JP4362325B2 - 木材乾燥方法及び乾燥装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば木材等の被加熱物を乾燥する乾燥方法及びそれを実施する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より木材を乾燥する方法としては、飽和蒸気を用いたいわゆる蒸気式乾燥方法や、高周波・マイクロ波乾燥方法、減圧(真空)乾燥方法等が広く知られている(例えば、特許文献1乃至3を参照。)。
ここで、前記蒸気式乾燥方法は、加熱乾燥空気による乾燥方法である。
また、高周波・マイクロ波乾燥方法は、木材中心部温度を上昇させ、木材の内部から加熱することにより、割れ・変形を防いで乾燥する方法である。
また、減圧(真空)乾燥方法は、減圧して沸騰点を下げて、低い温度で乾燥する方法である。
【0003】
しかしながら、蒸気式乾燥方法では、木材の割れや変形が発生し易いので、木材に対し、直接飽和水蒸気を噴霧することにより、木材表面と、木材中心部との含水率の調整を行う必要がある、という問題がある。
また、乾燥設備の多数化や乾燥処理後のストックヤード等の確保が必要であるという、問題がある。
【0004】
また、高周波・マイクロ波乾燥方法や減圧(真空)乾燥方法は蒸気式乾燥方法に比べて木材の割れや変形を防ぐことはできるものの、初期設備投資や、ランニングコストが嵩むとともに、設備の維持管理に手間がかかる、という問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−34268号公報
【特許文献2】
実公平2−18477号公報
【特許文献3】
特開2002−225004号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に含水率の高い木を使用すると、全体が均等に乾燥しても、施工後に接合部に隙間が生じたり、目地が空くなどの狂いが生じたりするので、均一に乾燥させると共に、含水率を所定の含水率以下まで迅速に且つ効率よく乾燥する方法の出現が切望されている。
【0007】
特に、木材を乾燥させるのは、木材の強さにも関係し、含水率30%以上の木の強度を基準にすれば、20%ではその1.5倍、10%では2.5倍にも強くなるので、含水率が20%以下となるような乾燥方法を工業的に簡易にできる方法の出現も切望されている。
【0008】
このような事情に鑑み、本発明は、例えば木材等を効率よく乾燥することができる乾燥方法及び装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する第1の発明は、木材を乾燥する木材乾燥方法であって、木材を内部に収容してなる乾燥室内に、100℃以上に加熱してなる水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、該水蒸気の温度と同程度に該乾燥室内を加熱する加熱手段とによって、前記乾燥室内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持する加熱工程と、前記雰囲気下で木材を乾燥する際に、温度制御を行う温度制御工程とを有し、該温度制御工程は、木材の略中心部温度と表面部温度とをそれぞれ計測し、前記加熱工程によって木材の略中心部温度が所定温度に達すると、前記加熱工程を停止する第1の制御と、該第1の制御によって木材の略中心部温度が低下しつつある状態の時に、前記加熱工程を再開する第2の制御とを有し、前記第1の制御と第2の制御とを繰り返すことにより、木材の略中心部と表面部との温度差が少ない状態を維持することを特徴とする乾燥方法にある。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記雰囲気下で木材を乾燥する際に、該木材の略中心部温度が95〜100℃の間に達した時点で乾燥室内の加熱を停止するよう制御することを特徴とする乾燥方法にある。
【0011】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記木材の自由水を除き、木材の含水量を調整しつつ乾燥し、気乾材とすることを特徴とする乾燥方法にある。
【0012】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの乾燥方法を実施する乾燥装置であって、木材を収納してなる乾燥室と、該乾燥室内に水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、前記乾燥室内を加熱する加熱手段と、前記乾燥室内に循環流を発生させる循環流発生手段と、前記乾燥室内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持した雰囲気下で木材を乾燥する際に、温度制御する制御手段を具備し、該制御手段は、木材の略中心部温度と表面部温度とをそれぞれ計測し、前記加熱工程によって木材の略中心部温度が所定温度に達すると、前記水蒸気供給手段と加熱手段の動作を停止する第1の制御と、該第1の制御によって木材の略中心部温度が低下しつつある状態の時に、前記加熱工程を再開する第2の制御とを有し、前記第1の制御と第2の制御とを繰り返すことにより、木材の略中心部と表面部との温度差が少ない状態を維持することを特徴とする乾燥装置にある。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、前記乾燥室内に該被加熱物を囲う風量調整枠体を設けると共に、該風量調整枠体に複数の細孔を穿設してなることを特徴とする乾燥装置にある。
【0014】
第6の発明は、第5の発明において、前記枠体に穿設された複数の細孔の高さ方向の穿孔間隔が、下方から上方側に行くにつれて漸次細孔の間隔を狭めてなることを特徴とする乾燥装置にある。
【0015】
第7の発明は、第1乃至3のいずれか一つの乾燥方法によって乾燥してなることを特徴とする材木にある。
【0016】
本発明により、短時間で木材の内部温度を上昇させる事が可能となり、従来行われてきた飽和蒸気による一時的な処理に比べ、全乾燥工程において、有効な処理ができると同時に、高速での乾燥を可能にする。
【0017】
また、木材の中心部温度制御により、従来設備費やランニングコストの面で、導入が困難であった高周波・マイクロ波加熱と同様の、木材中心部から表面への熱移動が可能となり、従来の蒸気乾燥と同様の設備費・ランニングコスト及び操作性で、より高度な木材の乾燥が可能となる。
【0018】
また、木材各々の特性に応じた、加熱量制御により、木材内部の局部的な加熱及び乾燥が防止され、割れ・変形のない乾燥が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明による実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
[第1の実施の形態]
図1は本実施の形態にかかる乾燥装置の概略図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる木材乾燥装置10は、木材11を収納してなる乾燥室12と、該乾燥室12内に100℃以上に加熱してなる水蒸気13を供給する水蒸気供給手段14と、前記乾燥室12内を加熱する加熱手段であるヒータ15と、前記乾燥室12内に循環流16を発生させる循環流発生手段である送風機モータ105により駆動可能なファン17と、前記乾燥室12内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持した雰囲気下で木材11を乾燥する際に、該木材11の略中心部(心材部ともいう)温度と表面部(辺材部ともいう)温度との差が少なくなるように温度制御する制御手段(図示省略)とを具備するものである。
また、前記乾燥室12には、乾燥室内部の温度、湿度及び酸素濃度を計測する温度計SRT、湿度計SF、酸素濃度計SO、木材の中心部の温度を計測する温度計S各々を設けている。
また、木材11を乾燥室12内への搬入・搬出を容易にするために台車18を用いている。
【0021】
前記木材乾燥装置10を用いて、木材11を乾燥するには、木材を内部に収容してなる乾燥室12内に、100℃以上に加熱してなる水蒸気を供給すると共に、前記乾燥室12に供給する水蒸気と同程度に該乾燥室12内を加熱し、前記乾燥室12内の雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持し、前記雰囲気下で木材11を乾燥する際に、木材の略中心部温度と表面部温度との差が少なくなるように温度制御しつつ乾燥室内を加熱するようにしている。
【0022】
本発明により、乾燥室12内に100℃以上に加熱してなる水蒸気13を導入すると共に、乾燥室内を加熱手段であるヒータ15で加熱し、乾燥室12内をファン17で循環させることで、前記乾燥室12内の環境を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下とするように温度計SRT、湿度計SF、酸素濃度計SOで確認しつつ室内環境を制御手段で制御することで、効率的な木材の乾燥を行うことができる。
その乾燥の際、乾燥対象である木材11の中心部の温度を温度計STで測定し、100℃以上に加熱してなる水蒸気(酸素濃度1.0%以下)の熱量を随時制御して、木材11の中心部と表面の温度差が極めて少ない範囲(例えば5℃以内)で、均一な温度分布での加熱をすることにより、含水率が極めて少ない木材へと乾燥することができる。
【0023】
ここで、100℃以上に加熱してなる水蒸気とは、好適には105〜250℃、より好適には110〜200℃に加熱された常圧の高温水蒸気である。なお、110〜130℃の範囲が特に好適な範囲で、最も好ましい温度は110℃である。
この高温水蒸気は水蒸気供給手段14から細管を介して乾燥室内に複数のノズルや細孔などより微細化した水蒸気を供給するようにしている。
この際、微細化した水蒸気の噴射速度は120〜250m/s、好適には160〜200m/s程度とするとよい。この微細化された高温水蒸気は木材の内部への浸透性が向上し、しかも木材の内部に浸透した際に内部で熱交換された高温の水蒸気に対して、後続の高温の水蒸気の熱エネルギーをたえず供給することとなるので、高熱伝導率を有する熱が連続的に内部に移動し、その結果木材を効率よく乾燥することとなる。
【0024】
また、乾燥室12内に供給された水蒸気はヒータ(加熱手段)15により加熱され、その温度を維持すると共に、ファン17により循環される。この循環の際に、ファン17に衝突した際により微細化が促進され、乾燥室12内の雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持するようにしている。このようにして、乾燥室12内を所定の雰囲気とすることで、噴射される100℃以上の水蒸気の熱量を低下させることがなく、その雰囲気で木材11を乾燥するので、該木材11を効率よくしかも迅速に乾燥することができる。
なお、加熱手段15は特に限定されるものではなく、本発明の範囲内でいずれのものを用いても好ましい。
【0025】
以上説明したように、木材11の中心部温度制御により生ずる、100℃以上に加熱してなる水蒸気の熱量変化は、木材11の内部の水分移動を促進させ、木材内部より表面へ移動した水分の蒸発及び表面から内部への熱移動の繰り返しがなされることによって、木材内部水分の速やかな蒸発を引き起こし、木材の高速乾燥を実現することができる。
【0026】
各種の木材それぞれが有する、各種の特性(含有成分、含水量、性質等)に応じて、木材中心部の温度上昇率及び温度低下率には違いがあるが、各々の木材の熱伝導性に合わせた100℃以上に加熱してなる水蒸気の熱量制御により、木材内部の局部的な加熱及び乾燥を防ぎ、均一な温度分布の基に、乾燥を行うことができる。
【0027】
ここで、木材の中心部温度制御について説明する。
木材乾燥においては、材種別の乾燥特性や熱による材質変化等の研究はまだあまり進んでいなく、例えば種類、産地、生育条件等により各々の個別データを作成して、その情報に基づいた乾燥を行う事は大変な労力と時間が必要となっている。
本発明によれば、木材の中心部温度制御は、乾燥する木材の中心点に温度計(温度測定センサ)Sを挿入し、その温度情報を基に木材それぞれの特性により、100℃の水蒸気の熱量を制御する事で、各々の木材に対応した最適条件での加熱・乾燥を行うもので、同種の木材を一緒に処理する事が出来る。なお、その制御情報は装置により記憶され、後に同種の木材の乾燥ではその情報を取り出して、処理するようにしてもよい。
【0028】
本発明による方法では、様々な木材に対して、一度木材の中心点に温度測定センサSを挿入して、その情報を記憶するようにすれば、多種の木材の乾燥特性を蓄積する事が出来る。
【0029】
ここで、本発明では、前記雰囲気下で木材11を乾燥する際に、該木材11の略中心部温度と表面部温度との差が少なくなるように温度制御しつつ乾燥室12内を加熱するようにしている。
これにより、内部の状況を把握しつつ乾燥することで、迅速な乾燥を行うことができる。
【0030】
また、前記雰囲気下で木材を乾燥する際には、該木材11の略中心部温度が95〜100℃の間に達した時点で乾燥室12内の加熱を停止するよう制御するようにすることで、さらに乾燥効率を向上させることができる。
この制御は95〜100℃の間に設定されるのが好ましく、例えば130℃の水蒸気の場合にも同様である。これは、木材の表面部(心材部)の急激な温度変化による割れ等防止を図るためである。
【0031】
なお、水蒸気を供給するには、予め乾燥室内を100℃程度とした後に、水蒸気を供給してもよいし、水蒸気を供給しつつ乾燥室内を供給する加熱水蒸気の温度と同程度以上に加熱するようにしてもよい。
加熱された水蒸気を乾燥室内部に吹き込むことで、乾燥室内雰囲気を湿度99%以上、酸素濃度1.0%以下の雰囲気に置換するようにしている。
この操作は、約5〜10分で前記乾燥室内雰囲気を湿度99%以上、酸素濃度1.0%以下の雰囲気に達することができる。
【0032】
[第2の実施形態]
次に、本発明にかかる他の実施形態について説明する。本実施形態では、乾燥室内に木材を囲い、風量を調整する風量調整枠体を設けたものである。
第1の実施の形態と重複する部材については同一符号を付してその説明は省略する。
図2に示すように、本実施の形態にかかる乾燥装置10は、木材11を収納してなる乾燥室12と、該乾燥室12内に水蒸気13を供給する水蒸気供給手段14と、前記乾燥室12内を加熱する加熱手段であるヒータ15と、前記乾燥室12内に循環流16を発生させる循環流発生手段である送風機モータ105により駆動可能なファン17と、木材11を囲い風量を調整する風量調整枠体21を具備するものである。
【0033】
また、前記風量調整枠体21には、複数の細孔22が穿設されている。本実施の形態では、前記細孔は横に細長い細孔であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、本実施の形態では、前記風量調整枠体21に穿設された複数の細孔22が高さ方向(図2(b)中矢印で示す方向)の穿孔間隔が下方側から上方側にいくにつれて漸次狭めてなるようにしており、乾燥室内の下方側より、上方側において乾燥のための蒸気量循環量を多くするようにしている。
これにより、木材11の乾燥の均一化を図ることができる。
【0034】
【試験例】
以下、本発明の効果を示す試験例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3乃至5に示す乾燥装置を用いて木材を乾燥させた結果について説明する。図3乃至5に示すように、本試験例で用いた乾燥装置100は、基本的には図1に示した乾燥装置10と同様であるが、長尺の木材を効率よく乾燥できるようにしたものである。すなわち、木材を内部に収容してなる乾燥室12内に、110℃に加熱してなる水蒸気を供給すると共に、前記乾燥室内を110℃に加熱して、前記乾燥室内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持した状態で木材乾燥を行った。またこの際に、木材の略中心部温度と表面部温度との差が少なくなるように温度制御しつつ乾燥室内を加熱するものとした。温度制御については前記実施形態に説明した形態(木材の中心点に温度測定センサSを挿入し、中心部温度制御を図る)を採用した。
これらの図面に示すように、本試験例に用いた木材乾燥装置100は、開閉自在の扉101を有する乾燥室12内には水蒸気を効率よく噴出する細孔22を有する水蒸気供給管103が乾燥室12の底面側に2本、長手方向に沿って設けられている。また、木材11の周囲には風量調整枠体21が設けられ、該風量調整枠体21には横に細長い細孔22が複数穿設されている。また、この細孔22は下方から上方側に行くにつれて漸次間隔を狭めているようにしている。
【0035】
また、加熱手段15である熱交換器は、乾燥室12の両側壁に蛇行するようにして設けられ、LPGバーナ104で内部熱媒体を加熱し、乾燥室12内の温度を供給する水蒸気の温度と同程度以上の温度となるように調整している。
また、乾燥室12内の上方側には長手方向に沿って3台の正逆転軸流ファン17が設けられ、乾燥室12の天井上部に設けた送風機モータ105により駆動可能としている。
【0036】
また、乾燥室12の扉と対向する側壁の背面側には、排気108を室外へと案内する大きな大気開放管106が設けられている。また、蒸気減圧・気水分離器107が設けられている。
【0037】
本試験例で用いた乾燥室は長さが約5m、幅が約2.5m、高さが約2mのものを用いた。
【0038】
図6は温度と時間との関係図である。なお、図6中、実線は木材11の心材部(中心部)温度、破線は木材の辺材部(表面部)温度についての乾燥初期、乾燥中期、乾燥後期の試験結果を示す。
図7は杉角材を用いた含水率の変化の結果を示す図である。
【0039】
本乾燥装置を用いて乾燥を行うと、木材内部には木の隙間(細胞壁に囲まれた空隙)に含まれている多量の自由水が存在し、該自由水の心材部から辺材部への移動及び表面での蒸発が行われる。
先ず、図6の左側の乾燥初期においては、木材内部に存在する自由水の蒸発期間であり、速やかな心材部への熱移動及び心材部から辺材部への自由水の移動が必要である。
【0040】
図6中左側の図面における杉角材の「乾燥初期データ」によれば、辺材部温度は心材部温度より速く上昇するが、110℃の水蒸気の加熱により、心材部温度も若干の遅れで上昇し、心材部温度が100℃に到達すると水蒸気の熱量が制御され、心材部・辺材部共に温度が低下し、この時点で木材表面での水の蒸発が始まり、辺材部温度が蒸発熱により低下し、心材部温度が辺材部温度より高温の状態が発生し、心材部から辺材部に向かって、熱の移動と共に自由水の移動が起こり、木材の水分は減少する。
【0041】
心材部温度は、100℃の水蒸気の熱量が制御される事により、木材の成分特性に応じて温度低下を始め、この時110℃の水蒸気の熱量が制御され再び熱量が増加して、辺材部温度の上昇と共に心材部温度も上昇する。この繰り返しにより木材は、内部水分を表面へと移動させ、表面へ移動した水分は蒸発し、木材の含水率は低下して行く。
【0042】
図6中、中央の図面における杉角材の「乾燥中期データ」によれば、心材部温度上昇による110℃の水蒸気制御により、心材部温度の辺材部温度より高い状態が少なくなり、殆ど辺材部温度が心材部温度より高くなっている事が確認される。
これは、木材内部の自由水が殆ど無くなり、辺材部での水の蒸発が無く、辺材部温度の低下が減少した状態である、と推察される。
この時の含水率は、約15〜17%で、気乾材状態であり、通常の乾燥材として取り扱える。
また、乾燥初期とは異なり、温度の上昇・下降サイクルが短くなり、この情報を基準として乾燥制御を終了させる事が出来る。
【0043】
木材内部の自由水が無くなる乾燥中期以降になると、再び心材部温度が辺材部温度より高い状態が発生し、温度の上昇・下降が大きくなる。
これは、木材内部での新たな水の移動・蒸発が進んでいるからである。
【0044】
図6中、右側における杉角材の「乾燥後期データ」によれば、心材部温度上昇による100℃の水蒸気の熱量制御により、乾燥初期よりも大きく心材部温度が辺材部温度よりも高い現象が発生する。
これは、木材内の結合水が、自由水の無くなった部分へ移動し、辺材部で蒸発していると推察される。
【0045】
この現象が確認される、約80時間後の含水率は約10%であり、このまま乾燥を進め、乾燥中期同様、心材部温度の辺材部温度より高い現象が無くなると、木材は全乾燥状態となる。
【0046】
図7は、110℃に加熱した水蒸気を110℃に加熱した乾燥室に供給し、乾燥室内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持した状態で乾燥させた際における、杉角材の含水率変化データであり、16時間から21時間で含水率が35%〜25%まで減少し繊維飽和点に達している。
この時点で、自由水の蒸発は殆ど完了している。
28時間から63時間で含水率は17%〜11%まで減少し、細胞壁と結合している結合水が除かれ、気乾材の領域になっている。
【0047】
以上の結果より、本発明で杉角材を用いて乾燥を行ったところ、約1〜2日程度で含水率が20%以下となることが確認され、本発明による高速乾燥を行うことができることが実証された。なお、従来の蒸気式乾燥では10〜15日経過することで含水率が20%以下となることが確認されているので、本発明では、この方法に比べて飛躍的な乾燥効率を提供することとなる。
【0048】
このように、本発明の乾燥方法によれば、迅速乾燥を行うことができ、しかも木材から均一に水分が除去されるので、品質の良好な乾燥材木を提供することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、木材を内部に収容してなる乾燥室内に、100℃以上に加熱してなる水蒸気を供給すると共に、前記乾燥室に供給する水蒸気と同程度に該乾燥室内を加熱し、前記乾燥室内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持し、前記雰囲気下で木材を乾燥する際に、木材の略中心部温度と表面部温度との差が少なくなるように温度制御しつつ乾燥室内を加熱するので、短時間で木材の内部温度を上昇させる事が可能となり、従来行われてきた飽和水蒸気による一時的な処理に比べ、全乾燥工程において、有効な処理ができると同時に、高速での乾燥を可能にする。
【0050】
また、木材の中心部温度制御により、従来設備費やランニングコストの面で、導入が困難であった高周波・マイクロ波加熱と同様の、木材中心部から表面への熱移動が可能となり、従来の蒸気式乾燥と同様の設備費・ランニングコスト及び操作性で、より高度な木材の乾燥が可能となる。
【0051】
また、木材各々の特性に応じた、加熱量制御により、木材内部の局部的な加熱及び乾燥が防止され、割れ・変形のない乾燥が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態にかかる乾燥装置の概略図である。
【図2】第2の実施の形態にかかる乾燥装置の概略図である。
【図3】試験にかかる乾燥装置の概略図である。
【図4】試験にかかる乾燥装置の概略図である。
【図5】試験にかかる乾燥装置の概略図である。
【図6】温度と時間との関係図である。
【図7】杉角材を用いた含水率の変化を示す図である。
【符号の説明】
10 木材乾燥装置
11 木材
12 乾燥室
13 100℃以上の加熱水蒸気
14 水蒸気供給手段
15 ヒータ
16 循環流
17 ファン

Claims (6)

  1. 木材を乾燥する木材乾燥方法であって、
    木材を内部に収容してなる乾燥室内に、100℃以上に加熱してなる水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、該水蒸気の温度と同程度に該乾燥室内を加熱する加熱手段とによって、前記乾燥室内を加熱するとともに、該乾燥室内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持する加熱工程と、
    前記雰囲気下で木材を乾燥する際に、温度制御を行う温度制御工程とを有し、
    該温度制御工程は、
    木材の略中心部温度と表面部温度とをそれぞれ計測し、
    前記加熱工程によって木材の略中心部温度が所定温度に達すると、前記加熱工程を停止する第1の制御と、
    該第1の制御によって木材の略中心部温度が低下しつつある状態の時に、前記加熱工程を再開する第2の制御とを有し、前記第1の制御と第2の制御とを繰り返すことにより、木材の略中心部と表面部との温度差が少ない状態を維持することを特徴とする乾燥方法。
  2. 前記雰囲気下で木材を乾燥する際に、該木材の略中心部温度が95〜100℃の間に達した時点で乾燥室内の加熱を停止するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の乾燥方法。
  3. 前記木材の自由水を除き、木材の含水量を調整しつつ乾燥し、気乾材とすることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の乾燥方法。
  4. 木材を収納してなる乾燥室と
    該乾燥室内に水蒸気を供給する水蒸気供給手段と、
    前記乾燥室内を加熱する加熱手段と、
    前記乾燥室内に循環流を発生させる循環流発生手段と、
    前記乾燥室内雰囲気を湿度99.0%以上で且つ酸素濃度を1.0%以下に維持した雰囲気下で木材を乾燥する際に、温度制御する制御手段を具備し、
    該制御手段は、
    木材の略中心部温度と表面部温度とをそれぞれ計測し、
    前記加熱工程によって木材の略中心部温度が所定温度に達すると、前記水蒸気供給手段と加熱手段の動作を停止する第1の制御と、
    該第1の制御によって木材の略中心部温度が低下しつつある状態の時に、前記加熱工程を再開する第2の制御とを有し、前記第1の制御と第2の制御とを繰り返すことにより、木材の略中心部と表面部との温度差が少ない状態を維持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の乾燥方法を実施する乾燥装置。
  5. 乾燥室内に該被加熱物を囲う風量調整枠体を設けると共に、該風量調整枠体に複数の細孔を穿設してなることを特徴とする請求項4に記載の乾燥装置。
  6. 枠体に穿設された複数の細孔の高さ方向の穿孔間隔が、下方から上方側に行くにつれて漸次細孔の間隔を狭めてなることを特徴とする請求項5に記載の乾燥装置。
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