JP3499543B2 - 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JP3499543B2
JP3499543B2 JP2001246765A JP2001246765A JP3499543B2 JP 3499543 B2 JP3499543 B2 JP 3499543B2 JP 2001246765 A JP2001246765 A JP 2001246765A JP 2001246765 A JP2001246765 A JP 2001246765A JP 3499543 B2 JP3499543 B2 JP 3499543B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
ppm
electric
plating
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001246765A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003055789A (ja
Inventor
博雄 茂
和生 奥村
正敏 岩井
忠繁 中元
富男 梶田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2001246765A priority Critical patent/JP3499543B2/ja
Publication of JP2003055789A publication Critical patent/JP2003055789A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3499543B2 publication Critical patent/JP3499543B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐白錆性に優れる
電気Znめっき鋼板及びその製造方法に関し、詳細には
最表面に無機系皮膜や有機系皮膜が形成される電気Zn
めっき鋼板における耐白錆性(更には耐黒変性)を改善
する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Znめっき鋼板は、Znが鋼板に対する
犠牲防食作用を有すると共に、Znの腐食生成物が優れ
た保護作用を有することに起因して優れた耐食性(耐赤
錆性)を発揮することから、自動車、建材、家電製品等
の広い分野で利用されている。
【0003】従来、Znめっき鋼板に要求される特性と
しては、鋼板の構造体としての強度が腐食により低下す
ることを防止するという観点から、鋼板自体の防食性
(即ち耐赤錆性)が重要視されていた。こうしたことか
ら、例えば自動車用鋼板等には、クロメート処理に代表
される化成処理が行われた後、塗装が施されている。
【0004】近年、家電製品やOA機器等のシャーシや
ケース部品にZnめっき鋼板が多用されるようになって
おり、Znめっき層の上に塗装を施すことなく使用され
る割合が非常に増加している。その結果、Znめっき鋼
板自身の外観も重要な特性となっており、Zn自身の錆
である白錆も問題視される様になっている。尚、クロメ
ート処理皮膜は、もともとZnの白錆防止を目的として
開発されたものであり、6価クロムの自己修復作用によ
りクロメート処理は白錆抑制効果も発揮する。
【0005】例えば、特開昭61-67794号では、Znまた
はZn系合金電気メッキ鋼板にクロメート処理を行う塗
装用鋼板の製造法として、圧延後の鋼板の表面粗度(R
a)を0.25μm以下とし、続いて電気メッキする技術が提
案されているが、この技術は上記の様に電気メッキ鋼板
にクロメート処理をすることを前提とした技術である。
【0006】一方、最近では環境に与える悪影響をでき
るだけ少なくするという観点から、6価クロムを含むク
ロメート処理を廃止する動きが強くなっており、クロメ
ート処理を施さないノンクロメート処理鋼板が開発され
ている。但し、このノンクロメート処理鋼板では、6価
クロムの有する白錆抑制効果が期待できないので、クロ
メート処理以外で電気Znめっき鋼板の白錆を防止する
ことが必要になってくる。
【0007】ノンクロメート処理鋼板の耐白錆性の向上
を図るという観点から、電気Znめっき皮膜の上に有機
系皮膜や無機系皮膜を形成する技術も提案されている
が、その耐白錆性は未だ十分と言えるものではなかっ
た。
【0008】本発明者らは、上記の様な課題についてか
ねてより研究を進めており、その研究の一環として例え
ば特許第3043336号の様な技術を提案している。この技
術では、Znを主成分とする電気めっき層の表面上に実
質的にCrを含有しない無機系皮膜及び/または有機系
皮膜が形成された電気Znめっき鋼板において、電気Z
nめっき層に含有される不純物量を制限することによっ
て、電気Znめっき鋼板の耐白錆性を優れたものとした
のである。この技術の開発においてZnめっき層自身の
耐白錆性が格段に向上し得ることとなったのであるが、
こうした電気Znめっき鋼板においても場合によっては十
分な耐白錆性が発揮できないという若干改良すべき問題
があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした状況
の下になされたものであって、その目的は、優れた耐白
錆性を安定して発揮することのできるノンクロメート処
理鋼板及びその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すること
のできた本発明に係る耐白錆性に優れる電気Znめっき
鋼板とは、電気Znめっき層の上に実質的にCrを含有
しない無機系皮膜及び/または有機系皮膜が形成された
電気Znめっき鋼板において、前記電気Znめっき層の
表面に14μm間隔で3本の平行直線を引いたとき、各直線
100μm当たりに交わるZn単結晶の個数の平均が75個以
上である点に要旨を有するものであり、前記電気Znめ
っき層に含有されるPb:15ppm以下、Cu:30ppm以下、
及びAg:10ppm以下であり、且つこれらの元素の総量が
50ppm以下であることが好ましく、更にNi、Co、I
nから選ばれる1種以上の金属元素を、Niの場合は50
〜700ppm、CoまたはInの場合は0.5〜5ppmの範囲で
前記電気Znめっき層中に含有させることにより耐黒変
性も向上させることができる。尚、めっき付着量は40g/
m2以下であることが好ましい。
【0011】上記目的を達成することのできた本発明に
係る電気Znめっき鋼板の製造方法とは、めっき浴中の
Pb:0.5ppm以下、Cu:1ppm以下、及びAg:0.5ppm以
下とすると共に、電気Znめっき時の電流密度を130A/d
m2以下とし、且つめっき後水洗処理をするまでの時間を
4秒以内として電気Znめっき層を形成し、該めっき層
上に無機系皮膜及び/または有機系皮膜を形成する点に
要旨を有する。更に、前記に加えてNi,Co,Inか
ら選ばれる1種以上の金属元素を、めっき浴中にNi:25
〜300ppm、Co:0.1〜0.5ppm、及びIn:0.1〜0.5ppmと
して電気Znめっき層を形成すると好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、ノンクロメート処
理鋼板(クロメート処理を施さない電気Znめっき鋼
板)のZnめっき層における白錆発生防止について、様
々な角度から検討した。その結果、電気Znめっき鋼板
の表面に析出するZn単結晶数を適切に制御すれば、優
れた耐白錆性を発揮する電気Znめっき鋼板が得られる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0013】具体的には、電気Znめっき表面に14μm
間隔で3本の平行直線を引いたとき、各直線100μm当た
りに交わるZn単結晶の個数の平均が75個以上となる様
に、鋼板に電気Znめっきを施せば良好な耐白錆性が発
揮できるのである。即ち、電気Znめっき表面に、本発
明要件を満足する様にZn単結晶を微細に析出させる
と、めっき層表面の凹凸が少なくなるので、該表面に実
質的にCrを含有しない無機系皮膜及び/または有機系
皮膜で覆う際に、薄膜でも表面を完全に覆うことがで
き、これによって露出したZn単結晶部分がなくなり耐
白錆性が向上することになる。これに対し、めっき層表
面に析出するZn単結晶の個数が規定数より少ない場合
は、表面の凹凸が大きくなり、該表面に実質的にCrを
含有しない無機系皮膜及び/または有機系皮膜を施して
も、めっき層表面全体が完全に覆われない場合があり、
このような場合には皮膜で覆われていない露出部分に白
錆が発生しやすくなって、耐白錆性に劣ることになる。
【0014】上記本発明の電気Znめっき鋼板を得る為
には、(1)電気Znめっき浴中の不純物の量、(2)電
気Znめっき時の電流密度、(3)電気Znめっき後水
洗までに要する時間、を夫々制御すれば良く、下記に各
項目について詳細に説明する。
【0015】(1)電気Znめっき浴中の不純物の量に
ついて 鋼板の表面に、Zn単結晶が規定数以上存在する様に電
気Znめっきを施す際は、めっき浴中に含有する不純物
の量を制御する必要がある。つまり、Pb,Cu,A
g,(必要によりNi,Co,In等)の様なZnより
も貴な金属を不純物としてめっき浴中に多く含有する
と、該不純物元素はZnに比べて標準電極電位が高いの
で、Znが表面に析出するのを抑止する。
【0016】具体的には、電気Znめっき浴中のPb:
0.5ppm以下、Cu:1ppm以下、及びAg:0.5ppm以下であ
る酸性めっき液を用いて電気Znめっきを行うと良い。
好ましくは、Pb:0.3ppm以下、Cu:0.8ppm以下、及び
Ag:0.3ppm以下とするのが良い。
【0017】この様にして得られる電気Znめっき鋼板
では、電気Znめっき層に含有されるPb,Cu,Ag
の量を制御することができる。例えば、めっき層に含有
されるPbを15ppm以下、Cuを30ppm以下、Agを10pp
m以下とすると共に、これらの元素の総量を50ppm以下と
することができる。これによって優れた耐白錆性を得る
ことができる。より優れた耐白錆性を得るには、Pbは
10ppm以下、Cuは20ppm以下、及びAgは6ppm以下とす
ることが望ましく、総量は30ppm以下とすることが望ま
しい。
【0018】また、耐白錆性に加えて耐黒変性にも優れ
る電気Znめっき鋼板を得る上で、上記電気Znめっき
層において、Ni,Co,Inから選ばれる1種以上の
金属元素を、Niの場合は50〜700ppm、CoまたはIn
の場合は0.5〜5ppmの範囲で含有させることが望まし
く、Ni含有量は100〜600ppm、CoとInの場合の含
有量は1〜3ppmとすればより望ましい。また、この様な
電気Znめっき鋼板を得るには、上記めっき浴中のN
i:25〜300ppm、Co:0.1〜0.5ppm、及びIn:0.1〜0.5
ppmである酸性めっき液を用いれば良い。また、めっき
浴中のNiの好ましい下限は150ppm、であり、好ましい
上限は250ppm、である。Coの好ましい下限は0.2ppmで
あり、好ましい上限は0.4ppmである。Inの好ましい下
限は0.2ppmであり、好ましい上限は0.4ppmである。
【0019】ここで、黒変現象とは、めっき表面が黒っ
ぽく(茶褐色)に変色する現象であって、比較的穏やか
な腐食環境で発生するものであり、白錆の発生前(初
期)の腐食現象である。黒っぽく見える理由は、Znの
酸化反応(腐食)の際、ZnxO 1-xという化学量論組成
から外れた不定形酸化物が生成するためである。上記不
定形酸化物ができるのは、Znの酸化反応が中途半端で
あることに起因している。従って黒変現象を抑制するに
は、酸化反応をある程度促進させてやれば良い。ところ
が、あまりに促進しすぎると、今度は耐白錆性が著しく
劣化するので、適度に酸化を促進する添加元素として、
Znより若干貴な元素であるNi,Co,Inを添加す
ることが効果的なのである。但し、添加量は、あくまで
Pb,Cu,Agとの微妙なバランスの上で決まるので
注意を要するものであり、前述の通りの範囲とすること
が重要である。
【0020】(2)電気Znめっき時の電流密度につい
電気Znめっき時の電流密度に関しては、電流密度が低
い領域、すなわち金属元素の析出に要する過電圧が低い
状態でめっきを行うと、Znより“貴”な電位を有する
不純物(例えばPb.Cu,Ag)がZnに比べて優先
的に析出し、相対的にめっき層中の含有量が多くなり、
規定数以上のZn単結晶数をめっき層表面に析出させる
ことはできない。よって、具体的には、30A/dm2以上、
より好ましくは50A/dm2以上でめっきを行うことが推奨
される。上限値については、あまりに高電流密度になる
と結晶がランダム成長し、Zn単結晶が大きくなるため
本発明要件を満足することはできない。具体的には130A
/dm2以下、より好ましくは120A/dm2以下が好ましい。
【0021】(3)電気Znめっき後水洗までに要する
時間について 電気Znめっき後は、鋼板表面からめっき液(酸性)を
洗い流すために水洗しなければならならない。めっき浴
中で鋼板表面にめっきされたZn単結晶を、規定数以上
存在した状態で電気Znめっき鋼板を得るためには、該
水洗までに要する時間を制御することが重要であること
に想到した。具体的には、水洗までに要する時間は4秒
以内とし、好ましくは3秒以内とする。4秒を超えると鋼
板がめっき浴から出され水洗されるまでの間にZnめっ
きの溶解によりミクロ欠陥が形成し、めっき層表面に規
定数以上のZn単結晶を得ることはできない。更に、め
っき浴中のZnよりも貴な不純物が置換析出し耐食性が
極端に劣化する。これらは、白錆の原因になり、電気Z
nめっき時にZnめっき表面のZn単結晶数を制御して
も耐白錆性の効果は得られない。
【0022】また、電気Znめっき層表面に析出するZ
n単結晶の結晶サイズを考慮すると、めっき付着量を制
御することも有効であり、具体的には40g/m2以下にする
ことが好ましい。さらに好ましくは30g/m2以下である。
また、下限値に関しては、特に限定するものではない
が、犠牲防食効果を考慮すると3g/m2以上が好ましい。
さらに好ましくは10g/m2以上である。また、めっきは基
材である金属板の必要な面に施せばよく、片面だけに施
しても良いし両面に施しても良い。
【0023】●その他のめっき条件について その他のめっき条件は、特に限定しないが、めっき液と
しては、酸性浴(例えば硫酸塩浴、塩化物浴)が使用可
能であり、めっき焼け等の他の問題を起こさない条件を
適宜選択して行えば良い。
【0024】例えば、めっき液のpHについては、電流効
率およびめっき焼け現象との関係からpHは0.5〜4.0の範
囲とすることが好ましい。尚、めっき液には、導電性を
高めて電力消費量を低減させるために、Na2SO4
(NH42SO4,KCl,NaCl等の導電性補助剤
を添加してもよい。
【0025】めっき液温度については30〜70℃、相対流
速については0.3〜5m/secの範囲が例示できる。ここ
で、相対流速とは液の流れ方向とめっき原板である鋼板
の通板方向を考慮した液流速と通板速度の差である。
【0026】また、めっき方法についても特に規定され
るものでは無く、めっき母材は常法に従って脱脂や酸洗
等の前処理を施した後、縦型又は横型のめっきセルで電
気めっきを行えばよい。電気めっきの方法としても、特
に規定されるものではなく公知の直流(定電流)めっき
法やパルスめっき法が採用できる。
【0027】●Pb,Cu,Agの分析方法(めっき
層、めっき液)について めっき層またはめっき液中の微量不純物を分析するにあ
たっては、原子吸光分析法や誘導結合プラズマ発光分光
分析法(ICP)又は誘導結合プラズマ質量分析法(I
CP−MS)等を採用すればよい。めっき層を溶解する
際に用いる溶液は、めっき層中に含まれるPb,Cu,
AgおよびNi,Co,Inを完全に溶解できる液であ
ればよく、塩酸や硝酸溶液等が例示できる。また、めっ
き液中の微量不純物元素を分析するに際しては、Zn、
Na、S等のマトリックス元素による妨害を避けるた
め、希釈後分析する方法が推奨される。希釈率について
は、マトリックス元素濃度や測定対象元素濃度によっ
て、適宜10〜1000倍程度の希釈率を採用すればよい。
【0028】●有機系皮膜処理または無機系皮膜処理に
ついて 薄膜皮膜処理については、皮膜が有機系樹脂を主体とす
る場合には、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポ
リウレタン系樹脂、エチレン性不飽和カルボン酸を重合
成分として含むエチレン共重合体樹脂、ポリビニル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等の有機樹脂成分
を主体とするもの、或いはこれらに耐食性、潤滑性、耐
疵付き性、加工性、溶接性、電着塗装性、塗膜密着性等
の品質を向上させるため、必要によりシリカ等の各種酸
化物粒子や各種りん酸塩等の無機顔料、およびワックス
粒子、有機シラン化合物、ナフテン酸塩等を含有せしめ
た処理液を塗布することが例示される。
【0029】また、該皮膜が無機物を主体とする場合に
は、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム等
のケイ酸塩を主体とするもの、或いはこれらに造膜性、
耐食性、潤滑性、耐疵付き性、加工性、溶接性、電着塗
装性、塗膜密着性等の品質を向上するため、必要により
コロイダルシリカ等の各種酸化物粒子や各種りん酸等の
無機顔料、およびワックス粒子、有機シラン化合物を含
有せしめた処理液を塗布することが例示される。
【0030】上記有機または無機系皮膜は、単独で形成
してもよく、或いは組み合わせて形成しても良い。組み
合わせ順序も任意に決定すれば良く、下層に無機系皮
膜、上層に有機系皮膜を配しても良いし、その逆であっ
ても良い。また、電気Znめっき層の上に3層以上の皮
膜を積層してもよい。有機系皮膜及び/または無機系皮
膜の好ましい付着量は、耐食性向上効果等を有効に発揮
させると共に経済性も考慮して、膜厚で0.05〜5μmの範
囲が好ましい。
【0031】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の主旨に基づいて設計変更すること
はいずれも本発明の技術的範囲内に含まれるものであ
る。
【0032】
【実施例】常法で作製したAlキルド冷延鋼板(Ra
1μm以下)をめっき母材として用いた。これを脱脂・酸
洗後、硫酸塩浴を用いて下記の条件で電気めっきを施し
た。 <電気めっき条件> ・めっき液組成A :ZnSO4・7H2O 350 g/L Na2SO4 70 g/L H2SO4 20 g/L ・めっき液組成B :上記めっき液A中に、Pbを0.3
ppm、Cuを0.3ppm、Agを0.1ppm、Niを100ppm、C
oを0.1ppm、Inを0.1ppmとなる様に添加したもの。 ・めっき液組成C:上記めっき液A中に、Pbを1.0pp
m、Cuを0.5ppm、Agを0.5ppm、Niを100ppm、Co
を0.1ppm、Inを0.1ppmとなる様に添加したもの。 ・めっき液組成D:上記めっき液A中に、Pbを0.3pp
m、Cuを5ppm、Agを1.0ppm、Niを300ppm、Coを1
ppm、Inを6ppmとなる様に添加したもの。 但し、Pbは酢酸鉛で、Cuは硫酸銅で、Niは硫酸ニ
ッケルで、Agは硝酸銀で、Coは硫酸コバルトで、I
nは硫酸インジウムで添加した。 ・電流密度 : 40〜150 A/dm2 ・めっき浴温度 : 60±5 ℃ ・めっき液流速 : 0.5〜3.3 m/sec ・電極(陽極) : 白金電極 ・めっき付着量 : 5.1〜41.5 g/m2
【0033】電気Znめっき層表面のZn単結晶数は、
電気Znめっき層表面を日立製S-2700走査型電子顕微鏡
(SEM)を用い1500倍で表面を観察し、表面に14μm
間隔で3本の平行直線を引いたとき、各直線100μm当た
りに交わるZn単結晶の個数の平均を求めた。尚、Zn
単結晶数は、直線に交わる結晶と、直線に接している結
晶をカウントした。図1と図2を用いてZn単結晶の測定
例(計算例)を具体的に示す。図1は表1に示したNo.9
(本発明例)のめっき層表面のミクロ組織を示す図面代
用写真であり、図2はNo.14(参考例)のめっき層表面の
ミクロ組織を示す図面代用写真である。図1の場合は次
の通りである。平行に引かれた3本の直線上に存在する
Zn単結晶数をカウントし、それらの平均値を求め、 (78+61+55)/3=64.67[個] これを、直線100μm当たりのZn単結晶数に換算する。 (64.67/73.33)×100=88.2[個/100μm] 図2の場合は次の通りである。平行に引かれた3本の直線
上に存在するZn単結晶数をカウントし、それらの平均
値を求め、 (38+44+43)/3=41.67[個] これを、直線100μm当たりのZn単結晶数に換算する。 (41.67/73.33)×100=56.8[個/100μm] また、電気Znめっき鋼板にクロメート処理を実施する
こと無く、1層タイプ又は2層タイプの皮膜を塗布した。
【0034】1層タイプ ポリエステル系樹脂を主体とする有機系皮膜を乾燥後層
膜厚が1.0μmとなるように塗布する。
【0035】2層タイプ 下層としてケイ酸リチウムおよびコロイダルシリカを主
体とする無機系皮膜を付与し、さらに上層としてポリエ
ステル系樹脂を主体とする有機系皮膜を付与した。乾燥
後の層膜厚の合計は0.7μmである。
【0036】得られた皮膜塗布鋼板について、耐白錆性
をJIS Z2371に準ずる塩水噴霧試験により評価した。塩
水噴霧試験96時間経過後の白錆発生面積率を下記基準で
判定した。また、耐黒変性の評価には、50℃×相対湿度
95%以上の恒温恒湿試験装置内に該めっき鋼板を72時間
保管した後、試験前後の色差(△E)を求め下記基準に
て判定した。更に、外観むらのチェックも同時に実施し
た。なお色差(△E)は、色調(ハンターのL,a,b
値)を日本電色製Σ80にて測定し、次式を用いて計算し
た。 △E={(La−Lb)2+(aa−ab)2+(ba−bb)21/2a:試験後のL値, Lb:試験前のL値 aa:試験後のa値, ab:試験前のa値 ba:試験後のb値, bb:試験前のb値 <白錆発生面積率> ◎:5%未満 ○:5%以上10%未満 ×:10%以上 <耐黒変性(色差)> ◎:△E 2未満 ○:△E 2以上3未満 △:△E 3以上5未満 ×:△E 5以上 <耐黒変性(外観むら)> ○:外観むら無し または ほとんど目立たない △:軽度の外観むらがある ×:外観むらが目立つ
【0037】各種実験条件と得られた結果を表1にまと
めて示し、Zn単結晶数と白錆面積率の関係を図3に示
す。図3では、本発明例を●で示し、比較例を○で示し
た。
【0038】
【表1】
【0039】表1と図3を見ると以下の様に考察できる。
【0040】No.1〜12は本発明例であり、電気Znめっ
き層の表面に14μm間隔で引かれた3本の平行直線の、各
直線100μm当たりに交わるZn単結晶の個数の平均は75
個以上であり、Zn単結晶が表面に微細に析出している
ので、表面の凹凸は少なく、鋼板表面を完全に皮膜で覆
うことができ、耐白錆性に優れた電気Znめっき鋼板を
得ることができた。
【0041】また、No.2〜5,11とNo.1,6〜10,12を比
較すると、めっき浴中にNi,Co,Inが適正量添加されて
いると、耐黒変性(色差)にも優れた電気Znめっき鋼
板を得ることができることがわかる。
【0042】一方、No.13,15〜22は比較例である。No.
13,15〜17は、Znめっき時の電流密度が130A/dm2を超
えているので結晶がランダム成長し、電気Znめっき層
表面にZn単結晶が規定数以上形成されない。よって、
めっき層表面の凹凸が大きくなり、電気Znめっき層の
上層に皮膜を塗布しても、表面を完全に覆うことはでき
ず、皮膜で覆われなかった部分に白錆が発生し、白錆の
面積率が高くなった。
【0043】また、No.18は、Znめっき時のめっき浴
組成が本発明の要件を満たしていないと共に、めっき後
水洗までに要する時間が4秒を超えている。よって、Z
n単結晶が形成され難いと共に、鋼板がめっき浴から出
され水洗されるまでの間に、Znめっきの溶解によりミ
クロ欠陥が形成し、めっき層表面に規定数以上のZn単
結晶を得ることができず、耐白錆性に優れた電気Znめ
っき鋼板を得ることができなかった。No.19〜21は、電
気Znめっき浴中に、Znよりも貴な金属が不純物とし
て多く含有されているので、めっき層表面にZn単結晶
が規定数以上形成されず、耐白錆性に劣る。特に、No.2
0〜No22は、めっき浴中に本発明の要件を満足しない量
のCoとInを含んでいるので、耐黒変性にも劣る。ま
た、No.22は、Znめっき時のめっき浴組成が本発明の
要件を満たしていないと共に、電流密度が130A/dm2を超
えているので結晶がランダム成長し、電気Znめっき層
表面にZn単結晶が規定数以上形成されなかった。
【0044】No.14は参考例である。鋼板表面に形成さ
れるめっき付着量が多いので、Zn単結晶の結晶サイズ
が大きくなり、めっき層表面に規定数以上のZn単結晶
が形成されない。
【0045】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、めっき層に含有する不純物の量が多くてもノンクロ
メート処理鋼板の耐白錆性を大幅に改善することができ
ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気Znめっき鋼板(本発明例)のミクロ組織
を示す図面代用写真である。
【図2】電気Znめっき鋼板(参考例)のミクロ組織を
示す図面代用写真である。
【図3】Zn単結晶数と耐白錆性の関係を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中元 忠繁 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社 神戸製鋼所 加古川製鉄所内 (72)発明者 梶田 富男 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社 神戸製鋼所 加古川製鉄所内 (56)参考文献 特開2001−107285(JP,A) 特開 平9−13178(JP,A) 特開 平9−228067(JP,A) 特開2003−55789(JP,A) 特許3043336(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 5/26 C23C 28/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気Znめっき層の上に実質的にCrを
    含有しない無機系皮膜及び/または有機系皮膜が形成さ
    れた電気Znめっき鋼板において、 前記電気Znめっき層の表面に14μm間隔で3本の平
    行直線を引いたとき、各直線100μm当たりに交わる
    Zn単結晶の個数の平均が75個以上であることを特徴
    とする耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板。
  2. 【請求項2】 上記電気Znめっき層に含有されるP
    b:15ppm以下、Cu:30ppm以下、及びA
    g:10ppm以下であり、且つこれらの元素の総量が
    50ppm以下である請求項1に記載の電気Znめっき
    鋼板。
  3. 【請求項3】 Ni,Co,Inから選ばれる1種以上
    の金属元素を、Niの場合は50〜700ppm、Co
    またはInの場合は0.5〜5ppmの範囲で前記電気
    Znめっき層中に含有させることにより耐黒変性を向上
    させてなる請求項2に記載の電気Znめっき鋼板。
  4. 【請求項4】 めっき付着量が40g/m2以下である
    請求項1〜3のいずれかに記載の電気Znめっき鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載の電気Znめっ
    き鋼板を製造するに当たり、 めっき浴中のPb:0.5ppm以下、Cu:1ppm
    以下、及びAg:0.5ppm以下とすると共に、 電気Znめっき時の電流密度を130A/dm2以下と
    し、 且つめっき後水洗処理をするまでの時間を4秒以内とし
    て電気Znめっき層を形成し、該めっき層上に無機系皮
    膜及び/または有機系皮膜を形成することを特徴とする
    耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5の方法で請求項3の電気Znめ
    っき鋼板を製造するに当たり、 Ni,Co,Inから選ばれる1種以上の金属元素を、
    めっき浴中にNi:25〜300ppm、Co:0.1
    〜0.5ppm、及びIn:0.1〜0.5ppmとし
    て電気Znめっき層を形成する電気Znめっき鋼板の製
    造方法。
JP2001246765A 2001-08-15 2001-08-15 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法 Expired - Lifetime JP3499543B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001246765A JP3499543B2 (ja) 2001-08-15 2001-08-15 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001246765A JP3499543B2 (ja) 2001-08-15 2001-08-15 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003055789A JP2003055789A (ja) 2003-02-26
JP3499543B2 true JP3499543B2 (ja) 2004-02-23

Family

ID=19076240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001246765A Expired - Lifetime JP3499543B2 (ja) 2001-08-15 2001-08-15 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3499543B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1932943A4 (en) * 2005-10-07 2013-06-26 Nippon Mining Co SOLUTION FOR CHEMICAL NICKNESS
JP5609344B2 (ja) * 2010-07-12 2014-10-22 Jfeスチール株式会社 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
CN111069306A (zh) * 2019-11-26 2020-04-28 本钢板材股份有限公司 一种控制电镀锌if钢产品表面丝斑缺陷的生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003055789A (ja) 2003-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2534280B2 (ja) 亜鉛系複合めっき金属材料およびめっき方法
KR100814489B1 (ko) 화성처리 금속판
JP3043336B1 (ja) 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法
JP3499543B2 (ja) 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法
JP3499544B2 (ja) 耐白錆性に優れる電気Znめっき鋼板およびその製造方法
JPS5815554B2 (ja) カチオン電着塗装用のメッキ鋼材
JP3219453B2 (ja) 耐黒変性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法
JPH07331483A (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPH03223472A (ja) 亜鉛系メッキ鋼板用表面処理液及び表面処理方法
JPH0251996B2 (ja)
JP2936651B2 (ja) スポット溶接性に優れた亜鉛系めっき複層鋼板
JP4862484B2 (ja) 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法
JP2756547B2 (ja) 難めっき鋼板の溶融Znベースめっき法
JPH09209108A (ja) 鋼材加工品の浸漬めっき方法
TWI316974B (en) Phosphate treated zinc-coated steel sheet having excellent corrosion resistance and blackening resistance
JPS6028918B2 (ja) 片面亜鉛系電気メッキ鋼板の非メッキ面の後処理方法
JP3398100B2 (ja) 耐白錆性及び耐黒変性に優れる電気亜鉛めっき鋼板
JP3364878B2 (ja) 電気亜鉛系めっき鋼板およびその製法
JP2001059198A (ja) 耐食性に優れたZn−Coめっき金属板とその製造方法
JP3366321B2 (ja) 電気亜鉛系めっき鋼板およびその製法
JP3102704B2 (ja) 溶接性に優れた複層めっき鋼板
JPH0995795A (ja) めっき密着性および化成処理性に優れたZn−Ni系合金電気めっき鋼板
JPH0689473B2 (ja) 耐食性の優れた防錆鋼板
JPS61119694A (ja) 電気メツキ鋼板の製造方法
JPH06240467A (ja) 耐糸錆性に優れたアルミニウム板

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20031111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3499543

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071205

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091205

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091205

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101205

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101205

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131205

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term