JP3488579B2 - 漏水位置検出方法および漏水位置検出装置 - Google Patents

漏水位置検出方法および漏水位置検出装置

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JP3488579B2
JP3488579B2 JP23678196A JP23678196A JP3488579B2 JP 3488579 B2 JP3488579 B2 JP 3488579B2 JP 23678196 A JP23678196 A JP 23678196A JP 23678196 A JP23678196 A JP 23678196A JP 3488579 B2 JP3488579 B2 JP 3488579B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中に埋設されて
いる水道管等の漏水位置を地表において推定検出する漏
水位置検出方法および漏水位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】老朽化等によって地中に埋設されている
水道管が破損すると、この破損箇所からいわるゆる漏水
が発生する。水道管からの漏水によって地中に浸透する
水の量は莫大なものであるといわれている。最近のよう
に水不足が重大な社会問題となつているときには、水道
管からの漏水をできるだけ少なくすることが水資源確保
のためにも重要である。
【0003】ところで、地中に埋設されている水道管の
漏水位置を検知する方法としては、従来から幾つか考え
られている。
【0004】代表的な例は人間の聴覚による方法であ
る。この方法では、水道管の地上に露出している部分、
たとえば弁の設けられている場所において、熟練作業者
が水道管を通して伝わる音を聴くことにより、その水道
管に漏水音(振動)が発生しているか否かを検知する。
この検知作業は、人間の聴覚および経験によるよるた
め、車の振動等による外部雑音の少ない深夜等に行われ
るのが一般的である。そして、水道管から漏水音が発生
していると検知されたときには、漏水音の最も大きい位
置を把握するために、作業者が地上を移動しながらマイ
ク(音聴センサ)や音聴棒を用いて音源を探査する。漏
水音の最も大きい位置を把握した時点で、その地面を掘
って水道管を露出させ、現実に漏水しているか否かを調
べ、必要な修復を行う。
【0005】しかし、この検出方法では、時間的な制約
があるばかりか、作業者の感覚を主体にして行われるた
め、作業能率が非常に悪く、しかも漏水箇所を精度良く
見つけ出し難いという問題があった。
【0006】一方、最近では、音響信号処理技術を応用
し、地表面に伝わる漏水エネルギの流れ方向を検出する
ことで、人間の感覚に頼ることなく、地中に存在する漏
水箇所を地上から検出する方法が提案されている。
【0007】この方法では、図27に示すように、地中
に埋設されている水道管1の一部分に漏水音センサ2を
取付けるとともに地表面3の2箇所に所定間隔dだけ離
間させて地表振動センサ4a,4bを配置し、この地表
振動センサ4a,4bを水道管1の配設経路に沿って移
動させ、このときに信号処理装置5で地表振動センサ4
a,4bの出力信号から漏水音センサ2で得られた信号
成分に関わりのある信号成分を相互相関処理で抽出し、
抽出された信号成分から地表面に伝わる漏水エネルギの
インテンシティを演算し、このインテンシティの大きさ
および極性から漏水位置Eを示すベクトルを得るように
している。
【0008】すなわち、この方法では、漏水位置Eから
放射された漏水音が地中を伝播して地表振動センサ4
a,4bに入射するとき、地表振動センサ4a,4bの
位置の違いに起因して位相差が生じることに着目し、こ
の位相差をインテンシティとして捉え、このインテンシ
ティの大きさおよび極性から漏水位置Eを示すベクトル
(大きさおよび方向)を得るようにしている。
【0009】しかしながら、このような音響信号処理技
術を応用した検出方法にあっても次のような問題あっ
た。
【0010】すなわち、図27に示す方法で用いるイン
テンシティは、音響分野でいうアクテイブインテンシテ
ィであり(以下、これを用いる方法をAI法と称す)、
音の進行方向に垂直な単位面積を単位時間に通過する音
のエネルギで定義される。これは音圧(振動)と粒子速
度の時間平均の量であり、粒子速度項は2つの地表振動
センサ4a,4bで検出した音圧(振動)の差を積分す
ることで得られる。この手法は直接積分法と呼ばれ、空
間域での音源探査では広く用いられている。
【0011】このAI法を用いた図27の装置で得られ
るインテンシティIは、(1) 式で評価される。ただし、
漏水音は点音源から放射され、地中の伝播経路では減衰
はあるものの、反射はないものとする。
【0012】 I=Asin(-kΔr-α) …(1) Δr ={ (d+x)2 +L2 )}0.5 - (x2 +L2 ) 0.5 k= 2πf/V なお、 dは2つの地表振動センサの間隔、 xは測定位置
(漏水位置Eを原点として一方の基準となる地表振動セ
ンサまでの水平距離)、 Lは水道管の埋設深度、Δr は
漏水位置Eから2つの地表振動センサまでの伝播距離
差、αはセンサ設置誤差、 kは波数、fは周波数、 Vは
伝播速度、 Aは振幅(地中減衰分含む)である。
【0013】AI法におけるインテンシティIは、(1)
式から判るように、伝播距離差Δrとセンサ設置誤差α
によって大きく変化する。このうちセンサ設置誤差αと
は、地表面と各地表振動センサとの接触状態から生じる
漏水振動検出時間遅れのことである。
【0014】今、センサ設置誤差αが零であると仮定す
ると、2つの地表振動センサ4a,4bを、その間隔d
を保って水道管1に沿って移動させたときの測定位置x
(ここでは漏水位置Eから2つの地表振動センサ4a,
4bの中間位置までの水平距離とする。)に対するイン
テンシティIの大きさ(振動振幅)および極性は、図2
8(b) に示すように、漏水位置Eに近付くにしたがって
