JP3503122B2 - かつらの部分ベースの製造方法とその製造具 - Google Patents

かつらの部分ベースの製造方法とその製造具

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JP3503122B2
JP3503122B2 JP32872294A JP32872294A JP3503122B2 JP 3503122 B2 JP3503122 B2 JP 3503122B2 JP 32872294 A JP32872294 A JP 32872294A JP 32872294 A JP32872294 A JP 32872294A JP 3503122 B2 JP3503122 B2 JP 3503122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、かつらの分髪部分など
に用いる部分ベースの製造方法及びその製造具に関す
る。
【0002】
【従来の技術】かつらにおいては、全体かつらより小さ
な部分ベースが必要とされる場合があり、例えば頭部の
毛髪の薄い箇所のみを部分的に覆う部分ベースや、かつ
らベース本体を網状のネットにより構成したネットベー
スに用いられる分髪部分ベースなどが知られ、またその
部分ベース単独で使用される場合もある。そのネットべ
ースでは、着用者の分髪部分に対応して熱可塑性樹脂等
のシート状物からなる分髪部分ベースを配置し、ここに
植毛することにより、かつらの分髪部分に自然な毛髪の
流れを得ると共に、分髪部分ベースが露見しても頭皮と
変わらない自然な外観を得ることができる。そしてその
分髪部分ベースの製造方法としては、合成樹脂あるいは
熱可塑性合成樹脂を適宜有機溶剤に溶解した合成樹脂溶
液を、成形型全体に満遍なく塗布し、乾燥して該有機溶
剤を蒸発させる工程を繰り返し、所望の膜厚にした後、
分髪部分として必要な箇所を切り取る方法が広く行われ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記成形型に合成樹脂
溶液を塗布し、乾燥して有機溶剤を蒸発させる製造方法
では、合成樹脂溶液の塗布時あるいは乾燥時に空気を巻
き込み、かつらベース内に気泡が発生し易くなるため、
成形後のかつらベースの強度低下をもたらす原因とな
り、その気泡の混入により美観が損なわれるという問題
があった。また、その作業時間を短縮するために合成樹
脂溶液の樹脂分濃度を上げて1回若しくは2回の塗布に
よって、塗装及び乾燥の工程を減らし、所望の膜厚を得
ることも可能であるが、気泡の発生あるいは製造後の膜
厚のばらつきが大きくなるなど品質面から1回若しくは
2回の塗布では所望の膜厚を得ることは困難であり、実
際には合成樹脂溶液の樹脂濃度を低くし、所望の膜厚に
なるまで前記塗布と乾燥の工程を繰り返さなければなら
ず、作業に長時間を要するという問題があった。さらに
ネットベースを用いるかつらの場合では、該ネットベー
スの製作に要する時間に比べて、分髪部分ベースの製造
に時間が掛り、ネットベースと分髪部分ベースをそれぞ
れ製造するために同一の成形型を2つ用意して同時にネ
ットベースと分髪部分ベースを製作する必要があるた
め、結果として成形型1つ分余計に費用が掛かってしま
うという問題があった。また、従来の合成樹脂溶液を、
成形型全体に満遍なく塗布し、乾燥して該有機溶剤を蒸
発させる工程を繰り返し、所望の膜厚にした後、分髪部
分として必要な箇所を切り取る方法の場合、分髪部分と
して必要な箇所が成形型全体のほんの一部分に過ぎずな
いため、無駄になる部分が多く、コストアップを招くと
いう問題があった。このため無駄になる部分を少なくす
るために成形型の分髪部分周辺のみに合成樹脂溶液を塗
布することも考えられるが、この場合成形型全体に満遍
なく塗布したものと比較すると膜厚のばらつきが大きく
なり、かつ所望の膜厚を得るために塗布及び乾燥を余分
に繰り返す必要があるため、結果として作業時間の短縮
