JP3903007B2 - 木材乾燥方法 - Google Patents

木材乾燥方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3903007B2
JP3903007B2 JP2002370552A JP2002370552A JP3903007B2 JP 3903007 B2 JP3903007 B2 JP 3903007B2 JP 2002370552 A JP2002370552 A JP 2002370552A JP 2002370552 A JP2002370552 A JP 2002370552A JP 3903007 B2 JP3903007 B2 JP 3903007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wood
drying
electrode
high frequency
counter electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002370552A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004195931A (ja
Inventor
泰司 山本
宣幸 堀川
Original Assignee
山本ビニター株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 山本ビニター株式会社 filed Critical 山本ビニター株式会社
Priority to JP2002370552A priority Critical patent/JP3903007B2/ja
Publication of JP2004195931A publication Critical patent/JP2004195931A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3903007B2 publication Critical patent/JP3903007B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
  • Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)
  • Drying Of Solid Materials (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波を印加することによる誘電加熱で木材を乾燥する木材乾燥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、対向電極で木材を挟んで高周波電源からの高周波を供給することにより該木材の乾燥を行う木材乾燥方法が知られている。この木材乾燥方法では、両端に木口面を有する長尺の複数本の木材を木材の木口面が両端になるように縦横に桟積みして複数の木材からなる木材ブロックを作成し、当該木材ブロックに木材乾燥装置が高周波を印加することによって当該ブロックを構成する木材を乾燥させる。この方法を実施する木材乾燥装置は、上下方向から或いは左右方向から当該ブロックを長尺側の側面で陽極と陰極からなる対向電極によって挟持し、高周波電源から対向電極へ高周波が供給されることによって、当該ブロックに高周波を印加するように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
かかる高周波を用いた木材乾燥方法においては、木材は誘電加熱によって内部から加熱されるため、乾燥炉内に蒸気や加熱空気などの高温熱媒体を導入して木材を乾燥処理するいわゆる熱気乾燥に比べて材心が有効に乾燥され、水分傾斜のない均一な乾燥が行われ、強度性能と寸法安定性の優れた乾燥木材が得られるため、現在では高周波乾燥が一般的になりつつあり、特に高周波乾燥及び熱気乾燥の双方を用いた複合乾燥が主流になっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−200606号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の高周波を用いた木材乾燥方法では、熱気乾燥を用いた木材乾燥方法と比較すれば均一な乾燥を行うことができるものの、木材の部位によって乾燥状態にばらつきがあった。すなわち、木材の含有水分の蒸発方向を説明するための図である図8に示すように、樹木を長手方向に長尺寸法で切断して木材の両端を木口面Kとするのが一般的であるが、木材を高周波で乾燥させると、木材に含まれる水分が接線方向tや半径方向rから外方へ蒸発すると共に、一部は木材の繊維方向lに通っている導管や仮導管に移動する。一方、木材の端部では接線方向tや半径方向rからの蒸発に加えて繊維方向lの導管や仮導管を通って木口面Kからも外方へ勢いよく蒸発することとなる。従って、従来の高周波を用いた木材の乾燥方法では、木材の端部とそれよりも中央部側とで水分の蒸発量に差が生じ、すなわち乾燥後の木材の端部と中央部との乾燥状態に差が生じて木材の端部の含水率は木材の中央部の含水率と比べて小さくなっていた。
【0006】
このように、木材の木口面部分が過乾燥になると、干割れである木口割れや異常収縮が木口面に生じ、更にはこの異常収縮によって凹凸が木口面に生じる場合がある。
【0007】
更に、乾燥後における木材の含水率の差は木材にねじれ等の変形を生じさせる可能性もある。
【0008】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、木材の木口面部分と中央部とを均一に乾燥することができる木材乾燥方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項に記載の発明は、両端に木口面を有する長尺の木材を該長尺側の側面で挟む対向電極に高周波電源からの高周波を供給することにより前記対向電極に挟まれたままの木材に対し乾燥処理を施す木材乾燥方法において、前記対向電極のうちの少なくとも一方の電極であって乾燥対象木材の長尺寸法に比して所定寸法だけ短い長さを有する電極を乾燥対象木材の両端側を開けて配置する配置工程と、前記高周波電源からの高周波を前記対向電極に供給する乾燥工程とを含むことを特徴とする木材乾燥方法である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、当該木材の端部は対向電極が挟持しない状態になるので、この状態で、高周波電源からの高周波が対向電極に供給されると、対向電極は木材の端部に高周波電力がほとんど供給されなくなる。その分、木口面の過乾燥が抑制される。したがって、木材の端部と中央部分とがより均一に乾燥されることとなる。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の木材乾燥方法において、前記配置工程では、乾燥対象木材を長尺側の側面で挟むように、少なくとも一方の電極の長さが、木材の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材の長尺寸法分だけ乾燥対象木材に比して短尺である前記対向電極を配置することを特徴とする。
【0012】
上記請求項2に記載の発明によれば、少なくとも一方の電極で木材の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材の長尺寸法分だけ短い対向電極が、両端に木口面を有する長尺の木材を該長尺側の側面で挟んだ状態で配設される。ここで、木材の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材の長尺寸法の半寸法分だけ、木材の両端からそれぞれ短い木材の端部(以下、半寸端部という。)においては、この木材と同寸法以上の対向電極を用いる場合には木口面からの水分の蒸発量が非常に多くなる。そこで、上記した短い対向電極で木材を挟持するようにすると、上記の半寸端部が対向電極で挟持されない状態になるため、この半寸端部に対しては、高周波電圧がほとんど供給されず、木材の長尺方向の全体に均一乾燥が行われる。
【0013】
なお、木材の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材の長尺寸法とは、木材の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材の繊維方向における寸法のことであり、木口面の一辺よりも短尺である場合をも含む。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項に記載の木材乾燥方法において、前記配置工程では、乾燥対象木材を長尺側の側面で挟むように、少なくとも一方の電極の長さが20cm以上50cm以下の寸法だけ各端側で乾燥対象木材に比して短尺である前記対向電極を配置することを特徴とする。
【0015】
上記請求項3に記載の発明によれば、少なくとも一方の電極の長さが20cm以上50cm以下の寸法だけ各端側で乾燥対象木材に比して短尺である木材の長尺寸法分だけ短い対向電極が、両端に木口面を有する長尺の木材を該長尺側の側面で挟んだ状態になる。なお、対向電極に挟持されない寸法が木材の端から20cm以下になるときは、木口面からの水分の蒸発量が非常に多くなりすぎて端部が過乾燥となって干割れ異常乾燥を生じやすくなり、一方、50cm以上になるときは木口面部の乾燥が充分に進行せず、逆に中央部分に比べて端部に含有水分が多く残留することになる。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項のいずれかに記載の木材乾燥方法において、前記配置工程では、乾燥対象木材を長尺側の側面で挟むように、少なくとも一方の電極が木口面部における含水率の差に応じて異なる長さを有する前記対向電極を配置することを特徴とする。
【0017】
上記請求項4に記載の発明によれば、少なくとも一方の電極の長さが木口面部における含水率の差に応じて異なる対向電極が、両端に木口面を有する長尺の木材を該長尺側の側面で挟んだ状態になる。木材の端部の含水率が高低に応じて端部への高周波の供給量を調整する必要があることから、上記の対向電極はかかる木材の木口面における含水率に応じた長さを有したものとしている。かかる対向電極で木材を挟持すれば、含水率に対応した高周波電力が木材の端部に供給されるので、含水率の差が吸収されて均一乾燥が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、(a)が本発明に係る木材乾燥装置の基本構造を示す図、(b)が(a)に示す木材乾燥装置が木材Wの材内に発生させる電磁界を説明するための図である。図1において、電源Eは所要の高周波電力を出力するもので、対向電極Dに出力電力を供給する。(a)に示すように、対向電極Dは、この例では同一形状を有する上電極板D1と下電極板D2とから構成され、両電極板間に乾燥対象木材Wが挟持されている。木材Wは樹木を長手方向に所定寸法Lwで切断した後、角材に製材したもので、長尺方向の両端が木口面とされている。上下電極板D1,D2は幅が木材の側面を覆う寸法に設定されている一方、長手寸法Lは、木材Wの長さLwに比べて(d1+d2)だけ短寸法とされている。寸法d1,d2は、後述するように各木口面側(両端部)の含水量の差に応じて設定可能であるが、木材Wの長さ方向の含水量が実質的に一定である場合には、d1=d2に設定される。なお、d1、d2の部分は上下電極板D1,D2と一体的な樹脂板等(図略)で所要圧で押圧挟持するようにしてもよい。
【0019】
(a)に示す構成において、電源Eから所要の高周波電力を対向電極Dに供給すると、(b)の一点鎖線で示すように、上下電極板D1,D2の対向領域に介在される部分の材内に電磁界が生じ、誘電加熱によって木材Wは内部から乾燥が進行される。この電磁界は、上下電極板D1,D2の端で広がりを持っており、木材Wのd1、d2の部分には上下電極板D1,D2に挟持されている木材Wの材内に発生している電磁界と比較して弱い電磁界が発生している。ゆえに、上下電極板D1,D2の長手寸法Lが木材Wの長さLwに比べて(d1+d2)だけ短寸法であるため、d1、d2の部分に供給される乾燥エネルギーが他の部分に供給される乾燥エネルギーより少なくなる。
【0020】
上記のように上下電極板D1,D2の長手寸法Lが木材Wの長さLwに比べて(d1+d2)だけ短寸法とされている理由は次のようなものである。すなわち、木材Wの両端に木口面Kが存在すると、木材Wを高周波で乾燥させたときには、木材Wに含まれる水分が木材Wの中央部分では接線方向tや半径方向rから蒸発しつつ木材の繊維方向へ移動する。一方、木材Wの端部では、木材に含まれる水分は接線方向tや半径方向rからの蒸発に加えて繊維方向lを通って木口面Kから外方へ勢いよく蒸発する。
【0021】
従って、従来の高周波を用いた木材乾燥方法では、木材Wの長尺寸法以上の長尺寸法を有する対向電極61を用いて、木材Wの端部までが、中央部分と同様に高周波が供給されて、木材の端部とそれより中央部側とで水分の蒸発量に差が生じ、乾燥後の木材の端部と中央部側との乾燥状態に差が生じて木材の端部の含水率は木材の中央部側の含水率と比べて小さくなる場合がある。
【0022】
このように、木材Wの中央部分による水分の蒸発量に比して木材Wの端部による水分の蒸発量が過多になると、木材Wの両木口面が過乾燥になることによって、干割れである木口割れや乾燥による異常収縮が木口面に生じ、また当該異常収縮によって凹凸が木口面に生じる場合がある。更に、乾燥後の木材Wの中央部分の含水率が大きくなってしまい、当該中央部分の含有する水分の影響で乾燥後の木材Wがねじれ等の変形を生じる場合がある。
【0023】
ゆえに、木材Wの木口面近傍に与える乾燥エネルギーをその中央部に与える乾燥エネルギーよりも小さくすることが好ましいが、木材Wの木口面近傍をシール部材で覆う方法は、木材Wのd1、d2の部分に供給される高周波を妨げるようなシール部材はないため、採用することはできない。
【0024】
従って、本実施の形態では、対向電極Dの長手寸法Lが木材Wの長さLwに比べて(d1+d2)だけ短寸法であることによって、木材Wの中央部分より蒸発量の多い木材Wの端部に対して対向電極Dから印加される高周波を減少させ、木材Wの木口面近傍の部分を過不足なく乾燥させ、木材Wの木口面近傍とその他の部分とを均一に木材Wを乾燥させるようにしている。
【0025】
なお、前述のように、電磁界は上下電極板D1,D2の端で広がりを持っているため、木材Wの上下電極板D1,D2で挟持されている部分と共に、挟持されていないd1、d2の部分を乾燥させることができる。当該部分にも上下電極板D1,D2に挟持されている木材Wの材内に発生している電磁界と比較して弱い電磁界が発生しているため、当該部分の乾燥が不十分となることはない。
【0026】
以下に、図2及び図3を用いて対向電極Dの長手寸法Lと木材Wの長さLwとの関係を説明する。図2は、木材の木口面からの水分の蒸発速度を調べるために実験した結果を示すグラフである。図3は、図2の実験を基にした木材の長尺方向の長さと当該木材の蒸発速度との関係を示すグラフである。当該実験においては、温度80℃、湿度30%RHの環境下で放置した場合における、水の蒸発を妨げる材質を有するシール部材によって両木口面を覆ったサンプル木材WS1と両木口面が覆われていないサンプル木材WS2との重さ(kg)の経過時間に応じた変化を考察している。本実験において用いたサンプル木材WS1,WS2は、同一形状を有し、乾燥処理前の含水率が60%以上70%以下、繊維方向の寸法が25cm、木口面の一辺の寸法が10.5cmであるスギである。
【0027】
図2に示すグラフでは、縦軸方向はサンプル木材WS1,WS2の重さ(kg)を、横軸方向は経過時間(h)を示しており、グラフ(a)は両木口面が覆われているサンプル木材WS1の、グラフ(b)は両木口面が覆われていないサンプル木材WS2の、各重量の時間経過に応じた変化を示している。図2に示すように、グラフ(a)に示す時間経過に伴うサンプル木材WS1の重さの変化量は、グラフ(b)に示すサンプル木材WS2の時間経過に伴う重さの変化量よりも小さい。
【0028】
これは、サンプル木材WS1の水の蒸発量はサンプル木材WS2の水分の蒸発量よりも小さいことを示し、サンプル木材WS1とサンプル木材WS2との水の蒸発量の差は木口面からの水の蒸発量であると考えられる。サンプル木材WS1の乾燥初期(サンプル木材WS1の含水率が40%以下になるまで)までの蒸発速度は0.22kg/mhであり、サンプル木材WS2の乾燥初期までの蒸発速度は0.26kg/mhであった。サンプル木材WS1の蒸発速度は両木口面以外である木材の長尺側の側面からのみの蒸発の速度であり、サンプル木材WS2の蒸発速度は両木口面を含めた全面からの蒸発の速度であると推測することができる。
【0029】
ここで、両木口面からの蒸発速度をK1、木口面を除く木材の側面からの蒸発速度をK2、両木口面積をS1、木口面を除く木材の外面(長尺側側面)の面積をS2とすると、当該木材の総蒸発速度Pは下記(1)式で表現できる。
P=(K1・S1+K2・S2)/(S1+S2)・・・(1)
上述の図2に示す実験から、サンプル木材WS1の蒸発速度0.22kg/mhをK2と、サンプル木材WS2の蒸発速度0.26kg/mhをPとして式(1)に代入すると、K1=0.427kg/mhが得られる。そこで、K1、K2を用いて、木材の長尺方向(繊維方向)の長さと当該木材の蒸発速度との関係を考察した。以下に、当該考察結果を図3を用いて説明する。
【0030】
図3(a)は、木口面の一辺の寸法が12cmである正角のサンプル木材WS3の長尺方向の長さと蒸発速度との関係を示すグラフであり、(b)は同木材の長尺方向の長さと蒸発速度とを数値で表した表である。なお、当該正角のサンプル木材WS3の両木口面はシール部材で覆われておらず開放されている。また、(a)において、縦軸は蒸発速度(kg/mh)を示し、横軸はサンプル木材WS3の長尺方向の長さを示している。
【0031】
図3(a)の曲線イは、サンプル木材WS3の長尺寸法を変え、各長さにつき、上記の式(1)を用いて求めた蒸発速度Pを示すものである。曲線ロは、サンプル木材WS3の長さを変えて、各長さにつき下記の式(2)を用いて求めたサンプル木材WS3の蒸発速度Pにおける両木口面からの蒸発量の割合Rを示すものである。
R=K1・S1/(K1・S1+K2・S2)・・・(2)
なお、式(1)、式(2)では、図2に示す実験で求めた、K1=0.427kg/mh、K2=0.22kg/mhを用いている。
【0032】
曲線イは、サンプル木材WS3の長尺寸法1.0m(点p1)を境に、長尺寸法が短くなる程に従って蒸発速度が、増大していることを示している。蒸発状況は長尺方向で対称であると考えられるので、サンプル木材WS3の両端の50cmの部分で、サンプル木材WS3の長尺側の側面からの水分の蒸発だけでなく木口面からも多分に水分が蒸発していると推測される。そして、両端の50cmの部分よりも中央側の部分では長尺側の側面からの水分の蒸発がほとんどであると推測される。
【0033】
また、曲線イでは、特にサンプル木材WS3の長尺寸法0.5m(点p2)を境に、サンプル木材WS3の長尺寸法が短くなるに従って蒸発速度が著しく大きくなり、サンプル木材WS3の長尺寸法0.4m(点p3)を境にして更に蒸発速度が著しく大きくなっている。
【0034】
このことから、図1に示す木材Wにおいて、端から50cmまでの部分では特に長尺側の側面からの水分の蒸発だけでなく木口面からも多分に水分が蒸発し、そのうち特に端から25cmの長さの端部(特に20cmの長さの端部)では木口面からもさらに多量の水分が蒸発することが推測される。
【0035】
従って、木材Wを端部側と中央部側とで乾燥状態に差を生じないように乾燥させるためには、端から50cmの両端部分に対して高周波電圧を印加することは好ましくないと推測される。また、特に木材Wの端から25cm(そのうちでも特に20cm)の端部に対して高周波の供給を行わないようにすることが好ましいと推測することができる。
【0036】
そこで、対向電極Dは、その両端部が、木材Wの長尺寸法よりも20cm以上50cm以下の寸法だけ短尺であることが好ましく、特に25cm以上短尺であることが好ましく、最も好ましくは、50cm短尺であることが好ましい。従って、対向電極Dの長尺寸法Lは木材Wの長尺寸法Lwよりも0.4mは短尺であることが好ましく、特に好ましくは少なくとも0.5m以上短尺である方が、更に好ましくは少なくとも1.0mは短尺である方がよいことを導き出すことができる。
【0037】
ここで、上述のように、サンプル木材WS3の端から50cmまでの端部以外の領域では、木口面からの水分の蒸発への寄与はほとんどないと推測されるため、対向電極Dの長尺寸法Lは木材Wの長尺寸法Lwより1mを超えて短尺でない方がよい。これは、木材Wの端から50cmまでの端部以外の領域に高周波を供給しなければ、木材Wの当該箇所の乾燥が充分行われないこととなるからである。
【0038】
そして、曲線ロでは、木口面蒸発割合Rが10%である点p4を境に木口面蒸発割合Rの値が大きくなっていることを示している。このことから、木材Wでは、その木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法の半分の寸法分だけ、端から短い両端部で、長尺側の側面からの水分の蒸発だけでなく木口面からも多分に水分が蒸発することが推測される。一方、当該端部以外の領域では、木口面からの水分の蒸発にほとんど寄与していないと推測することができる。