インテンシティIが次第に大きくなり、さらに近付くと
一転して小さくなり、漏水位置Eの真上では零となる。
そして、2つの地表振動センサ4a,4bをさらに移動
させると、インテンシティIの極性が反転し、その大き
さが次第に増加する。このときに得られる漏水位置推定
ベクトルは図28(a) に示すように変化する。
【0015】したがって、2つの地表振動センサ4a,
4bを水道管1に沿って移動させ、インテンスティIの
極性が+(−)から−(+)に転じる零点位置、つまり
漏水位置推定ベクトルが零の位置を求めれば、その位置
が漏水位置Eの真上であることから、漏水位置Eを知る
とができる。なお、漏水位置Eから離れた位置では,漏
水位置推定ベクトルが反転するが、振幅が小さくなるこ
とから検知精度には影響を与えない。
【0016】上述した例はセンサ設置誤差αが零と仮定
した場合であるが、実際の検出現場ではセンサ設置誤差
αを零にすることは不可能である。すなわち、漏水位置
Eを推定検出するには2つの地表振動センサ4a,4b
を地表面に沿って移動させる必要があるので、地表振動
センサ4a,4bを配置する形態としては、必然的に地
表面にセンサを単に置くだけの形態となる。センサの重
量を大きくしたり、地表面との間に音響整合要素を介在
させたりしても地表面の形状や固さ等によってセンサと
地表面との接触状態が大きく変わり、センサ設置誤差α
を零にすることはできない。
【0017】このように、センサ設置誤差αが入り込む
と、図28(c) に示すように、インテンシティIの振幅
ばかりか極性も変化する。したがって、漏水位置検知の
推定精度Xrを漏水位置Eからたとえば周囲50cmと限定
した場合、この範囲内でインテンシティIが反転してい
れば問題ないが、インテンシティIの反転位置がこの範
囲を越えた場合には、漏水位置Eを正しく検出できない
ことになる。たとえば、地表振動センサ4a,4bの間
隔が20cmで200Hz の漏水エネルギを検出する場合、セン
サ設置誤差αが位相遅れにして20度のときは、図29
(a) に示すように、インテンシティIの反転位置が推定
精度Xrの範囲外となってしまう。また、センサ設置誤
差αが位相遅れにして100 度のときには、図29(b) に
示すように、推定精度Xrの範囲外でもインテンシティ
Iが反転しないので、漏水位置Eの方向を知ることもで
きない。
【0018】このように、(1) 式で示されるインテンシ
ティIは,地表振動センサの間隔 dと周波数 f と伝播
速度 Vと測定位置 xと配管埋設深度 Lとによって変化す
る。そして、ある検出場において、伝播速度 V、配管埋
設深度 Lが一定であると仮定した場合でも、センサ間隔
dと周波数 fとの違いにより、センサ設置誤差αの影響
を受ける割合が変化する。このため、図27に示される
方法では、漏水位置Eを望まれる推定精度Xrで検出す
ることが困難であった。
【0019】また、図27に示される方法では、条件が
理想的に満たされた場合でも、そのインテンスティI
が、図28(b) に示すように、漏水位置Eの真上で零と
なってしまうため、漏水位置推定ベクトルも零となる。
漏水位置近傍では、本来漏水から受けるエネルギが大き
いにも拘らず、この有効な情報を漏水位置椎定ベクトル
に反映できないという問題があった。
【0020】なお、通常の空間域における音源探査で利
用するインテンシティも上述したアクティブインテンシ
ティの原理を使っている。しかし、この場合には漏水位
置の真上で見られるような上述した問題は生じない。こ
れは、音源探査の場合には空間に音源信号検出用マイク
を互いに直交するxyz軸上に複数設置することがで
き、1つの軸上のインテンシティ射影成分がたとえ零に
なつても、他の軸上の射影成分が大きさを持つことか
ら、最終的にインテンシティは3軸のベクトルの合成と
なり、エネルギ量を少なく算出することがないことによ
る。
【0021】漏水位置検出の場合においても、もしも地
中にセンサを埋設できれば、深さ(鉛直)方向に伝わる
エネルギ量を検出できるので、漏水位置真上の地表面イ
ンテンシティが零になっても、深さ(鉛直)方向のイン
テンシティが最大となり、通常の空間域における音源探
査と同様の探査機能を発揮させることができる。しか
し、漏水位置検出では現実問題として地下にセンサを埋
設することはできないので、地下方向のインテンシティ
を漏水位置推定ベクトルに加えることができず、漏水エ
ネルギを最大限に利用することはできない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、音響信号
処理技術を応用した漏水位置検出方法は、人間の聴覚に
頼る方法に比べて自由度が大きい。しかし、アクティブ
インテンシティ法を用いた従来の漏水位置検出方法で
は、地表面と地表振動センサとの接触状態から生じる漏
水振動検出時間遅れ、つまりセンサ設置誤差の影響でイ
ンテンシティの大きさや極性が変化し、これが原因して
所望の推定精度で漏水位置を検出することが困難であっ
た。また、アクティブインテンシティ法を用いる従来の
漏水位置検出方法では、漏水エネルギの有効利用を図る
ことができないため、この面からも精度の高い漏水位置
検出ができない問題があった。
【0023】そこで本発明は、上述した従来のアクティ
ブインテンシティ法が持つ不具合を解消でき、検出精度
の向上に寄与できる漏水位置検出方法および漏水位置検
出装置を提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る漏水位置検出方法では、地中に埋設
されている配管の漏水位置を推定検出するに当り、配管
の一部分に漏水音センサを取付けるとともに、漏水音信
号に含まれる複数の周波数成分を対象にし、対象とする
周波数成分に対応させて間隔をそれぞれ異ならせた実質
的に複数対の地表振動センサを地表面に移動可能に配置
し、これら複数対の地表振動センサの出力信号から漏水
音センサで得られた信号とは関わりのない雑音信号を相
互相関処理でそれぞれ除去し、この処理を経た各対をな
