JP3492505B2 - 超音波モータ用ステータ及び超音波モータ - Google Patents
超音波モータ用ステータ及び超音波モータInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波モータ用ステ
ータ及び超音波モータに関するものである。
ータ及び超音波モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の超音波モータでは、図39に示す
ように、ステータ81は振動弾性体82と、振動弾性体
82に取付けられて振動波(進行波)を発生させるため
の圧電素子83とから構成される。環状の振動弾性体8
2の表面には所定間隔ごとに突起部82aが形成されて
いる。ロータ(図示せず)は突起部82aにて振動弾性
体82と接触する。従来、振動弾性体82の製造方法と
して、フライス盤による溝切加工や旋盤による研削加工
などによって突起部82aを形成する方法や、突起部8
2aを有する振動弾性体82を焼結や鍛造などによって
製造する方法が採られていた。これらの製造方法は、ど
れも製造に手間と時間がかかって非効率であるという問
題があった。
ように、ステータ81は振動弾性体82と、振動弾性体
82に取付けられて振動波(進行波)を発生させるため
の圧電素子83とから構成される。環状の振動弾性体8
2の表面には所定間隔ごとに突起部82aが形成されて
いる。ロータ(図示せず)は突起部82aにて振動弾性
体82と接触する。従来、振動弾性体82の製造方法と
して、フライス盤による溝切加工や旋盤による研削加工
などによって突起部82aを形成する方法や、突起部8
2aを有する振動弾性体82を焼結や鍛造などによって
製造する方法が採られていた。これらの製造方法は、ど
れも製造に手間と時間がかかって非効率であるという問
題があった。
【0003】例えば特開平8−298793号公報や特
開平8−214569号公報などに開示されたステータ
は、振動板(振動体)、振動板の外周部下面に接合した
ベースリング(リング状金属部材)、及びベースリング
の下面に接着した圧電素子(電気−機械エネルギー変換
素子)を備えている。振動板には、プレス加工により、
径方向に折り曲げられ垂直方向に延びたステータ接触部
としての複数の突起が形成されている。
開平8−214569号公報などに開示されたステータ
は、振動板(振動体)、振動板の外周部下面に接合した
ベースリング(リング状金属部材)、及びベースリング
の下面に接着した圧電素子(電気−機械エネルギー変換
素子)を備えている。振動板には、プレス加工により、
径方向に折り曲げられ垂直方向に延びたステータ接触部
としての複数の突起が形成されている。
【0004】特開平8−214569号公報に開示され
た例えば図40(a),(b)に示すステータ85で
は、弾性振動体(振動板)86は板材87の一部を図4
0(a)ではL字状に折り曲げることで突起86aを形
成し、図40(b)ではロータ88との接触面積を稼げ
るようにクランク状に折り曲げて突起86bを形成して
いる。振動板86の裏面には突起86a,86bと対応
する位置に環状のベースリング89と圧電素子90とが
ろう付けにより接合されている。このように板材87を
折り曲げ加工することにより突起86a,86bを形成
すれば、突起86a,86bを形成するための加工が簡
単で済み、製造工程が大幅に簡略化される。
た例えば図40(a),(b)に示すステータ85で
は、弾性振動体(振動板)86は板材87の一部を図4
0(a)ではL字状に折り曲げることで突起86aを形
成し、図40(b)ではロータ88との接触面積を稼げ
るようにクランク状に折り曲げて突起86bを形成して
いる。振動板86の裏面には突起86a,86bと対応
する位置に環状のベースリング89と圧電素子90とが
ろう付けにより接合されている。このように板材87を
折り曲げ加工することにより突起86a,86bを形成
すれば、突起86a,86bを形成するための加工が簡
単で済み、製造工程が大幅に簡略化される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、板材8
7をL字状やクランク状に折り曲げた構成では、板材8
7の厚み分しか振動伝達域が確保されないため、振動伝
達域が狭いことから効率よく突起86a,86bに振動
を伝達させることができ難かった。そのため、振動板8
6に必要な振動を発生させようとすると、振動板86と
圧電素子90の間に振動を増幅させるためのベースリン
グ88を介在させる必要があった。ベースリング88を
介在させることは、部品点数の増加と、各部品を接着剤
やろう付けによって接合させるための接合工程数の増加
というという問題を招くことになる。
7をL字状やクランク状に折り曲げた構成では、板材8
7の厚み分しか振動伝達域が確保されないため、振動伝
達域が狭いことから効率よく突起86a,86bに振動
を伝達させることができ難かった。そのため、振動板8
6に必要な振動を発生させようとすると、振動板86と
圧電素子90の間に振動を増幅させるためのベースリン
グ88を介在させる必要があった。ベースリング88を
介在させることは、部品点数の増加と、各部品を接着剤
やろう付けによって接合させるための接合工程数の増加
というという問題を招くことになる。
【0006】各部品を接合する工程数が増えると、接着
剤やろう付けの忘れによる振動遮断不良を招いたり、接
着剤やろう付けの接合不良による振動伝達のロスを引き
起こすという問題を招来する。
剤やろう付けの忘れによる振動遮断不良を招いたり、接
着剤やろう付けの接合不良による振動伝達のロスを引き
起こすという問題を招来する。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであって、その第1の目的は、1枚板を折曲
成形して形成した振動弾性体の突起への振動伝達域を広
く確保して、突起の可動体との接触面に必要な振幅の振
動波を発生させられるようにすることで、ベースリング
などの振動を伝達する助けとなる補助部材を無くすこと
ができる超音波モータ用ステータ及び超音波モータを提
供することにある。第2の目的は、圧電素子からの振動
を突起に効率良く伝達することにある。第3の目的は、
振動弾性体から可動体に伝達される駆動力を内外周でず
れ難くすることにある。第4の目的は、圧電素子からの
振動を無駄なく突起の可動体との接触面に伝達すること
にある。
されたものであって、その第1の目的は、1枚板を折曲
成形して形成した振動弾性体の突起への振動伝達域を広
く確保して、突起の可動体との接触面に必要な振幅の振
動波を発生させられるようにすることで、ベースリング
などの振動を伝達する助けとなる補助部材を無くすこと
ができる超音波モータ用ステータ及び超音波モータを提
供することにある。第2の目的は、圧電素子からの振動
を突起に効率良く伝達することにある。第3の目的は、
振動弾性体から可動体に伝達される駆動力を内外周でず
れ難くすることにある。第4の目的は、圧電素子からの
振動を無駄なく突起の可動体との接触面に伝達すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため請求項1に記載の発明では、超音波モータ用ステ
ータには、一枚の板材に形成された多数の延出部を該板
材の表面に接触するように折り曲げることで、可動体と
接触することになる多数の突起が列設されている振動弾
性体と、前記振動弾性体の裏面に固定された圧電素子と
が備えられている。
るため請求項1に記載の発明では、超音波モータ用ステ
ータには、一枚の板材に形成された多数の延出部を該板
材の表面に接触するように折り曲げることで、可動体と
接触することになる多数の突起が列設されている振動弾
性体と、前記振動弾性体の裏面に固定された圧電素子と
が備えられている。
【0009】第2の目的を達成するため請求項2に記載
の発明では、請求項1に記載の発明において、前記突起
は、前記延出部が前記板材の表面に全面で密着する状態
に折り曲げられて形成されている。
の発明では、請求項1に記載の発明において、前記突起
は、前記延出部が前記板材の表面に全面で密着する状態
に折り曲げられて形成されている。
【0010】第3の目的を達成するため請求項3に記載
の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明におい
て、前記振動弾性体は円環状を有し、前記突起は、その
外周側ほど幅広に形成されている。
の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明におい
て、前記振動弾性体は円環状を有し、前記突起は、その
外周側ほど幅広に形成されている。
【0011】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明において、前記突起は、隣接するもの同士の対
向する各側面がほぼ平行をなすように形成されている。
第4の目的を達成するため請求項5に記載の発明では、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明におい
て、前記圧電素子は円環状を有し、その内外径が前記突
起の内外径で挟まれた範囲内に位置するように、前記振
動弾性体に固定されている。
載の発明において、前記突起は、隣接するもの同士の対
向する各側面がほぼ平行をなすように形成されている。
第4の目的を達成するため請求項5に記載の発明では、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明におい
て、前記圧電素子は円環状を有し、その内外径が前記突
起の内外径で挟まれた範囲内に位置するように、前記振
動弾性体に固定されている。
【0012】請求項6に記載の発明では、超音波モータ
には、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のステ
ータが備えられている。 (作用)請求項1に記載の発明によれば、振動弾性体に
列設されている多数の突起は、一枚の板材に形成した多
数の延出部を板材の表面に接触するように折り曲げるこ
とで形成される。圧電素子から突起に振動が伝達される
ときの振動伝達域が十分広く確保される。従って、ベー
スリングなどの振動を増幅させるための部材を振動弾性
体と圧電素子との間に介在させず、振動弾性体の裏面に
圧電素子を直接固定した構成であっても、突起の可動体
との接触面には必要な振幅の振動波が発生する。
には、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のステ
ータが備えられている。 (作用)請求項1に記載の発明によれば、振動弾性体に
列設されている多数の突起は、一枚の板材に形成した多
数の延出部を板材の表面に接触するように折り曲げるこ
とで形成される。圧電素子から突起に振動が伝達される
ときの振動伝達域が十分広く確保される。従って、ベー
スリングなどの振動を増幅させるための部材を振動弾性
体と圧電素子との間に介在させず、振動弾性体の裏面に
圧電素子を直接固定した構成であっても、突起の可動体
との接触面には必要な振幅の振動波が発生する。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、突起は、
延出部が板材の表面に全面で密着状態に折り曲げられる
ことにより形成されるので、圧電素子からの振動が突起
に効率良く伝達される。
延出部が板材の表面に全面で密着状態に折り曲げられる
ことにより形成されるので、圧電素子からの振動が突起
に効率良く伝達される。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、突起は、
外周側が幅広に形成されているため、振動弾性体と可動
体との接触面積が外周側で広く確保される。その結果、
振動弾性体から可動体に伝達される駆動力が内外周でず
れ難い。
外周側が幅広に形成されているため、振動弾性体と可動
体との接触面積が外周側で広く確保される。その結果、
振動弾性体から可動体に伝達される駆動力が内外周でず
れ難い。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、突起は、
隣接するもの同士の対向する側面がほぼ平行をなすよう
に外周側が幅広であるため、振動弾性体から可動体に伝
達される駆動力が内外周で一層ずれ難い。
隣接するもの同士の対向する側面がほぼ平行をなすよう
に外周側が幅広であるため、振動弾性体から可動体に伝
達される駆動力が内外周で一層ずれ難い。
【0016】請求項5に記載の発明によれば、圧電素子
はその内外径が突起の内外径の間に挟まれた範囲内に位
置するように振動弾性体に固定されているので、圧電素
子からの振動が突起の可動体との接触面に無駄なく伝達
される。
はその内外径が突起の内外径の間に挟まれた範囲内に位
置するように振動弾性体に固定されているので、圧電素
子からの振動が突起の可動体との接触面に無駄なく伝達
される。
【0017】請求項6に記載の発明によれば、超音波モ
ータには、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の
ステータが備えられているため、請求項1〜請求項5の
いずれか一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
ータには、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の
ステータが備えられているため、請求項1〜請求項5の
いずれか一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明す
る。
具体化した第1実施形態を図1〜図7に従って説明す
る。
【0019】図7は超音波モータ1の断面を示し、ハウ
ジング2は基台3とカバー4とから構成されている。ハ
ウジング2内に嵌挿された回転軸5は1組のボールベア
リング6,7により回転可能に支持されている。ステー
タ8は、それぞれ環状を有する振動弾性体9、圧電素子
10および座板11が一体的に接合されることにより形
成されており、基台3の上面に座板11を介して固着さ
れている。振動弾性体9は、1枚の板材12から折曲加
工により形成されている。
ジング2は基台3とカバー4とから構成されている。ハ
ウジング2内に嵌挿された回転軸5は1組のボールベア
リング6,7により回転可能に支持されている。ステー
タ8は、それぞれ環状を有する振動弾性体9、圧電素子
10および座板11が一体的に接合されることにより形
成されており、基台3の上面に座板11を介して固着さ
れている。振動弾性体9は、1枚の板材12から折曲加
工により形成されている。
【0020】ステータ8の上方には可動体としての円盤
状のロータ13が配設されている。ロータ13は回転軸
5に対してスラスト方向に移動可能かつラジアル方向に
一体回転可能に嵌着されている。 ロータ13の外周縁
に肉厚に形成された円環体13aの下面にはライニング
材14が固着されている。ロータ13は振動弾性体9に
対し、ライニング材14の下面と、振動弾性体9の外周
縁表面(同図における上面)に櫛歯状に形成された突起
9aとが接触する状態で当接している。
状のロータ13が配設されている。ロータ13は回転軸
5に対してスラスト方向に移動可能かつラジアル方向に
一体回転可能に嵌着されている。 ロータ13の外周縁
に肉厚に形成された円環体13aの下面にはライニング
材14が固着されている。ロータ13は振動弾性体9に
対し、ライニング材14の下面と、振動弾性体9の外周
縁表面(同図における上面)に櫛歯状に形成された突起
9aとが接触する状態で当接している。
【0021】ワッシャ15およびカラー16により上方
への移動が規制された状態で回転軸5に嵌挿された加圧
プレート17と、ロータ13の上面に配設された防振ゴ
ム18との間に介装された円錐台形状の板バネ19によ
って、ロータ13は振動弾性体9に圧接するように下方
に付勢されている。
への移動が規制された状態で回転軸5に嵌挿された加圧
プレート17と、ロータ13の上面に配設された防振ゴ
ム18との間に介装された円錐台形状の板バネ19によ
って、ロータ13は振動弾性体9に圧接するように下方
に付勢されている。
【0022】圧電素子10は、進行波振動を発生させる
ための公知の方法で分極処理が施され、その分極された
各箇所の下面に電極板(図示しない)が2組の群をなし
て設けられる。この電極板群に90°位相差の高周波交
流電圧が印加されると、圧電素子9が振動する。そし
て、この振動は振動弾性体9の突起9aに伝わり、ロー
タ13と接触する各突起9aの上面に進行波振動が発生
する。この進行波振動によりロータ13がステータ8に
摺動して回転することで、超音波モータ1は駆動され
る。
ための公知の方法で分極処理が施され、その分極された
各箇所の下面に電極板(図示しない)が2組の群をなし
て設けられる。この電極板群に90°位相差の高周波交
流電圧が印加されると、圧電素子9が振動する。そし
て、この振動は振動弾性体9の突起9aに伝わり、ロー
タ13と接触する各突起9aの上面に進行波振動が発生
する。この進行波振動によりロータ13がステータ8に
摺動して回転することで、超音波モータ1は駆動され
る。
【0023】次に、ステータ8について詳しく説明す
る。図1はステータ8の一部切り欠き斜視図である。ス
テータ8は、振動弾性体9と圧電素子10を備えてい
る。振動弾性体9は円環状の鋼体(金属製)にて形成さ
れ、その外周縁表面には多数の突起9aが周方向に沿っ
て一定間隔に櫛歯状に列設されている。振動弾性体9
は、突起9aに相当する多数の延出部12aが外側に向
かって放射状に延びる略円環状の一枚の板材12(図4
参照)からなる。突起9aは、多数の延出部12aを内
側に折り曲げることにより形成され、各延出部12aは
折曲げたときの下面全体で板材12の表面に密着してい
る。突起9aは振動弾性体9の外周側ほど幅が広くな
り、平面視において台形形状を有しており、隣同士の互
いに対向する径方向の側面が平行となっている。振動弾
性体9の中心部には回転軸5が挿通される挿通孔9bが
形成されている。
る。図1はステータ8の一部切り欠き斜視図である。ス
テータ8は、振動弾性体9と圧電素子10を備えてい
る。振動弾性体9は円環状の鋼体(金属製)にて形成さ
れ、その外周縁表面には多数の突起9aが周方向に沿っ
て一定間隔に櫛歯状に列設されている。振動弾性体9
は、突起9aに相当する多数の延出部12aが外側に向
かって放射状に延びる略円環状の一枚の板材12(図4
参照)からなる。突起9aは、多数の延出部12aを内
側に折り曲げることにより形成され、各延出部12aは
折曲げたときの下面全体で板材12の表面に密着してい
る。突起9aは振動弾性体9の外周側ほど幅が広くな
り、平面視において台形形状を有しており、隣同士の互
いに対向する径方向の側面が平行となっている。振動弾
性体9の中心部には回転軸5が挿通される挿通孔9bが
形成されている。
【0024】図2に示すように、圧電素子10の内外径
は、振動弾性体9の内外径に対して、外径が小さく内径
が大きく形成されている。圧電素子10の径方向断面領
域Aが突起9aの径方断面領域Bの範囲内に配置されて
いる。
は、振動弾性体9の内外径に対して、外径が小さく内径
が大きく形成されている。圧電素子10の径方向断面領
域Aが突起9aの径方断面領域Bの範囲内に配置されて
いる。
【0025】次に、振動弾性体9の製造方法を説明す
る。図3に示すように、板材12を形成するために打抜
成形用の金型20を使用する。上型20aが下降するこ
とで下型20bにセットされた板材(原材)21が打抜
かれて板材12が形成される(図3(a),(b))。
板材12は、図4に示すように多数の延出部12aが外
側へ放射状に延びる略円環形状に打抜かれる。
る。図3に示すように、板材12を形成するために打抜
成形用の金型20を使用する。上型20aが下降するこ
とで下型20bにセットされた板材(原材)21が打抜
かれて板材12が形成される(図3(a),(b))。
板材12は、図4に示すように多数の延出部12aが外
側へ放射状に延びる略円環形状に打抜かれる。
【0026】次に図5に示すように、板材12を折曲加
工するために3種類の金型22,23,24を使用す
る。まず図5(a),(b)に示すように、上型22a
が下降することで下型22bにセットされた板材12が
折曲げられ、延出部12aが垂直に立つL字状に折曲げ
られる。次に、この板材12を図5(c)に示すように
金型23にセットし、上型23aが下降することで下型
23bにセットされた板材12の垂直に立つ延出部12
aが内側に斜めに傾く状態に折曲げられる。次に、この
板材12を図5(d)に示す金型24にセットし、上型
24aが下降することで下型24bにセットされた板材
12の内側に斜めに傾く延出部12aが板材12の表面
に完全に密着した状態に折曲げられる。こうして図6に
示すように1枚の板材12からなる振動弾性体9が形成
される。
工するために3種類の金型22,23,24を使用す
る。まず図5(a),(b)に示すように、上型22a
が下降することで下型22bにセットされた板材12が
折曲げられ、延出部12aが垂直に立つL字状に折曲げ
られる。次に、この板材12を図5(c)に示すように
金型23にセットし、上型23aが下降することで下型
23bにセットされた板材12の垂直に立つ延出部12
aが内側に斜めに傾く状態に折曲げられる。次に、この
板材12を図5(d)に示す金型24にセットし、上型
24aが下降することで下型24bにセットされた板材
12の内側に斜めに傾く延出部12aが板材12の表面
に完全に密着した状態に折曲げられる。こうして図6に
示すように1枚の板材12からなる振動弾性体9が形成
される。
【0027】この後、振動弾性体9の裏面に圧電素子1
0が接着剤またはろう付けにより接合され、図1,図2
に示すステータ8が製造される。このようにステータ8
は、振動弾性体9と圧電素子10との2つの部材だけか
らなるので、部材9,10同士を接合するための接着工
程あるいはろう付け工程が1度で済む。
0が接着剤またはろう付けにより接合され、図1,図2
に示すステータ8が製造される。このようにステータ8
は、振動弾性体9と圧電素子10との2つの部材だけか
らなるので、部材9,10同士を接合するための接着工
程あるいはろう付け工程が1度で済む。
【0028】このステータ8が組付けられた超音波モー
タ1が駆動されるときは、圧電素子10からの振動は、
突起9aを伝播してロータ13との接触面に伝達され
る。このとき、延出部12aが板材12の表面に完全に
密着されて形成された突起9aであり、しかも振動弾性
体9が1枚板からなるので、圧電素子10からの振動が
確実に伝達され、突起9aのロータ13との接触面には
十分振幅の大きな進行波が形成される。さらに図2に示
すように、圧電素子10の径方向断面領域Aが突起9a
の径方断面領域Bの範囲内に配置されているので、圧電
素子10からの振動を無駄なく突起9aとロータ13と
の接触面に伝達される。このことも、突起9aのロータ
13との接触面にできる進行波の振幅を大きくするのに
寄与する。従って、振幅の大きな進行波振動によりロー
タ5が回転するので、このステータ8を備えた超音波モ
ータ1は高トルクになる。
タ1が駆動されるときは、圧電素子10からの振動は、
突起9aを伝播してロータ13との接触面に伝達され
る。このとき、延出部12aが板材12の表面に完全に
密着されて形成された突起9aであり、しかも振動弾性
体9が1枚板からなるので、圧電素子10からの振動が
確実に伝達され、突起9aのロータ13との接触面には
十分振幅の大きな進行波が形成される。さらに図2に示
すように、圧電素子10の径方向断面領域Aが突起9a
の径方断面領域Bの範囲内に配置されているので、圧電
素子10からの振動を無駄なく突起9aとロータ13と
の接触面に伝達される。このことも、突起9aのロータ
13との接触面にできる進行波の振幅を大きくするのに
寄与する。従って、振幅の大きな進行波振動によりロー
タ5が回転するので、このステータ8を備えた超音波モ
ータ1は高トルクになる。
【0029】また、突起9aは振動弾性体9の外側ほど
幅が広くなる平面視が台形形状であり、しかも隣同士の
互いに対向する径方向の側面が平行となっているので、
突起9aとロータ13との接触面積が外周側で広く、内
外周での駆動力がずれ難い。
幅が広くなる平面視が台形形状であり、しかも隣同士の
互いに対向する径方向の側面が平行となっているので、
突起9aとロータ13との接触面積が外周側で広く、内
外周での駆動力がずれ難い。
【0030】さらに、ステータ8は振動弾性体9と圧電
素子10との2部材からなるだけであり、その接合面の
1箇所だけをろう付けすればよいので、従来技術で述べ
たベースリングを有する構造に比べ、接着剤やろう付け
忘れによる振動の遮断や、接着剤やろう付けの接合不良
による振動のロスなどが発生し難くなる。
素子10との2部材からなるだけであり、その接合面の
1箇所だけをろう付けすればよいので、従来技術で述べ
たベースリングを有する構造に比べ、接着剤やろう付け
忘れによる振動の遮断や、接着剤やろう付けの接合不良
による振動のロスなどが発生し難くなる。
【0031】以上詳述したように本実施形態によれば、
以下の効果が得られる。 (1)1枚の板材12の延出部12aを、その折曲げた
ときの内側全面を表面に完全に密着させるように折曲げ
て突起9aを形成したので、振動伝達域を広く確保で
き、ベースリングを無くしても、圧電素子10からの振
動を確実に突起9aのロータ13との接触面に伝播する
ことができる。
以下の効果が得られる。 (1)1枚の板材12の延出部12aを、その折曲げた
ときの内側全面を表面に完全に密着させるように折曲げ
て突起9aを形成したので、振動伝達域を広く確保で
き、ベースリングを無くしても、圧電素子10からの振
動を確実に突起9aのロータ13との接触面に伝播する
ことができる。
【0032】(2)ステータ8の径方向において、圧電
素子10の断面領域Aが突起9aの断面領域Bの範囲内
に位置するので、圧電素子10からの振動を無駄なく突
起9aのロータ13との接触面に伝達できる。
素子10の断面領域Aが突起9aの断面領域Bの範囲内
に位置するので、圧電素子10からの振動を無駄なく突
起9aのロータ13との接触面に伝達できる。
【0033】(3)突起9aは外周側ほど幅が広くなる
台形形状を有し、隣同士の対向する側面が平行となって
いるので、突起9aとロータ13との接触面積が外周側
で広く、内外周での駆動力のずれを小さく抑えることが
できる。
台形形状を有し、隣同士の対向する側面が平行となって
いるので、突起9aとロータ13との接触面積が外周側
で広く、内外周での駆動力のずれを小さく抑えることが
できる。
【0034】(4)ステータ8を振動弾性体9と圧電素
子10とからなる二部材で構成できたので、接合箇所が
一箇所で済み、従来技術で述べたベースリングを有する
構造に比べ、接着剤やろう付け忘れによる振動の遮断
や、接着剤やろう付けの接合不良による振動のロスが発
生し難くなる。また、部材の接合工程を一度で済ませら
れる。
子10とからなる二部材で構成できたので、接合箇所が
一箇所で済み、従来技術で述べたベースリングを有する
構造に比べ、接着剤やろう付け忘れによる振動の遮断
や、接着剤やろう付けの接合不良による振動のロスが発
生し難くなる。また、部材の接合工程を一度で済ませら
れる。
【0035】(5)延出部12aを外側に放射状に延び
るように有する板材12を採用し、延出部12aを内側
に折り曲げるようにしたので、突起9aの幅や数を設定
する際の自由度を高く確保できる。つまり、外側に折り
曲げる場合に比べ、突起9aを周方向に密に配置し易
い。
るように有する板材12を採用し、延出部12aを内側
に折り曲げるようにしたので、突起9aの幅や数を設定
する際の自由度を高く確保できる。つまり、外側に折り
曲げる場合に比べ、突起9aを周方向に密に配置し易
い。
【0036】(第2実施形態)以下、本発明を具体化し
た第2実施形態を図8〜図11に従って説明する。本実
施形態では、1枚板でできた振動弾性体の形状は前記第
1実施形態と基本的に同じであるが、振動弾性体を製造
するときの板材の形状および折曲方法が第1実施形態と
異なる。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を
使って説明する。
た第2実施形態を図8〜図11に従って説明する。本実
施形態では、1枚板でできた振動弾性体の形状は前記第
1実施形態と基本的に同じであるが、振動弾性体を製造
するときの板材の形状および折曲方法が第1実施形態と
異なる。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を
使って説明する。
【0037】図8,図9に示すように、ステータ8は、
振動弾性体25と圧電素子10との二部材からなる。振
動弾性体25は円環状の鋼体(金属製)にて形成され、
その外周縁表面には多数の突起25aが周方向に沿って
一定間隔に櫛歯状に列設されている。
振動弾性体25と圧電素子10との二部材からなる。振
動弾性体25は円環状の鋼体(金属製)にて形成され、
その外周縁表面には多数の突起25aが周方向に沿って
一定間隔に櫛歯状に列設されている。
【0038】振動弾性体25は、図10に示すように、
多数の延出部26aが内側に向かって放射状に延びる略
円環状を有する1枚の板材26から形成されている。板
材26は、打抜きされたものである。各延出部25aを
外側へ二つ折りに折り曲げることにより、図11に示す
ように突起25aが形成された振動弾性体25が製造さ
れる。突起25aは振動弾性体25の外周側ほど幅が広
く、隣同士の対向する側面が互いに平行となるような平
面視において台形状を有している。このため、突起25
aとロータ13との接触面積が外周側で広く、内外周で
駆動力がずれ難い。
多数の延出部26aが内側に向かって放射状に延びる略
円環状を有する1枚の板材26から形成されている。板
材26は、打抜きされたものである。各延出部25aを
外側へ二つ折りに折り曲げることにより、図11に示す
ように突起25aが形成された振動弾性体25が製造さ
れる。突起25aは振動弾性体25の外周側ほど幅が広
く、隣同士の対向する側面が互いに平行となるような平
面視において台形状を有している。このため、突起25
aとロータ13との接触面積が外周側で広く、内外周で
駆動力がずれ難い。
【0039】図8,図9に示すように、各延出部25a
は折曲げた下面全体が板材25の表面と完全に密着して
おり、圧電素子10からの振動が突起25aにその全体
に亘って伝播する。また、図9に示すように、圧電素子
10の内外径が、振動弾性体25の内外径の範囲内に設
定され、圧電素子10の径方向断面領域Aが突起25a
の径方断面領域Bの範囲内に位置している。振動弾性体
25の中心部には回転軸5が挿通される挿通孔25bが
形成されている。
は折曲げた下面全体が板材25の表面と完全に密着して
おり、圧電素子10からの振動が突起25aにその全体
に亘って伝播する。また、図9に示すように、圧電素子
10の内外径が、振動弾性体25の内外径の範囲内に設
定され、圧電素子10の径方向断面領域Aが突起25a
の径方断面領域Bの範囲内に位置している。振動弾性体
25の中心部には回転軸5が挿通される挿通孔25bが
形成されている。
【0040】よって、本実施形態によれば、第1実施形
態と同様の効果(1)〜(4)が得られる。また、板材
25は延出部25aが内側に延びる形状であるため、第
1実施形態の板材12に比べ、板材(原材)からより多
くの枚数の板材25を採ることができる。
態と同様の効果(1)〜(4)が得られる。また、板材
25は延出部25aが内側に延びる形状であるため、第
1実施形態の板材12に比べ、板材(原材)からより多
くの枚数の板材25を採ることができる。
【0041】(第3実施形態)以下、本発明を具体化し
た第3実施形態を図12〜図14に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体を製造するとき
の板材の形状および折曲方法が前記各実施形態と異なる
変形例である。第1実施形態と同じ構成については同じ
符号を使って説明する。
た第3実施形態を図12〜図14に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体を製造するとき
の板材の形状および折曲方法が前記各実施形態と異なる
変形例である。第1実施形態と同じ構成については同じ
符号を使って説明する。
【0042】図12,図13に示すように、ステータ8
は、振動弾性体27と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体27は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には多数の突起27aが周方向に
沿って一定間隔に櫛歯状に列設されている。
は、振動弾性体27と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体27は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には多数の突起27aが周方向に
沿って一定間隔に櫛歯状に列設されている。
【0043】振動弾性体27は、図14に示すように、
外側に向かって放射状に延びる多数の延出部28aと、
内側に向かって放射状に延びる多数の延出部28bとを
有する略円環状の1枚の板材28から形成されている。
板材28は、打抜きされたものである。各延出部28a
を内側へ、各延出部28bを外側へそれぞれ二つ折りに
折り曲げることにより、突起27aは形成されている。
突起27aは振動弾性体27の外周側ほど幅が広く、隣
同士の対向する側面が互いに平行となるような平面視に
おいて台形状を有している。このため、突起27aとロ
ータ13との接触面積が外周側で広く、内外周で駆動力
がずれ難い。
外側に向かって放射状に延びる多数の延出部28aと、
内側に向かって放射状に延びる多数の延出部28bとを
有する略円環状の1枚の板材28から形成されている。
板材28は、打抜きされたものである。各延出部28a
を内側へ、各延出部28bを外側へそれぞれ二つ折りに
折り曲げることにより、突起27aは形成されている。
突起27aは振動弾性体27の外周側ほど幅が広く、隣
同士の対向する側面が互いに平行となるような平面視に
おいて台形状を有している。このため、突起27aとロ
ータ13との接触面積が外周側で広く、内外周で駆動力
がずれ難い。
【0044】図12,図13に示すように、各延出部2
8a,28bは折曲げた下面全体が板材28の表面と完
全に密着しており、圧電素子10からの振動が突起27
aにその全体に亘って伝播する。また、図13に示すよ
うに、圧電素子10の内外径が、振動弾性体27の内外
径の範囲内に設定され、圧電素子10の径方向断面領域
Aが突起27aの径方断面領域Bの範囲内に位置してい
る。振動弾性体27の中心部には回転軸5が挿通される
挿通孔27bが形成されている。
8a,28bは折曲げた下面全体が板材28の表面と完
全に密着しており、圧電素子10からの振動が突起27
aにその全体に亘って伝播する。また、図13に示すよ
うに、圧電素子10の内外径が、振動弾性体27の内外
径の範囲内に設定され、圧電素子10の径方向断面領域
Aが突起27aの径方断面領域Bの範囲内に位置してい
る。振動弾性体27の中心部には回転軸5が挿通される
挿通孔27bが形成されている。
【0045】よって、本実施形態によれば、第1実施形
態と同様の効果(1)〜(4)が得られる。 (第4実施形態)以下、本発明を具体化した第4実施形
態を図15,図16に従って説明する。本実施形態は、
1枚板でできた振動弾性体の形状が前記各実施形態と異
なる変形例である。第1実施形態と同じ構成については
同じ符号を使って説明する。
態と同様の効果(1)〜(4)が得られる。 (第4実施形態)以下、本発明を具体化した第4実施形
態を図15,図16に従って説明する。本実施形態は、
1枚板でできた振動弾性体の形状が前記各実施形態と異
なる変形例である。第1実施形態と同じ構成については
同じ符号を使って説明する。
【0046】図15,図16に示すように、ステータ8
は、振動弾性体29と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体29は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には多数の突起29aが周方向に
沿って一定間隔に櫛歯状に列設されている。
は、振動弾性体29と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体29は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には多数の突起29aが周方向に
沿って一定間隔に櫛歯状に列設されている。
【0047】振動弾性体29は、外側に向かって放射状
に延びる多数の延出部30aを有する略円環状の1枚の
板材30から形成されている。各延出部30aを内側へ
二つ折りに折り曲げることにより、突起29aは形成さ
れている。突起29aは振動弾性体29の外周側ほど幅
が広く、隣同士の対向する側面が互いに平行となるよう
な平面視において台形状を有している。このため、突起
29aとロータ13との接触面積が外周側で広く、内外
周で駆動力がずれ難い。
に延びる多数の延出部30aを有する略円環状の1枚の
板材30から形成されている。各延出部30aを内側へ
二つ折りに折り曲げることにより、突起29aは形成さ
れている。突起29aは振動弾性体29の外周側ほど幅
が広く、隣同士の対向する側面が互いに平行となるよう
な平面視において台形状を有している。このため、突起
29aとロータ13との接触面積が外周側で広く、内外
周で駆動力がずれ難い。
【0048】各延出部30aは折曲げた下面全体が板材
30の表面と完全に密着しており、圧電素子10からの
振動が突起29aにその全体に亘って伝播する。また、
図16に示すように、圧電素子10の内外径が、振動弾
性体29の内外径の範囲内に設定され、圧電素子10の
径方向断面領域Aが突起29aの径方断面領域Bの範囲
内に位置している。
30の表面と完全に密着しており、圧電素子10からの
振動が突起29aにその全体に亘って伝播する。また、
図16に示すように、圧電素子10の内外径が、振動弾
性体29の内外径の範囲内に設定され、圧電素子10の
径方向断面領域Aが突起29aの径方断面領域Bの範囲
内に位置している。
【0049】振動弾性体29は内周寄りに凹部29bを
有し、凹部29bの外周部位が周方向に亘る屈曲部29
cになっている。圧電素子10からの振動は屈曲部29
cによって中央への伝達が小さく抑制され、突起29a
に効率良く伝達される。振動弾性体29の中心部には回
転軸5が挿通される挿通孔29bが形成されている。
有し、凹部29bの外周部位が周方向に亘る屈曲部29
cになっている。圧電素子10からの振動は屈曲部29
cによって中央への伝達が小さく抑制され、突起29a
に効率良く伝達される。振動弾性体29の中心部には回
転軸5が挿通される挿通孔29bが形成されている。
【0050】よって、本実施形態によれば、第1実施形
態と同様の効果(1)〜(5)が得られ、しかも屈曲部
29cによって中央部への振動の伝達ロスが小さく抑え
られるため、突起29aへの振動の伝達効率を高めるこ
とができる。
態と同様の効果(1)〜(5)が得られ、しかも屈曲部
29cによって中央部への振動の伝達ロスが小さく抑え
られるため、突起29aへの振動の伝達効率を高めるこ
とができる。
【0051】(第5実施形態)以下、本発明を具体化し
た第5実施形態を図17,図18に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体の突起形状が前
記各実施形態と異なる変形例である。第1実施形態と同
じ構成については同じ符号を使って説明する。
た第5実施形態を図17,図18に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体の突起形状が前
記各実施形態と異なる変形例である。第1実施形態と同
じ構成については同じ符号を使って説明する。
【0052】図17,図18に示すように、ステータ8
は、振動弾性体31と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体31は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には多数の突起31aが周方向に
沿って一定間隔に櫛歯状に列設されている。
は、振動弾性体31と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体31は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には多数の突起31aが周方向に
沿って一定間隔に櫛歯状に列設されている。
【0053】振動弾性体31は、第1実施形態で使用し
た1枚の板材12から形成され、その折曲げの仕方を変
えることでL字状に屈曲する突起31aが形成されてい
る。振動弾性体31を製造するときには、各延出部12
aの先端部をまず直角に屈曲させた後、延出部12を内
側へ二つ折りに折り曲げることにより、板材12の面と
直交して突出する凸部31bを内周側に有した突起31
aが形成される。ロータ13は凸部31bと接触するの
で、両者の接触面積は前記各実施形態に比べて狭くはな
るが、延出部12aが板材12の表面に全面密着した密
着面を通って、圧電素子10から突起29a全体に伝達
される振動が凸部31bに集中するため、凸部31bの
ロータ13との接触面には十分振幅の大きな進行波が発
生する。
た1枚の板材12から形成され、その折曲げの仕方を変
えることでL字状に屈曲する突起31aが形成されてい
る。振動弾性体31を製造するときには、各延出部12
aの先端部をまず直角に屈曲させた後、延出部12を内
側へ二つ折りに折り曲げることにより、板材12の面と
直交して突出する凸部31bを内周側に有した突起31
aが形成される。ロータ13は凸部31bと接触するの
で、両者の接触面積は前記各実施形態に比べて狭くはな
るが、延出部12aが板材12の表面に全面密着した密
着面を通って、圧電素子10から突起29a全体に伝達
される振動が凸部31bに集中するため、凸部31bの
