JP3500498B2 - 消臭組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は消臭剤として有用な
消臭組成物に関する。より詳細にはグリオキザールを有
効成分とする消臭組成物であって、グリオキザール自体
が有するアンモニアやトリメチルアミン等の塩基性悪臭
に対する消臭効果を低減させることなく、硫化水素やメ
ルカプタン等の硫黄系の悪臭に対してより改善された消
臭効果を発揮する消臭組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】各家庭の便所や屎尿処理場から発散され
る悪臭、各家庭の塵芥捨場や都市の塵芥処理施設等から
発散される悪臭、各種工場から排泄される廃液等から発
散される悪臭など、悪臭は日常生活に常につきまとう問
題であり、ゆえにかかる悪臭問題を解決することが衛生
的且つ快適な生活環境を維持するためには必要且つ不可
欠である。

【０００３】一般に悪臭の原因物質は単一ではなく、数
多くの物質が種々組合わさって構成される。このため、
単一の脱臭物質だけでは十分な脱臭効果を得ることがで
きない。例えば苛性ソーダ水溶液等のアルカリ剤は硫化
水素や低級脂肪酸の脱臭に有効であるが、塩基性物質の
悪臭原因であるアンモニアやトリメチルアミン等のアミ
ン類には殆ど効果がないことが知られている。

【０００４】ところで化学的消臭剤として知られている
薬剤の１つとして、グリオキザールがある。当該グリオ
キザールは多くの悪臭物質と付加物と形成することによ
って、悪臭原因物質の臭いを消臭するものであり、例え
ば、酸性ｐＨ下ではアンモニア、アミンなどに起因する
塩基性悪臭に対する消臭効果に優れ（特公昭３６−２１
９９号）、中性ｐＨでは硫化水素に起因する硫黄系悪臭
に対する消臭効果に優れること（特公昭４８−３３８３
号）が知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
グリオキザールの消臭効果に着目して研究していたとこ
ろ、グリオキザール溶液のｐＨを弱酸性〜弱アルカリ性
域に上昇させることによって硫化水素やメルカプタンな
どの硫黄系悪臭に対する消臭効果が向上することを確認
したが、その一方で、当該ｐＨ領域では本来グリオキザ
ール自身が有するアンモニアやトリメチルアミン等の塩
基性悪臭に対する消臭効果が低減することを見出した。

【０００６】そこで本発明の目的は、原因物質の別な
く、硫化水素やメルカプタン等の硫黄系悪臭やアンモニ
アやトリメチルアミン等の塩基性悪臭に対して広く優れ
た消臭効果を発揮する消臭剤を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、日夜研究を重ねていたところ、グリオキ
ザールにクロラミンＴを配合して両者を組み合わせて用
いることにより、硫化水素やメルカプタンなどの硫黄系
悪臭に対して顕著に優れた消臭効果を発揮するととも
に、本来グリオキザール自身が有する塩基性悪臭に対す
る消臭効果についても、低減するどころか逆に向上させ
改善することを見出し、かかる消臭剤によれば、原因物
質の別なく広く悪臭に対して有効な消臭効果が得られる
ことを確認した。本発明はかかる知見に基づいて開発さ
れたものである。

【０００８】即ち、本発明はグリオキザール及びクロラ
ミンＴを含有することを特徴とする消臭組成物である。
また、本発明はグリオキザール及びクロラミンＴを含有
し、ｐＨが５〜８の範囲であることを特徴とする消臭組
成物である。

【０００９】

【発明の実施の形態】工業的に製造されるグリオキザー
ルの水溶液は、通常ｐＨが３〜４程度の強酸性溶液であ
る。このｐＨ領域では前述するように、アンモニアやト
リメチルアミン等のアミン類に由来する塩基性悪臭に対
して比較的高い消臭効果を発揮するものの、硫黄系の悪
臭、特にメチルメルカプタンに対しては殆ど効果がな
い。一方、グリオキザール水溶液を水酸化ナトリウム等
のアルカリ剤を用いて弱酸性〜弱アルカリ性に調整する
と、メチルメルカプタンや硫化水素などの硫黄系悪臭に
対する消臭効果は向上するが、上記塩基性悪臭に対する
消臭効果が低減するという問題がある（表１参照）。

【００１０】本発明の消臭組成物は、かかる不都合を改
善したものであり、グリオキザールとクロラミンＴとを
含有することを特徴とするものである。

【００１１】本発明においてグリオキザールは、一般に
アセトアルデヒドの硝酸酸化法またはエチレングリコー
ルの酸化脱水素法等によって製造取得できるが、簡便に
は商業的に入手したものを使用することができる。また
グリオキザールは必ずしも純粋なものである必要はな
く、粗精製品であってもよい。

【００１２】またクロラミンＴは、ｐ−トルエンスルホ
ンクロロアミドナトリウム三水和物として、簡便には商
業的に入手したものを使用することができる。

【００１３】本発明の消臭組成物中に含まれるグリオキ
ザールの配合割合としては、特に制限されないが、組成
物１００重量％あたり、通常０．０１〜４０重量％、好
ましくは２〜１０重量％の範囲を例示することができ
る。

【００１４】また本発明の消臭組成物中に含まれるクロ
ラミンＴの配合割合は、水または水と有機溶媒との混合
溶媒から調製されるグリオキザール溶液のｐＨが５〜８
程度、好ましくはｐＨ６〜７程度の範囲になるような割
合であれば特に制限されず、消臭組成物中のグリオキザ
ール濃度に応じて適宜選択することができる。例えば、
消臭組成物中に含まれるグリオキザールの濃度が４重量
％の場合、クロラミンＴの配合割合としては０．５〜８
重量％、好ましくは１〜４重量％の範囲を挙げることが
できる。

【００１５】本発明の消臭組成物には、本発明の効果を
妨げない範囲で、例えば着色剤、清澄剤、着香剤、粘度
調整剤、界面活性剤、防腐剤、殺菌抗菌剤、植物エキ
ス、精油、ｐＨ緩衝剤等の各種の成分を配合することも
できる。

【００１６】本発明の消臭組成物は、液体状、粉末・顆
粒状、固形状等の任意の形態の消臭剤として調製するこ
とができ、かかる形態に応じて便所、洗面所、風呂場、
台所、流し台、排気口、排水溝、排水口、塵芥処理場、
ゴミ（生ゴミ、汚物）、汚泥などの悪臭発生源に直接撒
付したり、またこれらの悪臭を発生し得る雰囲気内に配
置するといった任意の態様で使用することができる。
尚、後者の使用態様の場合、本発明の消臭剤は、カプセ
ル若しくはゲル基材に封入させて固形若しくは半固形状
態で用いることも可能である。

【００１７】本発明の消臭剤は、アンモニアやアミン類
などのアルカリ性悪臭のみならず、硫化水素やメルカプ
タン等の中性又は酸性の悪臭にも広く消臭効果を発揮す
るものである。従って、本発明が対象とする悪臭として
は、前記悪臭源に由来するものに何ら限定されず、例え
ば魚臭や動物臭、汗臭、カビ臭等を広く挙げることがで
きる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明は当該実施例に何ら限定されるもので
はない。実施例１４００mL容量のコニカルビーカー内に
各種の悪臭液（アンモニア、トリメチルアミン、硫化水
素、メチルメルカプタン）を入れた１０mLビーカー、及
び消臭剤試料（表１参照）を入れた１０mLビーカーをい
れ、コニカルビーカー上部をパラフィンフィルム及びア
ルミホイルで密封し、２５℃、湿度６０％条件下で放置
した。なお、消臭剤試料（試験サンプル）は、２〜６％
グリオキザール水溶液（ｐＨ４）にクロラミンＴ水溶液
を配合して本発明の消臭組成物を調製した（ｐＨ６〜
７）。また、対照実験として２〜６％グリオキザール水
溶液（ｐＨ４）について、また比較実験として水酸化ナ
トリウムまたはトリエタノールアミンを用いてでグリオ
キザール水溶液のｐＨを６〜７に調整した組成物につい
ても、同様に消臭試験を行った。

【００１９】１時間後、ガステック社製検知管で各種悪
臭（アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、メチル
メルカプタン）濃度を測定して、ブランク濃度に対する
消臭率を算出した。なお、ブランク濃度は、消臭剤試料
を入れずに各悪臭液をコニカルビーカー内に入れて密封
し、１時間後に測定した悪臭濃度である。

【００２０】

【数１】

【００２１】結果を表１に示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】表１からわかるように、グリオキザール溶
液に水酸化ナトリウム又はトリエタノールアミンを添加
してｐＨを６〜７に調整すると、硫化水素及びメチルメ
ルカプタンといった硫黄系悪臭に対する消臭効果は向上
するが、アンモニアやトリメチルアミンといった塩基性
悪臭に対する消臭効果の低減が認められた。それに対し
て、グリオキザール溶液にクロラミンＴを配合した本発
明の消臭組成物によれば、ｐＨを６〜７の中性域に調整
しても、塩基性悪臭に対する消臭効果を損なうことな
く、逆に一層改善させながら、硫化水素及びメチルメル
カプタンといった硫黄系悪臭に対して顕著に優れた消臭
効果を発揮することがわかった。このことから、グリオ
キザール溶液にクロラミンＴを配合してなる本発明の消
臭組成物は、ｐＨ５〜８のｐＨ範囲で、原因物質の別な
く、広く悪臭に対して消臭効果を発揮することが期待さ
れる。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−74259（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−125826（ＪＰ，Ａ) 特公 昭48−3383（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61L 9/00 - 9/05 A61L 9/14 - 9/22

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】グリオキザール及びクロラミンＴを含有す
   ることを特徴とする消臭組成物。
2. 【請求項２】ｐＨが５〜８の範囲であることを特徴とす
   る請求項１記載の消臭組成物。