す信号を用いて地表面に伝わる漏水エネルギのうちの上
記信号を出力した対をなす地表振動センサが対象にして
いる周波数成分のアクティブインテンシティをそれぞれ
演算し、各アクティブインテンシティの大きさおよび極
性から対象とする周波数成分毎に漏水位置推定ベクトル
をそれぞれ求めるようにしている。
【0025】また、上記目的を達成するために、請求項
2に係る漏水位置検出方法では、地中に埋設されている
配管の漏水位置を推定検出するに当り、配管の一部分に
漏水音センサを取付けるとともに、漏水音信号に含まれ
る複数の周波数成分を対象にし、対象とする周波数成分
に対応させて間隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対
の地表振動センサを地表面に移動可能に配置し、これら
複数対の地表振動センサの出力信号から漏水音センサで
得られた信号とは関わりのない雑音信号を相互相関処理
でそれぞれ除去し、この処理を経た各対をなす信号を用
いて地表面に伝わる漏水エネルギのうちの上記信号を出
力した対をなす地表振動センサが対象にしている周波数
成分のアクティブインテンシティをそれぞれ演算すると
ともに上記周波数成分のリアクティブインテンシティを
それぞれ演算し、ベクトルの方向については上記アクテ
ィブインテンシティの極性を用い、ベクトル大きさにつ
いては上記リアクティブインテンシティの大きさを用い
て対象とする周波数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそ
れぞれ求めるようにしている。
【0026】また、上記目的を達成するために、請求項
4に係る漏水位置検出装置では、地中に埋設されている
配管の一部分に取付けられる漏水音センサと、漏水音信
号に含まれる複数の周波数成分を検出対象にして地表面
に移動可能に配置され、対象とする周波数成分に対応さ
せて間隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対の地表振
動センサと、これら複数対の地表振動センサの出力信号
から前記漏水音センサで得られた信号とは関わりのない
雑音信号を相互相関処理でそれぞれ除去する手段と、こ
の手段を経た各対をなす信号を用いて地表面に伝わる漏
水エネルギのうちの上記信号を出力した対をなす地表振
動センサが対象にしている周波数成分のアクティブイン
テンシティをそれぞれ演算する手段と、各アクティブイ
ンテンシティの大きさおよび極性から対象とする周波数
成分毎に漏水位置推定ベクトルをそれぞれ求める手段と
を備えている。
【0027】また、上記目的を達成するために、請求項
5に係る漏水位置検出装置では、地中に埋設されている
配管の一部分に取付けられる漏水音センサと、漏水音信
号に含まれる複数の周波数成分を対象にして地表面に移
動可能に配置され、対象とする周波数成分に対応させて
間隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対の地表振動セ
ンサと、これら複数対の地表振動センサの出力信号から
前記漏水音センサで得られた信号とは関わりのない雑音
信号を相互相関処理でそれぞれ除去する手段と、この手
段を経た各対をなす信号を用いて地表面に伝わる漏水エ
ネルギのうちの上記信号を出力した対をなす地表振動セ
ンサが対象にしている周波数成分のアクティブインテン
シティをそれぞれ演算するとともに上記周波数成分のリ
アクティブインテンシティをそれぞれ演算する手段と、
ベクトルの方向については前記アクティブインテンシテ
ィの極性を用い、ベクトル大きさについては前記リアク
ティブインテンシティの大きさを用いて対象とする周波
数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそれぞれ求める手段
とを備えている。
【0028】なお、請求項1,2に係る漏水位置検出方
法および請求項4,5に係る漏水位置検出装置におい
て、複数の周波数成分に対応させて配置される実質的に
複数対の地表振動センサは、対象とする周波数が低いほ
ど間隔が広く設定される。
【0029】前述の如く、AI法で漏水位置を推定する
場合には、アクティブインテンシティの大きさおよび極
性から漏水位置推定ベクトルを求める。発明者等の実験
研究によると、AI法を適用した場合、漏水位置の推定
精度Xrを一定とすると、この推定精度Xrを満たすセ
ンサ設置誤差αの許容範囲が地表振動センサの間隔と周
波数帯域とによって大きく異なることを見出した。
【0030】たとえば、推定精度Xrが50cmで、地表振
動センサの間隔が20cmの場合、1kHzの信号成分を対象に
したときには、センサ設置誤差αが角度にして遅れ位相
・進み位相を合わせて110 度の範囲でも推定精度Xrを
満たす。しかし、同じ地表振動センサの間隔20cmでも20
0Hz の信号成分を対象にしたときには、推定精度Xrを
満たすセンサ設置誤差αの範囲は35度と非常に狭く、ほ
とんど余裕がない。また、地表振動センサの間隔が50cm
の場合、400Hz の信号成分を対象にしたときには、セン
サ設置誤差αの範囲が110 度でも推定精度Xrを満た
す。しかし、同じ地表振動センサの間隔50cmでも600Hz
以上の信号成分を対象にしたときには、推定精度Xrを
満たすセンサ設置誤差αの許容範囲は0 度である。
【0031】このように、漏水位置の推定精度Xrを一
定としたとき、この推定精度Xrを満たすセンサ設置誤
差αの許容範囲は地表振動センサの間隔と周波数帯域と
によって異なり、総じて対象とする周波数が低いほど間
隔を広くすれば、センサ設置誤差αの許容範囲が広がる
傾向にあることが判った。
【0032】この知見に基いて、請求項1,4に係る検
出方法および検出装置では、漏水音信号に含まれる複数
の周波数成分を対象にし、複数の周波数成分に対応させ
て実質的に複数対の地表振動センサを配置し、これら対
をなす地表振動センサが対象にしている周波数成分のア
クティブインテンシティをそれぞれ演算し、各アクティ
ブインテンシティの大きさおよび極性から対象とする周
波数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそれぞれ求めてい
る。
【0033】したがって、請求項1,4に係る検出方法
および検出装置では、AI法を採用しているにも拘ら
ず、センサ設置誤差αの影響を少なくでき、精度の高い
漏水位置推定が可能となる。
【0034】一方、請求項2,5に係る検出方法および
検出装置では、基本的には請求項1,4に係る検出方法
および検出装置で採用している手法を採用し、最終的な
信号処理の段階で、各周波数成分のアクティブインテン
シティとリアクティブインテンシティとをそれぞれ演算
し、ベクトルの方向についてはアクティブインテンシテ
ィの極性を用い、ベクトル大きさについてはリアクティ
ブインテンシティの大きさを用いて対象とする周波数成
分毎に漏水位置推定ベクトルをそれぞれ求めている。
【0035】したがって、請求項2,5に係る検出方法
および検出装置では、センサ設置誤差αの影響を少なく
できるとともに、本来、漏水エネルギが最も大きい位置
である漏水位置真上における漏水位置推定ベクトルの大
きさを最大にすることができるので、より精度の高い漏
水位置推定が可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら発明の
実施形態を説明する。
【0037】図1には本発明の一実施形態に係る漏水位
置検出装置のブロック構成図が示されている。
【0038】この装置は、大きく分けて、地中に埋設さ
れている水道管11の一部分、たとえば地上に露出して
いる弁部分等に取付けられる漏水音センサ12と、漏水
音信号に含まれる複数の周波数成分を検出対象にして地
表面13に移動可能に配置され、対象とする周波数成分
に対応させて間隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対
の地表振動センサ14〜18と、これら地表振動センサ
14〜18の出力信号から漏水音センサ12で得られた
信号とは関わりのない雑音信号を相互相関処理でそれぞ
れ除去する相互相関処理部19と、この処理部19を経
た各対をなす信号を用いて地表面13に伝わる漏水エネ
ルギのうちの上記信号を出力した対をなす地表振動セン
サが対象にしている周波数成分をそれぞれ抽出処理する
信号処理部20と、抽出された各周波数成分を用いて各
周波数成分毎に各アクティブインテンシティを算出する
算出部21と、算出された各アクティブインテンシティ
の大きさおよび極性から対象とする周波数成分毎に漏水
位置推定ベクトルをそれぞれ求めて表示する漏水位置推
定ベクトル表示装置22とで構成されている。
【0039】ここで、地表振動センサ14〜18は、対
をなすもの同志が所定の間隔を設けて直線上に配置され
ている。すなわち、この例では図2に示すように、地表
振動センサ14を共通センサとして用い、この地表振動
センサ14から距離X1 ,X2 ,X3 ,X4 離れた位置
に地表振動センサ15〜18が配置されている。この配
置から判るように、地表振動センサ14と15、地表振
動センサ14と16、地表振動センサ14と17、地表
振動センサ14と18とがそれぞれ対をなしている。
【0040】さらに詳しく説明すると、地表振動センサ
14と15とは、たとえば1kHz成分を対象にしてX1
20cmに設定されており、地表振動センサ14と16とは
たとえば600Hz 成分を対象にしてX2 =30cmに設定され
ており、地表振動センサ14と17とはたとえば400Hz
成分を対象にしてX3 =40cmに設定されており、地表振
動センサ14と18とはたとえば200Hz 成分を対象にし
てX4 =50cmに設定されている。
【0041】これら地表振動センサ14〜18は、共通
に支持部材23に支持されており、図示しない移動配設
機構によって水道管11の配設経路に沿って地表面3に
所定の測定送り間隔で載置される。
【0042】なお、対をなして配置される地表振動セン
サの設け方は、上記例に限られるものではなく、たとえ
ば図3に示すように、各周波数成分専用のものを2個ず
つ用意し、これら対をなすもの同士で間隔の小さいもの
ほど中央部に位置するように配置してもよい。また、移
動配設機構に代えて作業者の手で地表振動センサ群を移
動載置してもよいし、さらに一対の地表振動センサだけ
用意し、両センサの間隔を作業者の手で順次変更する方
式も採用できる。
【0043】一方、前記算出部21は、対をなす周波数
成分信号を使ってアクテブインテンシティを算出する。
具体的には、一方の信号の振動振幅をP1 とし、他方の
信号の信号振幅をP2 とすると、インテンシティIを、
【数1】
【0044】として求める。なお、Kは地表振動センサ
の間隔を含む係数で、Zは(P1 −P2 )の単位時間積
分値である。
【0045】なお、図中、Eは水道管11からの漏水位
置を示している。
【0046】このように、この例に係る漏水位置検出装
置では、漏水音信号に含まれる複数の周波数成分を対象
にし、これら複数の周波数成分に対応させて間隔が異な
る実質的に複数対の地表振動センサ14〜18を配置
し、これら対をなす地表振動センサが対象にしている周
波数成分のアクティブインテンシティをそれぞれ演算
し、各アクティブインテンシティの大きさおよび極性か
ら対象とする周波数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそ
れぞれ求めている。
【0047】したがって、AI法を採用しているにも拘
らず、センサ設置誤差αの影響を少なくでき、精度の高
い漏水位置推定が可能となる。
【0048】以下、この理由をシミュレーション結果に
基いて説明する。
【0049】図4には検出対象周波数を200 Hzとし、地
表振動センサの間隔を40cmに設定したときの測定位置X
とセンサ設置誤差αとの違いによるアクティブインテン
シティIの変化が示されている。インテンシティIの大
きさは等高線で示され、中央部に位置する等高線ほど絶
対値が大である。また、ハッチングで示される領域とド
ットで示される領域とではインテンシティIの極性が反
転している。横軸は測定位置Xを表し、原点が漏水位置
Eである。縦軸はセンサ設置誤差αを表し、遅れ位相18
0 度から進み位相180 度までを示している。図中、縦2
本の点線は漏水位置の推定精度Xrを表し、ここでは50
cmとしている。
【0050】AI法を適用した漏水位置推定では、前述
のようにインテンシティIの反転位置を用いて漏水位置
Eを推定する。そこで、以下に示す条件のもとで、セン
サ設置誤差αの許容範囲を調べた。
【0051】漏水位置推定の条件 (1) 条件1:推定精度Xr内(2本の点線で囲まれた範
囲内)でのみインテンシティIが1回反転すること。 (2) 条件2:上記の範囲外の測定範囲(たとえば漏水位
置Eから周囲 2m )では反転してはいけないこと。
【0052】なお、条件1を満足しても反転箇所が複数
存在する場合には漏水位置Eを推定できないので、条件
2は必要である。
【0053】上記条件を満たす範囲を調べてみると、図
4においては、インテンシティIが零の領域(最も外側
に位置している等高線より外側の領域)が上述した縦2
本の線と交わった点Aにおけるセンサ設置誤差αが漏水
位置推定可能な限界値となり、この点を通る2本の横軸
で囲まれた範囲がセンサ設置誤差αの許容範囲となる。
この例の条件では、進み位相約45度、遅れ位相約25度ま
でのセンサ設置誤差αならば推定精度Xrに影響を与え
ないことになる。
【0054】代表的な例として、地表振動センサの間隔
を20cmにして200Hz ,1kHzの信号成分を検出対象とした
場合、地表振動センサの間隔を40cmにして1kHzの信号成
分を検出対象とした場合について図5、図6、図7に示
す。
【0055】このようにして各例について調べたとこ
ろ、地表振動センサの間隔の違いによる周波数毎のセン
サ設置誤差許容範囲は表1に示す結果となった。
【0056】
【表1】
【0057】表1において、それぞれの条件で遅れ位相
と進み位相とが同じ数値でないのは測定位置Xを漏水位
置Eの真上から基準となる地表振動センサまでの距離と
したためで、漏水位置Eの真上から2つのセンサ間の中
心までの距離とすれば同じ数値となる。したがって、最
終的な評価はこれらの合計、すなわちセンサ設置誤差α
の許容範囲(表中:全範囲の数値)となる。
【0058】図8には地表振動センサの間隔の違いによ
る周波数毎のセンサ設置誤差αの許容範囲が示されてい
る。
【0059】この図から判るように、低周波数帯域では
地表振動センサの間隔dを大きくした方がセンサ設置誤
差αの許容範囲が拡大する。一方、高周波数帯域では波
長が短いことから、間隔dを小さくした方がよいことが
判る。
【0060】1つの地表振動センサの間隔についてみる
と、低周波数域では周波数が高くなるほどセンサ設置誤
差αの許容範囲は大きくなるが、途中で周波数が高くな
るほど逆に許容範囲が小さくなる。この傾向はどの地表
振動センサの間隔にもみられる。理由は条件2が原因で
ある。周波数が高くなるにつれインテンシティIの反転
箇所が増え易くなるからである。仮に、インテンシティ
Iの反転箇所の個数にこだわらず、条件1のみでセンサ
設置誤差αの許容範囲を求めれば、図中の折れ線はすべ
て右上がりとなる。このような理由から中間の周波数帯
域では、地表振動センサの間隔の大きさに許容範囲が比
例しない結果となる。
【0061】このように、この例に係る漏水位置検出装
置では、周波数帯域毎に地表振動センサの間隔を変えて
いるので、センサ設置誤差αの影響を軽減できることに
なり、AI法を採用しているにも拘らず、精度の高い漏
水位置推定を行なえることになる。
【0062】図9には本発明の別の実施形態に係る漏水
位置検出装置のブロック構成図が示されている。
【0063】なお、この図では、図1と同一機能部分が
同一符号で示されている。したがって、重複する部分の
詳しい説明は省略する。
【0064】この例に係る漏水位置検出装置では、地表
振動センサ14〜18の設け方、相互相関処理部19の
構成、対象とする周波数成分を抽出する信号処理部20
の構成が図1に示される装置と同じである。信号処理部
20で抽出された各周波数成分信号の処理形態が異なっ
ている。
【0065】すなわち、信号処理部20で抽出された各
周波数成分信号は、一方においてはアクティブインテン
シティを算出する算出部24に導入されて対象とする周
波数成分毎にアクティブインテンシティが算出され、他
方においてはリアクティブインテンシティを算出する算
出部25に導入されて対象とする周波数成分毎にリアク
ティブインテンシティが算出される。
【0066】ここで、算出部25は、図10に地表振動
センサ14と15との対、地表振動センサ14と16と
の対の処理系を示すように、一方の信号を90度遅らせる
位相器26に通し、この位相器26を通った一方の信号
と通らない他方の信号とを使ってインテンシティ、つま
りリアクティブインテンシティを算出させている。この
ように、この例では対象とする周波数成分毎にアクティ
ブインテンシティとリアクティブインテンシティとが算
出される。
【0067】対象とする周波数成分毎に算出されたアク
ティブインテンシティとリアクティブインテンシティと
は、漏水位置推定ベクトル表示装置27に導入される。
この漏水位置推定ベクトル表示装置27では、ベクトル
の方向についてはアクティブインテンシティの極性を用
い、ベクトル大きさについてはリアクティブインテンシ
ティの大きさを用いて対象とする周波数成分毎に漏水位
置推定ベクトルをそれぞれ求め、これを表示する。
【0068】このような構成であると、対象としている
周波数成分毎に最適な地表振動センサの間隔で地表振動
を検出していることによる利点、つまりセンサ設置誤差
αの影響を小さくできることに加え、最終的な信号処理
の段階で、各周波数成分のアクティブインテンシティと
リアクティブインテンシティとをそれぞれ演算し、ベク
トルの方向についてはアクティブインテンシティの極性
を用い、ベクトル大きさについてはリアクティブインテ
ンシティの大きさを用いて対象とする周波数成分毎に漏
水位置推定ベクトルをそれぞれ求めているので、本来、
漏水エネルギが最も大きい位置である漏水位置真上にお
ける漏水位置推定ベクトルの大きさを最大にすることが
でき、より精度の高い漏水位置推定が可能となる。
【0069】すなわち、AI法はエネルギの流れが伴う
インテンシティを用いる方法であり、センサ設置誤差α
を無視すると、(1) 式から判るように伝播距離差Δr=
0となる漏水位置Eの真上において地表面方向に伝わる
インテンシティが零となる。もしも地中にセンサを埋設
できれば地中を伝わるインテンシティを検出できるの
で、漏水位置Eの真上でも合成したインテンシティは最
大となる。しかし、漏水位置推定の場合には、地中にセ
ンサを設置できないことから、上述した手法は採用でき
ない。
【0070】そこで、この例では漏水位置推定ベクトル
の大きさ(振動振幅)には図11(c) に示すリアクティ
ブインテンシティ(これを用いる方法を以後、RI法と
称す)の大きさを用い、ベクトルの方向には図11(b)
に示すアクティブインテンシティの極性を用いる。RI
は電気系や機械系の無効パワーに対応し、音圧(振動)
の変化のみでエネルギの伝播はない物理量である。
【0071】このようにAI法とRI法との両方を用い
て最終的に漏水位置推定ベクトルを算出する手法を、こ
こではWLI法(Water-Leak-Intensity 法)と呼ぶこと
にする。
【0072】WLI法で求められた漏水位置推定ベクト
ルは、図11(a) に示すように、漏水位置に近づくほど
大きくなり、真上で最大となり、これを境にして極性が
反転して小さくなっていく。漏水位置から離れた位置で
もインテンシティが反転しないように振幅項に絶対値を
付けている。
【0073】図12には図1に示す装置が採用している
AI法と図9に示す装置が採用しているWLI法とを地
表振動センサの間隔を変えて比較したときのインテンシ
ティIの計算結果が示されている。なお、WLI法の最
大値が漏水位置の真上からずれているのは、地表振動セ
ンサの間隔分で本質的な問題ではない。
【0074】次に、センサ設置誤差αの影響について説
明する。
【0075】図13から図16には、WLI法を採用し
たときの測定位置Xとセンサ設置誤差αとの違いによる
インテンシティIの変化が示されている。これらの図に
おいてもインテンシティIの大きさは等高線で示され、
中央部に位置する等高線ほど絶対値が大である。また、
ハッチングで示される領域とドットで示される領域とで
はインテンシティIの極性が反転している。横軸は測定
位置Xを表し、原点が漏水位置Eである。縦軸はセンサ
設置誤差αを表し、遅れ位相180 度から進み位相180 度
までを示している。図中、縦2本の点線は漏水位置の推
定精度Xrを表し、ここでは50cmとしている。図中の割
れ目のような部分がインテンシティIが最大となり、符
号が反転する位置である。
【0076】WLI法においてもインテンシティIの反
転を用いて漏水位置Eを推定する。そこで、以下に示す
条件のもとで、センサ設置誤差αの許容範囲を調べた。
【0077】漏水位置推定の条件 (1) 条件1:推定精度Xr内(2本の点線で囲まれた範
囲内)でのみインテンシティIが1回反転すること。 (2) 条件2:上記の範囲外の測定範囲(たとえば漏水位
置から周囲2m)で反転してはいけないこと。 (3) 条件3:インテンシティIが零になっても反転しな
ければ、その位置は反転箇所とは見なさない。
【0078】WLI法ではインテンシティIが零となる
が反転しない位置が存在するため、条件3を追加した。
反転さえしなければ漏水と間違えて判断することはな
い。
【0079】図13においては、割れ目に当たる位置が
図中縦2本の点線と交わった点Aにおけるセンサ設置誤
差αが漏水位置を推定可能な限界値であり、この点を通
る2本の横軸で囲まれた範囲がセンサ設置誤差αの許容
範囲となる。
【0080】このような地表振動センサの間隔の違いに
よる周波数毎のセンサ設置誤差許容範囲をまとめたとこ
ろ表2に示す結果が得られた。
【0081】
【表2】
【0082】図17には地表振動センサの間隔の違いに
よる周波数毎のセンサ設置誤差許容範囲が示されてい
る。
【0083】同図から、低周波数帯域では地表振動セン
サの間隔dを大きくした方が、センサ設置誤差許容範囲
が拡大することが判る。一方、高周波数帯域では波長が
短いことから、地表振動センサの間隔dを小さくした方
がよいことが判る。
【0084】1つの地表振動センサの間隔についてみる
と、低周波数では周波数が高くなるほどセンサ設置誤差
許容範囲は大きくなるが、途中で周波数が高くなるほど
逆に誤差許容範囲は小さくなる。この傾向はどの地表振
動センサの間隔にもみられる。ただし、AI法と比較す
ると、許容範囲は低い周波数域で変化している。このよ
うな理由から中間の周波数帯域では許容範囲は地表振動
センサの間隔の大きさに比例しない結果となる。
【0085】いずれにせよWLI法においても、周波数
帯域毎に地表振動センサの間隔を変えた方がセンサ設置
誤差αの影響を軽減できることが判る。
【0086】AI法とWLI法を単純に見比べると、セ
ンサ設置誤差許容範囲はほぼ全ての帯域でAI法の方が
大きいが、AI法とWLI法では特徴が全く違うことか
ら、比較することはできない。しかし、WLI法の方が
漏水位置近傍で精度が大幅に向上することから、この手
法を採用し、かつ周波数帯域毎に最適な地表振動センサ
の間隔で測定すれば推定の精度を向上させることができ
る。
【0087】WLI法の有効性を実験により検証したの
で、以下にその結果を説明する。
【0088】図18に示すように加振機41を取付けた
配管42を地下約1mに埋設し、配管42の一点を周期
加振して点音源43を作り出し、これを模擬漏水とし
た。また、地表面44に配置した2つの加速度センサ4
