JP3498994B2 - メタルハニカム構造体の接合熱処理後の冷却方法 - Google Patents

メタルハニカム構造体の接合熱処理後の冷却方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱交換器や自動車触媒用
に供せられるメタルハニカム構造体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、熱交換器や自動車排気ガス浄化用
の触媒装置として、耐熱金属からなる平板と波板を交互
に積層し、あるいは巻回したハニカム体を外筒に収納し
たものが種々開発され、既に一部実用化されている。そ
して前記平板と波板間、およびハニカム体外周面と外筒
内表面との接合手段としては、特開昭61−19057
4号公報などに記載のろう付け、特開昭64−4018
0号公報の記載にある抵抗溶接、特開昭54−1346
2号公報の記載にあるレーザービーム溶接や電子ビーム
溶接、米国特許第4300956号明細書や特開平1−
270947号公報の記載に示されている拡散接合が一
般的である。
【0003】また耐熱金属材料としては特公昭58−2
3138号公報、特公昭54−15035号公報、特開
昭56−96726号公報などに開示されている耐酸化
性の優れたFe−Cr−Al系合金箔が使われてきた。
これらのFe−Cr−Al系合金鋼はその製造性に難が
あって一般的に高価なものになるため、特に高度の耐熱
性が要求される環境以外で使用されるものについては、
より低廉なCr系又はCr−Si系のステンレス鋼が使
用され始めている。本発明者らは先にCr−Si系のス
テンレス鋼を用いて拡散接合によりハニカム体を得る技
術を特願平05−24517号公報で提案したところで
ある。
【0004】これらハニカム体に用いられるステンレス
鋼はろう付けや拡散接合のための熱処理で1000℃以
上の温度に加熱されるが、低廉型材料であるCr系〜C
r−Si系の耐熱ステンレス鋼ではこの温度領域でα−
γの二相組織になるものがある。これらの接合は通常工
程費のかさむ真空炉を使って行われるが、製造能率を上
げるため接合が終了した後は真空炉内にHe,Ar,N
2 などの冷却ガスを導入して急冷される。
【0005】前記の高温で二相組織になる材料で構成さ
れたハニカム構造体を真空炉で急冷するとその金属組織
はマルテンサイト相を含むものになり、ハニカム構造体
は硬くて脆いものになり、後工程でわずかな機械的な変
形を加えても亀裂の発生をみる等の不具合が生じる。こ
れを避けるために接合温度から徐冷をすると冷却に時間
がかゝり生産性を損う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
接合熱処理後の冷却過程において材質上有害なマルテン
サイト相を発生させることなく、しかも冷却時間をそれ
ほど長くしない能率の良い冷却方法を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、高温でγ相を生じるフェライト
系ステンレス鋼の薄板ないし箔よりなるハニカム構造体
を接合するための熱処理後の冷却過程において850℃
の温度から700℃の温度までの間を7分以上かけて冷
却することを特徴とするハニカム構造体の冷却方法であ
る。そして実際の熱処理炉に於いて大量のハニカム構造
体にこの処理をより確実に行わしめる方法として、該冷
却過程の800〜700℃の間に2分以上の保定を行う
均熱処理を施すことが有効で、この温度間以外の温度に
おいては導入ガスによる急冷を行ってよい。
【0008】このように冷却することにより、ろう付け
や拡散接合のための1000℃以上の高温で生じたγ相
は850℃から700℃の間にα相とCr炭化物に全て
分解するため、この後Ms点以下の温度にまでやゝ大き
な速度で冷却されてもマルテンサイト相を生じることな
く、メタルハニカムの脆化は避けられる。こゝで850
℃から700℃までの間を緩冷却するように選んだ理由
は、850℃超ではγ相がα相とCr炭化物へ変態する
駆動力が弱くて変態に長時間を要し、また700℃未満
では原子振動が不活発になり、平衡状態であるα+炭化
物への移行に時間がかゝるようになるからである。
【0009】また、上記温度範囲の降温時間を7分以上
にしたのは確実にγ相をα相とCr炭化物に分解するた
めであり、上限は特に定めないが、1時間以内とするこ
とが能率上好ましい。また、上記温度範囲内の所定温度
に2分以上保定する均熱処理を施すことで上記と同様の
効果を得ることができるが、その上限の時間は能率上1
時間以内とすることが好ましい。
【0010】次に実施例により、本発明の具体例を説明
する。
【0011】
【実施例】
実施例1 表1に化学組成を示したステンレス鋼の50μm厚の箔
を作成し、平箔とこれをコルゲート加工したものを重ね
合せたものを巻回し100φ×90lのハニカムを形成
した。これを19%Cr鋼の1.5tの厚さの外筒に圧
入し、ハニカム同士とハニカムと外筒間を拡散接合する
ために真空中で1200℃に加熱し、40分間均熱した
後に冷却した。冷却はArガスを真空炉に流入させ、温
度の上ったガスを炉外に設けたガス冷却装置に導いて再
度真空炉にガスをもどすことによりガスを循環させて行
った。ここで1200℃から850℃までは11分かけ
て冷却し、850℃から700℃までの温度域は冷却ガ
スの流量を減らして表2に示す各時間で冷却し、700
℃からは再度冷却ガス流量を多くして150℃まで23
分で冷却し、大気中に取り出した。取り出したハニカム
を切断して樹脂にうめ込み研磨して金属組織を観察し、
マルテンサイト相の有無を調べ、結果を表2に示した。
表2に示すように850℃から700℃までを7分以上
かけて冷却したものではマルテンサイト相はなく、7分
未満の時間で冷却したものにはマルテンサイト相が認め
られた。またマルテンサイト相の生じた試料No. Aのハ
ニカムと生じなかった試料No. Eのハニカムを機械的な
押し出し試験により強制的にハニカム中央を押して外筒
から押し出したところ、試料No. Aのハニカムは脆性破
壊を示し、試料No. Eのものは延性破壊を示した。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】実施例2 実施例1と同じく平箔とコルゲート箔を重ね合わせたも
のを巻回し、19Cr鋼の外筒に挿入したものを多数作
成して、大量の担体の熱処理試験を行った。大型の真空
熱処理炉を用い、60ケづつの担体をトレイに並べてこ
れを4段重ねにして合計240ケの担体を真空中で12
00℃に加熱し、60分間均熱した。その後Arガスに
より表3に示す各温度まで急冷を行い、各温度で1分、
2分、5分間の均熱を行った後再度急冷した。各条件で
熱処理した担体を各トレイから5ケづつ取り出して前記
の機械的な押し出し試験を行い、脆性破壊の有無を調べ
た。それらの結果は表3に示す通り800℃、750
℃、700℃で2分以上均熱したものが延性破壊を示
し、他のものは脆性破壊を示した。
【0015】
【表3】
【0016】
【発明の効果】以上の実施例が示す通り、本発明方法は
高温でγ相を生じるメタルハニカムの接合の熱処理後の
冷却において、850〜700℃の間のみを緩冷却又は
800〜700℃で短時間の均熱を行うことにより、他
の温度域では急冷してもマルテンサイト相を生じること
なく、冷却時間を短かくすることを可能ならしめ、生産
性の高いメタルハニカムの製造法を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 仁史 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵 株式会社 名古屋製鐵所内 (56)参考文献 特開 平1−270947(JP,A) 特公 昭51−13470(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50 B21D 47/00 B23K 1/00 B23K 20/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温でγ相を生じるフェライト系ステン
    レス鋼の薄板ないし箔よりなるハニカム構造体を接合す
    るための熱処理を施した後、該熱処理温度から冷却する
    過程において、850℃の温度から700℃の温度まで
    の間を7分以上かけて冷却することを特徴とするハニカ
    ム構造体の冷却方法。
  2. 【請求項2】 800℃の温度から700℃の温度まで
    の間に2分以上の均熱処理を施すことを特徴とする請求
    項1に記載の冷却方法。
JP06517994A 1994-04-01 1994-04-01 メタルハニカム構造体の接合熱処理後の冷却方法 Expired - Lifetime JP3498994B2 (ja)

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JPH07268476A JPH07268476A (ja) 1995-10-17
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