JP3497393B2 - 等位相縞の位相状態解析方法 - Google Patents
等位相縞の位相状態解析方法Info
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Description
状あるいは光透過体の厚みムラや屈折率分布を干渉縞あ
るいはモアレ縞を用いて解析測定する際の等位相縞の位
相状態解析方法に関し、特に、被検体表面が、互いに略
面一の状態に設定された複数の観察領域からなる場合、
あるいは被検体内部の屈折率分布が略均一に設定された
複数の観察領域からなる場合において、領域分割のため
の、縞情報が得られない分離帯が存在しても、この複数
の観察領域全体に亘る位相状態を解析測定し得る等位相
縞の位相状態解析方法に関するものである。
て被検体の表面形状を高精度に計測する手法が知られて
いる。
ンウエハを吸着支持して、ウエハの表面チェックや表面
加工を行なうための吸着チャック装置においては試料を
吸着支持する基準面を光波長オーダーの面精度で加工し
なければならず、この基準面の面精度を測定するために
反射型の干渉縞計測による手法が用いられる。
で示される如き形状とされており、台座本体1の上面に
は面精度の高い基準面2が形成され、その面内には複数
の吸引孔3が平均的に分布され、この吸引孔3における
吸引作用により、例えば、薄板状のシリコンウエハ4が
この基準面2上に吸着保持されるようになっている。
による手法を用いて計測する場合には、基準面2の全領
域における干渉縞情報を取り込んで(必要であれば縞走
査を行なって)、この取り込んだ情報に基づき所定の演
算を行なって位相分布(高さデータ)を得ることにな
る。
は、得られる位相値が(-π,π)の主値の範囲に折り
畳まれるため(位相ラッピング)、ダイナミックレンジ
の大きな位相に対しては位相値が不連続となり2πの整
数倍の不確定値を有するものとなる。したがって、実際
の表面形状に沿した位相分布を得るためには、このよう
に(-π,π)の主値の範囲に折り畳まれた位相分布Φ
(x,y)から元の連続な位相分布を求める位相アンラ
ッピング処理を施す必要がある。
う場合、ノイズの少ない滑らかな位相分布については単
純なアルゴリズムを用いて高精度な連続位相分布Φ
(x,y)を求めることが可能であるが、ノイズが多
く、モジュレーション(干渉縞振幅に依存する量)が低
い領域を含む場合には極めて難解な問題となり、連続位
相分布Φ(x,y)を求めることが困難となる。
ズが多かったりモジュレーションが低い場合において
も、位相アンラッピング処理を良好に行なうことができ
る手法が提案されている。
い(モジュレーションがより高い)部分に着目し、この
ような部分から順に位相アンラッピングしていく方法
で、計算機科学の分野で最小木問題(Minimum Spanning
Tree Problem)と称されるグラフ問題を応用したもの
であり、特にそれを用いた振幅最大木法が有効なものと
して知られている(第55回(1994年)応用物理学会学
術講演会予稿集P803参照)。
示す吸着チャック装置等においては、所定の処理が終了
した後において、過大な力を要することなくウエハ4を
基準面2から除去することができるように基準面2が格
子状の溝5によって複数の領域に分割されている。
数の領域に分割されている場合には、この溝5から有効
な干渉縞情報が得られないため、有効な干渉縞情報が得
られる観察領域が、干渉縞データ上において各々完全に
分割された領域となるから、基準面2に対する干渉縞情
報に基づき、この干渉縞情報が無い領域を含んだ状態で
所定の演算を行なって得られた位相分布に位相アンラッ
ピング処理を施すと解析データに誤差が生じるという問
題があった。
法を用いた場合においては、上記基準面2における、干
渉縞が生じない溝5に相当する部分がどうしても誤差要
因となり、基準面2の全体形状を正確に解析することは
難しい。
表面形状を得る場合、被検体設定部に設定された被検面
はどうしても若干の傾斜がついてしまうため、この被検
面の形状データを得る場合には、最小二乗法等を用いて
その傾きを補正する処理が最終的に必要となるが、位相
アンラッピングを行なって得られたデータに対してこの
ような傾き補正処理を加えると、干渉縞が発生していな
い前述した段差部分がデータ全体に対して重みとなり正
確な傾き補正ができないという問題もある。
なり、その観察領域が、干渉縞情報を得ることが困難な
分離帯により複数個に分割されている場合に、この観察
領域内部の屈折率分布、さらにはこの観察領域の厚みム
ラを透過型の干渉縞計測による手法を用いて測定する場
合においても同様に生じることになる。
ので、等位相縞を解析して被検体の表面形状、屈折率分
布あるいは厚みムラを測定する場合において、該被検体
が分離帯により複数の観察領域に分割され、かつ該分離
帯の縞情報を得ることができない場合においても、その
分離帯におけるデータが観察領域の位相解析に影響を与
えることがなく、高精度で観察領域の位相状態測定を行
なうことができる等位相縞の位相状態解析方法を提供す
ることを目的とするものである。
状態解析方法は、縞情報が存在しない分離帯と、この分
離帯により複数個に分割され、該分離帯を挟んで互いに
隣接する領域端部の位相差が、観察される等位相縞で1
/2縞よりも小さい縞情報値を有する観察領域とからな
る被検体の縞情報を取り込み、前記観察領域に前記分離
帯を含めて前記被検体の縞情報に基づく位相計算を行な
い、次いで、該位相計算により位相ラッピングされた位
相分布の位相アンラッピング処理を行ない、該位相アン
ラッピング処理が施された位相分布において、前記縞情
報が存在しない分離帯に対応する部分にマスキング処理
を施すことを特徴とするものである。
に所定の関数補正処理を施すことを特徴とするものであ
る。
端部」とは、分離帯を挟んで互いに隣接する2つの観察
領域における、対向する分離帯境界部分を意味するもの
とする。
いて図面を参照しつつ具体的に説明する。
状態解析方法を説明するためのフローチャートである。
本実施形態方法においては、フィゾー型の反射型レーザ
干渉計を用いており、まず、ステップ1(S1)に示す
如く、分離帯によって複数の観察領域に分割された、光
反射体である被検面に対し、4ステップの縞走査(フリ
ンジスキャン)を行う。なお、分離帯は観察領域にピン
トを合わせた場合、干渉縞が生じないものとされてい
る。また、分離帯を挟んで隣接する2つの観察領域にお
ける、対向する分離体境界部分の位相差は1/2縞(垂
直入射の光波干渉計で入射光波長の1/4)よりも良好
であることが必要であり、さらに観察領域においてモジ
ュレーションの高い縞情報を得られることが必要であ
る。
渉縞強度I1、I2、I3、I4から被検面の位相分布
Φ(x,y)を求める(S2)。なお、この場合の位相
分布Φ(x,y)は平面内の一直線上(図2の白矢印
上)における縞情報に基づいて求められる。
間に畳み込まれた位相ラッピングデータとされているの
で、前述した振幅最大木法等の位相アンラッピング手法
を用いて位相アンラッピングを行い、連続する位相分布
Φ(x,y)を求める(S3)。
て、上記分離帯に相当する、モジュレーションが0の部
分についてマスキング処理を行う(S4)。ここでマス
キング処理とは、例えば除去したいデータに対して0
を、そのまま残したいデータに対して1を各々乗じる演
算処理をいうが、不要なデータのみを除去することがで
きれば、その他の態様のマスキング処理によることも可
能である。
続位相分布Φ(x,y)に対して最小二乗法を用いて傾
き補正を行う(S5)。このときパワー補正、ザイデル
収差の関数での補正、ツェルニケ多項式での補正等の他
の関数補正を同時に行ってもよい。
ップ2(S2)との間において、所望の観察領域のみを
抽出するマスキング処理を位相アンラッピング計算前に
行なうようにすれば、その後の計算処理時間の短縮化を
図ることができ、形状解析処理の高速化を図ることがで
きる。
明する。
えば4ステップ法だと、4回のフリンジスキャンにおけ
る干渉縞強度I1、I2、I3,I4は以下の各式
(1)、(2)、(3)、(4)により表される。 I1(x,y)=I0(x,y)[1+γ(x,y)cos{Φ(x,y)}] ・・・(1) I2(x,y)=I0(x,y)[1+γ(x,y)cos{Φ(x,y)+π/2}] ・・・(2) I3(x,y)=I0(x,y)[1+γ(x,y)cos{Φ(x,y)+π}] ・・・(3) I4(x,y)=I0(x,y)[1+γ(x,y)cos{Φ(x,y)+3π/2}] ・・・(4)
相、I0(x,y)は各点での平均光強度、γ(x,
y)は干渉縞のモジュレーションを各々表す。なお、モ
ジュレーションとは、干渉縞振幅と略相関関係を有する
ものと考えて良く、具体的には下記式(5)により表さ
れる。
(3)、(4)から、位相Φ(x,y)を求めると下記
式(6)となる。
っていることからも明らかなように、位相Φ(x,y)
は−πからπの間に畳み込まれている。なお、このよう
な状態のデータを通常位相ラッピングデータと称してい
る。この式で分母が0の場合(すなわちI1(x,y)
=I3(x,y)の場合)は、分子が正であればπ/2
となり、負であれば−π/2となる。
字線部分)は、I1(x,y)=I 2(x,y)=I3
(x,y)=I4(x,y)=0となるため、位相ラッ
ピングデータにおいてπ/2もしくは−π/2となる。
すなわち、干渉縞の存在しない領域でのデータは誤差と
なってしまう。
域(分離帯)で分けられた両側の観察領域の、分離帯境
界部分の高さ(位相)が、略同じ高さ(少なくとも位相
差がπ未満、すなわち、He−Neレーザを用いたフィ
ゾー型干渉計の場合には、入射光の波長を考慮すると高
低差が0.16μm以下である。したがって、被検面の
傾き調整を十分に行う必要がある。)であれば、前述し
た振幅最大木法等の位相アンラッピング方法を用いて解
析を行った場合、干渉縞の存在する観察領域のみを解析
する場合には計算誤差は生じていない。換言すれば、干
渉縞の存在しない分離帯部分について計算誤差が生じて
いる。
実施形態においては、干渉縞が存在しない分離帯と、干
渉縞の存在する複数の観察領域とを含んだ全領域につい
て上記位相アンラッピング方法による計算を行なった
後、モジュレーションが0の領域(この段階ではモジュ
レーション値の判断が容易である)についてマスキング
処理を行って上記干渉縞が存在しない領域のデータを排
除し、干渉縞の存在しない分離帯部分についての計算誤
差が上記観察領域の解析値に影響を与えないようにして
いる。
表面形状を得る場合、被検体設定部に設定された被検面
はどうしても若干の傾斜がついてしまうため、この被検
面の実際の形状データを得る場合には、最小二乗法等を
用いてその傾きを補正する処理が最終的に必要となる。
しかし、位相アンラッピングを行なって得られた連続位
相分布に対してこのような傾き補正処理を加えると、干
渉縞が発生していない前述した分離帯に相当する部分が
データ全体に対して重みとなり正確な傾き補正ができな
いという問題があるが、本実施形態においては、モジュ
レーションが0となる領域についてマスキング処理を行
って上記干渉縞が存在しない領域のデータを排除してい
るので、最小二乗法により正確な傾き補正を行うことが
でき、正しい形状測定を実施することができる。なお、
干渉縞情報の無い分離帯を挟んで隣接する領域の位相差
が1/2縞より小さい傾きであることが条件となる。
法の代わりに、5ステップ法などの、3ステップ以上の
他のステップ法を用いて行うことも可能である。
シミュレーションデータを、従来技術と対比しつつ解析
することにより説明する。
十字ライン(分離帯)が存在して観察領域が分割され、
観察領域は完全に平面な状態とされている場合について
想定し、このような被検面を有する被検体を少し傾ける
(分離帯を挟んだ領域の高低差は1/2縞未満)ように
してフィゾー型のレーザ干渉計にセッティングした状態
について想定する。
渉縞シミュレーションデータを図2に示す。なお、図2
の(A)は前述した式(1)に対応する干渉縞データ
を、(B)は前述した式(3)に対応する干渉縞データ
を示すものである。
データの中心横断面(白矢印線上)の表面形状は、図3
に示すような鋸歯状に形成される。なお、十字線に相当
する部分は干渉縞が存在せず、π/2ラジアンに設定さ
れるため、グラフ上に歪が形成され、これが解析誤差の
発生原因となる。なお、解析処理を行なうソフトプログ
ラムの設定によっては、上記π/2ラジアンとならずに
−π/2ラジアンとなる場合もある。
タを、前述した振幅最大木法により位相アンラッピング
すると、図4に表わされたグラフの如くなる。十字線に
相当する、干渉縞が存在しない部分は直線グラフ上で歪
となっていることが分かる。
て、最小二乗法により傾き補正を行うと、全領域に亘っ
て、誤差成分が重みとなり、図5に示す如く、正確な傾
き補正が困難となる。すなわち、図5においてグラフ直
線部分が所定の傾きをもってしまう。
う前に、モジュレーションが0となる部分(十字線に相
当する部分)のデータにマスキング処理を施すようにす
る。ここで、モジュレーションの値の変化を図6に示
す。マスキング処理は、モジュレーションの値が1であ
れば該データに1を、0であれば該データに0を各々乗
算する。
ーションが0となる領域にマスキング処理を施すことに
よって、傾き補正を行なった場合にもグラフ直線部分の
傾きを確実に補正することができる。
い解析結果を得る上で注意すべき点について列挙する。
域、すなわち、基準面との反射率がほぼ等しく干渉縞の
コントラストが良好な観察領域であることが好ましい。
ラストが常に最良となるような状態に調整しておくこと
が好ましい。
ることが好ましい。ピントが合っていないと干渉縞が、
回折現象の影響からエッジ部分で流れたようになってし
まい誤差要因となる。
定環境で測定することが好ましい。このような要件が満
たされないと、フリンジスキャンが正確に行われず、測
定誤差が発生する他、干渉縞の存在する領域におけるモ
ジュレーションが低くなってしまう。
イメントは縞がもっとも少なくなる状態にして測定する
ことが好ましい。
法としては上述した実施形態のものに限られるものでは
なく、その他の種々の態様の変更が可能である。例え
ば、上述した実施形態のものでは被検体が光反射体であ
る場合に、その表面形状(凹凸形状や段差形状)の測定
に適用するものであるが、本発明方法は被検体が光透過
体である場合に、その厚みムラや屈折率分布の測定にも
適用することができる。
本発明方法を適用する際にも、上記実施形態と同様の前
提条件を満足することが必要である。
察領域の対向する分離帯境界部分の光入射方向の位相差
(厚みムラや屈折率分布に伴なう位相差)が等位相縞で
1/2縞未満であることが必要であり、したがって、上
記対向する分離帯の高低差は、例えばフィゾー型やマイ
ケルソン型の干渉計を用いる場合にはλ/4未満、マッ
ハツェンダ型の干渉計ではλ/2未満であることが必要
である(ただし、λは光源からの光波長)。また、分離
帯には縞情報が存在しないことが必要であり、測定領域
の縞情報はコントラストのよいものであることが必要で
あり、さらに、傾きは分離帯を挟んでいる干渉縞の存在
する領域の位相差が1/2縞未満となることが必要であ
る。
として光反射型フィゾーのレーザ干渉計を用いている
が、これ以外の種々の干渉計を使用し得る。また、照射
光源としては、レーザ光源に代えて白色光源とすること
も可能である。
縞情報に限られるものではなく、モアレ縞情報をも対象
とし得る。ただし、モアレ縞の縞情報においては、1縞
に相当する量が干渉縞の縞情報とは異なるものであり、
例えば平行光照明を用いた垂直観察の格子照射法におい
ては、格子ピッチをP、照明角度をθとしたとき、1縞
はP/tanθの量に相当する。
方法としては、縞走査法により得られた複数の縞情報に
基いて被検体の位相分布Φ(x,y)を得る場合に限ら
れず、1回の取込みによって得られた縞情報に基づき上
記位相分布Φ(x,y)を得る場合のものに適用するこ
とも可能である。
の位相状態解析方法によれば、位相アンラッピング処理
が施された位相分布において、縞情報が存在しない領域
に対応する部分にマスキング処理を施し、最終段階にお
いて分離帯に関するデータは除去されるようにしてお
り、この分離帯のデータが解析値全体に及ぼす影響を排
除できるから、被検体の観察領域における位相状態解析
の精度の向上を図ることができる。また、この後におい
て位相分布に傾き補正等の関数補正処理を施す場合に
は、その補正の精度を向上させることができる。
施形態を説明するためのフローチャート
において用いる干渉縞データを示す図
データを示すグラフ
ラッピング処理を施した後のデータを示すグラフ
で最小二乗法により傾き補正したデータを示すグラフ
形状を示す斜視図
Claims (2)
- 【請求項1】 縞情報が存在しない分離帯と、この分離
帯により複数個に分割され、該分離帯を挟んで互いに隣
接する領域端部の位相差が、観察される等位相縞で1/
2縞よりも小さい縞情報値を有する観察領域とからなる
被検体の縞情報を取り込み、 前記観察領域に前記分離帯を含めて前記被検体の縞情報
に基づく位相計算を行ない、 次いで、該位相計算により位相ラッピングされた位相分
布の位相アンラッピング処理を行ない、 該位相アンラッピング処理が施された位相分布におい
て、前記縞情報が存在しない分離帯に対応する部分にマ
スキング処理を施すことを特徴とする等位相縞の位相状
態解析方法。 - 【請求項2】 前記マスキング処理が施された位相分布
に所定の関数補正処理を施すことを特徴とする請求項1
記載の等位相縞の位相状態解析方法。
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