5,46で地表面に伝播する模擬漏水信号を検出し、こ
の検出信号と周期信号発生器47の出力信号とを用いて
処理装置48で相互相関処理を行い、模擬漏水と無相関
な雑音を除去した後、WLI法およびAI法で模擬漏水
位置推定ベクトルを算出して表示させた。このとき、2
つの加速度センサ45,46を配管42と平行に配置
し、配管42に沿って移動しながら測定を行い、模擬漏
水位置推定ベクトルの変化を調べた。
【0089】実験結果の一例を図19に示す。図中実線
はWLI法での結果を示し、破線はAI法での結果を示
している。これは400Hz の信号を対象とし、加速度セン
サ45,46の間隔を50cmにし、測定間隔50cmで5点測
定したときの結果である。横軸は測定位置を示し、縦軸
は模擬漏水(加振源)位置椎定ベクトルの大きさを示
す。中央の番号4の位置が模擬漏水位置である。
【0090】測定分解能が粗いので図12のような曲線
を確認することはできないが、WLI法(実線)では模
擬漏水位置でベクトルの絶対値が最大となり、この位置
を境にしてベクトルの極性が反転しているのが判る。
【0091】図20から図24には周波数毎に最適な地
表振動センサの間隔を選んで模擬漏水位置の真上でAI
法とWLI法とのインテンシティの大きさを比較した結
果が示されている。これらの図から判るように、全てに
おいてWLI法の方がインテンシティが大きくなってい
る。
【0092】図25および図26にはWLI法で推定し
たときの地表振動センサの間隔の違いによる推定ベクト
ルの違いが示されている。
【0093】これらの図から判るように、低周波数(200
Hz) では地表振動センサの間隔を大きくする方が、また
高周波数(800Hz) では地表振動センサの間隔を小さくす
る方が、模擬漏水位置でベクトルの絶対値が最大とな
り、かつベクトルの極性も正しく反転している。なお、
全ての周波数帯域で、最適地表振動センサの間隔がシミ
ュレーション結果と定量的には一致しなかつたが、定性
的には一致していることが確認された。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
人間の聴覚に頼ることなく、また雑音の多い昼間におい
ても容易に地中内配管に存在する漏水位置を精度よく推
定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る漏水位置検出装置の
ブロック構成図
【図2】同装置における地表振動センサの配置例を説明
するための図
【図3】地表振動センサの異なる配置例を説明するため
の図
【図4】AI法における測定位置とセンサ設置誤差αと
の違いによるインテンシティを示す図
【図5】AI法における測定位置とセンサ設置誤差αと
の違いによるインテンシティを示す図
【図6】AI法における測定位置とセンサ設置誤差αと
の違いによるインテンシティを示す図
【図7】AI法における測定位置とセンサ設置誤差αと
の違いによるインテンシティを示す図
【図8】AI法において地表振動センサの間隔をパラメ
ータとして周波数とセンサ設置誤差許容範囲との関係を
示す図
【図9】本発明の別の実施形態に係る漏水位置検出装置
のブロック構成図
【図10】同装置の信号処理系を局部的に取り出して示
す図
【図11】同装置によって算出された漏水位置推定ベク
トルの特徴を説明するための図
【図12】同装置(WLI法)と図1に示す装置(AI
法)との手法の違いを説明するためのインテンシティ図
【図13】WLI法における測定位置とセンサ設置誤差
αとの違いによるインテンシティを示す図
【図14】WLI法における測定位置とセンサ設置誤差
αとの違いによるインテンシティを示す図
【図15】WLI法における測定位置とセンサ設置誤差
αとの違いによるインテンシティを示す図
【図16】WLI法における測定位置とセンサ設置誤差
αとの違いによるインテンシティを示す図
【図17】WLI法において地表振動センサの間隔をパ
ラメータとして周波数とセンサ設置誤差許容範囲との関
係を示す図
【図18】WLI法の有効性を検証するための模擬漏水
試験の概要説明図
【図19】WLI法とAI法とを比較した試験結果を示
す図
【図20】模擬漏水位置真上においてWLI法とAI法
とで測定したときのインテンシティの大きさを比較して
示す図
【図21】模擬漏水位置真上においてWLI法とAI法
とで測定したときのインテンシティの大きさを比較して
示す図
【図22】模擬漏水位置真上においてWLI法とAI法
とで測定したときのインテンシティの大きさを比較して
示す図
【図23】模擬漏水位置真上においてWLI法とAI法
とで測定したときのインテンシティの大きさを比較して
示す図
【図24】模擬漏水位置真上においてWLI法とAI法
とで測定したときのインテンシティの大きさを比較して
示す図
【図25】WLI法において地表振動センサの間隔の違
いによる位置推定ベクトルの違いを示す図
【図26】WLI法において地表振動センサの間隔の違
いによる位置推定ベクトルの違いを示す図
【図27】AI法を用いた従来の漏水位置検出装置の概
略構成図
【図28】従来の装置で算出した漏水位置推定ベクトル
を説明するための図
【図29】従来の装置の問題点を説明するための図
【符号の説明】
11…水道管(配管) 12…漏水音センサ 13…地表面 14〜18,14a,14b,15a,15b,16
a,16b,17a,17b…地表振動センサ 19…相互相関処理部 20…信号処理部 21,24,25…算出部 22,27…漏水位置推定ベクトル表示装置 23…移動配設機構によって搬送制御される支持部材 26…位相器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田崎 拓也 東京都新宿区西新宿2丁目8番1号 東 京都水道局内 (72)発明者 江波戸 明彦 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 佐藤 博司 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会 社東芝本社事務所内 (72)発明者 佐藤 義之 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東 芝府中工場内 (56)参考文献 特開 平5−256726(JP,A) 特開 平6−273223(JP,A) 特開 平5−79899(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 3/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地中に埋設されている配管の漏水位置を推
    定検出するに当り、上記配管の一部分に漏水音センサを
    取付けるとともに、漏水音信号に含まれる複数の周波数
    成分を対象にし、対象とする周波数成分に対応させて間
    隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対の地表振動セン
    サを地表面に移動可能に配置し、これら複数対の地表振
    動センサの出力信号から前記漏水音センサで得られた信
    号とは関わりのない雑音信号を相互相関処理でそれぞれ
    除去し、この処理を経た各対をなす信号を用いて地表面
    に伝わる漏水エネルギのうちの上記信号を出力した対を
    なす地表振動センサが対象にしている周波数成分のアク
    ティブインテンシティをそれぞれ演算し、各アクティブ
    インテンシティの大きさおよび極性から対象とする周波
    数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそれぞれ求めるよう
    にしたことを特徴とする漏水位置検出方法。
  2. 【請求項2】地中に埋設されている配管の漏水位置を推
    定検出するに当り、上記配管の一部分に漏水音センサを
    取付けるとともに、漏水音信号に含まれる複数の周波数
    成分を対象にし、対象とする周波数成分に対応させて間
    隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対の地表振動セン
    サを地表面に移動可能に配置し、これら複数対の地表振
    動センサの出力信号から前記漏水音センサで得られた信
    号とは関わりのない雑音信号を相互相関処理でそれぞれ
    除去し、この処理を経た各対をなす信号を用いて地表面
    に伝わる漏水エネルギのうちの上記信号を出力した対を
    なす地表振動センサが対象にしている周波数成分のアク
    ティブインテンシティをそれぞれ演算するとともに上記
    周波数成分のリアクティブインテンシティをそれぞれ演
    算し、ベクトルの方向については上記アクティブインテ
    ンシティの極性を用い、ベクトル大きさについては上記
    リアクティブインテンシティの大きさを用いて対象とす
    る周波数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそれぞれ求め
    るようにしたことを特徴とする漏水位置検出方法。
  3. 【請求項3】前記複数の周波数成分に対応させて配置さ
    れる実質的に複数対の地表振動センサは、対象とする周
    波数が低いほど間隔が広く設定されることを特徴とする
    請求項1または2に記載の漏水位置検出方法。
  4. 【請求項4】地中に埋設されている配管の漏水位置を推
    定検出する装置であって、 前記配管の一部分に取付けられる漏水音センサと、 漏水音信号に含まれる複数の周波数成分を検出対象にし
    て地表面に移動可能に配置され、対象とする周波数成分
    に対応させて間隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対
    の地表振動センサと、 これら複数対の地表振動センサの出力信号から前記漏水
    音センサで得られた信号とは関わりのない雑音信号を相
    互相関処理でそれぞれ除去する手段と、 この手段を経た各対をなす信号を用いて地表面に伝わる
    漏水エネルギのうちの上記信号を出力した対をなす地表
    振動センサが対象にしている周波数成分のアクティブイ
    ンテンシティをそれぞれ演算する手段と、 前記各アクティブインテンシティの大きさおよび極性か
    ら対象とする周波数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそ
    れぞれ求める手段とを具備してなることを特徴とする漏
    水位置検出装置。
  5. 【請求項5】地中に埋設されている配管の漏水位置を推
    定検出する装置であって、 前記配管の一部分に取付けられる漏水音センサと、 漏水音信号に含まれる複数の周波数成分を対象にして地
    表面に移動可能に配置され、対象とする周波数成分に対
    応させて間隔をそれぞれ異ならせた実質的に複数対の地
    表振動センサと、 これら複数対の地表振動センサの出力信号から前記漏水
    音センサで得られた信号とは関わりのない雑音信号を相
    互相関処理でそれぞれ除去する手段と、 この手段を経た各対をなす信号を用いて地表面に伝わる
    漏水エネルギのうちの上記信号を出力した対をなす地表
    振動センサが対象にしている周波数成分のアクティブイ
    ンテンシティをそれぞれ演算するとともに上記周波数成
    分のリアクティブインテンシティをそれぞれ演算する手
    段と、 ベクトルの方向については前記アクティブインテンシテ
    ィの極性を用い、ベクトル大きさについては前記リアク
    ティブインテンシティの大きさを用いて対象とする周波
    数成分毎に漏水位置推定ベクトルをそれぞれ求める手段
    とを具備してなることを特徴とする漏水位置検出装置。
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