JP3500879B2 - 粉砕機、粉砕方法、耐摩耗スクリーン、スリット及び部材 - Google Patents

粉砕機、粉砕方法、耐摩耗スクリーン、スリット及び部材

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JP3500879B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録材料、電子材
料、薬品、塗料、顔料、化粧品粉末、食品、飼料、肥料
等、粉体を扱う産業分野で粗原料を破砕、粉砕、混合、
分散(以下粉砕という)するため粗原料の被粉砕、分散
物(以下粉砕物という)を粉砕分散用メディア(以下メ
ディアという)単独或いは撹拌ピン乃至は撹拌ディスク
による撹拌の併用によって粉砕物をスラリー化し、該ス
ラリーと未粉砕物及びメディアを分離するスクリーンの
うち、少なくとも1つを備え、しかもセラミックスが用
いらている粉砕機乃至は粉砕機用部品を提供すること
にある。
【0002】
【従来の技術】従来の粉砕機はスリット棒をはじめ、撹
拌ピン、撹拌ディスク、スリーブ乃至はカラーの構成材
料は金属、主としてSUS304を含むJIS G43
05、3101で示される一般構造用圧延鋼材で形成さ
れている。例えば、スクリーンのスリットについて、ウ
ェッジワイヤ方式と呼ばれているが、このスリット棒が
一本一本鑞付によりベースに接合された一体物としてス
クリーンが形成されていた。又、耐摩耗性を向上させる
ためにスリット棒表面に高周波焼入れ、或いはステライ
ト溶射等の手段を用いて硬度を高めていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年高
分散化の要求とあいまってセラミックスメディアの使用
等粉砕機の性能が向上した反面、従来の金属材料製のス
クリーン等の粉砕機の摩耗部分の部材では摩耗が激しく
なり、極端な場合では1ヶ月以内にスリット部が摩耗
し、使用に耐えない状態となり、スクリーン交換の費用
増大、交換頻度の増加のため作業効率の低下による粉砕
物製造のランニングコストが増大されてきた。
【0004】更に金属材料は摩耗により、摩耗した金属
材料の製品への混入による製品品質の低下が問題になっ
てきた。
【0005】例えば電子材料磁性材料では摩耗で混入し
た金属成分のため電気特性磁性特性の変化等が問題にな
り、塗料の場合は微妙な色調の変化が問題となってきて
いる。
【0006】これら素材的な要因の他、加工法、施工法
の問題として従来の金属材料によるスクリーンでは、金
属スリット棒の両端が鑞付によりベースに1本1本接合
されて固定されている。
【0007】この他の接合方法には溶接法による場合も
あるが、溶接法では溶接に起因する熱応力による歪みが
発生してスリット幅が変化するのでこれを修正しなけれ
ばならない。鑞付(含む半田付)法は溶接法のような歪
みは生じ難いが反面接合強度が低く、粉砕機の性質上発
生する繰返し動荷重或いは衝撃荷重によりスリット棒が
外れやすいという問題点を抱えている。
【0008】又、鑞付法は自動化が難しく、人手で行っ
た場合は鑞付の良否の判定が困難なため正確なスリット
配列の接合には熟練度が必要不可欠であるし、熟練職人
が接合したとしてもそれでもなおその製品の接合信頼
性、スリット幅精度の定量性等の品質上の問題をかかえ
ていた。
【0009】本発明はこれらの問題点を解決し、耐摩耗
性耐蝕耐薬品性の良い、且つ例え摩耗してもスリット部
分のみを交換可能なためより安価に交換でき、溶接や鑞
付を行わないので歪みのない即ち寸法精度の高いスクリ
ーンを提供するものである。
【0010】また、撹拌ピン、撹拌ディスク、カラー乃
至はスリーブについても、電気特性、磁性特性 耐摩耗
性乃至は耐蝕耐薬品性について、前記スリットと同様の
課題の解決が待たれていた。
【0011】
【課題の解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、基本的に下記の構成を有する。
【0012】すなわち、粗原料の粉砕物を粉砕ボールに
よりスラリー化する粉砕機において用いる該スラリーか
ら未粉砕物及び粉砕ボールを分離するためのスクリーン
であって、ベースにセラミックス素材からなるスリット
棒を嵌合せしめ、スリット棒の一部がベースから粉砕処
理側に突出しており、かかる嵌合突出高さH、スリット
幅S、粉砕ボールの半径Rが下記式を満たす粉砕機用ス
クリーンである。 H>R−(R2−(S/2)21/2 また、かかるスクリーンを有する粉砕機である
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の粉砕機の構成形態は、特
に限定されるものではないが、典型的には、粗原料を粉
砕するため粗原料の粉砕物をメディア単独或いは撹拌ピ
ンまたは撹拌ディスクによる撹拌の併用によって粉砕物
をスラリー化し、該スラリーと未粉砕物及びメディアを
スクリーンで分離する構成である。
【0014】本発明において、摩耗部分とは、典型的に
は、前記スクリーンのスリット部分、撹拌ピン、撹拌デ
ィスク乃至はスリーブまたはカラーが挙げられる。これ
らの摩耗部分よりなる群の少なくとも1つを備え、且つ
セラミックス素材が用いられていることにより、本発明
の目的は達成されるが、好ましくは撹拌ピンまたは撹拌
ディスクが、より好ましくは、スクリーンも、さらに好
ましくはスリーブまたはカラーも、セラミックスで構成
されることにより本発明の目的は効果的に達成される。
各部位をそれぞれセラミックス化することにより、それ
ぞれ耐久性は向上するが、金属成分の混入を防ぐために
は、できるだけすべての部位をセラミックス化すること
が有効である。
【0015】次に本発明におけるセラミックス素材につ
いて、耐摩耗性を有するセラミックス素材ならば特に限
定されるものではないが、具体例を挙げるならば、部分
安定化ジルコニア、正方晶ジルコニア、ジルコニア−ア
ルミナ複合素材、窒化珪素、またはアルミナ等が例示で
きる。一般にセラミックスは金属材料に比べて耐摩耗性
は非常に大きい。特に正方晶のジルコニア(部分安定化
ジルコニアとも呼ばれる)及び窒化珪素はその曲げ強さ
80〜150kgf/mm2 とが大きく、耐摩耗性も大きい、
硬度はビッカース硬度で1200〜1400kgf/mm2
ある。又アルミナは更に硬度が高く、1600〜200
0kgf/mm2 であり、硬度が高い材料に対しての耐摩耗性
が大きい。しかしながら曲げ強さは50kgf/mm2 前後で
あり、幾分低いので比較的小型のものに適用出来る。ア
ルミナージルコニア複合素材は曲げ強さは80kgf/mm2
前後でアルミナより大きく、且つ硬度も1600kgf/mm
2で大きいので耐摩耗性もあり、最適である。正方晶の
ジルコニアは平均粒径1 μm 以下の固溶化したY2 3
1.5 〜5 モル%を含む、平均粒径0.5 〜2 μm からなる
ものが好ましい。アルミナ−ジルコニア複合素材(ZT
A)では、酸化アルミニウムを主成分とし、結晶構造と
して50体積%以上が正方晶であるZrO2を15〜4
0重量%の範囲で含み、且つAl23の平均粒径が5.
0μm以下、ZrO2の平均粒径が2.0μm以下の範
囲であることが好ましい。かかる複合素材はAl23
優れた熱伝導率特性を有しつつ高い強度が発揮される。
【0016】各部材に関して、まず、スクリーンについ
て説明するが、以下、本発明を主に円筒型スクリーンを
例に取り詳細に説明する。
【0017】本発明のスクリーンとは、粗原料を粉砕す
るため粗原料の粉砕物をメディア単独或いは撹拌棒によ
る撹拌の併用によって粉砕物をスラリー化する粉砕機に
おいて該スラリーと未粉砕物及びメディアを分離するた
めの耐摩耗性のあるスクリーンである。
【0018】次にスクリーンの形状であるが、特に限定
されるものではないが、円筒形でスリットが円周上で軸
と平行に同心円状に配列されていて、外から中に濾過さ
せる場合はスリット棒を外側から、中から外に濾過させ
る場合はスリット棒を内側に配列する等の例が挙げられ
る。又、円盤状のスクリーンの場合は中心部の円形のベ
ースと外周部の環状のベースの間にスリット棒を放射状
に配列される。この場合はスリット幅を一定にするため
にスリット棒は錐状の放射状に先端が太くなったものを
使用することが好ましい。
【0019】又、四角型のスクリーンの場合は角型のベ
ースにスリット棒を平行に嵌合し、その両端を固定すれ
ば良い。
【0020】いずれの場合においても本スクリーンはベ
ースに嵌合するための溝とその溝の嵌合する深さ以上の
肉厚のセラミックス製のスリット棒をその溝に嵌合させ
て一定幅のスリットを具現化する。
【0021】このようにすれば、メディアや未粉砕物は
ベース材料に直接触れることなく、耐摩耗性の良いスリ
ット棒のみで濾過され、又スリット幅は精度良く機械加
工されたスリット棒及び精度良く機械加工されたベース
の溝に支配され、鑞付や溶接による歪みも受けないので
精度の良いスクリーンが具現出来る。
【0022】本発明のスクリーンの構成は所定のスリッ
ト幅を形成せしめるため、スリット棒を嵌合するベース
素材にスリット棒を嵌合させるための溝を切り、1本1
本のスリット棒をその溝に嵌合する。しかもこの嵌合溝
に嵌合する深さはスリット棒の肉厚よりも小さくするこ
とにより、スリット棒がべ−ス素材を覆い隠すようにな
るので、ベースの素材が直接メディア(粉砕ボール等)
や未粉砕物に接触することがなくなり、ベースが摩耗す
ることはなくなる。なお、嵌合する深さとは、嵌合溝に
スリットを嵌合させたときにスリットがはまりこむ深さ
を指す。従って、溝やスリットの形状により、嵌合され
た状態で溝底部とスリットの間に隙間が生じる場合があ
り得るが、しっかり嵌合される限り特に問題はない。
【0023】嵌合の突出高さ(=肉厚−嵌合深さ)は
砕ボールとスクリーンベースとが接触しないという目
的が達成するためには、粉砕ボール直径及びスリット幅
と勘案して設定される。よって、内側でのスリット幅を
S、嵌合突出高さをH、粉砕ボールの半径をRとしたと
き、 H>R−(R2−(S/2)21/2 であればよい。
【0024】嵌合深さは、スリットがしっかり固定され
るならば特に限定されるものではないが、嵌合突出高さ
や嵌合幅に比べて小さすぎると不安定となる。特に限定
されるものではないがおおよその範囲を示すならば、嵌
合深さ:嵌合突出高さ=2:1〜1:5、嵌合深さ:嵌
合幅=2:1〜1:5程度が好ましい。
【0025】従来技術では金属製スリット棒を鑞付する
必要上或いは溶接する必要上ベースも金属にする必要が
あったが、本発明においては単に嵌込みの母材であるの
で、溝切り及びスリット棒を保持出来るだけの強度があ
れば、摩耗を考慮する必要がないので、素材は特定する
必要はない。
【0026】嵌合のみでは外れ易い場合はネジ等の機械
的な締付けや接着剤とを併用して固定しても良い。ある
いは、押さえ板を用いれば、より簡便かつ安定に嵌合組
み付けの結合が強化される。特に限定されるものではな
いが、押さえ板はスリットの端部にて用いるのが好まし
い。この時押さえ板のスリット長手方向長さは、おおよ
そ嵌合結合部分のスリット長手方向長さ程度が好まし
い。小さすぎると固定の安定性に欠け、大きすぎると粉
砕物の排出に差し支えたり、押さえ板の摩耗が大きくな
る。この押さえ板はさらにネジなどによる締め付けを施
しても良い。また、押さえ板の材質として特に限定され
るものではないが、耐摩耗性やはめ込みのし易さから、
硬質のポリマーが好ましい。硬質のポリマーとしては、
硬度R80〜R120程度のものがよい。具体的な素材
としてポリイミド、ポリウレタン、ナイロン、テフロン
(登録商標)、超高密度ポリプロピレンなどが挙げられ
る。もちろん、必要に応じて、セラミックスや金属を用
いても良い。
【0027】次にスリット棒の形状であるが、基本的に
はその断面が4辺形であり、濾過するスクリーンである
ので、少なくとも濾過物が通過する入り口側が出口側よ
り大きい形状の方が、スリット棒どうしで構成されるス
リット幅を通じて濾過される際に通過物の詰まりが生じ
難い。好ましくはその断面形状が台形で長辺側が入り口
に来るように配列すると濾過物がスクリーンのスリット
棒を通過後詰まることなく排出される。又、ベースにス
リット棒を嵌合する際にも断面が台形の方が締め込みが
容易であるので好ましい。この台形は極端な場合は短辺
の長さが0、即ち三角形でも良い。台形形状としてより
好ましくは、長辺部:短辺部=10:1〜10:9、長
辺部:高さ=2:1〜1:10である。また、一辺に直
角を有する形状の方が加工し易い。
【0028】スリット棒の角のエッジ部分は最も摩耗を
受け易く、又、衝撃的な荷重により欠け易い部位なの
で、予めエッジ部分はC面0.1〜0.2程度の面取り
をしておくことはより好ましいことである。
【0029】次にベースのスリット棒を受ける溝の形状
については、スリット棒が適度な嵌合深さおよび嵌合の
突出高さが得られるものであれば特に限定されるもので
はないが、たとえば、深さがスリット棒の肉厚よりも若
干浅くするか溝幅の勾配や形状(段差など)を調整する
ことにより達成できる。
【0030】好ましくはスリット棒が台形である場合、
溝も勾配のついた台形の方がよい。又、台形の方が嵌合
締付けの作業性もよい。
【0031】以下の実施例の概要説明1、2では中側か
ら外側に濾過するものを例に取り説明するが、外から中
側に濾過する形状のものでもスリット棒を環状の外側に
取り付けるようにベースの溝をつけるように設計すれ
ば、何等機能としては変わらないスクリーンにすること
が出来る。
【0032】また、円盤状スクリーンのスリットの外側
嵌合部分は、その放射形状のため、図12のようにL字
型に切り込んだ形状にしても良い。この場合、切り欠き
部分と残った部分の比がおおよそ1:5〜1:40程度
が好ましい。
【0033】粉砕機において、メディアや粉砕物を効果
的に撹拌するのに、粉砕機内部で回転する撹拌手段が好
適に用いられる。典型的な前記撹拌手段として撹拌ピン
又は撹拌ディスクが挙げられる。
【0034】まず、撹拌ピンについて説明する。図15
にある通り、撹拌ピン12は、回転中心軸13に対して
おおよそ直角に配置される。好適には回転中心軸13に
より貫通されたスリーブ14を介して取り付けられる。
撹拌ピンのサイズは得に限定されるものではないが、直
径は3〜30mmが好ましく、長さは20〜300mm
(あるいは撹拌機の内径の3〜10%)が好ましい。ま
た、先端部分はC面1〜5mm程度の面取りされている
ことが好ましい。本数は4〜16が好ましい。図15
で、回転中心軸方向に撹拌ピンが2段に設けられている
ように多段にも設けてもかまわない。図15では作図の
都合上、上段と下段の撹拌ピンは回転中心軸の長軸方向
上1列に設けているように描かれているが、好ましく
は、互い違いになるように設置される。撹拌ピンの断面
形状は耐久性などを勘案して円形が好ましい。
【0035】
【0036】撹拌ピンの固定方法としては、別のピンで
かしめて固定する態様(ピン留め式撹拌ピン)や、ピン
自身にネジ切りして固定する態様(ねじ切り式撹拌ピ
ン)も挙げられる。ピン留め式撹拌ピンでは、撹拌ピン
自身のねじ切り部分が欠ける恐れがないのでねじ切り式
撹拌ピンよりも好ましい。
【0037】まず、前者のピン留め式撹拌ピンについて
説明する。これは、固定端部内部、例えばスリーブ内に
おいて、撹拌ピンの長軸に対して垂直に、別のピンで締
め付ける。撹拌ピンが前記にように締め付けられる部位
は、好ましくは図16のようにピン留め括れ部17を有
する。ピン留め括れ部17は撹拌ピンの直径の70〜9
0%程度の直径であることが好ましい。70%以下では
細すぎて強度が弱くなり、90%以上では浅すぎて締め
付け固定が弱く、撹拌ピンが抜け落ちる心配がある。ま
た、図16にようにピン留め括れ部17の回りにはC面
C1〜C3程度の面取りをしておくことが好ましい。な
お、ピン留め括れ部17を全周的に設けず締め付けられ
る方位にのみ設ける態様(ピン留め凹部)もありえる
が、これは位置合わせがやややっかいとなる。また、ピ
ン留め凹部を深くして、場合によっては貫通孔にする態
様もあり得る。ピン留め式撹拌ピンに用いるスリーブと
しては特に限定されるものではないが、例えば図17の
ような態様が挙げられる。図17において、撹拌ピン差
し込み孔21に撹拌ピンが挿入される。撹拌ピン差し込
み孔21は製作の容易さから、スリーブの回転中心軸貫
通孔25まで、貫通していることが好ましい。撹拌ピン
差し込み孔21が貫通している場合、撹拌ピンの先端は
回転中心軸に到達して、締め付け位置の位置決めができ
る。差し込まれた撹拌ピンは差し込みピン孔22より挿
入された差し込みピンにより固定される。なお、図17
のスリーブ上方側面図19及びスリーブ下方側面図20
において、撹拌ピン差し込み孔21及び差し込みピン孔
22は、それぞれ4つづつ記載されているが、煩雑にな
るのを防ぐため符号はそれぞれ1つだけに付している。
好ましくは差し込みピン孔22に雌ねじ、差し込みピン
に雄ねじを切っておくことにより安定して締め付けられ
る。ここで、差し込みピンの頭は差し込みピン孔22に
完全に埋没することが好ましい。頭が出ていると、摩耗
したり、他のスリーブを重ねて取り付けるときに邪魔に
なるからである。スリーブの構造上、差し込みピン孔2
2が深くならざるを得ない場合、長いネジ孔の作成を避
けるため、ネジを設けず、自由に差し込みピンが入れ
る、ピン導入部23が好適に設けられる。なお、スリー
ブ自体は、スリーブ固定ピン24により回転中心軸に固
定されている。
【0038】撹拌ピン方式のスリーブの下端部は図18
に示したようにスクリュー羽根26が設けられていて、
メディアや粉砕粒子を遠心力を利用して外周部へ排除す
る。なお、粉砕機が大きく回転中心軸方向に沿って長い
場合、図18のスリーブのスクリュー羽根26を有さな
い端面側(図17のスリーブの正面図18の左側面)
に、スクリュー羽根26を有さず、両端面が平坦なスリ
ーブを端面同士で密着させて複数並べて回転中心軸に取
り付けて、対応することもできる。
【0039】次に後者のネジ切り式撹拌ピンは、図19
の通り、撹拌ピンの先端に雄ねじのねじ切り部29、図
17における、撹拌ピン差し込み孔21に雌ねじが切ら
れ,差し止めピン及び差し止めピン挿入孔を有さない以
外は、ピン留め式撹拌ピンおよびそのスリーブと同様で
ある。なお、撹拌ピンをレンチなどにより、締め付ける
ために、平面切り欠き部30を設けるとよい。
【0040】次に撹拌ディスクについて説明する。図2
0に示したように撹拌ディスク31とカラー32を交互
に積み重ねた構造で構成される。これらは撹拌ピンのス
リーブの場合と異なり、長軸方向に締め付けられること
により固定される。撹拌ディスクの直径はおおよそ50
〜400mm(あるいは粉砕装置内径の50〜90%)
が好ましい。また、厚みは3〜20mmが好ましい。
【0041】図21に車輪型の撹拌ディスクの例を示
す。中心にはディスクの回転中心軸貫通孔36を有す
る。この孔の形状を見てもわかるとおり、撹拌ディスク
の場合、回転中心軸の断面形状は正方形など非真円形状
であることが好ましい。真円形状だと、回転時に、撹拌
ディスクと回転中心軸との間に滑りが発生して、回転効
率が低下する恐れがあるからである。重量軽減と撹拌効
率向上のため、撹拌ディスクには円周孔37が設けられ
ている。円周孔の面積は撹拌ディスクの面積の10〜5
0%程度が好ましく、孔の数は2〜6個が好ましい。ま
た、回転方向にスロープ部38を設けることより抵抗が
軽減されてよい。さらに円周上ピン部39の出っ張りに
より、撹拌効率を高めることができる。図22には風車
型の撹拌ディスクの例を示す。これは円周孔の代わりに
円周溝を42を有する。中心には図21の車輪型の撹拌
ディスクと同様にディスクの回転中心軸貫通孔36を有
する。この図においては時計回りに回るものである。溝
の数などの好適範囲は車輪型の場合とほぼ同様である。
【0042】最後に撹拌ディスクの間に設けられるカラ
ーを図23に図解する。カラー自身は撹拌ディスクほど
抵抗を受けないので、回転中心軸との滑りは殆ど問題と
ならないので図23の通りカラーの回転中心軸貫通孔4
5は真円形状でもかまわない。ただし、回転中心軸とカ
ラー内径とは接するようサイズを調整することが好まし
い。カラーの直径はおおよそ20〜200mm(あるい
は粉砕装置内径の20〜50%)が好ましい。また、厚
みは15〜200mmが好ましい。
【0043】(実施例の概要説明1) 図1(側面断面図)、図2(下側底面図)及び図3(側
面透視図)で示したのは円筒状の中側から外側に濾過さ
れるスクリーンで、SUS304製ベース、正方晶ジ
ルコニア製の棒状スリット棒、押え板3、補強棒
取付けネジで構成されている。環状のSUS304製
ベースの内側円周上に図4に断面拡大表示で示したよ
うな溝が加工してある。この溝に棒状スリット棒が必
要数量だけ嵌合セットしてある。嵌合されたスリット棒
は押え板によりずれないように固定されている。さら
にこの環状のSUS304製ベースの内側円周上の側
面からみた断面拡大表示が図5である。図5のように、
取付けネジで機械的に締付け固定されている。このよ
うにしっかり固定すればメディアや未粉砕物の動きや機
械振動による動荷重や衝撃荷重により外れることなくし
っかりと固定される。環状で断面形状が三角形の押え板
SUS304製ベースの溝に嵌合された棒状スリ
ット棒が使用中にずれないようにするための補助的な
部品で、材料は比較的弾力性のある素材が望ましい。実
施例の場合はポリイミド樹脂(東レ株式会社製TI)の
ものを使用した。
【0044】さらに、環状のSUS304製ベース
内側円周上に、スリットを嵌合する様子の斜視図を図6
に、その上に押さえ板を取り付ける様子の斜視図を図7
に示した。
【0045】図8は棒状スリット棒の詳細図である。
【0046】スクリーンの直径は小さいのもでは50m
m、大きなものでは1000mmのものまであるが、そ
れ以外の大きさでも何等問題ない。各部品はその都度、
所定のスリット幅の大きさ、全体の大きさからの設定強
度の設計計算より任意の値を設定される。
【0047】(実施例の概要説明2)円状のスクリー
ンである。図9が正面図、図10は側面から見た断面図
を示した。その部品構成は実施例1の円筒型スクリーン
と同様で、内側ベース6は1、外側(円周側)ベース7
、窒化珪素セラミックスで出来た放射状スリット棒
8は、内側押え板9は、 外側押え板10は3、補
強カバー11は、取付けネジ5はにそれぞれ対応す
る。
【0048】実施例の概要説明1の円筒型との違いは、
スリット棒が円の中心から半径方向に放射状平面に配
列されている。したがってスリット棒間で構成されるス
リット幅を一定にするためにスリット棒は円の中心部は
細く、外周部は太い角錐状の形状で、その詳細寸法は嵌
合する内側ベースの外径、外側ベースの内径、スリット
棒の本数、スリット幅の設計値より計算される。図1
1、12はこのスリット棒の詳細図である。この断面が
楔形(台形)の放射状スリット棒8の両端を内側ベース
6、外側ベース7の溝にそれぞれ所定の数量を1本1本
全ての溝に嵌合し、押え板で押えて取付けネジ5で締付
けて固定されている。
【0049】さらに、円状のスクリーンの外側(円周
側)ベース7に、スリットを嵌合する様子の斜視図を図
13に、その上に円状の外側押さえ板10を取り付け
る様子の斜視図を図14に示した。
【0050】次に実施例により本発明を説明する。
【0051】
【実施例】
実施例1 実施例の概要説明1で示した円筒形状のスクリーンとし
て、全外周径188mm、スリット部は直径160m
m、全高さ80mm、スリット高さ50mm、スリット
幅は0.6mmであるスクリーンを用いた。この場合、
スリット棒は肉厚4mm、幅(長辺部)2.5mm、反
対側の短辺部1mmの断面形状が一辺が直角、一辺が斜
辺の台形のスリット棒である。このスリット棒を162
本使用してスクリーンを形成した。又ベースには深さ2
mmのこのスリット棒が2mmだけ入る台形の凹形に溝
を掘ったものを使用した。
【0052】これらの部品を使ったスクリーンはスリッ
ト幅±0.1mmの設計値で設計されたが、組み上げた
スクリーンの歪みがないために実際には±0.05mm
の精度で、従来のものに比べてスリット幅のばらつきは
2分の1に向上した。
【0053】実施例の概要説明2で示した円形状のス
クリーンとして、全外周径188mm、スリット部は中
心直径160mm、全長60mm、スリット長さ80m
m、スリット幅は0.6mmであるスクリーンを用い
た。この場合、スリット棒は肉厚4mm、幅(長辺部)
2.5mm、反対側の短辺部1mmの断面形状が一辺が
直角、一辺が斜辺の台形のスリット棒である。このスリ
ット棒を162本使用してスクリーンを形成した。又ベ
ースには深さ2mmのこのスリット棒が2mmだけ入る
台形の凹形に溝を掘ったものを使用した。
【0054】これらの部品を使ったスクリーンはスリッ
ト幅±0.1mmの設計値で設計されたが、組み上げた
スクリーンの歪みがないために実際には±0.05mm
の精度で、従来のものに比べてスリット幅のばらつきは
2分の1に向上した。
【0055】図15にあるように、前記円筒形状と円
形状のスクリーンを組み合わせ、粉砕メディアとして正
方晶ジルコニア製セラミックボール(直径0.8mm)
を用い、正方晶ジルコニア製セラミックの撹拌ピン(上
段には直径16mm、長さ90mmを4本、下段には直
径16mm、長さ80mmを4本)を取り付けた回転式
撹拌装置を用い、スリーブも正方晶ジルコニア製セラミ
ックを用いた。水を分散媒体として、TiBaの粉砕
(800回転/分)を行ったところ、SUS製スリット
と比較して寿命が約10倍に伸びた。また、撹拌棒の寿
命も5倍伸びた。
【0056】
【発明の効果】
(1)本発明は粉砕機のメディア、未粉砕物と粉砕スラ
リーを分離濾過するためのスクリーンのスリット部、あ
るいは撹拌ピン、撹拌ディスク、スリーブおよびカラー
よりなる群の少なくとも1つをセラミックス材料にする
ことにより、特に正方晶ジルコニア(部分安定化ジルコ
ニア)、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア−アルミナ複
合素材にすることにより、耐摩耗性に優れた粉砕機乃至
は粉砕機用部品(スクリーンのスリット部、あるいは撹
拌ピン、撹拌ディスク、スリーブおよびカラー)を具現
化した。
【0057】(2)加えて摩耗が少なくなって、製品へ
の粉砕機乃至は粉砕機部品の材料の摩耗成分の混入が減
少した他、例え混入しても電気的磁気的不活性なセラミ
ックス材料なので、製品の電気的、磁気的特性に与える
影響を従来の金属材料製に比べて遥かに小さくなった。
又、塗料のような色調の重要な製品の場合も色の変化が
小さく、品質向上に効果があった。
【0058】(3)このように摩耗しなくなったので、
粉砕という作業の稼働率が上がり、従来法より生産性が
向上した。
【0059】(4)特にスクリーンのスリット部に関し
ては従来、鑞付或いは溶接によって固定していたスリッ
ト棒を嵌合固定にし結果、スリット棒の歪みによるス
リット幅のばらつきが小さくなり、分離性能が向上し
た。
【0060】(5)同じくスクリーンのスリット部に関
しては摩耗や他の機械的な損傷等によってスリット棒に
不具合が生じて、取替えなければならない場合に、鑞
付、溶接による従来のものはスクリーン全体を交換しな
ければならなかったが、本発明による嵌合方式では破損
した不具合を生じた部分のみの交換で済み、交換部品代
の費用削減になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる円筒型スクリーンの側面図で
ある。
【図2】 本発明にかかる円筒型スクリーンの下側底面
図である。
【図3】 本発明にかかる円筒型スクリーンの側面透視
図である。
【図4】 ベース溝にスリット棒を嵌合固定した部分の
断面拡大図である。
【図5】 ベース溝にスリット棒を嵌合固定した部分の
側面から見た断面拡大図である。
【図6】 ベース溝にスリット棒を嵌合する斜視図であ
る。
【図7】 ベース溝にスリット棒を嵌合した上から押さ
え板を取り付ける斜視図である。
【図8】 スリット棒の拡大詳細図である。
【図9】 本発明にかかる円状スクリーンの正面図で
ある。
【図10】 本発明にかかる円状スクリーンの側面か
ら見た断面図である。
【図11】 放射状スリット棒の拡大詳細図である。
【図12】 取り付け部に切り込みを有する放射状スリ
ット棒の拡大詳細図である。
【図13】 円状スクリーンの外側ベースにスリット
棒を嵌合する斜視図である。
【図14】 スリット棒を嵌合した円状スクリーンの
外側ベースに外側押さえ板を取り付ける斜視図である。
【図15】 実施例1の粉砕機の断面図である。
【図16】 ピン留め式撹拌ピンの2面図である。
【図17】 スリーブの3面図である。
【図18】 スクリュー羽根の斜視図である。
【図19】 ねじ切り式撹拌ピンの2面図である。
【図20】 撹拌ディスクとカラーが積層された状態の
正面図である。
【図21】 車輪型撹拌ディスクの2面図である。
【図22】 風車型撹拌ディスクの2面図である。
【図23】 カラーの2面図である。
【符号の説明】
1:SUS304製ベース 2:棒状スリット棒 3:押え板 4:補強棒 5:取付けネジ 6:内側ベース 7:外側ベース 8:放射状スリット棒 9:内側押え板 10:外側押え板 11:補強カバー 12:正方晶ジルコニア製セラミックの撹拌ピン 13:回転中心軸 14:スリーブ 15:ピン留め式撹拌ピンの正面図 16:ピン留め式撹拌ピンの側面図 17:ピン留め括れ部 18:スリーブ正面図 19:スリーブ上方側面図 20:スリーブ下方側面図 21:撹拌ピン差し込み孔 22:差し込みピン孔 23:ピン導入部 24:スリーブ固定ピン 25:スリーブの回転中心軸貫通孔 26:スクリュー羽根 27:ねじ切り式撹拌ピンの正面図 28:ねじ切り式撹拌ピンの側面図 29:ねじ切り部 30:平面切り欠き部 31:撹拌ディスク 32:カラー 33:車輪型撹拌ディスクの正面図 34:車輪型撹拌ディスクの側面図 35:スロープ部の断面図 36:ディスクの回転中心軸貫通孔 37:円周孔 38:スロープ部 39:円周上ピン部 40:風車型撹拌ディスクの正面図 41:風車型撹拌ディスクの側面図 42:円周溝 43:カラーの正面図 44:カラーの側面図 45:カラーの回転中心軸貫通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B02C 13/284 B02C 17/18 B02C 23/08 B07B 1/46

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粗原料の粉砕物を粉砕ボールによりスラリ
    ー化する粉砕機において用いる該スラリーから未粉砕物
    及び粉砕ボールを分離するためのスクリーンであって、
    ベースにセラミックス素材からなるスリット棒を嵌合せ
    しめ、スリット棒の一部がベースから粉砕処理側に突出
    しており、かかる嵌合突出高さH、スリット幅S、粉砕
    ボールの半径Rが下記式を満たす粉砕機用スクリーン。 H>R−(R2−(S/2)21/2
  2. 【請求項2】前記スリット棒の断面が四辺形または三角
    形であって、濾過物の通過方向に従ってスリット棒間隔
    が広くなるようにスリット棒が設置されてなる請求項1
    記載の粉砕機用スクリーン。
  3. 【請求項3】前記スリット棒が部分安定化ジルコニア、
    正方晶ジルコニア、ジルコニア−アルミナ複合素材、窒
    化珪素およびアルミナから選ばれる少なくとも1種のセ
    ラミックス素材からなる請求項1または2記載の粉砕機
    用スクリーン。
  4. 【請求項4】前記ベースが円形または角型であって、
    記スリット棒をスクリーンの軸と平行に嵌合してなる
    筒状である請求項1〜3のいずれかに記載の粉砕機用ス
    クリーン。
  5. 【請求項5】前記スリット棒が半径方向に放射状平面に
    配列されてなる円盤状である請求項1〜3のいずれか
    に記載の粉砕機用スクリーン。
  6. 【請求項6】請求項1〜5いずれか記載のスクリーンを
    有する粉砕機。
  7. 【請求項7】攪拌ピン、攪拌ディスク、スリーブおよび
    カラーよりなる群の少なくとも1つに、部分安定化ジル
    コニア、正方晶ジルコニア、ジルコニア−アルミナ複合
    素材、窒化珪素およびアルミナから選ばれる少なくとも
    1種のセラミックス素材が用いられてなる請求項6記載
    の粉砕機。
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