JP3504548B2 - 潤滑性ガイディングカテーテル - Google Patents
潤滑性ガイディングカテーテルInfo
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Description
カテーテルに関する。さらに詳しくはカテーテルの内外
表面あるいは金属コイルスプリングの表面にバイオポリ
マーであるヒアルロンを固定することにより潤滑性を向
上させたガイディングカテーテルに関するものである。
な経路をもつ脈管内にあらかじめ挿入されたガイドワイ
ヤーに沿って目的部位に精度よくかつ安全に到達し、そ
の位置を保持した後、引続きバルーンカテーテルやロー
ターブレータ等のデバイス挿入および操作を容易に行い
得る優れた操作性が求められる。
ーに沿って目的部位まで脈管内壁を損傷することなく到
達する「追従性」、カテーテル近位端部の回転力を遠位
端部に確実に伝達する「トルク伝達性」、カテーテルの
折れ曲がりを生じない「耐キンク性」およびカテーテル
先端を目的部位に保持する「バックアップ性」更にはデ
バイスの挿入・操作を容易にするための「内腔摺動性」
等の性能を総合した結果として確保される。
イディングカテーテルにとって内腔摺動性は極めて重要
な要素である。内腔摺動性は内腔層表面の摺動性と内腔
面積の複合した結果であり、摩擦係数が可能な限り低い
と同時に内腔径は可能な限り大きいことが望ましい。し
かしながら、一方では脈管中の流通抵抗を押さえるため
にカテーテル外径は可能な限り小さくすることが必要で
あり、この相反する要求がガイディングカテーテルの最
適設計を困難としている。
ングカテーテルは脈管内壁の損傷を防ぐ以外に生体適合
性を含む安全性が必要である。
ガイディングカテーテルを製造する手段として、例えば
特開平10−43300号公報には厚み25〜50μm
のポリテトラフルオロエチレンを内腔層とし、ポリエス
テルエラストマー等の熱可塑性樹脂を外表面層として、
更に内腔層と外表面層の間に金属製の強化用編組を配置
したカテーテルが開示されている。
して、米国特許第4100309号にカテーテルの外表
面に親水性ポリマーであるポリビニルピロリドンを固定
する方法が開示されている。更に特開平8−71157
号公報には内層、コイル層および外層からなり、各層間
に接着剤を流入したカテーテルチューブの製造におい
て、内外面層に親水性潤滑層を形成する方法が示唆され
ている。該親水性潤滑層の潤滑性物質としては例えばポ
リ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ−2−
ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルセ
ルロース、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合
体、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルピロリドン等の親水性ポリマーや、ポリグリシ
ジルメタクリレート−ジメチルアクリルアミド(PGM
A−DMAA)のブロック共重合体等の親水性化合物ブ
ロックと疎水性化合物ブロックのブロック共重合体等が
例示されている。
ルにおいて特開平10−43300号公報開示の構成で
は、本来摺動性付与を目的とするポリテトラフルオロエ
チレン層の存在が内腔径を減少させ、内腔摺動性への寄
与を減じる結果となっている。また米国特許第4100
309号や特開平8−71157号公報に使用されてい
る潤滑性物質は合成品であって生体とのなじみが良くな
く、また安定性も保証されず、そして潤滑耐久性も不充
分である。
は内腔摺動性を向上させることにより操作性、安全性が
改善されたガイディングカテーテルを提供することにあ
る。本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究の
結果、ガイディングカテーテルを構成する樹脂筒の内外
表面にバイオポリマーであるヒアルロンを固定すること
で操作性、安全性を大巾に改善出来ることを見出し本発
明を完成した。
間に位置する管状部材が金属細線編組を包含する熱可塑
性樹脂筒からなり、該樹脂筒の少なくとも内表面を構成