【0039】
また、曲線ロは、木口面蒸発割合Rが20%以上である点p5を境に木口面蒸発割合Rの値が大きくなっていることを示している。そして、木口面蒸発割合Rが22%以上である点p6を境に木口面蒸発割合Rの値が特に著しく大きくなっていく。
【0040】
このことから、図1に示す木材Wは、その端から、木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法の半分の寸法までの部分では、特に長尺側の側面からの水分の蒸発だけでなく木口面からも多量に水分が蒸発し、そのなかでも特に、その端から、木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における20%以上(特に22%以上)を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法の半分の寸法までの部分では、木口面からも更に多量の水分が蒸発すると推測することができる。
【0041】
従って、図1に示す木材乾燥装置において、乾燥対象である木材Wを端部と中央部とで乾燥状態に差が生じないように木材Wを乾燥させるためには、木材Wの木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法の半寸法分だけ木材Wの端から短尺である両端部に対して高周波を供給することは好ましくないと推測される。更に、特に木材Wの端から、木材の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における20%以上(特に22%以上)を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法の寸法分の両端部に対しては、高周波を供給することは特に好ましくないと推測することができる。
【0042】
そこで、対向電極Dは、両端部において、木材Wの長尺寸法よりも木材Wの木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法分の半寸法だけは短尺であることが好ましく、特に20%以上、更に好ましくは25%以上を占めることとなる木材Wの長尺寸法分の半寸法だけは少なくとも短尺であることであることが好ましい。
【0043】
従って、対向電極Dの長尺寸法Lは木材Wの長尺寸法Lwよりも、木材Wの木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法分だけは短尺であることが好ましい。特に20%以上を占めることとなる木材Wの長尺寸法分だけは少なくとも短尺であることが好ましく、更に好ましくは25%以上を占めることとなる木材Wの長尺寸法分だけは少なくとも短尺であることが好ましい。また、木材Wの木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%を占めることとなる木材Wの長尺寸法分だけ短尺であることが最も好ましいとの結論を導き出すことができる。
【0044】
ここで、上述のように、サンプル木材WS3の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%を占めることとなるときのサンプル木材WS3の長尺寸法の半寸法分の両端部以外の箇所では、木口面から水分が蒸発することはほとんどないと推測されるため、上記の対向電極Dの長さLは、木材Wの長尺寸法Lwと比較して、木材Wの木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%を占めることとなるときの木材Wの長尺寸法を超えて短尺でない方がよい。上記の両端部以外の領域に高周波を供給しなければ、木材Wの当該箇所の乾燥が充分行うことができないからである。
【0045】
ここで図1に戻って、上述の長尺寸法Lを有する対向電極Dが乾燥対象である木材Wに対して配設される位置を説明する。上述のように対向電極Dの長尺方向の長さは、1端部で木材Wに比して長さd1だけ短く、他端部で木材Wに比して長さd2だけ短い。木材Wの両端部の含水率等を考慮せず寸法d1と寸法d2とが等しくなるようにしてもよいが、ここでは木材Wの両端部の含水率を考慮して寸法d1とd2とをそれぞれ設定している。
【0046】
具体的には、木材の両端部分の含水率がほぼ等しければ、寸法d1と寸法d2とは等しく設定される。例えば、対向電極Dの長尺寸法が木材Wと比較して1m短尺である場合には、寸法d1及び寸法d2が共に50cmとなるように、下部プラス電極64aは乾燥対象である木材Wに対して配置される。一方、木材Wの両端部分の含水率が異なるとして扱う必要がある場合、寸法d1及び寸法d2のうち木材Wの両端部の含水率が高い方の寸法を他方より以下の理由から短く設定する。
【0047】
すなわち、上述のように木口面を有する木材Wは木口面からも水分が蒸発するため、両端部に高周波を供給すると当該両端部が過乾燥になってしまうが、木材の含水率が高い場合には木口面から水分が蒸発しても、木材Wの端部が過乾燥になってしまうことはなく高周波を供給しなければかえって乾燥不十分になってしまう場合がある。従って、木材Wを均等に乾燥させるためには、かかる含水率を考慮して寸法d1及び寸法d2の値を設定することが好ましい。
【0048】
具体的には、寸法d2が設定される側の木材Wの端部が、寸法d1が設定される側の木材Wの端部よりも含水率が高い元口であるときは、元口側を充分に乾燥させ、かつ、含水率の低い方の木材Wの端部側を過乾燥させないために、末口側の寸法d1に比して元口側の寸法d2を短く設定する。なお、元口は、木の根に近い方の端部であり、木の枝に近い方の端部である末口よりも一般的に含水率が高い。
【0049】
ここでは、木材ブロックB1の両端部の含水率の比を求め、長さd1と長さd2との長さ関係が当該両端部の含水率の比と同じになるように対向電極Dが木材Wに対して配置される。すなわち、対向電極Dは、木材Wの長尺寸法d1側の端部の含水率:木材Wの長尺寸法d2側の端部の含水率=長尺寸法d2:長尺寸法d1となるように配置される。
【0050】
例えば、木材Wの長尺寸法d1側の端部の含水率:木材Wの長尺寸法d2側の端部の含水率=4:5であり、長尺寸法d1を50cmとする場合には、長尺寸法d2が40cmと設定される。なお、ここでの木材Wの両端部の含水率の算出方法は、木材Wの端から長尺方向で所定の長さ(例えば50cm)の部分の含水率を両端部それぞれについて求めて上記の木材Wの両端部の含水率として用いればよい。
【0051】
上述のように、木材Wにおける両端部の含水率を考慮して、含水率の低い方の端部側より含水率が高い方の端部側の対向電極Dを長くすることで、過乾燥になりやすい含水率の低い方の端部に対して供給される高周波を少なくして過乾燥を防ぎ、当該含水率の低い方の端部よりも乾燥しにくい他方の端部に対して供給される高周波を多くして乾燥状態が不十分となることを防止することができる。特に木材Wがスギ材である場合には、スギ材は両端部(末口側端部及び元口側端部)の含水率の違いが他の木材Wに比較して大きいため、当該方法は非常に有効である。
【0052】
図4は、本発明が適用される木材乾燥装置の一実施形態を示す構成図である。図4において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向といい、−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。木材乾燥装置1は、上記木材ブロックB1〜B4を収納する乾燥炉2と、この乾燥炉2の右方に付設され、乾燥炉2に収納されている木材に高周波電圧を印加する高周波部6とを備えている。
【0053】
上記乾燥炉2は、2台の台車220が直列で収容され得る内容積を備えた乾燥室20と、当該乾燥室20を6面の壁で包囲する直方体状の箱状の構造体とを備えて構成されている。この乾燥炉2における6面の壁の稜線部分等には金属製のフレーム材21が配設され、これらのフレーム材21によって上記直方体状の箱状の構造体の骨格が直方体状に形成されている。
【0054】
当該骨格の前方側の側面にはドアフレーム22が設けられており、このドアフレーム22によって乾燥室20に対する出入口が形成されている。当該ドアフレーム22には断熱構造のドア23が開閉自在に取り付けられている。ドア23には、換気用及び内部観察用の小孔23aが穿設されている。なお、ドアフレームが配設される位置は前記骨格上のいずれの側面でもよい。
【0055】
そして、上記骨格には、金属製の薄板からなる外壁板24及び内壁板25が内壁板25を内側にしてフレーム材21を挟持するように取り付けられている。この外壁板24及び内壁板25の間には断熱材26が充填されている。ここでは、外壁板24及び内壁板25には亜鉛メッキのカラー銅板が用いられ、断熱材26には50mm厚のグラスウールが用いられている。
【0056】
上記の内壁板25は、下方側内面である床面2a、左右側内面である内壁面2b及び上方内面である天井面2cを有し、乾燥室20は当該内壁板25の各内面2a〜2cに囲まれることによって形成されている。乾燥室20は、乾燥時に、上述の木材ブロックB1〜B4を収納するための空間である。乾燥室20の左右側に形成されている内壁面2bのうちいずれか一方(ここでは、左方側の方)には、2対のファン3が、送風面を中央に向けた状態で前後方向に取り付けられている。
【0057】
これら4台のファン3は、駆動されることによって乾燥室20内の空気を強制的に循環移動させて乾燥室20内の温度及び湿度を均一にする。ここではファン3は0.75KWのものが4台設けられ、一対のファン3で60から180m/minの範囲内の送風量調整が可能になっている。また、乾燥室20内のファン3真下の内壁面2bには4台のスチームヒータ4が前後方向に並設され、当該スチームヒータ4は乾燥室20内を循環移動している空気を加熱する。
【0058】
上記の乾燥炉2の外寸法は、間口(ドア23が設けられている側)1.8m、奥行き9.0m、高さ1.8mに設定されている。また、上記乾燥炉2の後方側の外壁(外壁板24の外面)には、ボイラ5が取り付けられている。ボイラ5は、乾燥室20へ供給するための蒸気を発生し、当該蒸気によって乾燥室20に収納されている木材ブロックB1〜B4を外面から加熱して含有する水分を蒸発させる。
【0059】
ボイラ5の上方には、当該ボイラ5で発生した蒸気を乾燥炉2の上側の外壁(外側板24の外面)に設けられた圧力ポンプ52に導入するための蒸気配管51が取り付けられている。圧力ポンプ52には乾燥室20に連結されている一対の蒸気支官53が設けられており、圧力ポンプ52が導入された蒸気を加圧することによって当該蒸気が蒸気支官53を通って乾燥室20に供給される。本実施の形態においては、ボイラ5には図略の安全弁が設けられており、ボイラ5の蒸気発生量が圧力ポンプ52から乾燥室20内に供給される蒸気量よりも多い場合には余剰の蒸気が安全弁から外部に放出される。