にはつながらなかった。
【0004】そこで本発明は均一な膜厚が得られ、製作
が容易なかつらの部分ベースの製造方法及びその製造具
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、かつ
らの部分ベースとなる熱可塑性樹脂シートと該シートと
異なる補助用熱可塑性樹脂シートとを剥離可能に貼り合
わせてなるかつらベース用シート材を、該補助用熱可塑
性樹脂シート側から加熱軟化させ、前記シート材の前記
補助用熱可塑性樹脂シート側を成形型に密着させて成形
し、シート相互を剥離することを特徴とするかつらの部
分ベースの製造方法である。
【0006】請求項2の発明は、かつらベース用シート
材の周囲を開口を有する枠体により挟持すると共に、該
シート材を下から加熱軟化させ、該シート材の下面を前
記枠体と共に成形型に押し当てて密着し、冷却後、離型
するかつらの部分ベースの製造方法において、前記かつ
らベース用シート材は、かつらの部分ベースとなる熱可
塑性樹脂シートの下に、該シートより軟化温度が低い
助用熱可塑性樹脂シートを剥離可能に貼り合わせてな
り、前記シート相互を剥離することを特徴とするかつら
の部分ベースの製造方法である。
【0007】請求項3の発明は、前記かつらの部分ベー
スとなる熱可塑性樹脂シートに、ポリウレタン樹脂エラ
ストマーを用いることを特徴とする請求項1又は2記載
のかつらの部分ベースの製造方法である。
【0008】請求項4の発明は、請求項1記載のかつら
の部分ベースの製造方法に用いられ、前記かつらベース
用シート材の周囲を挟持して前記成形型に押し当てるか
つらの部分ベースの製造具であって、前記製造具は前記
成形に沿って屈曲可能で開口を有する一対の枠板から
なることを特徴とするかつらの部分ベースの製造具であ
る。
【0009】
【作用】請求項1の構成では、シート材はかつらの部分
ベースとなるシートと異なるシートとを2層にしてなる
ため、成形後にベースとして使用しない下のシート側か
ら加熱することができ、部分ベースとなるシートに過剰
な熱が掛からず、加熱により部分ベースとなるシートが
部分的に延展することがない。また、下のシートを成形
型に押し当てて成形することにより、上の部分ベースと
なるシートが部分的に延展されることがなく、ほぼ均一
な厚さで部分ベースとなるシートを成形することができ
る。さらに成形型に部分ベースとなるシートが直接接触
しないため、成形型に接触して急冷されることがなく、
部分ベースとなるシートの品質が安定したものとなる。
【0010】請求項2の構成では、部分ベースをシート
材より成形するため、合成樹脂溶液を複数回塗布する場
合と異なり、熟練を要さずとも、均一な厚さに成形する
ことができ、また、シート材を枠体により挟持し、加熱
軟化させて成形型に押し当てて成形するため、作業工程
及び時間の短縮が可能となる。また、シート材はかつら
の部分ベースとなるシートとこれより軟化温度の低いシ
ートとを2層にしてなるため、シート材を成形型に押し
当てる工程において、軟化温度の低い下のシート材が延
びて膜厚にばらつきが生じても、上のシート材を均一な
膜厚で成形することができ、成形後にベースとして使用
しない下のシート側から加熱することにより、部分ベー
スとなるシートに過剰な熱がかからず、加熱により部分
ベースとなるシートが部分的に延展することがなく、ま
た、下のシートを成形型に押し当てて成形することによ
り、上の部分ベースとなるシートが部分的に延展される
ことがなく、ほぼ均一な厚さで部分ベースとなるシート
を成形することができる。さらに成形型に部分ベースと
なるシートが直接接触しないため、成形型に接触して急
冷されることがなく、部分ベースとなるシートの品質が
安定したものとなる。また、軟化温度が低いシートが短
時間で成形できるため、シート材を成形型に押し当てる
時間が短時間で済む。
【0011】請求項3の構成では、ポリウレタン樹脂エ