ロータ13との接触面には十分振幅の大きな進行波が発
生する。
【0054】また、図18に示すように、圧電素子10
の内外径が突起31aの内外径の範囲内に設定され、圧
電素子10の径方向断面領域Aが突起31aの径方向断
面領域Bの範囲内に位置しているため、圧電素子10か
らの振動が無駄なく突起31aに伝達され、このことも
進行波の振幅を高めることに寄与する。よって、ベース
リングを無くしても、高い振幅の進行波が得られる。そ
の他、第1実施形態で述べた効果(4),(5)が得ら
れる。なお、振動弾性体31の中心部には回転軸5が挿
通される挿通孔31cが形成されている。
の内外径が突起31aの内外径の範囲内に設定され、圧
電素子10の径方向断面領域Aが突起31aの径方向断
面領域Bの範囲内に位置しているため、圧電素子10か
らの振動が無駄なく突起31aに伝達され、このことも
進行波の振幅を高めることに寄与する。よって、ベース
リングを無くしても、高い振幅の進行波が得られる。そ
の他、第1実施形態で述べた効果(4),(5)が得ら
れる。なお、振動弾性体31の中心部には回転軸5が挿
通される挿通孔31cが形成されている。
【0055】(第6実施形態)以下、本発明を具体化し
た第6実施形態を図19〜図22に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体を、従来の切削
品や焼結品と略同一形状となるように形成した例であ
る。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を使っ
て説明する。
た第6実施形態を図19〜図22に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体を、従来の切削
品や焼結品と略同一形状となるように形成した例であ
る。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を使っ
て説明する。
【0056】図19,図20に示すように、ステータ8
は、振動弾性体33と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体33は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には突起33aと肉厚部33bと
が周方向に沿って互い違いに一定間隔で列設されてい
る。
は、振動弾性体33と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体33は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には突起33aと肉厚部33bと
が周方向に沿って互い違いに一定間隔で列設されてい
る。
【0057】振動弾性体33は、図21に示すように、
外側に向かってそれぞれ放射状に延びる幅の狭い延出部
34aと、幅の広い延出部34bとが周方向に交互に配
置された略円環状の1枚の板材34から形成されてい
る。板材34は、打抜きされたものである。図19〜図
22に示すように、各延出部34aを板材34の面と直
交する高さ方向に延びるように自身の内面に密着させる
ように二つ折りに曲げることにより突起33aが形成さ
れ、各延出部34bを内側へ板材34の面に密着させる
ように二つ折りに曲げることにより肉厚部33bが形成
されている。延出部34aの端面は板材34の表面に完
全に密着している。
外側に向かってそれぞれ放射状に延びる幅の狭い延出部
34aと、幅の広い延出部34bとが周方向に交互に配
置された略円環状の1枚の板材34から形成されてい
る。板材34は、打抜きされたものである。図19〜図
22に示すように、各延出部34aを板材34の面と直
交する高さ方向に延びるように自身の内面に密着させる
ように二つ折りに曲げることにより突起33aが形成さ
れ、各延出部34bを内側へ板材34の面に密着させる
ように二つ折りに曲げることにより肉厚部33bが形成
されている。延出部34aの端面は板材34の表面に完
全に密着している。
【0058】ロータ13が接触する多数の突起33aが
列設されている振動弾性体33の外周縁部位に肉厚部3
3bが形成されているので、圧電素子10からの振動が
中央部へ伝達され難い。よって、突起33aに高い振幅
の進行波が発生する。また、自身の内面に密着するよう
に二つ折りされた突起33aはその端面が板材34の表
面に密着しているので、従来の板を単にL字状に折り曲
げただけの突起構造に比べ、振動伝達域が広く確保され
る。その他、第1実施形態で述べた効果(4),(5)
が得られる。なお、振動弾性体33の中心部には回転軸
5が挿通される挿通孔33cが形成されている。
列設されている振動弾性体33の外周縁部位に肉厚部3
3bが形成されているので、圧電素子10からの振動が
中央部へ伝達され難い。よって、突起33aに高い振幅
の進行波が発生する。また、自身の内面に密着するよう
に二つ折りされた突起33aはその端面が板材34の表
面に密着しているので、従来の板を単にL字状に折り曲
げただけの突起構造に比べ、振動伝達域が広く確保され
る。その他、第1実施形態で述べた効果(4),(5)
が得られる。なお、振動弾性体33の中心部には回転軸
5が挿通される挿通孔33cが形成されている。
【0059】(第7実施形態)以下、本発明を具体化し
た第7実施形態を図23〜図26に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体に、中央部への
振動の逃げを抑えるための孔を形成した例である。第1
実施形態と同じ構成については同じ符号を使って説明す
る。
た第7実施形態を図23〜図26に従って説明する。本
実施形態は、1枚板でできた振動弾性体に、中央部への
振動の逃げを抑えるための孔を形成した例である。第1
実施形態と同じ構成については同じ符号を使って説明す
る。
【0060】図23,図24に示すように、ステータ8
は、振動弾性体35と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体35は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には突起35aが周方向に沿って
一定間隔で櫛歯状に列設されている。
は、振動弾性体35と圧電素子10との二部材からな
る。振動弾性体35は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、その外周縁表面には突起35aが周方向に沿って
一定間隔で櫛歯状に列設されている。
【0061】振動弾性体35は、図25に示す略円環状
の1枚の板材36から形成され、板材36は外側に向か
って放射状に延びる延出部36aを有するとともに、そ
の内周寄りには多数の孔37が周方向に沿って透設され
ている。板材36は、打抜きされたものである。図23
〜図26に示すように、各延出部36aを内側へ板材3
6の表面に密着させるように二つ折りに曲げることによ
り突起35aが形成されている。
の1枚の板材36から形成され、板材36は外側に向か
って放射状に延びる延出部36aを有するとともに、そ
の内周寄りには多数の孔37が周方向に沿って透設され
ている。板材36は、打抜きされたものである。図23
〜図26に示すように、各延出部36aを内側へ板材3
6の表面に密着させるように二つ折りに曲げることによ
り突起35aが形成されている。
【0062】図23,図26に示すように、振動弾性体
35は多数の溝37の存在によってその周縁部から中央
部への振動伝達通路が極端に狭くなっているので、圧電
素子10から中央部へ伝達される振動を小さく抑えるこ
とができる。また、図24に示すように、圧電素子10
の内外径が、振動弾性体35の内外径の範囲内に設定さ
れ、圧電素子10の径方向断面領域Aが突起35aの径
方断面領域Bの範囲内に位置しているので、圧電素子1
0からの振動が無駄なく突起35aに伝達される。
35は多数の溝37の存在によってその周縁部から中央
部への振動伝達通路が極端に狭くなっているので、圧電
素子10から中央部へ伝達される振動を小さく抑えるこ
とができる。また、図24に示すように、圧電素子10
の内外径が、振動弾性体35の内外径の範囲内に設定さ
れ、圧電素子10の径方向断面領域Aが突起35aの径
方断面領域Bの範囲内に位置しているので、圧電素子1
0からの振動が無駄なく突起35aに伝達される。
【0063】よって、ベースリングが無くても、突起3
5aに高い振幅の進行波を発生させることができる。そ
の他、第1実施形態で述べた効果(4),(5)が得ら
れる。なお、振動弾性体35の中心部には回転軸5が挿
通される挿通孔35bが形成されている。
5aに高い振幅の進行波を発生させることができる。そ
の他、第1実施形態で述べた効果(4),(5)が得ら
れる。なお、振動弾性体35の中心部には回転軸5が挿
通される挿通孔35bが形成されている。
【0064】(第8実施形態)以下、本発明を具体化し
た第8実施形態を図27,28に従って説明する。第1
〜第7実施形態は、進行波タイプの超音波モータに適用
した例であったが、本実施形態は、偏平定在波(モノモ
ルフ)タイプの超音波モータに適用した例である。1枚
板でできた振動弾性体を使用している。超音波モータの
基本構造は進行波タイプとほぼ同じあるため、特に駆動
原理の違いから構造に違いがでるステータ構造について
詳しく説明する。
た第8実施形態を図27,28に従って説明する。第1
〜第7実施形態は、進行波タイプの超音波モータに適用
した例であったが、本実施形態は、偏平定在波(モノモ
ルフ)タイプの超音波モータに適用した例である。1枚
板でできた振動弾性体を使用している。超音波モータの
基本構造は進行波タイプとほぼ同じあるため、特に駆動
原理の違いから構造に違いがでるステータ構造について
詳しく説明する。
【0065】図27に示すように、超音波モータは可動
体としてのロータ50とステータ51とを備えている。
ステータ51は、振動弾性体52と、圧電素子53とを
備えている。
体としてのロータ50とステータ51とを備えている。
ステータ51は、振動弾性体52と、圧電素子53とを
備えている。
【0066】振動弾性体52は円環状の鋼体にて形成さ
れ、12個の突起54が周方向に櫛歯状に形成されてい
る。振動弾性体52は、多数の延出部55aが外側に向
かって放射状に延びる略円環状の一枚の板材55からな
る。突起54は、多数の延出部55aを内側にその下面
全体が板材55の表面に密着するように折り曲げること
により形成されている。突起54は振動弾性体52の外
周側ほど幅が広くなる、平面視において台形形状を有し
ており、隣接する側面が互いにほぼ平行となっている。
このため、突起54とロータ50との接触面積が外周側
で広く確保され、ロータ50の内外周で駆動力がずれ難
くなる。
れ、12個の突起54が周方向に櫛歯状に形成されてい
る。振動弾性体52は、多数の延出部55aが外側に向
かって放射状に延びる略円環状の一枚の板材55からな
る。突起54は、多数の延出部55aを内側にその下面
全体が板材55の表面に密着するように折り曲げること
により形成されている。突起54は振動弾性体52の外
周側ほど幅が広くなる、平面視において台形形状を有し
ており、隣接する側面が互いにほぼ平行となっている。
このため、突起54とロータ50との接触面積が外周側
で広く確保され、ロータ50の内外周で駆動力がずれ難
くなる。
【0067】また、圧電素子53の外径は振動弾性体5
2の外径より小さく、その内径は振動弾性体52の内径
より大きく形成されている。よって、本実施形態でも、
圧電素子53の径方向断面領域が突起54の径方断面領
域の範囲内に配置され、圧電素子53からの振動が無駄
なく突起54に伝達されるようになっている。
2の外径より小さく、その内径は振動弾性体52の内径
より大きく形成されている。よって、本実施形態でも、
圧電素子53の径方向断面領域が突起54の径方断面領
域の範囲内に配置され、圧電素子53からの振動が無駄
なく突起54に伝達されるようになっている。
【0068】このように本実施形態においても、ステー
タ51は振動弾性体52と圧電素子53との2部材から
なるだけであるため、その接合面の1箇所だけをろう付
けすればよい。従って、従来技術で述べたベースリング
を有する構造に比べ、接着剤やろう付け忘れによる振動
の遮断や、接着剤やろう付けの接合不良による振動のロ
スが発生し難くなっている。
タ51は振動弾性体52と圧電素子53との2部材から
なるだけであるため、その接合面の1箇所だけをろう付
けすればよい。従って、従来技術で述べたベースリング
を有する構造に比べ、接着剤やろう付け忘れによる振動
の遮断や、接着剤やろう付けの接合不良による振動のロ
スが発生し難くなっている。
【0069】振動弾性体52の下面に固着される圧電素
子53は、定在波振動を発生させるために、12個に分
割して分極処理が施されている。詳述すると、圧電素子
53は隣り合う極性が逆となるように等間隔で5個に分
極された第1分極領域群A1〜A5と、隣り合う極性が
逆となるように等間隔で5個に分極された第2分極領域
群B1〜B5と、第1分極領域群A1〜A5と第2分極
領域群B1〜B5との両端間にそれぞれ位置する第1お
よび第2フィードバック用分極領域F1,F2とに分極
処理されている。第1フィードバック用分極領域F1
は、第2フィードバック用分極領域F2より周方向の間
隔が広くなっている。
子53は、定在波振動を発生させるために、12個に分
割して分極処理が施されている。詳述すると、圧電素子
53は隣り合う極性が逆となるように等間隔で5個に分
極された第1分極領域群A1〜A5と、隣り合う極性が
逆となるように等間隔で5個に分極された第2分極領域
群B1〜B5と、第1分極領域群A1〜A5と第2分極
領域群B1〜B5との両端間にそれぞれ位置する第1お
よび第2フィードバック用分極領域F1,F2とに分極
処理されている。第1フィードバック用分極領域F1
は、第2フィードバック用分極領域F2より周方向の間
隔が広くなっている。
【0070】このように分極処理された圧電素子53
と、突起54との位置関係は図33(A)に示す概略図
のようになっている。図33(A)は、圧電素子53の
周方向の間隔を直線上に展開して示した概略図である。
第1及び第2フィードバック用分極領域F1,F2と対
応する各突起54は、それぞれの領域F1,F2内にお
いて中間位置に配置されている。そして、各第1及び第
2分極領域A1〜A5,B1〜B5と対応する各突起5
4は、それぞれの領域A1〜A5,B1〜B5内におい
て中間位置より第1フィードバック用分極領域F1側に
偏った位置に配置されている。
と、突起54との位置関係は図33(A)に示す概略図
のようになっている。図33(A)は、圧電素子53の
周方向の間隔を直線上に展開して示した概略図である。
第1及び第2フィードバック用分極領域F1,F2と対
応する各突起54は、それぞれの領域F1,F2内にお
いて中間位置に配置されている。そして、各第1及び第
2分極領域A1〜A5,B1〜B5と対応する各突起5
4は、それぞれの領域A1〜A5,B1〜B5内におい
て中間位置より第1フィードバック用分極領域F1側に
偏った位置に配置されている。
【0071】圧電素子53の下面には、電極板(図示し
ない)が設けられている。詳述すると、第1分極領域群
A1〜A5と対応した位置の下面には第1電極板が被覆
形成されている。第2分極領域群B1〜B5と対応した
位置の下面には第2電極板が被覆形成されている。フィ
ードバック用分極領域F1,F2とそれぞれ対応した位
置の下面にはいずれか一方にフィードバック用電極板が
被覆形成されている。そして、第1および第2電極板に
は、高周波交流電圧を印加するための電圧制御装置(図
示しない)が接続される。フィードバック用電極板は、
圧電素子53に発生する振動の情報を検出するために使
用される。このステータ51の上面、すなわち振動弾性
体52の各突起54の上面には円環状のロータ50が摺
動回転可能に圧接される。
ない)が設けられている。詳述すると、第1分極領域群
A1〜A5と対応した位置の下面には第1電極板が被覆
形成されている。第2分極領域群B1〜B5と対応した
位置の下面には第2電極板が被覆形成されている。フィ
ードバック用分極領域F1,F2とそれぞれ対応した位
置の下面にはいずれか一方にフィードバック用電極板が
被覆形成されている。そして、第1および第2電極板に
は、高周波交流電圧を印加するための電圧制御装置(図
示しない)が接続される。フィードバック用電極板は、
圧電素子53に発生する振動の情報を検出するために使
用される。このステータ51の上面、すなわち振動弾性
体52の各突起54の上面には円環状のロータ50が摺
動回転可能に圧接される。
【0072】このように構成された超音波モータは、図
示しない電圧制御装置より第1分極領域群A1〜A5に
高周波交流電圧が印加されると、第1分極領域群A1〜
A5の位置の圧電素子53が振動し、振動弾性体52が
図33(B)の実線と破線に示すような定在波振動を発
生する。尚、この定在波振動は、理論上、各領域A1〜
A5の各中間位置がそれぞれ振動の極値(山と谷、即ち
振幅をとる位置)となる振動である。従って、各第1分
極領域A1〜A5内において中間位置より第1フィード
バック用分極領域F1側に偏った位置に配置された突起
54では、楕円振動が生じる。そして、この楕円振動
は、突起54がロータ50と接触するとき(振動の中腹
となるとき)、ロータ50を図33(B)において右方
向に押し出すように作用する。よって、ロータ50は反
時計回り方向に回転する。
示しない電圧制御装置より第1分極領域群A1〜A5に
高周波交流電圧が印加されると、第1分極領域群A1〜
A5の位置の圧電素子53が振動し、振動弾性体52が
図33(B)の実線と破線に示すような定在波振動を発
生する。尚、この定在波振動は、理論上、各領域A1〜
A5の各中間位置がそれぞれ振動の極値(山と谷、即ち
振幅をとる位置)となる振動である。従って、各第1分
極領域A1〜A5内において中間位置より第1フィード
バック用分極領域F1側に偏った位置に配置された突起
54では、楕円振動が生じる。そして、この楕円振動
は、突起54がロータ50と接触するとき(振動の中腹
となるとき)、ロータ50を図33(B)において右方
向に押し出すように作用する。よって、ロータ50は反
時計回り方向に回転する。
【0073】逆に、電圧制御装置より第2分極領域群B
1〜B5に高周波交流電圧が印加されると、同様の原理
で図33(C)の実線と破線に示すような定在波振動が
発生し、突起54では楕円振動が生じる。そして、この
楕円振動は、突起54がロータ50と接触するとき(振
動の中腹となるとき)、ロータ50を図33(c)にお
いて左方向に押し出すように作用する。よって、ロータ
50は時計回り方向に回転する。尚、図33(B),
(C)では、動作を分かりやすく説明するために振動弾
性体52の振動幅を大きく図示している。
1〜B5に高周波交流電圧が印加されると、同様の原理
で図33(C)の実線と破線に示すような定在波振動が
発生し、突起54では楕円振動が生じる。そして、この
楕円振動は、突起54がロータ50と接触するとき(振
動の中腹となるとき)、ロータ50を図33(c)にお
いて左方向に押し出すように作用する。よって、ロータ
50は時計回り方向に回転する。尚、図33(B),
(C)では、動作を分かりやすく説明するために振動弾
性体52の振動幅を大きく図示している。
【0074】以上詳述したように、本実施形態によれ
ば、以下の効果が得られる。 (1)延出部55aを板材55の表面にその下面全体が
密着する状態に二つに折り曲げて振動弾性体52の突起
54を形成しているので、板を単にL字状に折り曲げた
だけの従来の突起構造に比べ、振動伝達域が広く確保さ
れ、突起54のロータ50との接触面に定在波振動を効
率良く発生させることができる。このため、ロータ50
を効率良く回転させることができる。その他、第1実施
形態で(4),(5)述べた効果が同様に得られる。
ば、以下の効果が得られる。 (1)延出部55aを板材55の表面にその下面全体が
密着する状態に二つに折り曲げて振動弾性体52の突起
54を形成しているので、板を単にL字状に折り曲げた
だけの従来の突起構造に比べ、振動伝達域が広く確保さ
れ、突起54のロータ50との接触面に定在波振動を効
率良く発生させることができる。このため、ロータ50
を効率良く回転させることができる。その他、第1実施
形態で(4),(5)述べた効果が同様に得られる。
【0075】(第9実施形態)以下、本発明を具体化し
た第9実施形態を図29〜図33に従って説明する。本
実施形態は、第8実施形態と同様に、偏平定在波(モノ
モルフ)タイプの超音波モータに適用した例である。振
動弾性体の構造を工夫し、振動と突起との位置関係を理
想値に近づけるようにしている。尚、本実施形態は、第
8実施形態における振動弾性体52の変更例であるた
め、共通の構成については説明を省略し、同じ部材等に
ついては同じ符号を使って説明する。
た第9実施形態を図29〜図33に従って説明する。本
実施形態は、第8実施形態と同様に、偏平定在波(モノ
モルフ)タイプの超音波モータに適用した例である。振
動弾性体の構造を工夫し、振動と突起との位置関係を理
想値に近づけるようにしている。尚、本実施形態は、第
8実施形態における振動弾性体52の変更例であるた
め、共通の構成については説明を省略し、同じ部材等に
ついては同じ符号を使って説明する。
【0076】図29,図30に示すように、ステータ5
1は、振動弾性体52と、圧電素子53とを備えてい
る。振動弾性体52は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、振動弾性体52の周方向には突起としての複数の
駆動用突起56及び複数の補助突起57が交互に形成さ
れている。詳述すると、振動弾性体52には、径方向に
内周面から外周面まで延びた12個の駆動用突起56が
周方向に等間隔(突起の中心が各30°間隔)で形成さ
れている。そして、その隣り合う各駆動用突起56の間
には、それぞれ径方向に内周面から外周面まで延びた補
助突起57が形成されている。本実施形態では、補助突
起57の高さは、駆動用突起56の高さの2分の1とな
っている。また、駆動用突起56と補助突起57がそれ
ぞれ等間隔(突起の中心が各15°間隔)で形成されて
いる。
1は、振動弾性体52と、圧電素子53とを備えてい
る。振動弾性体52は円環状の鋼体(金属製)にて形成
され、振動弾性体52の周方向には突起としての複数の
駆動用突起56及び複数の補助突起57が交互に形成さ
れている。詳述すると、振動弾性体52には、径方向に
内周面から外周面まで延びた12個の駆動用突起56が
周方向に等間隔(突起の中心が各30°間隔)で形成さ
れている。そして、その隣り合う各駆動用突起56の間
には、それぞれ径方向に内周面から外周面まで延びた補
助突起57が形成されている。本実施形態では、補助突
起57の高さは、駆動用突起56の高さの2分の1とな
っている。また、駆動用突起56と補助突起57がそれ
ぞれ等間隔(突起の中心が各15°間隔)で形成されて
いる。
【0077】図31に示すように、振動弾性体52は、
略円環状の1枚の板材58から形成されている。板材5
8には、外側に向かってそれぞれ放射状に延びる、長い
延出部58aと短い延出部58bとが周方向に交互に形
成されている。板材58は、打抜きされたものである。
図29,図30,図32に示すように、長い延出部58
aを板材58の面と直交する方向に根元から折り曲げた
後、次に自身の内面に密着させるように二つ折りに曲げ
ることにより高さのある駆動用突起56が形成されてい
る。延出部58aの先端面は板材58の表面に完全に密
着しており、振動伝達域が広く確保されるようになって
いる。また、短い延出部58bを内側に板材58の面に
密着させるように折りに曲げることにより補助用突起5
7が形成されている。
略円環状の1枚の板材58から形成されている。板材5
8には、外側に向かってそれぞれ放射状に延びる、長い
延出部58aと短い延出部58bとが周方向に交互に形
成されている。板材58は、打抜きされたものである。
図29,図30,図32に示すように、長い延出部58
aを板材58の面と直交する方向に根元から折り曲げた
後、次に自身の内面に密着させるように二つ折りに曲げ
ることにより高さのある駆動用突起56が形成されてい
る。延出部58aの先端面は板材58の表面に完全に密
着しており、振動伝達域が広く確保されるようになって
いる。また、短い延出部58bを内側に板材58の面に
密着させるように折りに曲げることにより補助用突起5
7が形成されている。
【0078】駆動用突起56は振動弾性体52の外周側
ほど幅が広くなっており、隣合う側面が互いに平行とな
る、平面視における台形状を有している。このため、駆
動用突起56とロータ50との接触面積が外周側で広
く、ロータ50の内外周で駆動力がずれ難くなってい
る。なお、圧電素子53を駆動用突起56の内外径に挟
まれた範囲内に配置してよいことはもちろんであり、こ
のような構成にすれば、圧電素子53からの振動を駆動
用突起56に一層無駄なく伝達することができる。
ほど幅が広くなっており、隣合う側面が互いに平行とな
る、平面視における台形状を有している。このため、駆
動用突起56とロータ50との接触面積が外周側で広
く、ロータ50の内外周で駆動力がずれ難くなってい
る。なお、圧電素子53を駆動用突起56の内外径に挟
まれた範囲内に配置してよいことはもちろんであり、こ
のような構成にすれば、圧電素子53からの振動を駆動
用突起56に一層無駄なく伝達することができる。
【0079】振動弾性体52の下面に固着された環状の
圧電素子53は、定在波振動を発生させるために、第8
実施形態で述べたと全く同様の分極方法で12個に分割
して分極処理が施されている。
圧電素子53は、定在波振動を発生させるために、第8
実施形態で述べたと全く同様の分極方法で12個に分割
して分極処理が施されている。
【0080】分極処理された圧電素子53と、各突起5
6,57との位置関係は図33(A)に示す概略図のよ
うになっている。図33(A)は、圧電素子53の周方
向の間隔を直線上に展開して示した概略図である。第1
および第2フィードバック用分極領域F1,F2と対応
する各駆動用突起56は、それぞれの領域F1,F2内
において中間位置に配置されている。各第1および第2
分極領域A1〜A5,B1〜B5と対応する各駆動用突
起56は、それぞれの領域A1〜A5,B1〜B5内に
おいて中間位置より第1フィードバック用分極領域F1
側に偏った位置に配置されている。また、各第1及び第
2分極領域A1〜A5,B1〜B5と対応する各補助突
起57は、それぞれの領域A1〜A5,B1〜B5内に
おいて中間位置より第2フィードバック用分極領域F2
側に偏った位置に配置されている。
6,57との位置関係は図33(A)に示す概略図のよ
うになっている。図33(A)は、圧電素子53の周方
向の間隔を直線上に展開して示した概略図である。第1
および第2フィードバック用分極領域F1,F2と対応
する各駆動用突起56は、それぞれの領域F1,F2内
において中間位置に配置されている。各第1および第2
分極領域A1〜A5,B1〜B5と対応する各駆動用突
起56は、それぞれの領域A1〜A5,B1〜B5内に
おいて中間位置より第1フィードバック用分極領域F1
側に偏った位置に配置されている。また、各第1及び第
2分極領域A1〜A5,B1〜B5と対応する各補助突
起57は、それぞれの領域A1〜A5,B1〜B5内に
おいて中間位置より第2フィードバック用分極領域F2
側に偏った位置に配置されている。
【0081】また、圧電素子53の下面には、第8実施
形態で述べたと同様に、第1電極板、第2電極板および
フィードバック用電極板がそれぞれ被覆形成されてい
る。そして、第1および第2電極板には、高周波交流電
圧を印加するための電圧制御装置(図示しない)が接続
される。このステータ51の上面にはロータ50が摺動
回転可能に圧接されている。尚、ロータ50は補助突起
57の上面に当接することはない。
形態で述べたと同様に、第1電極板、第2電極板および
フィードバック用電極板がそれぞれ被覆形成されてい
る。そして、第1および第2電極板には、高周波交流電
圧を印加するための電圧制御装置(図示しない)が接続
される。このステータ51の上面にはロータ50が摺動
回転可能に圧接されている。尚、ロータ50は補助突起
57の上面に当接することはない。
【0082】このように構成された超音波モータは、電
圧制御装置より第1電極板に高周波交流電圧が印加され
ると、第1分極領域群A1〜A5の位置の圧電素子53
が振動し、振動弾性体52が図33(B)の実線と破線
に示すような定在波振動を発生する。詳述すると、第1
電極板に高周波交流電圧が印加されると、第1分極領域
群A1〜A5の位置の圧電素子53は、各領域A1〜A
5の各中間位置がそれぞれ振動の極値(山と谷)となる
ように、すなわち各駆動用突起56が振動の中腹となる
ように振動しようとする。このとき、駆動用突起56に
対して補助突起57が設けられているため、駆動用突起
56の質量等が影響して、振動の極値(山と谷)が中間
位置より駆動用突起56側に偏ってしまうことは低減さ
れる。即ち、各駆動用突起56が振動の中腹からずれて
しまい振動の極値(山と谷)になってしまうことは低減
される。従って、各領域A1〜A5の各中間位置がほぼ
振動の極値(山と谷)となり、各駆動用突起56が振動
の中腹となるように振動する。すると、各駆動用突起5
6では、水平方向の振動成分が大きな理論上と同様の楕
円振動が生じる。そして、この楕円振動は、駆動用突起
56がロータ50と接触するとき(振動の中腹となると
き)、ロータ50を図33(B)において右方向に押し
出すように作用する。よって、ロータ50は反時計回り
方向に回転する。尚、図33(B)では、動作を分かり
やすく説明するために振動弾性体52の振動幅を大きく
図示している。
圧制御装置より第1電極板に高周波交流電圧が印加され
ると、第1分極領域群A1〜A5の位置の圧電素子53
が振動し、振動弾性体52が図33(B)の実線と破線
に示すような定在波振動を発生する。詳述すると、第1
電極板に高周波交流電圧が印加されると、第1分極領域
群A1〜A5の位置の圧電素子53は、各領域A1〜A
5の各中間位置がそれぞれ振動の極値(山と谷)となる
ように、すなわち各駆動用突起56が振動の中腹となる
ように振動しようとする。このとき、駆動用突起56に
対して補助突起57が設けられているため、駆動用突起
56の質量等が影響して、振動の極値(山と谷)が中間
位置より駆動用突起56側に偏ってしまうことは低減さ
れる。即ち、各駆動用突起56が振動の中腹からずれて
しまい振動の極値(山と谷)になってしまうことは低減
される。従って、各領域A1〜A5の各中間位置がほぼ
振動の極値(山と谷)となり、各駆動用突起56が振動
の中腹となるように振動する。すると、各駆動用突起5
6では、水平方向の振動成分が大きな理論上と同様の楕
円振動が生じる。そして、この楕円振動は、駆動用突起
56がロータ50と接触するとき(振動の中腹となると
き)、ロータ50を図33(B)において右方向に押し
出すように作用する。よって、ロータ50は反時計回り
方向に回転する。尚、図33(B)では、動作を分かり
やすく説明するために振動弾性体52の振動幅を大きく
図示している。
【0083】逆に、電圧制御装置より第2電極板に高周
波交流電圧が印加されると、第2分極領域群B1〜B5
の位置の圧電素子53が振動し、振動弾性体52が図3
3(C)の実線と破線に示すような定在波振動を発生す
る。詳述すると、第2電極板に高周波交流電圧が印加さ
れると、該第2分極領域群B1〜B5の位置の圧電素子
53は、各領域B1〜B5の各中間位置がそれぞれ振動
の極値(山と谷)となるように、すなわち各駆動用突起
56が振動の中腹となるように振動しようとする。この
とき、駆動用突起56に対して補助突起57が設けられ
ているため、駆動用突起56の質量等が影響して、振動
の極値(山と谷)が中間位置より駆動用突起56側に偏
ってしまうことは低減される。すなわち、各駆動用突起
56が振動の中腹からずれてしまい振動の極値(山と
谷)になってしまうことは低減される。従って、各領域
B1〜B5の各中間位置がほぼ振動の極値(山と谷)と
なり、各駆動用突起56が振動の中腹となるように振動
する。すると、各駆動用突起56では、水平方向の振動
成分が大きな理論上と同様の楕円振動が生じる。そし
て、この楕円振動は、駆動用突起56がロータ50と接
触するとき(振動の中腹となるとき)、ロータ50を図
33(C)において左方向に押し出すように作用する。
よって、ロータ50は時計回り方向に回転する。尚、図
33(C)では、動作を分かりやすく説明するために振
動弾性体52の振動幅を大きく図示している。
波交流電圧が印加されると、第2分極領域群B1〜B5
の位置の圧電素子53が振動し、振動弾性体52が図3
3(C)の実線と破線に示すような定在波振動を発生す
る。詳述すると、第2電極板に高周波交流電圧が印加さ
れると、該第2分極領域群B1〜B5の位置の圧電素子
53は、各領域B1〜B5の各中間位置がそれぞれ振動
の極値(山と谷)となるように、すなわち各駆動用突起
56が振動の中腹となるように振動しようとする。この
とき、駆動用突起56に対して補助突起57が設けられ
ているため、駆動用突起56の質量等が影響して、振動
の極値(山と谷)が中間位置より駆動用突起56側に偏
ってしまうことは低減される。すなわち、各駆動用突起
56が振動の中腹からずれてしまい振動の極値(山と
谷)になってしまうことは低減される。従って、各領域
B1〜B5の各中間位置がほぼ振動の極値(山と谷)と
なり、各駆動用突起56が振動の中腹となるように振動
する。すると、各駆動用突起56では、水平方向の振動
成分が大きな理論上と同様の楕円振動が生じる。そし
て、この楕円振動は、駆動用突起56がロータ50と接
触するとき(振動の中腹となるとき)、ロータ50を図
33(C)において左方向に押し出すように作用する。
よって、ロータ50は時計回り方向に回転する。尚、図
33(C)では、動作を分かりやすく説明するために振
動弾性体52の振動幅を大きく図示している。
【0084】以上詳述したように、本実施形態によれ
ば、以下の効果が得られる。 (1)駆動用突起56の他に、ロータ50に当たらない
高さの補助突起57を形成し、駆動用突起56の質量等
が圧電素子53の振動におよぼす影響を補助突起57に
よってほぼ相殺されるようにした。従って、第1分極領
域A1〜A5や第2分極領域B1〜B5の各中間位置が
定在波振動の極値(山と谷)となり、各駆動用突起56
が振動の中腹となるようにすることができる。よって、
振動弾性体52および圧電素子53では理論上と同様の
定在波振動が発生し、各駆動用突起56では、ほぼ理論
通りの楕円振動が生じるため、ロータ50を効率良く回
転させることができる。
ば、以下の効果が得られる。 (1)駆動用突起56の他に、ロータ50に当たらない
高さの補助突起57を形成し、駆動用突起56の質量等
が圧電素子53の振動におよぼす影響を補助突起57に
よってほぼ相殺されるようにした。従って、第1分極領
域A1〜A5や第2分極領域B1〜B5の各中間位置が
定在波振動の極値(山と谷)となり、各駆動用突起56
が振動の中腹となるようにすることができる。よって、
振動弾性体52および圧電素子53では理論上と同様の
定在波振動が発生し、各駆動用突起56では、ほぼ理論
通りの楕円振動が生じるため、ロータ50を効率良く回
転させることができる。
【0085】(2)駆動用突起56は延出部58aを自
身の内面に密着するように二つ折りされたその先端面が
板材58の表面に密着した状態に形成されたものである
ので、従来の板を単にL字状に折り曲げただけの突起構
造に比べ、振動伝達域が広く確保される。よって、楕円
振動の振幅を大きく確保して高トルクを得ることができ
る。その他、第1実施形態において(4),(5)で述
べたと同様の効果が得られる。
身の内面に密着するように二つ折りされたその先端面が
板材58の表面に密着した状態に形成されたものである
ので、従来の板を単にL字状に折り曲げただけの突起構
造に比べ、振動伝達域が広く確保される。よって、楕円
振動の振幅を大きく確保して高トルクを得ることができ
る。その他、第1実施形態において(4),(5)で述
べたと同様の効果が得られる。
【0086】(第10実施形態)以下、本発明を定在波
型の超音波モータに具体化した第10実施形態を、図3
4〜図38に従って説明する。尚、本実施形態は、第9
実施形態における振動弾性体52の変形例であるため、
同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
型の超音波モータに具体化した第10実施形態を、図3
4〜図38に従って説明する。尚、本実施形態は、第9
実施形態における振動弾性体52の変形例であるため、
同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0087】図34,図35に示すように、ステータ5
1は、振動弾性体52と、圧電素子53とを備えてい
る。振動弾性体52は円環状の鋼体にて形成され、振動
弾性体52の周方向には突起としての複数の駆動用突起
60および複数の補助突起61が形成されている。補助
突起61は駆動用突起60の両側に隣接して一対ずつ配
置され、隣合った補助突起61の間には間隔が開けられ
ている。詳述すると、振動弾性体52には、12個の駆
動用突起60が周方向に等間隔(突起の中心が各30°
間隔)で形成されている。そして、その隣り合う各駆動
用突起60の間には、隣合った補助突起61の間隔によ
る隙間によってできた補助凹部63が形成されている。
尚、本実施形態では、駆動用突起60と補助凹部63が
それぞれ等間隔(各15°間隔)で形成されている。
1は、振動弾性体52と、圧電素子53とを備えてい
る。振動弾性体52は円環状の鋼体にて形成され、振動
弾性体52の周方向には突起としての複数の駆動用突起
60および複数の補助突起61が形成されている。補助
突起61は駆動用突起60の両側に隣接して一対ずつ配
置され、隣合った補助突起61の間には間隔が開けられ
ている。詳述すると、振動弾性体52には、12個の駆
動用突起60が周方向に等間隔(突起の中心が各30°
間隔)で形成されている。そして、その隣り合う各駆動
用突起60の間には、隣合った補助突起61の間隔によ
る隙間によってできた補助凹部63が形成されている。
尚、本実施形態では、駆動用突起60と補助凹部63が
それぞれ等間隔(各15°間隔)で形成されている。
【0088】図36に示すように、振動弾性体52は、
略円環状の1枚の板材62から形成されている。板材6
2には、外側に向かってそれぞれ放射状に延びる長い延
出部62aと短い延出部62bとが周方向に交互に形成
されている。板材62は、打抜きされたものである。図
29,図30,図32に示すように、延出部62aを板
材62の面と直交する方向に折り曲げた後、次に自身の
内面に密着させるように二つ折りに曲げることにより駆
動用突起60が形成されている。延出部62aの先端面
は板材62の表面に完全に密着しており、振動伝達域が
広く確保されるようになっている。また、延出部62b
を内側へ板材62の面に密着させるように折り曲げるこ
とにより補助用突起61が形成されている。
略円環状の1枚の板材62から形成されている。板材6
2には、外側に向かってそれぞれ放射状に延びる長い延
出部62aと短い延出部62bとが周方向に交互に形成
されている。板材62は、打抜きされたものである。図
29,図30,図32に示すように、延出部62aを板
材62の面と直交する方向に折り曲げた後、次に自身の
内面に密着させるように二つ折りに曲げることにより駆
動用突起60が形成されている。延出部62aの先端面
は板材62の表面に完全に密着しており、振動伝達域が
広く確保されるようになっている。また、延出部62b
を内側へ板材62の面に密着させるように折り曲げるこ
とにより補助用突起61が形成されている。
【0089】また、駆動用突起60は、振動弾性体52
の外周側ほど幅が広く、隣合う側面が互いに平行とな
る、平面視における台形状を有している。このため、駆
動用突起60とロータ50との接触面積が外周側で広く
確保され、ロータ50の内外周で駆動力がずれ難くなっ
ている。なお、圧電素子53を駆動用突起60の内外径
に挟まれた範囲内に配置してよいことはもちろんであ
り、このような構成にすれば、圧電素子53からの振動
を駆動用突起60に一層無駄なく伝達することができ
る。
の外周側ほど幅が広く、隣合う側面が互いに平行とな
る、平面視における台形状を有している。このため、駆
動用突起60とロータ50との接触面積が外周側で広く
確保され、ロータ50の内外周で駆動力がずれ難くなっ
ている。なお、圧電素子53を駆動用突起60の内外径
に挟まれた範囲内に配置してよいことはもちろんであ
り、このような構成にすれば、圧電素子53からの振動
を駆動用突起60に一層無駄なく伝達することができ
る。
【0090】振動弾性体52の下面には、第8実施形態
と同様の圧電素子53が固着される。圧電素子53と、
駆動用突起60および補助凹部63との位置関係は図3
8(A)に示す概略図のようになっている。図38
(A)は、圧電素子53の周方向の間隔を直線上に展開
して示した概略図である。第1および第2フィードバッ
ク用分極領域F1,F2と対応する各駆動用突起60
は、それぞれの領域F1,F2内において中間位置に配
置されている。各第1および第2分極領域A1〜A5,
B1〜B5と対応する各駆動用突起60は、それぞれの
領域A1〜A5,B1〜B5内において中間位置より第
1フィードバック用分極領域F1側に偏った位置に配置
されている。また、各第1および第2分極領域A1〜A
5,B1〜B5と対応する各補助凹部63は、それぞれ
の領域A1〜A5,B1〜B5内において中間位置より
第2フィードバック用分極領域F2側に偏った位置に配
置されている。また、圧電素子53の下面には、第8実
施形態と同様に第1および第2電極板が設けられてい
る。このステータ51の上面には、ロータ50が摺動回
転可能に圧接されている。
と同様の圧電素子53が固着される。圧電素子53と、
駆動用突起60および補助凹部63との位置関係は図3
8(A)に示す概略図のようになっている。図38
(A)は、圧電素子53の周方向の間隔を直線上に展開
して示した概略図である。第1および第2フィードバッ
ク用分極領域F1,F2と対応する各駆動用突起60
は、それぞれの領域F1,F2内において中間位置に配
置されている。各第1および第2分極領域A1〜A5,
B1〜B5と対応する各駆動用突起60は、それぞれの
領域A1〜A5,B1〜B5内において中間位置より第
1フィードバック用分極領域F1側に偏った位置に配置
されている。また、各第1および第2分極領域A1〜A
5,B1〜B5と対応する各補助凹部63は、それぞれ
の領域A1〜A5,B1〜B5内において中間位置より
第2フィードバック用分極領域F2側に偏った位置に配
置されている。また、圧電素子53の下面には、第8実
施形態と同様に第1および第2電極板が設けられてい
る。このステータ51の上面には、ロータ50が摺動回
転可能に圧接されている。
【0091】このように構成された超音波モータは、電
圧制御装置より第1電極板に高周波交流電圧が印加され
ると、第1分極領域群A1〜A5の位置の圧電素子53
が振動し、振動弾性体52が図38(B)の実線と破線
に示すような定在波振動を発生する。詳述すると、第1
電極板に高周波交流電圧が印加されると、第1分極領域
群A1〜A5の位置の圧電素子53は、各領域A1〜A
5の各中間位置がそれぞれ振動の極値(山と谷)となる
ように、すなわち各駆動用突起60が振動の中腹となる
ように振動しようとする。このとき、駆動用突起60に
対して補助凹部63が設けられているため、駆動用突起
60の質量等が影響して、振動の極値(山と谷)が中間
位置より駆動用突起60側に偏ってしまうことは低減さ
れる。すなわち、各駆動用突起60が振動の中腹からず
れてしまい振動の極値(山と谷)になってしまうことは
低減される。従って、各領域A1〜A5の各中間位置が
ほぼ振動の極値(山と谷)となり、各駆動用突起60が
振動の中腹となるように振動する。すると、各駆動用突
起60では、水平方向の振動成分が大きな理論上と同様
の楕円振動が生じる。そして、この楕円振動は、駆動用
突起60がロータ50と接触するとき(振動の中腹とな
るとき)、ロータ50を図38(B)において右方向に
押し出すように作用する。よって、ロータ50は反時計
回り方向に回転する。尚、図38(B)では、動作を分
かりやすく説明するために振動弾性体52の振動幅を大
きく図示している。
圧制御装置より第1電極板に高周波交流電圧が印加され
ると、第1分極領域群A1〜A5の位置の圧電素子53
が振動し、振動弾性体52が図38(B)の実線と破線
に示すような定在波振動を発生する。詳述すると、第1
電極板に高周波交流電圧が印加されると、第1分極領域
群A1〜A5の位置の圧電素子53は、各領域A1〜A
5の各中間位置がそれぞれ振動の極値(山と谷)となる
ように、すなわち各駆動用突起60が振動の中腹となる
ように振動しようとする。このとき、駆動用突起60に
対して補助凹部63が設けられているため、駆動用突起
60の質量等が影響して、振動の極値(山と谷)が中間
位置より駆動用突起60側に偏ってしまうことは低減さ
れる。すなわち、各駆動用突起60が振動の中腹からず
れてしまい振動の極値(山と谷)になってしまうことは
低減される。従って、各領域A1〜A5の各中間位置が
ほぼ振動の極値(山と谷)となり、各駆動用突起60が
振動の中腹となるように振動する。すると、各駆動用突
起60では、水平方向の振動成分が大きな理論上と同様
の楕円振動が生じる。そして、この楕円振動は、駆動用
突起60がロータ50と接触するとき(振動の中腹とな
るとき)、ロータ50を図38(B)において右方向に
押し出すように作用する。よって、ロータ50は反時計
回り方向に回転する。尚、図38(B)では、動作を分
かりやすく説明するために振動弾性体52の振動幅を大
きく図示している。
【0092】逆に、電圧制御装置より第2電極板に高周
波交流電圧が印加されると、第2分極領域群B1〜B5
の位置の圧電素子53が振動し、振動弾性体52が図3
8(C)の実線と破線に示すような定在波振動を発生す
る。詳述すると、第2電極板に高周波交流電圧が印加さ
れると、該第2分極領域群B1〜B5の位置の圧電素子
53は、各領域B1〜B5の各中間位置がそれぞれ振動
の極値(山と谷)となるように、即ち各駆動用突起60
が振動の中腹となるように振動しようとする。このと
き、駆動用突起60に対して補助凹部63が設けられて
いるため、駆動用突起60の質量等が影響して、振動の
極値(山と谷)が中間位置より駆動用突起60側に偏っ
てしまうことは低減される。すなわち、各駆動用突起6
0が振動の中腹からずれてしまい振動の極値(山と谷)
になってしまうことは低減される。従って、各領域B1
〜B5の各中間位置がほぼ振動の極値(山と谷)とな
り、各駆動用突起60が振動の中腹となるように振動す
る。すると、各駆動用突起60では、水平方向の振動成
分が大きな理論上と同様の楕円振動が生じる。そして、
この楕円振動は、駆動用突起60がロータ50と接触す
るとき(振動の中腹となるとき)、ロータ50を図38
(C)において左方向に押し出すように作用する。よっ
て、ロータ50は時計回り方向に回転する。尚、図38
(C)では、動作を分かりやすく説明するために振動弾
性体52の振動幅を大きく図示している。
波交流電圧が印加されると、第2分極領域群B1〜B5
の位置の圧電素子53が振動し、振動弾性体52が図3
8(C)の実線と破線に示すような定在波振動を発生す
る。詳述すると、第2電極板に高周波交流電圧が印加さ
れると、該第2分極領域群B1〜B5の位置の圧電素子
53は、各領域B1〜B5の各中間位置がそれぞれ振動
の極値(山と谷)となるように、即ち各駆動用突起60
が振動の中腹となるように振動しようとする。このと
き、駆動用突起60に対して補助凹部63が設けられて
いるため、駆動用突起60の質量等が影響して、振動の
極値(山と谷)が中間位置より駆動用突起60側に偏っ
てしまうことは低減される。すなわち、各駆動用突起6
0が振動の中腹からずれてしまい振動の極値(山と谷)
になってしまうことは低減される。従って、各領域B1
〜B5の各中間位置がほぼ振動の極値(山と谷)とな
り、各駆動用突起60が振動の中腹となるように振動す
る。すると、各駆動用突起60では、水平方向の振動成
分が大きな理論上と同様の楕円振動が生じる。そして、
この楕円振動は、駆動用突起60がロータ50と接触す
るとき(振動の中腹となるとき)、ロータ50を図38
(C)において左方向に押し出すように作用する。よっ
て、ロータ50は時計回り方向に回転する。尚、図38
(C)では、動作を分かりやすく説明するために振動弾
性体52の振動幅を大きく図示している。
【0093】以上詳述したように、本実施形態によれ
ば、以下の効果が得られる。 (1)振動弾性体52は複数の駆動用突起60間に補助
凹部63を有するので、駆動用突起60の質量等が圧電
素子53の振動におよぼす影響は補助凹部63にてほぼ
解消される。従って、第1分極領域A1〜A5や第2分
極領域B1〜B5の各中間位置がそれぞれ定在波振動の
極値(山と谷)となるように、各駆動用突起60が振動
の中腹となるようにすることができる。よって、振動弾
性体52及び圧電素子53では理論上と同様の定在波振
動が発生する。その結果、各駆動用突起60に、理論通
りに楕円振動が生じるため、ロータ50を効率良く回転
させることができる。
ば、以下の効果が得られる。 (1)振動弾性体52は複数の駆動用突起60間に補助
凹部63を有するので、駆動用突起60の質量等が圧電
素子53の振動におよぼす影響は補助凹部63にてほぼ
解消される。従って、第1分極領域A1〜A5や第2分
極領域B1〜B5の各中間位置がそれぞれ定在波振動の
極値(山と谷)となるように、各駆動用突起60が振動
の中腹となるようにすることができる。よって、振動弾
性体52及び圧電素子53では理論上と同様の定在波振
動が発生する。その結果、各駆動用突起60に、理論通
りに楕円振動が生じるため、ロータ50を効率良く回転
させることができる。
【0094】(2)駆動用突起60は延出部62aを自
身の内面に密着するように二つ折りされたその先端面が
板材62の表面に密着した状態に形成されたものである
ので、従来の板を単にL字状に折り曲げただけの突起構
造に比べ、振動伝達域が広く確保される。よって、楕円
振動の振幅を大きく確保して高トルクを得ることができ
る。その他、第1実施形態において(4),(5)で述
べたと同様の効果が得られる。
身の内面に密着するように二つ折りされたその先端面が
板材62の表面に密着した状態に形成されたものである
ので、従来の板を単にL字状に折り曲げただけの突起構
造に比べ、振動伝達域が広く確保される。よって、楕円
振動の振幅を大きく確保して高トルクを得ることができ
る。その他、第1実施形態において(4),(5)で述
べたと同様の効果が得られる。
【0095】上記各実施形態に限定されず、以下のよう
に実施してもよい。 ○ 前記各実施形態では、板材の延出部を二つ折りに曲
げて突起を形成したが、延出部を三つ折り以上の複数折
りに折り曲げて突起を形成する構成でもよい。また、肉
厚を稼ぐために設けた延出部を二つ折りに折り曲げて肉
厚部を形成し、突起形成用に設けた延出部を三つ折りに
折り曲げて突起を形成することで、肉厚部より高く突起
を形成できるようにしてもよい。
に実施してもよい。 ○ 前記各実施形態では、板材の延出部を二つ折りに曲
げて突起を形成したが、延出部を三つ折り以上の複数折
りに折り曲げて突起を形成する構成でもよい。また、肉
厚を稼ぐために設けた延出部を二つ折りに折り曲げて肉
厚部を形成し、突起形成用に設けた延出部を三つ折りに
折り曲げて突起を形成することで、肉厚部より高く突起
を形成できるようにしてもよい。
【0096】○ 前記各実施形態においては、板材の延
出部は外側または内側に突出していたが、板の内周と外
周の間の中間部位に切込みを入れて径方向に折り曲げ可
能な延出部を形成してもよい。この構成によれば、延出
部の折り曲げにより突起を形成でき、しかも延出部を折
り曲げた跡にできた孔が中央部への振動を抑制するため
の機能を果たす。
出部は外側または内側に突出していたが、板の内周と外
周の間の中間部位に切込みを入れて径方向に折り曲げ可
能な延出部を形成してもよい。この構成によれば、延出
部の折り曲げにより突起を形成でき、しかも延出部を折
り曲げた跡にできた孔が中央部への振動を抑制するため
の機能を果たす。
【0097】○ 板材は打抜き形成に限定されない。レ
ーザー切断などの切断によってもよい。 ○ 突起の数や幅は前記各実施形態に限定されず、超音
波モータの仕様に応じて適宜の値を設定することができ
る。
ーザー切断などの切断によってもよい。 ○ 突起の数や幅は前記各実施形態に限定されず、超音
波モータの仕様に応じて適宜の値を設定することができ
る。
【0098】○ 前記各実施形態では、振動弾性体と圧
電素子とをろう付けにて固着したが、接着剤を用いて固
着してもよい。 ○ 第7実施形態において振動弾性体の周縁部から中央
部への振動伝達通路を狭くするために孔37を設けた
が、孔に限定されない。例えば溝を設けてもよい。
電素子とをろう付けにて固着したが、接着剤を用いて固
着してもよい。 ○ 第7実施形態において振動弾性体の周縁部から中央
部への振動伝達通路を狭くするために孔37を設けた
が、孔に限定されない。例えば溝を設けてもよい。
【0099】○ 前記第8実施形態から第10実施形態
では、突起の数を、各突起の中心が30°間隔となる1
2個としたが、その他の数を用いてもかまわない。要
は、駆動源となる突起が定在波の腹に位置するようにす
ればよい。この場合、第9実施形態の補助突起の中心間
隔は、突起(駆動用突起)の間隔の中心に補助突起の中
心が位置するように、突起の中心間隔と同じ値をとるよ
うに変化させる。さらに補助突起の高さhが突起(駆動
用突起)の高さの1/2になっているが、突起(駆動用
突起)よりも低ければよい。さらに第10実施形態の補
助凹部の高さ(深さ)も任意である。
では、突起の数を、各突起の中心が30°間隔となる1
2個としたが、その他の数を用いてもかまわない。要
は、駆動源となる突起が定在波の腹に位置するようにす
ればよい。この場合、第9実施形態の補助突起の中心間
隔は、突起(駆動用突起)の間隔の中心に補助突起の中
心が位置するように、突起の中心間隔と同じ値をとるよ
うに変化させる。さらに補助突起の高さhが突起(駆動
用突起)の高さの1/2になっているが、突起(駆動用
突起)よりも低ければよい。さらに第10実施形態の補
助凹部の高さ(深さ)も任意である。
【0100】○上記各実施形態では、ロータ13および
ステータ8が円環状に形成されて回転軸5が回転運動を
する超音波モータとしたが、可動体およびステータを直
線状に形成したリニア超音波モータにおいて実施するこ
ともできる。この場合、振動弾性体の突起は、板材をそ
の長手方向に直交して延出する多数の延出部を有する1
枚とし、各延出部を板材の表面に全面で密着するように
折り曲げて突起を形成する。この構成によれば、突起の
振動伝達域を広く確保できるので、リニア用ステータ
を、ベースリングを無くした圧電素子との二部材だけか
ら構成できる。
ステータ8が円環状に形成されて回転軸5が回転運動を
する超音波モータとしたが、可動体およびステータを直
線状に形成したリニア超音波モータにおいて実施するこ
ともできる。この場合、振動弾性体の突起は、板材をそ
の長手方向に直交して延出する多数の延出部を有する1
枚とし、各延出部を板材の表面に全面で密着するように
折り曲げて突起を形成する。この構成によれば、突起の
振動伝達域を広く確保できるので、リニア用ステータ
を、ベースリングを無くした圧電素子との二部材だけか
ら構成できる。
【0101】上記各実施形態から把握できる請求項以外
の技術思想を、以下にその効果とともに記載する。 (イ)突起になる延出部を有する形状の板材に打ち抜く
打抜工程と、前記延出部を前記板材の表面に密着する状
態に折り曲げることにより複数の突起が周方向に列設さ
れた振動弾性体を製造する折曲工程と、前記振動弾性体
の裏面に圧電素子を固定する組立工程とからなる超音波
モータ用ステータの製造方法。この製造方法によれば、
振動弾性体の突起の部分に振動伝達域が広く確保される
ので、ベースリングなどの部材を無くすことができ、ス
テータを振動弾性体と圧電素子との二部材だけで構成で
きる。
の技術思想を、以下にその効果とともに記載する。 (イ)突起になる延出部を有する形状の板材に打ち抜く
打抜工程と、前記延出部を前記板材の表面に密着する状
態に折り曲げることにより複数の突起が周方向に列設さ
れた振動弾性体を製造する折曲工程と、前記振動弾性体
の裏面に圧電素子を固定する組立工程とからなる超音波
モータ用ステータの製造方法。この製造方法によれば、
振動弾性体の突起の部分に振動伝達域が広く確保される
ので、ベースリングなどの部材を無くすことができ、ス
テータを振動弾性体と圧電素子との二部材だけで構成で
きる。
【0102】(ロ)請求項1〜請求項6のいずれか一項
において、前記突起は、前記板材の外側に放射状に延出
する延出部を内側に折り曲げて形成されている。この構
成によれば、振動弾性体に突起を密に形成し易い。
において、前記突起は、前記板材の外側に放射状に延出
する延出部を内側に折り曲げて形成されている。この構
成によれば、振動弾性体に突起を密に形成し易い。
【0103】(ハ)請求項1〜請求項6のいずれか一項
において、前記突起は、前記板材の内側に放射状に延出
する延出部を外側に折り曲げて形成されている。この構
成によれば、板材を打抜くときの取数を多くすることが
できる。
において、前記突起は、前記板材の内側に放射状に延出
する延出部を外側に折り曲げて形成されている。この構
成によれば、板材を打抜くときの取数を多くすることが
できる。
【0104】(ニ)請求項1〜請求項6及び前記
(ロ),(ハ)のいずれか一つにおいて、前記振動弾性
体は、前記突起より中心寄りに周縁部から中央部への振
動の伝達を小さく抑制する振動抑制部を有している。こ
の構成によれば、振動抑制部によって圧電素子からの振
動が振動弾性体の中央部へ逃げないように遮ることがで
きる。なお、振動抑制部は、屈曲部29c、肉厚部33
b、孔37により構成される。
(ロ),(ハ)のいずれか一つにおいて、前記振動弾性
体は、前記突起より中心寄りに周縁部から中央部への振
動の伝達を小さく抑制する振動抑制部を有している。こ
の構成によれば、振動抑制部によって圧電素子からの振
動が振動弾性体の中央部へ逃げないように遮ることがで
きる。なお、振動抑制部は、屈曲部29c、肉厚部33
b、孔37により構成される。
【0105】(ホ)請求項1〜請求項6及び前記(ロ)
〜(ニ)のいずれか一つに記載の振動弾性体。この振動
弾性体によれば、請求項1〜請求項6及び前記(ロ)〜
(ニ)のいずれか一つに記載の発明と同様の効果が得ら
れる。
〜(ニ)のいずれか一つに記載の振動弾性体。この振動
弾性体によれば、請求項1〜請求項6及び前記(ロ)〜
(ニ)のいずれか一つに記載の発明と同様の効果が得ら
れる。
【0106】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1及び請求項
6に記載の発明によれば、一枚の板材に形成した多数の
延出部を板材の表面に接触するように折り曲げることで
多数の突起を形成したので、圧電素子から突起に振動が
伝達されるときの振動伝達域を広く確保できる。よっ
て、突起の可動体との接触面に必要な振幅の振動波を発
生させることができ、ベースリングなどの振動を伝達さ
せる助けとなる補助部材を無くすことができる。
6に記載の発明によれば、一枚の板材に形成した多数の
延出部を板材の表面に接触するように折り曲げることで
多数の突起を形成したので、圧電素子から突起に振動が
伝達されるときの振動伝達域を広く確保できる。よっ
て、突起の可動体との接触面に必要な振幅の振動波を発
生させることができ、ベースリングなどの振動を伝達さ
せる助けとなる補助部材を無くすことができる。
【0107】請求項2及び請求項6に記載の発明によれ
ば、延出部が板材の表面に全面で密着状態に折り曲げら
れることで突起が形成されるので、圧電素子からの振動
を突起に効率良く伝達することができる。
ば、延出部が板材の表面に全面で密着状態に折り曲げら
れることで突起が形成されるので、圧電素子からの振動
を突起に効率良く伝達することができる。
【0108】請求項3及び請求項6に記載の発明によれ
ば、突起は外周側が幅広に形成されているため、振動弾
性体と可動体との接触面積を外周側で広く確保でき、振
動弾性体から可動体に伝達される駆動力の内外周でのず
れを小さく抑えることができる。
ば、突起は外周側が幅広に形成されているため、振動弾
性体と可動体との接触面積を外周側で広く確保でき、振
動弾性体から可動体に伝達される駆動力の内外周でのず
れを小さく抑えることができる。
【0109】請求項4及び請求項6に記載の発明によれ
ば、突起の隣接するもの同士の対向する側面がほぼ平行
をなすので、振動弾性体から可動体に伝達される駆動力
の内外周でのずれを一層小さく抑えることができる。
ば、突起の隣接するもの同士の対向する側面がほぼ平行
をなすので、振動弾性体から可動体に伝達される駆動力
の内外周でのずれを一層小さく抑えることができる。
【0110】請求項5及び請求項6に記載の発明によれ
ば、圧電素子はその内外径が突起の内外径の間に挟まれ
た範囲内に位置しているので、圧電素子からの振動を無
駄なく突起の可動体との接触面に伝達することができ
る。
ば、圧電素子はその内外径が突起の内外径の間に挟まれ
た範囲内に位置しているので、圧電素子からの振動を無
駄なく突起の可動体との接触面に伝達することができ
る。
【図1】第1実施形態におけるステータの一部切り欠い
た斜視図。
た斜視図。
【図2】同じく側断面図。
【図3】打抜き工程を説明する断面図。
【図4】板材の平面図。
【図5】折曲成形工程を説明する断面図。
【図6】振動弾性体の斜視図。
【図7】超音波モータの側断面図。
【図8】第2実施形態におけるステータの一部切り欠い
た斜視図。
た斜視図。
【図9】同じく側断面図。
【図10】板材の平面図。
【図11】振動弾性体の斜視図。
【図12】第3実施形態におけるステータの一部切り欠
いた斜視図。
いた斜視図。
【図13】同じく側断面図。
【図14】板材の平面図。
【図15】第4実施形態におけるステータの一部切り欠
いた斜視図。
いた斜視図。
【図16】同じく側断面図。
【図17】第5実施形態におけるステータの一部切り欠
いた斜視図。
いた斜視図。
【図18】同じく側断面図。
【図19】第6実施形態におけるステータの一部切り欠
いた斜視図。
いた斜視図。
【図20】同じく側断面図。
【図21】板材の平面図。
【図22】振動弾性体の平面図。
【図23】第7実施形態におけるステータの一部切り欠
いた斜視図。
いた斜視図。
【図24】同じく側断面図。
【図25】板材の平面図。
【図26】振動弾性体の平面図。
【図27】第8実施形態のロータおよびステータを示す
分解斜視図。
分解斜視図。
【図28】(A)はステータを周方向に展開した概略図
であり、(B),(C)はステータの動作を説明するた
めの説明図。
であり、(B),(C)はステータの動作を説明するた
めの説明図。
【図29】第8実施形態におけるステータの一部切り欠
いた斜視図。
いた斜視図。
【図30】同じく側断面図。
【図31】板材の平面図。
【図32】振動弾性体の平面図。
【図33】(A)はステータを周方向に展開した概略図
であり、(B),(C)はステータの動作を説明するた
めの説明図。
であり、(B),(C)はステータの動作を説明するた
めの説明図。
【図34】第8実施形態におけるステータの一部切り欠
いた斜視図。
いた斜視図。
【図35】同じく側断面図。
【図36】板材の平面図。
【図37】振動弾性体の平面図。
【図38】(A)はステータを周方向に展開した概略図
であり、(B),(C)はステータの動作を説明するた
めの説明図。
であり、(B),(C)はステータの動作を説明するた
めの説明図。
【図39】従来技術におけるステータの分解斜視図。
【図40】同じくステータの部分側断面図。
1…超音波モータ、8,51…ステータ、9,25,2
7,29,31,33,35,52…振動弾性体、1
0,53…圧電素子、9a,25a,27a,29a,
31a,33a,35a,54…突起、12,26,2
8,30,34,36,55,58,62…板材、12
a,26a,28a,28b,30a,34a,36
a,55a,58a,62a…延出部、13,50…可
動体としてのロータ、56,60…突起としての駆動用
突起。
7,29,31,33,35,52…振動弾性体、1
0,53…圧電素子、9a,25a,27a,29a,
31a,33a,35a,54…突起、12,26,2
8,30,34,36,55,58,62…板材、12
a,26a,28a,28b,30a,34a,36
a,55a,58a,62a…延出部、13,50…可
動体としてのロータ、56,60…突起としての駆動用
突起。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平7−87759(JP,A)
特開 平8−214569(JP,A)
特開 平5−168262(JP,A)
特開 平8−298793(JP,A)
実開 平3−105780(JP,U)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
H02N 2/00
Claims (6)
- 【請求項1】 一枚の板材(12,26,28,30,
34,36,55,58,62)に形成された多数の延
出部(12a,26a,28a,28b,30a,34
a,36a,55a,58a,62a)を該板材(1
2,26,28,30,34,36,55,58,6
2)の表面に接触するように折り曲げることで、可動体
(13,50)と接触することになる多数の突起(9
a,25a,27a,29a,31a,33a,35
a,54,56,60)が列設されている振動弾性体
(9,25,27,29,31,33,35,52)
と、 前記振動弾性体(9,25,27,29,31,33,
35,52)の裏面に固定された圧電素子(10,5
3)とを備えたことを特徴とする超音波モータ用ステー
タ。 - 【請求項2】 前記突起(9a,25a,27a,29
a,31a,33a,35a,54,56,60)は、
前記延出部(12a,26a,28a,28b,30
a,34a,36a,55a,58a,62a)が前記
板材(12,26,28,30,34,36,55,5
8,62)の表面に全面で密着する状態に折り曲げられ
て形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超
音波モータ用ステータ。 - 【請求項3】 前記振動弾性体(9,25,27,2
9,31,33,35,52)は円環状を有し、前記突
起(9a,25a,27a,29a,31a,33a,
35a,54,56,60)は、その外周側ほど幅広に
形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2
に記載の超音波モータ用ステータ。 - 【請求項4】 前記突起(9a,25a,27a,29
a,31a,33a,35a,54,56,60)は、
隣接するもの同士の対向する各側面がほぼ平行をなすよ
うに形成されていることを特徴とする請求項3に記載の
超音波モータ用ステータ。 - 【請求項5】 前記圧電素子(10,53)は円環状を
有し、その内外径が前記突起(9a,25a,27a,
29a,31a,35a,54)の内外径で挟まれた範
囲内に位置するように、前記振動弾性体(9,25,2
7,29,31,35,52)に固定されていることを
特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の
超音波モータ用ステータ。 - 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記
載の前記ステータ(8,51)を備えた超音波モータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35556097A JP3492505B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 超音波モータ用ステータ及び超音波モータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35556097A JP3492505B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 超音波モータ用ステータ及び超音波モータ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11187674A JPH11187674A (ja) | 1999-07-09 |
JP3492505B2 true JP3492505B2 (ja) | 2004-02-03 |
Family
ID=18444616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35556097A Expired - Fee Related JP3492505B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 超音波モータ用ステータ及び超音波モータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3492505B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100403647C (zh) * | 2005-01-10 | 2008-07-16 | 南京航空航天大学 | 小型直线超声电机 |
JP5066826B2 (ja) * | 2006-04-06 | 2012-11-07 | 株式会社ニコン | 駆動装置、電子機器、駆動装置の製造方法 |
-
1997
- 1997-12-24 JP JP35556097A patent/JP3492505B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11187674A (ja) | 1999-07-09 |
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