JP3302952B2 - 木材の乾燥方法および装置 - Google Patents

木材の乾燥方法および装置

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JP3302952B2 JP25941599A JP25941599A JP3302952B2 JP 3302952 B2 JP3302952 B2 JP 3302952B2 JP 25941599 A JP25941599 A JP 25941599A JP 25941599 A JP25941599 A JP 25941599A JP 3302952 B2 JP3302952 B2 JP 3302952B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材を高温環境に
置いて行う外部加熱乾燥と、木材に高周波を印加するこ
とによって行う内部加熱乾燥とを併用した木材の乾燥方
法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、木材の乾燥は、所定温度および湿
度に調節された乾燥炉に木材を装填し、木材をこの調節
された温度および湿度下に放置する、いわゆる外部加熱
方式により行われていたが、かかる外部加熱方式にあっ
ては、木材中の水分の揮散が木材の表面側から順次芯部
に向かって進行するため乾燥に長時間を要し、効率的で
ないという不都合が存在した。
【0003】そこで、木材に高周波を印加して内部から
加熱する、いわゆる内部加熱方式の乾燥処理が考えられ
るが、内部加熱方式のみを採用すると、木材内部と表面
との間で極めて大きい温度勾配が形成されて熱歪みが生
じることや、水分の蒸発によって木材内部が高圧状態に
なること等により、木材に割れが生じ易くなり、これに
よって木材の商品価値を低下させてしまうことがある
他、高周波の印加のみでは電力コストが嵩み、その結果
木材乾燥のランニングコストが高騰するという新たな問
題点が提起される。
【0004】そこで、近年、所定の温度および湿度環境
の乾燥炉内に装填された木材に対してさらに高周波を印
加して乾燥処理する、外部加熱と内部加熱との併用方式
が注目され、現在ではすでに実用化の段階に到ってい
る。この併用方式においては、木材は内部と外部の双方
から加熱されるため、木材内部で急峻な温度勾配が形成
されず、かつ、迅速に乾燥が進行するとともに、乾燥途
中での割れ現象も起こらず、これによって品質の低下を
来たさないようにしつつ乾燥効率が大幅に改善される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、上記
のような内部加熱と外部加熱との併用方式による木材乾
燥にあっても、高周波を連続的に印加し続けると、材内
の温度分布が均一にならないばかりか、内部温度が高く
なり過ぎると水分の蒸発で木材の内部圧力が上昇し、木
材に割れが生じることがあるという不都合が発生する。
かかる不都合を解消するために、通常、高周波の印加を
間欠的に行うようになされている。すなわち、高周波の
印加で材内温度が予め設定された所定温度に到達した時
点で高周波の印加を一時停止して外部加熱のみに切り換
え、材内温度が所定温度まで低下した時点で再度木材に
高周波を印加し、かかる間欠的な高周波の印加を繰返す
ことにより乾燥処理が進行されるのである。
【0006】しかしながら、このような併用方式の乾燥
処理においては、間欠的な高周波の印加時期を見出すた
めに常に材内温度を検出する必要があることから、木材
が乾燥炉に装填された時点で所定の温度センサを木材に
装着し、その後、経時的なセンサの検出結果に基いて高
周波の印加時期および停止時期を逐一設定する必要があ
るが、通常、木材は数十本のものが縦横に積層された状
態で乾燥に付されるため、全ての木材に温度センサを装
着するのは非常に面倒であり、これによって作業効率が
低下するという問題点が発生する。
【0007】また、熱電対のような金属材料を使用した
通常の安価な温度センサは、誘電加熱中の木材を対象と
して使用することができず、光ファイバー等の絶縁材料
を用いた高価な温度センサを採用する必要があるため、
資材コストが嵩むという問題点も存在する。
【0008】そこで、多数の被乾燥木材内の1本または
数本を、全体を代表するサンプルとして選択し、サンプ
ルの温度のみを計測し、この計測結果を全体の温度とみ
なして制御することが考えられるが、このような方式で
は、たとえ同じ樹種の木材といえども個々に含水率や通
気性が異なるため、サンプルの温度が全体の温度を代表
したものであるとはいえず不安定要素は残る。
【0009】また、木材が乾燥炉に装填されてから第1
回目の高周波の印加タイミングを見極めるため、および
乾燥が完了したか否かを確認するために、所定の含水率
センサを用いて木材の含水率を経時的に検出する必要も
あるが、このためにも温度検出の場合と同様に多くの問
題点が存在する。
【0010】本発明は、上記のような従来の問題点を解
決するためになされたものであり、経時的な温度検出お
よび含水率の検出を全く行うことなく、誘電加熱乾燥と
外部加熱乾燥との複合乾燥方式の操業を適正に制御する
ことができ、これによって木材の乾燥処理を適正かつ効
率的に行うことが可能になる木材の乾燥方法および装置
を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
木材を第1の温度の環境に置いて外部から加熱すること
により乾燥する外部加熱乾燥と、高周波による誘電加熱
により木材の材内温度を上記第1の温度より高い第2の
温度まで昇温させながら木材を乾燥する内部加熱乾燥と
を併用する木材の乾燥方法であって、乾燥対象木材の含
水率の予定低下特性から高周波供給スケジュールを事前
に設定し、上記第1の温度の環境に置かれた乾燥対象木
材に対し、設定レベルの高周波を間欠的に印加するとと
もに、各印加時間を上記高周波供給スケジュールに従っ
て漸減させることを特徴とするものである。
【0012】この発明によれば、木材は、高温環境(第
1の温度の環境)に置かれることによる外部加熱で乾燥
処理が施されながら、高周波が間欠的に印加されること
による内部加熱で第2の温度まで昇温して乾燥処理さる
ことにより、内外から乾燥処理が進行するため、常に均
一な状態での乾燥が確保されつつ乾燥時間の短縮化が実
現する。また、木材へは間欠的に高周波が印加されるた
め、高周波が連続的に印加された場合に起こる木材中の
水分の過加熱による突沸に起因した割れが生じず、従っ
て、乾燥後の木材の商品価値が低下するような不都合が
回避される。
【0013】そして、所定の高温環境に置かれた木材に
対し、設定レベルの高周波を、木材の含水率の減少に従
って印加時間を漸減させつつ間欠的に印加するようにし
ているため、乾燥の進行による含水率の低下によって、
高周波のエネルギーが、少なくなっていく材内の水に集
中的に印加されることによる木材内部の過加熱を抑えて
いくことが可能になり、これによって過加熱による温度
分布の不均一や、水の沸騰で蒸発潜熱分のエネルギーが
消費されるような不都合が回避され、エネルギーロスの
少ない効率的な木材の乾燥処理が実現する。
【0014】因みに、請求項1記載の発明における設定
レベルの高周波とは、木材への高周波印加時に、乾燥の
進行によって生じる木材側のインピーダンスの変化に応
じて可変コンデンサの容量を変更し、高周波による同一
エネルギーが木材に供給されるように調節した状態(す
なわち整合(マッチング)状態)における、所定の整合
機器の整合性能に応じた出力を行う高周波のことであ
る。従って、設定レベルの高周波が木材に供給される
と、理想的には木材に常に同一エネルギーの高周波が印
加されるが、整合機器の性能や木材の乾燥状況によって
は多少変動することもあり、かかる変動をも含む概念で
ある。
【0015】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記乾燥対象木材を個々に高周波が供給可
能にされた複数のブロックに区分し、1台の高周波発振
機からの高周波出力を各ブロックに順番に切り換えて供
給することを特徴とするものである。
【0016】この発明によれば、1台の高周波発振機で
一のブロックへの高周波印加が中断されている間を利用
して他のブロックに対して高周波印加を行う、複数のブ
ロックを対象とした間欠的高周波印加が可能になり、設
備コストを抑えた上で同一時間内により多くの木材の効
率的な乾燥処理が可能になる。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、第1の温度の環境に置かれたサン
プル木材の、初期含水率からの含水率の経時変化を示す
基準含水率低下特性を予め求めておき、この基準含水率
低下特性を乾燥対象木材に適合させて予定含水率低下特
性を得るとともにこれから高周波供給スケジュールを
得、得られた高周波供給スケジュールに従って高周波の
印加時間を制御することを特徴とするものである。
【0018】この発明によれば、例えば環境温度、木材
の種類および木材の量等毎に設定した基準含水率経時低
下特性を予め求めておくことにより、実際の乾燥処理時
に、乾燥しようとする木材の種類等ですでに求めてある
どのケースの基準含水率経時低下特性が当てはまるかを
見つけ出し、この基準低下特性に基いて乾燥対象木材の
乾燥直前含水率により含水率経時低下特性をまず設定
し、この低下特性に基いて高周波の各印加時間を設定す
ることにより、過去の理想的な操業を再現するように乾
燥処理を行うことが可能になり、失敗のない乾燥処理が
実現する。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、上記高周波供給スケジュールは、所定の温
度の環境に置かれた木材について、木材の含水率との関
係で設定した外部加熱と内部加熱とを併用した場合の経
時的な木材の昇温特性と、高周波印加により第2の温度
に到達して高周波の印加を中断した後の木材の降温特性
とから予め求めたものであることを特徴とするものであ
る。
【0020】この発明によれば、乾燥処理中の所定の時
点で木材の含水率が予測されると、この木材の含水率と
の関係で昇温特性に基いて高周波印加が行われた場合に
木材が所定の温度に到達するまでの時間を算出すること
ができるとともに、一旦所定の温度にまで昇温した木材
の降温挙動を降温特性によって知ることができるため、
これら木材の昇温および降温の挙動から高周波印加のタ
イミングが容易に設定される。
【0021】請求項5記載の発明は、木材を第1の温度
の環境に置いて外部から加熱することにより乾燥する外
部加熱乾燥と、高周波による誘電加熱により木材の材内
温度を上記第1の温度より高い第2の温度まで昇温させ
ながら木材を乾燥する内部加熱乾燥とを併用する木材の
乾燥装置であって、記憶手段と、乾燥対象木材の含水率
の予定低下特性から高周波供給スケジュールを事前に設
定して上記記憶手段に記憶させるスケジュール設定手段
と、上記第1の温度の環境に置かれた乾燥対象木材に対
し、設定レベルの高周波を間欠的に印加するとともに、
各印加時間を上記高周波供給スケジュールに従って漸減
させるように制御する出力制御手段とを備えていること
を特徴とするものである。
【0022】この発明によれば、スケジュール設定手段
は、乾燥対象木材の含水率の予定低下特性から高周波を
木材に印加する高周波供給スケジュールを事前に設定し
て記記憶手段に記憶させ、出力制御手段はこのスケジュ
ールを参照しながら第1の温度環境に置かれた乾燥対象
木材に対して設定レベルの高周波を間欠的に印加するよ
うに制御するとともに、各印加時間をスケジュールに従
って漸減させるように制御するため、請求項1記載の発
明と同様の作用効果が実現する。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る木材乾燥装
置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図2は
図1のA−A線断面図である。また図3は図1のB−B
線断面図である。これらの図に示すように、本発明の木
材乾燥装置1は、内部に木材を乾燥するための乾燥室を
備えた乾燥炉2と、この乾燥炉2に付設され、乾燥中の
木材に高周波を印加して均一かつ迅速な乾燥を促す高周
波部6と、制御装置9(図6)からなる基本構成を備え
ている。
【0024】上記乾燥炉2は、図1に示すように、6面
が壁で包囲された直方体状の箱体によって形成されてい
る。この乾燥炉2の稜線部分およびその他の適所には金
属製のフレーム材21が配筋され、これらのフレーム材
21によって直方体の骨格が形成されている。
【0025】上記骨格の一側部にはドアフレーム22が
設けられており、このドアフレーム22によって乾燥炉
2に対する木材Wの出入口が形成されている。またこの
ドアフレーム22に断熱構造のドア(扉)23が開閉自
在に取り付けられている。ドア23には換気用および内
部観察用の小孔23aが穿設されている。なお、本実施
形態においては、ドア23は乾燥炉2を囲む互いに対向
した二対の壁面のうちの水平寸法が短い方の壁面(短壁
面)の一つに設けられるが、短壁面に限定されるもので
はなく、長壁面に設けてもよい。
【0026】そして、上記骨格にはフレーム材21を挟
持するように金属製の薄板からなる外壁板24および内
壁板25が取り付けられており、これら外壁板24およ
び内壁板25間に断熱材26が充填されている。本実施
形態においては、上記外壁板24および内壁板25に亜
鉛メッキのカラー鋼板が適用されているとともに、断熱
材26としては50mm厚のグラスウールが用いられて
いる。
【0027】このような乾燥炉2の内部には、床面2
a、内壁面2bおよび天井面2cに囲まれた乾燥室20
が形成されている。本実施形態においては、乾燥炉2の
外寸法は、間口(ドア23が設けられている側)1.8
m、奥行き4.5m、高さ1.8mに設定されている。
【0028】乾燥室20の長手方向に延びる内壁面2b
の一方側には、長手方向で一対のファン3が送風面を乾
燥室20の中央部に向いたファン3が取り付けられてい
る。このファン3を駆動させることによって乾燥室20
内の空気が循環移動し、乾燥室20に装填された木材W
の乾燥に供されるようになっている。本実施形態におい
ては、上記ファン3は0.75KWのものが2台設けら
れ、2台で60〜180m2/minの範囲内の送風量
調節が可能になっている。
【0029】そして、乾燥室20内のファン3直下の内
壁面2bには、長手方向に並設された2台のスチームヒ
ータ4が設けられ、循環移動している乾燥室20内の雰
囲気空気を加熱するようになっている。
【0030】また、上記乾燥炉2の外側部には、ボイラ
5が取り付けられている。このボイラ5から発生した蒸
気は、蒸気配管51を通って乾燥炉2の上面部中央に設
けられた圧力ポンプ52に導入され、この圧力ポンプ5
2で加圧されて一対の蒸気支管53を通って乾燥室20
内に供給されるようになっている。
【0031】また、本実施形態においては、ボイラ5に
は図略の安全弁が設けられており、ボイラ5の蒸気発生
量が、圧力ポンプ52から乾燥室20内に供給される蒸
気量よりも多いときは、余剰の蒸気が安全弁から外部に
放出されるようになっている。
【0032】本実施形態の場合、上記ボイラ5には3.
4KWの容量のヒータが内蔵されており、このヒータで
水を加熱することにより、最大3kg/cm2Gの圧力
の蒸気を5.1kg/hrの割合で発生させることがで
きるようになっている。このようなボイラ5には、所定
のホース等を介して水道水や井戸水が直接供給されるよ
うになっている。なお、5〜10リットルの容量を有す
るカートリッジ式の水槽を設けるようにしてもよい。ま
た、ボイラ5内には軟水器が設けられており、所定の操
作で水の軟水化が行われ、これによってボイラ5内での
水垢の生成が抑止されるようにしている。
【0033】上記乾燥炉2の上面部一隅部には、乾燥室
20内に連通した排気筒54(図2)が設けられ、乾燥
室20内の雰囲気空気を排出するようになっている。排
気筒54の内部には、水平軸54a回りに共回りして排
気筒54の開度を調節するダンパ55が設けられてい
る。また、乾燥炉2の上面部には上記水平軸54aを軸
心回りに回動させてダンパ55の開度を変更するアクチ
ュエータ56が設けられており、このアクチュエータ5
6を作動させることによりダンパ55の開度が調節され
るようになっている。
【0034】上記排気筒54の下部には、排気ファン5
7(図2)が設けられ、この排気ファン57を稼働させ
ることによって乾燥室20内の雰囲気空気を強制排気す
ることができるようになっている。本実施形態において
は、上記排気ファン57は、モータ容量が65Wのもの
が設けられ、18m2/minの能力で排気するように
なっている。
【0035】そして、上記のような乾燥炉2には、乾燥
室20の床面2aに開口部を介して幅方向一対のレール
27が外部から引き入れられ、未乾燥の木材Wは、これ
らのレール27上を走行する台車としての後述の下部マ
イナス電極63上に多数本が整列載置された状態で乾燥
室20に対して出し入れし得るようになっている。
【0036】上記高周波部6は、所定周波数の高周波を
出力する高周波発振機60と、この高周波発振機60か
らの高周波を木材Wに印加するための複数組の対向電極
61と、対向電極61および高周波発振機60間に介設
された、高周波発振機60の高周波出力を木材Wの乾燥
状態の経時変化に整合させる整合回路部7と、複数組の
対向電極61への高周波印加を経時的に順次切り換える
切換え回路部8とからなっている。本実施形態において
は、対向電極61を構成する各電極板は、厚み寸法が略
3mmのアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の
板材が採用されているが、図面では図示の都合上誇張し
て厚めに示している。
【0037】上記整合回路部7は、可変コンデンサ71
が設けられた可変コンデンサ部7aと、可変インダクタ
ンス75が設けられた可変インダクタンス部7bとから
なっている。本実施形態においては、可変コンデンサ部
7a、可変インダクタンス部7bおよび切換え回路部8
は、それぞれケーシング70(コンデンサ用ケーシング
70a、インダクタンス用ケーシング70bおよび切換
え回路部用ケーシング70c)に収納されてユニット化
され、これによってこれらの組み合わせ配置を容易に行
い得るようになしている。
【0038】また、本実施形態においては、ケーシング
70を載置するための架台70dが乾燥炉2の長尺側壁
の中央位置に沿うように置設されている。そして、切換
え回路部用ケーシング70cが乾燥炉2の側壁面に当接
するように架台70d上に載置され、この切換え回路部
用ケーシング70cに当接するようにコンデンサ用ケー
シング70aが架台70d上に並列載置された状態で、
これらの上にインダクタンス用ケーシング70bが載置
されている。かかる架台70dを採用することによっ
て、ケーシング70を地面に直置きすることによる底部
の水濡れを防止し得るとともに、後述するシリンダスイ
ッチ81,82の高さ位置を後述するプラス電極62の
高さ位置に位置設定することが可能になり、これによる
リード線の短尺化でインダクタンスの増大が抑えられて
整合が安定するようにしている。
【0039】そして、ケーシング70のうち特に切換え
回路部用ケーシング70cを乾燥炉2の外側壁に沿わせ
て配置することによって、乾燥炉2に配線孔28(図
3、図5)を穿設し、この配線孔28にリード線(接続
板X(図5))を通すことで切換え回路部用ケーシング
70c(すなわち切換え回路部8)を乾燥炉2に容易に
付加し得るようにしている。なお、高周波発振機60お
よびケーシング70の双方を乾燥炉2の天板上に載置し
たり、ケーシング70のみを乾燥炉2の天板上に載置し
たり、あるいは高周波発振機60を乾燥炉2の天板上に
載置することも可能である。
【0040】そして、高周波発振機60と整合回路部7
とは、保護管60bに保護された同軸ケーブル60aに
よって接続されている。従って、嵩高い高周波発振機6
0を利用可能な敷地に配設したり(図1)、乾燥炉2の
天板上に置設する一方、可変コンデンサ71、可変イン
ダクタンス75および切換え回路部8がそれぞれ収納さ
れてユニット化されているコンデンサ用ケーシング70
a、インダクタンス用ケーシング70bおよび切換え回
路部用ケーシング70cを乾燥炉2にそれぞれ隣接設置
するとともに、高周波発振機60と整合回路部7とを同
軸ケーブル60aを介して互いに接続することにより、
高周波部6を乾燥炉2に対して付加的に施工することが
可能になり、可変コンデンサ71、可変インダクタンス
75および切換え回路部8の乾燥炉2への付設設計およ
び付設施工が容易になるとともに、外部加熱乾燥方式の
みの既存の乾燥炉2に内部加熱乾燥方式を追加する上で
の設計・施工も容易になる。
【0041】上記対向電極61は、アルミニウム合金等
の導電材の金属板からなる上下一対のプラス電極62
(下部プラス電極62aおよび上部プラス電極62b)
と、同材料からなり、かつ、木材Wを介してプラス電極
62の下方位置に配設される下部マイナス電極63と、
同上方位置に配設される上部マイナス電極64と、上下
のプラス電極間に介設される共用マイナス電極65とか
らなっている。本実施形態においては、下部プラス電極
62aと、下部マイナス電極63と、共用マイナス電極
65とで第1対向電極61aが形成されているととも
に、上部プラス電極62bと、上部マイナス電極64
と、共用マイナス電極65とで第2対向電極61bが形
成されている。
【0042】また、下部マイナス電極63は、木材Wを
乾燥室20内に運び込む台車の役割を果たすように構成
され、その下面四隅部にレール27上を転動するように
設けられた4つの車輪63aを有している。従って、乾
燥室20外で木材Wの搭載された対向電極61を乾燥室
20内に向けて押圧することにより、下部マイナス電極
63がレール27に案内されつつ移動して対向電極61
に搭載された木材Wが乾燥室20に装填されることにな
る。
【0043】そして、本実施形態においては、図1に示
すように、下部マイナス電極63上に所定の隙間を備え
て整列された8本の木材Wが、これらに直交するように
所定ピッチで配された複数本の桟材R1を介して2段積
みで積層され、これらの頂部に下部プラス電極62aが
重ねられ、さらにこの下部プラス電極62a上に上記同
様に2段積みで木材Wが重ねられ、これらの木材Wで積
層木材の第1ブロックD1(図2)が形成されている。ま
た、共用マイナス電極65と上部プラス電極62bとの
間、および上部プラス電極62bと上部マイナス電極6
4との間にも上記同様に木材Wが積層方式され、これら
の木材Wで積層木材の第2ブロックD2が形成されてい
る。
【0044】図4は、高周波部6の回路構成の一実施形
態を示す説明図である。以下、図4を基に、および必要
に応じて先の図1〜図3を参照しながら高周波部6の回
路構成について詳細に説明する。まず、図3に示すよう
に、整合回路部7は、コンデンサ用ケーシング70aに
収納されてユニット構成された可変コンデンサ部7a
と、インダクタンス用ケーシング70bに収納されてユ
ニット構成された可変インダクタンス部7bとからなっ
ている。可変コンデンサ部7aには、可変コンデンサ7
1が内装されているとともに、可変インダクタンス部7
bには可変インダクタンス75が内装されている。
【0045】可変コンデンサ71は、乾燥されつつある
木材Wのインピーダンスの経時変化に整合して容量を変
化させるものであり、可変インダクタンス75は、木材
Wのインピーダンスの経時変化によっても電流値を減少
させないように自身のインダクタンスを調節するもので
ある。これら可変コンデンサ71および可変インダクタ
ンス75によるコンデンサ容量およびインダクタンスの
調整で乾燥過程の木材Wのインピーダンスと整合させ
る、いわゆるマッチングが行われ、効率的な乾燥処理が
実現する。
【0046】上記可変コンデンサ71は、コンデンサ用
ケーシング70a内の略中央部で上下方向に延びるよう
に固定された中央電極板72と、この中央電極板72の
図3における右側に対向配置された右電極板73と、同
左側に対向配置された左電極板74とからなっている。
中央電極板72は、コンデンサ用ケーシング70aに対
して絶縁状態にされている。そして、中央電極板72と
右電極板73とで図4に示す第1可変コンデンサ71a
が形成されているとともに、中央電極板72と左電極板
74とで図4に示す第2可変コンデンサ71bが形成さ
れている。同軸ケーブル60aの先端側は中央電極板7
2に接続されている。
【0047】また、上記右電極板73はアースされてい
る。かかる右電極板73は、上下端部がコンデンサ用ケ
ーシング70aの右側壁に付設された水平動自在の支持
ロッドを有する支持部材71cの上記支持ロッド先端に
固定され、これによって中央電極板72との間隙寸法が
変更可能になっている。また、コンデンサ用ケーシング
70a内の右側壁の上下方向中間位置には、電動あるい
は油圧等で可動ロッドを出没させるアクチュエータ71
dが取り付けられ、上記可動ロッドの先端部が右電極板
73の中央位置に固定されている。そしてアクチュエー
タ71dの正逆駆動による右電極板73の中央電極板7
2に対する接近および離反により、第1可変コンデンサ
71aのコンデンサ容量を変更し得るようにしている。
【0048】一方、コンデンサ用ケーシング70a内の
左側壁には上記同様の支持部材71cが設けられ、この
支持部材71cの支持ロッド先端に中央電極板72と平
行に左電極板74が固定され、左側壁に設けられた上記
同様のアクチュエータ71dの正逆駆動で中央電極板7
2に対して接近あるいは離反し、これによって第2可変
コンデンサ71bのコンデンサ容量が変更されるように
なっている。可変コンデンサ71のアクチュエータ71
d、可変インダクタンス75の駆動モータは、木材W側
のインピーダンス変化に応じて駆動され、高周波発振機
60側が常にマッチングするようにしている。
【0049】上記可変インダクタンス75は、インダク
タンス用ケーシング70bに絶縁状態で内装された所定
幅を有する正面視で逆U字形状のリード線板76と、こ
の逆U字形リード線板76の互いに対向した対向面間に
摺接状態で架橋された摺接架橋部材77と、この摺接架
橋部材77の中央上部に立設された、片面にラックを有
するラックロッド78と、このラックロッド78を介し
て摺接架橋部材77を昇降させる昇降駆動手段79とか
らなっている。
【0050】上記リード線板76の右下端部は左電極板
74に電気的に接続されているとともに、左下端部は後
述するコ字状リード線板83に接続されている。これに
よって逆U字形リード線板76は、有効長(高周波が流
れる部分の長さ)が摺接架橋部材77より下部の互いに
対向した部分によって決まるようになっている。
【0051】上記昇降駆動手段79は、図略の駆動モー
タと、この駆動モータの駆動で軸回りに回転するピニオ
ン79aとからなっている。ピニオン79aは上記ラッ
クロッド78に噛合され、駆動モータの駆動によるピニ
オン79aの正逆回転でラックロッド78が昇降し、こ
れによる摺接架橋部材77の昇降で逆U字形リード線板
76の有効長が設定されるようになっている。
【0052】上記切換え回路部8は、切換え回路部用ケ
ーシング70cに内装されてユニット化され、上記逆U
字形リード線板76の左下端部に電気的に接続されたコ
字状リード線板83と、このコ字状リード線板83に電
気的に離接する第1シリンダスイッチ81および第2シ
リンダスイッチ82とからなっている。コ字状リード線
板83は、切換え回路部用ケーシング70cの右側壁に
所定の金具を介して上下方向に延びるように絶縁状態で
固定されている。
【0053】かかるコ字状リード線板83は、第1シリ
ンダスイッチ81に下方で対向するように上縁部から左
方に向かって延設された上部接点板83aと、第2シリ
ンダスイッチ82に上方で対向するように下縁部から左
方に向かって延設された下部接点板83bとを有してい
る。一方、各シリンダスイッチ81,82は、本体から
出没して接点板83a,83bに対して離接する接点ロ
ッド84を有している。
【0054】一方、乾燥炉2内には、図1および図2に
示すように、対向電極61に対向して右側の内壁面2b
から突設された接点部材85が設けられている。この接
点部材85は、プラス電極62に対向したプラス接点部
材86と、下部マイナス電極63に対向した下部マイナ
ス接点部材87と、上部マイナス電極64に対向した上
部マイナス接点部材88と、共用マイナス電極65に対
向した共用マイナス接点部材89とからなっている。
【0055】上記プラス接点部材86としては、下部プ
ラス電極62aに対向した下部プラス接点部材86a
と、上部プラス電極62bに対向した上部プラス接点部
材86bとが設けられている。各接点部材85は、図1
に示すように、弓なりに湾曲されたパンダグラフ80を
有しているとともに、各パンダグラフ80が対向した図
略の付勢手段の付勢力によって対向電極61を押圧当接
するように長さ寸法が設定されている。また、各接点部
材85は、乾燥炉2の内壁面に図略の構造によって高さ
位置が調節可能に取り付けられ、これによって木材Wの
断面高さ寸法が変更になることによる対向電極61の高
さ位置の変動に対応し得るようになっている。
【0056】そして、第1シリンダスイッチ81の接点
ロッド84は、上部プラス接点部材86bのパンダグラ
フ80に接続されているとともに、第2シリンダスイッ
チ82の接点ロッド84が下部プラス接点部材86aの
パンダグラフ80に接続されている。また、下部マイナ
ス電極63、上部マイナス電極64および共用マイナス
電極65のパンダグラフ80はそれぞれアースされてい
る。従って、第1シリンダスイッチ81の接点ロッド8
4がコ字状リード線板83の上部接点板83aに接続さ
れているときは、上部マイナス電極64と共用マイナス
電極65との間に介在する木材Wに上部プラス接点部材
86bからの高周波が印加され、第2シリンダスイッチ
82の接点ロッド84がコ字状リード線板83の下部接
点板83bに接続されているときは、下部マイナス電極
63と共用マイナス電極65との間に介在する木材Wに
下部プラス接点部材86aからの高周波が印加されるこ
とになる。
【0057】図5は、炉外の切換え回路部8および炉内
の対向電極61間のリード線板接続構造の一実施形態を
示す一部切り欠き斜視図である。この図に示すように、
乾燥炉2の切換え回路部用ケーシング70c側の側壁2
dには、矩形状の配線孔28が穿設され、この配線孔2
8に絶縁状態で接続板Xが挿通されている。
【0058】具体的には、配線孔28の内周縁部には、
C型鋼で矩形状に枠組みされた枠部材29が嵌め込ま
れ、これによって孔周りが補強され、かつ、防水処理が
施された状態になっている。かかる枠部材29の外面に
は、外方に向かって突出するようにボルトBが複数個溶
接止めされているとともに、これらのボルトBに対応し
た挿通孔を有する合成樹脂製の絶縁板84aが嵌め込ま
れ、ナットで締結されることによって配線孔28が接続
板Xによって塞がれた状態になっている。
【0059】かかる絶縁板84aの中央部には、矩形状
の装着孔84bが穿設され、この装着孔84bに接続板
Xを摺接状態で挿通することによって、接続板Xが側壁
2dと絶縁状態で配線孔28に通されることになる。そ
して、接続板Xが絶縁板84aの装着孔84bに挿通さ
れた状態で、接続板Xを方式した補強板84cが絶縁板
84aにボルト止めされ、これによって接続板Xの配線
孔28への挿通状態が安定するようにしている。
【0060】また、接続板Xと枠部材29との間の距離
は高周波出力、周波数に依存するが、数十mm〜百数十
mm、例えば100mm以上に設定され、これによって
接続板Xからの高周波の枠部材29に向かう短絡を防止
するようにしている。
【0061】かかる接続板Xの外部側端部に切換え回路
部8の接点ロッド84からのリード線板が溶接止め等で
接続されるとともに、内部側端部に対向電極61のプラ
ス電極62からのリード線板が溶接止め等で接続されて
いる。
【0062】上記のような木材乾燥装置1は、まず乾燥
炉2を所定の敷地内に構築すると同時に高周波発振機6
0を適所に配設し、その後、乾燥炉2の長尺側の壁面外
方にケーシング70(コンデンサ用ケーシング70a、
インダクタンス用ケーシング70bおよび切換え回路部
用ケーシング70c)を隣設することによって構築され
る。乾燥炉2の構築時には、予め上記接続板X(図5)
を通す配線孔28が側壁2dに穿設され、この配線孔2
8が穿設された部分に切換え回路部用ケーシング70c
を隣接配置する。
【0063】そして、絶縁板84aに支持されて絶縁状
態で配線孔28に接続板Xを挿通した後、接続板Xを介
して切換え回路部8の接点ロッド84と、乾燥室20内
のパンダグラフ80とを接続することにより切換え回路
部用ケーシング70c、すなわち切換え回路部8の乾燥
炉2への隣接施工が完了する。
【0064】引き続き、切換え回路部用ケーシング70
cにコンデンサ用ケーシング70aおよびインダクタン
ス用ケーシング70bを隣接配置し、各ケーシング70
間に所定の配線を施すとともに、高周波発振機60から
の同軸ケーブル60aを可変コンデンサ71の中央電極
板72に接続することにより、木材乾燥装置1の施工が
完了する。
【0065】このように、本発明においては、高周波部
6の可変コンデンサ部7a、可変インダクタンス部7b
および切換え回路部8をそれぞれケーシング70a,7
0b,70cに収納してユニット化したため、これらの
ケーシング70a,70b,70cを組み合わせて乾燥
炉2に隣接配置することにより、面倒な現場工事を行う
ことなく乾燥炉2に高周波部6を付加することができ、
複合乾燥方式の木材乾燥装置1の設計・施工上好都合で
ある。
【0066】本発明の木材乾燥装置は以上のように構成
されているので、木材Wを乾燥するに際しては、まず対
向電極61間に所定本数の木材Wを方式させて第1積層
木材および第2積層木材を形成する。そのために、乾燥
炉2外に引き出された台車としての下部マイナス電極6
3上に8本の木材Wを下部マイナス電極63の長手方向
に向くように幅方向に並列載置し、ついで、各木材Wを
横断するように複数本の桟材R1を架け渡し、これらの
桟材R1上に上記同様に8本の木材Wを載置する。
【0067】そして、これら2段の木材列の上に下部プ
ラス電極62aを被せ、さらにこの下部プラス電極62
aの上に上記同様に2段の木材列を形成する。そして、
この木材列の頂部に共用マイナス電極65を積層するこ
とによって、下部プラス電極62aと共用マイナス電極
65との間に第1積層木材が形成された状態になる。
【0068】引き続き、共用マイナス電極65の上に2
段の木材列を形成し、その上に上部プラス電極62bを
積層した後、さらに上部プラス電極62bの上にも2段
の木材列を形成する。そして、最後に、最上部の木材列
の頂部に上部マイナス電極64を載置することによっ
て、共用マイナス電極65と上部マイナス電極64との
間に第2積層木材が形成され、対向電極61に所定数量
の木材Wが装着された状態になる。
【0069】ついで、乾燥炉2のドア23を開放し、下
部マイナス電極63を押圧して乾燥空間20b内に乾燥
対象の木材Wを装入する。そうすると、下部マイナス電
極63、下部プラス電極62a、共用マイナス電極6
5、上部プラス電極62b、および上部マイナス電極6
4が、それぞれ下部マイナス接点部材87、下部プラス
接点部材86a、共用マイナス接点部材89、上部プラ
ス接点部材86b、および上部マイナス接点部材88の
各パンダグラフ80に当接して互いに接続状態になる。
【0070】そして、乾燥空間20b内への第1および
第2積層木材の装入が完了すると、ドア23を閉め、電
源スイッチをオンして乾燥炉2内への電力供給可能状態
にする。そして図略のスイッチを操作することによって
ボイラ5を稼働させ、同時にファン3を回転駆動させる
とともに、一定時間経過後、高周波発振機60を駆動さ
せ、高周波発振機60からの高周波を、整合回路部7
(可変コンデンサ部7aおよび可変インダクタンス部7
b)および切換え回路部8を介して対向電極61に印加
する。木材Wに対する高周波の印加は、予め設定された
時間毎の切換え回路部8の切換え操作によって行われ、
これによって第1積層木材および第2積層木材に対し所
定時間毎に交互に高周波の印加が行われる。
【0071】ボイラ5の稼働によって発生した蒸気は、
蒸気配管51を介して圧力ポンプ52に送られ、ここで
昇圧されて蒸気支管53を通り乾燥室20内に噴射供給
される。乾燥室20内に供給された蒸気はファン3によ
り乾燥室20内を循環され(すなわち空気の循環方式と
して内部送風機型(IF型)が採用されている)、桟積
みされた各木材Wの表面に接触して木材Wを外部加熱す
る。本実施形態においては、乾燥室20内の乾球温度と
湿球温度との差が5〜10℃になるよう制御された状態
で乾燥の開始から終了に到るまで蒸気が乾燥室20内に
供給される、いわゆる蒸気式乾燥が採用されている。
【0072】そして乾燥が完了すれば、ボイラ5が停止
され、ファン3が止められてからドア23が開放されて
乾燥材となった木材Wが乾燥室20内から取り出され
る。
【0073】また、排気筒54内に設けられたダンパ5
5は、乾燥室20内の温度や湿度に応じて適宜開閉さ
れ、乾燥室20内の雰囲気が常に最適のものになるよう
に開度設定される。
【0074】そして、本発明においては、上記の外部加
熱が進行している間中、高周波発振機60で発生した高
周波が対向電極61を介して各木材Wに印加され、これ
により木材Wに対して外部加熱に内部加熱が加味され
た、いわゆる複合乾燥処理が施される。そして、高周波
発振機60からの高周波は、木材Wの経時的な乾燥状態
の変化によるインピーダンスの変化に応じて可変コンデ
ンサ部7aで同調処理が行われ、ついで可変インダクタ
ンス部7bでインダクタンス値が順次小さくなるように
調整され、これらのいわゆる整合処理が施された後、切
換え回路部8においてプラスの高周波の印加先が下部プ
ラス電極62aと上部プラス電極62bとの間で交互に
切り換えられながら対向電極61に向けて出力され、こ
れによって第1積層木材と第2積層木材とは交互に内部
加熱されることになる。
【0075】そして本実施形態においては、高周波によ
る内部加熱乾燥が採用されていることにより、木材Wの
表面からの水分の蒸発状態が均一になり、生木を加熱乾
燥した場合に起る水分の不均一に起因したたわみや割れ
が発生しない状態で木材Wは乾燥される。
【0076】図6は、本発明に係る制御機構の一実施形
態を示すブロック図である。本実施形態においては、乾
燥室20内の温度および湿度を、乾燥炉2に付設された
マイクロコンピュータからなる制御装置9によって自動
的に制御するようにしている。乾燥室20内には温度セ
ンサ91および湿度センサ92が設けられているととも
に、高周波回路の適所には反射型電力計からなる負荷状
態検出部93が設けられ、これら検出手段が検出した乾
燥室20内の温度、湿度および反射電力量が制御装置9
に入力される。
【0077】そして、制御装置9は、記憶されている制
御プログラムに基づいて各種の制御信号をファン3、ボ
イラ5、圧力ポンプ52、排気ファン57、アクチュエ
ータ56および整合回路部7に出力し、これに基く機器
の駆動で木材Wに対する複合乾燥処理が施されるように
なっている。制御装置9には当然のことながら乾燥操業
を実行するために必要な各種のデータを記憶する記憶部
(記憶手段)を有している。
【0078】そして、本実施形態においては、乾燥室2
0内の経時的な温度変化が、制御装置9に予め設定入力
されており、常にこの設定値と温度センサ91が検出し
た検出値との比較演算が行われるようになっている。こ
の比較演算の結果、温度が設定値よりも低いときは、制
御装置9からスチームヒータ4への蒸気供給量を増加さ
せる信号が出力され、温度が設定値よりも高いときは同
蒸気供給量を減少させる信号が出力されるようになって
いる。
【0079】また、本実施形態においては、制御装置9
に乾燥室20内の経時的な設定湿度が入力されており、
この設定値と湿度センサ92が検出した検出値との比較
演算が行われ、比較演算の結果、湿度が設定値よりも低
いときは、制御装置9からボイラ5および圧力ポンプ5
2への電力供給量を増加させる信号が出力され、湿度が
設定値よりも高いときは同電力供給量を減少させたり電
力供給を遮断する信号が出力されるようになっている。
かかる制御を行うことによっていわゆる乾球温度と湿球
温度との差が5〜10℃になるようにしている。
【0080】また、本実施形態においては、制御装置9
に負荷状態検出部93からの検出信号が入力され、これ
に基くフィードバック制御で反射電力が常に最小になる
ようにアクチュエータ71dが駆動されて第1可変コン
デンサ71aおよび第2可変コンデンサ71bの容量が
調節され、これによって木材Wに印加される高周波出力
はエネルギー伝達が効率的に行われるように常に木材W
のインピーダンスの経時変化に追随したものになる。
【0081】また、本実施形態においては、予め実験的
に求められた速度勾配で可変インダクタンス75の摺接
架橋部材77を下降させるようにしており、これによっ
て木材Wの乾燥進行に伴うインピーダンスの減少に追随
させて高周波エネルギーがより効率的に木材Wに供給さ
れるようにしている。
【0082】従って、上記各工程における乾燥室20内
の温度および湿度は常に適正に制御されて最適の外部加
熱環境になるとともに、高周波印加により木材Wに内部
加熱が施されることから、木材Wの内部の温度分布は常
に均一に制御された状態になり、木材Wの理想的な乾燥
処理が実現する。
【0083】そして、本発明方法の一実施形態は、上記
のような制御が行われることを基礎として実行されるも
のであり、所定の高温環境に置かれた木材Wに対し、略
一定の出力値に設定された高周波を、木材の含水率の減
少に伴って印加時間を漸減させつつ間欠的に印加するよ
うに制御するものである。
【0084】このような制御が行われるのは、以下の理
由による。すなわち、図7は、本発明方法を用いないで
木材Wの乾燥処理を行った多くのケースの内で、極めて
良好に乾燥処理が進行したものを抽出し、それに係る各
種の乾燥データの経時的変化をグラフ化したものである
が、かかる理想的な操業を行うためには、オペレータが
木材乾燥装置1に張り付け状態で乾燥状態を常に監視す
るとともに、予め装填されている木材のサンプル片を所
定時間間隔毎に取り出して精密に含水率を測定して木材
Wの含水率をこまめに参照しながら高周波の間欠的印加
のタイミングを見極めるようにする必要がある。
【0085】このような手間のかかる操業管理を行わ
ず、ただ単にタイマー等を用いた時間管理で高周波の間
欠的印加を行うと、例えば、木材Wの含水率の変動によ
って、高周波の印加時期でない時点に高周波が印加され
たり、そのインターバルが不適であるため無駄な高周波
電力が消費されて乾燥コストが嵩んだり、最悪の場合は
乾燥材にひび割れが生じたりして商品価値を著しく低下
させるような事態が発生することもある。
【0086】そこで、ポイントとなる制御の基礎要因が
何であるかを見極めるとともに、このポイントとなる制
御基礎要因と、各種の操業データとの関係を統計的に解
析することによって、木材Wの含水率を経時的に測定す
ることなく、図7に示すような理想的な操業を再現する
ことが可能であることを見出した結果、本発明方法が完
成したのである。
【0087】すなわち、乾燥操業の制御を円滑かつ効率
的に行うための鍵を握る最も重要な基礎要因として、木
材Wの材内含水率を挙げることができる。なぜなら、木
材Wの乾燥処理とは、木材Wの含水率を低下させる処理
のことであり、木材乾燥装置1の運転制御は、乾燥初期
の含水率を知ることに始まり、この含水率を所定の値に
まで低減させることによって終了するからである。そし
て、この木材Wの含水率は、先に述べた乾燥室20内の
温度制御および湿度制御が滞りなく実行され、かつ、高
周波の間欠的印加が理想的に実行された場合には、図7
に示すような経時的変化を示すのである。
【0088】図7に示す木材Wの経時的変化は、木材W
として所定断面寸法および所定長さ寸法の杉の製材(角
材)を使用し、この28本を図1および図2に示すよう
に第1対向電極61a間に装填して木材Wの第1ブロッ
クD1を形成するとともに、この第1ブロックD1を乾
燥室20内の温度(乾球温度)を85℃に、また湿球温
度を当初は乾球温度と同じにして経時的に漸減させるよ
うに制御した外部加熱環境に配置し、高周波の間欠印加
を実行したときのものである。
【0089】なお、第1ブロックD1に対する高周波の
間欠的印加は、当初110%であった木材Wの含水率が
57%にまで低下した時点から開始した。従って、木材
Wを乾燥室20に装填してから略40時間が経過するま
での間は、第1ブロックD1は外部加熱のみによって乾
燥処理が行われたことになる。このように初期乾燥を外
部加熱のみで行う理由は、乾燥初期の木材Wが高含水率
のときは外部加熱のみであってもそれなりに高い乾燥効
率を得ることができる一方、高含水率の木材Wにいきな
り高周波印加を行うようにすると電力消費が嵩み、トー
タル的には乾燥コストが増加することになるから、かか
る不都合を回避するためである。
【0090】そして、図7のグラフから判るように、乾
燥当初の外部加熱による含水率の減少は、含水率をM
(%)、乾燥時間をθ1(時間)として、 M=−1.282×θ1+110 となる。この直線は、木材Wの初期含水率が110%の
ときのものであるが、初期含水率がM0(%)のとき
は、 M=−1.282θ1+M0……(1) と表すことができる。
【0091】本発明においては、初期水分M0は、台車
としての下部マイナス電極63に搭載された木材Wのブ
ロックを重量測定することによって知ることができる。
すなわち、製材である木材Wは、その体積および含水率
が0%の場合の樹種毎の比重が既知であり、これらから
含水率0%の計算重量を算出し得るのである。そして、
実測重量から含水率0%の計算重量を差し引いた値が木
材Wに含まれる水の重量であるから、この水の重量を実
測重量で除することにより初期含水率M0が算出される
のである。
【0092】ついで、上記初期の外部加熱によって含水
率が50%〜60%(図7に示す例では57%)にまで
減少した時点で、高周波の間欠的印加が開始される。そ
して、高周波の印加が行われている期間内では、木材W
の材内温度は水分子が強振されることにより急激に上昇
し、この急激に上昇した高温度の水の蒸発によって、木
材Wの含水率の低下が促進され、図7に点線で示す、高
周波を印加しない場合の温度低下率より大きな低下率で
含水率は減少していくのである。高周波の印加が開始さ
れた時点を0時間とした場合、温度低下曲線(温度低下
特性)は、含水率をM(%)、乾燥時間をθ1(時間)
として、 M=37exp(−0.0530θ1)+20…(2) となる。この(2)式と上記(1)式とが本実施形態に
おける本発明の基準含水率低下特性である。
【0093】この式では、高周波の印加開始時、すなわ
ちθ1=0のときは、含水率はM=57%と算出される
が、実際の操業においては、高周波の印加開始がM=5
7%のときとは限らないため、(2)式を若干修正する
必要がある。この修正は以下のように行う。すなわち、
実際の高周波印加開始時の含水率をM1とした場合、
(2)式のMにM1を代入してそのときのθ1の値を計
算し((3)式)、このθ1の値を修正時間△θとして
(2)式に基く修正式((4)式)をつくるのである。
以後この(4)式が実際の操業で活用されることにな
る。
【0094】 △θ=(ln37−ln(M1−20))/0.053…………(3) M=37exp(−0.0530(θ1+△θ))+20………(4) この(4)式が本実施形態における本発明の含水率予定
低下特性である。
【0095】ついで、高周波印加による木材Wの材内温
度(T(℃))の変化は、印加開始からの経過時間(θ
2(分))の指数関数[T=a(exp(bθ2))]
として表すことができる。ところで、高周波印加による
木材Wの温度上昇の変化率は、木材Wの含水率が低下す
るに従って大きくなる傾向にある。この理由は、水の量
が多いとその分高周波のエネルギーが多い水に分散され
るのに対し、水の量が少ないと高周波のエネルギーが少
ない水に集中されるためであると考えられる。このこと
は、上記指数関数において、係数である「b」が木材W
の含水率Mの関数であることを示している。
【0096】そこで、図7に示す間欠的高周波印加の第
1回目から第10回目について、材内温度の経時変化を
グラフ化したのが図8である。実際このグラフから判る
ように、高周波の印加の回数が進むにつれて曲線は順次
立直方向に向かうことが確認される。かかる各回の高周
波印加について、統計的手法を用いて昇温曲線(昇温特
性)の式を導出してみると、以下のような計算式が得ら
れた。なお、これらの式の導出において、材内初期温度
を80℃(第1の温度)と仮定している。なお、θ2は
経過時間(分)である。
【0097】 第1回目印加(含水率M=58%) T=80(exp(0.00297θ2)) 第2回目印加(含水率M=52%) T=80(exp(0.00319θ2)) 第3回目印加(含水率M=45%) T=80(exp(0.00343θ2)) 第4回目印加(含水率M=40%) T=80(exp(0.00372θ2)) 第5回目印加(含水率M=35%) T=80(exp(0.00405θ2)) 第6回目印加(含水率M=32%) T=80(exp(0.00446θ2)) 第7回目印加(含水率M=30%) T=80(exp(0.00496θ2)) 第8回目印加(含水率M=27%) T=80(exp(0.00558θ2)) 第9回目印加(含水率M=25%) T=80(exp(0.00637θ2)) 第10回目印加(含水率M=23%) T=80(exp(0.00743θ2)) となった。
【0098】これらの式から、高周波印加による木材W
の経時的な温度上昇は、 T=80(exp(b×θ2))……(5) と表現することができる。
【0099】そして、上記それぞれの式の係数「b」と
木材Wの含水率Mとをプロットしたのが図9のグラフで
あるが、このグラフから判るように、含水率Mと係数
「b」との間には高度な相関が存在する。統計的な処理
でこの相関式を求めると、 b=0.0173(exp(−0.0639M))+0.0025…(6 ) を得ることができた。
【0100】従って、(6)式を(5)式に代入するこ
とにより、 T=80×exp[{0.0173(exp(−0.0639M))+0.0 025}×θ2]……(7) の昇温曲線(昇温特性)の計算式が得られ、木材Wの含
水率Mおよび経過時間θ2から一元的に木材Wの材内温
度Tが計算されることになる。
【0101】そして、本発明においては、間欠的高周波
印加のそれぞれの回における木材Wに対する高周波印加
は、図7のグラフに示すように、木材Wの材内温度が1
00℃(第2の温度)になるまで継続され、その後、高
周波印加が中断されることによって85℃の温度環境下
で放冷される。
【0102】図10は、各回の木材Wの温度降下曲線を
示すグラフである。かかる各回の高温度降下曲線(降温
特性)について、統計的手法を用いて式を導出してみる
と、以下のような計算式が得られた。なお、これらの式
の導出において、乾燥室20内に木材Wを長時間放置す
ると材内温度は85℃に収束すると仮定している。な
お、θ2は経過時間(分)である。
【0103】 第1回目放冷(含水率M=58%) T=15(exp(−0.0130θ2))+85 第2回目放冷(含水率M=55%) T=15(exp(−0.0104θ2))+85 第3回目放冷(含水率M=43%) T=15(exp(−0.0074θ2))+85 第4回目放冷(含水率M=37%) T=15(exp(−0.0066θ2))+85 第5回目放冷(含水率M=34%) T=15(exp(−0.0055θ2))+85 第6回目放冷(含水率M=31%) T=15(exp(−0.0046θ2))+85 第7回目放冷(含水率M=29%) T=15(exp(−0.0044θ2))+85 第8回目放冷(含水率M=27%) T=15(exp(−0.0036θ2))+85。
【0104】これらの式から、乾燥室20内における放
冷による木材Wの経時的な温度降下は、 T=15(exp(−c×θ2))+85……(8) と表現することができる。
【0105】そして、上記それぞれの式の係数「c」と
木材Wの含水率Mとをプロットしたのが図11のグラフ
であるが、このグラフから判るように、含水率Mと係数
「c」との間には高度な相関が存在する。統計的な処理
でこの相関式を求めると、 c=0.000273M−0.00381…(9) を得ることができた。
【0106】従って、(9)式を(8)式に代入するこ
とにより、 T=15[exp{(−0.000273M+0.00381)×θ2}]+ 85…(10) の降温曲線(降温特性)の計算式が得られ、木材Wの含
水率Mおよび経過時間θ2から一元的に木材Wの材内温
度Tが計算されることになる。
【0107】図7に示す例では、木材Wに対する間欠的
高周波印加の後の放冷時間は、一定(140分)に設定さ
れ、これによって放冷終了の木材Wの材内温度は、回を
重ねる毎に高くなっている。
【0108】そして、木材Wに対する高周波の印加は、
含水率Mが24%以下にまでダウンした回までとされ、
それ以後は乾燥室20内での放冷、すなわち外部加熱が
所定時間継続されてから木材Wの乾燥処理は終了するの
である。図7に示す例では、木材Wは、それに対する最
後の高周波印加が終わってから略40時間乾燥室20内
で放置され、略60℃にまで冷やされた時点で乾燥処理
が終了している。
【0109】そして、本発明は、このような理想的な乾
燥処理におけるデータを解析することにより上記の各計
算式を導出し、これらの計算式に基づいて、木材乾燥装
置1で処理される木材Wの初期含水率の変動に対応しな
がらこの理想状態を再現させる乾燥方法を提供するもの
である。
【0110】従って、上記には、このような乾燥方法を
実現するための各種の機能(各種の制御用の手段)が付
加されている。以下、図6に戻り、かかる制御装置9に
ついて詳細に説明する。すなわち制御装置9は、開始時
間計算部901、発振指示部902、到達時間計算部9
03、中断指示部904、降下温度計算部905および
停止指示部906を有している。
【0111】なお、この実施形態においては、開始時間
計算部901、到達時間計算部903および降下温度計
算部905が本発明装置のスケジュール設定手段に該当
し、発振指示部902、中断指示部904、および停止
指示部906が本発明装置の出力制御手段に該当する。
また、図示はしていないが、制御装置9内には適宜演算
された高周波供給スケジュールを記憶する記憶部が当然
に設けられており、この記憶部が本発明装置の記憶手段
に該当する。
【0112】開始時間計算部901は、入力された木材
Wの初期の含水率から木材Wが高周波印加開始含水率に
到達する時間を、予め記憶されている含水率計算式(上
記(1)式)に基いて計算するものである。初期の含水
率は、先に説明したように、木材Wの重量を測定するこ
とによって得ることができる。この初期含水率M0が制
御装置9に入力されると、開始時間計算部901は、
(1)式によって含水率Mが予め設定された高周波印加
開始含水率(例えばM=55%)になる時間θ1を計算
し、さらに現在の時刻にこの時間を加えて高周波印加の
時刻を算出するのである。
【0113】発振指示部902は、上記開始時間計算部
901の計算した時間が経過すると、以後、間欠的に高
周波発振機60に高周波を発振させる制御信号を出力す
るものである。従って、この時間が経過すると、制御装
置9から高周波発振機60に向けて間欠的に高周波印加
の制御信号が出力され、これによって高周波発振機60
の間欠的駆動が行われることになる。
【0114】到達時間計算部(スケジュール設定手段)
903は、上記高周波発振機60からの高周波印加で昇
温する木材W内部の温度が予め設定された昇温中止温度
に到達した時間を、木材Wの含水率との関係で予め記憶
されている昇温計算式(上記(7)式)に基いて計算す
るものである。(7)式における昇温中止温度Tとして
は水の沸騰温度である100℃が採用され、また、高周
波の印加が開始されるときの木材Wの初期水分Mは、
(4)式によって計算された値が採用される。これらの
値が(7)式に代入されることによって高周波の印加時
間θ2が算出され、この時間が高周波印加開始時刻に加
算されることによって高周波印加停止時間が算出され
る。
【0115】中断指示部904は、上記到達時間計算部
903の計算した時間になると、高周波発振機60の駆
動を中断させる制御信号を出力するものである。この制
御信号が高周波発振機60に向けて出力されることによ
り高周波発振機60の駆動が停止され、つぎの高周波印
加が開始されるまでの間、木材Wは100℃から炉内温
度の85℃に向けて温度が低下されることになる。
【0116】降下温度計算部905は、誘電加熱で10
0℃まで昇温された木材Wが、高周波印加が中断される
ことにより降下する温度を降温曲線の計算式(上記(1
0)式)に基いて計算するものであり、まず、(2)式
によって木材Wの含水率Mが計算され、ついでこの含水
率Mの値と、予め設定された中断開始からの経過時間θ
2の値とが(10)式に代入され、これによって乾燥室
20内で放冷により降下した木材Wの材内温度Tの値が
算出される。このようにして算出された温度Tは、
(7)式に基くつぎの誘電加熱による昇温時の昇温時間
算出に利用される。
【0117】停止指示部906は、誘電加熱が開始され
た後の含水率計算式((4)式)に基いて計算された木
材Wの含水率が予め設定された高周波印加停止含水率
(例えば25%)になると、上記高周波発振機60に向
けて高周波発振を停止させる制御信号を出力するもので
ある。この停止指示部906からの信号の出力によって
誘電加熱は中止され、以後木材Wは85℃の温度環境の
乾燥室20内に外部加熱状態で予め設定された時間(例
えば30時間)放置され、ついで外部加熱も停止された
状態でさらに所定時間(例えば10時間)放置されて乾
燥処理が完了するのである。
【0118】以下、制御装置9の制御による本発明方法
について、模擬的に数値を当てはめて図12を参照しな
がら具体的に説明する。図12は、模擬的実行(シミュ
レーション)における木材Wの温度および含水率の推移
を示すグラフである。まず、このシミュレーションにお
いては、乾燥対象の木材Wのブロックは1ブロックのみ
とし、木材Wの含水率が50%にまで低下した時点で高
周波印加が開始されること、間欠的高周波の印加は木材
Wの材内温度が100℃に到達したら中断すること、1
サイクル当りの高周波印加時間と放冷時間(高周波印加
中断時間)との合計時間は一律に4時間(240分)と
したこと、木材Wに対する高周波の印加は木材Wの含水
率が23%以下になったら中止することを前提条件とし
て採用した。また、このシミュレーションでは、木材W
の初期の含水率M0は100%とした。
【0119】「乾燥開始から最初の高周波印加が行われ
るまでの経過時間」上記(1)式にM=50%、M0=
100%を代入して外部加熱のみによる乾燥時間、すな
わち最初の高周波加熱が行われるまでの経過時間θ1
(hr)を計算すると、 50=−1.282θ1+100 θ1=(100−50)/1.282=39 すなわち、39時間になる(図12のP0点)。従っ
て、発振指示部902からは乾燥開始後39時間が経過
するまでは高周波発振機60に対して高周波発振のため
の制御信号は出力されない。
【0120】「第1回目の高周波印加」ついで、乾燥開
始後39時間が経過すると、到達時間計算部903は
(7)式に基いて、木材Wに対する高周波の印加時間を
算出する。このとき、材内温度T=100℃、木材Wの
含水率M=50%が(7)式に代入される。
【0121】100=80×exp[{0.0173
(exp(−0.0639×50))+0.0025}
×θ2] 100=80×exp(0.00321×θ2) ln100=ln80+0.0257θ2 θ2=(ln100−ln80)/0.00321 =(4.605−4.382)/0.00321 =0.223/0.00321=69.5 すなわち、発振指示部902からの制御信号が出力され
てから69.5分(1.16時間)が経過すると80℃
(第1の温度、図12のP1点)であった木材Wの材内
温度が100℃に到達することになり(第2の温度、図
12のP2点)、この時点で中断指示部904からの制
御信号により高周波発振機60の駆動が中断される。
【0122】「第1回目の乾燥室内での放冷」第1回目
の高周波印加で100℃にまで昇温した木材Wは、高周
波印加が中断された状態における乾燥室20の85℃の
外部加熱環境下で170.5分間(240分−69.5
分)放冷される。このときの木材Wの降下温度が(1
0)式によって計算される。具体的には、(10)式に
代入される木材Wの含水率Mは、高周波印加が開始され
たときの含水率M1=50%であること、および高周波
印加後69.5分が経過していること(すなわち、θ1
=69.5/60=1.16時間)により、上記(3)
式および(4)式から以下のように計算されるのであ
る。
【0123】 すなわち(3)式より、 △θ={ln37−ln(50−20)}/0.053 =(3.611−3.401)/0.053 =3.962 M=37exp(−0.053×(θ1+3.96))+20…(3)’ =37exp(−0.053×(1.15+3.96))+20 =37exp(−0.271)+20 =37×0.763+20=48.2% そして、このM=48.2%が乾燥室20に装填された
木材Wに第1回目の高周波印加が施されたことにより低
下して到達した木材Wの含水率である(図12のP3
点)。
【0124】この含水率の値、M=48.2%と、外部
加熱環境(85℃)での上記放冷時間θ2=170.5
分(240分−69.5分)とを(10)式に代入する
ことにより、以下のとおり、第1回目の放冷終了後の材
内温度Tが算出される(図12のP4点)。
【0125】 T=15[exp{(−0.000273×48+0.00381)×171 }]+85=15[exp(−0.00929×171)]+85 =15×0.204+85=88.0℃(第1の温度) 「第2回目の高周波印加」第1回目の放冷が終了すると
(すなわち第1回目の高周波印加から240分(4時
間)が経過すると)、引き続き第2回目の高周波印加が
実行される。ところで、第1回目の放冷終了時点(図1
2のP5点)では、木材Wの含水率は、高周波印加の余
韻と外部加熱とで、(3)′式により算出される44.
3%になっているため(M=37exp(−0.053
×(4+3.96))+20=37exp(−0.43
0)+20=44.3%)、第2回目の高周波印加で
は、印加時間を算出するために(7)式に代入される木
材Wの含水率Mは44.3%が採用される。
【0126】また、第1回目の放冷が終了した時点(図
12の点P4)では、木材Wの材内温度は88℃になっ
ているため、(7)式において、まず80℃の木材Wが
100℃にまで昇温する時間を算出し(63.3分)、
その後、88℃にまで昇温する時間(27.1分)を差
し引いたもの、すなわち36.3分が、第2回目の高周
波印加で木材Wが100℃にまで昇温するに要する時間
となる。
【0127】「第2回目の乾燥室内での放冷」第2回目
の高周波印加で100℃にまで昇温した木材Wは、高周
波印加が中断された状態における乾燥室20の85℃の
外部加熱環境下で203.8分間(240分−36.2
分)放冷され、木材Wの降下温度が(10)式によって
計算される。具体的には、(10)式に代入される木材
Wの含水率Mは、高周波印加が開始されたときの含水率
M1=50%であること、および高周波印加後4.6時
間が経過していることにより、上記(3)′式から4
3.5%と計算されるのである。このM=43.5%
と、θ2=204分を(10)式に代入することによ
り、第2回目の放冷時の下降到達温度が86℃と算出さ
れる。
【0128】「3回目以降の高周波間欠印加」以上のよ
うな高周波の間欠印加を3回目以降も上記同様の計算に
よって継続することにより、各回の高周波印加時間、お
よび各回の放冷後の材内温度が予測される。1回目から
のものも含めて表1に示す。この表の値をグラフにプロ
ットしたのが今までの説明で参照してきた図12であ
る。因みに、表1の各サイクルにおける高周波印加開始
時間(θ1)と高周波印加時間(θ2A−θ2B)とが
本実施形態における本発明の高周波供給スケジュールで
ある。
【0129】
【表1】
【0130】そして、このシミュレーションでは、12
回目の放冷後に木材Wの含水率が23%以下になったた
め、この時点でつぎの高周波印加を行わないこととし、
残りの時間を外部加熱のみで費やすようにしている。
【0131】このシミュレーションで判るように、本発
明の乾燥方法は、木材乾燥装置1の乾燥室20内を所定
の温度環境に設定した状態において、高周波の間欠的印
加を行った場合の過去の操業データを解析することによ
り、木材Wの経時的温度変化の計算式を木材Wの初期含
水率の関数として導出するとともに、高周波印加による
木材Wの昇温曲線(昇温特性)の式および高周波印加を
中断した場合の降温曲線(降温特性)の式を導出してお
り、これらの式に基いて高周波の印加タイミングおよび
印加中断のタイミングを決めるようにしているため、木
材乾燥装置1の乾燥室20に装填直前の木材Wの初期含
水率のみを測定し、この含水率を制御装置9に入力する
ことにより、以後は、各計算式に基いて高周波の印加タ
イミングおよび印加時間が順次計算され、この計算結果
が制御信号として高周波発振機60に向けて出力される
ことにより理想的な高周波の間欠的印加が行われること
になる。
【0132】従って、本発明においては、従来のように
多数の温度センサを木材Wに装着し、これらの温度セン
サの検出結果に基づいて行うような、いわゆるフィード
バック制御を採用する必要がなくなり、その分、操業管
理が簡潔になって運転コストの低減化に寄与することが
可能になる。
【0133】このシミュレーションでは、木材Wに対す
る高周波印加時間と放冷時間との合計時間が一定になる
ように(上記の例では4時間)設定された制御が行われ
ているが、こうする代わりに、放冷による降下温度が一
定になるような制御を行うことも可能である。
【0134】また、上記の実施形態においては、初期の
外部加熱のみが行われる期間が経過した後(図12にお
けるP1点以降)は、高周波印加時および高周波印加中
断時の双方について、(4)式のみによってその後の木
材Wの温度推移を計算するようにしている。これは、図
7に示すような標準的な高周波の間欠的印加を基礎と
し、これに若干のばらつき(木材Wの含水率や高周波印
加タイミング等の若干のばらつき)が付加された操業に
おいては、温度推移の計算式を高周波印加時とそうでな
いときとの二本立てにするまでもなく、一つの計算式で
充分に対応可能であることを多くの試験を重ねた結果確
認されたからである。
【0135】しかし、さらに厳密な制御を行おうとすれ
ば、高周波印加時と印加中断時とで別の計算式を採用し
てもよい。具体的には、上記(4)式を、過去のデータ
の統計的な解析によって高周波印加時のものと、放冷時
のものとに分けるのである。このようにすると、高周波
印加時とそうでないときとでそれぞれ専用の計算式に基
いて木材Wの含水率が計算されるため、含水率に基いた
高周波の印加タイミングの計算がより精度の高いものに
なる。
【0136】また、上記のシミュレーションでは、乾燥
室20内に、木材Wの1ブロックのみが装填される場合
を対象として説明したが、本発明は、乾燥室20に1ブ
ロックのみの木材が装填されることに限定されるもので
はなく、図2に示すように、複数ブロック(図2に示す
例では第1ブロックD1および第2ブロックD2の2ブ
ロックが乾燥室20に装填されている)を対象にして高
周波の間欠的印加を行うようにしてもよい。
【0137】このような複数ブロックの高周波印加が可
能となるのは、上記のシミュレーションでも判るよう
に、間欠的印加においては、放冷に費やされる時間が高
周波を印加している時間の数倍に達しているため、1台
の高周波発振機60からの高周波を、このアイドルタイ
ムを利用して他のブロックに順次切り換え印加すること
ができるためである。こうすることによって、1セット
の木材乾燥装置1でありながら乾燥効率が数倍に向上す
る。そして、各ブロックに対しては、上記シミュレーシ
ョンと同様の高周波印加タイミングの制御が実行され
る。以下順次切換え印加方式の一実施形態について図1
3を基に詳細に説明する。
【0138】図13は、第1ブロックD1〜第6ブロッ
クD6に区分された木材を対象とした順次切換え高周波
印加方式を説明するための説明図である。図13に示す
ように、乾燥炉2の乾燥室20内には、3台の台車63
0(下部マイナス電極63が台車を兼用している)に分
載された木材に順次高周波が印加されるようになってい
る。具体的には、図13の左側の台車630には木材の
第1ブロックD1と第2ブロックD2とが縦積みで搭載
されているとともに、中央部の台車630には木材の第
3ブロックD3と第4ブロックD4とが搭載されてい
る。また、右側の台車630には、木材の第5ブロック
D5と第6ブロックD6とが搭載されている。
【0139】そして、高周波発振機60からの高周波
は、整合回路部7および切換え回路部8を介して各ブロ
ックD1〜D6に順次切り換えて供給されるようになっ
ている。本実施形態においては、制御装置9からの制御
信号によって高周波発振機60のオン・オフがされると
ともに、切換え回路部8が所定の切換え操作を行い、こ
れによってまず第1ブロックD1の木材に高周波が印加
され、木材が100℃にまで昇温されると高周波の印加
は第2ブロックD2に切り換えられる。このような切り
換え操作が第6ブロックD6まで繰り返され、第6ブロ
ックD6の高周波印加が終わると今度は第1ブロックD
1に戻り、木材の含水率が所定の値を下回るまでこのよ
うな切り換え操作が繰り返されることにより6ブロック
の木材に対して1台の高周波発振機60で複合乾燥処理
が施されるのである。
【0140】以下、このような6ブロックの順次切換え
高周波印加方式について、模擬的実行(シミュレーショ
ン)の例を以下に示すが、6ブロックの木材についての
上記のような高周波印加を順次切り換えながら行うシミ
ュレーションの計算は、先の例の1ブロックについての
計算より相当複雑になる。そこで、まず計算方式につい
て説明する。
【0141】木材の初期含水率は先のシミュレーション
と同様に100%とし、100%の含水率が50%にま
で低下した時点で最初の高周波印加を行うこととした。
従って、最初の高周波印加までの外部加熱乾燥に費やさ
れた時間は、先のシミュレーションと同様に39時間で
ある。従って、図14のグラフは、乾燥室20に装填さ
れた各ブロックD1〜D6の木材に外部加熱処理が施さ
れてから39時間が経過した時点を起点として示したも
のになっている。
【0142】なお、今回の計算に当たっては、予め得ら
れている知見に基づいて高周波印加の実績操業に近づく
ように先の計算式の比例常数や定数等を補正している
が、この補正についても順次説明する。
【0143】まず、各ブロックの基本的な計算要素を一
覧表にしたのが表2である。この表には、 サイクル数N(回)、 高周波印加開始時間θ1i(hr)、 昇温開始時の木材含水率M1i(%)、 木材が80℃→100℃に昇温する昇温時間θ2Ai
(min)、 木材が80℃→T0℃に昇温する昇温時間θ2Bi(m
in)、 高周波印加時間θ20i、 放冷開始時の木材含水率M2i(%)、 放冷時間θ21i(min)、 放冷時間経過後の木材温度T0i(℃) についての計算式が記載されている。
【0144】
【表2】
【0145】表2に示すこれらの計算式のうち昇温開始
時の木材含水率M1i(%)および放冷開始時の木材含
水率M2i(%)は、先の(3)′式であり、木材が8
0℃→100℃に昇温する昇温時間θ2Ai(mi
n)、および木材が80℃→T0℃に昇温する昇温時間
θ2Bi(min)は、上記(7)を変形した式であ
り、放冷時間経過後の木材温度T0i(℃)は、先の
(10)式である。
【0146】また、式中の「i」は、木材のブロック番
号を示す添字であり、i=1は、第1ブロックD1を示
し、i=2は、第2ブロックD2を示し、以下同様であ
ってi=6は第6ブロックD6を示すものである。そし
て、まず表2に示す計算式に基いて、第1ブロックD1
について添字i=1とした計算を行い、第1ブロックD
1の第1回目の高周波印加が終わってから第2ブロック
D2について添字i=2とした計算を行い、このような
計算を第6ブロックD6に到るまで計算して第1サイク
ルの各ブロックD1〜D6の高周波印加時間を算出し、
このような計算を第2サイクル、第3サイクルと順次サ
イクル数を進めて計算していくことにより、各ブロック
D1〜D6の高周波印加の時間割を得ることができるの
である。
【0147】なお、表2に示す計算式は、元を正せば図
7に示す1ブロックを対象とした操業データを解析する
ことによって得られたものであり、高周波印加による誘
電加熱と、炉内における外部加熱とによる木材の複合乾
燥処理においては、図7に示すような挙動で乾燥が進行
することの傾向を表現するものであるから、実際の操業
において、炉内温度を85℃に設定する等の乾燥炉2の
外部加熱条件や、高周波出力を木材の1立方m当り10
〜12KWに設定する等の高周波印加条件などの基本的
な事項で図7に示す操業と一致させたとしても、乾燥対
象木材の樹種やブロック数等の条件が異なることによ
り、結局、表2の計算式を全ての場合にそのまま適用す
ることはできない。
【0148】そこで、過去の実績から得られた各種の知
見に基づいて状況に応じて表2の計算式の比例係数や定
数に修正が加えられ、この修正が正しいか否かが実操業
によるトライアンドエラーで確かめられ、その乾燥炉に
適した計算式が見出されるのである。そして、その乾燥
炉固有の計算式が得られると、後はその計算式を用いて
木材の初期含水率の変動に対応した各ブロックの木材に
対する高周波印加時間を算出し、これに基いて複数ブロ
ックの木材に対する高周波印加の時間割をつくることが
できる。この時間割に基いて実際に操業を行えば、ただ
単純に時間の割り振りで高周波印加時間を設定する従来
の操業方法に比べて、高周波印加による被乾燥木材への
より適正なエネルギー付与が行われ、より経済的な乾燥
処理が実現するのである。
【0149】そして、この計算例では、表2に示す昇温
開始時の含水率M1iの計算式において、つぎに高周波
印加が回ってくるまでの時間である(θ21i/60)
の1/5である(θ21i/300)と修正し、これに
よって高周波印加がつぎに回ってきたときの木材含水率
の値を(3)′式(すなわち表2に示す式)により計算
した値より大きくなるようにしている。このようにした
理由は、つぎの高周波印加が回ってくるまでの間は、そ
のブロックの木材には高周波が印加されておらず、従っ
て、含水率の減少率は(3)′式によるものより小さい
と考えられるからである。なお(θ21i/60)の何
分の1を採用するかは、トライアンドエラーにより見出
される。
【0150】また、この計算例では、表2に示す80℃
からT0℃に到る昇温時間θ2Biを半分に見積もり、
これによって高周波印加時間θ20i(θ2Ai−θ2
Bi)を大きくなるように修正している。こうすること
によって表2の式による計算結果より高周波印加時間が
長引くようにしているが、こうすることによって実際に
は木材温度がすでに100℃に到達していながらさらに
高周波の印加が継続され、従って、含水率が40〜50
%と高い間は高周波のエネルギーが水の蒸発に使用され
ることにより木材温度は100℃を越えないが、含水率
が30%未満に少なくなっていくと、水のない所の木材
組織が100℃以上にまで昇温された状態になることが
実験的に確かめられている。
【0151】因みに、昇温時間θ2Biをどの程度少な
く見積もるかは、トライアンドエラーで逐一確かめたう
え、状況に応じて適宜設定することができる。上記のよ
うな修正を加えた計算式を表3に示した。
【0152】
【表3】
【0153】なお、この表3に示す計算式に基いて計算
するためには、初期値が必要である。この初期値とし
て、各ブロックD1〜D6の高周波印加前の含水率を8
0%とした。また、この計算例では、サイクル数は11
とした。計算結果を表4に示すとともに、図14に木材
の温度変化を経時的にグラフ化して示した。なお、図1
4においては、第2〜第4ブロックD2〜D6の温度推
移については、第2サイクルの途中まで点線で示して以
後は省略している。これは6本の温度推移線を最後まで
引くと、サイクル時間が順次短くなって6本の温度推移
の線が錯綜し、見苦しくなるためであり、従って第1ブ
ロックD1の温度推移のみを代表させて最後まで示して
いる。因みに、表4の各サイクルにおける各ブロックN
o.1〜No.6の高周波印加時間が本実施形態におけ
る本発明の高周波供給スケジュールである。
【0154】
【表4】
【0155】このシミュレーション結果によれば、表4
に示すように、第11サイクル目の高周波印加が行われ
ることにより、第1〜第6ブロックD1〜D6の木材含
水率は、25.7、25.5、25.4、25.2、2
5.1および25.0にまで低下しており、この時点で
誘電加熱と外部加熱とによる複合乾燥が完了したことが
判る。
【0156】因みに、各サイクルで第1ブロックD1の
含水率が最も大きく、他のブロックに移るに従って順次
低下しているのは、表4に示す含水率は、高周波印加が
中断された時点のものであり、含水率の値は時間的にず
れているからである。従って、第11サイクルで第6ブ
ロックD6の高周波印加が終了した時点、すなわち、第
1サイクルで第1ブロックD1に高周波の印加を行って
から第11サイクルで第6ブロックD6への高周波印加
が完了した時点までの略2400分(4時間)が経過し
た時点では、第1〜第5ブロックD1〜D5の木材含水
率は25%になると見込まれる。
【0157】その理由は、本発明方法は、高周波の間欠
印加による誘電加熱と外部加熱とにより複合乾燥方式に
おいて、木材に理想的な状態で高周波の間欠印加が施さ
れると、含水率は初期の値(乾燥前の初期の含水率、お
よび高周波印加開始時の含水率であり、このシミュレー
ションでは、乾燥前含水率は100%、高周波印加開始
時の含水率は50%に設定している。)にのみ影響され
てその後は大局的に、図14に示すように、時間の関数
として決まることを大前提にして構築されているからで
あり、また、本発明によって理想的な高周波印加が実現
するのである。
【0158】従って、このような理想的な高周波印加が
行われると、ブロック間における僅かな高周波印加時間
の差は、外部加熱が高周波印加の不足分を補うように作
用するため、表4に示す例では、各ブロックD1〜D6
の全てについて略4時間が経過すると、含水率は25%
になると考えられるのである。
【0159】そして、複数ブロックを対象とし、一のブ
ロックに対する高周波印加が完了すると、つぎのブロッ
クに高周波印加を移し、これを順次繰り返すことによっ
て複合乾燥を実行するような場合には、予め表4に示す
ような各ブロックの高周波印加の時間割をつくってお
き、制御装置9(図6)の制御の基に高周波印加を順次
切り換えていくようにすれば、過去の最良の操業を再現
した形の理想的な操業が実現するのである。従って、従
来のように、適当に時間を割り振って高周波の間欠的印
加を行う場合に比較し、木材に過不足のない高周波のエ
ネルギーが供給され、エネルギーコストの低減化に寄与
するとともに、常に木材に対して均一な乾燥処理を施す
ことが可能になる。
【0160】そして、本発明を実操業に適用するに当た
って、上記の複数ブロックを対象としたシミュレーショ
ンでは、表2に示す基本計算式を、表3に示すように修
正(具体的には表2のM1iを求める式の(θ21i/
60)を(θ21i/300)にするとともに、θ20
iを求める式の(θ2Bi)を(θ2Bi/2)にする
修正)して適用したが、基本計算式の修正は、このよう
な修正に限定されるものではなく、各計算式の変数に用
いられている比例常数や、計算式中の定数を適宜実操業
の状況に合わせて修正してもよい。
【0161】かかる修正によって、乾燥炉固有の特性
や、炉室内の温度および湿度等の操業条件に合致した計
算式を得ることができる。但し、かかる修正計算式を得
るためには、実操業試験によるトライアンドエラーでそ
の炉における理想的な操業形態(具体的には理想的な木
材含水率および木材温度の推移)を、一つの操業形態の
みでよいから予め見出しておき、この操業形態に合うよ
うに係数および常数を修正すれば、後はこの修正式を用
いて高周波印加の時間割を容易に作成することができる
のである。すなわち、本発明の乾燥方法は、非常に汎用
性に富むものなのである。
【0162】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0163】上記の実施形態においては、乾燥前の木材
の含水率を、実際に測定して得た木材のウエット重量と
木材の種類毎に既知の木材の比重と体積とから算出した
ドライ重量との差として予め算出し、この算出含水率が
50%〜60%の範囲内の所定の値に低下するまで外部
加熱を実行し、その後高周波の間欠印加を行うようにし
ているが、50%〜60%に代えて木材含水率が40%
〜70%の範囲内の所定の値になる時間を上記含水率経
時変化曲線から見出し、この時間が経過してから木材に
対する高周波の印加を開始するようにしてもよい。
【0164】すなわち、乾燥処理に供される木材は、通
常、製材された角材であり、その体積と樹種毎のドライ
比重とが既知であるため、乾燥処理の直前に木材の重量
を測定することによって計算で容易に含水率が求められ
る。この含水率が得られると、上記含水率経時変化曲線
(直線を含む)から含水率が40%〜70%の範囲内の
所定の値に到達する時間を知ることができ、この時間が
経過してから高周波印加の開始時刻とすることで、以後
の間欠的な高周波印加処理が適正に行われるのである。
【0165】因みに、高周波印加開始の木材含水率が4
0%〜70%の範囲内に設定し得るのは、40%より小
さいと、高周波印加前に行われる外部加熱に時間が掛り
過ぎ、乾燥処理が非効率になるからであり、逆に70%
より大きいと、高含水率の木材に高周波が印加されるこ
とになり、これによって電力消費量が増大してエネルギ
ーコストが嵩み、トータル的に乾燥コストが増大するか
らである。
【0166】また、本発明において、木材を外部加熱す
る高温環境の温度を80℃〜90℃に設定するととも
に、内部加熱乾燥において木材の温度が100℃に到達
した時点でそのサイクルにおける高周波の印加を停止
し、木材の含水率が20%〜30%に到達した時点で高
周波の間欠的印加を停止するようにしてもよい。
【0167】こうすることによって、外部加熱温度が8
0℃〜90℃の範囲内にある状態で、高周波の間欠的印
加を行うようにすることにより、外部加熱と誘電加熱と
の併用が極めて良好に行われる。このことは多くの試験
を重ねた結果経験的に把握された事項であり、外部加熱
の環境温度が80℃未満のときは、高周波印加で木材の
材内温度を100℃にまで上昇させると、材内温度と環
境温度との差が大きくなり過ぎ、材内での温度分布が一
様でなくなって、均一な温度での乾燥処理が阻害される
一方、外部加熱の環境温度が90℃を越えると、高周波
印加によるエネルギーの付与量が少なくなり過ぎ、その
分、乾燥時間が長引くという不都合が生じるが、かかる
不都合を回避するため、外部加熱の環境温度を80℃〜
90℃に設定している。
【0168】また、木材の含水率が20%〜30%にま
で低下した状態で、通常、乾燥が完了したと判断される
ため、この水分量で乾燥の進行を止めるべく、高周波印
加が停止される。これによって高価な電力エネルギーの
節約が実現する。
【0169】また、上記の実施形態においては、高周波
印加による木材の経時的な温度変化を自然数の累乗の式
(上記(5)式)で表しているが、こうする代わりに温
度が直線的に変化するとした一次式(T=αθ2+β)
によって規定してもよい。なぜなら、本発明では、高周
波印加開始時と、それによって木材温度が100℃に到
達した時点との2点が重要であって、その間の温度上昇
の経緯は不要であるから、あえて曲線回帰で式を求める
必要がないのである。こうすることによって計算式が簡
単なものになる。
【0170】また、本発明で採用される木材の乾燥装置
において、乾燥室に装填された木材に熱源からの熱を供
給することによって外部加熱を施す乾燥炉と、この乾燥
炉の乾燥室内に装填された木材に高周波を印加して誘電
加熱を施す誘電加熱装置と、木材への高周波印加のタイ
ミングを制御する制御手段とが備えられ、上記誘電加熱
装置は、上記乾燥室内に配設された、木材を挟持する対
向電極と、この対向電極を介して木材に高周波を印加す
る高周波発振機とを備えて構成され、上記制御手段は、
入力された木材の初期の含水率から木材が高周波印加開
始含水率に到達するまでの時間を、予め記憶されている
時間計算式に基いて計算する開始時間計算部と、この開
始時間計算部の計算した時間が経過すると、上記高周波
発振機に高周波を発振させる制御信号を出力する発振指
示部と、上記高周波発振機からの高周波印加で昇温する
木材内部の温度が予め設定された昇温中止温度に到達す
るまでの時間を、木材の含水率との関係で予め記憶され
ている昇温計算式に基いて計算する到達時間計算部と、
この到達時間計算部の計算した時間が経過すると、上記
高周波発振機の高周波発振を中断させる制御信号を出力
する中断指示部と、上記含水率計算式に基いて計算され
た木材の含水率が予め設定された高周波印加停止含水率
になると、上記高周波発振機の高周波発振を停止させる
制御信号を出力する停止指示部とが備えられているよう
にしてもよい。
【0171】こうすることによって、開始時間計算部に
よって入力された木材の初期の含水率から木材が高周波
印加開始含水率に到達するまでの時間が、予め記憶され
ている時間計算式に基いて計算され、この開始時間計算
部の計算した時間が経過すると、発振指示部が高周波発
振機に向けて高周波を発振させる制御信号を出力する。
そして、到達時間計算部は、高周波発振機からの高周波
印加で昇温する木材内部の温度が予め設定された昇温中
止温度に到達するまでの時間を、木材の含水率との関係
で予め記憶されている昇温計算式に基いて計算し、この
到達時間計算部の計算した時間が経過すると、中断指示
部が上記高周波発振機の高周波発振を中断させる制御信
号を出力する。かかる高周波印加と印加中断とが繰り返
される間欠的高周波の印加によって、外部加熱と誘電加
熱とが併用された木材の乾燥処理が進行する。そして、
含水率計算式に基いて計算された木材の含水率が予め設
定された高周波印加停止含水率になると、停止指示部か
ら高周波発振機に向けて高周波発振を停止させる制御信
号が出力され、これによる高周波印加の終了と、その後
の若干の養生時間とで木材の乾燥処理が完了する。
【0172】このように、木材の初期の含水率さえ判れ
ば、その後は、含水率計算式に基く経時的な水分値の変
化に応じて、高周波の間欠的印加のタイミングや印加停
止のタイミングが決定されるため、無駄な電力が消費さ
れたり、高周波印加不足で充分な乾燥が行われなくなる
ような不都合が回避され、常に良好な乾燥処理が実現す
る。
【0173】また、従来、木材に温度センサを装着して
実際の温度を測定しながら、測定値に基いて高周波印加
のタイミングを逐一設定することが行われることがある
が、かかる従来の方法では木材ブロックの代表温度を得
るために複数本の木材のそれぞれ1本ずつに温度センサ
を装着する必要があり、このような作業は非常に手間の
掛るものであることから、これがネックとなって効率的
な乾燥処理が行い得なくなるという問題点が生じるが、
本発明では、木材の初期水分のみが判れば、後は温度セ
ンサを用いることなく経時的な温度変化が実験的に得ら
れた含水率計算式から算出されるため、この点からも操
業性が向上するとともに、運転コストの低減化が実現す
る。
【0174】また、上記の実施形態においては、乾燥室
20内の温度(すなわち本発明の第1の温度)が80℃
に設定された例について説明したが、乾燥室20内の温
度が80℃であることに限定されるものではなく、乾燥
対象の樹種や乾燥炉2の外部加熱能力等に応じて70℃
〜90℃の範囲内で適宜設定することができる。さら
に、上記の実施形態においては、高周波の印加を中断す
るときの温度(すなわち本発明の第2の温度)が100
℃に設定された例について説明したが、100℃に限定
されるものではなく、100℃〜110℃の範囲内で適
宜設定してもよい。また、間欠印加の初期段階における
高周波印加では第2の温度を100℃に設定し、間欠印
加の回数が進むに従って第2の温度を110℃に向かっ
て順次漸増させるようにしてもよい。
【0175】また、上記の実施形態においては、制御装
置9の制御の基に、逐一高周波印加のタイミングが演算
されつつ複合乾燥の操業が実行されるようになされてい
るが、本発明は、かかる方式での乾燥処理に限定される
ものではなく、上記各計算式に基いて、予め高周波の間
欠印加のスケジュール(すなわち高周波印加の開始時刻
と印加時間の一覧表)を机上計算(手計算およびコンピ
ュータを用いた計算の別を問わない)で求めておき、こ
の計算結果を制御機器に入力して乾燥処理を実行するよ
うにしてもよい。
【0176】このようにすると、制御機器として高度な
コンピュータを使用するまでもなく、上記スケジュール
に沿って高周波発振機60をオン・オフしたり他のブロ
ックに切り換えるタイマーを設けるだけで済ませること
が可能になり、本発明方法をより安価に実操業に適用す
ることができる。
【0177】そして、高周波印加のスケジュールについ
ては、一旦代表的なものが作成されると、実際の乾燥操
業時に乾燥対象木材の樹種や含水率等の変動要因を勘案
しながらこの代表的なスケジュールを参照して間欠的な
高周波印加時間を経時的に短くしていく実操業用のスケ
ジュールを、特に上記の各計算式を用いて逐一計算する
までもなく作成することは容易であり、かかる方式での
高周波印加スケジュールに基く乾燥処理も本発明方法の
範囲に含まれる。
【0178】因みに、かかる事前計算方式で本発明方法
を実行する場合には、机上計算で得られた高周波のオン
・オフ時刻と印加時間の一覧表が本発明装置の実操業用
の高周波供給スケジュールに該当し、このスケジュール
に基いて高周波のオン・オフ時刻と印加時間が設定され
ているとともに、これらのオン・オフ動作の実行によっ
て高周波発振機に駆動信号が発信されるように構成され
たタイマーが本発明装置の記憶手段および出力制御手段
に該当する。
【0179】
【発明の効果】請求項1および5記載の発明によれば、
所定の高温環境(第1の温度の環境)に置かれた木材に
対し、略一定の出力値に設定された高周波(設定レベル
の高周波)を、木材の含水率の減少に伴って印加時間を
漸減させつつそれぞれのサイクルで第2の温度に到達す
るように間欠的に印加することができるため、乾燥の進
行による含水率の低下により少なくなっていく材内の水
に高周波のエネルギーが集中的に印加されることで起こ
る木材内部の過加熱が順次抑えられて過加熱による水の
沸騰で蒸発潜熱分の電力エネルギーが無駄に消費される
不都合が回避され、これによって木材をエネルギーロス
の少ない状態で効率的に乾燥することができる。
【0180】請求項2記載の発明によれば、複数の木材
を高温環境内で複数のブロックに区分し、一のブロック
に対する間欠的高周波印加の休止期間中に他のブロック
に高周波を印加するように1台の高周波発振機で順次切
り換えながら各ブロックに高周波印加を施すようにした
ため、1台の高周波発振機でありながら一のブロックへ
の高周波印加が中断されている間を利用して他のブロッ
クに対して高周波印加を行う、複数のブロックを対象と
した間欠的高周波印加が可能になり、これによって設備
コストを抑えた上で同一時間内により多くの木材の乾燥
処理を行うことができ、乾燥コストの低減化を図る上で
有効である。
【0181】請求項3記載の発明によれば、所定の高温
環境に置かれた木材の含水率の経時変化を示す含水率経
時低下特性を予め求めておき、この含水率経時低下特性
に基いて間欠的に印加する高周波の各印加時間を設定す
るようにしたため、実際の乾燥処理時に、乾燥しようと
する木材の種類等ですでに求めてあるどのケースの含水
率経時低下特性が当てはまるかを見つけ出し、この低下
特性に基いて高周波の各印加時間を設定することによ
り、過去の操業を再現するように乾燥処理を行うことが
可能になり、過去の良好な操業を再現した失敗のない乾
燥処理を木材に施すことができる。
【0182】請求項4記載の発明によれば、所定の高温
環境に置かれた木材について、木材の含水率との関係で
設定した、高周波を印加する外部加熱と内部加熱とを併
用した場合の経時的な木材の昇温特性と、高周波印加に
より一旦高温環境の温度よりさらに高温の所定温度に到
達した木材の高周波印加を中断した外部加熱のみの場合
の経時的な木材の降温特性とを予め求めておき、これら
昇温特性および降温特性に基いて間欠的に印加する高周
波の各印加時間と、高周波を印加しないインターバル時
間とを設定するようにしたため、乾燥処理中の所定の時
点で木材の含水率が予測されると、この木材の含水率と
の関係で昇温特性に基いて高周波印加が行われた場合に
木材が所定の温度に到達するまでの時間を算出すること
ができるとともに、一旦所定の温度にまで昇温した木材
の降温挙動を降温特性によって知ることができ、これら
木材の昇温挙動および降温挙動から高周波印加のタイミ
ングを容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木材乾燥装置の一実施形態を示す
一部切欠き斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】高周波部の回路構成の一実施形態を示す説明図
である。
【図5】炉外の切換え回路部および炉内の対向電極間の
リード線板接続構造の一実施形態を示す一部切り欠き斜
視図である。
【図6】本発明に係る制御機構の一実施形態を示すブロ
ック図である。
【図7】木材の乾燥処理を行った多くのケースの内で、
極めて良好に乾燥処理が進行したものの各種乾燥データ
の経時的変化を示すグラフである。
【図8】図7に示す間欠的高周波印加における高周波印
加時間と材内温度との関係を示すグラフである。
【図9】係数「b」と木材の含水率との関係を示すグラ
フである。
【図10】各回の木材の温度降下曲線を示すグラフであ
る。
【図11】係数「c」と木材の含水率との関係を示すグ
ラフである。
【図12】模擬的実行(シミュレーション)における木
材の温度および含水率の推移を示すグラフである。
【図13】第1ブロック〜第6ブロックに区分された木
材を対象とした順次切換え高周波印加方式を説明するた
めの説明図である。
【図14】計算例における各ブロックの温度の推移を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 木材乾燥装置 2 乾燥炉 20 乾燥室 3 ファン 4 スチームヒータ 5 ボイラ 6 高周波部 60 高周波発振機 61 対向電極 62 プラス電極 62a 下部プラス電極 62b 上部プラス電極 63 下部マイナス電極 64 上部マイナス電極 65 共用マイナス電極 65 共用マイナス電極 7 整合回路部 7a 可変コンデンサ部 7b 可変インダクタンス部 71 可変コンデンサ 72 中央電極板 73 右電極板 74 左電極板 75 可変インダクタンス 76 逆U字形リード線板 77 摺接架橋部材 78 ラックロッド 8 切換え回路部 81 第1シリンダスイッチ 82 第2シリンダスイッチ 83 コ字状リード線板 84 接点ロッド 85 接点部材 86 プラス接点部材 87 下部マイナス接点部材 88 上部マイナス接点部材 89 共用マイナス接点部材 9 制御装置 91 温度センサ 92 湿度センサ 93 負荷状態検出部 901 開始時間計算部 902 発振指示部 903 到達時間計算部 904 中断指示部 905 降下温度計算部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 5/00 F26B 3/00 - 3/36 F26B 23/00 - 23/10 F26B 25/00 - 25/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1の温度の外部加熱環境になるように
    外部から加熱することにより木材を乾燥する外部加熱乾
    燥と、高周波による誘電加熱により木材の材内温度を上
    記第1の温度より高い第2の温度まで昇温させながら木
    材を乾燥する内部加熱乾燥とを併用する木材の乾燥方法
    であって、乾燥対象木材の含水率の予定低下特性から高
    周波供給スケジュールを事前に設定し、上記第1の温度
    の環境に置かれた乾燥対象木材に対し、設定レベルの高
    周波を間欠的に印加するとともに、各印加時間を上記高
    周波供給スケジュールに従って漸減させることを特徴と
    する木材乾燥方法。
  2. 【請求項2】 上記乾燥対象木材を個々に高周波が供給
    可能にされた複数のブロックに区分し、1台の高周波発
    振機からの高周波出力を各ブロックに順番に切り換えて
    供給することを特徴とする請求項1記載の木材乾燥方
    法。
  3. 【請求項3】 第1の温度の環境に置かれたサンプル木
    材の、初期含水率からの含水率の経時変化を示す基準含
    水率低下特性を予め求めておき、この基準含水率低下特
    性を乾燥対象木材に適合させて予定含水率低下特性を得
    るとともにこれから高周波供給スケジュールを得、得ら
    れた高周波供給スケジュールに従って高周波の印加時間
    を制御することを特徴とする請求項1または2記載の木
    材乾燥方法。
  4. 【請求項4】 上記高周波供給スケジュールは、所定の
    温度の環境に置かれた木材について、木材の含水率との
    関係で設定した外部加熱と内部加熱とを併用した場合の
    経時的な木材の昇温特性と、高周波印加により第2の温
    度に到達して高周波の印加を中断した後の木材の降温特
    性とから予め求めたものであることを特徴とする請求項
    3記載の木材の乾燥方法。
  5. 【請求項5】 1の温度の外部加熱環境になるように
    外部から加熱することにより木材を乾燥する外部加熱乾
    燥と、高周波による誘電加熱により木材の材内温度を上
    記第1の温度より高い第2の温度まで昇温させながら木
    材を乾燥する内部加熱乾燥とを併用する木材の乾燥装置
    であって、記憶手段と、乾燥対象木材の含水率の予定低
    下特性から高周波供給スケジュールを事前に設定して上
    記記憶手段に記憶させるスケジュール設定手段と、上記
    第1の温度の環境に置かれた乾燥対象木材に対し、設定
    レベルの高周波を間欠的に印加するとともに、各印加時
    間を上記高周波供給スケジュールに従って漸減させるよ
    うに制御する出力制御手段とを備えていることを特徴と
    する木材乾燥装置。
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