【0060】
ここでは、上記ボイラ5には3.4KWのヒータが内蔵されており、このヒータで水を加熱することによって、最大3kg/cmGの圧力の蒸気を10.2kg/hrの割合で発生させることができるようになっている。ボイラ5には、所定のホース等を介して水道水や井戸水が直接供給されるようになっているが、5〜10リットルの容量を有するカートリッジ式の水槽を設けるようにしてもよい。また、ボイラ5内には軟水器が設けられており、この軟水器が所定の操作で水の軟水化を行うことによって、ボイラ5内での水垢の育成が抑止される。
【0061】
また、乾燥炉2の天板における前方側及び後方側の隅部にはそれぞれ乾燥室20内に連通した排気筒54が設けられ、当該排気筒54が乾燥室20内の空気を排出する。排気筒54の内部には、水平軸51a回りに共回りして排気筒54の開度を調整するダンパが設けられ、乾燥炉2の天板には水平軸5を軸心回りに回動させてダンパ55の開度を変更するアクチュエータ56が設けられており、このアクチュエータ56を駆動させることによってダンパ55の開度が調整される。各排気筒54の下部には、排気ファン(不図示)がそれぞれ設けられ、この排気ファンが稼動されることによって乾燥室20内の空気が強制排気される。ここでは、排気ファンにはそれぞれモータ容量が64Wのものが用いられ、当該排気ファンは18m/minの能力で換気する。
【0062】
そして、本発明の第1の実施の形態においては、乾燥室20の床面2aには、木材ブロックB1〜B4が保管されている木材ヤードまで延びている左右方向一対のレール27が、ドアフレーム22で構成されている出入口を介して引き入れられる。当該レール27上を、木材ブロックB1及びB2、B3及びB4を乗せた2台の台車220が走行することによって、乾燥室20に木材ブロックB1〜B4を出し入れすることができる。
【0063】
なお、上記の台車220は下面四隅部に上記のレール27上の転動するように設けられた4つの車輪220aを有しており、台車220が、乾燥室20内へ向かって押圧されることによって、上記のレール27に案内されつつ移動して乾燥室20内に入れられる。2台の台車220は、木材ブロックB1及びB2を搭載したものが乾燥室20内の前方側に、木材ブロックB3及びB4を搭載したものが後方側に入れられる。当該乾燥室20に入れられた木材は高周波部6によって高周波電力が供給される。
【0064】
上記高周波部6は、所定周波数の高周波電力を出力する高周波発振機60と、この高周波発振機60から乾燥室20内に収納されている木材Wに高周波電力を供給する複数組の対向電極61と、対向電極61及び高周波発振機60間に介設され、かつ、高周波発振機60から対向電極61に向けて出力される高周波電力量を木材Wの乾燥状態の経時的変化に整合させる整合回路部7と、複数組の対向電極61への高周波電力の供給を経時的に順次切換える切換え回路部8とからなっている。ここでは、対向電極61を構成する各電極板は、厚み寸法が略3mmのアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の板材が採用されているが、図1では図示の都合上誇張して厚めに示している(図2、8、9においても同様である。)。
【0065】
上記の高周波発振機60は、保護管60bに保護された同軸ケーブル60aによって整合回路部7に接続されており、高周波発振機60によって出力された高周波電流は整合回路部7に入力される。この整合回路部7は、可変コンデンサ71が設けられた可変コンデンサ部7aと、可変インダクタンス75が設けられた可変インダクタンス部7bとからなっている。
【0066】
可変コンデンサ部7aでは、高周波発振機60からの高周波が入力され、木材Wの経時的な乾燥状態の変化によるインピーダンスの変化に応じて対向電極61へ供給する電力量を調整する処理が行われる。可変インダクタンス部7bでは、可変コンデンサ部7aから高周波が入力され、木材Wのインピーダンスの経時的変化によっても電流量を減少させないように調整する処理が行われる。
【0067】
整合回路部7は切換え回路部8に接続されている。切換え回路部8では、整合回路部7から高周波が入力される。切換え回路部8は、複数のシリンダスイッチ84(図5で示す)を有し、当該シリンダスイッチのスイッチングによって対向電極61に接続されている接点部材85にリード線(不図示)を介して接続又は離反する。切換え回路部8では、入力された高周波電力が複数の対向電極61のうち接続されている対向電極61に対して出力される。
【0068】
上記の整合回路部7の可変コンデンサ部7a、可変インダクタンス部7bはそれぞれコンデンサ用ケーシング70a、インダクタンス用ケーシング70bに収納され、切換え回路部8は切換え回路部用ケーシング70cに収納され、ユニット化されている。コンデンサ用ケーシング70a、インダクタンス用ケーシング70b及び切換え回路部用ケーシング70cは、いかなる配置で組み合わされてもよいが、ここでは下記の配置で組み合わされている。
【0069】
すなわち、ケーシング70(コンデンサ用ケーシング70a、インダクタンス用ケーシング70b及び切換え回路部用ケーシング70c)を載置するための架台70dが乾燥炉2の右側外壁の中央位置に沿うように接続されている。そして、切換え回路部用ケーシング70cが乾燥炉2の右側外壁の壁面に当接するように架台70dに載置され、切換え回路部用ケーシング70cに当接するようにコンデンサ用ケーシング70aが並列載置されている。並列載置されているコンデンサ用ケーシング70a及び切換え回路部用ケーシング70cの上には、インダクタンス用ケーシング70bが載置されている。
【0070】
なお、高周波発振機60及びケーシング70の双方又はいずれか一方が乾燥炉2の天板上に載置されてもよい。この様に整合回路部7の可変コンデンサ部7a、可変インダクタンス部7bはそれぞれコンデンサ用ケーシング70a、インダクタンス用ケーシング70bに収納され、切換え回路部8は切換え回路部用ケーシング70cに収納され、ユニット化されているため、高周波部6を乾燥炉2に対して付加的に施工することができ、付設施工が容易になる。
【0071】
以下に対向電極の構成を説明する。上記の対向電極61は、前方側に配置される台車220に搭載されている木材ブロックB1及びB2を対象とするものと、後方側に配置される台車220に搭載されている木材ブロックB3及びB4を対象とするものがある。ここでは、木材ブロックB1及びB2を対象とする対向電極61について説明するが、木材ブロックB3及びB4を対象とする対向電極61についても同様の構成である。
【0072】
木材ブロックB1及びB2を対象とする対向電極61には、木材ブロックB1を対象とする対向電極61aと木材ブロックB2を対象とする対向電極61bがある。木材ブロックB1を対象とする対向電極61aは、台車220の表面に積層されて成る下部マイナス電極62と、この下部マイナス電極62の上方に搭載されている木材ブロックB1を挟んで上方に配置されている共用マイナス電極63と、上記の下部マイナス電極62及び共用マイナス電極63間に挟まれている木材ブロックB1の間に配置されている下部プラス電極64aとで構成されている。
【0073】
また、木材ブロックB2を対象とする対向電極61bは、上記の共用マイナス電極63と、この共用マイナス電極63の上に搭載されている木材ブロックB2を挟んで上方に配置されている上部マイナス電極65と、共用マイナス電極63及び上部マイナス電極65間に挟まれている木材ブロックB1の間に配置されている上部プラス電極64bとで構成されている。
【0074】
なお、ここでは上記対向電極61はアルミニウム合金等の導電性の金属板からなる。また、ここでは下部マイナス電極62は木材ブロックB1及びB2を乾燥室20内に運び込む台車220の表面に積層して成るが、これに限定されず導電性の金属を材料とする台車220を用いて、台車220そのものが下部マイナス電極62であってもよい。
【0075】
この対向電極61に対向するように、乾燥室20内には右方側内壁面2bから突出された接点部材85が設けられている。この接点部材85は、プラス電極64に対向したプラス接点部材86と、下部マイナス電極62に対向した下部マイナス接点部材87と、上部マイナス電極65に対向した上部マイナス接点部材88と、共用マイナス電極65に対向した共用マイナス接点部材89とから成っている。
【0076】
上記プラス接点部材86としては、下部プラス電極64aに対向した下部プラス接点部材86aと、上部プラス電極64bに対向した上部プラス接点部材86bとが設けられている。各接点部材85は、図1に示すように、弓なりに湾曲されたパンダグラフ80を有しているとともに、各パンダグラフ80が対向した図略の付勢手段の付勢力によって対向電極61を押圧当接するように長さ寸法が設定されている。また、各接点部材85は、乾燥炉2の内壁面に図略の構造によって高さ位置が調節可能に取り付けられ、これによって木材Wの断面高さ寸法が変更になることによる対向電極61の高さ位置の変動に対応し得るようになっている。
【0077】
そして、上述の切換え回路部8における複数のシリンダスイッチ84のうちの1のスイッチ(以下、第1のシリンダスイッチ84aと記載する)の接点ロッド(不図示)は上部プラス接点部材86bのパンダグラフ80に接続され、上記複数のシリンダスイッチのうちの他の1のスイッチ(以下、第2のシリンダスイッチ84bと記載する)の接点ロッド(不図示)は下部プラス接点部材86aのパンダグラフ80に接続される。また、下部マイナス電極63、上部マイナス電極64および共用マイナス電極65のパンダグラフ80はそれぞれアースされている。
【0078】
従って、第1のシリンダスイッチ84aがONになっているときは、上部マイナス電極65と共用マイナス電極63との間に介在する木材Wに上部プラス接点部材86bからの高周波が印加され、第2のシリンダスイッチ84bがONになっているときは、下部マイナス電極62と共用マイナス電極63との間に介在する木材Wに下部プラス接点部材86aからの高周波が印加されることになる。
【0079】
以下に対向電極61の木材に対する長さ関係を説明する。ここでは対向電極61aと木材ブロックB1との長さ関係について説明するが、対向電極61b、木材ブロックB3及びB4とこれらを対象とする対向電極61との長さ関係についても、対向電極61aと木材ブロックB1との長さ関係と同様である。
【0080】
なお、本実施の形態では、木材Wは120mm×200mm×4000mmのスギの平角であり、各木材ブロックB1,B2,B3,B4それぞれは、上面及び下面の面積がそれぞれ幅1000mm×長さ4000mmである。なお、木材Wは、当然に上記に限定されず、樹種についてはヒノキ,マツ等の他の針葉樹等でもよく、寸法についても長尺であればどのような寸法であってもよい。また、各木材ブロックB1,B2,B3,B4それぞれの寸法についても、当然に上記に限定されない。
【0081】
木材ブロックB1は、両端部に木口面を有する複数の長尺の木材Wが縦方向(上下方向)及び横方向(左右方向)に複数本積み上げられて構成されている。木材ブロックB1において縦方向に積み上げられている木材Wの間には、当該木材Wの間に空間を作るためのスペーサーとして複数本の桟木Qが、同列に並ぶ複数の木材Wを横断するように介在されている。一般に上記のような木材ブロックB1における複数の木材Wの構成は桟積と呼ばれる。
【0082】
このように桟積されている長尺の木材ブロックB1を長尺側の側面で桟木Qを介して上下方向から挟むように、下部マイナス電極62及び共用マイナス電極63が対向して台車220の上に配置されている。また、木材ブロックB1の中間付近には、桟木Qを介して下部プラス電極64aが下部マイナス電極62及び共用マイナス電極63と対向して配置されている。
【0083】
ここでは、共用マイナス電極63及び下部マイナス電極62の長尺寸法は木材Wの長尺寸法とほぼ同一であるのに対し、下部プラス電極64aの長尺寸法(ここでは前後方向の寸法)は木材Wの長尺寸法よりも短尺であるが、木材Wの端部近傍における電磁界を考慮すると、共用マイナス電極63及び下部マイナス電極62の長尺寸法も下部プラス電極64aの長尺寸法と同じである方が好ましい。従来は、木材Wより長尺である対向電極(例えば、ここでは幅1000mm×4200mm)を用いて木材を乾燥させていたが、図1〜図3を示して上述したように木材Wの両端部が過乾燥になることを防ぐため、木材Wの端部に電圧を印加しないように短尺の対向電極を用いるのである。
【0084】
本実施の形態では、木材ブロックBの両端部の含水率がほぼ同じである場合には、長尺寸法が木材Wの長尺寸法よりも1m短尺である下部プラス電極64aが、木材Wに対して端から長尺寸法で50cmづつ両端部において短尺となるように配置される。図1〜図3を示して前述したように、乾燥対象である木材Wの端から50cmの両端部からは木口面からの含有水分の蒸発が多いと推測されるため、乾燥対象である木材Wを端部と中央部とで乾燥状態に差がないように木材Wを均一に乾燥させるには、乾燥対象である木材Wの端から50cmの両端部に対して高周波電圧を印加することは好ましくないからである。また、木材Wの端から長尺寸法で50cmの端部以外の領域では、木口面から水分が蒸発することはほとんどないと推測されるため、木材Wの端から長尺寸法で50cmの端部以外の領域に高周波を印加しなければ、木材Wの当該箇所の乾燥が充分行うことができないからである。
【0085】
一方、木材ブロックBの両端部の含水率が異なる場合には、長さの異なる下部プラス電極64を複数枚用意しておき、含水率の小さい方の木材ブロックB1の端部側を所定寸法(ここでは50cm)だけ木材Wより短尺とし、他端部では、当該所定寸法と比較して、木材ブロックB1における両端部の含水率の比と同じ長さ関係となる寸法分だけ短尺である下部プラス電極64を当該木材ブロックB1に対して配置する。なお、ここでの木材ブロックB1の両端部の含水率は、木材Wの端から長尺方向で所定の長さ(例えば50cm)の部分の含水率を求めて上記の木材ブロックB1の両端部の含水率として算出すればよい。
【0086】
例えば、木材ブロックB1の前方側端部が後方側端部よりも含水率の小さい場合であり、かつ、木材ブロックB1の前方側端部の含水率:木材ブロックB1の後方側端部の含水率=4:5である場合には、後方側端部の長尺寸法が40cmだけ木材Wより短くなるように設定される。従って、長尺寸法が木材Wと比較して0.9m短尺である下部プラス電極64を選択し、当該選択した下部プラス電極64が前方側端部で50cmだけ短尺であり、かつ、後方側端部で40cmだけ短尺となるように木材Wに対して配置される。
【0087】
このように木材Wの両端部の含水率を考慮して下部プラス電極64aの長尺寸法を設定するのは、次の理由による。すなわち、図1を用いて前述したように木口面を有する木材Wはその両端部において木口面からも水分が蒸発するため、当該両端部に高周波電圧を印加すると当該両端部が過乾燥になってしまうが、木材Wの含水率が高い場合には木口面から水分が蒸発しても、木材Wの端部が過乾燥になってしまうことはなく高周波電圧を印加しなければかえって乾燥不十分になってしまう場合があるからである。
【0088】
なお、含水率の小さい方の木材ブロックB1の端部側を所定寸法(ここでは50cm)だけ木材Wより短尺とし、他端部では木材Wの端まで届くような長さの下部プラス電極64を選定し、このように下部プラス電極64を木材Wに配置してもよい。
【0089】
上記の本実施の形態の変形例として、長尺寸法が木材Wと比較して所定寸法分(ここでは0.4m)だけ短尺である下部プラス電極64aを用いて、下部プラス電極64aの含水率の小さい方の端部において短尺である寸法と、他端部において短尺である寸法との比が、木材ブロックB1における両端部の含水率の比に合致するように配置することもできる。例えば、木材ブロックB1の前方側端部が後方側端部よりも含水率の小さい場合であり、かつ、木材ブロックB1の前方側端部の含水率:木材ブロックB1の後方側端部の含水率=2:3である場合には、前方側端部の長尺寸法が24cm、後方側端部の長尺寸法が16cmだけ木材Wより短くなるように設定される。
【0090】
上述のように、木材ブロックB1における両端部の含水率を考慮して、含水率の高い方の端部側より含水率が低い方の端部側の下部プラス電極64を短くすることで、過乾燥になりやすい含水率の低い方の端部に対して印加される高周波電圧を少なくして過乾燥を防ぎ、当該含水率の低い方の端部よりも乾燥しにくい他方の端部に対して印加される高周波電圧を多くして乾燥状態が不十分となることを防止することができる。特に本実施の形態においては、木材Wはスギ材であり、スギ材は両端部(末口側端部及び元口側端部)の含水率の違いが他の木材に比較して大きいため、当該方法は非常に有効である。
【0091】
なお、上記では木材ブロックB1の両端部の含水率から下部プラス電極64aの両端部での長尺寸法をそれぞれ求めたが、木材B1を構成する全ての木材Wの含水率が同じ方向へ向くように配設されるようにし、この木材ブロックB1を構成する木材Wのうち任意に選択した一本の含水率から下部プラス電極64aの両端部での長尺寸法を求めても良い。
【0092】
上記した高周波部6の回路構成を説明する。図5は、図4に示す高周波部6の回路構成の一例を示す図である。なお、図5では木材ブロックB1及びB2用、木材ブロックB3及びB4用と二組ある対向電極61のうちの一組を代表して説明しているが、当該一組の他の一組についても回路構成は同じである。
【0093】
高周波発振機60は高周波電流の発生源であり、発生させた高周波電流を整合回路部7に出力する。整合回路部7は、コンデンサ用ケーシング70aに収納されてユニット構成された可変コンデンサ部7aと、インダクタンス用ケーシング70bに収納されてユニット構成された可変インダクタンス部7bとからなっている。可変コンデンサ部7aには可変コンデンサ71が内装されているとともに、可変インダクタンス部7bには可変インダクタンス75が内装されている。
【0094】
可変コンデンサ71は、乾燥されつつある木材Wのインピーダンスの経時変化に整合して容量を変化させるものであり、可変インダクタンス75は、木材Wのインピーダンスの経時変化によっても電流値を減少させないように自身のインダクタンスを調節するものである。これら可変コンデンサ71および可変インダクタンス75によるコンデンサ容量およびインダクタンスの調整が乾燥過程の木材Wのインピーダンスと対向電極61に供給する高周波電力量とを整合させ、効率的な乾燥処理が実現する。
【0095】
整合回路部7で調整された高周波電流は切換え回路部8に出力される。切換え回路部8は、整合回路部7と接続されているコ字状リード線板83と、このコ字状リード線板83に電気的に離接する第1のシリンダスイッチ84aおよび第2のシリンダスイッチ84bとからなっている。なお、コ字状リード線板83は、切換え回路部用ケーシング70cの右側壁に所定の金具を介して上下方向に延びるように絶縁状態で固定されている。
【0096】
第1および第2のシリンダスイッチ81,82は、第1および第2ブロックB1,B2用のものと第3および第4ブロックB3,B4用のものとがあるが、図5では図示の都合上第1および第2ブロックB1,B2のものだけが示されている。各シリンダスイッチ84は接点ロッドを有しており、当該接点ロッドはシリンダスイッチ84本体から出没して上述のコ字状リード線板83に対して離接する。
【0097】
前述したように、乾燥炉2内には、対向電極61に対向して右側の内壁面2bから突設された接点部材85が設けられており、各接点部材85は図略の付勢手段の付勢力によって対向電極61を押圧当接するように長さ寸法が設定されているパンダグラフ80を有している。
【0098】
上述の第1のシリンダスイッチ84aの接点ロッドは、当該接点部材85における上部プラス電極62bに対向した上部プラス接点部材86bのパンダグラフ80と、上述の第2のシリンダスイッチ84bの接点ロッドは、下部プラス電極62aに対向した下部プラス接点部材86aのパンダグラフ80とにそれぞれ接続されている。また、下部マイナス電極63、上部マイナス電極64および共用マイナス電極65に対向するパンダグラフ80はそれぞれアースされている。
【0099】
従って、第1シリンダスイッチ81の接点ロッド84がコ字状リード線板83に接続されているときは、上部マイナス電極64と共用マイナス電極65とに高周波発振機60から出力された高周波電流が流れ、当該電極間に介在する木材Wに高周波電圧が印加され、第2シリンダスイッチ82の接点ロッド84がコ字状リード線板83に接続されているときは、上記同様に下部マイナス電極63と共用マイナス電極65との間に介在する木材Wに高周波電圧が印加されることになる。
【0100】
上記のような木材乾燥装置1の設営方法を以下に説明する。木材乾燥装置1は、まず乾燥炉2を所定の敷地内に構築すると同時に高周波発振機60を適所に配設した後、乾燥炉2の長尺側の壁面外方にケーシング70を隣接することによって構築される。乾燥炉2の構築時には、予め対向電極61と切換え回路部8を接続するための接続板を通すための配設孔が穿設され、この配設孔が穿設されている箇所に切換え回路部用ケーシング70cが隣接配置されている。
【0101】
そして、絶縁板に指示されて絶縁状態で当該配設孔を通って、接続板が対向電極61に取り付けられているパンタグラフ80と切換え回路部8の接続ロット84とを接続させることによって、切換え回路部用ケーシング70cの乾燥炉2への隣接施工が完了する。更に、切換え回路部用ケーシング70cにコンデンサ用ケーシング70aおよびインダクタンス用ケーシング70bを隣接配置し、各ケーシング部70間に所定の配線を施す。また、高周波発振機60と可変コンデンサ71の中央電極板とが同軸ケーブルを介して接続する。これによって、木材乾燥装置1の施工が完了する。
【0102】
上記木材乾燥装置1を用いた本発明の第1の実施の形態にかかる木材乾燥方法を図4及び図6を用いて説明する。図6は、図4に示す木材乾燥装置1を用いた木材乾燥方法における乾燥工程を自動的に実行するための制御機構の一例を示すブロック図である。なお、ここでは本発明方法は自動で実行されるが、必ずしも自動で実行される必要はなく人が手動で実行してもよい。
【0103】
冒頭で説明したように、本発明の第1の実施の形態にかかる木材乾燥方法は、木材ブロックB1〜B4を形成し、当該木材ブロックB1〜B4それぞれを長尺側で挟むように対向電極61を配設する配設工程と、木材乾燥装置1が高周波を印加することによって対向電極61に挟持された木材ブロックB1〜B4を乾燥させる乾燥工程とからなっている。
【0104】
まず、配設工程では、2台の台車220における下部マイナス電極62上に8本の木材Wを下部マイナス電極62の長手方向に向くように幅方向にそれぞれ並列載置し、ついで、各木材Wを横断するように複数本の桟材Qを架け渡す。そして、これらの桟材Q上に上記同様に8本の木材Wを載置し、更に、各木材Wを横断するように複数本の桟材Qを架け渡す。そして、これら2段の木材列の上に当該複数本の桟材Qを介して下部プラス電極64aが被せられることによって、上記のように下部プラス電極64a及び下部マイナス電極62間に2段の木材Wが挟み込まれるようになっている。
【0105】
ここで、下部プラス電極64aが配置される位置は、上述のように木材Wに対して、一方の端部で長さd1だけ他端部で長さd2だけ短尺となるように設定される。上述のように木材Wの両端部では、木材Wの両木口面からも水蒸気が蒸発するため乾燥後の木材Wの端部が過乾燥となりやすい。従って、当該端部が過乾燥になることを防ぐために、当該端部に対しては高周波電圧を多く印加しないように下部プラス電極64aが配設されないのである。
【0106】
そして、この下部プラス電極64aの上に上記同様に2段の木材列が2台の台車220を対象としてそれぞれ形成される。そして、これらの木材列の頂部に桟材Qを介して共用マイナス電極63がそれぞれ積層されることによって、乾燥炉2における乾燥室20の前方側に入れられる台車220上には木材ブロックB1が、後方側に入れられる台車220上には木材ブロックB3が形成される。
【0107】
引き続き、2台の台車220の共用マイナス電極63の上に上記と同様に2段の木材列がそれぞれ形成され、それらの上に上述のような理由から、木材Wに対して一方の端部で長さd1だけ他端部で長さd2だけ短尺となるように上部プラス電極64bが積層される。そして、この上部プラス電極64bの上にも、2段の木材列がそれぞれ形成される。そして、最後に、最上部の木材列の頂部に上部マイナス電極65が載置されることによって、乾燥炉2における乾燥室20の前方側に入れられる台車220上には木材ブロックB1上に木材ブロックB2が、後方側に入れられる台車220上には木材ブロックB3上に木材ブロックB4が形成される。
【0108】
なお、本実施の形態においては木材ブロックB1〜B4を構成する木材Wの長尺寸法は全てほぼ同一であり、各木材ブロックB1,B2,B3,B4では、全ての木材Wの端がそろうように桟積されているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、長尺寸法の異なる木材Wを複数用いて各木材ブロックB1,B2,B3,B4が構成される場合では当該木材Wの平均長尺寸法を基準として、又は木材Wのうち任意で選択した一本の長尺寸法を基準として短尺のプラス電極64を用いてもよい。
【0109】
ついで、乾燥炉2のドア23を開放し、2台の台車220がレール27を走行することによって乾燥室20内に運び込まれる。そうすると、それぞれの下部マイナス電極62、下部プラス電極64a、共用マイナス電極63、上部プラス電極64b、および上部マイナス電極65が、それぞれ下部マイナス接点部材87、下部プラス接点部材86a、共用マイナス接点部材89、上部プラス接点部材86b、および上部マイナス接点部材88の各パンダグラフ80に当接して互いに接続状態になる。これによって、配設工程は終了する。
【0110】
次に、図4及び図6を参照して乾燥工程について説明する。乾燥工程では、木材ブロックB1,B2,B3,B4及び対向電極61を乾燥室20内へ装入した後、ドア23を閉め、電源スイッチ(不図示)をONして乾燥炉2内へ電力供給可能状態にする。その後、上述した乾燥装置1が、下記のように制御装置300によって熱気乾燥の制御と高周波順次印加の制御とを行い、乾燥室20内に入れられた上記木材ブロックB1,B2,B3,B4を乾燥させる。
【0111】
すなわち、上記制御装置300は、記憶されている制御プログラムに基づいて各種の制御信号をファン3、ボイラ5、圧力ポンプ52、アクチュエータ56、整合回路部7および切換え回路部8に出力することによって熱気乾燥の制御や高周波印加の制御とを行い、これに基づく機器の駆動で木材Wに対する熱気乾燥処理およびこれに続く複合乾燥処理(熱気乾燥処理及び高周波印加処理)が施されるようになっている。なお、制御装置300には当然のことながら乾燥操業を実行するために必要な各種のデータを記憶する記憶部が設けられている。
【0112】
具体的には、上記の熱気乾燥の制御では、制御装置300はボイラ5を稼動させるとともにファン3を回転駆動させる。一定時間経過後、高周波印加の制御が実行され、当該高周波印加の制御では、制御装置300は高周波発振機60を駆動させて高周波発振機60からの高周波を整合回路部7及び切換え回路部8を介して対向電極61に供給する。ここで、制御装置300は、予め設定された時間ごとに切換え回路部8に切換え操作させることによって、各木材ブロックB1,B2,B3,B4毎に高周波の供給を行わせる。
【0113】
まず、上記熱気乾燥の制御について説明する。この制御を行うために、乾燥室20内には乾球温度計91および湿球温度計92が設けられているとともに、高周波回路の適所には反射型電力計からなる負荷状態検出部93が設けられ、これら検出手段が検出した乾燥室20内の乾球温度、湿球温度および反射電力量が制御装置300に入力されるようになっている。なお、本実施の形態においては、乾球温度計91として白金抵抗体を用いた温度センサーを使用しているとともに、湿球温度計92として白金抵抗体に湿ったガーゼを巻き付けたものを使用している。
【0114】
本実施の形態においては、乾燥室20内の経時的な温度変化が、制御装置300に予め設定入力されており、常にこの設定値と乾球温度計91が検出した検出値との比較演算が行われるようになっている。この比較演算の結果、温度が設定値よりも低いときは、制御装置300からスチームヒータ4への蒸気供給量を増加させる信号が出力され、温度が設定値よりも高いときは同蒸気供給量を減少させる信号が出力されるようになっている。
【0115】
また、制御装置300に乾燥室20内の経時的な乾球温度(本実施形態においては一定値)が入力されており、この設定値と湿球温度計92が検出した検出値との比較演算が行われ、比較演算の結果、乾球温度の実測値が乾球温度設定値よりも低いとき(すなわち湿度が低いとき)は、制御装置300からボイラ5および圧力ポンプ52への電力供給量を増加させる信号が出力され、乾球温度の実測値が設定値よりも高いとき(すなわち湿度が高いとき)は同電力供給量を減少させたり電力供給を遮断する信号が出力されるようになっている。かかる制御を行うことによって乾燥室20内は所定の温度が維持されるとともに、乾湿温度差は漸増するようになされている。
【0116】
本実施の形態においては、制御装置300に負荷状態検出部93からの検出信号が入力され、これに基くフィードバック制御で反射電力(反射波の電圧値に電流値を乗じて得られる値)が常に最小になるようにアクチュエータ71dが駆動されて第1可変コンデンサ71aおよび第2可変コンデンサ71bの容量が調節され、これによって木材Wに供給される高周波の出力はエネルギー伝達が効率的に行われるように常に木材Wのインピーダンスの経時変化に追随したものになるようにしている。
【0117】
また、本実施の形態においては、予め実験的に求められた速度勾配で可変インダクタンス75の摺接架橋部材(不図示)を下降させるようにしており、これによって木材Wの乾燥進行に伴うインピーダンスの減少に追随させて高周波のエネルギーがより効率的に木材Wに供給されるようにしている。従って、乾燥室20内の温度および湿度は常に適正に制御されて最適の外部加熱環境になるとともに、高周波印加により木材Wに内部加熱が施されることから、木材Wの内部の温度分布は常に均一に制御された状態になり、木材Wの理想的な乾燥処理が実現する。
【0118】
さらに、木材Wの樹木の種類毎に予め設定された時間を制御装置300に入力しておき、この時間が経過したときに制御装置300から高周波発振機60に駆動信号が出力されるようにしている。このようにされるのは以下の理由による。すなわち、乾燥室20内はすでに予め所定の乾燥環境に設定されており、乾燥前の100%前後の高含水率を有する木材Wは、乾燥の初期においては、わざわざ高周波を供給しなくても、所定の含水率になるまでは速やかに含水率が低下するのであるが、樹種に応じて熱気乾燥のみでは水が飛び難いものがある反面、極めて速やかに含水率が低下するものもあるため、予め樹種毎に熱気乾燥の時間を決めることが可能であるからである。
【0119】
もっとも、木材Wの含水率の経時的な低下曲線は、過去の多くの操業実績や試験によって熱気乾燥の条件に応じて略定まっていることが判っているため、上記低下曲線の式を制御装置300に入力しておくことにより、上記のような樹種毎の熱気乾燥の時間を予め入力しておかなくても、初期の熱気乾燥の時間を設定することができる。従って、乾燥前における木材Wのおよその含水率さえが判れば、所定の乾燥条件において含水率が所定の値にまで低下する時間を相当の精度で予測することが可能である。
【0120】
