JP3496023B2 - 液体低率含有物質の加熱方法 - Google Patents

液体低率含有物質の加熱方法

Info

Publication number
JP3496023B2
JP3496023B2 JP2000046469A JP2000046469A JP3496023B2 JP 3496023 B2 JP3496023 B2 JP 3496023B2 JP 2000046469 A JP2000046469 A JP 2000046469A JP 2000046469 A JP2000046469 A JP 2000046469A JP 3496023 B2 JP3496023 B2 JP 3496023B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heating
substance
temperature
liquid
microwave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000046469A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001054730A (ja
Inventor
俊一 八木
Original Assignee
エリー株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by エリー株式会社 filed Critical エリー株式会社
Priority to JP2000046469A priority Critical patent/JP3496023B2/ja
Publication of JP2001054730A publication Critical patent/JP2001054730A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3496023B2 publication Critical patent/JP3496023B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Drying Of Solid Materials (AREA)
  • Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は減圧下においてマイ
クロ波、あるいはマイクロ波と遠赤外線を用いて液体低
率含有物質に加熱を行うことで、物質に酸化を起こさせ
ずに物質に含まれる液体の除去および物質の昇温を同時
に実現する技術で、その属する技術分野は、薬剤の微量
残留溶剤の除去、食品の軽焙煎、食品・薬品・工業材料
の保存のための低率含水率加工、ファインセラミクスパ
ウダー・医療用ゴム材料・エンジニアリングプラスチッ
クスペレット等の成型前材料の超低率含水率加工、食品
・薬品材料の乾熱殺菌等を行うための液体低率含有物質
の加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液体低率含有物質を加熱する技術として
は、熱風や直火を用いて物質を加熱するか、大気圧下で
マイクロ波や遠赤外線を用いて物質を加熱するか、減圧
下でヒートプレート等の熱源装置に物質を搭載して加熱
する等の技術があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】熱風や直火を用いて加
熱する方法では物質の酸化が激しく起こり物質成分を損
傷する。 大気圧下でマイクロ波や遠赤外線を用いて加
熱する方法では、高温をかけたのでは物質成分に損傷を
あたえるおそれがあるために低めの加熱温度にコントロ
ールされるのが一般的で、液体の除去が十分できず、ま
た大気中であるために物質に酸化が生じていた。
【0004】また、減圧下でヒートプレート等の熱源に
物質を搭載して加熱する方法では、物質に酸化は与えな
いものの、基本的に被加熱物質の熱伝導を利用する加熱
方法であるので、熱量が被加熱物に十分与えられずまた
均一加熱ができないことのために、物質から液体を十分
除去したり十分な加熱を行うことは困難であった。
【0005】一方、従来、液体低率含有物質に、ほぼ無
酸素状態となるレベルの減圧下でマイクロ波加熱を行う
ことは、マイクロ波の放電が発生するために不可能であ
るとされていたのであるが、これが可能であれば、物質
に酸化を与えずに十分な均一加熱が可能となり、液体除
去と乾熱加熱を同時に極めて効率的に行うことができ
る。
【0006】
【問題を解決するための手段】液体低率含有物質から液
体を除去し、該物質に所定のレベルの加熱を行う際に最
も問題となるのは、該物質の酸化による劣化であるの
で、該物質をほぼ無酸素状態となる減圧下におき、液体
除去のための加熱と該物質に必要とされる加熱を同時に
行う。
【0007】 加熱手段としては、該物質自らが効率的
に発熱できる熱源であるマイクロ波を使用して効率的に
かつ均質に加熱が行われるようにする。この際、間題と
なるのは、マイクロ波の減圧下における放電であり、一
般的には水分等のマイクロ波の損失係数の高い物質が十
分存在しない限りはマイクロ波による放電が発生するの
で加熱は困難であるとのことが言われてきたのである
が、放電させずにマイクロ波加熱を継続する方法を発見
することができたので、これをもってほぼ無酸素状態の
減圧下においてもマイクロ波による放電を発生させずに
マイクロ波加熱を継続して、液体低率含有物質に効率的
に加熱を行い目的を達成することができた。
【0008】すなわち、減圧槽への夜体低率含有物質の
搭載量とマイクロ波の出力とのバランスを考慮すること
でマイクロ波による効率的な加熱を実現した。
【0009】また、低率とはいえども物質が10%内外
の水等の液体を含んでいる場合には、物質表面の酸化を
防止するために、物質の表面に出てきた液体を加熱によ
って速やかに蒸発せしめ除去する必要があるのである
が、マイクロ波の出力を大きくすることは放電の関係と
物質を過加熱で損傷する可能性があるために有効ではな
いので、別の加熱手段として減圧下でも効率的に物質の
表面に低温加熱を行い得る遠赤外線加熱を行うことが有
効である。
【0010】また、この遠赤外線加熱とマイクロ波加熱
の併用は、物質の温度をほぼ無酸素状態の減圧下におい
て乾熱で100℃以上等の高温まで到達させるためには
極めて有効であることを実験により確認している。
【0011】一方、マイクロ波あるいはマイクロ波と遠
赤外線を用いた加熱におけるマイクロ波の出力は、マイ
クロ波による放電を回避するために液体低率含有物質の
搭載量とマイクロは出力とのバランスにおいて決定さ
れ、液体効率含有物質の乾燥等のプロセスと比較して相
対的に小さな設定とするので、加熱をより効率的に行う
ための補助手段として、減圧槽を外部から加熱して減圧
下における減圧槽内の気体温度を上昇させ液体低率含有
物質の温度を若干なりとも上昇せしめることが有効であ
る。
【0012】一方、物質の許容受容温度が制限されてい
る場合には、加熱方法に考案を加えない限りその許容受
容温度を越えない保証を得ることはできない。これを減
圧下における減圧槽内の気体の温度制限を行い、マイク
ロ波あるいはマイクロ波と遠赤外線の出力を調整するこ
とで可能とした。
【0013】さらに、減圧下においてマイクロ波、ある
いはマイクロ波と遠赤外線の加熱を停止した後に減圧度
の調整を停止して減圧度をさらに高めれば、物質に含ま
れる液体の沸点をさらに下げることで、液体を物質から
蒸発せしめることができ、物質の液体含有率を更に低下
せしめることができる。
【0014】また、大気圧への復圧工程において大気に
替えて液体窒素を投入することで、加熱された液体低率
含有物質の酸化を防止し同時に該液体低率含有物質の温
度を下げることで該液体低率含有物質の品質の低下を防
止することができる。
【0015】
【作用】まず液体低率含有物質を、減圧槽内部の気体雰
囲気がほぼ無酸素状態となる減圧度に調整された減圧下
に置き、加熱をしても物質に酸化が極力発生しないよう
にする。
【0016】次にマイクロ波による加熱を、マイクロ波
による放電が発生しないようにして効率的に行い、物質
に含まれる液体の除去と物質への所定の目的の加熱を同
時に行う。
【0017】またマイクロ波によって物質の表面に押し
出された液体を、物質の表面が酸化しないように速やか
に除去するためには、マイクロ波加熱と遠赤外線加熱を
併用することが極めて有効である。
【0018】さらに、マイクロ波、あるいはマイクロ波
と遠赤外線による加熱を終了した後に減圧度の調整を停
止しさらに減圧度を高めることで液体の沸点を下げれ
ば、物質の液体含有率をさらに低下せしめることができ
る。
【0019】 従来、減圧下においてマイクロ波の損失
係数の比較的低い物質のみが存在している場合は、マイ
クロ波による放電が発生するので効率的な加熱は困難で
あるとのことが言われてきた。そこで本発明者は放電の
発生するメカニズムをつぶさに観察し、その結果、マイ
クロ波が減圧槽内の物質に吸収される量が少なく、結果
減圧槽内部で余剰になったマイクロ波が増大してきた状
況下で放電が発生することを確認した。つまり、減圧槽
内部に存在する物質が吸収できる以上のマイクロ波が発
振されている時に、徐々に余剰のマイクロ波が増大して
放電を発生させるのである。
【0020】このことに着目すれば、減圧槽内部の液体
低率含有物質が吸収できる以上のマイクロ波を発振しな
ければ放電は発生せず、良好に液体低率含有物質を加熱
することができると言える。なぜならば、減圧槽内の液
体低率含有物質も一般的にはマイクロ波の損失係数を有
しているのであり、マイクロ波の高率な透過体あるいは
反射体でないかぎりはマイクロ波を吸収して発熱できる
からであるが、マイクロ波を吸収する率が低いので、マ
イクロ波の出力を物質のマイクロ波吸収量に相応して制
御し、物質に吸収されない余剰のマイクロ波の量が増大
しないようにする限りはマイクロ波による放電を誘発し
ないからである。
【0021】しかも水分等の液体をほとんど含まない物
質の場合、基本的に乾熱加熱を受けることになるので、
水が蒸発する際に物質を冷却する蒸発潜熱の発生が無
く、小さな出力のマイクロ波によっても十分に昇温せし
めることができる。
【0022】以上より、液体低率含有物質のマイクロ波
の損失係数を考慮すると同時に、減圧槽に搭載する液体
低率含有物質の量によって、その量に見合った大きすぎ
ないマイクロ波の出力を設定することが重要である。こ
うして、マイクロ波の出力設定に誤りがない限りは、ぽ
ぽ無酸素状態の減圧下といえども放電を発生させずに良
好に物質への加熱を行うことができるのである。
【0023】 一例として、アルコールを0.5%の率
で含有する薬品材料のパウダー5kgを減圧槽に搭載
し、減圧度を減圧度調整弁によって20torr近辺の
ほぼ無酸素状態に調整して2kwのマイクロ波を発振し
たところ、マイクロ波発振後30秒程度で放電を起こし
てしまい物質を加熱することができなかったためにアル
コールの含有率を下げることはできなかった。そこでマ
イクロ波出力を0.5kwに調整して加熱したところ、
放電を発生させずに継続的に加熱を行うことができた。
結果、物質のアルコール含有率を0.02%まで低下せ
しめることができた。かくのごときに、減圧を行ったと
しても加熱を良好に行わない限りは物質に低率に含まれ
る液体を除去することはできないのである。
【0024】一方、低率とはいえ10%内外の水分等の
液体を含有する液体低率含有物質を加熱する際には、小
さな出力のマイクロ波加熱と遠赤外線加熱を併用するこ
とが極めて有効である。なぜならば、ほぼ無酸素状態の
減圧下とはいえ、液体の沸点が低くなっておりすなわち
液体は極めて活性が高いので、マイクロ波によって物質
の表面に押し出された液体を速やかに除去しなければ、
物質表面にはげしく酸化が発生することになるからであ
る。この際に、比較的低温の遠赤外線を照射すれば物質
表面に損傷を与えずに速やかに表面の液体を蒸気化する
ことができるからである。この際、遠赤外線加熱のかわ
りにマイクロ波の出力を大きくすることは放電を誘発す
ることになり、同時に物質の表面にマイクロ波による過
加熱をかけてしまう危険性も高いので有効ではない。ま
た、遠赤外線加熱を併用すれば、遠赤外線が物質の表面
に与える熱量によって、物質に含まれる液体が蒸発する
際に発生する蒸発潜熱によって物質が冷却されることを
防ぐことができるので、物質を速やかに昇温せしめるこ
とができ効率的である。
【0025】また、当該技術のマイクロ波の出力は、マ
イクロ波による放電を回避するために液体低率含有物質
の搭載量とマイクロ波出力とのバランスにおいて決定さ
れ、液体高率含有物質の乾燥等のプロセスと比較して相
対的に小さな設定とするので、加熱を短期間でより効率
的に行うために、減圧槽を外部から加熱して減圧下にお
ける減圧槽内の気体温度を上昇させ、液体低率含有物質
の温度を若干なりとも上昇せしめることが有効である。
この際の減圧槽を外部から加温する方法としては、ラバ
ーヒーターを装着したり、減圧槽の外部に温水を循環さ
せたりするといった方法が考えられるが、複数の方法が
考えられるのでその方法には拘束されない。
【0026】一方、顆粒状薬品材料のように、その許容
受容温度が制限される物質を加熱する際には、該物質が
減圧槽内の気体に向かって放熱できる条件とその放熱熱
量を考慮した上でのマイクロ波あるいはマイクロ波と遠
赤外線の出力設定が重要である。まず該物質からの放熱
を可能にするためには、減圧下における該物質の温度が
減圧槽内の気体温度よりも高いことが必要であるので、
減圧槽内の気体温度を該物質の許容受容温度よりも所定
温度低く設定する。次にこの放熱熱量を考慮した上で、
マイクロ波あるいはマイクロ波と遠赤外線の出力を制限
すれば、一定温度からの該物質の急激な昇温はおさえる
ことができる。良質な加熱のためには加熱時間も重要な
要素であるので、許容され得るできるだけ大きなマイク
ロ波あるいはマイクロ波と遠赤外線の出力選定が重要で
ある。
【0027】また、さらに良質な加熱を行うためにはマ
イクロ波加熱の均一加熱性が重要である。均一加熱性を
得る方法としては、バッチ式の減圧槽においては回転治
具を用いて液体低率含有物質を減圧槽内で回転させ均一
加熱を図ることができ、連続投入方式の減圧槽において
はコンベア等を用いて液体低率含有物質を移動させるこ
とで均一加熱を図ることができ、あるいはバッチ式で固
定治具を使用する場合でもマイクロ波を対面投入して均
一加熱を図る等の複数の方法があるのでその方法には拘
束されない。
【0028】また、高率で液体を含有する物質の場合
に、まず減圧下でマイクロ波加熱、あるいはマイクロ波
加熱と遠赤外線加熱を用いて水等の液体を低率まで除去
し、同一工程内でその後に当該技術を用いて乾熱で加温
して物質の液体含有率を低下せしめたり所定の目的で物
質に温度上昇をさせることもできる。
【0029】さらに、加熱された液体低率含有物賀の品
質を低下させないための方法として、加熱が終了した後
の大気圧への復圧時に、大気に替えて液体窒素を減圧槽
に投入して復圧すれば、液体窒素は減圧槽に入ると同時
に不活性ガスである窒素ガス化するので、該液体低率含
有物質の酸化を防止でき、同時に該液体低率含有物質の
温度を下げることができるので、該液体低率含有物質の
熱による劣化も防止することができる。液化窒素の沸点
は−195.8℃と極めて低温な物質であり同時に気化
したばかりのガスも極めて低温であるので、酸化防止効
果と冷却効果が高い。また液体窒素が気化する際には7
00倍の体積となるので、滅圧槽への投入量はわずかで
済み、コストアップはわずかである。さらに、液体窒素
は無菌であるので、殊に当該方法で殺菌を行う際の復圧
に液体窒素を使用することは衛生的に極めて有利であ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】実施例1 エタノール3500ppm、ジクロメタン50ppmを
含有する顆粒薬からこれらの溶剤を除去する目的で、加
熱を行った。回転治具を装備した減圧槽の回転治具に顆
粒10kgを搭載し、減圧度を20torrに調整し、
マイクロ波出力を1kwとして加熱を行った。ファイバ
ー温度計で顆粒温度を測定していったところ、15分で
加熱限界温度に近い75℃に到達したので、温度をこれ
以上上昇させないためにマイクロ波出力を0.3kwに
低下させてさらに加熱を10分間継続した。加熱終了後
に減圧度調整弁を閉じて減圧度を2torrまで高めて
加熱工程を終了した。全工程所要時間はおよそ30分で
あった。結果分析により、エタノール残分は80pp
m、ジクロルメタンは0ppmという結果を得ることが
できた。これは、局方によりきびしく制限されている残
留有機溶剤量の規定を満たす結果であった。
【0031】実施例2 実施例1と同じく、エタノール3500ppm、ジクロ
ルメタン50ppmを含有する顆粒薬からこれらの残留
溶剤を除去する目的で加熱を行った。減圧槽の外部には
ラバーヒーターを装着し、減圧下における減圧槽内の気
体温度を40℃程度に設定した。減圧槽に顆粒薬10k
gを搭載し、減圧度を20torrに調整し、マイクロ
波出力を0.5kw、遠赤外線が顆粒薬の表面に与える
温度を50℃に設定した。加熱開始後20分間で加熱を
終了し、減圧度調整弁を閉じて減圧度を2torrまで
高めて工程を終了した。全工程所要時間は25分であっ
た。顆粒薬の中間にセットしたサーモラベルによれば、
到達再考加熱温度は0ppmであった。実施例1と比較
すれば、到達温度を低くすることができたことと加熱所
要時間を短縮できたことは、顆粒薬にとってより良質な
残留溶剤除去が行われ得たことを示す。
【0032】実施例3 荒茶の焙煎を行った。含水率6%の焙煎前の茶葉を固定
式治具を備えた減圧槽の固定式治具に搭載し、茶葉をは
さんでマイクロ波を対面で照射する方式として均一加熱
が行い得るようにし、減圧度を15torrに調整し、
マイクロ波加熱と遠赤外線加熱を行った。マイクロ波出
力を2kwとし、遠赤外線出力は茶葉表面に70℃程度
がかかるように調整した。ファイバー温度計で茶の温度
を測定していったところ、10分で90℃に到達したの
で、マイクロ波出力を0.75kwに低下させてさらに
加熱を10分間継続した。到達した温度が105℃とな
ったので、マイクロ波加熱と遠赤外線加熱を終了し、減
圧度調整弁を閉じて減圧度を2torrまで高めた後に
復圧して加熱を終了した。結果を分析したところ、含水
率は1.5%となっており、ビタミンCの量はわずかに
減少したものの、遊離アミノ酸やテアニンの量は増加し
ており、酸化もほとんど認められないので従来の製法よ
りも格段に優れた味と香りが認められた。しかも、荒茶
から色が変化していないので、従来の仕上げよりも茶色
のすぐれた煎茶を得ることができた。また、この際の復
圧工程で、大気に替えて液体窒素を滅圧槽に投入して復
圧したところ、茶葉の温度は75℃に低下した状態で取
り出すことができ、高温での取出しによる品質への悪影
響を避けることができた。
【0033】実施例4 焙煎前のコーヒー豆の含水率調整を行った。含水率6%
のコーヒー豆10kgと含水率12%のコーヒー豆10
kgを別々のトレーに搭載し、全量を減圧槽に搭載し
た。減圧度を30torrに調整し、マイクロ波出力を
2kw、遠赤外線出力をコーヒー豆の表面に90℃程度
がかかるように調整して加熱を行った。10分加熱後に
マイクロ波加熱と遠赤外線加熱を停止し、2torrに
向けて3分間減圧度を高めた後に、30torrまで復
圧し、再度マイクロ波加熱と遠赤外線加熱を開始した。
この際のマイクロ波出力は1kwとし、10分間の加熱
を行ってマイクロ波加熱と遠赤外線加熱を終了した。再
度、2torrに向けて5分間減圧度を高めた後に復圧
して加熱工程を終了した。、結果を分析したところ、全
量が含水率1.7〜2.0%の範囲内で乾燥されている
ことが判明した。従来含水率に大きな差がある場合は、
保存性も悪く焙煎によって味にばらつきが生ずるので好
ましくなかったのであるが、当実験によって得られた豆
は、当初の2種類の差の大きな含水率であったにもかか
わらず、極めて均質に培煎が行われた。さらに味が非常
にマイルドなっていることも報告された。
【0034】実施例5 水分調整と乾熱殺菌の例として粒状ブラックペパーの加
熱を連続投入式の減圧槽を用い実施した。ブラックペパ
ーは一定スピードでフッ素樹脂系のコンベアで移動させ
る方式で、減圧槽内には常に10kgのプラックペパー
が存在し、かつ各プラックペパー粒は投入から搬出まで
15分間マイクロ波と遠赤外線の照射を受ける設定とし
た。減圧度を30torrに設定し、マイクロ波の出力
5kwとし、遠赤外線がブラックペパーの表面に与える
最高温度を130℃とした。搬出直後のブラックペパー
の表面温度は150℃であった。含水率分析および菌分
析の結果は以下であった。
【表1】 含水率、殺菌状況とも良好であった。また、乾熱加熱の
ため成分破壊が少なくブラックペパーの風味は損なわれ
ていなかった。
【0035】実施例6 回転式冶貝を装備した減圧槽を用い、ファインセラミッ
クパウダーのジルコニアとアルミナの超低率含水率加工
を行った。ジルコニアを回転治具の上段に、アルミナを
回転治具の下段に各々5kgづつ搭載した。これらの初
期含水率はいずれも0.2%である。減圧度を25to
rrに調整し、マイクロ波出力を2kw、遠赤外線がこ
れらの表面に照射する温度を120℃とした。20分間
の加熱を行い、含水率を測定したところ、ジルコニアは
200ppm、アルミナは900ppmの含水準であっ
た。このレベルの含水準であれば、成型時の水分による
ピンホールの発生は回避される。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、マイクロ波の出力は、
マイクロ波による放電を回避するために液体低率含有物
質の搭載量とマイクロ波出力とのバランスにおいて決定
されるので、液体低率含有物質を減圧下におき、マイク
ロ波、あるいはマイクロ波と遠赤外線を用いて、液体低
率含有物質に酸化が極めて少なくかつ効率的な加熱を行
い、更なる液体低率含有物質を得ることができる。
【0037】このことで、例えぱ医薬品業界では、従来
大変な困難を伴っていた、成分抽出に使用したアルコー
ルや塩化メチレン等の徴量残分除去が極めて短時聞にか
つ高品質に行われることとなる。例えば、従来10時間
等の長時間をかけて処理していた微量残液分除去工程
を、実験によれば、当技術では30分程度に短縮しかつ
従来よりもはるかに酸化等の物質劣化の少ない医薬品材
料を得ることに成功している。
【0038】製茶業界では、従来専門職の勘に頼ってい
た加熱してお茶の味を向上せしめる荒茶の火入れ工程を
当技術に置き換えることができる。専門職の勘に頼るの
ではなく、精度の高い加熱を行うことができるのと同時
に、酸化の極めて少ない加熱を行うので茶の色も荒茶段
階から変化させないし、味も格段に向上させることがで
きる。また、比較的小さなマイクロ波出力しか使用しな
いので、小さな装置で大きな処理量を得ることもでき
る。
【0039】その他、含水率の調整を容易に行うことも
でき、その到達含水率は1%台まで容易に到達せしめる
ことができるので、物質の保存性を格段に向上させ、従
来のコストの高い冷蔵保存や冷凍保存を減少させること
ができ、ひいては省エネルギー化に供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 減圧度および物質温度の推移の例を示すチャ
ート(単数回で加熱を行う場合)である。図中、太い実
線はマイクロ波加熱、あるいはマイクロ波加熱および遠
赤外線加熱を実施している際の減圧度の推移を示す。破
線はそれらの加熱を停止した後の減圧度の推移を示す。
細い実線は物質の温度の推移を示す。減圧度a tor
rは、減圧槽内をほぼ無酸素状態に調整する減圧度で、
例えば15torrから60torr前後が考えられ、
減圧度が高ければ高いほど品質の高い物質が得られるこ
とが判明している。減圧度b torrは、液体の蒸発
により減圧度がb torrまでゆるんだことを示し、
液体含有率の高い物質ほどaとbとの距離が大きくな
る。時間tは、加熱を終了し、減圧度調整弁を閉じた
時点を示し、tは復圧を閲始する時問を示す。
【図2】 減圧度および物質温度の推移の例を示すチャ
ート(複数回の加熱を行う場合)である。
【図3】 物質の吸熱と放熱が起こるケース(マイクロ波
出力一定の場合)を示す特性図である。
【図4】 物質の吸熱と放熱が起こるケース(マイクロ波
出力変更の場合)を示す特性図である。
【図5】 物質の吸熱のみが起こるケースを示す特性図
である。

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧下においてマイクロ波を用いて液体
    低率含有物質を加熱する加熱方法であって、前記物質に
    含まれる液体の沸騰点を下げた状態でマイクロ波加熱を
    連続的にあるいは間歇的に行なう加熱工程で、マイクロ
    波による放電を回避するために、該液体低率含有物質
    減圧槽への搭載量の設定及び該物質のマイクロ波の損失
    係数に応じたマイクロ波出力の設定及び調整を行って加
    熱中にマイクロ波放電が起こらないように該物質を加熱
    することを特徴とする液体低率含有物質の加熱方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の加熱方法において、減圧槽を
    外部から加熱し減圧槽内の気体温度を上昇させてマイク
    ロ波による加熱効率をより高めた加熱を行うことを特徴
    とする液体低率含有物質の加熱方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の加熱方法において、液体低率
    含有物質から液体を除去すると同時に該物質の温度を所
    定温度まで高めるか、又は該物質の温度を所定温度に維
    持することを特徴とする請求項1又は2記載の液体低率
    含有物質の加熱方法。
  4. 【請求項4】 請求項1のマイクロ波による加熱の停止
    又は加熱終了後に減圧度を所定の減圧度まで高めて該物
    質に含まれる液体の沸騰点をさらに下げることで液体を
    物質から蒸発せしめ該物質の液体の含有率をさらに低下
    せしめることを特徴とする請求項1、2又は3の液体低
    率含有物質の加熱方法。
  5. 【請求項5】 請求項1の加熱方法において、液体低率
    含有物質の温度を該物質の許容受容温度以上に到達させ
    ないために、減圧下における減圧槽内の気体温度を常に
    該物質の許容受容温度よりも低くなるように維持し、槽
    内の雰囲気である気体温度が該物質の温度よりも高い場
    合には該物質が該気体から吸熱する状況とし、また槽内
    の雰囲気である気体温度が該物質の温度よりも低い場合
    には該物質が該気体に向かって放熱する状況とし、これ
    らの吸熱と放熱による吸熱熱量と放熱熱量を考慮した上
    でマイクロ波の出力を、該物質の温度が該物質の許容温
    度以上にならないような出力に制限したことを特徴とす
    る請求項1、2、3又は4記載の液体低率含有物質の加
    熱方法。
  6. 【請求項6】 減圧下においてマイクロ波と遠赤外線
    を用いて液体低率含有物質を加熱する加熱方法であっ
    て、前記物質に含まれる液体の沸騰点を下げた状態でマ
    イクロ波加熱と遠赤外線加熱を連続的にあるいは間歇的
    に行なう加熱工程で、マイクロ波による放電を回避する
    ために、該液体低率含有物質の減圧槽への搭載量の設定
    及び該物質のマイクロ波の損失係数に応じたマイクロ波
    出力の設定及び調整並びに遠赤外線加熱の設定及び調整
    を行って加熱中にマイクロ波放電が起こらないように該
    物質を加熱することを特徴とする液体低率含有物質の加
    熱方法。
  7. 【請求項7】 請求項6の加熱方法において、減圧槽内
    の気体温度を上昇させてマイクロ波と遠赤外線による加
    熱効率をより高めるために減圧槽を外部から加熱したこ
    とを特徴とする請求項6記載の液体低率含有物質の加熱
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項4の加熱方法において、液体低率
    含有物質から液体を除去すると同時に該物質の温度を所
    定温度まで高めるか、又は該物質の温度を所定温度に維
    持することを特徴とする請求項4記載の液体低率含有物
    質の加熱方法。
  9. 【請求項9】 請求項6のマイクロ波と遠赤外線による
    加熱の停止又は加熱終了後に、減圧度を所定の減圧度ま
    で高めて該物質に含まれる液体の沸騰点をさらに下げる
    ことで液体を該物質から蒸発せしめ該物質の液体の含有
    率をさらに低下せしめることを特徴とする請求項6、7
    又は8記載の液体低率含有物質の加熱方法。
  10. 【請求項10】 請求項6の加熱方法において、液体低
    率含有物質の温度を該物質の許容受容温度以上に到達さ
    せないために、減圧下における減圧槽内の気体温度を常
    に該物質の許容受容温度よりも低くなるように維持する
    ことで、槽内の気体温度が該物質の温度よりも高い場合
    には該物質が該気体から吸熱する状況とし、また槽内の
    気体温度が該物質の温度よりも低い場合には該物質が該
    気体に向かって放熱する状況とし、これらの吸熱と放熱
    による吸熱熱量と放熱熱量を考慮した上でマイクロ波と
    遠赤外線の出力を、該物質の温度が該物質の許容温度以
    上にならないような出力に制限して加熱することを特徴
    とする請求項6、7、8又は9記載の液体低率含有物質
    の加熱方法。
  11. 【請求項11】 請求項1または請求項6の加熱方法
    において、加熱が終了した後の大気圧への復圧工程で、
    大気に替えて液体窒素を減圧内に投入して復圧するこ
    とで、液体低率含有物質の復圧時の酸化を防止し同時に
    温度を低下させて品質の劣化を防止することを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10
    記載の液体低率含有物質の加熱方法。
  12. 【請求項12】 請求項11における液体窒素の投入方
    法であって、復圧工程の大気圧近傍の所定の圧力で液体
    窒素の投入を停止し、その大気圧近傍の所定の圧力で所
    定時間維持し、その後からは大気を投入して大気圧に復
    圧することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10又は11記載の液体低率含有物質
    の加熱方法。
  13. 【請求項13】 請求項11における液体窒素の投入方
    法であって、加熱された液体低率含有物質の温度をさら
    に低下させる必要のある場合、液体窒素を投入して一旦
    大気圧近傍の所定の圧力まで復圧し、その大気圧近傍の
    所定の圧力で所定時間維持し、次に所定圧力まで減圧
    し、再度液体窒素を投入して復庄するという工程を1回
    または複数回操り返して液体低率含有物質の温度を低下
    させることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、7、8、9、10、11又は12記載の液体低率含
    有物質の加熱方法。
JP2000046469A 1999-06-09 2000-02-23 液体低率含有物質の加熱方法 Expired - Fee Related JP3496023B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000046469A JP3496023B2 (ja) 1999-06-09 2000-02-23 液体低率含有物質の加熱方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-162063 1999-06-09
JP16206399 1999-06-09
JP2000046469A JP3496023B2 (ja) 1999-06-09 2000-02-23 液体低率含有物質の加熱方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001054730A JP2001054730A (ja) 2001-02-27
JP3496023B2 true JP3496023B2 (ja) 2004-02-09

Family

ID=26487985

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000046469A Expired - Fee Related JP3496023B2 (ja) 1999-06-09 2000-02-23 液体低率含有物質の加熱方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3496023B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006077655A1 (ja) * 2005-01-21 2006-07-27 Shunichi Yagi 物質の減圧下における乾燥または濃縮方法
JP5014320B2 (ja) * 2008-12-10 2012-08-29 有限会社 碧山園 杜仲葉緑色乾燥粉末
JPWO2013035832A1 (ja) * 2011-09-07 2015-03-23 有限会社 碧山園 杜仲葉の緑色乾燥品の製造方法
US11229095B2 (en) 2014-12-17 2022-01-18 Campbell Soup Company Electromagnetic wave food processing system and methods
CN110913700A (zh) * 2017-01-31 2020-03-24 维尔德航天食品有限公司 一种干燥蔬果的方法
JP6956966B2 (ja) * 2019-08-30 2021-11-02 マイクロ波化学株式会社 焙煎カカオ豆、および生カカオ豆の焙煎方法
JP2022042523A (ja) * 2020-09-03 2022-03-15 不二商事株式会社 乾燥方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001054730A (ja) 2001-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5039206B2 (ja) 食品小片の表面低温殺菌および表面滅菌のための方法
US9155133B2 (en) MVD method and device for drying and buffering organic moist products
JP3496023B2 (ja) 液体低率含有物質の加熱方法
JP7390690B2 (ja) 焙煎カカオ豆、および生カカオ豆の焙煎方法
RU2689694C1 (ru) Способ обработки зеленого чая
JPS60126039A (ja) 乾燥食品
Wardhani et al. Microwave vacuum drying on fruit: A review
JP2000198742A (ja) 乾燥薬草の製造方法及び製造装置並びに該製造方法によって得られる乾燥薬草。
JP3650925B2 (ja) 被乾燥物、被濃縮物、被解凍物、被焙煎物、被殺菌物の乾燥、濃縮、解凍、焙煎、殺菌方法とその装置
JPS58121753A (ja) 緑茶の製造方法
JP6771535B2 (ja) バルク食品製品の熱処理
JP2012090616A (ja) 電子レンジを利用した焙煎、煎り工程並びに攪拌加熱に関する装置
JP2002330699A (ja) コーヒー豆の非破砕焙煎法によるタンパク質の異化反応制御及びその酸化防止方法
JPH03274379A (ja) 常圧・低温マイクロ波乾燥法
AU2020103153A4 (en) Method for improving wood permeability
JPH07226328A (ja) フェライト磁石の乾燥方法
WO2013035832A1 (ja) 杜仲葉の緑色乾燥品の製造方法
KR101918043B1 (ko) 견과류 가공장치
JPH11346702A (ja) 生葉加工品の製造方法
JPH01206955A (ja) コーヒー豆の加工方法
ES2674435T3 (es) Método para el envejecimiento acelerado del arroz
JPS6021975Y2 (ja) 加圧連続式マイクロ波加熱装置
JPH06153868A (ja) 水産練り製品の製造方法
JP2003339329A (ja) 早炊き米の製造方法及びその装置
JPS5934311Y2 (ja) 加圧連続式マイクロ波加熱装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030819

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081128

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091128

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101128

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121128

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131128

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees