JP3488969B2 - 車両誘導装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両走行にしたがって
画面に写し出された道路地図上に車両の現在位置を更新
表示しながら、その道路地図上に予め設定された誘導経
路にしたがって車両の走行を誘導する車両誘導装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の車両誘導装置としては、
画面に写し出された道路地図上における出発点，目的地
およびその出発点から目的地に到るまでの途中の通過点
の目標となる各交差点を入力指定して道路地図上に車両
の誘導経路を予め設定したうえで、その道路地図上に車
両の現在位置を更新表示させながら、その誘導経路にし
たがって車両の走行を誘導するようにしている（特開昭
５８−７０１１７号公報参照）。

【０００３】また、従来、道路地図上に出発点から目的
地に到るまでの車両の誘導経路を設定する場合、出発点
と目的地とを結ぶ各経路における距離や通行料金などの
経路コストの面で有利な最適経路を自動的に設定するよ
うにしたものが開発されている（特開平１−１３８４０
９号公報参照）。

【０００４】このような車両誘導装置において、車両走
行に際して誘導経路から逸脱した場合、もとの誘導経路
に復帰するか、または目的地への新たな経路を設定しな
おして走行を続行することが考えられるが（もとの誘導
経路に復帰するための経路または新たに設定しなおされ
た経路を復帰経路と称する）、何れにしてもその復帰経
路は距離、時間、金銭などの面でコスト高となって不利
益となる。

【０００５】しかして、誘導経路から逸脱しないよう
に、車両がその誘導経路上にある交差点等の逸脱の可能
性ある地点にさしかかるたびにその交差点等における進
路を運転者に音声などによって報知するようにしたので
は、誘導経路上に多数ある交差点等ごとに頻繁に報知が
出されてうるさく感じられることがある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、車両走行に際して誘導経路から逸脱した場合、復
帰経路の経路コストが小さい場合にはあまり問題ない
が、その経路コストが大きい場合には甚大な不利益を被
ることになり、また、誘導経路から逸脱しないように頻
繁に誘導案内を出すのではうるさく感じられることがあ
る、ということである。

【０００７】

【発明を解決するための手段】本発明は、誘導経路から
逸脱した場合の復帰経路の経路コストが大きい場合の不
利益を回避するべく、予め誘導経路から逸脱する可能性
のある進路を予測して、その予測進路に逸脱した場合の
復帰経路を探索して、その探索された復帰経路の経路コ
ストを算出し、その経路コストが予め設定されたしきい
値を越えるか否かを判定したうえで、復帰経路の経路コ
ストがしきい値を越えていると判定された場合に、車両
走行に際してその予測進路に逸脱しないように警報また
は誘導案内を発して、運転者に注意を喚起するようにし
ている。

【０００８】

【実施例】図１は本発明による車両誘導装置の基本的な
構成例を示すもので、例えば車両のタイヤの回転に応じ
て単位走行距離ごとのパルス信号を出力する距離センサ
１ど、例えばヨー方向の角速度の変化を検出する車両の
走行にともなう方向変化量に比例した信号を出力する方
向センサ２と、距離センサ１からのパルス信号数をカウ
ントして車両の走行距離を計測するとともに、方向セン
サ２の出力信号にしたがってその進行方向の変化をわり
出すことにより車両の一定走行距離ごとにおけるＸ−Ｙ
座標上の現在位置を逐次演算によって求め、かつこの車
両走行案内装置全体の制御を行わせるマイクロコンピュ
ータからなる信号処理装置３と、その求められた現在位
置のデータを順次格納し、車両の有限の連続位置情報と
してそれを記憶保持する走行軌跡記憶装置４と、予めデ
ジタル地図データによる道路地図情報が記憶されている
地図情報記憶媒体５と、その記憶媒体５から必要なエリ
アの道路地図情報を選択的に読み出す記憶媒体再生装置
６と、その読み出された道路地図情報にもとづいて所定
の道路地図を画面に写し出すとともに、その画面に写し
出された道路地図上に、車両の現在位置をその位置にお
ける車両の進行方向とともに車両の走行にしたがって更
新的に表示させる表示装置７と、その表示装置７に表示
させる地図の選択指定、画面に表示される地図上におけ
る車両の出発点，目的地などの設定およびその間の最適
経路の自動設定、走行軌跡表示の選択指定、また表示縮
尺率の選択などの表示形態の設定変更などの各種操作指
令を信号処理装置３に与えることのできる操作装置８
と、警報または音声合成による誘導案内を発する報知器
９とによって構成されている。

【０００９】このように構成されたものでは、選択的に
読み出された道路地図が表示装置６の画面に映し出され
るとともに、その地図上において設定された出発点Ｓか
らの車両の走行にしたがって信号処理装置３により予め
設定された地図の縮尺率に応じてＸ−Ｙ座標上における
現在位置が刻々と演算によって求められ、その演算結果
が走行軌跡記憶装置４に逐次送られてその記憶内容が更
新されていくとともに、その記憶内容が読み出されて表
示装置７に送られる。

【００１０】それにより表示装置７には、例えば、図２
に示すように、その画面に表示された地図上に車両の現
在位置を示す表示マークＭ１，その現在位置における車
両の進行方向を示す表示マークＭ２および出発点Ｓから
現在位置に至るまでの走行軌跡表示マークＭ３が車両の
走行状態に追従して模擬的に表示される。

【００１１】そして、信号処理装置３において、地図情
報記憶媒体５から読み出したデジタル地図データにもと
づいて、地図上に設定された出発点Ｓから目的地Ｏに到
るまでの経路コスト面で有利な最適な誘導経路が探索さ
れ、その探索された誘導経路を特別な色で示すなどし
て、出発点Ｓからの車両の走行に際して自車の現在位置
がその誘導経路上にくるように誘導させるようにしてい
る。

【００１２】なお、出発点Ｓから目的地Ｏに到るまでの
経路コストを考慮した最適な誘導経路の探索は、従来の
手法がそのまま適用される。

【００１３】本発明では、このような車両誘導装置にあ
って、特に、信号処理装置３において、予め誘導経路か
ら逸脱する可能性のある進路を予測して、その予測進路
に逸脱した場合の復帰経路を探索する手段と、その探索
された復帰経路の経路コストを算出して、その経路コス
トが予め設定されたしきい値を越えるか否かを判定する
手段と、復帰経路の経路コストがしきい値を越えている
場合に車両走行に際してその予側進路に逸脱しないよう
に前以て警報または誘導案内を発する手段とをとるよう
にしている。

【００１４】具体的には、まず、地図上に出発点Ｓと目
的地Ｏとが設定されて最適な誘導経路が探索されると、
その誘導経路のデータが信号処理装置３の内部メモリの
誘導経路記憶部に記憶される。そして、その誘導経路に
沿って逸脱進路選出範囲が決定され、その範囲内で逸脱
の可能性がある予測進路が選出される。

【００１５】その際、例えば、右折すべき交差点が他の
交差点に接近しているなどの道路状況を考慮した所定の
判定アルゴリズムにしたがい、逸脱の可能性の高い進路
が優先的に選出される。そして、各選出される進路が優
先順位をもって信号処理装置３の内部メモリの逸脱進路
記憶部に記憶される。

【００１６】次いで、その選出された予測進路に逸脱し
た場合の復帰経路が探索され、その復帰経路の経路コス
トが計算される。そして、その算出された経路コストが
予め設定されたしきい値を越えるか否かの判定が、例え
ば、以下のようにして行われる。

【００１７】いま、経路を以下のようにあらわす。 Ｐｏ：誘導経路 Ｐ：復帰経路 Ｐｏ Ｐ：誘導経路と復帰経路との共通部分 Ｐｏ−Ｐｏ Ｐ：誘導経路のうちの復帰経路との非共通
部分 Ｐ−Ｐｏ Ｐ：復帰経路のうちの誘導経路との非共通部
分

【００１８】復帰経路Ｐの経路コストＣ（Ｐ）を、車両
走行の平均所要時間と通行料金とによって判断する。 Ｃｄ（Ｐ）：復帰経路の予想平均通過時間（区間距離×
区間予想平均速度の総和） Ｃｔ（Ｐ）：復帰経路の有料道路料金合計

【００１９】復帰経路の経路コストの判定条件を以下の
ように定める。 ΔＣｄ（Ｐ）＝Ｃｄ（Ｐ−Ｐｏ∩Ｐ）−Ｃｄ（Ｐｏ−Ｐ
ｏ∩Ｐ）＞１５分 または、 ΔＣｔ（Ｐ）＝Ｃｔ（Ｐ−Ｐｏ∩Ｐ）−Ｃｔ（Ｐｏ−Ｐ
ｏ∩Ｐ）＞０．１Ｃｔ（Ｐｏ−Ｐｏ∩Ｐ）

【００２０】ある逸脱の可能性のある予測進路に対して
求められた復帰経路の経路コストが上記の条件を満たす
とき、例えば、図３に示す関係にあって、ｘ点で誘導経
路Ｐｏから逸脱して図中点線で示す復帰経路Ｐを通って
もとの誘導経路Ｐｏに復帰する場合、その逸脱している
区間Ｂの平均通過時間から誘導経路Ｐｏにおける逸脱区
間Ａの平均通過時間を差し引いた時間が１５分以上かか
るとき、または区間Ｂを通ることにより区間Ａを通ると
きよりも通行料金が１０％以上高くなるときに、復帰経
路Ｐの経路コストが大きくなるものと判定される。

【００２１】そして、復帰経路Ｐの経路コストが大きく
なると判定されると、車両の走行に際して、自車の現在
位置が進路を逸脱する可能性の高いｘ点に到達する以前
に、報知器９から警報または音声合成による誘導案内が
発せられる。

【００２２】図４は、以上説明した逸脱進路の選出、復
帰経路の探索および復帰経路の経路コストの判定の処理
のフローを示している。

【００２３】また、車両の走行に際して、自車の現在位
置が誘導経路から実際に逸脱してしまった場合、信号処
理装置３において、そのときの逸脱した経路にしたがっ
て新たな誘導経路が作成され、その内部メモリの誘導経
路記憶部の記憶データが更新される。そして、その新た
に作成された誘導経路にしたがって前述の処理が継続し
て行われる。このときの処理のフローを図５に示してい
る。

【００２４】経路逸脱により新たな誘導経路が作成され
ることにより、逸脱進路選出範囲が新たに決定され、そ
の新たに範囲内で逸脱の可能性がある予測進路が選出さ
れて、信号処理装置３の内部メモリの逸脱進路記憶部の
記憶データが更新される。そして、その新たに選出され
た予測進路にしたがって前述の処理が継続して行われ
る。このときの処理のフローを図６に示している。

【００２５】

【効果】以上、本発明による車両誘導装置にあっては、
予め誘導経路から逸脱する可能性のある進路を予測した
うえで、その予測進路に逸脱した場合における復帰経路
の経路コストが所定以上に大きいか否かを判定して、復
帰経路の経路コストが大きいと判定された場合には、車
両走行に際してその予測進路に逸脱しないように警報ま
たは誘導案内を発して運転者に注意を喚起するようにし
ているため、その警報または誘導案内が頻繁に出されて
運転者がうるさく感じられることがなくなり、復帰経路
の経路コストが大きい場合の誘導経路からの逸脱による
不利益を有効に回避することができるという利点を有し
ている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による車両誘導装置の一実施例を示すブ
ロック構成図である。

【図２】車両誘導の表示画面の一例を示す図である。

【図３】誘導経路から逸脱した復帰経路の一例を示す図
である。

【図４】復帰経路の探索および復帰経路の経路コストの
判定の処理のフローを示す図である。

【図５】車両の現在位置が誘導経路から逸脱したときの
処理のフローを示す図である。

【図６】逸脱経路選出範囲が変化したときの処理のフロ
ーを示す図である。

【符号の説明】

１ 距離センサ ２ 方向センサ ３ 信号処理装置 ４ 走行軌跡記憶装置 ５ 地図情報記憶媒体 ６ 記憶媒体再生装置 ７ 表示装置 ８ 操作装置 ９ 報知器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G01C 21/00 G08G 1/0969 G09B 29/00 G10L 13/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の走行にともない刻々変化する２次
   元座標上における現在位置を逐次求めて、画面に写し出
   された同一座標による道路地図上に車両の現在位置を更
   新表示しながら、その道路地図上に予め設定された出発
   点から目的地に到るまでの誘導経路にしたがって車両の
   走行を誘導する車両誘導装置において、予め誘導経路か
   ら逸脱する可能性のある進路を予測して、その予測進路
   に逸脱した場合の復帰経路を探索する手段と、その探索
   された復帰経路の経路コストを算出して、その経路コス
   トが予め設定されたしきい値を越えるか否かを判定する
   手段と、復帰経路の経路コストがしきい値を越えている
   場合に、車両走行に際してその予測進路に逸脱しないよ
   うに前以て警報または誘導案内を発する手段とをとるよ
   うにしたことを特徴とする車両誘導装置。
2. 【請求項２】 経路コストは、誘導経路と復帰経路との
   共通、非共通部分から、復帰経路の予想平均通過時間と
   有料道路料金の両方を使用して判断されることを特徴と
   する請求項１の記載による車両誘導装置。