JP3496322B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

Info

Publication number
JP3496322B2
JP3496322B2 JP04726295A JP4726295A JP3496322B2 JP 3496322 B2 JP3496322 B2 JP 3496322B2 JP 04726295 A JP04726295 A JP 04726295A JP 4726295 A JP4726295 A JP 4726295A JP 3496322 B2 JP3496322 B2 JP 3496322B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
valve
speed
line
shift
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04726295A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08240262A (ja
Inventor
浩 篠塚
朝生 沢崎
真也 鎌田
研司 沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP04726295A priority Critical patent/JP3496322B2/ja
Publication of JPH08240262A publication Critical patent/JPH08240262A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3496322B2 publication Critical patent/JP3496322B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動変速機の油圧制
御装置、特に、締結室と解放室とを備えた摩擦要素を有
し、これら両室が共に排圧された状態に対応する第1変
速段と、上記締結室のみに油圧が供給された状態に対応
する第2変速段とを有する自動変速機の油圧制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、自動車等の車両に搭載さ
れる自動変速機は、一般に、トルクコンバータと変速歯
車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経
路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素の選択的作
動によって切り換えて所定の変速段に自動的に変速する
ように構成されている。そして、かかる自動変速機に
は、上記各摩擦要素に設けられた油圧室に対する作動圧
の給排を制御する油圧制御回路が設けられる。
【0003】この油圧制御回路には、例えばオイルポン
プの吐出圧を所定のライン圧に調整するレギュレータバ
ルブ、手動操作によってレンジを切り換えるマニュアル
バルブ、運転状態に応じて作動し、上記各油圧室に対す
る作動圧の供給状態を切り換えることにより、各摩擦要
素を選択的に作動させる切換バルブ等が多数設けられて
いる。尚、このような切換バルブは、一般に、その制御
ポートへの制御圧の給排によって切り換えが行なわれる
ようになっており、この制御圧をタイミング良く供給す
るために、電磁力で弁体を駆動して油圧(ソレノイド圧)
の供給タイミングを制御するようにした所謂ソレノイド
バルブが広く用いられている。
【0004】また、近年では、上記各油圧室への作動圧
の生成,調整あるいは排出等の制御をデューティソレノ
イドバルブ等の油圧制御手段を用いて電気的に行うこと
が試みられている。かかる油圧制御手段を用いることに
より、各摩擦要素に供給される作動圧を精度良く調整す
ることができ、特に、変速時における作動圧の給排のタ
イミングをち密に制御して、変速ショックの低減等、変
速フィーリングの向上を図ることが可能になる。
【0005】ところで、上記のような自動変速機におい
て、締結室と解放室とを備えた摩擦要素が動力伝達系に
設けられ、これら両室が共に排圧された状態に対応する
第1変速段と、上記締結室のみに油圧が供給された状態
に対応する第2変速段とが設定されたものがある。例え
ば、前進4段の自動変速機の場合を例にとって説明すれ
ば、締結室と解放室とを有し締結室のみに油圧が作用し
た場合にだけ締結される2速または4速用のブレーキ
(所謂、2−4ブレーキ)が動力伝達系に設けられ、1速
では上記両油圧室が排圧されるように設定されたものが
ある。尚、この2−4ブレーキは、3速においては締結
室と解放室の両方に油圧が作用し、その結果、ブレーキ
は解放されるようになっている。また、かかる自動変速
機で、高速側の変速段と低速側の変速段とで作動状態が
切り換えられる摩擦要素として、3速または4速で締結
されるべきクラッチ(所謂、3−4クラッチ)が設けられ
る場合があるが、この場合には、この3−4クラッチの
油圧室と上記2−4ブレーキの解放室とは、2速から3
速への変速時およびその逆の変速を行う際には、同時に
油圧の給排が行なわれる。
【0006】この2速と3速との間での変速が行なわれ
る際、良好な変速フィーリングを得るためには、上記3
−4クラッチの油圧室と2−4ブレーキの解放室とをで
きるだけ同じ圧力に保ちつつ油圧の給排を行うことが好
ましいのであるが、両油圧室に対する油圧経路の違い等
により、いずれか一方の油圧通路での流速が他方に比べ
て大きくなり、両油圧室の圧力にある程度以上の差が生
じる場合がある。かかる問題に対して、従来、上記両油
圧室の油圧通路(もしくは、これら両油圧通路に連通す
る油路)にオリフィス等の絞り手段を設け、その絞り作
用によって各油圧室に対する油圧の給排タイミングを調
節するようにしたものが知られている。
【0007】ところで、1速から2速に変速されるとき
には、2−4ブレーキの締結室に油圧が供給されるが、
このとき、この締結室と反対側に設けられた解放室内の
オイル(作動油)は、締結室の昇圧に伴ってその油圧通路
側に押されて排出される。しかしながら、この油圧通路
に上記のようなオリフィスが設けられている場合には、
解放室からのオイルの排出が遅くなって解放室内に残圧
が残り、変速タイミングが遅れるという問題が生じる。
【0008】この問題に関して、例えば、特開昭62−
75162号公報では、図12に示すように、解放室3
34b(サーボリリース室)とオリフィス375との間
に、締結室334a(サーボアプライ室)の油圧をパイロ
ット信号圧として切り換わるサーボリリース圧排出弁3
58を設け、サーボアプライ圧が所定値よりも低い場合
にはサーボリリース室334bが上記排出弁358のド
レンポート358dに連通させられる一方、上記サーボ
アプライ圧が所定値よりも高い場合にはサーボリリース
室334bがオリフィス375側に連通させられるよう
に設定した自動変速機の油圧制御装置が開示されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の油圧制御装置では、確かに、2速から3速への変速
中には、オリフィス375を介して上記2−4ブレーキ
344のサーボリリース室334bに油圧を供給するこ
とにより、上記3−4クラッチの油圧室(不図示)とサ
ーボリリース室334bとを極力同圧に保ちつつ油圧を
供給するように設定することができるものの、1速から
2速に変速する際には、サーボアプライ室334aに油
圧を供給する油圧供給手段(不図示)の開度によって
は、サーボリリース室334bと上記排出弁358のド
レンポート358dとが連通されず、サーボリリース室
334b側に残圧が残ることを確実に防止することはで
きないという問題があった。
【0010】すなわち、2速から3速への変速中につい
ては、例えば図13のグラフに示すように、2−4ブレ
ーキのサーボストローク棚圧を適正に保持するために、
サーボリリース圧排出弁358のパイロット信号圧とし
てのサーボアプライ圧Paは所定値P1まで下げて一定
に保たれる。この場合、変速中、2−4ブレーキのサー
ボリリース室334bにオリフィス375を介して油圧
を供給するためには、サーボリリース圧排出弁の切換圧
Pvは、上記所定値P1よりも低く設定する必要があ
る。尚、図13のグラフにおいて、実線曲線Prおよび
破線曲線P34はサーボリリース室334b側の圧力およ
び3−4クラッチの油圧室(不図示)の圧力をそれぞれ
示しており、これら各曲線PrおよびP34における略水
平に近い傾斜の緩やかな部分HrおよびH34は、2−4
ブレーキ344のサーボストローク棚および3−4クラ
ッチ(不図示)のストローク棚部分をそれぞれ示してお
り、上記2−4ブレーキ344のサーボストローク棚圧
は、通常、サーボアプライ圧に比例するようになってい
る。
【0011】一方、1速から2速への変速中について
は、上記サーボリリース圧排出弁358を、サーボリリ
ース室334bが上記排出弁358のドレンポート35
8dに連通させられる側に切り換えて、サーボリリース
室334b側に残圧が残ることを防止する必要がある。
サーボアプライ室334aへの油圧供給手段(不図示)
の開度が比較的小さいか又は中程度まで(つまり低中開
度)であれば、サーボアプライ圧は、図14のグラフに
おいて曲線Pa1で示されるように、変速中はサーボリ
リース圧排出弁358の切換圧Pvよりも低く維持され
るので、サーボリリース室334b側のオイルはオリフ
ィス375をバイパスして排出弁358のドレンポート
358dから排出される。
【0012】ところが、上記油圧供給手段(不図示)の
開度が一定以上大きい(つまり高開度)の場合には、図1
4において曲線Pa2で示されるように、変速中に上記
切換圧Pvを越える場合が考えられ、この場合には、サ
ーボリリース圧排出弁358がサーボリリース室334
b側とオリフィス375とを連通させるように切り換え
られる結果、サーボリリース室334b側に残圧が残る
ことを防止できないことになる。尚、この場合、上記切
換圧Pvを高開度(曲線Pa2参照)におけるパイロット圧
(サーボアプライ圧)の棚部分の圧力P2よりも高く設定
することが考えられるが、通常、この圧力P2は、2速
から3速への変速時におけるサーボアプライ圧の一定値
P1(図13参照)よりも高くなるので(P2>P1)、2
速から3速への変速中に、3−4クラッチの油圧室(不
図示)と2−4ブレーキ344のサーボリリース室33
4bとに上記オリフィス375を介して油圧を供給する
ことができなくなる。
【0013】このように、サーボアプライ圧をパイロッ
ト信号圧として用いた上記従来の油圧制御装置では、2
速から3速への変速中にあっては、オリフィス375を
介して上記3−4クラッチの油圧室(不図示)と上記2−
4ブレーキ344のサーボリリース室334bとに油圧
を供給することによって両油圧室を極力同圧に保ちつつ
油圧を供給することと、1速から2速への変速中にあっ
ては、サーボリリース室334b側の油圧を上記オリフ
ィス375をバイパスして排出させることによってサー
ボリリース室334b側における残圧の発生を防止する
こととを、サーボアプライ室334aに油圧を供給する
油圧供給手段(不図示)の開度に拘わらず、確実に両立
して達成することはできなかった。
【0014】サーボリリース室(解放室)側の油圧経路を
オリフィス側とバイパス側との間で切り換える切換ポイ
ントについては、2速から3速への変速時、2−4ブレ
ーキの解放と3−4クラッチの締結(つまり、両摩擦要
素の掛け替え)は、通常、3−4クラッチのピストンが
そのストロークを終えた時点で始まるので、少なくとも
3−4クラッチの油圧室の圧力がこのピストンストロー
ク圧よりも若干高い圧力となった時点(つまり、上記ピ
ストンがストローク動作を完了した時点)ではバイパス
が閉じ、それ以降は2−4ブレーキの解放室と3−4ク
ラッチの油圧室とがほぼ同じ圧力に維持されるように上
記オリフィスを介して油圧の供給を行い、両摩擦要素の
掛け替えをスムースに行わせる必要がある。すなわち、
2−3変速においては、上記の切換ポイントはできるだ
け低い方が好ましい。しかしながら、1速から2速への
変速時には、上述したように、解放室側に少なくとも一
時的に残圧が生じるおそれがあり、上記の切換ポイント
を余りに低く設定したのでは、この残圧の影響によって
バイパスが閉じる側に切り換えられてしまうことも考え
られる。従って、上記の切換ポイントは、このような残
圧の影響による不用意な油圧経路の切り換えを回避した
上で、できるだけ低く設定する必要がある。
【0015】更に、上記のような自動変速機の動力伝達
系に、前進レンジで用いられる摩擦要素の一つとして、
高速側の変速段と低速側の変速段とで作動状態が切り換
えられる摩擦要素(前進4段の自動変速機にあっては、
3速または4速の高速域で締結され2速以下の低速の変
速段で解放されるべき上記3−4クラッチ)が設けられ
ている場合には、高速側と低速側とについてそれぞれ切
換バルブを設け、この切換バルブをソレノイド圧で切り
換えて高速側および低速側での変速をそれぞれ行なわせ
るようになっている。例えば、前進4段の自動変速機の
場合であれば、一般に、3速以上の高速域については、
高速域用の切換バルブで3速と4速との切り換えを行
い、2速以下の低速域については、低速域用の切換バル
ブで2速とエンジンブレーキが得られる1速との間で切
り換えが行なわれる。このような場合、上記高速域用お
よび低速域用の両切換バルブについて、ソレノイド圧供
給用のソレノイドバルブを個々に設けたのでは、各々の
ワイヤハーネスの配線等を含めて、油圧回路の構造が複
雑化するとともに、スペース及びコストの面においても
不利になる。
【0016】この発明は、上記諸問題に鑑みてなされた
もので、摩擦要素の解放室への油圧の給排を行うに際し
て、所定の油圧供給時には通路に設けた絞り手段を通過
させる一方、所定の油圧排出時には上記絞り手段をバイ
パスさせることにより、油圧および作動油の給排タイミ
ングを適正に維持してスムースな変速を行わせ、良好な
変速フィーリングを得ることができる自動変速機の油圧
制御装置を提供することを基本的な目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】このため、本願の請求項
1に係る発明(以下、第1の発明という)は、締結室と解
放室とを備えた摩擦要素を有し、これら両室が共に排圧
された状態に対応する第1変速段と、上記締結室のみに
油圧が供給された状態に対応する第2変速段とを有する
自動変速機の油圧制御装置において、上記解放室に対す
る油圧通路に絞り手段を設けるとともに、上記第1変速
段から第2変速段への変速時に上記絞り手段をバイパス
させる通路切換バルブを設け、該通路切換バルブを、上
記第1,第2以外の他の変速段で締結される他の摩擦要
素の油圧が所定値以下のときに上記絞り手段をバイパス
させる位置に切り換わるように設定したことを特徴とし
たものである。
【0018】また、本願の請求項2に係る発明(以下、
第2の発明という)は、上記第1の発明において、上記
通路切換バルブは、上記他の摩擦要素の油圧が当該他の
摩擦要素のピストンストローク圧よりも僅かに高い圧力
を切換ポイントとし、それよりも低い圧力で上記絞り手
段をバイパスさせる位置に切り換わるように設定されて
いることを特徴としたものである。
【0019】更に、本願の請求項3に係る発明(以下、
第3の発明という)は、上記第1または第2の発明にお
いて、上記自動変速機は高速側の変速段と低速側の変速
段とで作動状態が切り換えられる摩擦要素を備えるとと
もに、高速側の変速領域で切り換えられる第1切換バル
ブと、低速側の変速領域で切り換えられる第2切換バル
ブと、これら第1または第2切換バルブをそれぞれ切り
換えるソレノイド圧を供給するソレノイドバルブとを備
えており、上記通路切換バルブは、上記摩擦要素の作動
圧に応じて、上記ソレノイドバルブを選択的に上記第1
または第2の切換バルブに接続することを特徴としたも
のである。
【0020】また、更に、本願の請求項4に係る発明
(以下、第4の発明という)は、上記第1〜第3の発明い
ずれか一において、上記自動変速機は前進レンジで4段
の変速段を有するタイプで、上記摩擦要素は上記締結室
のみに油圧が作用した場合にだけ締結される前進レンジ
の2速または4速用の2−4ブレーキ、上記他の摩擦要
素は前進レンジの3速または4速で締結され2速以下の
変速段で解放されるべき3−4クラッチであり、かつ、
上記第1および第2変速段はそれぞれ前進レンジの1速
および2速であることを特徴としたものである。
【0021】
【発明の作用および効果】本願の第1の発明によれば、
上記通路切換バルブを設けたので、上記第1変速段から
第2変速段への変速時(つまり、上記締結室に油圧が供
給されて解放室の作動油が排出される際)には上記絞り
手段をバイパスさせることができ、解放室側に残圧が残
り変速タイミングが遅れることを有効に防止することが
できる。また、解放室に油圧が供給される場合には、上
記絞り手段を介して供給が行なわれるので、その絞り作
用により解放室への油圧の供給タイミングを良好に調節
することができる。この場合において、上記通路切換バ
ルブは、上記第1,第2以外の他の変速段で締結される
他の摩擦要素(つまり、第1変速段から第2変速段への
変速に関係しない摩擦要素)の油圧が所定値以下のとき
に上記絞り手段をバイパスさせる位置に切り換わるよう
に設定されており、上記摩擦要素(つまり、第1変速段
から第2変速段への変速に直接に関係する摩擦要素)の
締結室への供給油圧をパイロット信号圧に用いた従来の
油圧制御装置のように、締結室への油圧供給手段の開度
によって上記第1変速段から第2変速段への変速時に絞
り手段をバイパスさせることができなくなることはな
い。すなわち、上記摩擦要素の解放室への油圧の給排を
行うに際して、所定の油圧供給時には通路に設けた絞り
手段を通過させる一方、所定の油圧排出時には上記絞り
手段をバイパスさせることにより、油圧および作動油の
給排タイミングを適正に維持してスムースな変速を行わ
せ、良好な変速フィーリングを得ることができる。
【0022】また、本願の第2の発明によれば、基本的
には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができ
る。しかも、その上、上記通路切換バルブは、上記他の
摩擦要素の油圧が当該他の摩擦要素のピストンストロー
ク圧よりも僅かに高い圧力を切換ポイントとし、それよ
りも低い圧力で上記絞り手段をバイパスさせる位置に切
り換わるように設定されているので、他の摩擦要素の油
圧がピストンストローク圧よりも僅かに高い圧力に至っ
た後は(つまり、当該他の摩擦要素のピストンのストロ
ーク動作が完了し、両摩擦要素の掛け替えが開始される
時点では)、上記絞り手段を介して解放室側の油圧の給
排が行なわれるようになる。従って、他の摩擦要素の油
圧室と上記解放室への油圧の供給が同時に行なわれる変
速時には、上記摩擦要素の解放と他の摩擦要素の締結
(つまり、両摩擦要素の掛け替え)が開始された時点で
は、上記絞り手段を介して油圧が供給され、上記解放室
と他の摩擦要素の油圧室とをほぼ同じ圧力に保ちながら
油圧が供給されるように設定することができる。この結
果、上記両摩擦要素の掛け替えをスムースに行わせ、良
好な変速フィーリングを得ることができる。また、絞り
手段をバイパスさせる切換ポイントを他の摩擦要素の油
圧がピストンストローク圧よりも僅かに高くなるポイン
トに設定することにより、上記摩擦要素の締結室に油圧
が供給され、解放室の作動油が押し出されて排出される
際(第1変速段から第2変速段への変速時)に、できるだ
け早いタイミングで解放室側の作動油を排出することが
でき、かつ、解放室側の残圧の影響で通路切換バルブが
切り換えられることを防止できるように設定することが
可能となり、最適の切換タイミングを得ることができる
ようになる。
【0023】更に、本願の第3の発明によれば、基本的
には、上記第1または第2の発明と同様の効果を奏する
ことができる。しかも、その上、上記第1または第2切
換バルブをそれぞれ切り換えるソレノイド圧を供給する
ソレノイドバルブの接続に関し、上記通路切換バルブを
利用して、上記摩擦要素の作動圧に応じて(つまり、高
速域であるか又は低速域であるかに応じて)選択的に上
記第1または第2の切換バルブに接続することができ
る。すなわち、高速側の変速段と低速側の変速段とで作
動状態が切り換えられる摩擦要素の作動状態に応じて、
上記ソレノイドバルブを選択的に第1切換バルブまたは
第2切換バルブに接続し、当該切換バルブの切換タイミ
ングに応じてソレノイド圧を供給することができ、一つ
のソレノイドバルブのソレノイド圧を上記両切換バルブ
の切り換えに選択的に利用することができる。この結
果、同時に使用されることのない上記両切換バルブにソ
レノイド圧を供給するソレノイドバルブを共用化するこ
とができ、油圧回路の構造を簡素化するとともに、省ス
ペース化およびコストの低減を図ることができる。そし
て、この場合、上記通路切換バルブに、絞り手段のバイ
パスの切り換え以外の他の作用を兼用して行わせること
により、油圧制御装置の構造の簡素化に寄与することが
できる。
【0024】また、更に、本願の第4の発明によれば、
基本的には、上記第1〜は第3の発明のいずれか一と同
様の効果を奏することができる。特に、具体的に、上記
自動変速機は前進レンジで4段の変速段を有するタイプ
で、上記摩擦要素は上記締結室のみに油圧が作用した場
合にだけ締結される前進レンジの2速または4速用の2
−4ブレーキ、上記他の摩擦要素は前進レンジの3速ま
たは4速で締結され2速以下の変速段で解放されるべき
3−4クラッチであり、かつ、上記第1および第2変速
段はそれぞれ前進レンジの1速および2速である場合に
おいて、2−4ブレーキの解放室への油圧の給排を行う
に際し、2速から3速への変速時には油圧通路に設けた
絞り手段を通過させることにより、上記解放室と3−4
クラッチの油圧室とをほぼ同じ圧力に保ちながら油圧を
供給し、良好な変速フィーリングを得ることができる。
一方、1速から2速への変速時には、上記絞り手段をバ
イパスさせることにより、上記解放室に残圧が残って変
速タイミングが遅れることを防止できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を、添付図面に基づい
て詳細に説明する。まず、図1により本実施例に係る自
動変速機10の機械的構成を説明する。この自動変速機
10は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20
と、該トルクコンバータ20の出力により駆動される変
速歯車機構30と、該機構30の動力伝達経路を切り換
えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素41〜45
及びワンウェイクラッチ46とを有し、これらにより
D,S,Lレンジ等の前進走行レンジにおける1〜4速
と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになって
いる。
【0026】上記トルクコンバータ20は、エンジン出
力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ2
2と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22
により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポ
ンプ22とタービン23との間に介設され、かつ変速機
ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持され
てトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース2
1とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介
してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロッ
クアップクラッチ26とで構成されている。そして、上
記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して
変速歯車機構30側に出力されるようになっている。こ
こで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、
該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン
出力軸1に駆動されるオイルポンプ12が配置されてい
る。
【0027】一方、上記変速歯車機構30は、それぞ
れ、サンギヤ31a,32aと、これらのサンギヤ31
a,32aに噛み合った複数のピニオン31b,32b
と、これらのピニオン31b,32bを支持するピニオ
ンキャリヤ31c,32cと、ピニオン31b,32bに
噛み合ったリングギヤ31d,32dとで構成される第
1、第2遊星歯車機構31,32を有する。そして、上
記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構31のサン
ギヤ31aとの間にフォワードクラッチ41が、同じく
タービンシャフト27と第2遊星歯車機構32のサンギ
ヤ32aとの間にリバースクラッチ42が、またタービ
ンシャフト27と第2遊星歯車機構32のピニオンキャ
リヤ32cとの間に3−4クラッチ43がそれぞれ介設
されると共に、第2遊星歯車機構32のサンギヤ32a
を固定し得る2−4ブレーキ44が配置されている。
【0028】さらに、第1遊星歯車機構31のリングギ
ヤ31dと第2遊星歯車機構32のピニオンキャリヤ3
2cとが連結されて、これらと変速機ケース11との間
にローリバースブレーキ45とワンウェイクラッチ46
とが並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構3
1のピニオンキャリヤ31cと第2遊星歯車機構32の
リングギヤ32dとが連結されて、これらに出力ギヤ1
3が接続されている。そして、この出力ギヤ13の回転
が伝動ギヤ2,3,4及び差動機構5を介して左右の車軸
6,7に伝達されるようになっている。
【0029】ここで、上記各クラッチやブレーキ等の摩
擦要素41〜45及びワンウェイクラッチ46の作動状
態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すよう
になる。この表1において、○印は当該摩擦要素が締結
される場合を示している。また、(○)印は所謂Lレンジ
の場合においてのみ締結されることを示している。更
に、2−4ブレーキ44のS/A(サーボアプライ)の
欄における●印は、後述するように、油圧は供給される
が、S/R(サーボリリース)側にも同時に油圧が供給
されるために、摩擦要素44(2−4ブレーキ)として
は締結されることはなく、格別の作用は行わないことを
示している。
【0030】
【表1】
【0031】すなわち、フォワードクラッチ41は前進
レンジの1速,2速または3速において締結され4速で
は解放され、リバースクラッチ42は後退レンジにおい
てのみ、3−4クラッチ43は3速または4速において
のみ、2−4ブレーキ44は2速または4速においての
み、ローリバースブレーキ45は後退レンジまたはエン
ジンブレーキが得られるLレンジの1速においてのみ、
それぞれ締結される。また、ワンウェイクラッチ46は
前進レンジの1速においてのみ働く。尚、上記各摩擦要
素41〜46のうち、3−4クラッチ43とローリバー
スブレーキ45,ローリバースブレーキ45と2−4ブ
レーキ44、および2−4ブレーキ44とリバースクラ
ッチ42は、それぞれ同時に締結された場合には、変速
歯車機構30の作動がロックされる所謂インタロックが
生じるようになっており、このインタロックは、後述す
るように、自動変速機10の油圧制御回路に設けられた
1個のシフトバルブによる油路の切り換えによって確実
に回避できるようになっている。
【0032】次に、図2により、上記各摩擦要素41〜
45に設けられた油圧室に対して作動圧を給排する油圧
制御回路50について説明する。ここで、上記各摩擦要
素のうち、例えばバンドブレーキでなる2速または4速
用の2−4ブレーキ44(図1参照)は、作動圧が供給さ
れる油圧室としてアプライ室(締結室)44aとリリース
室(解放室)44bとを有し、アプライ室44aのみに作
動圧が供給されているときに該2−4ブレーキ44が締
結され、リリース室44bのみに作動圧が供給されてい
るとき、両室44a,44bとも作動圧が供給されてい
ないとき、及び両室44a,44bとも作動圧が供給さ
れているときに、2−4ブレーキ44が解放されるよう
になっている。すなわち、この2−4ブレーキ44は、
アプライ室44aのみに油圧が作用した場合にだけ締結
される。この2−4ブレーキ44,アプライ室44a及
びリリース室44bが、それぞれ、本願の請求項1に記
載した摩擦要素,締結室および解放室に相当する。ま
た、その他の摩擦要素41〜43及び45は単一の油圧
室を有し、その油圧室に作動圧が供給されているとき
に、当該摩擦要素が締結されるようになっている。尚、
図2中におけるバルブ構造の模式図では、バルブスプー
ルの中心線の上側と下側とで、当該バルブスプールのシ
フト位置が左右異なる状態をそれぞれ示している。
【0033】この油圧制御回路50には、主たる構成要
素として、ライン圧(制御元圧)を生成するレギュレータ
バルブ51と、手動操作によってレンジの切り換えを行
うためのマニュアルバルブ52と、基本的には変速段に
応じて油路を切り換える第1,第2および第3シフトバ
ルブ56,57及び58と、第1または第2シフトバル
ブ56又は57あるいは後述する他のシフトバルブ(ロ
ックアップシフトバルブ76)を作動させるための第1
あるいは第2ON−OFFソレノイドバルブ (以下、O
N−OFFバルブと記す)61,62と、各摩擦要素4
1〜45の油圧室に供給される作動圧の生成,調整,排出
等の制御を電気的に行い得る油圧制御手段として、第1
〜第3デューティソレノイドバルブ (以下、デューティ
バルブという)66,67,68等が備えられている。か
かる油圧制御手段66〜68(デューティバルブ)を用い
ることにより、各摩擦要素に供給される作動圧を精度良
く調整することができ、特に、変速時における作動圧の
給排タイミングをち密に制御して、変速ショックの低減
等、変速フィーリングの向上を図ることができる。
【0034】ここで、上記ON−OFFバルブ61,6
2及びデューティバルブ66〜68はいずれも3方弁で
あって、上,下流側の油路を連通させた状態と、下流側
の油路をドレンさせた状態とが得られるようになってい
る。そして、後者の場合、上流側の油路が遮断されるの
で、ドレン状態で上流側からの作動油を徒に排出するこ
とがなく、オイルポンプの駆動ロスが低減される。な
お、ON−OFFバルブ61,62及びデューティバル
ブ66〜68は共に、ONのとき(通電時)に下流側の油
路をドレンさせ、OFFのとき(非通電時)に上,下流側
の油路を連通させるようになっている。また、デューテ
ィバルブ66〜68は、デューティ制御(すなわちON
/OFFを短い周期で繰り返す制御)により、上流側の
油圧を元圧として、下流側に所定値に調整した油圧を生
成し得るようになっている。
【0035】上記レギュレータバルブ51は、図1にも
示すオイルポンプ12から吐出された作動油の圧力を所
定のライン圧(制御元圧)に調整する。そして、このライ
ン圧は、メインライン100を介して上記マニュアルバ
ルブ52に供給されると共に、レデューシングバルブ7
1と第2デューティバルブ67とに制御元圧として供給
され、さらに、後述するように第1シフトバルブ56の
切換状態に応じて、該シフトバルブ56を介し、フォワ
ードクラッチ41の締結時に用いられるアキュムレータ
72に背圧として供給される。上記レデューシングバル
ブ71に供給されたライン圧は、該バルブ71によって
一定値に減圧された上で、ライン101を介して第1,
第2ON−OFFバルブ61,62に供給される。ま
た、このレデューシングバルブ71からの一定圧は、ラ
イン105を介して上記レギュレータバルブ51の調圧
ポート51aにも供給される。その場合に、この一定圧
は、上記ライン105に備えられたリニアソレノイドバ
ルブ69により例えばエンジン負荷等に応じて調整さ
れ、したがって、レギュレータバルブ51によってライ
ン圧がエンジン負荷等に応じて調整されることになる。
【0036】上記レデューシングバルブ71から第1,
第2ON−OFFバルブ61,62に供給された一定圧
は、これら各バルブ61,62がOFFのときにソレノ
イド圧として下流側に出力される。すなわち、第1ON
−OFFバルブ61がOFFのときには、そのソレノイ
ド圧が、ライン103(第1ソレノイド圧供給ライン)か
ら第3シフトバルブ58を介して第1シフトバルブ56
または第2シフトバルブ57の一端(右端)の制御ポート
56a又は57aにパイロット圧として供給され、これ
らシフトバルブ56又は57のバルブスプールを図にお
ける左側に付勢する。また、第2ON−OFFバルブ6
2がOFFのときには、そのソレノイド圧がライン10
4(第2ソレノイド圧供給ライン)を介してロックアップ
シフトバルブ76の一端(左端)の制御ポート76aに供
給され、該シフトバルブ76のバルブスプールを図にお
ける右側に付勢する。
【0037】一方、上記メインライン100からマニュ
アルバルブ52に供給されるライン圧は、D,S,Lの各
レンジでは共通の前進ライン106に、Rレンジでは後
退ライン107にそれぞれ導入される。上記前進ライン
106は3つのライン111,112,113に分岐さ
れ、そのうち、第1のライン111は第1デューティバ
ルブ66に導かれて、該バルブ66に制御元圧としてラ
イン圧を供給する。また、第2のライン112は第1シ
フトバルブ56にライン圧を供給し、さらに、第3のラ
イン113は第2シフトバルブ57にライン圧を供給す
る。そして、この第3のライン113は、第2シフトバ
ルブ57のスプールが図における左側に位置するときに
ライン114に連通して、第3デューティバルブ68に
制御元圧としてライン圧を供給する。
【0038】また、以上のようにして上流側から制御元
圧が供給される第1〜第3デューティバルブ66〜68
のうち、第1デューティバルブ66の下流側は、ロック
アップシフトバルブ76に導かれ、該シフトバルブ76
のバルブスプールが図における右側に位置するときに、
オリフィス73が設けられたフォワードクラッチライン
121を介してフォワードクラッチ41の油圧室に連通
する。尚、このフォワードクラッチライン121から分
岐された分岐ライン122は第1シフトバルブ56に接
続されている。さらに、第2デューティバルブ67の下
流側ライン125は、分岐ライン124を有しており、
この分岐ライン124は第1シフトバルブ56に導か
れ、上記下流側ライン125は第2シフトバルブ57に
導かれている。また、さらに、第3デューティバルブ6
8の下流側は2−4ブレーキ44のアプライ室44aに
導かれている。
【0039】一方、上記マニュアルバルブ52によりR
レンジでライン圧が導入される後退ライン107は第2
シフトバルブ57に導かれ、ライン圧を該第2シフトバ
ルブ57に供給する。なお、この後退ライン107は、
ライン127を介してレギュレータバルブ51の増圧ポ
ート51bにもライン圧を導き、Rレンジでライン圧を
前進レンジの場合より全般的に高い値に調整させるよう
になっている。また、上記ライン127から分岐した分
岐ライン128は、第2シフトバルブ57の他の一端
(左端)の制御ポート57bにパイロット圧として供給さ
れ、該第2シフトバルブ57のスプールを図における右
側に付勢する。
【0040】さらに、この油圧制御回路50には、以上
の構成に加えて、図1に示すロックアップクラッチ26
の作動状態を切り換え得るロックアップシフトバルブ7
6が備えられている。このロックアップシフトバルブ7
6には、レギュレータバルブ51からリリーフバルブ7
7を介してトルクコンバータ圧を供給するトルクコンバ
ータライン131が接続されると共に、上記第1デュー
ティバルブ66の下流側ライン123が接続されてお
り、また、制御ポート76aには、上述のように第2O
N−OFFバルブ62からパイロット圧を導くライン1
04(第2ソレノイド圧供給ライン)が接続されている。
【0041】そして、第2ON−OFFバルブ62がO
FFされて制御ポート76aにパイロット圧が供給され
ている場合には、このパイロット圧によってロックアッ
プシフトバルブ76のスプールが図における右側に位置
することにより、上記トルクコンバータライン131が
ロックアップクラッチ26のフロント室26aに至るラ
イン134に連通されて、トルクコンバータ圧が該フロ
ント室26aに導入され、ロックアップクラッチ26が
解放された状態とされている。尚、ロックアップクラッ
チ26のフロント室26aおよびリヤ室26bの出口側は
共に、オイルクーラ78を有するリリースライン132
に接続されている。また、この場合、ロックアップシフ
トバルブ76を介して第1デューティバルブ66の下流
側ライン123とフォワードクラッチライン121とが
連通し、このフォワードクラッチライン121からフォ
ワードクラッチ41の油圧室に、第1デューティバルブ
66で生成された油圧を供給することができる。
【0042】一方、上記第2ON−OFFバルブ62が
ONされている場合には、第2ソレノイド圧供給ライン
104が(つまり、ロックアップシフトバルブ76の制
御ポート76aが)ドレーンされ、ロックアップシフトバ
ルブ76のバルブスプールが図における左側に位置する
ことにより、上記トルクコンバータライン131がロッ
クアップクラッチ26のリヤ室26bに至るライン13
5に連通されてトルクコンバータ圧が該リヤ室26bに
導入され、これにより、該ロックアップクラッチ26が
締結される。このとき、フロント室26aに至るライン
134はロックアップシフトバルブ76を介して第1デ
ューティバルブ66の下流側ライン123に連通してお
り、該第1デューティバルブ66によってフロント室2
6aの作動圧が調整可能となり、ロックアップクラッチ
26の作動をち密に制御して動力伝達効率を効果的に高
めることができるようになる。
【0043】また、上記ロックアップシフトバルブ76
と第1シフトバルブ56との間にはライン140が設け
られており、該ライン140の一端(ロックアップシフ
トバルブ76側の端部)は、ロックアップシフトバルブ
76のバルブスプールが図における左側に位置する場
合、つまり、第1デューティバルブ66がロックアップ
クラッチ26の制御回路に接続されている場合に、ロッ
クアップシフトバルブ76を介してフォワードクラッチ
ライン121に連通する。一方、上記ライン140の他
端(第1シフトバルブ56側の端部)は、第1シフトバル
ブ56のバルブスプールが図における左側に位置する場
合には、該第1シフトバルブ56を介して前進ライン1
06の分岐ライン112に連通し、上記バルブスプール
が図における右側に位置する場合には、該第1シフトバ
ルブ56のドレーンポート56dに連通するようになっ
ている。
【0044】尚、上記第1シフトバルブ56にはライン
141(アキュムレータライン)を介してアキュムレータ
72が接続されるとともに、フォワードクラッチライン
121の途中部から分岐された分岐ライン122が接続
されている。そして、上記ライン141は、第1シフト
バルブ56が図における右側に位置する場合にはメイン
ライン100に連通してアキュムレータ72への蓄圧が
行なわれ、上記第1シフトバルブ56が左側に位置する
場合には上記ライン122に連通して、アキュムレータ
72に蓄えられた作動油をフォワードクラッチ41側に
供給することができる。すなわち、アキュムレータ72
への蓄圧と該アキュムレータ72からの圧力供給とが、
上記第1シフトバルブ56のバルブスプールの位置の切
り換えによって行なわれる。
【0045】また、第1シフトバルブ56には、ライン
115(サーボリリースライン)を介して2−4ブレーキ
44のリリース室44bが接続されている。このリリー
ス室44bと上記フォワードクラッチ41の油圧室と
は、第1シフトバルブ56が図における右側に位置する
場合に、フォワードクラッチライン121,ライン12
2,第1シフトバルブ56及びライン115を介して連
通し、同時に油圧の給排が行なわれる。更に、第1シフ
トバルブ56と第2シフトバルブ57とはライン124
及びライン125を介して相互に接続されており、第1
シフトバルブ56に接続されたリリース室44bとライ
ン117(3−4クラッチライン)を介して第2シフトバ
ルブ57に接続された3−4クラッチ43の油圧室と
は、第1シフトバルブ56および第2シフトバルブ57
が共に図における左側に位置する場合に、ライン11
5,第1シフトバルブ56,ライン124,ライン125,
第2シフトバルブ57及びライン117を介して連通
し、同時に油圧の給排が行なわれる。上記2−4ブレー
キ44のリリース室44bとフォワードクラッチ41と
が連通する状態と、上記リリース室44bと3−4クラ
ッチ43の油圧室とが連通する状態とは、上記第1シフ
トバルブ56のバルブスプールの位置の切り換えによっ
て切り換えられる。
【0046】上記第2シフトバルブ57には、ライン1
16(リバースクラッチライン)を介してリバースクラッ
チ42が、ライン118(ローリバースブレーキライン)
を介してローリバースブレーキ45がそれぞれ接続され
るとともに、ライン114,第3デューティバルブ68
及びライン119(サーボアプライライン)を介して2−
4ブレーキ44のアプライ室44aが接続されている。
このアプライ室44aには上記第3デューティバルブ6
8から直接に油圧が供給される。そして、第2シフトバ
ルブ57のバルブスプールが図における左側に位置して
いる場合には、ライン117とライン125とを介して
3−4クラッチ43と第2デューティバルブ67とが接
続される。また、ライン113とライン114とが連通
して第3デューティバルブ68にライン圧が供給され
る。この場合、リバースクラッチ42及びローリバース
ブレーキ45は、第2シフトバルブ57のドレーンポー
ト57d及び57eにそれぞれ接続される。
【0047】一方、第2シフトバルブ57のバルブスプ
ールが図における右側に位置している場合には、リバー
スクラッチ42の油圧室と後退ライン107とが連通
し、ライン118とライン125とを介してローリバー
スブレーキ45と第2デューティバルブ67とが接続さ
れる。この場合、3−4クラッチ43及び第3デューテ
ィバルブ68は(換言すれば、2−4ブレーキ44のア
プライ室44aは)、第2シフトバルブ57のドレーンポ
ート57d及び57eにそれぞれ連通する。このように、
上記第2シフトバルブ57は、3−4クラッチ43とリ
バースクラッチ42の各油圧室の油圧をそれぞれ排出さ
せる共通の排圧ポート57dと、ローリバースブレーキ
45と2−4ブレーキ44(アプライ室44a)の各油圧
室の油圧をそれぞれ排出させる共通の排圧ポート57e
とを備えている。これにより、各摩擦要素42〜45毎
に排圧ポートを設ける場合に比べて第2シフトバルブ5
7の長さを短く設定することができる。
【0048】上記摩擦要素42〜45のうち、3−4ク
ラッチ43とローリバースブレーキ45,ローリバース
ブレーキ45と2−4ブレーキ44、および2−4ブレ
ーキ44とリバースクラッチ42は、上述のように、そ
れぞれ同時に締結された場合には、変速歯車機構30の
作動がロックされ所謂インタロックが生じるが、このイ
ンタロックは、単一のシフトバルブ(第2シフトバルブ
57)による油路(ライン)の切り換えによって回避され
るようになっている。すなわち、3−4クラッチ43ま
たは2−4ブレーキ44が締結されている場合(つま
り、第2シフトバルブ57のバルブスプールが図におけ
る左側に位置している場合)は、ローリバースブレーキ
45及びリバースクラッチ42は解放され、ローリバー
スブレーキ45またはリバースクラッチ42が締結され
ている場合(つまり、第2シフトバルブ57のバルブス
プールが図における右側に位置している場合)には、3
−4クラッチ43及び2−4ブレーキ44は解放され
る。このように、単一のシフトバルブ(第2シフトバル
ブ57)による油路の切り換えによって、比較的簡単な
構成で、複数(4つ)の摩擦要素42〜45についてのイ
ンタロックを確実に回避することができる。
【0049】また、上記のように、3−4クラッチ43
及びローリバースブレーキ45には、第2シフトバルブ
57を介して第2デューティバルブ67が接続されてお
り、この第2デューティバルブ67によって3−4クラ
ッチ43,ローリバースブレーキ45の油圧室に油圧が
供給される。この第2デューティバルブ67と3−4ク
ラッチ43またはローリバースブレーキ45との接続状
態は、上記第2シフトバルブ57のバルブスプールの位
置を切り換えることによって選択的に切り換えられる。
これにより、同時に締結されることのない二つの摩擦要
素(3−4クラッチ43及びローリバースブレーキ45)
に対する油圧供給手段(第2デューティバルブ67)を簡
単な構成で共用させることができ、油圧制御回路50の
構造の簡素化に寄与することができる。
【0050】上記第2シフトバルブ57の一端(図にお
ける左端)側の制御ポート57bには、マニュアルバルブ
52で油圧(制御元圧)の供給が制御されるライン127
及びその分岐ライン128を介して制御元圧が導かれる
一方、他端(図における右端)側の制御ポート57aに
は、第3シフトバルブ58によって接続状態が切り換え
られるライン143とライン103とを介して第1ON
−OFFバルブ61のソレノイド圧が導かれる。そし
て、上記左右の制御ポート57a,57bのいずれかにパ
イロット圧が供給されることにより、第2シフトバルブ
57のバルブスプールが移動させられ、油路の切り換え
が行なわれる。
【0051】上記第3シフトバルブ58の上流側には、
上記ライン103の他に、レデューシングバルブ71か
らの一定圧を供給するライン101からそれぞれ分岐し
たライン146,147が接続されるとともに、第2デ
ューティバルブ67の下流側のライン125に連通する
ライン148が接続されている。一方、第3シフトバル
ブ58の下流側には、上記ライン143の他に、第1シ
フトバルブ56の制御ポート56aにつなぎ込まれたラ
イン144、および第1シフトバルブ56の上流側に接
続されたライン124に連通するライン149が接続さ
れ、更に、第3シフトバルブ58の制御ポート58aに
は、第2シフトバルブ57から3−4クラッチ43へ至
るライン117(3−4クラッチライン)から分岐された
分岐ライン145が接続されている。
【0052】従って、第3シフトバルブ58のバルブス
プールが図における右側に位置する場合には、ライン1
47とライン144とが連通し、第1シフトバルブ56
の制御ポート56aにレデューシングバルブ71からの
一定圧がパイロット圧として導かれ、第1シフトバルブ
56のバルブスプールが図における左側にシフトされ
る。このとき、ライン103とライン143とを介し
て、第2シフトバルブ57の右側の制御ポート57aに
第1ON−OFFバルブ61が接続され、該第1ON−
OFFバルブ61のソレノイド圧がパイロット圧として
供給可能になる。上記第2シフトバルブ57の右側制御
ポート57aにパイロット圧が供給されると、該第2シ
フトバルブ57のバルブスプールが図における左側にシ
フトされ、ライン117とライン125を介して、3−
4クラッチ43と第2デューティバルブ67とが接続さ
れる。
【0053】そして、この第2デューティバルブ67か
ら3−4クラッチ43の油圧室に油圧が供給され、その
圧力値が予め設定された所定値以上に高められると、ラ
イン145を介してライン117に連通する第3シフト
バルブ58の制御ポート58aの圧力が高まり、該第3
シフトバルブ58のバルブスプールは図における左側に
移動させられる。その結果、今度はライン146とライ
ン143とが連通し、第2シフトバルブ57の右側制御
ポート57aには、レデューシングバルブ71からの一
定圧がパイロット圧として導かれる。このとき、ライン
103とライン144とを介して、第1シフトバルブ5
6の制御ポート56aに第1ON−OFFバルブ61が
接続され、該第1ON−OFFバルブ61のソレノイド
圧がパイロット圧として供給可能になる。
【0054】上述のように、3−4クラッチ43は、前
進レンジの3速以上の高速側の変速段で締結され2速以
下の低速側の変速段で解放される摩擦要素であり、第1
シフトバルブ56は、フォワードクラッチ41が締結さ
れる前進レンジの3速以下とフォワードクラッチ41が
解放される4速との間で(換言すれば、高速側の変速領
域で)切り換えられるシフトバルブである。また、第2
シフトバルブ57は、そのバルブスプールのシフト位置
の切り換えに応じてローリバースブレーキ45の締結/
解放が切り換えられる。つまり、前進レンジの2速とエ
ンジンブレーキが得られる1速との間で(換言すれば、
低速側の変速領域で)切り換えられるシフトバルブであ
る。従って、第1シフトバルブ56と第2シフトバルブ
57とが同時に使用されることはない。尚、上記3−4
クラッチ43,第1シフトバルブ56,第2シフトバル
ブ57,第3シフトバルブ58および第1ON−OFF
バルブ61が、それぞれ、本願の請求項3に記載した、
高速側の変速段と低速側の変速段とで作動状態が切り換
えられる摩擦要素,第1切換バルブ,第2切換バルブ,
通路切換バルブおよびソレノイドバルブに相当してい
る。
【0055】このように、本実施例では、3速以上の高
速側の変速段と2速以下の低速側の変速段とで作動状態
が切り換えられる摩擦要素(3−4クラッチ43)の作動
状態に応じて、第1ON−OFFバルブ61を選択的に
第1シフトバルブ56の制御ポート56aまたは第2シ
フトバルブ57の制御ポート57aに接続し、当該シフ
トバルブ56または57の切換タイミングに応じてソレ
ノイド圧を供給することができ、一つのソレノイドバル
ブ(ON−OFFバルブ)61のソレノイド圧を上記両シ
フトバルブ56,57の切り換えに選択的に利用するこ
とができる。換言すれば、シフトバルブ56,57にソ
レノイド圧を供給し得る第1ON−OFFバルブ61
を、同時に使用されることのない二つのシフトバルブ5
6,57について共用化することができ、油圧制御回路
50の構造の簡素化を図ることができる。
【0056】また、第1シフトバルブ56にはライン1
15を介して2−4ブレーキ44のリリース室44bが
接続されており、第1シフトバルブ56のバルブスプー
ルが図における左側に位置する場合には、上記ライン1
15とライン124とが連通する。該ライン124は、
第2デューティバルブ67から第2シフトバルブ57に
至るライン125の途中部から分岐しており、本実施例
では、この分岐部と第2デューティバルブ67との間
に、流路を絞るオリフィス75が介設されている。更
に、上記ライン124は、ライン125の途中部から第
3シフトバルブ58に至るライン149に接続されてい
る。尚、上記オリフィス75が、本願の請求項1および
請求項2に記載した絞り手段に相当している。
【0057】そして、前進レンジの1速から2速への変
速時(つまり、2−4ブレーキ44のアプライ室44aに
油圧が供給されてリリース室44b内の作動油が排出さ
れる際)には、3−4クラッチ43の油圧室には油圧が
供給されておらず、第3シフトバルブ58の制御ポート
58aにはパイロット圧が導かれていないので、該第3
シフトバルブ58のバルブスプールは図における右側に
位置しており、この状態では、ライン149とライン1
48とが連通している。従って、この場合には、リリー
ス室44bからライン115及びライン124を介して
排出された作動油は、オリフィス75を介してではな
く、ライン149及びライン148を介して排出され得
る。つまり、このライン149及びライン148が、オ
リフィス75を迂回するバイパス油路を形成しており、
このバイパス油路149,148を介してリリース室4
4b内の作動油を迅速に排出することにより、該リリー
ス室44b内に残圧が残って変速タイミングが遅れるこ
とを有効に防止できる。一方、上記リリース室44bに
油圧が供給される際(2速から3速への変速時)には、作
動油はオリフィス75を介して供給されるので、リリー
ス室44bと3−4クラッチ43の油圧室とをほぼ同じ
圧力に保ちながら油圧を供給することができ、良好な変
速フィーリングが得られる。
【0058】上記バイパス油路149,148を通過さ
せるための第3シフトバルブ58のバルブスプールのシ
フト位置の切り換えは、1速から2速への変速に関係し
ない3−4クラッチ43の油圧室の圧力によって行なわ
れる。すなわち、本実施例では、上記3−4クラッチ4
3の油圧室の圧力が、3−4クラッチ43のピストンス
トローク圧よりも僅かに高い所定圧力以上の圧力となっ
た時点で第3シフトバルブ58のバルブスプールの位置
が切り換えられ、オリフィス75を迂回するバイパス油
路149,148が閉じられるようになっている。これ
により、2速から3速への変速時、3−4クラッチ43
の油圧室の圧力がそのピストンストローク圧に達して
(つまり、3−4クラッチ43のピストンのストローク
動作が完了して)、3−4クラッチ43と2−4ブレー
キ44との掛け替えが開始された後は、上記オリフィス
75を介して油圧を供給することにより、両摩擦要素4
3,44の掛け替えをスムースに行わせ、良好な変速フ
ィーリングを得ることができる。
【0059】また、1速から2速への変速時には、でき
るだけ早いタイミングで2−4ブレーキ44のリリース
室44b側の作動油を排出させることができる。このと
き、2−4ブレーキ44のリリース室44bに一時的に
残った残圧が、ライン124及び125,第2シフトバ
ルブ57並びにライン145を介して回り込み、第3シ
フトバルブ58の制御ポート58aに作用することが考
えられるが、バイパス油路149,148を形成するた
めの第3シフトバルブ58の切換ポイントは上記のよう
に設定されているので、かかる残圧の影響で第3シフト
バルブ58のバルブスプールのシフト位置が余りにも低
圧で切り換えられることはない。すなわち、3−4クラ
ッチ43と2−4ブレーキ44との掛け替え時には、3
−4クラッチ43の油圧室と2−4ブレーキ44のリリ
ース室44bとが同圧に保たれるように油圧を供給する
ことができ、かつ、1速から2速への変速時には、リリ
ース室44b側の残圧の影響で第3シフトバルブ58が
不用意に切り換えられてバイパス油路149,148が
閉じられることを防止するように、最適の切換タイミン
グを設定することができるのである。
【0060】ところで、当該自動変速機10には、図3
に示すように、油圧制御回路50における上記第1,第
2ON−OFFバルブ61,62、第1〜第3デューテ
ィバルブ66〜68及びリニアソレノイドバルブ69を
制御するコントローラ150が備えられていると共に、
このコントローラ150には、当該車両の車速やエンジ
ン負荷としてのスロットル開度、或は運転者によって選
択されたシフト位置 (レンジ)等を検出するセンサ15
1,152,153からの信号が入力され、これらのセン
サ151,152,153からの信号が示す当該車両ない
しエンジンの運転状態等に応じて上記各バルブ61,6
2,66〜69の作動を制御するようになっている。
【0061】次に、この第1,第2ON−OFFバルブ
61,62及び第1〜第3デューティバルブ66〜68
の作動状態と各摩擦要素41〜45の油圧室に対する作
動圧の給排状態の関係を変速段ごとに説明する。ここ
で、第1,第2ON−OFFバルブ61,62及び第1〜
第3デューティバルブ66〜68の各変速段ごとの作動
状態の組合せ (ソレノイドパターン)は、以下の各表
(表2〜表6)に示すように設定されている。尚、表2は
変速がアップシフトの場合,表3は変速がダウンシフト
の場合,表4はダウンシフトでLレンジの1速の場合を
それぞれ示しており、また、表5はマニュアルバルブ5
2によるレンジ選択に対応したソレノイドパターンを、
更に、表6は3速および4速においてロックアップ制御
を行う場合を、それぞれ示している。
【0062】また、これら各表中において、○印は、各
ソレノイドバルブ61,62及び66〜68について、
通電(ON)状態であって、上流側の油路を遮断して下流
側の油路をドレンさせた状態を示し、×印は、各ソレノ
イドバルブ61,62及び66〜68について、非通電
(OFF)状態であって、上流側の油路を下流側の油路に
連通させて元圧をそのまま下流側に供給する状態を示
す。また、●印は、デューティバルブ66〜68につい
て、元圧をデューティ制御により所定値に調整した上で
下流側に供給する状態を示す。更に、各表の左欄におい
て、FWDはフォワードクラッチ41を、S/A及びS
/Rは2−4ブレーキ44のアプライ室44a及びリリ
ース室44bを、3−4は3−4クラッチ43を、L/
Rはローリバースブレーキ45を、REVはリバースク
ラッチ42を、また、T/CF及びT/CRはロックア
ップクラッチ26のフロント室26a及びリヤ室26b
を、それぞれ表している。
【0063】また、更に、各表の左欄において、第1,
第2ON−OFFはそれぞれ第1,第2ON−OFFバ
ルブ61,62を、第1,第2,第3デューティはそれぞ
れ第1,第2,第3デューティバルブ66,67,68を、
それぞれ表している。また、更に、各表の上欄におい
て、矢印(→,←など)は、変速の方向あるいはマニュア
ル操作によるレンジ変更の方向を示している。例えば、
3→4であれば3速から4速への変速を示し、N←Dで
あればDレンジからNレンジへのチェンジ操作を示して
いる。尚、表6の上欄におけるL/Uはロックアップ制
御状態を表している。また、更に、各表中において、P
Lはライン圧を、Paccはアキュムレータ圧を、Ptcは
トルクコンバータ圧をそれぞれ表し、また、P1,P2,P
3はそれぞれ第1,第2,第3デューティバルブ66,6
7,68によるデューティ制御圧を表している。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】まず、一速(Lレンジの1速を除く)におい
ては、表2及び表3並びに図4に示すように、第2ON
−OFFバルブ62が非通電(OFF)状態とされてそ
の上,下流を連通させており、該第2ON−OFFバル
ブ62からのパイロット圧が第2ソレノイド圧供給ライ
ン104を介してロックアップシフトバルブ76の制御
ポート76aに供給される結果、該バルブ76のスプー
ルが図における右側に位置することとなり、第1デュー
ティバルブ66の下流側ライン123とフォワードクラ
ッチライン121とが連通する。また、第1デューティ
バルブ66は非通電(OFF)状態とされてその上,下
流を連通させており、ライン111からの制御元圧がそ
のままフォワードクラッチ41の油圧室に供給され、該
クラッチ41が締結される。ここで、上記フォワードク
ラッチ圧の供給開始時には、オリフィス73を介して緩
やかに油圧が供給されることになる。更に、このとき、
ロックアップクラッチ26のフロント室26aに至るラ
イン134とトルクコバータライン131とが連通する
ので、上記フロント室26aにはトルクコンバータ圧が
導入され、ロックアップクラッチ26は解放された状態
とされている。
【0070】また、この1速では、第2デューティバル
ブ67が通電(ON)状態とされ、ライン125,11
7及びライン145を介して第3シフトバルブ58の制
御ポート58aをドレーンさせており、該第3シフトバ
ルブ58のバルブスプールを図における右側に位置させ
ることにより、ライン144とライン147とが連通
し、第1シフトバルブ56の制御ポート56aにレデュ
ーシングバルブ71からの一定圧が供給される結果、第
1シフトバルブ56のバルブスプールが図における左側
に位置することとなる。これにより、上記フォワードク
ラッチライン121から分岐された分岐ライン122が
アキュムレータ72に通じるライン141に連通する。
したがって、N−D操作時等においてフォワードクラッ
チ41が締結される場合には、このアキュムレータ72
の作用によって該クラッチ41が緩やかに締結され、上
記オリフィス73の作用と相まってN−D操作時等にお
けるショックが低減されることになる。
【0071】更に、この1速では、第1ON−OFFバ
ルブ61が非通電(OFF)状態とされてその上,下流
側を連通させており、ライン103及びライン143を
介して第2シフトバルブ57の右側制御ポート57aに
パイロット圧が供給されることにより、上記第2シフト
バルブ57のスプールは図における左側に位置してい
る。このとき、前進ライン106と第3デューティバル
ブ68への供給ライン114とが連通することにより、
第3デューティバルブ68にライン圧が供給されるが、
第3デューティバルブ68は、通電(ON)されてドレー
ン状態にあり、2−4ブレーキ44のアプライ室44a
に油圧が供給されることはない。
【0072】次に、2速の状態では、表2及び表3並び
に図5に示すように、第3デューティバルブ68がOF
Fされてその上,下流側を連通させ、前進ライン106,
ライン114及びサーボアプライライン119を介し
て、2−4ブレーキ44のアプライ室44aにライン圧
がそのまま供給される。尚、他のデューティバルブ6
6,67及びON−OFFバルブ61,62については、
その作動状態は1速の場合と同じである。これにより、
上記フォワードクラッチ41に加えて、2−4ブレーキ
44が締結される。
【0073】1速と2速の中間パターン(1→2)とし
てソレノイドパターンが示されるように(表2参照)、
1速から2速への変速(1−2変速)時には、上記第3
デューティバルブ68が、サーボアプライ圧をデューテ
ィ制御により生成して供給し、2−4ブレーキ44の締
結動作を円滑に行わせる。そして、この第3デューティ
バルブ68は、2速への変速後にはデューティ制御を停
止し、ライン圧をそのままサーボアプライ圧として供給
するように動作する。尚、この場合、第3シフトバルブ
58のバルブスプールが図における右側に位置している
ので、ライン149とライン148とが連通し、ライン
125に介設されたオリフィス75を迂回するバイパス
油路が形成され、1速から2速への変速時には、前述の
ように、上記オリフィス75を介してではなく、このバ
イパス油路149,148を介してリリース室44b側の
作動油が排出される。これにより、リリース室44b側
に残圧が残って変速タイミングが遅れることが防止され
る。上記バイパス油路149,148を形成させるため
の第3シフトバルブ58の切換タイミングは前述の通り
である。また、2速から1速へのダウンシフト時におけ
るソレノイドパターンは、上記アップシフト(1−2変
速)の場合と同様である。
【0074】更に、表2において2速と3速の中間パタ
ーン(2→3)としてソレノイドパターンが示されるよ
うに、2速から3速への変速(2−3変速)時には、第2
デューティバルブ67が、メインライン100から供給
されているライン圧を元圧として作動圧を生成する。こ
の作動圧はライン125及び124を介して第1シフト
バルブ56に導かれると共に、ライン125を介して第
2シフトバルブ57に導かれる。これらライン124及
びライン125は、第1シフトバルブ56および第2シ
フトバルブ57のスプールが共に図における左側に位置
することにより、それぞれ2−4ブレーキ44のリリー
ス室44bに通じるサーボリリースライン115及び3
−4クラッチ43の油圧室に通じる3−4クラッチライ
ン117に連通する。したがって、上記第2デューティ
バルブ67で生成される作動圧が2−4ブレーキ44の
リリース室44b及び3−4クラッチ43の油圧室にそ
れぞれサーボリリース圧及び3−4クラッチ圧として供
給され、その結果、2速の状態に対して、2−4ブレー
キ44が解放される一方、3−4クラッチ43が締結さ
れることになる。
【0075】ここで、この2−3変速時には、上記第2
デューティバルブ67がデューティ制御によりサーボリ
リース圧及び3−4クラッチ圧を生成すると共に、2速
の状態で2−4ブレーキ44のアプライ室44aにライ
ン圧を供給していた第3デューティバルブ68もサーボ
アプライ圧をデューティ制御で調整することにより、2
−4ブレーキ44の解放動作と3−4クラッチ43の締
結動作がより適切なタイミングで行われ、2−3変速時
の変速ショックの低減が図られている。また、このと
き、上記のように、リリース室44bと3−4クラッチ
43の油圧室とは連通しているので、第2デューティバ
ルブ67からの油圧は、オリフィス75を介して供給タ
イミングが調節されながら、リリース室44bと3−4
クラッチ43の油圧室に同時に導かれ、これら両室をほ
ぼ同じ圧力に保ちながら油圧を供給できるようになって
いる。
【0076】尚、この2−3変速時、2速状態では、第
3シフトバルブ58のバルブスプールは図における右側
に位置しており、オリフィス75を迂回するバイパス油
路149,148が形成されているが、前述のように、
3−4クラッチ43の圧力が高まり、3−4クラッチラ
イン117の圧力が当該クラッチ43のストローク圧よ
りも僅かに高い圧力となると、第3シフトバルブ58の
バルブスプールのシフト位置が切り換えられ、上記ライ
ン148とライン149との連通が遮断されて上記バイ
パス油路149,148は閉じられる。また、これとと
もに、ライン103についての接続関係が切り換えら
れ、このライン103はライン144と連通し、第1O
N−OFFバルブ61からのパイロット圧は、第1シフ
トバルブ56の制御ポート56aに導かれる一方、第2
シフトバルブ57の右側制御ポート57aには、レデュ
ーシングバルブ71からの一定圧力が導かれるようにな
る。
【0077】そして、3速への変速終了後には、表2及
び表3並びに図6に示すように、上記第2デューティバ
ルブ67および第3デューティバルブ68は共にデュー
ティ制御を停止し、3−4クラッチ圧,サーボリリース
圧およびサーボアプライ圧としては、ライン圧がそのま
ま供給されるように動作する。尚、3速から2速へのダ
ウンシフト変速(3−2変速)時におけるソレノイドパタ
ーンは、アップシフト(2−3変速)の場合と同様であ
る。
【0078】さらに、4速では、表2及び表3並びに図
7に示すように、第1デューティバルブ66が通電(O
N)され、下流側のフォワードクラッチライン121を
ドレン状態とする。また、第1ON−OFFバルブ61
が通電(ON)されて第1シフトバルブ56の制御ポー
ト56aをドレンさせ、スプールを右側に移動させる。
これにより、フォワードクラッチライン121とサーボ
リリースライン115とがライン122を介して連通さ
れた状態とされる。従って、ロックアップシフトバルブ
76の切換状態に応じて、ライン123を介して第1デ
ューティバルブ66から、もしくはライン140を介し
て第1シフトバルブ56のドレーンポート56dから、
フォワードクラッチ圧とサーボリリース圧とが同時に排
出されることになる。つまり、3速の状態に対して、フ
ォワードクラッチ41が解放されると共に、2−4ブレ
ーキ44が再び締結されることになる。
【0079】なお、表2において3速と4速の中間パタ
ーン(3→4)としてソレノイドパターンが示されるよ
うに、3速から4速への変速(3−4変速)時には、第3
デューティバルブ68がデューティ制御により作動圧を
調整することによってサーボアプライ圧の値が適切に制
御され、3−4変速時の変速ショックが抑制されるよう
になっている。また、表3に示されるように、4速から
3速への変速(4−3変速)については、当該エンジンが
パワーオフの状態での4−3変速時においてフォワード
クラッチ41が締結される場合には、4速の状態で上記
アキュムレータ72にライン圧が蓄圧されていると共
に、第1ON−OFFバルブ61がOFFとなって第1
シフトバルブ56のスプールが左側に移動することによ
り、まず、このアキュムレータ72からフォワードクラ
ッチ41の油圧室に作動油が供給される。これにより、
該油圧室ないしフォワードクラッチライン121に作動
油が充満するまでの時間が短縮されて、フォワードクラ
ッチ41が速やかに締結されることになる。
【0080】一方、Lレンジの1速では、表4及び図8
に示すように、Dレンジ等の1速と同様に、第2ON−
OFFバルブ62がロックアップシフトバルブ76の制
御ポート76aにソレノイド圧を供給し、該ロックアッ
プシフトバルブ76のバルブスプールを図における右側
に移動させる。そして、第1デューティバルブ66が前
進ライン106及びライン111からのライン圧をフォ
ワードクラッチ圧としてフォワードクラッチライン12
1に供給することにより、フォワードクラッチ41が締
結される。また、これと同時に、第1ON−OFFバル
ブ61が通電(ON)されてドレーン状態となり、第2
シフトバルブ57のバルブスプールが図における右側に
移動させられる。これにより、ライン144とライン1
47とが連通して第1シフトバルブ56の制御ポート5
6aにレデューシングバルブ71からの一定圧が導か
れ、第1シフトバルブ56のバルブスプールが図におけ
る左側に移動する。
【0081】そして、第2デューティバルブ67がメイ
ンライン100からのライン圧をライン125とライン
124に供給する。これにより、上記第2デューティバ
ルブ67からのライン圧が、サーボリリースライン11
5とローリバースブレーキライン118に供給される。
したがって、このLレンジの1速では、フォワードクラ
ッチ41に加えてローリバースブレーキ45が締結さ
れ、エンジンブレーキが作動する1速が得られることに
なる。
【0082】さらに、Rレンジでは、表5及び図9に示
すように、上記Lレンジの1速と同様に、第2デューテ
ィバルブ67がメインライン100からのライン圧をラ
イン125とライン124に供給することにより、上記
第2デューティバルブ67からのライン圧が、サーボリ
リースライン115とローリバースブレーキライン11
8に供給され、ローリバースブレーキ45が締結され
る。また、マニュアルバルブ52から後退ライン107
にライン圧が導入され、これが上記第2シフトバルブ5
7を通ってリバースクラッチライン116に供給される
ことにより、リバースクラッチ42の油圧室に作動圧が
供給される。したがって、Rレンジでは、ローリバース
ブレーキ45とリバースクラッチ42とが締結されるこ
とになる。なお、Rレンジでは前進ライン106にライ
ン圧が導入されないから、第1,第2デューティバルブ
66,67の作動状態に拘らず、フォワードクラッチ4
1や3−4クラッチ43に作動圧が供給されることはな
い。
【0083】次に、表6,図10及び図11を参照しな
がら、3速あるいは4速においてロックアップ制御を行
う場合について説明する。まず、3速においてロックア
ップ非制御状態からロックアップ制御が行なわれる場合
には、第2ON−OFFバルブ62が通電(ON)されて
その下流側が(つまり、ロックアップシフトバルブ76
の制御ポート76aが)ドレーンされ、図10に示すよう
に、ロックアップシフトバルブ76のバルブスプールが
図における左側に移動する。これにより、フォワードク
ラッチライン121と元圧供給ライン140、第1デュ
ーティバルブ66の下流側ライン123とロックアップ
クラッチ26のフロント室26a、およびトルクコンバ
ータライン131とロックアップクラッチ26のリヤ室
26bが、それぞれ連通する。また、これと同時に、第
1デューティバルブ66がその下流側をドレーンするよ
うに制御される。
【0084】従って、上記リヤ室26bにトルクコンバ
ータ圧が供給される結果、ロックアップクラッチ26が
締結され、ロックアップ制御が行なわれる。また、この
場合、フォワードクラッチライン121には、ライン1
12及び元圧供給ライン140を介して、前進ライン1
06からのライン圧が供給され、このライン圧によって
フォワードクラッチ41の締結状態が維持される。この
ように、元圧供給ライン140を設けたことにより、第
1デューティバルブ66がロックアップ制御回路に接続
されている場合でも、上記元圧供給ライン140を介し
てフォワードクラッチライン121にフォワードクラッ
チ41の締結圧を供給することができる。尚、ロックア
ップクラッチ26の制御状態と非制御状態との間の移行
過程(3⇔3L/U)においては、この移行が極力スム
ースに行なわれるように、第1デューティバルブ66が
デューティ制御される。
【0085】また、4速においてロックアップ非制御状
態からロックアップ制御が行なわれる場合には、3速に
おける場合と同様に、第2ON−OFFバルブ62が通
電(ON)されてその下流側が(つまり、ロックアップシ
フトバルブ76の制御ポート76aが)ドレーンされ、図
11に示すように、ロックアップシフトバルブ76のバ
ルブスプールが図における左側に移動する。これによ
り、フォワードクラッチライン121と元圧供給ライン
140、第1デューティバルブ66の下流側ライン12
3とロックアップクラッチ26のフロント室26a、お
よびトルクコンバータライン131とロックアップクラ
ッチ26のリヤ室26bが、それぞれ連通する。また、
これと同時に、第1デューティバルブ66がその下流側
をドレーンするように制御される。尚、この4速では、
第1シフトバルブ56のバルブスプールは図における右
側に位置しているので、元圧供給ライン140はこのシ
フトバルブ56のドレーンポート56dと連通してい
る。
【0086】従って、上記リヤ室26bにトルクコンバ
ータ圧が供給される結果、ロックアップクラッチ26が
締結され、ロックアップ制御が行なわれる。また、この
場合、フォワードクラッチライン121は、元圧供給ラ
イン140を介して第1シフトバルブ56のドレーンポ
ート56dに連通し、このドレーンポート56dから元圧
供給ライン140が排圧されることにより、フォワード
クラッチ41が解放される。このように、第1デューテ
ィバルブ66がロックアップ制御回路に接続されている
場合でも、上記第1シフトバルブ56のバルブスプール
の位置が切り換えられることにより、支障なくフォワー
ドクラッチ41を解放して4速への変速を行うことがで
きる。この場合にも、ロックアップクラッチ26の制御
状態と非制御状態との間の移行過程(4⇔4L/U)に
おいては、この移行が極力スムースに行なわれるよう
に、第1デューティバルブ66がデューティ制御され
る。
【0087】尚、3−4変速時、この変速前にロックア
ップ制御が行われている場合には、第1デューティバル
ブ66のロックアップ制御回路側への接続状態が維持で
きるように、フォワードクラッチ41の油圧室は、元圧
供給ライン140を第1シフトバルブ56のドレーンポ
ート56dから排圧することによってドレーンされるよ
うになっている。また、3−4変速時、この変速前にロ
ックアップ制御が行われていない場合には、変速ショッ
クを低減できるように、フォワードクラッチ41の油圧
室は第1デューティバルブ66でドレーンされる。更
に、4−3変速時には、変速ショックのより確実な低減
を図ることができるように、ロックアップ非制御状態で
(つまり、フォワードクラッチ41の油圧室へ供給をさ
れる作動圧を第1デューティバルブ66で精度良く制御
しながら)変速が行われるようになっている。
【0088】以上、説明したように、本実施例によれ
ば、通路切換バルブとしての第3シフトバルブ58を設
けたので、1速から2速への変速時(つまり、上記2−
4ブレーキ44のアプライ室44aに油圧が供給されて
リリース室44bの作動油が排出される際)には上記オ
リフィス75をバイパスさせることができ、リリース室
44b側に残圧が残り変速タイミングが遅れることを有
効に防止することができる。また、リリース室44bに
油圧が供給される場合には、オリフィス75を介して供
給が行なわれるので、その絞り作用によりリリース室4
4bへの油圧の供給タイミングを良好に調節することが
できる。この場合において、上記第3シフトバルブ58
は、1速,2速以外の他の変速段(3速,4速)で締結
される3−4クラッチ43(つまり、1速から2速への
変速に関係しない摩擦要素)の油圧が所定値以下のとき
に上記オリフィス75をバイパスさせる位置に切り換わ
るように設定されており、1速から2速への変速に直接
に関係する摩擦要素である2−4ブレーキのアプライ室
への供給油圧をパイロット信号圧に用いた従来の油圧制
御装置のように、アプライ室への油圧供給手段の開度に
よって1速から2速への変速時にオリフィスをバイパス
させることができなくなることはない。すなわち、2−
4ブレーキ44のリリース室44bへの油圧の給排を行
うに際して、所定の油圧供給時(2−3変速時)には油
圧ライン125に設けたオリフィス75を通過させる一
方、所定の油圧排出時(1−2変速時)には上記オリフ
ィス75をバイパスさせることにより、油圧および作動
油の給排タイミングを適正に維持してスムースな変速を
行わせ、良好な変速フィーリングを得ることができるの
である。
【0089】また、本実施例によれば、上記第3シフト
バルブ58は、3−4クラッチ43の油圧室の圧力が当
該3−4クラッチ43のピストンストローク圧よりも僅
かに高い圧力を切換ポイントとし、それよりも低い圧力
で上記オリフィス75をバイパスさせる位置に切り換わ
るように設定されているので、3−4クラッチ43の油
圧がピストンストローク圧よりも僅かに高い圧力に至っ
た後は(つまり、当該3−4クラッチ43のピストンの
ストローク動作が完了し、2−4ブレーキ44と3−4
クラッチ43の掛け替えが開始される時点では)、上記
オリフィス75を介してリリース室44b側の油圧の給
排が行なわれるようになる。従って、3−4クラッチ4
3の油圧室と上記リリース室44bへの油圧の供給が同
時に行なわれる変速時(2−3変速時)には、2−4ブ
レーキ44の解放と3−4クラッチ43の締結(つま
り、両摩擦要素の掛け替え)が開始された時点では、上
記オリフィス75を介して油圧が供給され、上記リリー
ス室44bと3−4クラッチ43の油圧室とをほぼ同じ
圧力に保ちながら油圧が供給されるように設定すること
ができる。この結果、上記両摩擦要素44,43の掛け
替えをスムースに行わせ、良好な変速フィーリングを得
ることができる。また、オリフィス75をバイパスさせ
る切換ポイントを3−4クラッチ43の油圧がピストン
ストローク圧よりも僅かに高くなるポイントに設定する
ことにより、上記2−4ブレーキ44のアプライ室44
aに油圧が供給され、リリース室44bの作動油が押し
出されて排出される際(1速から2速への変速時)に、で
きるだけ早いタイミングでリリース室44b側の作動油
を排出することができ、かつ、リリース室44b側の残
圧の影響で第3シフトバルブ58が切り換えられること
を防止できるように設定することが可能となり、最適の
切換タイミングを得ることができるようになる。
【0090】更に、本実施例によれば、上記第1または
第2シフトバルブ56又は57をそれぞれ切り換えるソ
レノイド圧を供給する第1ON−OFFバルブ61の接
続に関し、上記第3シフトバルブ58を利用して、3−
4クラッチ43の作動圧に応じて(つまり、高速域であ
るか又は低速域であるかに応じて)選択的に上記第1ま
たは第2のシフトバルブ56又は57に接続することが
できる。すなわち、高速側の変速段と低速側の変速段と
で作動状態が切り換えられる摩擦要素である3−4クラ
ッチ43の作動状態に応じて、上記第1ON−OFFバ
ルブ61を選択的に第1シフトバルブ56または第2シ
フトバルブ57に接続し、当該シフトバルブ56又は5
7の切換タイミングに応じてソレノイド圧を供給するこ
とができ、一つのソレノイドバルブ61(第1ON−O
FFバルブ)のソレノイド圧を上記両シフトバルブ5
6,57の切り換えに選択的に利用することができる。
この結果、同時に使用されることのない上記両シフトバ
ルブ56,57にソレノイド圧を供給するソレノイドバ
ルブ61を共用化することができ、油圧制御回路50の
構造を簡素化するとともに、省スペース化およびコスト
の低減を図ることができる。そして、この場合、上記第
3シフトバルブ58に、オリフィス75のバイパスの切
り換え以外の他の作用を兼用して行わせることにより、
油圧制御装置50の構造の簡素化により一層寄与するこ
とができる。
【0091】尚、本発明は、上記の実施態様に限定され
るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、
例えば構成部品やその組合せあるいは配列等に関し、種
々に変更できるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る自動変速機の機械的構
成を示すスケルトン図である。
【図2】 上記自動変速機の油圧制御回路の全体構成を
示す回路図である。
【図3】 上記油圧制御回路の各ソレノイドバルブに対
する制御システム図である。
【図4】 1速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図
である。
【図5】 2速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図
である。
【図6】 3速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図
である。
【図7】 4速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大図
である。
【図8】 Lレンジ1速の状態を示す油圧制御回路の要
部拡大図である。
【図9】 後退速の状態を示す油圧制御回路の要部拡大
図である。
【図10】 3速でのロックアップ制御状態を示す油圧
制御回路の要部拡大図である。
【図11】 4速でのロックアップ制御状態を示す油圧
制御回路の要部拡大図である。
【図12】 従来例に係るリリース圧排出弁を備えた油
圧制御装置の要部を示す回路図である。
【図13】 従来例に係る油圧制御装置の2−3変速時
における油圧特性を示すグラフである。
【図14】 従来例に係る油圧制御装置の1−2変速時
におけるサーボアプライ圧特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10…自動変速機 43…3−4クラッチ(他の摩擦要素) 44…2−4ブレーキ(摩擦要素) 44a…2−4ブレーキのアプライ室(締結室) 44b…2−4ブレーキのリリース室(解放室) 50…油圧制御回路(油圧制御装置) 56…第1シフトバルブ(第1切換バルブ) 57…第2シフトバルブ(第2切換バルブ) 58…第3シフトバルブ(通路切換バルブ) 61…第1ON−OFFバルブ(ソレノイドバルブ) 75…オリフィス(絞り手段) 148,149…油圧ライン(バイパス油路)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢 研司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−81945(JP,A) 特開 昭61−45156(JP,A) 実開 平3−17365(JP,U) 実開 昭63−195148(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 締結室と解放室とを備えた摩擦要素を有
    し、これら両室が共に排圧された状態に対応する第1変
    速段と、上記締結室のみに油圧が供給された状態に対応
    する第2変速段とを有する自動変速機の油圧制御装置に
    おいて、 上記解放室に対する油圧通路に絞り手段を設けるととも
    に、上記第1変速段から第2変速段への変速時に上記絞
    り手段をバイパスさせる通路切換バルブを設け、該通路
    切換バルブを、上記第1,第2以外の他の変速段で締結
    される他の摩擦要素の油圧が所定値以下のときに上記絞
    り手段をバイパスさせる位置に切り換わるように設定し
    たことを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 上記通路切換バルブは、上記他の摩擦要
    素の油圧が当該他の摩擦要素のピストンストローク圧よ
    りも僅かに高い圧力を切換ポイントとし、それよりも低
    い圧力で上記絞り手段をバイパスさせる位置に切り換わ
    るように設定されていることを特徴とする請求項1記載
    の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 【請求項3】 上記自動変速機は高速側の変速段と低速
    側の変速段とで作動状態が切り換えられる摩擦要素を備
    えるとともに、高速側の変速領域で切り換えられる第1
    切換バルブと、低速側の変速領域で切り換えられる第2
    切換バルブと、これら第1または第2切換バルブをそれ
    ぞれ切り換えるソレノイド圧を供給するソレノイドバル
    ブとを備えており、上記通路切換バルブは、上記摩擦要
    素の作動圧に応じて、上記ソレノイドバルブを選択的に
    上記第1または第2の切換バルブに接続することを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の油
    圧制御装置。
  4. 【請求項4】 上記自動変速機は前進レンジで4段の変
    速段を有するタイプで、上記摩擦要素は上記締結室のみ
    に油圧が作用した場合にだけ締結される前進レンジの2
    速または4速用の2−4ブレーキ、上記他の摩擦要素は
    前進レンジの3速または4速で締結され2速以下の変速
    段で解放されるべき3−4クラッチであり、かつ、上記
    第1および第2変速段はそれぞれ前進レンジの1速およ
    び2速であることを特徴とする請求項1〜請求項3のい
    ずれか一に記載の自動変速機の油圧制御装置。
JP04726295A 1995-03-07 1995-03-07 自動変速機の油圧制御装置 Expired - Fee Related JP3496322B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04726295A JP3496322B2 (ja) 1995-03-07 1995-03-07 自動変速機の油圧制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04726295A JP3496322B2 (ja) 1995-03-07 1995-03-07 自動変速機の油圧制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08240262A JPH08240262A (ja) 1996-09-17
JP3496322B2 true JP3496322B2 (ja) 2004-02-09

Family

ID=12770386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04726295A Expired - Fee Related JP3496322B2 (ja) 1995-03-07 1995-03-07 自動変速機の油圧制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3496322B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08240262A (ja) 1996-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3244209B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3653839B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3478438B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3186760B2 (ja) 自動変速機の油圧制御回路
KR960000630B1 (ko) 자동변속기의 제어장치
JP3496322B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3496323B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3496290B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3496291B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
KR100310912B1 (ko) 자동변속기의제어장치
JP3552303B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JPH06229463A (ja) 自動変速機のバルブボディ取付構造
JP2981911B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP3890617B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP2942873B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP3128098B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3273990B2 (ja) 自動変速機のライン圧制御装置
JPH05203022A (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3528228B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP3115303B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP3561979B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JPH08105536A (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3302780B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP2512714B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JPH0791531A (ja) 自動変速機の油圧制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071128

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081128

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091128

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091128

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101128

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees