JP3504629B2 - 木材の乾燥装置 - Google Patents

木材の乾燥装置

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JP3504629B2 JP2001116696A JP2001116696A JP3504629B2 JP 3504629 B2 JP3504629 B2 JP 3504629B2 JP 2001116696 A JP2001116696 A JP 2001116696A JP 2001116696 A JP2001116696 A JP 2001116696A JP 3504629 B2 JP3504629 B2 JP 3504629B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波を印加する
ことによる誘電加熱で木材を乾燥処理する木材の乾燥装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、木材に高周波を印加することによ
る誘電加熱で木材を乾燥する乾燥装置が知られている。
この高周波乾燥装置は、縦横に桟積みされた複数本の木
材からなるブロックを上下から電極板で挟持し、高周波
発振器からの高周波を、電極板を介して木材ブロックに
印加し、これによる誘電加熱で木材ブロックを乾燥処理
するように構成されている。かかる乾燥装置を採用する
ことにより、木材は内部から加熱されるため、乾燥炉内
に蒸気や加熱空気等の高温熱媒体を導入して木材を乾燥
処理するいわゆる熱気乾燥に比べて乾燥処理時間が大幅
に短縮化されるばかりか、材芯の有効乾燥で均一な乾燥
が行われるため現在では木材乾燥の主流になりつつあ
る。
【0003】また、かかる乾燥装置においては、電極板
は、木材ブロックの上面および下面位置に設けられる
他、上下に積層された木材の上下方向の中間位置にも介
設されるのが一般的である。このようにされるのは、木
材に対する高周波の浸透深さには限界があり、従って、
高く積まれた木材に対して上下一対の電極板のみでは電
極板から隔たった木材に対して有効に高周波が印加され
ないため、かかる不都合を解消するべく上下方向の所定
本数の木材毎に中間電極板が介設されるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上下に木材
が積層された中間位置に電極板を介設しようとすれば、
木材ブロックを形成する前の段階における木材の積層作
業の途中で行わなければならない。すなわち、木材の積
層作業中に木材の積層作業を一時中断して木材とは異質
の電極板を積層するという作業を行わなければならない
ため、積層作業の作業効率が低下するという問題点が存
在する。
【0005】また、木材の桟木を介した積層作業を合理
化するために自動桟積装置を用いて行うことが一般化し
つつあるが、木材層の中間位置に電極板を介設するよう
な場合、自動桟積装置を使用することができないという
不都合も存在する。
【0006】また、電極板の装着された木材ブロックが
乾燥炉内に装填された状態で、電極板に高周波を供給し
たりあるいはアースすることが必要になるが、そのため
に狭い乾燥装置内に入って高周波発振器からの導線ある
いはアース線の先端に設けられた接続端子を電極板に接
続しなければならず、この作業が面倒で乾燥作業の作業
性が悪くなるという問題点も存在する。
【0007】かかる問題点を解消するために、乾燥炉内
にパンダグラフ方式の接続端子を設けておき、台車に搭
載された木材ブロックを乾燥炉内に導入することによ
り、パンダグラフが電極板と当接するようにしておけ
ば、上記のような接続端子の接続作業が省略されるが、
このようにすると、木材の積層作業時に正確に位置決め
した状態で中間電極板を木材間に挟持しなければなら
ず、この作業は非常に困難である。そして、位置決めが
適正に行われない状態で木材ブロックが乾燥炉内に装填
されると、パンダグラフが電極板に当接しない状態にな
ることもあり、このような状態で高周波発振器からの高
周波をパンダグラフに供給しても、電極板に高周波が伝
わらないため、木材を誘電加熱することができなくなる
という重大な問題点が発生することになる。
【0008】さらに、パンダグラフと電極板との接触状
態が不安定であると、接触部分が高周波により発熱して
リード線が損傷するという不都合が生じることもある。
【0009】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたものであり、木材の積層作業が効率的に
行われるとともに、乾燥炉内に装填された木材ブロック
の電極板への高周波供給のための接続操作を不要にして
作業効率の向上を図ることができ、かつ、木材ブロック
に対して確実に高周波を印加することができる木材の乾
燥装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
乾燥炉内に前後方向に延びるように配設された対向する
電極板間に挟み込まれた木材に高周波電源からの高周波
を印加し、誘電加熱により乾燥を行う木材の乾燥装置で
あって、上記木材の一方の側面に隙間を介して対向配置
され一の極の電極板と上記木材の他方の側面に隙間を
介して対向配置され他の極の電極板とを備えると共に
上記一の極および他の極の電極板のいずれか一方が上記
木材の長さ寸法より短く設定されてなる対向電極板と、
木材が一の極および他の極の電極板に挟持されることに
より形成される高周波印加域を上記木材の長さ方向に相
対移動させる高周波印加域移動機構とを備えていること
を特徴とするものである。
【0011】この発明によれば、高周波印加域移動機構
の駆動で木材の高周波印加域が順次移動することにな
り、この高周波印加域の移動に伴って木材の高周波印加
域に対向した部分が誘電加熱され、木材の乾燥処理が木
材の長尺方向の全長に亘って順次実行されることにな
る。
【0012】このような部分的間欠印加を必要に応じて
所定回数繰り返すことにより木材の高周波印加域内の水
分が段階的に揮散していき、乾燥処理が進行する。ま
た、木材の高周波印加域から外れた部分は、つぎに高周
波印加域になるまでの間に、内部の高温部分の熱が低温
部分に熱移動することにより温度分布が均一になるとと
もに、隣接する高周波印加域からの熱を伝熱によって受
けることにより、急激な温度降下が抑えられる。そし
て、高周波乾燥において、熱気乾燥と併用した場合に
は、木材に対する高周波印加の休止中にも外部加熱され
ることによる乾燥が進行するため、木材に対して効率よ
く低コストで乾燥処理を施すことができる。
【0013】また、上記のような部分的間欠印加方式の
採用によって、同時に木材全体を対象として高周波を印
加する誘電加熱方式に比べて高周波発振器の出力値を小
さく抑えることが可能になり、その分設備コストの低減
化に貢献する。
【0014】請求項1記載の発明において、上記一の極
の電極板を、上記乾燥炉の幅方向の略中間位置に前後方
向に延びるように設け、上記他の極の電極板を、一の極
の電極板の表裏面に対向するように上記乾燥炉内に一対
で配置してもよい(請求項2)。こうすることによっ
て、台車に木材を桟積み状態で積層し、幅方向で互いに
離間した状態の木材の2ブロックを一の電極板が木材ブ
ロック間の隙間に嵌り込むように形成し、2ブロックの
木材が搭載された台車を乾燥炉内に導入することによ
り、各木材ブロックは、左右対称でそれぞれ一の電極板
と他の極の電極板との間(対向電極間)に各電極板とは
離間状態で挟持されることになる。
【0015】このように、一の極の電極板を1枚のみと
することにより電極コストの低減化を図った上で大量に
木材を乾燥処理するに際しての木材の積み込み作業の簡
素化および効率化が実現するとともに、1台の台車に搭
載された木材の2ブロックを対象として各ブロックに同
時に高周波を印加することができ、乾燥効率の向上に貢
献する。
【0016】また、特に木材ブロック間に介設される電
極板として陽極電極板を採用すれば、この陽極電極板の
表裏に対向させる一対の陰極電極板を乾燥炉の内壁面に
極めて接近した位置に配置することができるため、乾燥
炉内の木材乾燥用の有効容積を最大限に大きくすること
が可能になり、一度により多くの木材を乾燥し得るよう
になる。これに対し、陰極電極を木材ブロック間に介設
したときは、陽極電極を乾燥炉の内壁面側に設けなけれ
ばならず、この場合、陽極電極を内壁面から40cm〜
50cm離間させて絶縁距離を確保する必要が生じる。
【0017】請求項2記載の発明において、上記一の電
極板は、木材を長尺方向に均等に分割したときの1分割
長の幅寸法を有し、上記高周波印加域移動機構は、上記
一の電極板を、当該幅寸法の整数倍単位で木材に対して
相対移動させて所定時間停止させるようにし、上記高周
波電源から、停止している上記一の電極板に高周波を供
給するようにしてもよい(請求項3)。こうすることに
よって、いわゆる部分的高周波間欠印加方式が実現し、
同時に木材W全体に対して高周波を印加する誘電加熱方
式に比べて高周波発振器の出力値を小さく抑えることが
可能になり、その分設備コストの低減化に貢献する。
【0018】また、請求項1乃至3のいずれかに記載の
発明において、上記各電極板に多数の通風孔を穿設する
とともに、上記通風孔を介して上記乾燥炉内の空気を循
環させる送風機を配置する(請求項)ことにより、送
風機の駆動で乾燥炉内の空気が電極板の通風孔を通り、
木材に接触しながら乾燥炉内を循環通風するため、木材
ブロックを構成している各木材間の温度分布が均一にな
る。このことは、電極板に通風孔を設けることが、木材
の乾燥コストを削減して効率的な乾燥処理を施すため
の、内部過熱による高周波乾燥処理と外部加熱による熱
気乾燥処理とを併用した、いわゆる複合乾燥処理をより
効率的に行い得るようにするものであることを示してお
り、エネルギーコストの低減化を図った上で乾燥処理の
効率化が実現する。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る木材乾燥装
置の第一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図2
は、図1に示す乾燥装置の正面視の断面図である。な
お、図1において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を
前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右
方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という(この方向
表示については以下の図3、図5、図8および図9にお
いても同じ)。これらの図に示すように、乾燥装置10
は、木材WのブロックBを搭載する台車20と、この台
車20に搭載された木材ブロックBに高周波を印加する
電極構造30と、この電極構造30に高周波を供給する
高周波発振器(高周波電源)40と、木材ブロックBを
外部加熱するために用いられる蒸気発生用のボイラー5
0と、乾燥環境の空気を循環させる送風機60とが、箱
型のハウジング90に内装されることによって構成され
ている。
【0020】ハウジング90は、鉄筋コンクリート製の
平面視で矩形状の基礎盤91と、この基礎盤91の前縁
部から立設された前面壁92と、同左縁部から立設され
た左側壁93と、同右縁部から立設された右側壁94
と、同後縁部から立設された背面壁95と、これら各壁
92,93,94,95の頂部間に架設された陸屋根9
6とを備えて外観視で直方体状に形成されている。
【0021】また、かかるハウジング90内には、前面
壁92と背面壁95との間に架設された仕切壁97が設
けられ、この仕切壁97の左方に乾燥室90aが形成さ
れているとともに、同右方に機械室90bが形成されて
いる。また、乾燥室90a内の上方位置には天井壁98
が設けられ、この天井壁98と上記陸屋根96との間に
各種の器材を内装するための天井室90cが形成されて
いる。そして、乾燥室90aには電極構造30が内装さ
れているとともに、木材ブロックBの搭載された台車2
0が出入り自在に導入され得るようになっている一方、
機械室90bには高周波発振器40、ボイラー50およ
び送風機60が配設されている。
【0022】また、乾燥室90a側の前面壁92には、
一対の観音開きの開閉扉92a(図5には図示の都合上
左側の開閉扉92aのみを示している)が設けられてい
るとともに、同基礎盤91には、台車20を案内するた
めの外部から導入された一対のレール91aが敷設され
ている。また、機械室90b側の右側壁94には、作業
者が機械室90bに出入りするためのドアー94aが設
けられている。
【0023】上記台車20は、平面視で方形の基礎フレ
ーム21と、この基礎フレーム21に幅方向一対の側部
フレーム21bを介して支持された前後方向に延びる木
材支持台22と、基礎フレーム21の幅方向両側部に設
けられたレール91aに案内されて転動する複数対の車
輪24とを備えて構成されている。木材支持台22は、
絶縁材料によって形成され、1ブロックの木材ブロック
Bの幅寸法と略同一の幅寸法を有しているとともに、木
材Wの長さ寸法と略同一の前後長を有し、これによって
1つの木材ブロックBを過不足なく搭載し得るようにな
っている。
【0024】上記電極構造30は、所定寸法(1cm〜
10cm)の隙間を介して木材ブロックBを挟持する陽
極電極板31と陰極電極板32とからなっている。陽極
電極板31と陰極電極板32とで本発明に係る電極板
(対向電極)が形成されている。
【0025】各電極板31,32は、長さ寸法が乾燥室
90aの前後長より僅かに短めに設定されているととも
に、上下長が少なくとも天井壁98から台車20の上面
に到るまでの寸法に設定され、これによって台車20が
乾燥室90a内に装填された状態で木材ブロックBの各
側面が各電極板31,32によって余すところなく覆わ
れるようになっている。
【0026】そして、陽極電極板31は、本実施形態に
おいては、乾燥室90a内において上下一対の絶縁体4
9を介して仕切壁97に固定されているとともに、陰極
電極板32は、乾燥室90a内において左側壁93に固
定されている。また、高周波発振器40からのリード線
も天井壁98に設けられた絶縁体49を介して陽極電極
板31に接続されている。各電極板31,32として
は、金属製の平板に多数の通風孔31a,31bが穿設
された、いわゆるパンチングメタルが採用されている。
【0027】上記高周波発振器40は、図略の商用電源
からの電力を所定の周波数の高周波電力に変換するもの
であり、得られた高周波電力は陽極電極板31および陰
極電極板32にそれぞれ印加されるようになっている。
従って、乾燥室90a内に装填された木材ブロックBが
陽極電極板31および陰極電極板32間に挟持された状
態で高周波発振器40からの高周波が陽極電極板31お
よび陰極電極板32を介して木材ブロックBに印加され
ることにより、木材ブロックBを構成している各木材W
は内部から誘電加熱されることになる。因みに、本実施
形態においては、高周波発振器40は、総出力20〜3
0KWでかつ周波数3〜30MHzのものが採用されて
いる。
【0028】上記ボイラー50は、乾燥室90aに装填
された木材Wに対して外部加熱の熱源としてのスチーム
を供給するためのものであり、機械室90b内の一隅部
に据え付けられている。かかるボイラー50は、スチー
ム供給管51を有し、このスチーム供給管51の下流端
が乾燥室90a内に配設された放熱管52に接続されて
いるとともに、放熱管52からのドレンはドレン回収管
53を介してボイラー50に戻されるようになってい
る。
【0029】そして、上記放熱管52は、複数本が仕切
壁97と陽極電極板31との間において上下方向に等ピ
ッチで、かつ、前後方向に延びるように配設され、この
放熱管52からの放熱で乾燥室90a内が所定の温度に
なるように制御されている。本実施形態においては、ボ
イラー50は、1時間当りの水の蒸発量が200kg/
hrのものが採用されている。
【0030】上記送風機60は、乾燥室90a内の空気
を攪拌して温度分布を均一にするとともに、木材Wの表
面からの水分の蒸発を促進させるためのものであり、機
械室90b側の仕切壁97に固定された送風電動機61
と、この送風電動機61の駆動軸に一体回転可能に取り
付けられたファン62とからなっている。
【0031】上記ファン62は、仕切壁97を貫通した
送風電動機61の駆動軸の先端側であって、放熱管52
と仕切壁97との間に設けられている。本実施形態にお
いては、四台の送風機60が採用され、各ファン62が
木材ブロックBの右側面に均等に送風し得るように送風
機60の設置位置が設定されている。本実施形態におい
ては、送風機60は、1台当りの電力1.5KWのもの
が4台採用されている。
【0032】かかる送風機60は、乾燥室90a内で上
下に二台ずつが配設されている。そして、気流が木材ブ
ロックBに向かうように上部の二台を駆動する一方、木
材ブロックBからの気流を吸引するように下部の二台を
駆動することにより、上部の二台の送風電動機61の駆
動によるファン62の回転で得られた風は、図2に矢印
で示すように、複数本の放熱管52の間を通過するに際
して加熱されて熱風になる。
【0033】この熱風は、陽極電極板31の通風孔31
a、木材ブロックBにおける上下の木材W間の桟木W1
を介した隙間、陰極電極板32の通風孔32aを通過し
た後、左側壁93と左側の陰極電極板32との間に設け
られた誘導板93aに誘導されて下方に向かいつつ反転
し、下方に設けられた送風機60の吸引力により木材ブ
ロックBの下部の桟木W1間や前面壁92および背面壁
95との間の隙間を通って上部のファン62に戻る循環
流通を行うことになる。
【0034】そして、本実施形態においては、略1時間
に一度の割合で上下のファン62の回転方向がそれぞれ
逆方向に変更される。こうすることによって乾燥室90
a内を循環流通している熱風の風向きが変わり、木材W
の均一乾燥に資することになる。
【0035】かかる乾燥室90a内の空気の循環によっ
て、乾燥室90a内の温度分布が均一になるとともに、
各木材Wに対して対向電極(陽極電極板31および陰極
電極板32)からの高周波印加による内部加熱に加えて
外部加熱が施され、これら内外からの加熱処理によって
木材Wの均一な乾燥処理が実現する。
【0036】第一実施形態の乾燥装置10によれば、陽
極電極板31および陰極電極板32が木材ブロックBの
各側面に所定寸法の隙間を介して対向配置されているた
め、台車20に木材Wを桟木W1を介して桟積み状態で
積層して木材ブロックBを形成し、この木材ブロックB
の搭載された台車20を乾燥装置10内に装填すること
により、木材ブロックBを、陽極電極板31および陰極
電極板32間に離間状態で挟持させることができる。
【0037】この状態で各電極板31,32に高周波電
源からの高周波を供給することにより、各木材ブロック
Bに各電極板31,32を介して高周波が印加され、こ
れによる誘電加熱で木材Wが乾燥処理される。
【0038】そして、木材Wの積層作業時に従来のよう
な積層された木材Wの上下方向の中間位置に木材Wとは
異質の電極板を挟み込む作業を行う必要がなくなり、そ
の分木材Wの積層作業の効率化が実現するとともに、木
材ブロックBを乾燥装置10内に導入するだけで木材ブ
ロックBは陽極電極板31および陰極電極板32間に所
定の離間距離をおいて挟持された状態になる。
【0039】従って、従来のように予め木材ブロックB
に電極板が積層される場合には、狭い乾燥室90a内に
おける手作業によって高周波発振器からのリード線の先
端に設けられている接続端子を電極板につなぎ込む作業
を行わなければならず、多くの時間と労力とを要すると
いう不都合が存在するが、本発明においてはこのような
不都合の生じることがなく、作業性が大幅に改善され
る。
【0040】また、従来のパンダグラフ式の接続端子が
乾燥室90a内に採用されている場合であっても、木材
ブロックBが乾燥装置10内に装填された状態で、電極
板がパンダグラフに当接しないで高周波が電極板に印加
されなくなることがあるが、本発明においてはこのよう
な不都合が生じることはなく、常に確実に木材Wに高周
波を印加することができる。
【0041】図3は、本発明に係る木材乾燥装置の第二
実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図4は、図3
に示す乾燥装置の正面視の断面図である。この実施形態
においては、木材ブロックBが、左ブロックB1と右ブ
ロックB2とに分けてそれぞれ離間状態で台車20に搭
載され、これら各ブロックB1,B2にそれぞれ高周波
が印加されるようになっている。2ブロックの木材Wを
搭載するために、台車20は、第一実施形態のものより
広幅のものが採用されているとともに、乾燥室90aも
第一実施形態のものより広幅に形成されている。
【0042】また、左ブロックB1および右ブロックB
2に均等に高周波を印加するために、乾燥室90aの幅
方向の中央位置において、天井壁98から絶縁体49を
介して陽極電極板31が垂下されている一方、一対の陰
極電極板32が左側壁93および仕切壁97にそれぞれ
付設され、これによって台車20が乾燥室90a内に装
填された状態で、左ブロックB1と右ブロックB2との
隙間位置に陽極電極板31が各ブロックB1,B2と離
間状態で配置されるとともに、各ブロックB1,B2の
外側の側面が左右の陰極電極板32に離間状態で対向す
るようになっている。
【0043】また、各電極板31,32の長さ寸法は、
木材ブロックBの長さ寸法と略同一に設定されていると
ともに、上下寸法は、木材ブロックBの側部を確実に覆
い得る長さに設定されている。従って、木材Wの各ブロ
ックB1,B2を搭載した台車20が乾燥室90a内に
装填されることにより、図3および図4に示すように、
左ブロックB1は陽極電極板31の左面と左側の陰極電
極板32との間に離間状態で挟持されるとともに、右ブ
ロックB2は陽極電極板31の右面と右側の陰極電極板
32との間に離間状態で挟持されることになる。
【0044】また、高周波発振器40からの高周波は、
天井室90cに据え付けられた同調調整器45を介して
陽極電極板31に供給され、これによって高周波が常に
効率よく木材Wに印加されるようになっている。第二実
施形態の乾燥装置10′の上記のような電極構造30を
除くその他の構成は第一実施形態の乾燥装置10と同様
にしてある。
【0045】第二実施形態の乾燥装置10′によれば、
陽極電極板31を乾燥室90aの幅方向の略中間位置の
天井壁98から垂下する一方、この陽極電極板31の表
裏にに対向する一対の陰極電極板32を、左側壁93お
よび仕切壁97に設けたため、幅方向で互いに離間した
状態の木材Wの2ブロック(左ブロックB1および右ブ
ロックB2)を木材Wの桟積みで台車20上に形成し、
陽極電極板31が各ブロックB1,B2間の隙間に嵌り
込むようにすることにより、各ブロックB1,B2の搭
載された台車20を乾燥室90a内に導入することによ
って、各ブロックB1,B2は、左右対称でそれぞれ陽
極電極板31の表裏面と陰極電極板32との間にそれぞ
れ離間状態で挟持されることになる。
【0046】このように、陽極電極板31を1枚のみと
することにより電極コストの低減化を図った上で1台の
台車20に搭載された木材Wの2ブロックを対象として
各ブロックB1,B2に同時に高周波を印加することが
でき、乾燥効率の向上に貢献することができる。
【0047】図5は、本発明に係る木材乾燥装置の第三
実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図6は、図5
に示す乾燥装置の正面視の断面図、図7は、図5に示す
乾燥装置の平面視の断面図である。第三実施形態の乾燥
装置10″は、木材WのブロックBを搭載する台車20
と、この台車20に搭載された木材ブロックBに高周波
を印加する電極構造30と、この電極構造30に高周波
を供給する高周波発振器(高周波電源)40と、木材ブ
ロックBを外部加熱するために用いられる蒸気発生用の
ボイラー50と、乾燥環境の空気を循環させる送風機6
0とが、箱型のハウジング90に内装されることによっ
て基本構成されている点については先の図1〜図4に示
す第一および第二実施形態のものと同様である。
【0048】そして、第三実施形態の乾燥装置10″
は、第二実施形態における左右の木材ブロックB間に介
設される固定式の陽極電極板31に代えて、前後方向に
移動可能なものが採用され、これによって木材ブロック
Bに対する高周波印加域が木材Wの長手方向に向けて移
動し得るように構成されている(すなわち移動式の陽極
電極板31が採用されている)点が先の実施形態のもの
と相違している。
【0049】従って、第三実施形態の乾燥装置10″
は、当該実施形態独特の構成に対応するために、台車2
0の構造が先の実施形態のものと相違しているととも
に、陽極電極板31を移動させるための電極板移動機構
33が第二実施形態の乾燥装置10′に追加されてい
る。また、陽極電極板31の前後長が木材Wの長さ寸法
より相当短く寸法設定されている。
【0050】まず、第三実施形態に適した台車20の構
造について説明する。図8は、陽極電極板31が移動式
である第三実施形態の乾燥装置10″に適した台車20
の構造を示す一部切欠き斜視図である。この図に示すよ
うに、台車20は、平面視で方形の基礎フレーム21
と、この基礎フレーム21に支持された前後方向に延び
る幅方向一対の木材支持台22と、これら一対の木材支
持台22間に形成された隙間溝22aに配設される複数
の支持ローラ23と、基礎フレーム21の幅方向両側部
に設けられた前後方向三対の車輪24とを備えて構成さ
れている。
【0051】各木材支持台22は、それぞれ木材ブロッ
クBの1ブロックを搭載するためのものであり、本実施
形態においては、左右の木材支持台22にそれぞれ1ブ
ロックの木材Wを載置することにより、台車20当り2
ブロックの木材Wを搭載し得るようになっている。かか
る木材支持台22は、絶縁材料によって板状に形成さ
れ、基礎フレーム21の幅方向の略中央位置で前後方向
に延びるように配設された中央部フレーム21aと、基
礎フレーム21の適所に立設された複数の側部フレーム
21bとによって水平面が形成されるように支持されて
いる。
【0052】また、基礎フレーム21には、幅方向の側
部位置で前後方向に架設された側部フレーム21cが設
けられ、上記車輪24は、この側部フレーム21cと基
礎フレーム21間に架設された車軸24a回りに回転自
在に軸支されている。また、一対の木材支持台22の対
向縁部には、僅かな寸法で上方に突出した前後方向に延
びる突条22bが設けられ、かかる突条22bの存在で
載置される木材ブロックBの基礎フレーム21上での位
置決めを適正に行い得るようになっている。
【0053】上記支持ローラ23は、後述する陽極電極
板31の下端部を支持するものであり、絶縁材料によっ
て形成され、中央部フレーム21a間に架設されたロー
ラ軸23a回りに回転自在に軸支されている。かかる支
持ローラ23は、その外周面に凹設された環状溝23b
を有しており、この環状溝に陽極電極板31が嵌り込む
ことによって陽極電極の横振れが防止されるようになっ
ている。
【0054】そして、系外の所定の位置で各木材支持台
22上に木材ブロックBをそれぞれ搭載することによ
り、一対の木材ブロックB間には陽極電極板31を差し
通し得る隙間が形成された状態になる。
【0055】木材ブロックBの木材支持台22への搭載
については、まず所定本数の桟木W1を幅方向に向けて
前後方向に所定間隔で木材支持台22上に載置し、これ
らの桟木W1(図5)上に木材Wを前後方向に向けて幅
方向に並置して木材Wの第一列目を形成する。かかる桟
木W1を介した木材Wの積み込み操作を第二列目以降に
ついても継続することにより、図5に示すように、各列
間で桟木W1による通風孔としての隙間が形成された状
態で木材ブロックBが形成される。かかる木材ブロック
Bを搭載した台車20を乾燥室90a内に押し入れるこ
とにより、図5に示すように、木材ブロックBが電極構
造30からの高周波を印加され得る状態になる。
【0056】図9は、電極構造30の一実施形態を示す
斜視図である。この図に示すように、電極構造30は、
一対の木材ブロックB間の隙間に差し入れられる陽極電
極板31と、この陽極電極板31に対して木材ブロック
Bを介して対向する幅方向一対の陰極電極板32と、上
記陽極電極板31を前後動させる電極板移動機構(高周
波印加域移動機構)33(図5)とを備えて構成されて
いる。1枚の陽極電極板31と2枚の陰極電極板32と
で二つの対向電極が形成された状態になっている。
【0057】上記陽極電極板31は、先の実施形態のも
のと同様に、金属製の平板に多数の通風孔31aが穿設
された、いわゆるパンチングメタルが採用され、前後方
向の寸法が木材Wの長さ寸法の1/4に設定されている
とともに、上下寸法はその下端縁部が上記支持ローラ2
3の環状溝23bに嵌まり込み得るように縦長に設定さ
れている。かかる陽極電極板31は、平板状の吊持板3
1bの幅方向の中央部から吊持構造31cを介して一対
の木材ブロックB間の隙間に嵌まり込み得るように垂下
されている。
【0058】上記吊持構造31cは、吊持板31bの裏
面から下方に向けて突設された前後方向に延びる幅方向
一対の挟持部材31dと、これら一対の挟持部材31d
に貫通されて一方側に螺着された係止ボルト31eとを
備えて構成されている。従って、陽極電極板31の上縁
部を一対の挟持部材31d間に挟持させた状態で係止ボ
ルト31eを締結することにより、陽極電極板31が挟
持部材31dに吊持された状態になる。また、挟持部材
31d間の外寸法は、上記長尺開口98aの幅寸法より
若干短めに設定さている。
【0059】上記吊持板31bは、平面視で矩形状を呈
し、前後方向の長さが陽極電極板31の前後長と同一に
寸法設定されているとともに、幅方向の長さが上記一対
のガイド突条98b間の内寸法より若干短めに設定され
ている。そして、このような吊持板31bの前後方向に
延びる各縁部には、絶縁材料からなる車輪31fがそれ
ぞれ2輪ずつ幅方向に延びる車輪軸回りに回転自在に設
けられている。各車輪31fは、吊持板31bを上部か
らガイド突条98b間に装着した状態でその外面側が上
記ガイド突条98bの内面側に摺接するように車輪幅が
寸法設定されている。
【0060】従って、吊持板31bを上側からガイド突
条98b間に装着することにより、挟持部材31dが長
尺開口98aに嵌り込んだ状態で、各車輪31fの周面
が案内通路98cの上面に当接し、これによって吊持板
31bは案内通路98c上を前後方向に自在に移動し得
るようになっている。
【0061】上記陰極電極板32は、一対が乾燥室90
a内で陽極電極板31に対向配置されるものであり、陽
極電極板31と同様に多数の通風孔32aの穿設された
パンチングメタルが採用されている。かかる一対の陰極
電極板32は、それぞれの上下の縁部が乾燥室90a内
において互いに反対方向に折り返された状態で、左方の
ものが左側壁93に固定されているとともに、右側のも
のが仕切壁97に固定されている。かかる陰極電極板3
2は、乾燥室90a内に装着された状態で、木材ブロッ
クBの側面と僅かな隙間を介して対向するように寸法設
定されている。
【0062】上記電極板移動機構33(図5)は、天井
壁98の左側部の前後方向中央位置に据え付けられた駆
動モータ33aと、この駆動モータ33aの駆動軸に同
心で固定された一対の駆動プーリ33bと、天井壁98
の左側部の前後位置および陸屋根96の上記長尺開口9
8a前後位置に対応した部分から垂下した垂直軸回りに
回転自在に軸支された四つの従動プーリ33cと、これ
ら駆動プーリ33bおよび従動プーリ33cに張設され
たロープ33dとからなっている。
【0063】上記ロープ33dは二本が採用され、一本
は、一方の駆動プーリ33bに反時計方向に巻き付けら
れ、かつ、前方の二つの従動プーリ33cに張設された
状態で先端が吊持板31bの前縁部に係着されていると
ともに、他の一本は、他方の駆動プーリ33bに時計方
向に巻き付けられ、かつ、後方の二つの従動プーリ33
cに張設された状態で先端が吊持板31bの後縁部に係
着されている。
【0064】従って、駆動モータ33aの駆動で各駆動
プーリ33bを時計方向に回転させることにより吊持板
31bが一対のロープ33dを介して前進し、これによ
って陽極電極板31が一対の木材ブロックB間を前進す
る一方、同各駆動プーリ33bを反時計方向に回動させ
ることにより吊持板31bが一対のロープ33dを介し
て後退し、これによって陽極電極板31が一対の木材ブ
ロックB間を後退するようになっている。
【0065】そして、本実施形態においては、乾燥室9
0a内に木材ブロックBが装填された状態で、陽極電極
板31が所定時間毎に位置を変えて木材ブロックBの長
手方向の一部分を順次誘電加熱する、いわゆる部分的間
欠印加方式が採用される。
【0066】図10は、部分的間欠印加方式を説明する
ための説明図であり、(イ)は、木材ブロックBの第一
区分が誘電加熱される状態、(ロ)は、木材ブロックB
の第二区分が誘電加熱される状態、(ハ)は、木材ブロ
ックBの第三区分が誘電加熱される状態、(ニ)は、木
材ブロックBの第四区分が誘電加熱される状態をそれぞ
れ示している。図11は、木材ブロックBの各区分にお
ける加熱温度の経時変化の一例を示すグラフである。な
お、図11には第2サイクルまでの温度変化を示してい
る。
【0067】まず、木材ブロックBは、その長手方向に
均等に第一〜第四区分I〜IVに分けられている。ま
た、陽極電極板31の前後寸法(図10の紙面の左右方
向の寸法)は、各区分の前後寸法と同一に設定されてい
る。そして、本実施形態においては、乾燥装置10の乾
燥室90a内に装填された木材ブロックBは、ボイラー
50からのスチームにより加熱された放熱管52からの
放熱によって所定の温度(図11に示す例では80℃)
にまで事前加熱された後に対向電極(陽極電極板31お
よび陰極電極板32)からの高周波の印加を受けて誘電
加熱されるようにしている。
【0068】そして、木材ブロックBに対する最初の誘
電加熱は、図10の(イ)に示すように、陽極電極板3
1を第一区分(I)に位置させた状態で行われる。
【0069】所定時間(第1単位サイクル時間(t
1))が経過後、陽極電極板31は、駆動モータ33a
の駆動による吊持板31bの後方への移動によって、図
10の(ロ)に示すように、第二区分(II)に移動す
る。陽極電極板31は、再度ここに第1単位サイクル時
間(t1)の間留まり、これによって木材ブロックBの
第二区分(II)に対応した位置が誘電加熱される。
【0070】ついで、陽極電極板31は、第二区分(I
I)において第1単位サイクル時間の間誘電加熱に供さ
れた後、駆動モータ33aの駆動で第三区分(III)
に移動し、今度はここで第1単位サイクル時間(t1)
の間木材ブロックBの第三区分(III)に対応した部
分を誘電加熱する。
【0071】第三区分(III)における誘電加熱が完
了した後に陽極電極板31は、第四区分(IV)に移さ
れ、ここで第1単位サイクル時間(t1)の間誘電加熱
に供されることにより、木材ブロックBの第四区分(I
V)に対応した部分が誘電加熱される。第四区分(I
V)における誘電加熱が完了することによって木材ブロ
ックBに対する部分的高周波間欠印加の1サイクル(第
1サイクル(T1))が終了することになる。第1サイ
クル(T1)に要する時間は、第1単位サイクル時間
(t1)の4倍(t1×4)である。
【0072】そして、第1サイクル(T1)の高周波印
加が終了すると、陽極電極板31は、駆動モータ33a
の駆動で元の第一区分(I)に引き戻され、今度は上記
第1単位サイクル時間(t1)より若干短い第2単位サ
イクル時間(t2)で木材ブロックBの第一区分(I)
〜第四区分(IV)が順次誘電加熱されることにより第
2サイクル(T2)の誘電加熱が終了する。このような
誘電加熱のサイクルが第nサイクル(Tn)まで繰り返
されることにより、木材ブロックBに対する誘電加熱が
完了する。nの値については、乾燥装置10の状況やど
の程度の乾燥処理を施すかによって異なってくるが、通
常、n=20〜50に設定される。
【0073】本実施形態では、このような部分的間欠印
加方式において木材Wの内部温度が100℃にまで到達
する時間によって各単位サイクル時間(ti)が設定さ
れている。具体的には、例えば図11に示すように、第
1サイクル(T1)における木材Wの各区分(I)〜
(IV)の初期温度が例えば80℃であったとすると、
第1単位サイクル時間(t1)は、木材Wの内部温度が
80℃から100℃にまで昇温される時間として設定さ
れている。
【0074】ところで、木材Wの各区分(I)〜(I
V)が100℃に到達すると、つぎに高周波が印加され
るまでは、(3×t1)時間のインターバルが存在す
る。従って、その間に木材Wの各区分(I)〜(IV)
は冷却されるが、乾燥室90a内の環境温度が80℃で
あることから、(3×t1)時間程度の経過では元の8
0℃には復帰することはない。
【0075】従って、各区分(I)〜(IV)の第2サ
イクル(T2)における最初の温度は例えば82℃にな
っている。そうすると、第2サイクル(T2)における
初期温度が第1サイクル(T1)のときの初期温度より
高くなっているため、この状態で木材Wの各区分(I)
〜(IV)が高周波の印加を受けると、100℃に到達
する時間は先の第1単位サイクル時間(t1)より短く
なっている。この短くなった時間が第2単位サイクル時
間(t2)である。すなわち、サイクルが進むに従って
単位サイクル時間は順次短くなっていくのである。
【0076】そして、この順次短くなっていく単位サイ
クル時間は、過去の操業実績を解析することにより得ら
れた解析結果に基いて予め設定されている。上記陽極電
極板31は、この予め設定されている単位サイクル時間
に基いて順次移動するように構成されているため、木材
Wの各区分(I)〜(IV)に対応した部分は、他の部
分に比べて過加熱されたり、逆に加熱不足になったりす
ることなく均等に加熱処理が施されていくのである。
【0077】図12は、高周波が印加されてから乾燥が
完了するまでの木材W温度および含水率の経時変化の一
例を示すグラフである。なお、このグラフにおいては、
木材Wの温度については第一区分(I)のものを代表で
示している。また、木材Wは、乾燥室90aに装填され
た直後は含水率が略80%であったが、含水率が略50
%に低下するまでは、ボイラー50からのスチームによ
る放熱管52を介した外部加熱で乾燥され、その後に木
材Wに高周波を印加している。そして、図12のグラフ
は、高周波の印加が行われてからのものである。なお、
事前に行う熱気乾燥の後は、高周波印加のみによる乾燥
処理でもよいし、高周波印加と熱気乾燥とを併用した複
合乾燥処理であってもよい。
【0078】図12のグラフに示すように、第1サイク
ル(T1)において木材Wの第一区分(I)に高周波が
印加されることにより、略2.5時間で100℃に到達
している。そして、7.5時間のアイドルタイムの後に
木材Wの温度は82℃まで低下している。第2サイクル
(T2)においては、木材Wの第一区分(I)の温度は
略1.7時間で100℃に到達し、略5時間のアイドル
タイムの後に第3サイクル(T3)の高周波印加が行わ
れる。このときの印加時間はさらに短くなっているとと
もに、アイドルタイム後の温度はさらに高くなってい
く。一方、木材Wの含水率は、時間の経過に伴って指数
関数的に漸減していく。
【0079】そして、このような木材Wの第一区分
(I)に対する間欠的高周波印加によって含水率が略1
0%にまで低下した時点(図12に示す例では高周波の
印加開始から77時間(略3日)が経過した時点)に第
一区分(I)の乾燥処理を終わらせている。この例で
は、サイクル数、すなわち第nサイクル(Tn)のnの
値は22(n=22)となっている。
【0080】なお、図12においては、木材Wの内の第
一区分(I)に対応した部分についてのみ示している
が、第二区分(II)〜第四区分(IV)についても、
陽極電極板31の移動により各サイクル(Ti)におい
て順番に単位サイクル時間(ti)の高周波印加を受け
るのであるから、各サイクル(Ti)において単位サイ
クル時間(ti)ずつずれ込んだ状態で図12に示す温
度推移と同様の経時変化を示すことになる。従って、第
二区分(II)〜第四区分(IV)の乾燥完了は、第n
単位サイクル時間(tn)ずつずれ込んだ時点になる。
【0081】第三実施形態の乾燥装置10によれば、一
対の木材ブロックBを搭載した台車20を乾燥装置10
の乾燥室90a内に導入して開閉扉92aを閉止するこ
とにより、台車20上の各木材ブロックBは、それらの
間に嵌り込んだ陽極電極板31と乾燥室90a内の幅方
向両側部にそれぞれ設けられた陰極電極板32との間に
若干の隙間を介して挟持された状態になる。
【0082】この状態で、ボイラー50で発生したスチ
ームを放熱管52に供給するとともに、送風機60を駆
動することにより、ファン62からの送風は、加熱され
た放熱管52との熱交換によって熱風になる。この熱風
は、右側の陰極電極板32の通風孔32a、右側の木材
ブロックBにおける桟木W1を介した上下の木材W間の
隙間、陽極電極板31の通風孔31a、左側の木材ブロ
ックBにおける桟木W1を介した上下の木材W間の隙間
および左側の陰極電極板32の通風孔32aを通って流
通し、左側壁93の誘導板93aに当って反転して木材
ブロックBの外周部を通ってファン62に戻され、以後
上記コースを循環流通する。この熱風の循環流通によっ
て木材Wは外部加熱される。なお、前述したように、熱
風の循環流通の方向は、略1時間に一度程度の割合で逆
転させられる。
【0083】そして、かかる熱風循環環境において、高
周波発振器40からの高周波電力が対向電極(陽極電極
板31および陰極電極板32)に印加される。この印加
に際しては、先に図10〜図12に基いて説明したよう
に、陽極電極板31を第一区分(I)〜第四区分(I
V)に向けて所定の時間間隔で移動させる、いわゆる部
分的高周波間欠印加方式が採用されるため、同時に木材
W全体に対して高周波を印加する誘電加熱方式に比べて
高周波発振器の出力値を小さく抑えることが可能にな
り、その分設備コストの低減化に貢献することができ
る。
【0084】また、第一区分(I)〜第四区分(IV)
に対する高周波印加が順番に間欠的に行われ、この間欠
印加が繰り返えされることにより、現に高周波が印加さ
れている区分、すなわち高周波印加域内の水分が段階的
に揮散していき、乾燥処理が進行する。そして、木材W
の高周波印加域から外れた部分は、つぎに高周波印加域
になるまでの間に、内部の高温部分の熱が低温部分に熱
移動することにより温度分布が均一になるとともに、隣
接する高周波印加域からの熱を伝熱によって受けること
により、急激な温度降下を抑えることができる。
【0085】図13は、本発明に係る木材Wの乾燥装置
の第四実施形態を示す側面視の断面図である。この実施
形態の乾燥装置10aは、ハウジング90として前後方
向に長尺のものが採用されている。かかるハウジング9
0は、内部が前後方向で三室に仕切られ、最前方位置に
蒸煮・蒸気乾燥室室90dが形成され、最後方位置に冷
却室90eが形成されているとともに、これら冷却室9
0eおよび蒸煮・蒸気乾燥室室90d間に乾燥室90a
が設けられている。
【0086】かかるハウジング90の前面壁92には観
音開きの開閉扉92aが設けられているとともに、同背
面壁95にも同様の開閉扉95aが設けられている。ま
た、蒸煮・蒸気乾燥室室90dと乾燥室90aとの間に
は、幅方向(図13の紙面に直交する方向)にスライド
する上流側仕切りドア99aが設けられているととも
に、乾燥室90aと冷却室90eとの間にも幅方向にス
ライドする下流側仕切りドア99bが設けられ、これら
のドア99a,99bを閉止することにより、乾燥室9
0a内が略密封状態になるようになされている。
【0087】また、レール91aは、蒸煮・蒸気乾燥室
室90d、乾燥室90aおよび冷却室90eを通して基
礎盤91上に敷設され、これによって台車20は各室を
縦貫して移動し得るようになっている。台車20は、第
三実施形態と同様のもので、かつ、自走式のものが採用
されている。従って、台車20には幅方向に若干の隙間
を介して一対の木材ブロックBが搭載されるとともに、
乾燥装置10a内での移動は、外部からのリモートコン
トロールで行い得るようになっている。
【0088】上記蒸煮・蒸気乾燥室室90dは、乾燥室
90aに導入される前の木材ブロックBに対して蒸煮す
ることによる事前乾燥処理を施すためのものであり、冷
却室90eは、乾燥室90a内での高周波印加による乾
燥処理が完了した後の木材ブロックBに対して冷却処理
を施すためのものである。蒸煮・蒸気乾燥室室90dに
は、図略のボイラーからのスチームが供給されるように
なされているとともに、複数の通風孔98dの穿設され
た天井壁98と陸屋根96との間の空間に送風機60が
設けられ、この送風機60の駆動によって蒸煮・蒸気乾
燥室室90d内のスチームを通風孔98dを介して循環
させ、これによって木材ブロックBに対する均一な蒸煮
・蒸気乾燥処理を行い得るようにしている。
【0089】上記冷却室90eは、乾燥室90aにおい
て高周波印加による乾燥処理が完了した木材ブロックB
に対して冷却処理を施すためのものであり、この冷却室
90eの天井壁98にも通風孔98dが穿設されている
とともに、この天井壁98と陸屋根96との間の空間に
送風機60が設けられ、この送風機60の駆動により図
略の空気取入口から外部の空気を通風孔98dを介して
冷却室90e内に供給し、この空気との熱交換によって
木材ブロックBを冷却するようになっている。熱交換後
の空気は図略の空気排出孔から外部に排出される。
【0090】そして、本実施形態においては、乾燥室9
0aは、木材ブロックBの長さ寸法の2倍に陽極電極板
31の前後寸法(図13の左右方向の寸法)を加えた長
さよりさらに若干長めに寸法設定されているとともに、
陽極電極板31は、その上縁部が乾燥室90aの前後方
向の中間位置の天井壁98に固定された状態で垂下され
ている。これに対し陰極電極板32は、冷却室90eの
幅方向の両側壁(左側壁93および図13では図略の右
側壁94)に沿って乾燥室90aの略全長に亘るように
設けられている。これらの対向電極(陽極電極板31お
よび陰極電極板32)は、いずれも第三実施形態と同様
のパンチングメタルによって形成されている。
【0091】また、陰極電極板32と左側壁93との間
には複数台の送風機60が設けられている(図13に示
す例では10台が設けられている)とともに、第三実施
形態と同様の図13では図略の図5に示すようなボイラ
ー50および放熱管52が設けられ、これらの送風機6
0の駆動による送風で放熱管52との熱交換で得られた
熱風を乾燥室90a内で循環させ、これによって乾燥室
90a内を所定の温度環境に維持するようになってい
る。
【0092】そして、本実施形態においては、木材ブロ
ックBに対する高周波の印加は、陽極電極板31に対し
て台車20を移動されることによって行うようになって
いる。具体的には、最初、乾燥室90aの上流端(図1
3の左側)に位置させた台車20を下流側に向けて緩や
かに移動させていく。
【0093】そうすると、木材ブロックBの下流端がま
ず陽極電極板31に対向し、この木材ブロックBの対向
面積は台車20の進行に伴って漸増し、木材ブロックB
の下流端が陽極電極板31の図13における右端部に到
達した時点で最大になり、陽極電極板31の全面が木材
ブロックBに対向した状態になる。この陽極電極板31
の全面対向状態は、木材ブロックBの上流端が陽極電極
板31の図13における左端部に到達するまで継続され
る。その後、台車20がさらに進行することによって木
材ブロックBの陽極電極板31に対する対向面積は漸減
していき、木材ブロックBの上流端が陽極電極板31の
図13における右端部に到達した時点で対向面積は
「0」になる。すなわち、木材Wの高周波印加域が台車
20の移動に伴って順次移動することになる。
【0094】そして、木材ブロックBの内のいずれかの
木材Wにおける任意の一点に注目すれば、台車20を一
定の速度で移動させることにより、その一点は、陽極電
極板31と対応している時間、すなわち陽極電極板31
の前後長(図13における左右方向の長さ)を台車20
の移動速度で除した時間だけ陽極電極板31からの高周
波を印加されることになり、木材ブロックBが陽極電極
板31と対向している全時間から上記任意の一点の高周
波印加時間を差し引いた残りの時間は高周波が印加され
ていない時間になる。
【0095】つまり、木材ブロックBの陽極電極板31
に対する1パスが、第三実施形態におけるサイクル(T
i)に相当するのである。従って、乾燥室90a内にお
いて、上流端から下流端まで緩やかに往動させるととも
に、下流端から上流端に向けて速やかに復動させる往復
動作を台車20に行わせ、しかも、往動速度をサイクル
(Ti)の増加に従って漸増させることによって、木材
Wに対して図12に示すのと同様の部分的高周波間欠印
加が行われることになる。
【0096】第四実施形態の乾燥装置10aによれば、
乾燥室90a内で陽極電極板31を一定の位置に固定し
ているため、電極板移動機構33を設ける必要がなくな
り、その分乾燥装置10の構造の簡素化を図ることが可
能になる。
【0097】また、乾燥室90aの上流側に蒸煮・蒸気
乾燥室室90dを設けたため、乾燥室90aに導入する
前の木材ブロックBに蒸煮・蒸気乾燥処理を施して予め
事前乾燥処理しておくことが可能になる。従って、乾燥
室90aに導入された木材Wは、すでにある程度の乾燥
が進行しているため、直ちに高周波印加を行い得る状態
になっており、乾燥室90a内で事前乾燥を行う場合に
比較して乾燥時間の短縮化に貢献する。
【0098】また、乾燥室90aの下流側に冷却室90
eを設けたため、乾燥処理の完了した木材ブロックB
は、この冷却室90eにおいて降温速度をコントロール
しながら常温にまで降温させることが可能になり、これ
によって自然放冷による急激な冷却で木材Wがひび割れ
るのを防止するようにしている。
【0099】なお、第四実施形態の乾燥装置10aにお
いて各室(蒸煮・蒸気乾燥室室90d、乾燥室90aお
よび冷却室90e)を区切ったのは、乾燥処理のゾーン
分けを行い、各ゾーン毎に温度および湿度を管理するこ
とにで熱のロスを可能な限り少なくし、これによって省
エネルギーを図るためである。
【0100】図14は、本発明に係る木材Wの乾燥装置
の第五実施形態を示す側面視の断面図である。この実施
形態においては、基本的に第三実施形態のハウジング9
0が採用され、乾燥装置10bが台車20、電極構造3
0a、陰極電極板32、高周波発振器40、ボイラー5
0および送風機60を備えて構成されている点は第三実
施形態の乾燥装置10と同様であるが、電極構造30a
の構成要素である陽極電極板31が固定式であることが
先の実施形態のものと相違している。
【0101】すなわち、陽極電極板31は、前後寸法
(図14における左右方向の長さ寸法)が木材ブロック
Bの長さ寸法を整数で除した値より10〜20cm短め
になるように設定された複数枚の単位陽極電極板310
が乾燥室90a内で前後方向に並設されることによって
形成されている。なお、陽極電極板31が上記除算値よ
り10〜20cm短めに寸法設定されるのは、隣設され
た陽極電極板31間にはこの程度の絶縁距離が必要にな
るためである。
【0102】各単位陽極電極板310は、乾燥室90a
内の幅方向(図13の紙面に直交する方向)の中央位置
におけるハウジング90の天井壁98から下方に向かっ
て垂下されている。因みに、本実施形態においては、単
位陽極電極板310は、4枚が採用されている。
【0103】従って、台車20を乾燥室90a内に引き
入れてその略中央位置に停止させることにより、各単位
陽極電極板310は、幅方向一対の木材ブロックB間の
隙間に嵌り込んだ状態で過不足なく各木材ブロックBの
側面と対向するようになっている。従って、各単位陽極
電極板310は、前方側のものから木材ブロックBの第
一区分(I)、第二区分(II)、第三区分(III)
および第四区分(IV)にそれぞれ対向した状態になっ
ている。
【0104】また、この実施形態においては、高周波発
振器40と陽極電極板31との間に切換器(高周波供給
切換手段)41が介設され、この切換器41の切り換え
操作によって高周波発振器40からの高周波電力が、所
定時間毎に第一区分(I)の単位陽極電極板310から
第四区分(IV)の単位陽極電極板310に向けて順番
に切り換え供給されるようにしている。なお、図略の制
御装置から切換器41に向けて所定のプログラムを実行
することにより得られる切り換えのための制御信号が出
力されるようになっており、これによって高周波が印加
される単位陽極電極板310が自動的に切り換わる。
【0105】第五実施形態の乾燥装置10bによれば、
木材ブロックBの高周波印加域を電気的に切り換えるよ
うにようにしているため、機械的に高周波印加域を切り
換えるための電極板移動機構33を設ける必要がなくな
り、その分設備コストの軽減化に寄与することができ
る。
【0106】図15は、本発明に係る木材Wの乾燥装置
の第六実施形態を示す側面視の断面図である。この実施
形態の乾燥装置10cは、ハウジング90内に順番に木
材ブロックBの搭載された台車20を導入していき各木
材ブロックBに対して連続的に乾燥処理を施すためのも
のであり、そのためにハウジング90は長尺のものが採
用されている。また、台車20は、自走式のものが採用
されている。
【0107】図15に示すように、乾燥装置10cは、
長尺のハウジング90内に、上流側(図15の左側)か
ら蒸煮・蒸気乾燥室室90d、上流側緩衝室90f、乾
燥室90a、下流側緩衝室90gおよび冷却室90eが
順次直列に接続されることによって形成されている。か
かるハウジング90の上流端(図15の左側端)には、
観音開きの開閉扉92aが設けられているとともに、下
流端にも同様の開閉扉95aが設けられ、これらの開閉
扉92a,95aの開閉操作で台車20を乾燥装置10
c内に入出させ得るようになっている。
【0108】上記蒸煮・蒸気乾燥室室90dは、先の第
四実施形態のものと同様の機能を果すものであり、乾燥
室90aに導入される前の木材ブロックBに対して蒸煮
・蒸気乾燥処理を施すためのものであり、ボイラー50
からのスチームが供給される放熱管52との熱交換で所
定の温度になるように温度制御されている。かかる熱交
換を効率的に行うために、複数の通風孔98dの穿設さ
れた天井壁98と陸屋根96との間の空間に送風機60
が設けられ、この送風機60の駆動による通風孔98d
を介した蒸煮・蒸気乾燥室室90d内の空気の循環によ
ってスチームを通風孔98dを介して循環させ、これに
よって木材ブロックBに対する均一な蒸煮・蒸気乾燥処
理を行い得るようにしている。
【0109】また、ボイラー50からは、放熱管52に
スチームを供給するスチーム供給管51とは別に第二ス
チーム供給管54が設けられ、この第二スチーム供給管
54の先端からスチームそのものを蒸煮・蒸気乾燥室室
90d内に供給し、これによって蒸煮・蒸気乾燥室室9
0d内の湿度を制御し得るようになっている。
【0110】また、蒸煮・蒸気乾燥室室90d内の適所
には乾球温度計71および湿球温度計72が設けられて
いる。これら両温度計71,72の検出信号は、図略の
制御装置に入力され、これらの検出信号に基く制御信号
が制御装置からボイラー50へ出力されることによる供
給スチーム量の調節で下流側緩衝室90g内は常に所定
の温度および湿度が維持されるようになっている。
【0111】上記冷却室90eは、乾燥室90a内での
高周波印加による乾燥処理が完了した後の木材ブロック
Bに対して冷却処理を施すためのものである。この冷却
室90eの天井壁98にも通風孔98dが穿設されてい
るとともに、この天井壁98と陸屋根96との間の空間
に送風機60が設けられ、この送風機60の駆動により
図略の空気取入口から外部の空気を通風孔98dを介し
て冷却室90e内に供給するようになっている。この空
気は、木材ブロックBとの熱交換で木材ブロックBを冷
却した後、図略の空気排出孔から外部に排出される。
【0112】上記上流側緩衝室90fは、台車20が蒸
煮・蒸気乾燥室室90dから乾燥室90aに向けて移動
するに際し、蒸煮・蒸気乾燥室室90d内の雰囲気と、
乾燥室90a内の雰囲気とが可能な限り相手側に対して
影響を与えないようにするためのものである。この目的
を達成するために、蒸煮・蒸気乾燥室室90dと上流側
緩衝室90fとの間には上流側第一仕切りドア99cが
設けられているとともに、上流側緩衝室90fと乾燥室
90aとの間には上流側第二仕切りドア99dが設けら
れている。
【0113】そして、台車20が乾燥室90aに向けて
移動するに際しては、上流側第二仕切りドア99dが閉
止された状態でまず上流側第一仕切りドア99cが開放
され、この状態で台車20が上流側緩衝室90fに導入
された後に上流側第一仕切りドア99cが閉止され、そ
の後に上流側第二仕切りドア99dが開放されて台車2
0が乾燥室90a内に導入されるようになされている。
かかる上流側第一〜第二仕切りドア99c,99dの開
閉操作によって、蒸煮・蒸気乾燥室室90d内の温度お
よび湿度が乾燥室90a内の温度および湿度に可能な限
り影響を与えないようにしている。
【0114】上記下流側緩衝室90gも、上流側緩衝室
90fと同様の目的で設けられたものであり、乾燥室9
0aと下流側緩衝室90gとの間には下流側第一仕切り
ドア99eが設けられているとともに、下流側緩衝室9
0gと冷却室90eとの間には下流側第二仕切りドア9
9fが設けられている。
【0115】そして、台車20が乾燥室90aから冷却
室90eに向けて移動するに際しては、下流側第二仕切
りドア99fが閉止された状態でまず上流側第一仕切り
ドア99cが開放され、この状態で台車20が下流側緩
衝室90gに導入された後に下流側第一仕切りドア99
eが閉止され、その後に下流側第二仕切りドア99fが
開放されて台車20が冷却室90e内に導入されるよう
になされている。かかる下流側第一〜第二仕切りドア9
9e,99fの開閉操作によって、乾燥室90aおよび
冷却室90e内の温度および湿度条件が相手側の温度お
よび湿度条件に可能な限り影響を与えないようにしてい
る。
【0116】上記冷却室90eは、本実施形態において
は前後方向に長尺に形成され、台車20が所定の速度で
乾燥室90a内を上流側から下流側に向けて移動するこ
とにより、台車20に搭載された木材ブロックBは、対
向電極(陽極電極板31および陰極電極板32)からの
高周波が印加され、これによる誘電加熱で乾燥処理が施
されるようになっている。
【0117】かかる1パスでの乾燥処理を可能にするた
めに、乾燥室90a内にはその天井壁98から複数の陽
極電極板(本実施形態においては、第一陽極電極板31
x、第二陽極電極板31yおよび第三陽極電極板31z
の3枚)が天板から垂下された状態で上流側から下流側
に向けて直列で配設されている。各陽極板31x,31
y,31zは、金属板が複数の窓が直列で形成されるよ
うにプレス処理で打ち抜いて形成されており、直列に並
ぶ打ち抜かれなかった部分で本発明の高周波印加領域部
が形成されているとともに、打ち抜かれた部分で本発明
の高周波休止領域部が形成されている。
【0118】本実施形態においては、図12に示す高周
波印加のサイクル数に合わせるために、単位陽極電極は
22枚(すなわちn=22)が採用されている。具体的
には、第一陽極電極板31xに、高周波印加領域部とし
ての第1単位陽極電極板311、第2単位陽極電極板3
12および第3単位陽極電極板313が形成されてい
る。また、第二陽極電極板31yに、第4〜第8単位陽
極電極板314〜318が形成されている。さらに、第
三陽極電極板31zにも第9〜第22単位陽極電極板3
19〜3122が形成されている。これら第i単位陽極
電極板31i(i=1〜n)によって本発明に係る高周
波印加域部が形成されているとともに、隣設した高周波
印加域部間(第i単位陽極電極と第(i+1)単位陽極
電極との間)によって本発明に係る高周波休止域部が形
成されている。
【0119】そして、上記第1単位陽極電極板311
は、図12における第1単位サイクル時間(t1)で木
材ブロックBに高周波を印加するように幅寸法(L1)
(ここでいう幅寸法は台車20の進行方向の寸法のこと
である)が設定されている。この幅寸法(L1)は、台
車20の移動速度をvとした場合、この移動速度(v)
に第1単位サイクル時間(t1)の値を乗じることによ
り得られた値である。
【0120】また、第1単位陽極電極板311と第2単
位陽極電極板312との間の内寸法である離間距離(S
1)は、幅寸法(L1)の3倍に設定されている。
【0121】そして、第2単位陽極電極板312の幅寸
法(L2)および第2単位陽極電極板312と第3単位
陽極電極板313との間の離間距離(S2)についても
上記と同様に設定されている。これらの値を一般的に表
現すると、 幅寸法(Li)=v×ti(但し、i=1〜n) 離間距離(S1)=3×Li(但し、i=1〜n) となる。
【0122】このような陽極電極板31の配置構造によ
れば、台車20が所定の速度で乾燥室90a内を上流側
から下流側に向かって1パスすることにより、木材Wの
いずれの部分(すなわち任意の高周波印加域)も、図1
2に示すのと同様の温度推移で誘電加熱されることにな
る。
【0123】一方、高周波発振器40は、第一陽極電極
板31xに高周波を供給する第一高周波発振器40a
と、第二陽極電極板31yに高周波を供給する第二高周
波発振器40bと、第三陽極電極板31zに高周波を供
給する第三高周波発振器40cとの3台が設けられてい
る。各高周波発振器40a,40b,40cは、同一の
出力のものが採用され(例えば10KWのものが3
台)、これら3台に木材Wに対する高周波印加を分担さ
せている。
【0124】従って、第1〜第4単位陽極電極板311
〜314には第一高周波発振器40aからの高周波が、
第5〜第8単位陽極電極板315〜318には第二高周
波発振器40bからの高周波が、第9〜第12単位陽極
電極板319〜3112には第三高周波発振器40cか
らの高周波が供給されることになる。
【0125】また、ボイラー50からは、放熱管52に
スチームを供給するスチーム供給管51とは別に第三ス
チーム供給管55が設けられている。この第三スチーム
供給管55の先端からスチームそのものが乾燥室90a
内に供給され、これによって乾燥室90a内の湿度が制
御され得るようになっている。
【0126】また、乾燥室90a内の適所にも乾球温度
計71および湿球温度計72が設けられているととも
に、これら両温度計71,72の検出信号は、図略の制
御装置に入力され、これらの検出信号に基く制御信号が
制御装置からボイラー50へ出力されることによる供給
スチーム量の調節で下流側緩衝室90g内は常に所定の
温度および湿度が維持されるようになっている。
【0127】上記のように構成された第六実施形態の乾
燥装置10cによれば、台車20を所定の速度で蒸煮・
蒸気乾燥室室90d、上流側緩衝室90f、乾燥室90
a、下流側緩衝室90gおよび冷却室90eを順次通過
させる、いわゆる1パスで木材ブロックBに対する乾燥
処理が完了するため、台車20を乾燥装置10cに順次
導入することで連続的に木材ブロックBに対して乾燥処
理が施され、効率的な複合乾燥が実現する。
【0128】図16は、第六実施形態の乾燥装置10c
の変形形態を示す側面視の断面図である。第六実施形態
の乾燥装置10cにおいては、3枚の陽極板31x,3
1y,31zが採用されて、第一陽極電極板31xには
第1〜第3単位陽極電極板311〜313が形成され、
第二陽極電極板31yには第4〜第8単位陽極電極板3
14〜318が形成され、第三陽極電極板31zには第
9〜第22単位陽極電極板319〜3122が形成され
ているが、変形形態においては、図16に示すように、
第一〜第三陽極板31x,31y,31zを採用するこ
となく、各単位陽極電極板311〜3122そのものを
天板から垂下させるようにしている。このようにした場
合には、木材Wに対する高周波印加に関っている単位陽
極電極に対してのみ高周波を印加するように、高周波発
振器40内に高周波の印加を切り換える切替え装置を設
けることが好ましい。こうすることによって、高周波発
振器40の出力容量を抑えた上で、木材Wに有効に高周
波を印加することが可能になる。
【0129】因みに、図16に示す例では、第1〜第4
単位陽極電極板311〜314、第5〜第8単位陽極電
極、第9〜第12単位陽極電極、第13〜第16単位陽
極電極、第17〜第22単位陽極電極のそれぞれを各一
グループとし、各グループにまとめて高周波を供給する
ようにしている。
【0130】図17は、本発明に係る木材の乾燥装置の
第二実施形態の変形形態を示す図であり、(イ)は、側
面視の断面図、(ロ)は、平面視の断面図である。この
変形形態においては、乾燥装置10dの乾燥室90a内
には、幅方向の中央部に前後方向の略全長に亘るように
長さ設定された陽極電極板31′が設けられている。
【0131】また、陰極電極板32は、陽極電極板3
1′と同一の長さ寸法を有するものが、図3に示す第二
実施形態のものと同様に乾燥室90aの対向側壁にそれ
ぞれ固定されている。これら各電極31′,32には、
先の実施形態のものと同様にそれぞれ多数の通風孔31
a,32aが穿設されている。
【0132】また、本実施形態においては、陽極電極板
31′の長さ寸法(前後方法の寸法)は、直列に並んだ
二つの木材ブロックBに対応するように寸法設定され、
これによって、図17の(ロ)に示すように、各列に2
ブロックで合計4ブロックの木材ブロックBが乾燥室9
0a内に同時に装填され得るようになっている。そし
て、木材ブロックBに対して離間状態で配設された上記
のような一枚の陽極電極板31′と、木材ブロックBに
対して離間状態で配設された二枚の陰極電極板32とに
よって二対の対向電極が形成され、これら二対の対向電
極で電極構造30が構成されている。
【0133】また、この変形形態においても、第二実施
形態と同様に台車20、高周波発振器40、ボイラー5
0(図17の(イ)および(ロ)では図示を省略してい
る)および送風機60が設けられて複合乾燥で木材Wを
乾燥するようになっているとともに、乾燥室90a内の
温度および湿度制御が行われるようになっている。
【0134】第5実施形態の乾燥装置10dによれば、
直列に二台の台車20を連結した状態で、各台車20に
木材Wを桟積みして形成した木材ブロックBをそれぞれ
搭載し(搭載の仕方については図1参照)、各台車20
を乾燥室90a内に導入数rことにより、図17の
(ロ)に示すように、各台車20で二分された木材ブロ
ックBは、それぞれ陽極電極板31′と陰極電極板32
との間に所定の隙間を備えて挟持された状態になる。
【0135】この状態で、乾燥室90a内を所定の温度
および湿度に制御しながら高周波発振器40の駆動によ
り陽極電極板31′および陰極電極板32を介して各木
材ブロックBに高周波を印加することによって、木材W
は熱気乾燥および高周波乾燥が併用された、いわゆる複
合乾燥が行われることになる。
【0136】そして、本実施形態においては、高周波発
振器40からの高周波は、先の実施形態のように木材W
に間欠的に印加されるのではなく、乾燥の初期から乾燥
の終期に到るまで連続的に印加され、これによって乾燥
時間の短縮化を図ることができるようになっている。
【0137】以上詳述したように、本発明の乾燥装置1
0,10′,10″,10a,10b,10c,10d
は、乾燥炉内に配設された対向する陽極電極板31およ
び陰極電極板32間に挟み込まれた木材Wに高周波電源
からの高周波を印加し、誘電加熱により乾燥を行うもの
であり、各電極板31,32を、木材Wの側面に対して
所定寸法の隙間を介して対向配置するように構成してい
るため、台車20に木材Wを桟積み状態で積層して木材
ブロックBを形成し、この木材ブロックBの搭載された
台車20を乾燥室90aに装填することにより、木材ブ
ロックBは、各電極板31,32に離間状態で挟持され
た状態になる。この状態で各電極板31,32に高周波
電源からの高周波を供給することにより、木材ブロック
Bに各電極板31,32を介して高周波が印加され、こ
れによる誘電加熱で木材Wを乾燥処理することができ
る。
【0138】そして、木材Wの積層作業時に従来のよう
な積層された木材Wの上下方向の中間位置に木材Wとは
異質の電極板を挟み込む作業を行う必要がなくなり、そ
の分木材Wの積層作業の効率化が実現するとともに、木
材ブロックBを乾燥炉内に導入するだけで木材ブロック
Bが対向電極間に所定の離間距離をおいて挟持された状
態になる。
【0139】従って、従来のように予め木材ブロックB
の上面および下面、さらには上下方向の中間位置に電極
板が積層されている場合には、木材ブロックBが乾燥炉
内に装填された状態で、電極板が高周波電源を供給する
ための端子部材に当接しないで高周波が電極板に印加さ
れなくなる場合があるが、本発明においてはこのような
従来の不都合が生じることはなく、常に確実に木材Wに
高周波を印加することができる。
【0140】そして、第二実施形態(図3、図4)のよ
うに、陽極電極板31を、乾燥室90aの幅方向の略中
間位置に前後方向に延びるように天井壁98から垂下
し、陰極電極板32を、陽極電極板31の表裏面に対向
するように乾燥室90a内に一対で配置することによ
り、台車20に二つの木材ブロックB(左ブロックB1
および右ブロックB2)を幅方向で互いに離間した状態
搭載することにより、各ブロックB1,B2を、陽極電
極板31の表裏面と左右の陰極電極板32との間で挟持
することができる。
【0141】このように、陽極電極板31を1枚のみと
することにより電極コストの低減化を図った上で1台の
台車20に搭載された木材Wの2ブロックを対象として
各ブロックB1,B2に同時に高周波を印加することが
でき、乾燥効率の向上に貢献することができる。
【0142】また、各電極板31,32に多数の通風孔
31a,32aを穿設するとともに、これらの通風孔3
1a,32aを介して乾燥室90a内の空気を循環させ
る送風機60を配置することにより、送風機60の駆動
で乾燥室90a内の空気が各電極板31,32の通風孔
31a,32aを通り、木材Wに接触しながら乾燥室9
0a内を循環流通するため、木材ブロックBを構成して
いる各木材W間の温度分布を均一なものにすることがで
きる。
【0143】また、乾燥室90a内の温度および湿度を
調節するためにボイラー50を設け、このボイラー50
からの蒸気を乾燥炉内に導入しするとともに、この導入
量を適正に制御することにより、乾燥室90a内が所定
の温度および湿度になるように調節することができる。
そして、このような蒸気導入によって木材に対する外部
加熱と高周波印加による内部加熱とが併用される、いわ
ゆる複合乾燥処理が木材に対して施されるため、木材に
対する均一な乾燥状態を確保した上で乾燥処理の効率化
を実現することができる。
【0144】また、木材Wの高周波印加域を、高周波が
印加される対向電極に対して木材Wの長尺方向に相対的
に移動させる、いわゆる高周波の部分的間欠印加方式を
採用した場合には、木材Wは、高周波印加域の移動に伴
ってその部分が順次誘電加熱され、これによって木材W
の乾燥処理を木材Wの長尺方向の全長に亘って順次実行
することができる。
【0145】そして、このような部分的間欠印加を必要
に応じて所定回数繰り返すことにより木材Wの高周波印
加域内の水分が段階的に揮散していき、乾燥処理が進行
する一方、木材Wの高周波印加域から外れた部分は、つ
ぎに高周波印加域になるまでの間に、内部の高温部分の
熱が低温部分に熱移動し、これによって温度分布を均一
なものにすることができる。
【0146】また、このような部分的間欠印加方式の採
用によって、同時に木材W全体を対象として高周波を印
加する誘電加熱方式に比べて高周波発振器の出力値を小
さく抑えることが可能になり、その分設備コストの低減
化に貢献することができる。
【0147】そして、第四および第六実施形態の乾燥装
置10a,10c(図13、図15)のように、乾燥室
90aで高周波印加を行う前の木材ブロックBに対して
蒸煮・蒸気乾燥室室90dにおいて予め外部加熱による
事前乾燥処理を施すことにより、水分が非常に多い状態
の乾燥初期において外部加熱のみによって水分が大幅に
低下(例えば含水率100%以上のものの含水率が略5
0%になるまで低下)する。従って、かかる事前乾燥処
理を施さない場合には、乾燥室90a内で水分の多い木
材Wが内部加熱されることによる急激な蒸発で木材W内
部が高圧になり、これに起因して割れ現象が生じるよう
な不都合が生じるが、事前乾燥処理を施すことによりこ
のような不都合を解消することができる。
【0148】また、乾燥室90aにおける対向電極(陽
極電極板31および陰極電極板32)からの高周波印加
による乾燥処理が完了した木材Wに対して冷却室90e
で冷却処理を施すようにしているため、降温速度を適正
に制御することにおより乾燥後の木材Wを自然放冷で冷
却する場合に比べて緩やかに温度降下させることが可能
になり、これによって急冷による木材の割れ現象を防止
することができる。
【0149】そして、対向電極の内特に陽極電極板31
の幅寸法を木材ブロックBの長さ寸法より短く設定する
ことにより、木材Wに対して陽極電極板31を相対的に
移動させることにより、木材Wの高周波印加域を木材W
の長尺方向に向けて順次移動させることが可能になる。
また、陽極電極板31として木材Wの全長に亘るような
大きなものを採用する必要がなくなり、その分部品コス
トの低減化が実現することができる。
【0150】また、高周波印加域を移動させる機構とし
て、第三実施形態(図5)のように、陽極電極板31を
移動させる電極板移動機構33を設けることにより、電
極板移動機構33の駆動によるロープ33dの駆動プー
リ33bへの巻き取りおよび巻き戻しで陽極電極板31
を木材Wの長尺方向に向けて容易に移動させることが可
能になり、電極板移動機構33の設備コストの低減化に
貢献することができる。
【0151】これに対し、第四実施形態(図13)およ
び第六実施形態(図15)のように、高周波印加域を移
動させる機構として自走式の台車20を採用することに
より、陽極電極板31を固定した状態で木材Wをその長
尺方向に向けて移動させることで木材Wの高周波印加域
を移動させることができ、特に陽極電極板31を移動さ
せる電極板移動機構33を設ける必要がなくなり、その
分設備コストの低減化を実現することができる。
【0152】また、第五実施形態(図14)のように、
陽極電極板31を、木材Wの長尺方向の全長に亘って並
設された複数枚(図14の例では4枚)の単位陽極電極
板310によって形成すれば、各単位陽極電極板310
に高周波電力を順次切り換えて印加することにより木材
Wの高周波印加域を順次移動させることができ、陽極電
極板31を木材Wに対して機械的に相対的に移動させる
必要がなくなる。
【0153】さらに、第六実施形態(図15)のよう
に、陽極電極板31の幅寸法を、陽極電極板31の上流
側から下流側に向けて順次小さくなるように設定した複
数枚の陽極電極板31(第1単位陽極電極板311〜第
n単位陽極電極板31n)を採用すれば、木材Wの長尺
方向の任意の一点(印加点)を考慮した場合、この印加
点は、木材Wの相対移動によって水分が最も多い初期段
階で最も幅広の第1単位陽極電極板311によって幅寸
法に比例した時間だけ高周波が印加され、これによって
印加点の水分を大幅に減少させることができる。
【0154】そして、木材Wの印加点は、その水分の減
少に応じて順次幅寸法が狭くなる第2単位陽極電極板3
12、第3単位陽極電極板313、…と移っていくた
め、隣接する単位陽極電極間の距離を適切に確保してお
くことにより、印加点は一旦加熱された後に冷却され、
しかもつぎの有効部分に到達したときは、常に水分量に
応じた適切な高周波の印加時間で高周波が印加されるこ
とになる。従って、各単位陽極電極板31iで印加点が
過加熱されたり、加熱不足になるような不都合が生じ
ず、木材Wの任意の印加点が陽極電極板31の最後の第
n単位陽極電極板31nを通過したときには、その印加
点は、所定の乾燥処理が施された状態になる。このこと
は、木材Wの全ての印加点においていえることであるた
め、木材Wは、それを陽極電極板31(第1単位陽極電
極板311〜第n単位陽極電極板31n)に対して相対
的に1パスさせることにより、均一に所定のレベルまで
乾燥処理され、これによって木材Wを連続的に乾燥処理
することが可能になり、乾燥処理の効率化が実現する。
【0155】本発明は上記の実施形態に限定されるもの
ではなく、以下の内容をも包含するもにである。
【0156】(1)上記の実施形態においては、送風機
60が乾燥室90aの側部に設けられ、木材ブロックB
の側面に向けて送風するようになっているが、本発明
は、木材ブロックBの側面に向けて送風することに限定
されるものではなく、送風機60を天井壁98に設けて
木材ブロックBの上面に向けて送風するようにしてもよ
い。
【0157】(2)上記の第三実施形態においては、陽
極電極板31のみが移動可能で陰極電極板32は固定さ
れているが、こうする代わりに陽極電極板31および陰
極電極板32の双方を同期させながら移動させるように
してもよい。
【0158】(3)上記の第四実施形態においては、陽
極電極板31がハウジング90の前後方向の中央位置に
固定されているが、こうする代わりに第三実施形態と同
様に陽極電極板31を前後方向に移動可能に設けてもよ
い。こうすることによって、乾燥室90a内に2台の台
車20を同時に導入した状態で、陽極電極板31を移動
させることによる高周波の部分的印加方式を実行するこ
とが可能になり、乾燥効率が向上する。
【0159】(4)上記の実施形態においては、台車2
0上に幅方向で2つに分割された木材ブロックBが搭載
されているが、本発明は、台車20上に搭載される木材
ブロックBが2ブロックであることに限定されるもので
はなく、1ブロックでもよいし、3ブロック以上であっ
てもよい。
【0160】(5)上記の第二実施形態の変形形態(図
17)においては、陽極電極板31′および陰極電極板
32の長さ寸法を木材ブロックBの2ブロック分に相当
する長さ寸法に設定し、これによって同時に4ブロック
の木材Wを乾燥し得るようにしているが、本発明は、陽
極電極板31′および陰極電極板32の長さ寸法が木材
Wの2ブロック分の長さ寸法であることに限定されるも
のではなく、1ブロック分の長さ寸法に設定してもよい
し、3ブロック以上の長さ寸法にしてもよい。
【0161】(6)上記の実施形態においては、幅方向
に並設された一対の木材ブロックB間に一枚の陽極電極
板31,31′が配設されるとともに、この一枚の陽極
電極板31,31′との間に木材ブロックBを挟持する
ように二枚の陰極電極板32が採用されているが、こう
する代わりに木材ブロックB間に陰極電極を配置する一
方、各木材ブロックBの反対側の面を覆うように二枚の
陽極電極を配置するようにしてもよい。
【0162】(7)上記の実施形態においては、一枚の
陽極電極板31,31′と、二枚の陰極電極板32とで
対向電極が構成されているが、一般的には陽極電極板3
1,31′の枚数を「n(但し、n≧1の整数)」枚と
した場合、陰極電極板32を「n−1」枚、「n」枚、
あるいは「n+1」枚のいずれかとし、これらで複数の
対向電極を構成することができる。特に、図18に示す
ように、並置された4つの木材ブロックBを対象とし、
外側の各木材ブロックBの外側面に陰極電極板32を対
向させるとともに、中央の2つの木材ブロックB間にも
陰極電極板32を配置し、残りの2つの木材ブロックB
間の隙間に陽極電極板31配置するような電極構成を採
用すれば、極めて実用的であり、かつ、乾燥効率の向上
に貢献することができる。
【0163】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、一の極お
よび他の極の電極板のいずれか一方を木材の長さ寸法よ
り短く設定し、木材が一の極および他の極の電極板に挟
持されることにより形成される高周波印加域を移動させ
る高周波印加域移動機構を設けたため、木材の高周波印
加域が順次移動することになり、この高周波印加域の移
動に伴って木材の高周波印加域に対向した部分が誘電加
熱され、これによって木材の乾燥処理を木材の長尺方向
の全長に亘って順次実行することができる。
【0164】このような部分的間欠印加方式の採用によ
って、同時に木材全体を対象として高周波を印加する誘
電加熱方式に比べて高周波発振器の出力値を小さく抑え
ることが可能になり、その分設備コストの低減化に貢献
することができる。
【0165】請求項2記載の発明によれば、一の極の電
極板を、乾燥炉の幅方向の略中間位置に前後方向に延び
るように設けたため、台車に木材を桟積み状態で積層
し、幅方向で互いに離間した状態の木材の2ブロックを
一の電極板が木材ブロック間の隙間に嵌り込むように形
成し、2ブロックの木材が搭載された台車を乾燥炉内に
導入することにより、各木材ブロックを、左右対称でそ
れぞれ一の電極板と他の極の電極板との間に各電極板と
は離間状態で挟持することができる。
【0166】このように、一の極の電極板を1枚のみと
することにより電極コストの低減化を図った上で1台の
台車に搭載された木材の2ブロックを対象として各ブロ
ックに同時に高周波を印加することが可能になり、乾燥
効率の向上に貢献することができる。
【0167】請求項3記載の発明によれば、一の電極板
は、木材を長尺方向に均等に分割したときの1分割長の
幅寸法を有し、高周波印加域移動機構は、一の電極板
を、当該幅寸法の整数倍単位で木材に対して相対移動さ
せて所定時間停止させるようにし、高周波電源から、停
止している一の電極板に高周波を供給するようにしたた
め、いわゆる部分的高周波間欠印加方式が実現し、同時
に木材W全体に対して高周波を印加する誘電加熱方式に
比べて高周波発振器の出力値を小さく抑えることが可能
になり、その分設備コストの低減化に貢献することがで
きる。
【0168】請求項記載の発明によれば、各電極板を
多数の通風孔が穿設されたパンチングメダルによって形
成するとともに、通風孔を介して乾燥炉内の空気を循環
させる送風機を設けたため、送風機の駆動で乾燥炉内の
空気が電極板の通風孔を通り、木材に接触しながら乾燥
炉内を循環通風し、木材ブロックを構成している各木材
間の温度分布が均一にすることができ、高周波乾燥処理
と熱気乾燥処理とを併用した、いわゆる複合乾燥処理を
効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木材の乾燥装置の第一実施形態を
示す一部切欠き斜視図である。
【図2】図1に示す乾燥装置の正面視の断面図である。
【図3】本発明に係る木材の乾燥装置の第二実施形態を
示す一部切欠き斜視図である。
【図4】図3に示す乾燥装置の正面視の断面図である。
【図5】本発明に係る木材の乾燥装置の第三実施形態を
示す一部切欠き斜視図である。
【図6】図1に示す乾燥装置の正面視の断面図である。
【図7】図1に示す乾燥装置の側面視の平面図である。
【図8】木材ブロックを搭載するための台車の一実施形
態を示す一部切欠き斜視図である。
【図9】電極構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図10】部分的間欠印加方式を説明するための説明図
であり、(イ)は、木材ブロックの第一区分が誘電加熱
される状態、(ロ)は、木材ブロックの第二区分が誘電
加熱される状態、(ハ)は、木材ブロックの第三区分が
誘電加熱される状態、(ニ)は、木材ブロックの第四区
分が誘電加熱される状態をそれぞれ示している。
【図11】木材ブロックの第1サイクルにおける各区分
の加熱温度の経時変化の一例を示すグラフである。
【図12】高周波が印加されてから乾燥が完了するまで
の木材温度および含水率の経時変化の一例を示すグラフ
である。
【図13】本発明に係る木材の乾燥装置の第四実施形態
を示す側面視の断面図である。
【図14】本発明に係る木材の乾燥装置の第五実施形態
を示す側面視の断面図である。
【図15】本発明に係る木材の乾燥装置の第六実施形態
を示す側面視の断面図である。
【図16】第六実施形態の変形形態を示す側面視の断面
図である。
【図17】本発明に係る木材の乾燥装置の第二実施形態
の変形形態を示す図であり、(イ)は側面視の断面図、
(ロ)は、平面視の断面図である。
【図18】電極の配置構造の他の例を示す平面視の説明
図である。
【符号の説明】
B 木材ブロック B1 左ブロック B2 右ブロック W 木材 W1 桟木 10,10a,10b,10c,10d 乾燥装置 20 台車 21 基礎フレーム 21a 中央部フレーム 21b 短尺支柱フレーム 21c 側部フレーム 22 支持台 22a 隙間溝 22b 突条 23 支持ローラ 23a ローラ軸 23b 環状溝 24 車輪 24a 車軸 30,30a 電極構造 31 陽極電極板(電極板) 31a 通風孔 31b 吊持板 31c 吊持構造 31d 挟持部材 31e 係止ボルト 31f 車輪 311、…、31i、…、31n 単位陽極電極 32 陰極電極板 32a 通風孔 33 電極板移動機構(高周波印加域移動機構) 33a 駆動モータ 33b 駆動プーリ 33c 従動プーリ 33d ロープ 40 高周波発振器(高周波電源) 41 切換器(高周波供給切換手段) 45 同調調整器 49 絶縁体 50 ボイラー 51 スチーム供給管 52 放熱管 53 ドレン回収管 54 第二スチーム供給管 55 第三スチーム供給管 60 送風機 61 送風電動機 62 ファン 71 乾球温度計 72 湿球温度計 90 ハウジング 90a 乾燥室 90g 下流側緩衝室 90b 機械室 90c 天井室 90d 蒸煮・蒸気乾燥室室 90e 冷却室 91a レール 91 基礎盤 92a 開閉扉 92 前面壁 93 左側壁 94 右側壁 94a ドアー 95a 開閉扉 95 背面壁 96 陸屋根 97 仕切壁 98 天井壁 98a 長尺開口 98b ガイド突条 98c 案内通路 98d 通風孔 99a 上流側仕切りドア 99b 下流側仕切りドア 99c 上流側第一仕切りドア 99d 上流側第二仕切りドア 99e 下流側第一仕切りドア 99f 下流側第二仕切りドア

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥炉内に前後方向に延びるように配設
    された対向する電極板間に挟み込まれた木材に高周波電
    源からの高周波を印加し、誘電加熱により乾燥を行う木
    材の乾燥装置であって、上記木材の一方の側面に隙間を
    介して対向配置され一の極の電極板と上記木材の他方
    の側面に隙間を介して対向配置され他の極の電極板と
    を備えると共に上記一の極および他の極の電極板のいず
    れか一方が上記木材の長さ寸法より短く設定されてなる
    対向電極板と、木材が一の極および他の極の電極板に挟
    持されることにより形成される高周波印加域を上記木材
    の長さ方向に相対移動させる高周波印加域移動機構とを
    備えていることを特徴とする木材の乾燥装置。
  2. 【請求項2】 上記一の極の電極板は、乾燥炉の幅方向
    の略中間位置で前後方向に延びるように設けられ、上記
    他の極の電極板は、一の極の電極板の表裏面に対向する
    ように乾燥炉内に一対で配置されていることを特徴とす
    る請求項1記載の木材の乾燥装置。
  3. 【請求項3】 上記一の電極板は、木材を長尺方向に均
    等に分割したときの1分割長の幅寸法を有し、上記高周
    波印加域移動機構は、上記一の電極板を、当該幅寸法の
    整数倍単位で木材に対して相対移動させて所定時間停止
    させるようにし、上記高周波電源から、停止している上
    記一の電極板に高周波を供給することを特徴とする請求
    2記載の木材の乾燥装置。
  4. 【請求項4】 上記各電極板には、多数の通風孔が穿設
    され、上記通風孔を介して上記乾燥炉内の空気を循環さ
    せるように配置された送風機が設けられていることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の木材の乾燥
    装置。
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