各木材ブロックB1、B2、B3、B4に対する高周波印加制御については、各木材ブロックB1、B2、B3、B4毎の高周波印加の合計電力量を予め設定しておく。この算出された各電力量を各ブロックB1、B2、B3、B4に与えられる高周波出力の値で除することにより、各ブロックB1、B2、B3、B4それぞれに対する合計の高周波印加時間が算出される。合計の高周波印加時間の算出方法は、これに限定されず、出願人が先に出願した特願2002−200606号に記載されている方法等によってもよい。
【0121】
そして、このようにして得られた各木材ブロックB1、B2、B3、B4を対象とした高周波印加の合計の印加時間は、間欠印加の各回に平均的に印加されるのではなく、高周波印加の当初は未だに木材Wの含水率が相当高いため、印加時間は多めに設定され、含水率の減少に応じて漸減される。具体的に各回毎の高周波印加時間がどのようにして設定されるかについては種々の方法があり、例えば、当初は60分等の長い時間を設定しておいて、それを所定の割合で順次減じていく方法を採用してもよい。
【0122】
また、出願人が先に出願した特願平11−259415号に記載されている、所定の計算式により各回の高周波印加時間を計算する方法を採用してもよい。この特願平11−259415号に記載した計算方法は、所定の条件で実行される木材の複合乾燥において、過去の多くのデータを統計的に解析することにより木材の初期含水率に応じた標準的な含水率低減曲線を予め求めておくとともに、この含水率低下曲線により演算された高周波印加開始時点での木材の含水率を基準にして高周波印加による材内の昇温曲線の一般式を予め求めておき、この昇温曲線の一般式に基づいて高周波間欠印加における印加時間を求めるものである。
【0123】
そして、上記昇温曲線の一般式を用いた演算処理において、材内温度が100℃になった時点で高周波の印加を停止するように条件付ける演算が行われるようにしているため、材内温度が100℃を越えた状態で木材Wに高周波が印加され続けるような不都合は起こらない。なお、この計算方法の詳細についてはここでは省略する。
【0124】
さらに本実施形態においては、高周波発振機60と可変コンデンサ71との間に積算電力計310が介設され、各木材ブロックB1,B2,B3,B4に供給された高周波電力量を積算するようになっている。この積算電力計310によって検出された積算電力量も制御装置300に逐一入力されるようになっており、この値が入力された制御装置300は、その時点までに高周波発振機60から出力された演算上の高周波電力量と比較するようになっている。そして、制御装置300を、この比較結果が予め設定された許容値を越えているか否かを常にチェックし、越えていないときはそのまま操業を継続する一方、越えているときは所定の出力装置を介して警報を出力するようになっている。
【0125】
上記のような高周波印加時間で、制御装置300は切換え回路部8をスイッチングさせることによって対向電極61をして木材ブロックB1,B2,B3,B4に対して順番に電圧を印加させる。
【0126】
本発明の第1の実施の形態にかかる木材乾燥方法では、長尺側の長さで比較して木材Wの長さよりも短尺であるプラス電極64を用いるため、木口面からも含有水分が蒸発することによって他の部位に比べて乾燥しやすい木材Wの端部に対して、高周波電圧をほとんど印加しないことが可能となる。これによって、乾燥後の木材Wの端部が過乾燥になることを防ぎ、木材Wにおける端部と中央部とで均一に乾燥することができる。かかる効果を実証するために、出願人は図7に示すように、木材を数種類の木材乾燥方法によって乾燥をさせ、当該乾燥後の木材における木口面の異常収縮の出現率を調べて統計を出した。
【0127】
図7は、木材乾燥方法の違いによる乾燥後の木材の木口面における異常収縮の出現率の違いを示すグラフである。(a)は、高温(100℃〜120℃)の熱気乾燥のみを行った場合における木口面の異常収縮の出現率を示すグラフである。(b)は、短尺ではない対向電極(4200mm)を用いて高周波乾燥と熱気乾燥の複合乾燥を行った場合における木口面の異常収縮の出現率を示すグラフである。(c)は、短尺である対向電極(3400mm)を用いて高周波乾燥と熱気乾燥の複合乾燥を行った場合における木口面の異常収縮の出現率を示すグラフである。
【0128】
ここでは、4000mmの長尺寸法を有する正角の木材において、木口面における一辺と、当該正角の木材の長尺方向における中心で木口面と切り口が平行になるように裁断した場合の当該切り口の一辺との差を収縮量差(切り口の一辺−木口面の一辺)として、当該収縮量差(mm)が横軸に表されている。
【0129】
当該収縮量差は、0.0mmの場合、0.0mmより大きく1.0mm未満の場合、1.0mm以上2.0mm未満の場合、2.0mm以上3.0mm未満の場合、3.0mm以上4.0mm未満の場合、4.0mm以上5.0mm未満の場合、5.0mm以上6.0mm未満の場合、6.0mm以上7.0mm未満の場合が示されている。また、縦軸は、各図7(a)〜(c)の木材乾燥方法において上記横軸に示す収縮量差を有する木材の出現率(%)を示している。
【0130】
図7(a)に示すグラフでは、2.0mm以上3.0mm未満が25%を超えており最も多く、ついで3.0mm以上4.0mm未満の収縮量差が多い。また、木材の短部が著しく過乾燥である6.0mm以上7.0mm未満の収縮量差を有する木材も5%未満であるが存在する。従って、複合乾燥を行わない熱気乾燥のみの場合では木材の異常収縮の出現率は高いといえる。熱気乾燥のみでは、木材の外部から内部へと熱が伝わる時間がかかるため、木材の内部まで充分に乾燥させようとすると、複合乾燥と比較して長時間に渡って乾燥処理を施す必要がありその間に木口面等の木材の外部の乾燥が進んで過乾燥になってしまうためであると推測される。
【0131】
対して図7(b)に示すグラフでは、図7(a)に示すグラフと比較して、4.0mm以上7.0mm未満の異常収縮を有する木材の出現はないため木口面に著しい異常収縮を有する木材は出現しにくいといえるが、1.0mm以上2.0mm未満及び2.0mm以上3.0mm未満の異常収縮は30%近く出現している。ここでは、長尺寸法4200mmである対向電極を用いた複合乾燥を行っているが、図7(a)に示す木材の外部からの熱気乾燥のみによる木材乾燥方法とは異なり、高周波乾燥によって木材の内部から加熱されるため、短時間で内部まで木材の加熱を行うことができ、木材乾燥を行うことができ、木材の内部と外部との温度が均一な状態になり、木材の木口面の著しい異常収縮はなくなると推測される。ゆえに、複合乾燥の方が、熱気乾燥よりも木材の木口面の異常収縮を抑えることができることが伺える。
【0132】
一方、図7(c)に示すグラフでは、収縮量差0.0mmの出現率が40%を超えている。また、収縮量差が0.0より大きく1.0未満のものがやはり40%を超えており、少なくとも全ての木材の収縮量差が2.0未満に収まっていることが示されている。収縮量差0.0mmは乾燥後の木材の端部と中央部分の乾燥状態に差がほとんどないことを示しており、ここでは40%以上の木材が収縮量差0.0mmであり、80%以上の木材は収縮量差1.0未満であり、収縮量差2.0mm以上の木材は存在しないため、他の図7(a)、(b)の各グラフでの木材乾燥方法と比較して乾燥後の木材の端部と中央部分の乾燥状態の差は非常に小さいといえるであろう。
【0133】
ここでの、木材乾燥方法は4000mmの長尺の木材を当該長尺側の側面で長尺寸法3400mmである対向電極が挟んで行う高周波乾燥と熱気乾燥との複合乾燥である。すなわち、図7(b)に示すグラフでの木材乾燥方法とは対向電極の長さが長尺寸法で比較して木材よりも600mm短尺であるという点が異なっている。従って、木材の端部が過乾燥にならず木材の中央部分と端部との乾燥状態がほぼ均一になった理由は、対向電極の長尺寸法が木材の長尺寸法よりも短いため、木口面からも含有水分が蒸発するため過乾燥になりやすい木材の端部に高周波電圧をほとんど印加しなかったためであると推測できる。
【0134】
上述の図7に示すグラフからも、乾燥対象木材よりも長尺寸法で短尺である対向電極を用いて高周波乾燥する木材乾燥方法は木材を均一に乾燥できることが実証されている。なお、複合乾燥によって熱気乾燥も行う方が木材を均一に乾燥できることが実証されたが、勿論、高周波乾燥のみで木材を乾燥させる木材乾燥方法であっても、乾燥対象木材よりも長尺寸法で短尺である対向電極を用いた方が木材を均一に乾燥することができる。
【0135】
なお、本発明の第1及び第2の実施の形態にかかる木材乾燥方法において、対向電極61の構成は、各マイナス電極62,63,65の長尺寸法は木材Wの長尺寸法とほぼ同一であり、各プラス電極64の長尺寸法は木材Wの長尺寸法より短尺であるが、逆に各マイナス電極62,63,65の長尺寸法が木材Wの長尺寸法よりも所定寸法だけ短尺であってもよく、対向電極61の対向部分が木材Wの長尺寸法より短尺であればよい。従って、各マイナス電極62,63,65又は各プラス電極64の長尺寸法が所定寸法だけ短尺である場合は、他方の電極の長尺寸法は、当該所定寸法だけ短尺である方の電極の長尺寸法より長ければよい。
【0136】
また、木材乾燥装置1では、3枚で一組の対向電極61を用いて各木材ブロックB1,B2,B3,B4をそれぞれ上下方向から挟持しているが、必ずしもこれに限定されず、木材乾燥装置1aのように左右方向から3枚で一組の対向電極61によって挟持する等してもよい。また、2枚で一組の対向電極を用いて各木材ブロックB1,B2,B3,B4を左右方向又は上下方向から挟持する等してもよい。
【0137】
なお、木材乾燥装置1では、乾燥炉2内の圧力は制御されておらず常圧であるが、真空ポンプ等で乾燥炉2内を減圧して、低圧の乾燥炉2において木材Wへの高周波電力の供給を行っても良い。この場合には、木材Wの蒸発温度が下がり、効率よく木材乾燥を行うことができる。
【0138】
【発明の効果】
請求項に記載の本発明に従えば、木材の端部と中央部分とがより均一な乾燥状態で乾燥対象木材を乾燥することができるため、木材の端部の過乾燥を原因とした木口割れ、木口面の落ち込み、木口面の異常乾燥、中央部分のねじれを防止し、歩留まりを向上することができる。また、木材の端部に対して高周波電力が供給されないため、木材を乾燥させるための消費電力を削減することができる。
【0139】
請求項に記載の本発明に従えば、乾燥対象木材を長手方向の全体に均一に乾燥させることができるため、特に過乾燥になりやすい半寸端部の過乾燥を原因とした木口割れ、木口面の落ち込み、木口面の異常乾燥、中央部分のねじれを防止し、歩留まりを向上することができる。
【0140】
請求項に記載の本発明に従えば、対向電極は木材の端から20cm以上50cm以下の両端部に対して高周波電力をほとんど供給しないことができるため、特に過乾燥になりやすい木材の端から20cm以上の端部に対して木材過乾燥にすることを防ぎ、かつ、木口からの水分の蒸発がほとんどない木材の端から50cmを超える中央部分に対して充分に高周波電力を供給することができ、乾燥対象木材を長手方向の全体に均一に乾燥させることができる。
【0141】
請求項に記載の本発明に従えば、乾燥対象木材の両端部の含水率に差があっても含水率の差が吸収されて乾燥対象木材を長手方向の全体に均一に乾燥させることができるため、木材における両端部の含水率に差がある場合でも木材の端部の過乾燥を原因とした木口割れ、木口面の落ち込み、木口面の異常乾燥、中央部分のねじれを防止し、歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明に係る木材乾燥装置の基本構成を示す図、(b)は(a)に示す木材乾燥装置が木材Wの材内に発生させる電磁界を説明するための図である
【図2】 木材の木口面からの水分の蒸発速度を調べるために実験した結果を示すグラフである。
【図3】 図2の実験を基にした木材の長尺方向の長さと当該木材の蒸発速度との関係を示すグラフである。(a)は木材の長尺方向の長さと当該木材の蒸発速度との関係を示すグラフである。(b)は木材の長尺方向の長さと当該長さに対応する当該木材の蒸発速度とを数値で表した表である。
【図4】 本発明が適用される木材乾燥装置の一実施形態を示す構成図である。
【図5】 図4に示す高周波部の回路構成の一例を示す図である。
【図6】 図4に示す木材乾燥装置を用いた木材乾燥方法における乾燥工程を自動的に実行するための制御機構の一例を示すブロック図である。
【図7】 木材乾燥方法の違いによる乾燥後の木材の木口面における異常収縮の出現率の違いを示すグラフである。(a)は、短尺ではない対向電極(4200mm)を用いて高周波乾燥のみを行った場合における木口面の異常収縮の出現率を示すグラフである。(b)は、短尺ではない対向電極(4200mm)を用いて高周波乾燥と熱気乾燥の複合乾燥を行った場合における木口面の異常収縮の出現率を示すグラフである。(c)は、短尺である対向電極(3600mm)を用いて高周波乾燥と熱気乾燥の複合乾燥を行った場合における木口面の異常収縮の出現率を示すグラフである。
【図8】 木材の含有水分の蒸発方向を説明するための図である。
【符号の説明】
1 木材乾燥装置
2 乾燥炉
2a 床面 2b 内壁面
2c 天井面 2d 側壁
20 乾燥室 21 フレーム材
22 ドアフレーム 23 ドア
23a 小孔 24 外壁板
25 内壁板 26 断熱材
27 レール 3 ファン
4 スチームヒータ 5 ボイラ
51 蒸気配管 52 圧力ポンプ
53 蒸気支管 54 排気筒
54a 水平軸 55 ダンパ
56 アクチュエータ 57 排気ファン
6 高周波部 60 高周波発振機
61 対向電極 61a,61b 対向電極
62 下部マイナス電極 63 共用マイナス電極
64 プラス電極 64a 下部プラス電極
64b 上部プラス電極 65 上部マイナス電極
7 整合回路部 7a 可変コンデンサ部
7b 可変インダクタンス部 70 ケーシング
70a コンデンサ用ケーシング
70b インダクタンス用ケーシング
70c 回路部用ケーシング 70d 架台
71 可変コンデンサ 71a 第1可変コンデンサ
71b 第2可変コンデンサ
75 可変インダクタンス 8 切換え回路部
80 パンダグラフ 83 コ字状リード線板
84 シリンダスイッチ 85 接点部材
86 プラス接点部材
86a 下部プラス接点部材 86b 上部プラス接点部材
87 下部マイナス接点部材 88 上部マイナス接点部材
89 共用マイナス接点部材 91 乾球温度計
92 湿球温度計 93 負荷状態検出部
220 台車 220a 車輪
300 制御装置 B1〜B4 木材ブロック
Q 桟材 W 木材

Claims (4)

  1. 両端に木口面を有する長尺の木材を該長尺側の側面で挟む対向電極に高周波電源からの高周波を供給することにより前記対向電極に挟まれたままの木材に対し乾燥処理を施す木材乾燥方法において、
    前記対向電極のうちの少なくとも一方の電極であって乾燥対象木材の長尺寸法に比して所定寸法だけ短い長さを有する電極を乾燥対象木材の両端側を開けて配置する配置工程と、
    前記高周波電源からの高周波を前記対向電極に供給する乾燥工程とを含むことを特徴とする木材乾燥方法
  2. 前記配置工程では、乾燥対象木材を長尺側の側面で挟むように、少なくとも一方の電極の長さ、木材の木口面からの蒸発量が全面からの総蒸発量における10%以上を占めることとなるときの木材の長尺寸法分だけ乾燥対象木材に比して短尺である前記対向電極を配置することを特徴とする請求項に記載の木材乾燥方法
  3. 前記配置工程では、乾燥対象木材を長尺側の側面で挟むように、少なくとも一方の電極の長さが20cm以上50cm以下の寸法だけ各端側で乾燥対象木材に比して短尺である前記対向電極を配置することを特徴とする請求項1に記載の木材乾燥方法。
  4. 前記配置工程では、乾燥対象木材を長尺側の側面で挟むように、少なくとも一方の電極は、両木口面部における含水率の差に応じて両端において異なる寸法だけ乾燥対象木材に比して短尺とすることを特徴とする請求項のいずれかに記載の木材乾燥方法。
JP2002370552A 2002-12-20 2002-12-20 木材乾燥方法 Expired - Fee Related JP3903007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002370552A JP3903007B2 (ja) 2002-12-20 2002-12-20 木材乾燥方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002370552A JP3903007B2 (ja) 2002-12-20 2002-12-20 木材乾燥方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004195931A JP2004195931A (ja) 2004-07-15
JP3903007B2 true JP3903007B2 (ja) 2007-04-11

Family

ID=32766439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002370552A Expired - Fee Related JP3903007B2 (ja) 2002-12-20 2002-12-20 木材乾燥方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3903007B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FI20070550L (fi) * 2006-09-04 2008-03-05 Reino Pendikainen Menetelmä ja laitteisto puun kuivaamiseksi
CN114227841A (zh) * 2021-12-30 2022-03-25 福建省顺昌县升升木业有限公司 一种木材改性方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004195931A (ja) 2004-07-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4298914B2 (ja) 製材木材の乾燥方法および該方法を実施するためのシステム
US10533799B2 (en) System and method of removing moisture from fibrous or porous materials using microwave radiation and RF energy
US2543618A (en) Apparatus for drying wood
US2567983A (en) Method of drying lumber
JP2007263409A (ja) 木材の熱処理乾燥方法及び装置
CA2804192C (en) Multiple stage even-drying wood kiln system and method
JP3903007B2 (ja) 木材乾燥方法
KR100481454B1 (ko) 건조장치
WO1996021834A1 (en) A method and an apparatus for increasing the yield of an airdrying process
WO2007130058A1 (en) Timber drying method and associated apparatus
JP3813690B2 (ja) 木質材の寸法安定化処理方法
JP3504602B2 (ja) 木材の乾燥方法および装置
JP3302952B2 (ja) 木材の乾燥方法および装置
CA1151415A (en) Methods and apparatus for conditioning plywood veneer with high frequency radio energy
JPH0861848A (ja) 木材乾燥装置
JP3576861B2 (ja) 木材乾燥装置およびその製造方法
JP5900793B2 (ja) 木材の乾燥方法、および木材用の乾燥装置
KR102155300B1 (ko) 목재 건조기 배기 이동식 응축장치
JP3517209B2 (ja) 木材の乾燥方法および装置
JP3504629B2 (ja) 木材の乾燥装置
RU2215954C1 (ru) Камера сушильная вакуумная
JPH10160349A (ja) 木材乾燥装置及び木材乾燥方法、木材乾燥用電極
JP2831593B2 (ja) 高周波乾燥装置
EP1696193A4 (de) Holzbehandlungsmethode und -vorrichtung
WO2005052478A1 (fr) Procede de traitement de bois

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060911

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060926

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100112

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140112

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees