の変色お
よび木材表面の割れを抑制した上で木材に対して迅速に
乾燥処理を施す木材の乾燥方法および装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】木材の乾燥は、自然乾燥と人工乾燥とに
大きく分類される。自然乾燥は、原料木材を日陰に置い
て自然に乾燥させるものであり、乾燥後の変色は少ない
が、表面割れは多く、かつ、仕上げ含水率のばらつきが
大きい上、乾燥時間がときには数ヶ月と非常に長く、生
産性が極めて低いために一部の工芸品を対象とした特殊
原料を調製する場合を除いて工業的に大規模に適用する
のは不向きであるという問題点を有している。
【0003】これに対して、人工乾燥は、原料木材を加
熱処理して水分を強制的に蒸発させるものであるため、
乾燥時間は自然乾燥に比べて格段に短縮され、生産性が
著しく向上することから、建築材料等に用いられる木材
のほとんどは人工乾燥に付されているのが一般的であ
る。
【0004】ところで、スギやヒノキ等を原木とした建
築用構造材としての乾燥木材の品質は、材内の水分分布
の均一性と、ひび割れや歪みなどが存在しないことの他
に、人目に曝され易い木材表面が変色しないことが挙げ
られる。しかし、木材に高温で人工乾燥処理を施すと、
得られた乾燥木材の表面は、当初略白色であったものが
日焼けしたような茶褐色に変色してしまうという不都合
が生じる。この変色は、木材の組織成分が80℃〜13
0℃の高温環境で酸素と水分とに曝されることによる化
学反応に起因して生じるといわれている。
【0005】すなわち、人工乾燥としては、従来、主に
蒸気を熱源として乾燥炉内の温度、湿度を制御し、一般
的には、80℃〜130℃の高温雰囲気とする蒸気乾燥
方式が広く採用されていたが、この方式では、10日〜
15日で木材の表面は速やかに乾燥される反面、中心部
分の乾燥が迅速に行われず、従って木材の表面から中心
部分に向かって水分が漸増した状態になるいわゆる水分
傾斜が発生し、表層が含水率30%以下になって縮もう
とするのに対し内層は未だ含水率が高く、相応して縮ま
ないため木材が表面割れを起すばかりか、表面の変色が
避けられないという不都合が存在した。
【0006】かかる不都合を解消するものとして、図1
1および図12のグラフに示すような乾燥スケジュール
による蒸気乾燥処理を考えることができる。なお、図1
1の乾燥スケジュールは、表面の変色防止に主眼をおい
たものであり、図12の乾燥スケジュールは、表面割れ
の防止を主眼としたものである。
【0007】まず、図11の変色防止の乾燥スケジュー
ルにおいては、乾燥炉内の温度が60℃〜70℃(図1
1のグラフでは60℃の場合を示している)に設定され
る(すなわち乾球温度計の温度(以下乾球温度という)
が60℃になるように制御される)とともに、湿球温度
計の温度(以下湿球温度という)は、乾燥の進行に伴っ
て段階的に漸減され、最終的には乾球温度と湿球温度と
の差(以下乾湿温度差という)が10℃〜15℃になる
ように制御される。なお、図11のグラフ中に点線で木
材の含水率(外数)の値を示している。
【0008】このような乾燥スケジュールによれば、乾
球温度が60℃〜70℃と変色防止の下限値近傍に設定
されているため、木材の表面変色を有効に防止した状態
で乾燥が進行するが、乾燥時間が従来の蒸気乾燥(乾燥
温度80℃〜90℃)の略2倍の20日〜30日と長く
なり、乾燥効率が低下する。
【0009】また、図12の表面割れ防止の乾燥スケジ
ュールにおいては、表面変色を犠牲にして乾球温度が従
来どおりの80℃〜90℃に設定されるが、その代わり
に湿球温度については、変色防止の場合より緩やかに段
階的に降温され、最終的な乾湿温度差は表面変色防止の
場合より小さい8℃〜11℃に制御される。こうするこ
とによる木材表面の湿潤状態の確保により、表層部のみ
の乾燥が先行することに起因して木材表面の収縮と木材
内部の収縮のバランスが崩れるような不都合が抑えら
れ、これによって表面割れが防止された状態で乾燥時間
の短縮化が達成されて15日〜20日で乾燥処理が完了
する。しかしながら表面の若干の変色は避け得べくもな
いというのが実情であった。
【0010】ところで、近年、上記のような蒸気乾燥方
式とは別に、主に大幅な乾燥時間の短縮を目的として、
原料木材を乾燥室内の対向電極間に挟持させた状態で高
周波発振器からの高周波を、対向電極を介して木材に印
加し、これによる誘電加熱で木材を乾燥する高周波乾燥
方式が採用されるようになってきた。この乾燥方式で
は、木材は誘電加熱によって材内が速やかに高温になる
ため、迅速な乾燥処理が実現するが、内部温度が高温に
なり過ぎて内部圧が異常に上昇したり、逆に木材内部の
方が表面より水分が低下することによる上記とは逆の水
分傾斜が発生するなどにより、木材に内部割れが生じる
という新たな問題点が提起される。
【0011】かかる問題点を解消するものとして、蒸気
乾燥方式と高周波乾燥方式とを併用した複合乾燥方式が
提案されている。この複合乾燥方式は、蒸気式乾燥によ
り木材に乾燥処理を施しながら、高周波加熱により木材
の材心部を100℃程度に加熱するものである。つま
り、木材の内部から外に向けて水分を積極的に押し出し
ながら、乾湿温度差を大きくすることによって表面に移
動した水分を取り除くものである。このため迅速な乾燥
処理が施されながら、得られた木材は水分分布が均一に
なる上、表面割れや歪みの発生が少なく、従って将来こ
の方式が普及するものと考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、たとえ
複合乾燥方式を採用しても、木材の乾燥環境が80℃〜
130℃と高温であると、内部加熱との兼ね合いで木材
の表面側の乾燥が内部よりも進む場合があり、こうなる
と木材の表面割れが発生してしまうという不都合が生じ
ることもある。
【0013】しかし、従来このような木材表面の変色や
割れについては意に介されることが少なかった。その理
由は以下のとおりである。すなわち、木材(特にスギや
ヒノキ等の建築用の木材)は、主に構造材として使用さ
れるものであり、しかも、たとえ木造住宅であっても純
日本式の建物以外は木材が表面に露出することが少ない
ことから、表面が多少変色していたり、表面割れが存在
しても構造材としての役割を充分に果し得るからであ
る。
【0014】しかし、自然への回帰が社会的な風潮にな
っている昨今では、木材表面の木目の美しさや自然物と
しての温かさが見直されて木材表面を露出させた昔乍ら
の日本建築や、木材表面を露出させた木造ドームのよう
な新規な建築物に対する需要が増加しているが、かかる
表面を露出させた建築物においては、人工乾燥処理によ
って表面が変色した木材や、表面割れが認められるよう
な木材は好まれない。
【0015】また、林業分野においては、木材の表面の
色調も商品価値の一つになっており、従って、人工乾燥
処理で変色した木材は、需要者に木材が日焼けしたよう
な印象を与えてしまって商品価値が低下するという問題
点を有している。
【0016】かかる問題点を解消するものとして、特開
平9−318251号公報には、変色を生じさせない人
工乾燥方式が記載されている。この人工乾燥方式は、乾
燥室内に輻射放熱式の加熱装置を配設し、この加熱装置
からの輻射熱によって乾燥室内の温度を、乾燥温度とし
ては低温である35℃〜45℃に保持して木材を乾燥す
るものである。こうすることによって乾燥環境が高温で
はなくなるため、木材の表面で変色の3要因である高
温、酸素および水分の内の高温が欠けたことになって木
材表面に色焼けが起こらず、また水分傾斜も緩やかであ
るため表面割れも生じないと考えられる。
【0017】しかしながら、かかる低温乾燥は、乾燥温
度が35℃〜45℃と極めて低温であって夏場の自然乾
燥のときの乾燥温度と大差がなく、従って、乾燥時間
は、自然乾燥に準じるほどに長時間を要し、迅速かつ大
量に処理しなければならない工業的な乾燥処理では採用
し難いという不都合が存在する。
【0018】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたものであって、乾燥処理の迅速性を確保
した上で木材表面の変色および表面割れを確実に抑制す
ることができる木材の乾燥方法および装置を提供するこ
とを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
乾燥炉内を熱気で満たされた熱気環境にし、上記乾燥炉
に装填された木材に高周波を印加することによる誘電加
熱で乾燥処理を施す木材の乾燥方法において、乾燥炉内
の乾燥環境を生成させる乾燥環境生成手段を乾燥初期の
所定時間だけ駆動させることにより木材の表面の変色を
抑制する条件を満たす環境を乾燥炉内に生成し、この環
境下で乾燥処理を施すことを特徴とするものである。
【0020】この発明によれば、木材は、高周波が印加
されてその中心部分から誘電加熱される、いわゆる内部
加熱によって加熱されるため、通常は残り易い中心部分
の水分が表面側に移動して迅速な乾燥が実現する。そし
て、乾燥のための木材周りの環境条件が、木材表面が変
色しない条件に制御されるため、乾燥処理の迅速性が確
保された上で木材表面の変色が防止される。
【0021】また、乾燥炉内を熱気環境にすることによ
って、木材に外部からの熱が加えられるため、この外部
加熱と高周波印加による誘電加熱との双方を互いに関連
付けながら所定の温度管理の制御(すなわち、請求項3
における木材の内部温度を高温に維持する一方、表面温
度を低く抑える制御)を施すことによって、誘電加熱に
よる木材内部の昇温と、外部加熱による木材表面の昇温
とを適正にバランスさせることが可能になり、乾燥処理
の迅速化を確保した上で木材表面の変色が有効に防止さ
れる。
【0022】そして、木材の表面の変色を防止するため
には、全体の含水率の低下ではなく、表面の変色のみを
考慮すればよいのであり、乾燥初期の所定時間だけ乾燥
環境生成手段を駆動させることにより、この所定時間内
に木材変色の3要素である高い温度、酸素および水分の
内の1つである水分を少なくして水分の効力を低下させ
ることができ、これによって木材表面の変色が抑制され
る。従って、木材水分が所定の値以下になれば、以後は
木材を昇温したり、酸素濃度を元に戻しても、木材の表
面が変色することはなく、迅速な乾燥処理が実現する。
そして、所定の水分としては、種々の試験を実施した結
果、通常35/が好適であることが見出されたが、この
値は樹種によって変化する。
【0023】因みに、熱気としては、乾燥炉内に蒸気を
直接導入する場合にはこの蒸気を挙げることができる。
また蒸気との熱交換で乾燥炉内の空気の温度を上昇させ
る場合や電気ヒータによって乾燥炉内の空気温度を上昇
させるような場合には、乾燥炉内を循環している加熱空
気が熱気である。
【0024】請求項記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記木材の表面の変色を抑制する環境条件
として、木材の表面温度を所定の温度以下に維持するこ
とを特徴とするものである。
【0025】この発明によれば、木材の表面温度を、変
色が生じない所定の温度以下に抑えることにより、変色
の3要因である高い温度、酸素および水分の内の1つで
ある温度条件が欠けることになり、木材の表面の変色が
抑制される。変色が生じない所定の温度としては、例え
ば60℃を挙げることができ、好ましくは50℃を挙げ
ることができ、さらに好ましくは40℃を挙げることが
できる。
【0026】すなわち、木材の表面温度が60℃以下で
あると、通常の乾燥時に設定される80℃〜130℃に
比べて温度が相当低いことにより木材組織と、酸素およ
び水分との化学反応が起り難くなり、これによって木材
表面の変色が有効に防止される。また、木材の表面温度
が50℃以下のときは、60℃よりさらに温度が低いた
め、化学反応はより起こり難くなって木材表面の変色が
より有効に防止される。さらに、木材の表面温度が40
℃以下になると、ほとんど夏場の自然乾燥の場合と同様
の温度環境になるため、木材表面は自然乾燥と同等に変
色しない。
【0027】木材の表面温度を所定の温度以下に抑える
方法としては、まず、乾燥環境中の空気については特に
操作を行うことなく、木材に印加される高周波の出力を
制御して木材中心部の温度を通常の誘電加熱の場合より
も低めにし、これによって木材の全体的な温度をある程
度低温に抑えて木材表面の温度を低くする方法を挙げる
ことができる。このとき炉内の温度および湿度は、乾燥
スケジュールによってコントロールし、特に温度は60
℃以下になるようにして、木材表面の温度上昇を抑える
ようにする。この場合、高周波加熱によって内部温度は
80℃〜100℃になっており、木材内部から表面に向
かって大きな温度傾斜が形成された状態になっている。
そして、木材表面の温度だけが低ければ、木材表面の変
色は有効に防止される。
【0028】また、外部の新鮮な空気を乾燥環境中に導
入して木材表面と接触させたのち外部に排出し、接触時
の新鮮空気と木材表面との熱交換および木材表面からの
水分の蒸発によって木材表面の温度を低温に維持する方
法を挙げることができる。
【0029】請求項記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、上記木材の表面の変色を抑制する
環境条件として、乾燥炉内の酸素濃度を通常の空気の酸
素濃度未満の酸素濃度にすることを特徴とするものであ
る。なお、この発明において、上記酸素濃度は、単位容
量当りの酸素の量を指す。
【0030】この発明によれば、木材変色の3要因であ
る高温、酸素および水分の内の1つである酸素が乾燥環
境中で少なくなり、これによって木材表面の変色は有効
に防止される。
【0031】請求項記載の発明は、請求項記載の発
明において、上記通常の空気の酸素濃度未満の酸素濃度
を、乾燥環境内の減圧処理によって得ることを特徴とす
るものである。
【0032】この発明によれば、乾燥環境中を減圧環境
にすることにより環境中の酸素の絶対量が少なくなって
酸素濃度が低下する。そして、減圧環境は、乾燥環境か
ら空気を吸引除去するという簡単な操作で実現すること
ができ、酸素濃度の低減処理が容易になる。
【0033】請求項記載の発明は、請求項記載の発
明において、上記酸素濃度を、乾燥環境内に不活性ガス
を導入することによって得ることを特徴とするものであ
る。
【0034】この発明によれば、乾燥環境内は、不活性
ガスが導入されることによって酸素濃度が低下する。そ
して、不活性ガスを導入するという簡単な操作で乾燥環
境が容易に酸素の低濃度環境になる。
【0035】請求項記載の発明は、請求項1乃至5
いずれかに記載の発明において、炉内の湿度を80%以
上にすることを特徴とするものである。
【0036】この発明によれば、乾燥炉内の木材の表面
は、80%以上の高湿度で湿った状態になるため、木材
表面の乾燥のみが先行されることなく、従って、木材表
面の収縮と木材内部の収縮とのバランスが崩れて表面割
れが生じるような不都合が防止される。
【0037】請求項7記載の発明は、請求項6記載の発
明において、上記乾燥炉内の乾球温度と湿球温度との差
を5〜6℃にすることを特徴とするものである。
【0038】この発明によれば、乾燥室20内の湿度を
80%以上に設定した上で、乾球温度と湿球温度との差
を5〜6℃にすることにより、乾燥による木材の表面組
織の収縮が内部の収縮より早く起こることによる割れの
起こり易さが抑制され、これによって木材の表面割れで
商品価値が著しく低下するのを防止することができる。
【0039】請求項記載の発明は、乾燥炉内を熱気で
満たされた熱気環境にし、上記乾燥炉に装填された木材
に高周波を印加することによる誘電加熱で乾燥処理を施
す木材の乾燥装置において、上記乾燥炉に木材の表面の
変色を抑制する条件を満たす環境を生成させ得る乾燥環
境生成手段を備え、上記乾燥環境生成手段は乾燥初期の
所定時間だけ駆動するものであることを特徴とするもの
である。
【0040】この発明によれば、請求項1記載の発明と
同様の作用効果を確保した上で、乾燥環境生 成手段は乾
燥初期の所定時間だけ駆動されることにより、乾燥の初
期に木材の表面割れの要因である水分が低くなり、これ
によって乾燥初期以後を通常の乾燥温度に戻しても、以
後は、水分が少ないことにより木材の表面割れが有効に
抑制された上で乾燥処理の迅速化を達成することができ
る。
【0041】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る木材乾燥装
置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図2は
図1のA−A線断面図である。また図3は図1のB−B
線断面図である。これらの図に示すように、本発明の木
材乾燥装置1は、内部に木材を乾燥するための乾燥室を
備えた乾燥炉2と、この乾燥炉2に付設され、乾燥中の
木材に高周波電圧を印加して均一かつ迅速な乾燥を促す
高周波部6と、木材表面の変色および表面割れを防止す
るように乾燥を制御する制御装置9(図6)とを備えて
構成されている。
【0042】上記乾燥炉2は、図1に示すように、6面
が壁で包囲された直方体状の箱体によって形成されてい
る。この乾燥炉2の稜線部分およびその他の適所には金
属製のフレーム材21が配筋され、これらのフレーム材
21によって直方体状の骨格が形成されている。
【0043】上記骨格の一側部にはドアフレーム22が
設けられており、このドアフレーム22によって乾燥炉
2に対する木材Wの出入口が形成されている。またこの
ドアフレーム22に断熱構造のドア23が開閉自在に取
り付けられている。ドア23には換気用および内部観察
用の小孔23aが穿設されている。なお、本実施形態に
おいては、ドア23は乾燥炉2を囲む互いに対向した二
対の壁面のうちの水平寸法が短い方の壁面(短壁面)の
一つに設けられるが、短壁面に限定されるものではな
く、長壁面に設けてもよい。
【0044】そして、上記骨格にはフレーム材21を挟
持するように金属製の薄板からなる外壁板24および内
壁板25が取り付けられており、これら外壁板24およ
び内壁板25間に断熱材26が充填されている。本実施
形態においては、上記外壁板24および内壁板25に亜
鉛メッキのカラー鋼板が適用されているとともに、断熱
材26としては50mm厚のグラスウールが用いられて
いる。
【0045】このような乾燥炉2の内部には、床面2
a、内壁面2bおよび天井面2cに囲まれた乾燥室20
が形成されている。本実施形態においては、乾燥炉2の
外寸法は、間口(ドア23が設けられている側)1.8
m、奥行き4.5m、高さ1.8mに設定されている。
【0046】乾燥室20の長手方向に延びる内壁面2b
の一方側には、長手方向で一対のファン3が送風面を乾
燥室20の中央部に向けた状態で取り付けられている。
これらのファン3を駆動することにより乾燥室20内の
空気を強制的に循環移動させて乾燥室20内の温度およ
び湿度が均一になるようにしている。本実施形態におい
ては、ファン3は0.75KWのものが2台設けられ、
2台で60〜180m/minの範囲内の送風量調節
が可能になっている。
【0047】そして、乾燥室20内のファン3直下の内
壁面2bには、長手方向に並設された2台のスチームヒ
ータ4が設けられ、循環移動している乾燥室20内の雰
囲気空気を加熱するようになっている。
【0048】また、上記の外側部には、ボイラ5が取り
付けられている。このボイラ5から発生した蒸気は、蒸
気配管51を通って乾燥炉2の上面部中央に設けられた
圧力ポンプ52に導入され、この圧力ポンプ52で加圧
されて一対の蒸気支管53を通って乾燥室20内に供給
されるようになっている。
【0049】また、本実施形態においては、ボイラ5に
は図略の安全弁が設けられており、ボイラ5の蒸気発生
量が、圧力ポンプ52から乾燥室20内に供給される設
定蒸気量よりも多いときは、余剰の蒸気が安全弁から外
部に放出されるようになっている。
【0050】本実施形態の場合、上記ボイラ5には3.
4KWの容量のヒータが内蔵されており、このヒータで
水を加熱することにより、最大3kg/cmGの圧力
の蒸気を5.1kg/hrの割合で発生させることがで
きるようになっている。このようなボイラ5には、所定
のホース等を介して水道水や井戸水が直接供給されるよ
うになっている。なお、5〜10リットルの容量を有す
るカートリッジ式の水槽を設けるようにしてもよい。ま
た、ボイラ5内には軟水器が設けられており、所定の操
作で水の軟水化が行われ、これによってボイラ5内での
水垢の生成が抑止されるようにしている。
【0051】上記乾燥炉2の天板の一隅部には、乾燥室
20内に連通した排気筒54が設けられ、乾燥室20内
の雰囲気空気を排出するようになっている。排気筒54
の内部には、水平軸54a回りに共回りして排気筒54
の開度を調節するダンパ55が設けられている。また、
乾燥炉2の天板には上記水平軸54aを軸心回りに回動
させてダンパ55の開度を変更するアクチュエータ56
が設けられており、このアクチュエータ56を作動させ
ることによりダンパ55の開度が調節されるようになっ
ている。
【0052】上記排気筒54の下部には、排気ファン5
7(図2)が設けられ、この排気ファン57を稼働させ
ることによって乾燥室20内の雰囲気空気を強制排気す
ることができるようになっている。本実施形態において
は、上記排気ファン57は、モータ容量が65Wのもの
が設けられ、18m/minの能力で排気するように
なっている。
【0053】そして、上記のような乾燥炉2には、乾燥
室20の床面2aに開口部を介して幅方向一対のレール
27が外部から引き入れられ、未乾燥の木材Wは、これ
らのレール27上を走行する台車としての後述の下部マ
イナス電極63上に多数本が整列載置された状態で乾燥
室20に対して出し入れし得るようになっている。
【0054】上記高周波部6は、図1および図3に示す
ように、所定周波数の高周波を出力する高周波発振機6
0と、この高周波発振機60からの高周波を木材Wに印
加するための複数組の対向電極61と、対向電極61お
よび高周波発振機60間に介設され、かつ、高周波発振
機60からの高周波出力を木材Wの乾燥状態の経時変化
に整合させる整合回路部7と、複数組の対向電極61へ
の高周波印加を経時的に順次切り換える切換え回路部8
とからなっている。本実施形態においては、対向電極6
1を構成する各電極板は、厚み寸法が略3mmのアルミ
ニウム製あるいはアルミニウム合金製の板材が採用され
ているが、図面では図示の都合上誇張して厚めに示して
いる。
【0055】上記整合回路部7は、可変コンデンサ71
が設けられた可変コンデンサ部7aと、可変インダクタ
ンス75が設けられた可変インダクタンス部7bとから
なっている。本実施形態においては、可変コンデンサ部
7a、可変インダクタンス部7bおよび切換え回路部8
は、それぞれケーシング70(コンデンサ用ケーシング
70a、インダクタンス用ケーシング70bおよび切換
え回路部用ケーシング70c)に収納されてユニット化
され、これによってこれらの組み合わせ配置を容易に行
い得るようになしている。
【0056】また、本実施形態においては、ケーシング
70を載置するための架台70dが乾燥炉2の長尺側壁
の中央位置に沿うように置設されている。そして、切換
え回路部用ケーシング70cが乾燥炉2の側壁面に当接
するように架台70d上に載置され、この切換え回路部
用ケーシング70cに当接するようにコンデンサ用ケー
シング70aが架台70d上に並列載置された状態で、
これらの上にインダクタンス用ケーシング70bが載置
されている。かかる架台70dを採用することによっ
て、ケーシング70を地面に直置きすることによる底部
の水濡れを防止し得るとともに、後述するシリンダスイ
ッチ81,82の高さ位置を後述するプラス電極62の
高さ位置に位置設定することが可能になり、これによる
リード線の短尺化でインダクタンスの増大が抑えられて
整合が安定するようにしている。
【0057】そして、ケーシング70のうち特に切換え
回路部用ケーシング70cを乾燥炉2の外側壁に沿わせ
て配置することによって、乾燥炉2に配線孔28(図
3、図5)を穿設し、この配線孔28にリード線(接続
板X(図5))を通すことで切換え回路部用ケーシング
70c(すなわち切換え回路部8)を乾燥炉2に容易に
付加し得るようにしている。なお、高周波発振機60お
よびケーシング70の双方を乾燥炉2の天板上に載置し
たり、ケーシング70のみを乾燥炉2の天板上に載置し
たり、あるいは高周波発振機60を乾燥炉2の天板上に
載置することも可能である。
【0058】そして、高周波発振機60と整合回路部7
とは、保護管60bに保護された同軸ケーブル60aに
よって接続されている。従って、嵩高い高周波発振機6
0を利用可能な敷地に配設したり(図1)、乾燥炉2の
天板上に置設する一方、可変コンデンサ71、可変イン
ダクタンス75および切換え回路部8がそれぞれ収納さ
れてユニット化されているコンデンサ用ケーシング70
a、インダクタンス用ケーシング70bおよび切換え回
路部用ケーシング70cを乾燥炉2にそれぞれ隣接設置
するとともに、高周波発振機60と整合回路部7とを同
軸ケーブル60aを介して互いに接続することにより、
高周波部6を乾燥炉2に対して付加的に施工することが
可能になり、可変コンデンサ71、可変インダクタンス
75および切換え回路部8の乾燥炉2への付設設計およ
び付設施工が容易になるとともに、外部加熱乾燥方式の
みの既存の乾燥炉2に内部加熱乾燥方式を追加する上で
の設計・施工も容易になる。
【0059】上記対向電極61は、アルミニウム合金等
の導電材の金属板からなる上下一対のプラス電極62
(下部プラス電極62aおよび上部プラス電極62b)
と、同材料からなり、かつ、木材Wを介してプラス電極
62の下方位置に配設される下部マイナス電極63と、
同上方位置に配設される上部マイナス電極64と、上下
のプラス電極間に介設される共用マイナス電極65とか
らなっている。本実施形態においては、下部プラス電極
62aと、下部マイナス電極63と、共用マイナス電極
65とで第1対向電極61aが形成されているととも
に、上部プラス電極62bと、上部マイナス電極64
と、共用マイナス電極65とで第2対向電極61bが形
成されている。
【0060】また、下部マイナス電極63は、木材Wを
乾燥室20内に運び込む台車の役割を果たすように構成
され、その下面四隅部にレール27上を転動するように
設けられた4つの車輪63aを有している。従って、乾
燥室20外で木材Wの搭載された対向電極61を乾燥室
20内に向けて押圧することにより、下部マイナス電極
63がレール27に案内されつつ移動して対向電極61
に搭載された木材Wが乾燥室20に装填されることにな
る。
【0061】そして、本実施形態においては、図1に示
すように、下部マイナス電極63上に所定の隙間を備え
て整列された8本の木材Wが、これらに直交するように
所定ピッチで配された複数本の桟材R1を介して2段積
みで積層され、これらの頂部に下部プラス電極62aが
重ねられ、さらにこの下部プラス電極62a上に上記同
様に2段積みで木材Wが重ねられ、これらの木材Wで積
層木材の第1ブロックD1(図2)が形成されている。
また、共用マイナス電極65と上部プラス電極62bと
の間、および上部プラス電極62bと上部マイナス電極
64との間にも上記同様に木材Wが積層され、これらの
木材Wで積層木材の第2ブロックD2が形成されてい
る。
【0062】図4は、高周波部6の回路構成の一実施形
態を示す説明図である。以下、図4を基に、および必要
に応じて先の図1〜図3を参照しながら高周波部6の回
路構成について詳細に説明する。まず、図3に示すよう
に、整合回路部7は、コンデンサ用ケーシング70aに
収納されてユニット構成された可変コンデンサ部7a
と、インダクタンス用ケーシング70bに収納されてユ
ニット構成された可変インダクタンス部7bとからなっ
ている。可変コンデンサ部7aには、可変コンデンサ7
1が内装されているとともに、可変インダクタンス部7
bには可変インダクタンス75が内装されている。
【0063】可変コンデンサ71は、乾燥されつつある
木材Wのインピーダンスの経時変化に整合して容量を変
化させるものであり、可変インダクタンス75は、木材
Wのインピーダンスの経時変化によっても電流値を減少
させないように自身のインダクタンスを調節するもので
ある。これら可変コンデンサ71および可変インダクタ
ンス75によるコンデンサ容量およびインダクタンスの
調整で乾燥過程の木材Wのインピーダンスと整合させ
る、いわゆるマッチングが行われ、効率的な乾燥処理が
実現する。
【0064】上記可変コンデンサ71は、コンデンサ用
ケーシング70a内の略中央部で上下方向に延びるよう
に固定された中央電極板72と、この中央電極板72の
図3における右側に対向配置された右電極板73と、同
左側に対向配置された左電極板74とからなっている。
中央電極板72は、コンデンサ用ケーシング70aに対
して絶縁状態にされている。そして、中央電極板72と
右電極板73とで図4に示す第1可変コンデンサ71a
が形成されているとともに、中央電極板72と左電極板
74とで図4に示す第2可変コンデンサ71bが形成さ
れている。同軸ケーブル60aの先端側は中央電極板7
2に接続されている。
【0065】また、上記右電極板73はアースされてい
る。かかる右電極板73は、上下端部がコンデンサ用ケ
ーシング70aの右側壁に付設された水平動自在の支持
ロッドを有する支持部材71cの上記支持ロッド先端に
固定され、これによって中央電極板72との間隙寸法が
変更可能になっている。また、コンデンサ用ケーシング
70a内の右側壁の上下方向中間位置には、電動あるい
は油圧等で可動ロッドを出没させるアクチュエータ71
dが取り付けられ、上記可動ロッドの先端部が右電極板
73の中央位置に固定されている。そしてアクチュエー
タ71dの正逆駆動による右電極板73の中央電極板7
2に対する接近および離反により、第1可変コンデンサ
71aのコンデンサ容量を変更し得るようにしている。
【0066】一方、コンデンサ用ケーシング70a内の
左側壁には上記同様の支持部材71cが設けられ、この
支持部材71cの支持ロッド先端に中央電極板72と平
行に左電極板74が固定され、左側壁に設けられた上記
同様のアクチュエータ71dの正逆駆動で中央電極板7
2に対して接近あるいは離反し、これによって第2可変
コンデンサ71bのコンデンサ容量が変更されるように
なっている。可変コンデンサ71のアクチュエータ71
d、可変インダクタンス75の駆動モータは、木材W側
のインピーダンス変化に応じて駆動され、高周波発振機
60側が常にマッチングするようにしている。
【0067】上記可変インダクタンス75は、インダク
タンス用ケーシング70bに絶縁状態で内装された所定
幅を有する正面視で逆U字形状のリード線板76と、こ
の逆U字形リード線板76の互いに対向した対向面間に
摺接状態で架橋された摺接架橋部材77と、この摺接架
橋部材77の中央上部に立設された、片面にラックを有
するラックロッド78と、このラックロッド78を介し
て摺接架橋部材77を昇降させる昇降駆動手段79とか
らなっている。
【0068】上記リード線板76の右下端部は左電極板
74に電気的に接続されているとともに、左下端部は後
述するコ字状リード線板83に接続されている。これに
よって逆U字形リード線板76は、有効長(高周波が流
れる部分の長さ)が摺接架橋部材77より下部の互いに
対向した部分によって決まるようになっている。
【0069】上記昇降駆動手段79は、図略の駆動モー
タと、この駆動モータの駆動で軸回りに回転するピニオ
ン79aとからなっている。ピニオン79aは上記ラッ
クロッド78に噛合され、駆動モータの駆動によるピニ
オン79aの正逆回転でラックロッド78が昇降し、こ
れによる摺接架橋部材77の昇降で逆U字形リード線板
76の有効長が設定されるようになっている。
【0070】上記切換え回路部8は、切換え回路部用ケ
ーシング70cに内装されてユニット化され、上記逆U
字形リード線板76の左下端部に電気的に接続されたコ
字状リード線板83と、このコ字状リード線板83に電
気的に離接する第1シリンダスイッチ81および第2シ
リンダスイッチ82とからなっている。コ字状リード線
板83は、切換え回路部用ケーシング70cの右側壁に
所定の金具を介して上下方向に延びるように絶縁状態で
固定されている。
【0071】かかるコ字状リード線板83は、第1シリ
ンダスイッチ81に下方で対向するように上縁部から左
方に向かって延設された上部接点板83aと、第2シリ
ンダスイッチ82に上方で対向するように下縁部から左
方に向かって延設された下部接点板83bとを有してい
る。一方、各シリンダスイッチ81,82は、本体から
出没して接点板83a,83bに対して離接する接点ロ
ッド84を有している。
【0072】一方、乾燥炉2内には、図1および図2に
示すように、対向電極61に対向して右側の内壁面2b
から突設された接点部材85が設けられている。この接
点部材85は、プラス電極62に対向したプラス接点部
材86と、下部マイナス電極63に対向した下部マイナ
ス接点部材87と、上部マイナス電極64に対向した上
部マイナス接点部材88と、共用マイナス電極65に対
向した共用マイナス接点部材89とからなっている。
【0073】上記プラス接点部材86としては、下部プ
ラス電極62aに対向した下部プラス接点部材86a
と、上部プラス電極62bに対向した上部プラス接点部
材86bとが設けられている。各接点部材85は、図1
に示すように、弓なりに湾曲されたパンダグラフ80を
有しているとともに、各パンダグラフ80が対向した図
略の付勢手段の付勢力によって対向電極61を押圧当接
するように長さ寸法が設定されている。また、各接点部
材85は、乾燥炉2の内壁面に図略の構造によって高さ
位置が調節可能に取り付けられ、これによって木材Wの
断面高さ寸法が変更になることによる対向電極61の高
さ位置の変動に対応し得るようになっている。
【0074】そして、第1シリンダスイッチ81の接点
ロッド84は、上部プラス接点部材86bのパンダグラ
フ80に接続されているとともに、第2シリンダスイッ
チ82の接点ロッド84が下部プラス接点部材86aの
パンダグラフ80に接続されている。また、下部マイナ
ス電極63、上部マイナス電極64および共用マイナス
電極65のパンダグラフ80はそれぞれアースされてい
る。従って、第1シリンダスイッチ81の接点ロッド8
4がコ字状リード線板83の上部接点板83aに接続さ
れているときは、上部マイナス電極64と共用マイナス
電極65との間に介在する木材Wに上部プラス接点部材
86bからの高周波が印加され、第2シリンダスイッチ
82の接点ロッド84がコ字状リード線板83の下部接
点板83bに接続されているときは、下部マイナス電極
63と共用マイナス電極65との間に介在する木材Wに
下部プラス接点部材86aからの高周波が印加されるこ
とになる。
【0075】図5は、炉外の切換え回路部8および炉内
の対向電極61間のリード線板接続構造の一実施形態を
示す一部切り欠き斜視図である。この図に示すように、
乾燥炉2の切換え回路部用ケーシング70c側の側壁2
dには、矩形状の配線孔28が穿設され、この配線孔2
8に絶縁状態で接続板Xが挿通されている。
【0076】具体的には、配線孔28の内周縁部には、
C型鋼で矩形状に枠組みされた枠部材29が嵌め込ま
れ、これによって孔周りが補強され、かつ、防水処理が
施された状態になっている。かかる枠部材29の外面に
は、外方に向かって突出するようにボルトBが複数個溶
接止めされているとともに、これらのボルトBに対応し
た挿通孔を有する合成樹脂製の絶縁板84aが嵌め込ま
れ、ナットで締結されることによって配線孔28が接続
板Xによって塞がれた状態になっている。
【0077】かかる絶縁板84aの中央部には、矩形状
の装着孔84bが穿設され、この装着孔84bに接続板
Xを摺接状態で挿通することによって、接続板Xが側壁
2dと絶縁状態で配線孔28に通されることになる。そ
して、接続板Xが絶縁板84aの装着孔84bに挿通さ
れた状態で、接続板Xを方式した補強板84cが絶縁板
84aにボルト止めされ、これによって接続板Xの配線
孔28への挿通状態が安定するようにしている。
【0078】また、接続板Xと枠部材29との間の距離
は高周波出力、周波数に依存するが、数十mm〜百数十
mm、例えば100mm以上に設定され、これによって
接続板Xからの高周波の枠部材29に向かう短絡を防止
するようにしている。
【0079】かかる接続板Xの外部側端部に切換え回路
部8の接点ロッド84からのリード線板が溶接止め等で
接続されるとともに、内部側端部に対向電極61のプラ
ス電極62からのリード線板が溶接止め等で接続されて
いる。
【0080】上記のような木材乾燥装置1は、まず乾燥
炉2を所定の敷地内に構築すると同時に高周波発振機6
0を適所に配設し、その後、乾燥炉2の長尺側の壁面外
方にケーシング70(コンデンサ用ケーシング70a、
インダクタンス用ケーシング70bおよび切換え回路部
用ケーシング70c)を隣設することによって構築され
る。乾燥炉2の構築時には、予め上記接続板X(図5)
を通す配線孔28が側壁2dに穿設され、この配線孔2
8が穿設された部分に切換え回路部用ケーシング70c
を隣接配置する。
【0081】そして、絶縁板84aに支持されて絶縁状
態で配線孔28に接続板Xを挿通した後、接続板Xを介
して切換え回路部8の接点ロッド84と、乾燥室20内
のパンダグラフ80とを接続することにより切換え回路
部用ケーシング70c、すなわち切換え回路部8の乾燥
炉2への隣接施工が完了する。
【0082】引き続き、切換え回路部用ケーシング70
cにコンデンサ用ケーシング70aおよびインダクタン
ス用ケーシング70bを隣接配置し、各ケーシング70
間に所定の配線を施すとともに、高周波発振機60から
の同軸ケーブル60aを可変コンデンサ71の中央電極
板72に接続することにより、木材乾燥装置1の施工が
完了する。
【0083】このように、本発明においては、高周波部
6の可変コンデンサ部7a、可変インダクタンス部7b
および切換え回路部8をそれぞれケーシング70a,7
0b,70cに収納してユニット化したため、これらの
ケーシング70a,70b,70cを組み合わせて乾燥
炉2に隣接配置することにより、面倒な現場工事を行う
ことなく乾燥炉2に高周波部6を付加することができ、
複合乾燥方式の木材乾燥装置1の設計・施工上好都合で
ある。
【0084】本発明の木材乾燥装置は以上のように構成
されているので、木材Wを乾燥するに際しては、まず対
向電極61間に所定本数の木材Wを挟持させて第1積層
木材および第2積層木材を形成する。そのために、乾燥