する熱可塑性樹脂にはヒアルロンの官能基と反応可能な
反応性官能基を本来的に存在し、該樹脂筒の内表面には
該樹脂の反応性官能基と該ヒアルロンの官能基との共有
結合反応によってヒアルロンが固定されていることを特
徴とする潤滑性ガイディングカテーテルを提供するもの
である。
ルの少なくとも遠位部外表面にもヒアルロンが固定され
ている潤滑性ガイディングカテーテルを提供するもので
ある。
ルを構成する熱可塑性樹脂樹脂筒が水酸基、カルボキシ
ル基およびアミノ基の中の少なくとも1種以上の官能基
を有する熱可塑性樹脂からなる潤滑性ガイディングカテ
ーテルを提供するものである。
形した後に該熱可塑性樹脂筒の表面に固定されている潤
滑性ガイディングカテーテルを提供するものである。
グカテーテルを添付図面図1〜図3を参照しつつ詳細に
説明する。図1は本発明を適用したガイディングカテー
テル (1) を示す。本発明のカテーテル (1) は熱可塑性樹
脂筒からなるカテーテル本体 (10) と、該カテーテル本体
(10) の近位端に設けられた把手 (11) を有し、カテーテル
本体 (10) の遠位側は使用目的に応じて各種形状に成形さ
れる。更にその先端にはソフトチップ (12) が取り付けら
れている。カテーテル本体 (10) は図2の断面図に示され
るように熱可塑性樹脂 (3,5) から構成され、金属細線編
組 (4) で補強された樹脂筒であり、該樹脂筒の内表面層
(2) および外表面層 (6) には下記の分子構造を有するヒ
アルロンが固定されている。
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、
熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑
性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
等であり、該樹脂筒は単一の樹脂で構成されていてもあ
るいは2種以上の樹脂を混合または積層したもので構成
されていてもよく、ガイディングカテーテル(1) の使用
目的に合わせて適宜に設計される。また樹脂材料中には
造影剤、可塑剤、補強材、顔料等の各種添加剤が含まれ
ていてもよい。
線編組(4) の樹脂筒内における配置についても使用目的
に応じて適切に設計される。
って容易に得ることが出来る。例えば芯金の上にクロス
ヘッドダイを用いて熱可塑性樹脂(3) を押出して内筒を
形成し、この内筒の上に金属細線を編み込み、更に該金
属編組の上にクロスヘッドダイより熱可塑性樹脂(5) を
押出して外筒を形成し、次いで芯金を抜き取ることによ
り目的の樹脂筒を得る。
ムを接着剤や熱溶着で積層する方法を用いることが出来
る。
性を確保する目的で、図3に例示するように外筒樹脂
(5) の遠位部の一部を他の樹脂に置き換えることも可能
である。これには外筒樹脂(50)の一部を切取り、その位
置に目的に合う別の樹脂スリーブ(51)を挿入し、熱溶着
する等の方法が採られる。
ンはヒアルロン酸およびその塩の総称であり、生体内で
合成され、人の粘液、粘膜に幅広く分布する親水性バイ
オポリマーである。水和比容積が2〜6×103 ml/g
と大量の水を包含することが出来、湿潤時に優れた潤滑
性を示す。またヒアルロンは抗血栓性を有し、硫酸エス
テル誘導体を除くと生体内での酵素による代謝後、生体
外への排出が出来るため医薬品や化粧品用途に用いられ
ている。
アセトアミノ基等の官能基が存在しており、ヒアルロン
の樹脂筒表面への固定に活用することが出来る。具体的
には樹脂筒表面に存在する反応性官能基とヒアルロンの
官能基とを適切な硬化剤を用いて反応させ、共有結合を
形成することで達成出来る。
筒を構成する熱可塑性樹脂中に反応性官能基が存在する
ことが必要である。上記反応性官能基として好ましいも
のは水酸基、カルボキシル基およびアミノ基等の活性水
素を有する官能基であり、このような官能基を有する熱
可塑性樹脂の例としてポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー
等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン610、ナイロン612、ナイロン12、芳香族ア
モルファスナイロン、ポリアミドエラストマー等のポリ
アミド類、ポリアクリル酸、無水マレイン酸共重合アク
リル樹脂、無水マレイン酸変性ポリオレフィン等のポリ
オレフィン類、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ
ーあるいはこれらのポリマーブレンド、ポリマーアロイ
等が挙げられる。
せるためにトリメチロールプロパンやトリメリット酸の
ような多官能基を導入したポリエステルや末端カルボキ
シル基をヘキサメチレンジアミンのようなアミン類で封
鎖したポリアミドを用いることも出来る。
で、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合
体やポリエステルポリオール等の上記官能基を有する樹
脂バインダーを表面に塗布することも好ましい方法であ
る。
ィングカテーテルの本体である熱可塑性樹脂筒の内外表
面に強固に固定することが必要である。ヒアルロンを該
熱可塑性樹脂筒に強固に固定するために、樹脂筒とヒア
ルロン中の官能基とを適切な硬化剤を用いて反応せし
め、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合、エーテ
ル結合、尿素結合等の共有結合を形成する。
(p−フェニレンジイソシアネート)、トルエンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
トとヘキサントリオールの付加物、トリメチルヘキサメ
チルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
ビュレット・トリス(ヘキサメチレンイソシアネート)
およびこれらのε−カプロラクタムブロック体等のポリ
イソシアネート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水
添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、
ヘキサメチロールメラミン、トリメチロールメラミン等
のメラミンのメチロール化物あるいはメラミンとホルム
アルデヒドとの初期縮合物等が挙げられる。
形成する反応を行なうと、ヒアルロンの性能が低下する
おそれがあるので、それを防止するために、上記硬化剤
は出来る限り低温反応が可能なものを選択することが望
ましい。また必要によっては適切な硬化促進触媒の添加
も好ましい方法である。例えばビュレット・トリス(ヘ
キサメチレンイソシアネート)等のポリイソシアネート
を硬化剤として使用する場合には、触媒としてジブチル
チンラウレートやp−トルエンスルホン酸等を添加す
る。
外表面に硬化剤を固定し、ついで硬化剤とヒアルロンと
を結合することで行なわれる。
たは有機溶剤溶液、もしくは水性エマルジョン中にガイ
ディングカテーテルを浸漬し、内腔にも液を充填した後
取出し、エアブローによって余分な液を除去する。つい
でエアー流通下に内外表面の溶剤を乾燥し、更にエアー
流通下で加熱処理することにより硬化剤を固定する。
ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体やポリエステ
ルポリオール等と硬化剤とを混合した樹脂バインダー溶
液を用いることも好ましい方法である。
上記と同様の方法でヒアルロン溶液を塗布し、エアー流
通下で乾燥後加熱処理して固定する。反応終了後、未反
応のヒアルロンを温水洗浄で取除くことで固定化を終了
する。
応じて遠位部を種々の形状に成形する。この成形は周知
のごとく例えば規定形状の金型内で、内腔径寸法維持用
の内芯を挿入した樹脂筒先端を加熱して行なう。加熱方
法には電気加熱、熱風、スチーム、加熱オイル、遠赤外
線、高周波加熱等のあらゆる手段を用いることが出来る
が、樹脂のガラス転移温度よりも数十度高い温度を必要
とする。したがってヒアルロンを固定した後に熱成形を
行なうと、高温によるヒアルロンの性能低下を生じるた
め、ヒアルロンの固定は遠位部の熱成形後に行なうこと
が好ましい。以下、本発明の具体的実施例について説明
する。
有する曲げ弾性率2000MPaのナイロン12樹脂を
クロスヘッドダイを用いて220℃で押出し、外径2.
50mmの内筒を成形した。この上に直径0.05mmの1
6本の金属線を3mmピッチで格子状に編み込み、更に上
記ナイロン12樹脂をクロスヘッドダイから押出して外
筒を成形し、外径2.68mmの樹脂筒とした。この樹脂
筒を1m長にカットした後芯金を取り除きカテーテル本
体とした。
遠位端から30mmの外筒部を研磨剥離し、この部位に2
0wt%の酸化ビスマスを含有する曲げ弾性率600MP
aのポリアミドエラストマースリーブを溶着した。更に
その先端に同じく曲げ弾性率80MPaのポリアミドエ
ラストマースリーブを溶着してソフトチップとした。
ルバスに浸漬した金型内で2分間加熱し図1に例示する
形状のガイディングカテーテルに成形した。
ートおよび15mol %のヒドロキシエチルメタクリレー
トからなる共重合体100重量部(以下単に部とする)
とビュレット・トリスヘキサメチレンイソシアネート
(バイエル社製DesmodurN)の60部を酢酸セ
ロソルブに溶解して10重量%(以下単に%とする)の
酢酸セロソルブ溶液を作成した。この溶液を該カテーテ
ル内腔部に充満した後近位端からエアーをブローして余
剰の酢酸セロソルブ溶液を排出した。その後、60℃の
温風を吹き込みながら1時間乾燥した。
溶液を内腔部に充満し、エアーブローによって余剰の水
溶液を排出した後、60℃の温風を吹き込みながら12
時間乾燥した。乾燥後内腔に40℃のイオン交換水を2
時間流し混んで洗浄することで未反応のヒアルロンを取
り除いた。
で著しい潤滑性を示す。このカテーテルについて次の測
定を行なった。
した。
テル本体から切出した長さ1mmの樹脂筒の圧縮強さから
曲げ強さを測定した。
に切り開き、25℃の水中に浸漬した。ヒアルロン固定
側に直径2mm、荷重200gのSUS304製先端球面
状丸棒型圧子を水中で接触させ、規定された面積内を3
0mm/sec の速度で一方向に摺動させた。この動きを繰
り返し、初回、6回および26回目の摺動時における静
摩擦荷重ならびに動摩擦荷重を測定した。
テトラフルオロエチレン筒上に実施例と同様にして外径
2.50mmのナイロン12樹脂内筒を成形した。金属細
線を編み込んだ後、その上にナイロン12樹脂外筒を押
出し、外径2.68mmの樹脂筒を得た。この樹脂筒につ
いて内腔径、曲げ強さ、ポリテトラフルオロエチレン側
の摩擦荷重を測定した。
1に示す。
滑層とした従来のカテーテルに比べ、同じ曲げ強さに対
して内腔径を大きくとることが出来、また実用的な使用
範囲での摺動特性にも優れている。
遠位端部を熱成形してカテーテルを得た。先端部の直線
部を切取り、摩擦荷重試験を行なって表2の結果を得
た。
ている。
溶液に代えて、ポリビニルピロリドン(PVP)の0.
5%水溶液を使用した以外は実施例1と同様にしてカテ
ーテルを製造した。該カテーテルについて静摩擦荷重な
らびに動摩擦荷重を測定した。結果を表3に示す。
VPを用いた比較例3のものは初期から実施例1のもの
に比して潤滑性に劣り、また動摩擦荷重については実用
回数である6回まで比較例3のものは実施例1のものに
比して潤滑性に劣ることが認められた。
オポリマーであるヒアルロンを共有結合によってカテー
テルの内外表面に固定することで、耐久性ある潤滑性に
優れたガイディングカテーテルを得ることが出来る。ま
たポリテトラフルオロエチレンのような従来の摺動層を
用いる方法に比べ、内腔径を大きくすることが出来、こ
のことはデバイス挿入時の操作性の向上につながるもの
である。更に人体内に広く存在するバイオポリマーのヒ
アルロンは生体となじみが良く、カテーテル表面から遊
離することがあっても速やかに生体内で酵素分解される
ために、より安全性が改善されたガイディングカテーテ
ルを提供することが出来る。
Claims (4)
- 【請求項1】近位端および遠位端の間に位置する管状部
材が金属細線編組を包含する熱可塑性樹脂筒からなり、
該樹脂筒の少なくとも内表面を構成する熱可塑性樹脂に
はヒアルロンの官能基と反応可能な反応性官能基を本来
的に存在し、該樹脂筒の内表面には該樹脂の反応性官能
基と該ヒアルロンの官能基との共有結合反応によってヒ
アルロンが固定されていることを特徴とする潤滑性ガイ
ディングカテーテル - 【請求項2】少なくとも遠位部外表面にもヒアルロンが
固定されている請求項1に記載の潤滑性ガイディングカ
テーテル - 【請求項3】樹脂筒を構成する熱可塑性樹脂が水酸基、
カルボキシル基およびアミノ基の中の少なくとも1種以
上の官能基を有する請求項1および2に記載の潤滑性ガ
イディングカテーテル - 【請求項4】ヒアルロンは遠位端を熱成形した後に該熱
可塑性樹脂筒の表面に固定されている請求項1〜3に記
載の潤滑性ガイディングカテーテル
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