ラストマーは比較的軟化温度が低く、加工が容易であ
り、出来上がった製品にはかつらの部分ベースとして適
した弾性が得られ、さらに耐久性に優れると共に、光を
受けても変色することが少なく耐光性にも優れたものと
なる。
【0012】請求項4の構成では、かつらベース用シー
ト材を枠体により挟持した状態で加熱軟化させ、その枠
体は成形型に沿って屈曲可能であるため、加熱軟化後、
枠体と共にシート材を成形型に押し当てて保持し、シー
トを成形することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して
説明する。図1ないし図9は本発明の第1実施例を示
し、図1及び図2は本発明に用いる成形型1の一例を示
すものであって、人頭雄型の成形型1は下部に紙などか
らなるスタンド2を一体に有し、その成形型1には禿頭
部と自毛の生え際を示す境界ラインRkと、成形型1の
分髪部分3Sを囲む作製ラインRbと、その分髪部分3
S内の分け目を示す分け目ラインRwとがそれぞれ記載
されている。
【0014】12はかつら用シート材11(以下、シート材
11という)の周囲を挟持する製造具たる枠体であり、こ
の枠体12は図3及び図4に示すように一対の枠板13,13
からなり、これら薄板状をなす枠板13,13にはそれぞれ
略長方形形状の開口14,14が形成され、それら枠板13,
13が一側縁で折曲部15にて連結され、上下の枠板13,13
を重ね合わせてなり、前記折曲部15により前記一対の枠
板13,13を重ね合わせ可能とするヒンジ部を構成してい
る。それら枠板13,13としては、前記シート材11より耐
熱性を有し、前記成形型1に押し当てた時に該枠板13が
該成形型1に密着できる程度の弾性を有し、この例では
厚さ0.3ミリ(mm)程度のステンレス板を使用してお
り、また、分髪部分ベースの成形に適するように、前記
枠板13は幅方向より長さ方向が長く形成されると共に、
前記開口14は成形型1の分髪部分3Sより大きな面積を
有している。そして前記枠体13は、図3の展開図に示す
ように、長方形形状をなす1枚のステンレス製板材に前
記開口14,14を形成し、同図で鎖線で示す中央の折曲部
15箇所にて折り曲げ形成される。
【0015】前記かつらベース用シート材11(以下、シ
ート材11という)は、この例では図5に示すように、か
つらの部分ベースとなる熱可塑性樹脂シート21(以下、
シート21という)に、該シート21より軟化温度が低い補
助用熱可塑性樹脂シート22(以下、補助用シート22とい
う)を剥離可能に貼り合わせてなり、これらシート21及
び補助用シート22は、接着材などを介さずに単にラミネ
ート加工により各々を密着させて貼り合わせ、剥離可能
に構成することが好ましい。前記かつらの部分ベースと
なるシート21は、熱可塑性樹脂であればポリウレタン樹
脂エラストマーや軟質塩化ビニールなどが適宜使用可能
であるが、耐久性、加工の容易性及び樹脂の柔軟性から
ポリウレタン樹脂エラストマーが好ましい。また、シー
ト21は太陽光あるいは蛍光灯などの光に対して自然な光
沢を付与するために少なくとも一面に艶消し加工及びか
つらの分髪部分が露出しても迷彩効果を持たせるために
肌色に着色が施されていることが好ましく、その艶消し
としては、成形前のシート21に予め艶消し加工をした
り、成形後に合成樹脂あるいは熱可塑性樹脂を適宜有機
溶剤で溶解した合成樹脂溶液に艶消し剤を添加したもの
を、前記表面に塗布した後、乾燥して有機溶剤を蒸発さ
せて艶消しを行う。一方、補助用シート22としては、前
記シート21より軟化温度が低い熱可塑性樹脂シートを使
用し、成形後かつらの部分ベースとなるシート21として
ポリウレタン樹脂エラストマーを使用していることか
ら、前記補助用シート22は、ポリ塩化ビニル、アクリ
ル、ポリスチレン、ポリオレフィン系の樹脂、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好適であり、これ
らの中でも加熱軟化させた時の樹脂の延展性からポリエ
チレンが特に好ましく、本発明では、補助用シート22に
ポリエチレンを用いることにより、加熱軟化して前記成
形型1に押し当てた際に補助用シート22に皺が入りにく
く、さらにそのポリエチレンからなる補助用シート22の
膜厚は、成形後のかつらベースの成形精度及び成形後の
冷却時に起こるシート材11の収縮を最小限に抑制するた
め、0.2以上から0.4ミリ以下程度が好ましい。ま
た、補助用シート22は透明または半透明若しくは着色さ
れていてもよく、前記シート材11を前記成形型1に倣っ
て成形した後に行う他の工程で必要な場合に、該成形型
1に記入してある前記作製用のラインRk,Rb,Rw
が視認可能な程度であればよい。さらにまた、前記成形
型1としては、石膏製以外でも、熱硬化性の樹脂例えば
エポキシ樹脂製あるいは木製の人頭雄型を用いることが
できる。
【0016】尚、図中23は前記シート材11を加熱する加
熱手段たる加熱ヒータであり、24は全体かつらを構成す
るネットベース、25は前記シート21より形成する部分ベ
ースたる分髪部分ベースである。
【0017】次に前記かつら用シート材11及び枠体12を
用いて部分ベースである分髪部分ベース25を製作する方
法につき説明すると、まず、前記枠板13の大きさにカッ
トした前記シート材11を、上下の枠板13,13間に挟持す
る。この場合、図4の鎖線に示すように、枠体12の弾性
に抗して折曲部15の他方側を開き、上下の枠板13,13間
にシート材11を差入れて挟持することができる。そして
挟持した状態で、図5に示すように、補助用シート22側
を加熱ヒータ23に向けて前記シート材11を加熱軟化さ
せ、この加熱軟化したシート材11の補助用シート22側を
素早く前記成形型1に押し当て、同時に枠体12もその弾
性により成形型1に倣った屈曲状態で成形型1に押し当
てる。このまま30秒から1分程度の短時間、押し当て
た状態で保持すると、軟化温度が低い補助用シート22が
成形型1に倣って成形され、その後、成形型1からシー
ト材11を外し、すなわち離型を行い、また枠体12からシ
ート材22を取り外し、図8におけるシート相互21,22を
剥離する前の状態で2〜24時間放置冷却する。この場
合、直接加熱した軟化温度が低い補助用シート22は成形
型1に押し当てると短時間で成形されるため、シート材
11を押し当てる時間が短時間で済み、一方、直接的に加
熱せずかつ直接成形型1に押し当てないシート21は、余
熱により形状が安定するまで剥離することなく補助用シ
ート22にり合わせた状態で2〜24時間放置冷却する
ことにより、成形型1に倣った形状に成形され、シート
材11を成形型1に押し当てた状態の冷却が短時間で済
む。そしてその積層構造をなすシート21,22相互を剥離
し、分髪部分ベース25となるシート21に人毛あるいは人
工毛髪を植毛し、また、シート21には、植毛前に前記ラ
インRb,Rwを図8に示したように写し取り、その作
製ラインRbに基づき不要部分を切り落として分髪部分
ベース25を作製し、この分髪部分ベース25を、前記ネッ
トベース24などからなる全体かつらの分髪部分に接着あ
るいは縫製などにより取り付ける。また、その分髪部分
ベース25の少なくとも一面には艶消し26の加工を施して
おく。
【0018】このように本実施例では請求項2に対応し
て、かつらベース用シート材11の周囲を開口14を有する
枠体13により挟持すると共に、該シート材11を下から
熱軟化させ、該シート材11の下面を枠体12と共に成形型
1に押し当てて密着し、冷却後、離型することを特徴と
するかつらの部分ベースの製造方法であるから、シート
材11を枠体12により挟持し、加熱軟化させて成形型1に
押し当てて成形するため、作業工程及び時間の短縮が可
能となる。また、分髪部分ベース25をシート材11のシー
ト21より成形するため、従来のように合成樹脂溶液を複
数回塗布する場合と異なり、熟練を要さずとも、均一な
厚さの分髪部分ベース25を成形することができ、成形型
1の分髪部分3S対応箇所だけにシート材11を押し当て
て成形できるため、成形後の余剰な部分が極端に減少
し、材料費の削減が可能となり、しかも従来方法のよう
に、合成樹脂溶液の塗布及び乾燥といった工程が省か
れ、それら溶液使用に伴う局所排気及び乾燥に要する設
備が不要となり、加熱ヒータ23などの加熱手段があれば
簡易に製造することができる。さらに枠体12によりシー
ト材11を挟持したまま加熱すると共に、そのまま成形型
1に押し当て成形するため、成形型の押し当てる際にシ
ート材11がずれることなく均等に押し当てることができ
る。
【0019】このように本実施例では請求項1に対応し
て、かつらの分髪部分ベースとなる熱可塑性樹脂シート
21と該シート21と異なる補助用熱可塑性樹脂シート22と
を剥離可能に貼り合わせてなるかつらベース用シート材
11を、補助用熱可塑性樹脂シート22側から加熱軟化さ
せ、シート材11の補助用熱可塑性樹脂シート22側を成形
型1に密着させて成形し、シート21,22相互を剥離する
ことを特徴とするかつらの部分ベースの製造方法である
から、シート材11はかつらの分髪部分ベース25となるシ
ート21と異なる補助用シート22とを2層にしてなるた
め、ベース材11を下の補助用シート22側から加熱するこ
とができ、上の分髪部分ベース25となるシート21に過剰
な熱がかからず、加熱時に分髪部分ベース25となるシー
ト21が部分的に延展することがない。また、下のシート
22を成形型1に押し当てて成形することにより、上の分
髪部分ベース25となるシート21が部分的に延展されるこ
とがなく、均一な厚さで分髪部分ベース25となるシート
21を成形することができる。さらに成形型1に分髪部分
ベース25となるシート21が直接接触しないため、成形型
1に接触して急冷されることがなく、安定した品質の分
髪部分ベース25を成形することができる。
【0020】このように本実施例では請求項2に対応し
て、かつらベース用シート材11は、かつら分髪部分ベー
ス25となる熱可塑性樹脂シート21の下に、該シート21よ
り軟化温度が低い熱可塑性樹脂シート22を剥離可能に貼
り合わせてなり、シート21,22相互を剥離することを特
徴とする請求項1記載のかつらの部分ベースの製造方法
であるから、シート材11はかつらの分髪部分ベース25と
なるシート21とこれより軟化温度が低い補助用シート22
とを2層にしてなるため、シート材11を成形型1に押し
当てる工程において、軟化温度の低い下のシート材22が
延びて膜厚にばらつきが生じても、上のシート材21を均
一な膜厚で成形することができ、また、ベース材11を下
の補助用シート22側から加熱することができるため、上
の分髪部分ベース25となるシート21に過剰な熱がかから
ず、加熱時に分髪部分ベース25となるシート21が部分的
に延展することがない。さらに下のシート22を成形型1
に押し当てて成形することにより、上の分髪部分ベース
25となるシート21が部分的に延展されることがなく、均
一な厚さで分髪部分ベース25となるシート21を成形する
ことができる。また成形型1に分髪部分ベース25となる
シート21が直接接触しないため、成形型1に接触して急
冷されることがなく、安定した品質の分髪部分ベース25
を成形することができる。また、軟化温度が低いシート
22が短時間で成形できるため、成形型1にシート材11を
押し当てる時間が短時間で済み、余熱状態でシート21を
補助用シート22に貼り合わせたまま所定時間放置冷却す
ることにより、シート21を補助用シート22の形状、すな
わち成形型1に倣った形状に成形することができる。
【0021】このように本実施例では請求項3に対応し
て、かつらの分髪部分ベース25となる熱可塑性樹脂シー
ト21に、ポリウレタン樹脂エラストマーを用いることを
特徴とする請求項1又は2記載のかつらの部分ベースの
製造方法であるから、ポリウレタン樹脂エラストマーは
比較的軟化温度が低く、加工が容易であり、出来上がっ
た製品にはかつらの部分ベース25として適した弾性が得
られ、この弾性により良好な着用感が得られ、さらに耐
久性に優れると共に、光を受けても変色することが少な
く耐光性にも優れたものとなる。
【0022】このように本実施例では請求項4に対応し
て、かつらベース用シート材11の周囲を挟持して成形型
1に押し当てるかつらの分髪部分ベース25の製造具たる
枠体12であって、枠体12は成形1に沿って屈曲可能で
開口14を有する一対の枠板13,13からなることを特徴と
するかつらの部分ベースの製造具であるから、かつらベ
ース用シート材1を枠体12により挟持した状態で加熱軟
化させ、その枠体12は成形型1に沿って屈曲可能である
ため、加熱軟化後、シート材11と共に成形型1に押し当
てて保持でき、シート材11を簡便に成形することができ
る。また、上下の枠板13,13によりシート材11を安定し
て挟持することができる。
【0023】また、実施例上の効果として、補助用シー
ト22にポリエチレンを用いることにより、このポリエチ
レンは延展性に優れ、また、成形型1に押し当てたとき
皺が入り難くいため、分髪部分ベース25となるシート21
を成形型1に倣って忠実に成形することができ、さらに
そのポリエチレンからなる補助用シート22の厚さを0.
2以上から0.4ミリ以下としたことにより、成形精度
を良好に保つことができ、厚さが0.4ミリを越えると
成形型1にシート材11を押し当てた際、比較的肉厚な補
助用シート22の延展が不十分となり、上のシート21の成
形精度が損なわれる虞が有り、一方、0.2ミリ以下だ
と成形型1に押し当てた際、補助用シート22に皺が入っ
たり、該シート材11の冷却時における収縮により成形精
度を損なう虞、さらには加熱温度の管理が煩雑になる面
があるがこれらを解消することができる。さらに補助用
シート22をポリエチレンとすることにより、加熱軟化し
たシート材11を成形型に押し当てる時間を短時間にする
ことができ、作業性の向上が計れる。また、分髪部分ベ
ース25の少なくとも一面に艶消し26の加工を施すことに
より、出来上がったかつらの分髪部分が露見しても頭皮
と変らない自然な外観を得ることができる。さらに本実
施例では成形時にシート材11の補助用シート22側から加
熱を行うことができるため、シート21に予めシボ加工な
どの艶消し26を施しておいても、その艶消し26が加熱ヒ
ータの熱に晒されることがなく、成形後においても良好
な艶消し状態が保たれる。また、枠体12にあっては板材
に開口14を形成し、折り曲げるという構成であるため、
安価かつ簡易に製造することができる。
【0024】図10は本発明の第2実施例を示し、上記
第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説
明を省略して詳述すると、この例では枠体12の変形例を
示し、図10の展開図に示すように、枠体12は、上下一
対の枠板13,13の一側を蝶番31により一体に連結し、そ
の蝶番31により上下一対の枠板13,13を重ね合わせ可能
とするヒンジ部を構成している。そして前記枠体間13,
13間に前記シート材11を挟んで第1実施例と同様に分髪
部分ベース25を簡便に成形することができ、この例にお
いても請求項4に対応して第1実施例と同様な作用,効
果を奏する。
【0025】図11は本発明に第3実施例を示し、上記
第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説
明を省略して詳述すると、ポリウレタン樹脂エラストマ
ーからなる1枚の熱可塑性樹脂シート21によりかつら用
ベース材11Aを構成した例を示し、この例では請求項3
に対応して、かつらベース用シート材11Aの周囲を開口
14を有する枠体13により挟持すると共に、該シート材11
Aを加熱軟化させ、該シート材11Aの下面を枠体12と共
に成形型1に押し当てて密着し、冷却後、離型すること
を特徴とするかつらの部分ベースの製造方法であるか
ら、分髪部分ベース25のシート21より成形するため、シ
ート材11Aを枠体12により挟持し、加熱軟化させて成形
型1に押し当てて成形するため、作業工程及び時間の短
縮が可能となり、熟練を要さずとも、均一な厚さの分髪
部分ベース25を成形することができ、また、請求項4に
対応しても第1実施例と同様な作用,効果を奏し、ま
た、この例では、シート21にポリウレタン樹脂エラスト
マーを用いることにより、加工が容易になると共に、出
来上がった製品にはかつらの分髪部分ベース25として適
した弾性が得られ、さらに耐久性に優れると共に、光を
受けても変色することが少なく耐光性にも優れたものと
なり、さらに分髪部分ベース25に艶消し26の加工を施す
ことにより着用時に自然な外観を得ることができる。
【0026】図12は本発明の第4実施例を示し、上記
第1実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説
明を省略して詳述すると、図12に示すように、この例
のかつら用シート材11Bは、ポリウレタン樹脂エラスト
マーからなる熱可塑性樹脂シート21の下に、この熱可塑
性樹脂シート21より軟化温度の低いポリエチレン,ポリ
プロピレンからなる補助用熱可塑性樹脂シート22A,22
Bを積層に設け、少なくとも前記シート21,22A相互は
剥離可能に貼り合わされている。そしてこの例でもかつ
らベースとなるシート21の成形精度を考慮すると、補助
用熱可塑性樹脂シート22A,22Bを合わせた膜厚は0.
2以上から0.4ミリ以下程度が好ましく、さらに分髪
部分ベース25には少なくとも一面に艶消し25を施す。そ
してこの例においても三層構造からなるかつらベース用
シート材11Bを用いることにより、請求項3ないし4に
対応して、上記第1実施例と同様な作用,効果を有す
る。
【0027】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実
施が可能であり、例えば枠体の材質は、成形型に沿って
屈曲可能なものであれば、各種材質のものを用いること
ができる。また、実施例においては分髪部分ベースを用
いて説明したが、例えばつむじ部分の部分ベースや、頭
部の毛髪の薄い箇所のみを部分的に覆う部分ベースなど
の製造に適用できることは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】請求項1の発明は、かつらの部分ベース
となる熱可塑性樹脂シートと該シートと異なる補助用熱
可塑性樹脂シートとを剥離可能に貼り合わせてなるかつ
らベース用シート材を、該補助用熱可塑性樹脂シート側
から加熱軟化させ、前記シート材の前記補助用熱可塑性
樹脂シート側を成形型に密着させて成形し、シート相互
を剥離することを特徴とするかつらの部分ベースの製造
方法であり、均一な膜厚が得られ、製作が容易なかつら
の部分ベースの製造方法を提供することができる。
【0029】請求項2の発明は、かつらベース用シート
材の周囲を開口を有する枠体により挟持すると共に、該
シート材を下から加熱軟化させ、該シート材の下面を前
記枠体と共に成形型に押し当てて密着し、冷却後、離型
するかつらの部分ベースの製造方法において、前記かつ
らベース用シート材は、かつらの部分ベースとなる熱可
塑性樹脂シートの下に、該シートより軟化温度が低い
助用熱可塑性樹脂シートを剥離可能に貼り合わせてな
り、前記シート相互を剥離することを特徴とするかつら
の部分ベースの製造方法であり、均一な膜厚が得られ、
製作が容易なかつらの部分ベースの製造方法を提供する
ことができる。
【0030】請求項3の発明は、前記かつらの部分ベー
スとなる熱可塑性樹脂シートに、ポリウレタン樹脂エラ
ストマーを用いることを特徴とする請求項1又は2記載
のかつらの部分ベースの製造方法であり、均一な膜厚が
得られ、製作が容易なかつらの部分ベースの製造方法を
提供することができる。
【0031】請求項4の発明は、請求項1記載のかつら
の部分ベースの製造方法に用いられ、前記かつらベース
用シート材の周囲を挟持して前記成形型に押し当てるか
つらの部分ベースの製造具であって、前記製造具は前記
成形に沿って屈曲可能で開口を有する一対の枠板から
なることを特徴とするかつらの部分ベースの製造具であ
り、均一な膜厚が得られ、製作が容易なかつらの部分ベ
ースの製造具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す成形型の平面図であ
る。
【図2】本発明の第1実施例を示す成形型の斜視図であ
る。
【図3】本発明の第1実施例を示す枠体の展開図であ
る。
【図4】本発明の第1実施例を示す枠体の断面図であ
る。
【図5】本発明の第1実施例を示すシート材の加熱工程
を説明する断面図である。
【図6】本発明の第1実施例を示すシート材を枠板と共
に成形型に押し当てる工程を説明する斜視図である。
【図7】本発明の第1実施例を示すシート材を枠板と共
に成形型に押し当てた状態の斜視図である。
【図8】本発明の第1実施例を示す成形後のシート材の
斜視図である。
【図9】本発明の第1実施例を示すネットベースに分髪
部分ベースを取り付けた状態の平面図である。
【図10】本発明の第2実施例を示す枠体の展開図であ
る。
【図11】本発明の第3実施例を示すシート材の断面図
である。
【図12】本発明の第4実施例を示すシート材の断面図
である。
【符号の説明】
1 成形型 11 11A 11B かつらベース用シート材 12 枠体(製造具) 13 枠板 14 開口 21 熱可塑性樹脂シート 22 補助用熱可塑性樹脂シート 23 加熱ヒータ(加熱手段) 25 分髪部分ベース(部分ベース)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 かつらの部分ベースとなる熱可塑性樹脂
    シートと該シートと異なる補助用熱可塑性樹脂シートと
    を剥離可能に貼り合わせてなるかつらベース用シート材
    を、該補助用熱可塑性樹脂シート側から加熱軟化させ、
    前記シート材の前記補助用熱可塑性樹脂シート側を成形
    型に密着させて成形し、シート相互を剥離することを特
    徴とするかつらの部分ベースの製造方法。
  2. 【請求項2】 かつらベース用シート材の周囲を開口を
    有する枠体により挟持すると共に、該シート材を下から
    加熱軟化させ、該シート材の下面を前記枠体と共に成形
    型に押し当てて密着し、冷却後、離型するかつらの部分
    ベースの製造方法において、前記かつらベース用シート
    材は、かつらの部分ベースとなる熱可塑性樹脂シートの
    下に、該シートより軟化温度が低い補助用熱可塑性樹脂
    シートを剥離可能に貼り合わせてなり、前記シート相互
    を剥離することを特徴とするかつらの部分ベースの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記かつらの部分ベースとなる熱可塑性
    樹脂シートに、ポリウレタン樹脂エラストマーを用いる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のかつらの部分ベ
    ースの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のかつらの部分ベースの製
    造方法に用いられ、前記かつらベース用シート材の周囲
    を挟持して前記成形型に押し当てるかつらの部分ベース
    の製造具であって、前記製造具は前記成形に沿って屈
    曲可能で開口を有する一対の枠板からなることを特徴と
    するかつらの部分ベースの製造具。
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