炉2外に引き出された台車としての下部マイナス電極6
3上に8本の木材Wを下部マイナス電極63の長手方向
に向くように幅方向に並列載置し、ついで、各木材Wを
横断するように複数本の桟材R1を架け渡し、これらの
桟材R1上に上記同様に8本の木材Wを載置する。
【0085】そして、これら2段の木材列の上に下部プ
ラス電極62aを被せ、さらにこの下部プラス電極62
aの上に上記同様に2段の木材列を形成する。そして、
この木材列の頂部に共用マイナス電極65を積層するこ
とによって、下部プラス電極62aと共用マイナス電極
65との間に第1積層木材が形成された状態になる。
【0086】引き続き、共用マイナス電極65の上に2
段の木材列を形成し、その上に上部プラス電極62bを
積層した後、さらに上部プラス電極62bの上にも2段
の木材列を形成する。そして、最後に、最上部の木材列
の頂部に上部マイナス電極64を載置することによっ
て、共用マイナス電極65と上部マイナス電極64との
間に第2積層木材が形成され、対向電極61に所定数量
の木材Wが装着された状態になる。
【0087】ついで、乾燥炉2のドア23を開放し、下
部マイナス電極63を押圧して乾燥空間20b内に乾燥
対象の木材Wを装入する。そうすると、下部マイナス電
極63、下部プラス電極62a、共用マイナス電極6
5、上部プラス電極62b、および上部マイナス電極6
4が、それぞれ下部マイナス接点部材87、下部プラス
接点部材86a、共用マイナス接点部材89、上部プラ
ス接点部材86b、および上部マイナス接点部材88の
各パンダグラフ80に当接して互いに接続状態になる。
【0088】そして、乾燥空間20b内への第1および
第2積層木材の装入が完了すると、ドア23を閉め、電
源スイッチをオンして乾燥炉2内への電力供給可能状態
にする。そして図略のスイッチを操作することによって
ボイラ5を稼働させ、同時にファン3を回転駆動させる
とともに、一定時間経過後、高周波発振機60を駆動さ
せ、高周波発振機60からの高周波を、整合回路部7
(可変コンデンサ部7aおよび可変インダクタンス部7
b)および切換え回路部8を介して対向電極61に印加
する。木材Wに対する高周波の印加は、予め設定された
時間毎の切換え回路部8の切換え操作によって行われ、
これによって第1積層木材および第2積層木材に対し所
定時間毎に交互に高周波の印加が行われる。
【0089】ボイラ5の稼働によって発生した蒸気は、
蒸気配管51を介して圧力ポンプ52に送られ、ここで
昇圧されて蒸気支管53を通り乾燥室20内に噴射供給
される。乾燥室20内に供給された蒸気はファン3によ
り乾燥室20内を循環され(すなわち空気の循環方式と
して内部送風機型(IF型)が採用されている)、桟積
みされた各木材Wの表面に接触して木材Wを外部加熱す
る。本実施形態においては、乾燥室20内の乾球温度と
湿球温度との差が5〜10℃になるよう制御された状態
で乾燥の開始から終了に到るまで蒸気が乾燥室20内に
供給される、いわゆる蒸気式乾燥が採用されている。
【0090】そして乾燥が完了すれば、ボイラ5が停止
され、ファン3が止められてからドア23が開放されて
乾燥材となった木材Wが乾燥室20内から取り出され
る。
【0091】また、排気筒54内に設けられたダンパ5
5は、乾燥室20内の温度や湿度に応じて適宜開閉さ
れ、乾燥室20内の雰囲気が常に最適のものになるよう
に開度設定される。
【0092】そして、本発明においては、上記の外部加
熱が進行している間中、高周波発振機60で発生した高
周波が対向電極61を介して各木材Wに印加され、これ
により木材Wに対して外部加熱に内部加熱が加味され
た、いわゆる複合乾燥処理が施される。そして、高周波
発振機60からの高周波は、木材Wの経時的な乾燥状態
の変化によるインピーダンスの変化に応じて可変コンデ
ンサ部7aで同調処理が行われ、ついで可変インダクタ
ンス部7bでインダクタンス値が順次小さくなるように
調整され、これらのいわゆる整合処理が施された後、切
換え回路部8においてプラスの高周波の印加先が下部プ
ラス電極62aと上部プラス電極62bとの間で交互に
切り換えられながら対向電極61に向けて出力され、こ
れによって第1積層木材と第2積層木材とは交互に内部
加熱されることになる。
【0093】そして本実施形態においては、高周波によ
る内部加熱乾燥が採用されていることにより、木材Wの
表面からの水分の蒸発状態が均一になり、生木を加熱乾
燥した場合に起る水分の不均一に起因したたわみや割れ
が発生しない状態で木材Wは乾燥される。
【0094】そして、本発明は、木材Wへの高周波印加
を含めた乾燥室20内の乾燥環境を、木材Wの表面が色
焼けしない環境に設定するとともに、これに加えて木材
Wの表面割れが生じない環境に設定するものである。
【0095】ここで、まず乾燥時における木材の変色
(色焼け)について説明する。木材を変色させる要因
は、温度、酸素および水分の3要因である。すなわち、
木材は、所定温度以上に加熱された状態で、空気中の酸
素および自身が保有している水分と化学反応を起してセ
ルロースが変質し、これによって表面が色焼けするので
ある。従って、木材の表面が変色しない乾燥環境とは、
温度、酸素および水分の内の少なくとも1つの要因を取
り除いた環境であるということができる。
【0096】ところで、これら木材変色の3要因の内、
水分については木材が本来的に保持しているものであ
り、かつ、この水分を減少させること自体が乾燥処理で
あてみれば、乾燥前に水分をコントロールすることはで
きない。
【0097】これに対し、温度および酸素については、
コントロールが可能である。すなわち、温度については
乾燥室20内の温度管理を行えばよく、酸素について
は、乾燥室20内を減圧して空気量を少なくし、これに
よって酸素の量を少なくしたり、乾燥室20内に不活性
ガスを導入することによって実現することができる。そ
して、本実施形態においては、上記のような木材乾燥装
置1の適用を前提にして乾燥室20内の温度および湿度
(具体的には乾湿温度差)をコントロールすることによ
り木材Wの変色を防止するようにしている。
【0098】表1は、上記3要因の内で温度の影響力が
大きいことを示す乾燥時の木材変色確認試験の試験結果
である。この試験は、乾燥炉2に実規模の木材サンプル
を装填し、乾燥温度を種々設定して複合乾燥(熱気乾燥
と高周波乾燥とを併用した乾燥方式)を行ったときの、
木材表面の変色の度合いを視認して判定したものであ
る。なお、比較のために高温蒸気のみを乾燥炉2に導入
して行う熱気乾燥のデータも併せて載せている。
【0099】
【表1】
【0100】この表1によれば、乾燥環境の温度を11
0℃以上に設定して行われる熱気乾燥と高周波乾燥との
複合乾燥においては、乾燥に要する日数は2日と短い
が、木材の表面は中古材状の焼け肌に変色している。そ
して、乾燥温度を順次低下させていくことによって、反
比例的に乾燥日数が増加することが認められるが、木材
の変色の度合いは順次小さくなり、乾燥温度が60℃以
下になると、乾燥に要する日数は約8日と長時間に亘る
が、全く変色が認められなくなる。因みに、熱気乾燥の
場合は、複合乾燥に比べて約3倍の日数が必要となり、
木材が高温で長時間加熱されることとなって変色の度合
いは複合乾燥の場合より著しい。
【0101】このことは、通常の大気中では、木材変色
に対する寄与度は温度が大きいことを示しているととも
に、乾燥温度を60℃以下にすると変色しないことを示
している。また、乾燥時の木材の色焼けは木材の表層部
に限られ、内部にまでは及ばない。その理由は、木材の
表面のみが周りの空気に対して暴露された状態になって
いるのに対し、木材内部は直接空気とは接触していない
ため、色焼けの3要因の内の1つである酸素が存在せ
ず、これによって木材内部は変色しないのである。この
ことは、乾燥温度を110℃に設定して乾燥処理した木
材の表面を少し削ってその部分の色合いを観察すること
によって容易に確認することができる。
【0102】また、乾燥中の木材の表面を経時的に目視
観察することにより、表面の変色は乾燥の初期に生じる
ことが確認された。乾燥の中期以降は色変わりを視認す
ることができなくなるほど変色の進行は緩慢になる。こ
れは、乾燥の初期には木材中に水分が多く存在するため
(乾燥前の木材は、含水率が100%以上である)、上
記変色の3要因(温度、酸素および水分)が揃った状態
になっており、木材は速やかに変色するが、乾燥が進む
に従って含水率が低下していくため、上記3要因の内の
水分が欠落した状態になり、これによって変色の進行が
規制されることによると考えられる。
【0103】そして、本発明は、上記のような知見を基
に完成されたものであり、高周波印加を前提とした複合
乾燥において、特に乾燥初期に木材に対して高周波を印
加することなく、かつ、従来の乾燥温度よりも低い温度
環境で木材に対して緩やかな加熱を行い、含水率が所定
の値、すなわち含水率が変色の要因としての機能を充分
に発揮し得ない値になるまでこの緩慢加熱を継続し、か
かる単独の熱気乾燥処理が完了した後は、熱気乾燥と高
周波印加とを共用する通常の複合乾燥処理を行うように
している。
【0104】また、本発明においては、乾燥室20内の
湿度を80%以上に設定し、これによって木材Wの表面
を内部に比べて先行して極端に乾燥させないようにして
いる。こうすることによって乾燥による木材の表面組織
の収縮が内部の収縮より早く起こることによる割れの起
こり易さを抑制し、表面割れが生じて商品価値が著しく
低下するのを防止するようにしている。このために、木
材Wの表面割れ防止を目的とするときは、乾燥室20内
の乾湿温度差が5〜6℃になるようにコントロールして
いる。なお、木材Wの表面変色防止を目的とするとき
は、乾湿温度差はそれほど重要な要素にはならない。
【0105】図6は、本発明に係る制御機構の一実施形
態を示すブロック図である。本実施形態においては、乾
燥室20内の温度(乾球温度)および湿度(湿球温度)
を、乾燥炉2に付設されたマイクロコンピュータからな
る制御装置9によって自動的に制御するようにしてい
る。乾燥室20内には温度センサとしての乾球温度計9
1および湿度センサとしての湿球温度計92が設けられ
ているとともに、高周波回路の適所には反射型電力計か
らなる負荷状態検出部93が設けられ、これら検出手段
が検出した乾燥室20内の乾球温度、湿球温度および反
射電力量が制御装置9に入力されるようになっている。
【0106】そして、制御装置9は、記憶されている制
御プログラムに基づいて各種の制御信号をファン3、ボ
イラ5、圧力ポンプ52、アクチュエータ56および整
合回路部7に出力し、これに基く機器の駆動で木材Wに
対する熱気乾燥処理およびこれに続く複合乾燥処理が施
されるようになっている。制御装置9には当然のことな
がら乾燥操業を実行するために必要な各種のデータを記
憶する記憶部が設けられている。
【0107】そして、本実施形態においては、乾燥室2
0内の経時的な温度変化が、制御装置9に予め設定入力
されており、常にこの設定値と乾球温度計91が検出し
た検出値との比較演算が行われるようになっている。こ
の比較演算の結果、温度が設定値よりも低いときは、制
御装置9からスチームヒータ4への蒸気供給量を増加さ
せる信号が出力され、温度が設定値よりも高いときは同
蒸気供給量を減少させる信号が出力されるようになって
いる。
【0108】また、制御装置9に乾燥室20内の経時的
な乾球温度(本実施形態においては一定値)が入力され
ており、この設定値と湿球温度計92が検出した検出値
との比較演算が行われ、比較演算の結果、乾球温度の実
測値が乾球温度設定値よりも低いとき(すなわち湿度が
低いとき)は、制御装置9からボイラ5および圧力ポン
プ52への電力供給量を増加させる信号が出力され、乾
球温度の実測値が設定値よりも高いとき(すなわち湿度
が高いとき)は同電力供給量を減少させたり電力供給を
遮断する信号が出力されるようになっている。かかる制
御を行うことによって乾燥室20内は所定の温度が維持
されるとともに、乾湿温度差は漸増するようになされて
いる。
【0109】また、本実施形態においては、制御装置9
に負荷状態検出部93からの検出信号が入力され、これ
に基くフィードバック制御で反射電力(反射波の電圧値
に電流値を乗じて得られる値)が常に最小になるように
アクチュエータ71d(図3)が駆動されて第1可変コ
ンデンサ71aおよび第2可変コンデンサ71bの容量
が調節され、これによって木材Wに印加される高周波出
力はエネルギー伝達が効率的に行われるように常に木材
Wのインピーダンスの経時変化に追随したものになるよ
うにしている。
【0110】また、本実施形態においては、予め実験的
に求められた速度勾配で可変インダクタンス75の摺接
架橋部材77を下降させるようにしており、これによっ
て木材Wの乾燥進行に伴うインピーダンスの減少に追随
させて高周波エネルギーがより効率的に木材Wに供給さ
れるようにしている。
【0111】従って、乾燥室20内の温度および湿度は
常に適正に制御されて最適の外部加熱環境になるととも
に、高周波印加により木材Wに内部加熱が施されること
から、木材Wの内部の温度分布は常に均一に制御された
状態になり、木材Wの理想的な乾燥処理が実現する。
【0112】そして、本発明は、上記のような制御が行
われることを前提として実行されるものであり、所定温
度の乾燥環境に置かれた木材Wに対し、木材Wの含水率
が50%に到達するまでは木材Wに高周波を印加しない
熱気乾燥のみが実行され、木材Wの含水率がが50%未
満になってから木材Wに対する高周波印加をも行う複合
乾燥に切り換えるような制御が実行される。
【0113】そのために、乾燥炉2内の適所に木材の含
水率を検出するセンサを設け、このセンサの検出値を逐
一制御装置9に入力し、制御装置9にその検出値が50
%未満になっているか否かを判別させ、50%未満にな
ったときに制御装置9から高周波発振機60に向けて駆
動信号を出力するように構成してもよいが、本実施形態
においては、木材Wの種類毎に予め試験を行うことによ
って得られた含水率が略50%になるまでの時間を制御
装置9に入力しておき、この時間が経過したときに制御
装置9から高周波発振機60に駆動信号が出力されるよ
うにしている。
【0114】このようにされるのは以下の理由による。
すなわち、乾燥室20内には、非常に多くの本数の木材
Wが装填されるが、これら多くの木材Wの平均的な含水
率を検出することは非常に困難であり、結局、多数の木
材Wの内の数本をサンプルとして選択し、これらサンプ
ルの含水率を検出することによって全木材Wの含水率を
代表させることになるが、このようにすると、群内のば
らつきによってサンプルから得られた値が全木材Wを代
表したものになっているのか否か不明であり、例えば、
非常に含水率の高いサンプルを選択してしまうと、含水
率が50%になるのに長い時間を要し、その逆の場合は
短い時間になってしまう。
【0115】ところで、木材Wの含水率の経時的な低下
曲線は、過去の多くの操業実績や試験によって熱気乾燥
の条件および樹種毎に略定まっていることが判ってい
る。従って、樹種および乾燥前のおよその含水率さえが
判れば、所定の乾燥条件において含水率が略50%にな
るまでの経過時間が一元的に定まるのである。
【0116】そして、本実施形態においては、制御装置
9には予め熱気乾燥の条件、樹種および初期含水率毎の
上記経過時間のテーブルが入力されており、乾燥処理が
始まる前に熱気乾燥の条件、樹種および初期含水率を制
御装置9に例えばキー入力することにより、制御装置9
は即座に含水率が50%になるまでの時間を、上記テー
ブルを参照しながら演算するようになっている。
【0117】図7は、乾燥スケジュールの第1実施形態
を示すグラフである。第1実施形態は、変色防止を目的
とした複合乾燥のものである。このグラフにおいて、縦
軸に木材の含水率(%)と乾燥室20内の乾燥温度
(℃)を目盛っているとともに、横軸に時間(hr)を
目盛っている。このグラフに示すように、乾燥当初は、
木材Wに高周波を印加せずにスチームヒータ4のみによ
って乾燥室20内の乾燥環境を変色抑制環境である60
℃〜70℃に設定した(なお、図7の例では65℃に設
定されている)、いわゆる熱気乾燥のみで操業し、木材
Wの含水率が予め設定された含水率境界値にまで低下し
た時点(複合乾燥開始時点t1)に到達してから木材W
に高周波を印加する複合乾燥を行うようにしている。
【0118】そして、本実施形態においては、木材Wの
含水率境界値として50%を採用している。50%を採
用したのは、過去の種々の試験や実操業の結果から木材
Wの含水率が50%以下であると、乾燥環境が多少の高
温になっても木材表面に変色が生じず、また、50%ま
では熱気乾燥単独でも一定の乾燥速度を保つことが可能
であり、乾燥時間を全体的に長引かせる要因にはなら
ず、しかも高周波を発振させるエネルギーを節約した上
で、木材表面の変色の防止を図ることができることを経
験的に確認しているためである。
【0119】因みに、木材含水率が50%以下であると
変色が生じない理由については詳らかではないが、50
%以下になると、表層部分は略30%以下に乾燥が進ん
でいるとともに、木材組織間に存在する自由に移動が可
能ないわゆる自由水がほとんど揮散してしまい、残って
いるのは内部で木材組織と化学的な結合を起しているい
わゆる結合水の割合が多くなるからであり(通常、含水
率で30%以下の領域が結合水であるといわれてい
る)、この結合水は大きな結合力ですでに木材組織と結
合しているものであるため、新たに変色のための化学反
応に消費されることがないからであろうと推測される。
【0120】そして、図7のグラフにおいて、含水率が
50%になったことが検出されて複合乾燥開始時点t1
に到達したことが認識されると、以後は、現状の炉内温
度が継続されたまま、木材Wに高周波発振機60からの
高周波が印加される複合乾燥に切り換えられる。なお、
複合乾燥開始時点t1に到達するまでの木材Wの内部温
度は、高周波印加が行われていないことによって乾燥室
20内の湿球温度と略等しいと考えられる。
【0121】従って、複合乾燥開始時点t1を経過する
と、木材Wの内部温度は急激に上昇し、1時間〜数時間
の経過後(定常温度到達時点t2)に高周波印加による
定常温度の80℃〜100℃に到達する。また、乾燥が
完了するまでこの乾燥室20内の乾球温度は、そのまま
継続される一方、湿球温度は、段階的に漸減するように
コントロールされ、最終的には乾湿温度差は、従来どお
り10℃〜15℃の範囲とされる(図7の例では10℃
に設定されている)。
【0122】このような乾燥スケジュールで木材Wに複
合乾燥処理を施すことにより、複合乾燥開始時点t1ま
での熱気乾燥期間においてすでに木材表面変色の3要因
の内の1つである木材水分が50%にまで減少し(特に
表層部は30%以下にまで減少し)、以後は乾燥温度を
65℃に設定して高周波を印加する通常の複合乾燥を実
行しても木材表面が変色する可能性は低い。これによっ
て木材Wの表面に変色のない乾燥材が得られることにな
る。
【0123】図8は、乾燥スケジュールの第2実施形態
を示すグラフである。第2実施形態は、木材表面の割れ
防止を目的とした複合乾燥のものである。この実施形態
においても基本的に先の実施形態と同様の乾燥スケジュ
ールが採用されるが、乾燥室20内の温度(乾球温度)
は、80℃〜90℃(図8に示す例では85℃に設定さ
れている)と先の変色防止の場合よりも高めに設定され
ているとともに、材内温度も100℃以上と先のものに
比べて高めに設定されている。
【0124】また、乾湿温度差は、2℃〜3℃の乾燥開
始時点を除いて5℃〜6℃で推移するようにコントロー
ルされている。このようにされるのは、若干の木材表面
の変色を犠牲にしても、木材Wの表面割れの防止を確実
に行うためである。
【0125】すなわち、乾湿温度差を5℃〜6℃に設定
することにより、乾燥室20内は湿度が常に80%以上
になり、木材Wの表面が湿った状態になるため、表面が
内部に比べて極端に先行して乾燥することがなく、大き
な水分傾斜が生じず、大きな水分傾斜に起因した表面割
れが起こらないばかりか、複合乾燥になってからは内部
加熱により材内から水分が表面側に向けて常に供給され
る状態になり、これによって木材Wの表面割れは確実に
防止されるのである。
【0126】図9は、乾燥スケジュールの第3実施形態
を示すグラフである。第3実施形態は、木材表面の変色
防止と表面割れ防止の双方を目的とした複合乾燥のもの
である。この実施形態においても基本的に先の実施形態
と同様の乾燥スケジュールが採用されるが、乾燥室20
内の乾燥温度および木材Wの内部温度は、それぞれ第1
実施形態の変色防止の場合と同様に60℃〜70℃(図
9の例では65℃)および80℃〜100℃(図9の例
では95℃)が採用されている一方、乾湿温度差は、第
2実施形態と同様の5℃〜6℃が採用されている。いわ
ゆる第1実施形態と第2実施形態との折衷案ということ
ができる。
【0127】第3実施形態の乾燥スケジュールによれ
ば、乾燥温度および材内温度が律速になる乾燥時間は、
第1実施形態と同様になるが、乾燥温度が低いことによ
る木材Wの表面変色および乾湿温度差が小さいことによ
る表面割れの双方が確実に防止される。
【0128】図10は、乾燥スケジュールの第4実施形
態を示すグラフである。第4実施形態は、木材表面の変
色防止と表面割れ防止の双方を果した上で、乾燥処理の
効率化をも実現させる複合乾燥のスケジュールである。
【0129】すなわち、この実施形態においては、木材
Wの含水率が略50%になるまでは、乾燥室20内の温
度(乾燥温度)は第1実施形態のものと同様に60℃〜
70℃(図10の例では65℃)が採用されるととも
に、乾湿温度差については第2実施形態と同様に5℃〜
6℃(図10の例では5℃)が採用されるが、木材Wの
含水率が50%未満になると、乾燥室20内の温度を経
時的に漸増するようにしている。この乾燥室20内の温
度漸増時にも、乾湿温度差は5℃〜6℃が維持されるよ
うにしている。また、高周波印加による材内温度は、略
100℃に設定されている。
【0130】第4実施形態の乾燥スケジュールによれ
ば、木材Wの含水率が略50%未満になった時点から乾
燥室20内の温度を漸増させることにより、木材Wは、
表面変色および表面割れの防止が確保された状態で内部
加熱の外部加熱との相加作用により乾燥効率が向上し、
第2実施形態の場合と同様の日数で乾燥処理が完了す
る。
【0131】本実施形態は、以上詳述したように、乾燥
炉2に装填された木材Wに高周波を印加することによる
誘電加熱で乾燥処理を施すものであり、乾燥炉2内に木
材乾燥環境を生成させる乾燥環境生成手段(乾燥室20
に供給する蒸気を生成させるボイラ5、このボイラ5か
らの蒸気を得て乾燥室20内を加熱するスチームヒータ
4、乾燥室20内に上記を圧送する圧力ポンプ52、お
よび乾燥室20内の空気を排出するダンパ55の開閉を
行うアクチュエータ56等)に、木材Wの表面の変色を
抑制する条件を満たす環境(すなわち乾燥室20内の乾
燥温度が50℃せある環境)を生成させ、この環境下で
乾燥処理を施すようにしているため、木材Wに高周波を
印加してその中心部分から誘電加熱する、いわゆる内部
加熱との併用により迅速な乾燥処理を確保した上で、木
材W表面の変色を確実に防止することができる。
【0132】また、ファン3の駆動で乾燥炉2内の熱気
を環境させるようにしているため、この循環熱気による
外部加熱と高周波印加による誘電加熱との双方を互いに
関連付けながら所定の温度管理の制御を施すことによっ
て、誘電加熱による木材内部の昇温と、外部加熱による
木材表面の昇温とを適正にバランスさせることが可能に
なり、木材表面の変色を有効に防止することができる。
【0133】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0134】(1)上記の図7〜図10に示す乾燥温度
の経時変化においては、熱気乾燥が完了した複合乾燥開
始時点t1以降の複合乾燥で乾燥室20内の乾球温度を
80℃〜100℃に設定しているが、本発明は、複合乾
燥時の乾球温度が80℃であることに限定されるもので
はなく、乾燥後の木材Wの用途に応じ熱気乾燥時の乾球
温度をそのまま継続して複合乾燥に移行してもよいし、
熱気乾燥時の温度と80℃との間の温度や100℃〜1
10℃間の温度を設定してもよい。熱気乾燥時の乾燥温
度をそのまま継続して複合乾燥に移行すれば、全く変色
がない状態で木材Wを乾燥することが可能であるが、乾
燥時間が若干長引くことになる。また、複合乾燥時の乾
燥温度を高くしていくと、これに比例して乾燥時間は短
くなるが、変色の度合いが大きくなる。このことが複合
乾燥時の乾燥温度を木材Wの用途に応じて決める必要が
ある所以である。
【0135】(2)上記の実施形態においては、熱気乾
燥時を複合乾燥に切り換えるための指標となる木材の含
水率境界値を50%と設定しているが、本発明は、含水
率境界値を50%に限定することに限定されるものでは
なく、30%以上の任意の値に設定することができる。
因みに、30%未満を除外したのは、木材の含水率が3
0%未満になるまで熱気乾燥を継続すると、熱気乾燥の
みで乾燥処理のほとんどが完了してしまい、高周波加熱
乾燥を加味する意味がなくなってしまうからである。木
材の表面温度を熱気乾燥で60℃程度になるように乾燥
条件を設定した場合には、材内温度が60℃にまで上昇
した時点で複合乾燥に切り換えるようにしてもよい。
【0136】そして、木材Wの表面温度が60℃以下で
あると、通常の乾燥時に設定される80℃〜130℃に
比べて温度が相当低いことにより木材組織と、酸素およ
び水分との化学反応が起り難くなり、これによって木材
W表面の変色が有効に防止される。また、木材Wの表面
温度が50℃以下のときは、60℃よりさらに温度が低
いため、化学反応はより起こり難くなって木材W表面の
変色がより有効に防止される。さらに、木材Wの表面温
度が40℃以下になると、ほとんど夏場の自然乾燥の場
合と同様の温度環境になるため、木材W表面は自然乾燥
と同等に変色しない。
【0137】(3)上記の実施形態においては、乾燥環
境の温度を制御することにより木材Wの表面温度を所定
の温度以下に抑えるようにしているが、これに代えて木
材Wに印加される高周波の出力を制御し、木材中心部の
温度を通常の誘電加熱の場合よりも低めにし、これによ
って木材Wの全体的な温度をある程度低温に抑えて木材
表面の温度を低くする方法を挙げることができる。この
とき炉内の温度および湿度は、乾燥スケジュールによっ
てコントロールし、60℃以下になるようにして、木材
表面の温度上昇を抑えるようにする。この場合、高周波
加熱によって内部温度は80℃〜100℃になってお
り、木材内部から表面に向かって大きな温度傾斜が形成
されてた状態になっている。そして、木材表面の温度だ
けが低ければ、木材表面の変色を有効に防止することが
できる。
【0138】(4)木材表面の温度を所定の低温に保つ
方法として、上記実施形態で示した方法の他に、外部の
新鮮な空気を乾燥室20内に導入して木材表面と接触さ
せたのち外部に排出し、接触時の新鮮空気と木材表面と
の熱交換および木材表面からの水分の蒸発によって木材
表面の温度を低温に維持する方法を挙げることができ
る。
【0139】(5)木材Wの表面の変色を抑制する環境
条件として、乾燥室20内の酸素濃度を通常の空気の酸
素濃度未満の酸素濃度(単位容量当りの酸素の絶対量)
にしてもよい。こうすることによって木材変色の3要因
である高温、酸素および水分の内の1つである酸素が乾
燥環境中で少なくなり、これによって木材表面の変色を
有効に防止することができる。乾燥環境中を減圧環境に
するようにすれば、空気を吸引除去するという簡単な操
作で環境中の酸素の絶対量を少なくすることができ、酸
素濃度の低減処理が容易になる。
【0140】(6)乾燥室20内の酸素濃度を通常の空
気の酸素濃度未満の酸素濃度にする方策として上記
(5)項で挙げた乾燥室20内を減圧環境にすることに
代えて、乾燥炉2の近傍に配置した窒素ガスボンベから
の不活性ガスを乾燥室20内に導入するようにしてもよ
い。不活性ガスとしては窒素ガスを最適なものとして挙
げることができる。また、乾燥炉2の近傍に燃焼設備が
あるときは、窒素ガスに代えて燃焼排ガスを乾燥室20
内に導入するようにしてもよい。こうすることによって
乾燥室20内を低酸素濃度の環境にすることができると
ともに、燃焼排ガスの熱によって乾燥室20の乾燥環境
を昇温することが可能になる。
【0141】そして、不活性ガスを乾燥室20内に導入
するという簡単な操作で木材変色の3要因である高温、
酸素および水分の内の1つである酸素が乾燥環境中で少
なくなり、これによって木材表面の変色を有効に防止す
ることができる。また、乾燥室20内を不活性ガスのみ
で満たすようにすれば、乾燥のための温度環境を従来ど
おりの高温(例えば100℃〜130℃)、あるいはそ
れ以上の高温に設定しても木材Wの表面が変色すること
はなく、木材表面の変色を確実に防止して上で乾燥効率
の向上、すなわち乾燥時間の短縮化を実現することがで
きる。
【0142】
【発明の効果】請求項1および8記載の発明によれば、
乾燥炉の乾燥環境生成手段に、木材の表面の変色を抑制
する条件を満たす環境をさせた上で誘電加熱を併用して
木材に乾燥処理を施すようにしたため、木材は、高周波
が印加されてその中心部分から誘電加熱される、いわゆ
る内部加熱によって乾燥処理の迅速性が確保された上で
木材表面の変色を防止することができる。
【0143】また、乾燥炉内を熱気で満たされた熱気環
境にしたため、この熱気による外部加熱と高周波印加に
よる誘電加熱との双方を互いに関連付けながら所定の温
度管理の制御を施すことによって、誘電加熱による木材
内部の昇温と、外部加熱による木材表面の昇温とを適正
にバランスさせることが可能になり、乾燥処理の迅速化
を確保した上で木材表面の変色が有効に防止することが
できる。
【0144】さらに、乾燥環境生成手段を、乾燥初期の
所定時間だけ駆動させるようにしたため、乾燥の初期に
木材変色の3要因である温度、酸素および水分の内の1
つである水分が少なくなり、これによって乾燥初期以後
を通常の複合乾燥に戻しても、木材の表面の変色を有効
に抑制することができ、変色を抑えた上で乾燥処理の迅
速化を実現することができる。
【0145】請求項記載の発明によれば、木材の表面
の変色を抑制する環境条件として、木材の表面温度を所
定の温度以下に維持するようにしたため、木材の表面温
度を、変色が生じない所定の温度以下に抑えることによ
り、変色の3要因である高い温度、酸素および水分の内
の1つである温度条件が欠けることになり、木材の表面
の変色を抑制することができる。
【0146】請求項記載の発明によれば、木材の表面
の変色を抑制する環境条件として、乾燥炉内の酸素濃度
を通常の空気の酸素濃度未満の酸素濃度にしため、木材
変色の3要因である高温、酸素および水分の内の1つで
ある酸素が乾燥環境中で少なくなり、これによって木材
表面の変色を有効に防止することができる。
【0147】請求項記載の発明によれば、通常の空気
の酸素濃度未満の酸素濃度を、乾燥環境内の減圧処理に
よって得るようにしたため、減圧環境を乾燥環境から空
気を吸引除去するという簡単な操作で実現することがで
き、酸素濃度の低減処理を容易に行うことができる。
【0148】請求項記載の発明によれば、酸素濃度
を、乾燥環境内に不活性ガスを導入することによって得
るようにしたため、不活性ガスを導入するという簡単な
操作で乾燥環境を容易に酸素の低濃度環境にすることが
できる。
【0149】請求項記載の発明によれば、炉内の湿度
を80%以上にしたため、乾燥炉内の木材の表面は、8
0%以上の高湿度で湿った状態になり、乾燥による木材
の表面組織の収縮で割れが起こり易くなる不都合を解消
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木材乾燥装置の一実施形態を示す
一部切欠き斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】高周波部の回路構成の一実施形態を示す説明図
である。
【図5】炉外の切換え回路部および炉内の対向電極間の
リード線板接続構造の一実施形態を示す一部切り欠き斜
視図である。
【図6】本発明に係る制御機構の一実施形態を示すブロ
ック図である。
【図7】乾燥スケジュールの第1実施形態を示すグラフ
である。
【図8】乾燥スケジュールの第2実施形態を示すグラフ
である。
【図9】乾燥スケジュールの第3実施形態を示すグラフ
である。
【図10】乾燥スケジュールの第4実施形態を示すグラ
フである。
【図11】従来の蒸気乾燥における木材表面の変色防止
を目的とした乾燥スケジュールの一例を示すグラフであ
る。
【図12】従来の蒸気乾燥における木材表面の割れ防止
を目的とした乾燥スケジュールの一例を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 木材乾燥装置 2 乾燥炉 2a 床面 2b 内壁面 2c 天井面 2d 側壁 20 乾燥室 20b 乾燥空間 21 フレーム材 22 ドアフレーム 23 ドア 23a 小孔 24 外壁板 25 内壁板 26 断熱材 27 レール 28 配線孔 29 枠部材 3 ファン 4 スチームヒータ 5 ボイラ 51 蒸気配管 52 圧力ポンプ 53 蒸気支管 54 上記排気筒 54a 水平軸 54 排気筒 55 ダンパ 56 アクチュエータ 57 排気ファン 6 高周波部 60 高周波発振機 60a 同軸ケーブル 60b 保護管 61 対向電極 61a 第1対向電極 61b 第2対向電極 62 プラス電極 62a 下部プラス電極 62b 上部プラス電極 63 下部マイナス電極 63a 車輪 64 上部マイナス電極 65 共用マイナス電極 7 整合回路部 7a 可変コンデンサ部 7b 可変インダクタンス部 70 ケーシング 70a コンデンサ用ケーシング 70b インダクタンス用ケーシング 70c 回路部用ケーシング 70d 架台 71 可変コンデンサ 71a 第1可変コンデンサ 71b 第2可変コンデンサ 71c 支持部材 71d アクチュエータ 72 中央電極板 73 右電極板 74 左電極板 75 可変インダクタンス 76 リード線板 76 字形リード線板 77 摺接架橋部材 78 ラックロッド 79a ピニオン 79 昇降駆動手段 8 回路部 80 パンダグラフ 81 シリンダスイッチ 82 シリンダスイッチ 83 コ字状リード線板 83a 上部接点板 83b 下部接点板 84 接点ロッド 84a 絶縁板 84b 装着孔 84c 補強板 85 接点部材 86 プラス接点部材 86a 下部プラス接点部材 86b 上部プラス接点部材 87 下部マイナス接点部材 88 上部マイナス接点部材 89 共用マイナス接点部材 9 制御装置 91 乾球温度計 92 湿球温度計 93 負荷状態検出部 B ボルト D1 第1ブロック D2 第2ブロック R1 桟材 W 木材 X 接続板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 5/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥炉内を熱気で満たされた熱気環境に
    し、上記乾燥炉に装填された木材に高周波を印加するこ
    とによる誘電加熱で乾燥処理を施す木材の乾燥方法にお
    いて、乾燥炉内の乾燥環境を生成させる乾燥環境生成手
    を乾燥初期の所定時間だけ駆動させることにより木材
    の表面の変色を抑制する条件を満たす環境を乾燥炉内に
    生成し、この環境下で乾燥処理を施すことを特徴とする
    木材の乾燥方法。
  2. 【請求項2】 上記木材の表面の変色を抑制する環境条
    件として、木材の表面温度を所定の温度以下に維持する
    ことを特徴とする請求項1記載の木材の乾燥方法。
  3. 【請求項3】 上記木材の表面の変色を抑制する環境条
    件として、乾燥炉内の酸素濃度を通常の空気の酸素濃度
    未満の酸素濃度にすることを特徴とする請求項1または
    記載の木材の乾燥方法。
  4. 【請求項4】 上記通常の空気の酸素濃度未満の酸素濃
    度を、乾燥環境内の減圧処理によって得ることを特徴と
    する請求項記載の木材の乾燥方法。
  5. 【請求項5】 上記通常の空気の酸素濃度未満の酸素濃
    度を、乾燥環境内に不活性ガスを導入することによって
    得ることを特徴とする請求項記載の木材の乾燥方法。
  6. 【請求項6】 上記乾燥炉内の湿度を80%以上にする
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の木
    材の乾燥方法。
  7. 【請求項7】 上記乾燥炉内の乾球温度と湿球温度との
    差を5〜6℃にすることを特徴とする請求項6記載の木
    材の乾燥方法。
  8. 【請求項8】 乾燥炉内を熱気で満たされた熱気環境に
    し、上記乾燥炉に装填された木材に高周波を印加するこ
    とによる誘電加熱で乾燥処理を施す木材の乾燥装置にお
    いて、上記乾燥炉に木材の表面の変色を抑制する条件を
    満たす環境を生成させ得る乾燥環境生成手段を備え、上
    記乾燥環境生成手段は乾燥初期の所定時間だけ駆動する
    ものであることを特徴とする木材の乾燥装置。
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