JP3486448B2 - 水性被覆組成物 - Google Patents

水性被覆組成物

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JP3486448B2
JP3486448B2 JP05981694A JP5981694A JP3486448B2 JP 3486448 B2 JP3486448 B2 JP 3486448B2 JP 05981694 A JP05981694 A JP 05981694A JP 5981694 A JP5981694 A JP 5981694A JP 3486448 B2 JP3486448 B2 JP 3486448B2
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は架橋性アクリル・ウレタ
ン樹脂の水性被覆組成物に関するものであり、造膜性が
良好で、かつ、耐水性、耐候性、耐摩耗性、平滑性、光
沢が良好で、金属、プラスチック、木、紙などへの密着
性良好な皮膜を形成できる水性塗料として、広く利用さ
れる水性被覆剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水性被覆剤組成物として、従来利用され
てきた水性ポリウレタン樹脂は、この樹脂より形成した
皮膜が弾性、耐摩耗性に富むという性質を有しており、
織物、紙、皮革、プラスチック、木材等の被覆材として
使用されてきた。一方、アクリル系共重合体の水分散物
から形成した皮膜も優れた耐候性、耐アルカリ性を有す
ることから、幅広い領域で用いられている。しかし、近
年、皮膜品質の高級化志向、塗布基材の変化への対応、
新規用途への利用等の要求を満足しうる被覆材開発が求
められており、被覆剤組成物の性能に対する要求は高機
能化している。アクリル樹脂皮膜に匹敵する良好な耐候
性と、ウレタン樹脂皮膜に匹敵する弾性、耐摩耗性を備
えた皮膜を形成できる水性被覆剤組成物の開発の要望も
高くなってきている。このような経緯から、両樹脂の欠
点を補い、かつ、両樹脂の特長を活かすべく両樹脂の複
合化が従来より検討されている。この複合化の方法とし
て、水分散性ウレタンオリゴマーを乳化剤として使用
し、この水性媒体中でアクリル系単量体を重合させてア
クリル・ウレタン水性被覆材を得る方法が提案されてい
る(特開昭61−2720号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法で得た水性被覆材は、用いた水分散性ウレタンオリゴ
マーの界面活性能力が不十分なため、安定にアクリル系
単量体を該水性媒体中で重合させるためには、低分子量
の界面活性剤を多量に併用しなければならず、得られた
水性被覆組成物から形成した塗膜は、耐水性、耐候性に
おいて満足しうるものではなかった。また、このような
難点を改良するために、この水性分散液にさらに他の原
材料を混合した水性塗料は、凝集しやすく、その貯蔵安
定性の面で問題を有する。水性ウレタン樹脂とアクリル
系エマルジョンとを混合する方法も検討されているが、
両者の単純な混合では、各々の水性分散体粒子が完全相
溶しないため、両者の特長を備えた複合化された水性被
覆材というには未だ十分なものではない。
【0004】一般に、水性樹脂から常温乾燥法で塗膜を
形成する場合、水性被覆材に含まれる水溶性物質に起因
すると考えられる塗膜の耐水性、耐アルカリ性、耐候性
の不良が起り、また、ウレタンディスパージョン塗料で
は、ウレタン樹脂で粒子内のウレタン結合による疑似架
橋が生起していると考えられ、ウレタン樹脂粒子間の融
合不足に基づく造膜性不良のため、常温乾燥型塗料とし
てはその使用される範囲が室内に限られていた。そこで
上記したごとき難点を改良するため、塗膜の高温加熱硬
化処理ができ、高光沢、耐水性、耐候性、耐摩耗性を有
する塗膜を形成しうる水性被覆組成物の開発が強く望ま
れている。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、種
々の水性ウレタン樹脂に相溶する架橋性のアクリル系ビ
ニル重合体を開発することにより、アクリル樹脂系塗膜
の持つ良好な耐候性、耐アルカリ性と、ウレタン樹脂塗
膜の持つ良好な弾性、耐摩耗性を同時に合わせ持つ塗膜
を形成しうる水性被覆組成物を得ることを目的として検
討した結果、本発明を完成したものであり、その要旨と
するところは、(a) メチルメタクリレート30〜90重量
%、(b) 芳香族ビニル化合物0〜30重量%、(c) 酸基含
有ビニル化合物4〜30重量%および(d) カルボキシル
基、エステル基またはアミド基以外のカルボニル基ある
いはアルデヒド基含有ビニル系単量体1〜40重量%、
(e) その他の共重合可能なビニル系単量体10〜70重量%
からなるビニル系樹脂で、二次転移温度が10〜150 ℃、
重量平均分子量が 6,000〜150,000 であり、かつ、酸価
が35〜200mgKOH/gであるビニル系重合体[I] の塩基中和
物を水に溶解してなるビニル系重合体[I] の水溶液と、
(f) 脂肪族または脂環式ジイソシアネ−ト、(g) 末端ヒ
ドロキシル基を有する数平均分子量500 〜5,000 のジオ
−ル、(h) 酸基含有ジオ−ルとをNCO/OH当量比1.
1 〜1.9 なる割合で反応して得たウレタン系重合体[II]
の水性分散液とを、重合体固形分比率で重合体[I] /重
合体[II]=5/95〜95/5となるよう混合した水溶液
に、2個以上のヒドラジン残基を有する有機ヒドラジン
誘導体[III] を配合してなる水性被覆組成物にある。
【0006】本発明に用いられるビニル系重合体[I]
は、(a) メチルメタクリレート30〜90重量%、(b) 芳香
族ビニル化合物0〜30重量%、(c) 酸基含有ビニル化合
物4〜30重量%、および、(d) 共重合可能な他のビニル
系単量体0〜70重量%から構成される。
【0007】メチルメタクリレート(a) は、該単量体を
共重合したビニル系重合体[I] を含む水性被覆材より形
成した塗膜に硬度を付与するための必須成分であり、該
単量体(a) のビニル系重合体[I] 中への共重合量は、30
〜90重量%、好ましくは30〜70重量%の範囲とする。こ
の単量体の共重合量が30重量%未満なるビニル系重合体
を含む塗料より形成した塗膜は、その硬度が低く、一
方、この共重合量が90重量%を越えたビニル系重合体
は、その水溶性が低下する。また、単量体(a) の共重合
量が上記範囲外で共重合したビニル系重合体は、ウレタ
ン系重合体[II]の水性分散体との相溶性にも欠けるので
好ましくない。
【0008】芳香族ビニル化合物(b) は、該単量体を共
重合した重合体より形成した塗膜に耐水性を付与する効
果があり、その共重合量は30重量%までの範囲、好まし
くは0〜25重量%の範囲でビニル系重合体[I] 中に共重
合される。この単量体(b) の共重合量が30重量%を越え
たビニル系重合体より形成した塗膜は、水溶性が低下す
るとともに、該重合体のウレタン系重合体[II]の水性分
散液との相溶性にも欠けるので適当ではない。芳香族ビ
ニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルス
チレン、p-メチルスチレンおよびベンジル(メタ)アク
リレート等が挙げられるが、なかでもスチレンがとくに
好ましい。
【0009】酸基含有ビニル化合物(c) とは、ビニル系
重合体[I] に酸基を導入する成分であり、カルボン酸ま
たはスルホン酸等の酸性基を有するビニル化合物であ
る。酸基含有ビニルはビニル系重合体[I] 中に4〜30重
量%の範囲で共重合され、得られるビニル系重合体[I]
の酸価を35〜200mgKOH/g、好ましくは40〜150mgKOH/gの
範囲とする。酸基含有ビニル化合物(c) の具体例として
は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の一塩基
酸;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸等の二塩基
酸;およびこれら二塩基酸の部分エステル等が挙げられ
る。これら成分(c)は二種以上を混合して使用すること
も可能である。なかでもカルボン酸を有するビニル化合
物を共重合したビニル系重合体[I] の塩は水溶性が良好
であり、かつ、重合体[II]の水性分散液との相溶性が良
好なものが得られる。とくにメタクリル酸またはアクリ
ル酸と共重合したビニル系重合体[I] は、その水溶性が
高く、ウレタン系重合体[II]との相溶性が極めて良好な
ものが得られる。
【0010】(d) 成分のカルボニル基またはアルデヒド
基を有するビニル単量体とは、分子中にカルボン酸基、
エステル基、アミド基以外の少なくとも1個のケト基も
しくはアルデヒド基と、重合可能な二重結合を有する単
量体である。このような化合物(d) は、用いる他の単量
体成分と共重合可能であればとくに限定されるものでは
なく、ビニル系共重合体[I] 中に5〜40重量%、好まし
くは10〜30重量%となる範囲で共重合される。該化合物
(d) の具体例としては、アクロレイン、ジアセトンアク
リルアミド、ホルミルスチロール、ビニルアルキルケト
ン等を挙げることができ、好ましくは炭素原子数4〜7
個のビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル
イソブチルケトンなどのほか、次式[1]で表される
(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナ−ル
【化1】 (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子ま
たは1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、R3は水素
原子または1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、そ
してR4は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示
す。)、(メタ)アクリルアミドピバリンアルデヒド、
ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アセトニルアクリ
レート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルア
セテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ブタンジオール-1,4−アクリレート−アセチルアセ
テート、アクリルアミドメチルアニスアルデヒドなどが
用いられるが、中でもアクロレイン、ジアセトンアクリ
ルアミド、ビニルメチルケトンがとくに好ましい。これ
らの単量体は用途に応じて単独または併用することがで
きる。
【0011】また、上記単量体 (a)〜(d) と共重合可能
な他のビニル系単量体(e) は、ビニル系重合体[I] 中に
0〜65重量%の範囲で重合される。ビニル系単量体(e)
の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n-ブ
チル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレ
ート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アク
リレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を
有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2-ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ブチレングリコール(メタ)アクリレート等
のグリコールジ(メタ)アクリレート;ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ(メ
タ)アクリレート;およびジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートメチルクロライド塩、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グ
リシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ
る。
【0012】ビニル系重合体[I] の二次転移温度(以
下、Tgという)は、DSC法による測定で10〜150 ℃の
範囲、好ましくは20〜110 ℃である。Tgが10℃未満のビ
ニル系重合体より作った塗膜は、耐汚染性が不足した
り、耐ブロッキング性が低下する。また、Tgが 150℃を
越えたビニル系重合体から作った塗膜は、塗膜が硬くな
り過ぎ、基材に対する密着性が低下する。ビニル系重合
体の分子量はGPC法により測定される重量平均分子量
が 6,000〜150,000 の範囲、好ましくは 8,000〜60,000
である。分子量が 6,000未満のビニル系重合体より形成
した塗膜では、塗膜が脆く、耐水性、耐衝撃性が低下す
る等の種々の欠点が生ずる。一方、分子量が150,000 を
越えるビニル系重合体は、ウレタン系重合体[II]との相
溶性にも欠け、良好な特性を有する塗膜を形成できな
い。また、ビニル系重合体の酸価は、フェノールフタレ
インの変色点を基準とし、ビニル系重合体水溶液にエタ
ノールを溶解したKOH を滴下して滴定し、ビニル系重合
体1gを中和するに必要なKOH のmg数で示した値であ
り、ビニル系重合体[I] の酸価は35〜200mgKOH/gの範
囲、好ましくは40〜150mgKOH/gである。酸価が35mgKOH/
g 未満であるビニル系重合体は水溶性が低下く、本発明
の水性被覆材を作ることが難しく、酸価が200mgKOH/gを
越えたビニル系重合体は、ウレタン重合体系[II]の水性
分散液との相溶性が低下するうえに、該重合体より形成
した塗膜は耐水性が不足する。
【0013】ビニル系重合体[I] を製造する際の重合方
法としては、固形状のビニル系重合体[I] が得られる方
法を採用するのが好ましく、懸濁重合法、溶液重合法、
塊状重合法等が適用できるが、とくに懸濁重合法により
製造されたビニル系重合体は、不純物の極めて少ないビ
ニル系重合体[I] であり、水に対する溶解性が良好とな
る利点がある。とくに、懸濁重合法のうち、単量体を経
時的に分割投入する方法よりも、一括仕込みによる重合
法により製造されたビニル重合体[I] を用いて作った本
発明の水性塗料より形成した塗膜は、その耐水性が良好
となる傾向がある。また、上記のごとき懸濁重合法によ
って得たビニル系重合体[I] は、ウレタン系重合体[II]
の水性分散液との相溶性にも優れる。これらは、主に用
いた単量体の共重合性の面からの効果であると考えられ
る。懸濁重合における分散剤としては、70〜100 %の範
囲のケン化度のポリビニルアルコール、ポリメタクリル
酸のナトリウム塩等公知の水溶性高分子を用いることが
好ましい。
【0014】また、ビニル系重合体[I] を溶液重合によ
り得る際に用い得る溶剤としては、本発明で用いる単量
体および重合体を共に溶解させるものならとくに制限を
受けず、その具体例としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、n-ブタノール等のアルコ
ール類;エチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブ
チルカルビトール;プロピレングリコールメチルエーテ
ル等のグリコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸
エステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン等のケトン類等が挙げられる。重合開始剤としては
アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、ベンゾ
イルパーオキサイドのごとき過酸化物系開始剤等、従来
公知の開始剤を適宜選択して用いるのがよい。また、ビ
ニル系重合体[I] の分子量を調節するには、分子量調節
剤としてn-ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレン
ダイマー等の連鎖移動剤を用いるのがよい。
【0015】ビニル系重合体[I] を溶液重合法にて製造
した際には、反応物より溶剤を除去し、固形状のビニル
系重合体[I] として利用するのがよい。溶液重合法によ
り得たビニル系重合体[I] の有機溶剤溶液を、溶剤を除
くことなく、そのまま利用して本発明の水性被覆材組成
物を作ると、その中に溶剤が残存し、その塗装作業環境
を悪くするとともに、その塗装、硬化処理中に揮散する
物質の環境へ与える影響もあり、本発明において用いる
ビニル系重合体[I] は固形状のものとして取り扱うこと
が好ましい。
【0016】このようにして得られたビニル系重合体
[I] は、塩基を用いてビニル系重合体[I] 中に含まれる
酸基を中和して塩を形成することにより水溶性を付与
し、水中に溶解される。ビニル系重合体[I] の酸基は全
て中和される必要はなく、通常は酸基の30%以上なる割
合で中和されるのがよい。中和に用いる塩基の例として
は、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、
ジエチルアミン、トリプロピルアミン、ジブチルアミ
ン、アミルアミン、1-アミノオクタン、2-ジメチルアミ
ノエタノール、エチルアミノエタノール、2-ジエチルア
ミノエタノール、1-アミノ−2-プロパノール、2-アミノ
−1-プロパノール、3-アミノ−1-プロパノール、1-ジメ
チルアミノ−2-プロパノール、3-ジメチルアミノ−1-プ
ロパノール、2-プロピルアミノエタノール、エトキシプ
ロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン
等の揮発性のものが挙げられる。
【0017】本発明で用いるウレタン系重合体[II]の水
性分散液は、(f) 脂肪族または脂環式ジイソシアネー
ト、(g) 数平均分子量が 500〜5,000 のジオール化合
物、とくに、ポリエステルジオールまたはポリエーテル
ジオール、および、(h) 酸基含有ジオール、とくにジメ
チロールアルカン酸とをNCO/OH当量比が 1.1〜1.
9なる割合で反応せしめたウレタンプレポリマーを、3
級アミンで中和後または中和しながら水で鎖延長する
か、または、ジもしくはトリアミンで鎖延長し、水中に
分散化して得られる自己乳化型のものである。
【0018】用い得る脂肪族または脂環式ジイソシアネ
ート(f) としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、
2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族
ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、1,4-
シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネート等の炭素数4〜18の脂環式
ジイソシアネート、および、これらジイソシアネートの
変性物、例えば、これらのカーボジイミド類、ウレトジ
オン類、ウレトイミン含有変性物類などが挙げられる。
とくに好ましいものとしては、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
これらは2種以上を併用してもよい。芳香族ジイソシア
ネートは、ウレタンプレポリマーの水による鎖延長また
はアミンによる鎖延長時の反応性が高すぎるために使用
できない。
【0019】また、末端ヒドロキシル基を有するジオー
ル化合物(g) は、 500〜5,000 、より好ましくは 100〜
3,000 の数平均分子量を有するポリオールと称される物
質である。数平均分子量が 500未満のジオールを用いて
作ったウレタン系樹脂より形成した塗膜は、塗膜が脆く
なり、一方、分子量が 5,000を越えたジオールより作っ
たウレタン樹脂より形成した塗膜は、その柔軟性に欠け
る。これらジオール類の具体例としては、エチレンオキ
シド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドやテ
トラヒドロフラン等の複素環エーテルを重合させて得ら
れるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール;ポリエチ
レンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペ
ンチルアジペート、ポリ−3-メチルペンチルアジペー
ト、ポリエチレン/ブチレンアジペートコポリマー、ポ
リネオペンチル/ヘキシルアジペートコポリマー;ポリ
ラクトンジオール、例えば、ポリカプロラクトンジオー
ル;ポリカーボネートジオールが挙げられる。これらの
うち、とくに好ましいものとしてはポリエチレングリコ
ール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカ
ーボネートジオールが挙げられる。また、ソジウム−5-
スルホイソフタル酸とジエチレングリコールまたはポリ
エチレングリコールを共重合させた水性ポリエステルジ
オールも使用できる。これらは2種以上を併用してもよ
い。
【0020】また、酸基含有ジオール(h) は、カルボン
酸基やスルホン酸基等の酸性基を有するジオール化合物
であり、その具体例としては、ジメチロール酢酸、ジメ
チロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などが挙げら
れ、これらは2種以上を併用してもよい。これらのう
ち、とくに好ましいものはジメチロールプロピオン酸で
ある。これらの酸基含有ジオールは、本発明で用いるウ
レタン系重合体[II]を水溶性ウレタン樹脂とするのに必
要な成分であり、ウレタンプレポリマーの酸価を3〜20
0mgKOH/gとなるような割合で用いるのがよい。
【0021】これら化合物を反応せしめて、ウレタンプ
レポリマーを作るには、これら化合物中のNCO/OH
当量比が 1.1〜1.9 なる割合となるようにする必要があ
り、NCO当量比が 1.1未満なる割合で、これら化合物
を反応して得たウレタンプレポリマーは、その粘度が高
すぎ、このプレポリマーにより作ったウレタン樹脂は水
分散を円滑に行えない。また、この反応比が 1.9を越え
る割合でこれら化合物を反応して得たウレタンプレポリ
マーは、水による鎖延長時またはアミンによる鎖延長時
にゲル化しやすいので好ましくない。
【0022】ウレタンプレポリマーの合成に当たって
は、低分子量のポリヒドロキシ化合物を添加使用しても
よい。低分子量のポリヒドロキシ化合物としては、上記
のポリエステルジオールの原料として挙げたグリコール
およびアルキレンオキシド低モル付加物;グリセリン、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3
価アルコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加
物が挙げられる。低分子量のポリヒドロキシ化合物の使
用量は、ポリエーテルジオールまたはポリエステルジオ
ール等のポリオール(g) に対して20重量%以下が適当で
あり、これを越える量を用いて作ったウレタン樹脂より
作った塗膜は脆くなる。
【0023】このようにして得られたウレタンプレポリ
マーは、酸基含有ジオール、とくに、ジメチロールアル
カン酸に由来する酸基を3級アミンで中和した後、また
は、中和しながら水による鎖延長、または、ジもしくは
トリアミンで鎖延長したウレタン系重合体[II]として水
中に分散する。
【0024】ウレタンプレポリマーの中和のために使用
するアミンは、3級アミンである必要がある。用いるア
ミンが1級、または、2級アミンであるとウレタンプレ
ポリマー中の残存イソシアネートと反応してしまい、ウ
レタンプレポリマーの鎖延長を阻害するので適当ではな
い。3級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、
トリエチルアミン等のトリアルキルアミン;N-メチルモ
ルホリン等のN-アルキルアルカノールアミン等が挙げら
れる。これらは2種以上を併用してもよい。また、これ
らはウレタンプレポリマー中の酸基1当量中当たり、通
常、 0.5〜1当量使用される。
【0025】また、ウレタンプレポリマーのアミンによ
る鎖延長に使用されるポリアミンとしては、通常、ジア
ミンまたはトリアミンが用いられる。また、その具体例
としては、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミ
ン、ヒドラジン、ピペラジン等が挙げられ、これらは2
種以上を併用してもよい。
【0026】本発明の被覆材組成物を構成する架橋剤
は、2個以上のヒドラジン残基を有する有機ヒドラジン
誘導体[III] であり、この化合物はビニル系重合体[I]
中に含まれるカルボニル基もしくはアルデヒド基1モル
に対して 0.1〜2モル、好ましくは 0.3〜1モルなる割
合で本発明の水性被覆材組成物中に加えるのがよい。ヒ
ドラジン誘導体[III] の具体例としては、2〜10個、と
くに4〜6個の炭素原子を含有するジカルボン酸ジヒド
ラジド、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒ
ドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラ
ジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジ
ド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジドお
よびイタコン酸ジヒドラジドや、2〜4個の炭素原子を
有する脂肪族の水溶性ジヒドラジン、例えば、エチレン
−1,2-ジヒドラジン、プロピレン−1,3-ジヒドラジン、
ブチレン−1,4-ジヒドラジンなどを挙げることができ
る。これらの中でもアジピン酸ジヒドラジド、イソフタ
ル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、コハク酸
ジヒドラジドが好ましい。また、これらは2種以上を併
用してもよい。
【0027】本発明の水性被覆組成物は、上記のビニル
系重合体[I] の水溶液とウレタン系重合体[II]の水性分
散液とを、重合体固形分比率でビニル系重合体[I] /ウ
レタン系重合体[II]=5/95〜95/5となるような割合
で混合して調整される。ビニル系重合体[I] のブレンド
比率が5%以下である被覆材組成物から形成した塗膜
は、ビニル系重合体より形成した塗膜の特長である耐候
性、耐アルカリ性が不十分となり、一方、ビニル系重合
体[I] のブレンド比率が95%を越えた水性被覆材組成物
から形成した塗膜は、ウレタン系重合体[II]の水分散物
から形成した塗膜の特長である強靱な塗膜の形成が難し
く、かつ、塗膜のプラスチックフィルムへの密着性が不
十分になる。ビニル系重合体[I] の水溶液とウレタン系
重合体[II]の水性分散体との混合方法はとくに制限な
く、室温下に両液を混合してもよいし、加温した後両液
を混合してもよい。ビニル系重合体[I] の水溶液は、通
常、固形分濃度20〜35重量%のものを用いるのがよく、
また、ウレタン系重合体[II]の水性分散液は、通常、ウ
レタン系重合体[II]の濃度が25〜45重量%のものを用い
るのがよい。
【0028】このようにして得られる本発明の水性被覆
組成物は、コーティング材料としての高度の性能を発現
させるために、消泡剤、顔料分散剤、防腐剤等の添加剤
を添加して用いることも可能である。
【0029】本発明の水性被覆組成物を用いて各種材料
の表面に塗膜を形成する際の塗布方法としては、噴霧コ
ート法、ローラーコート法、バーコート法、エアーナイ
フコート法、流延法、刷毛塗り法、ディッピング法等が
挙げられるが、とくに限定されない。
【0030】本発明の水性被覆組成物をコーティング材
料として用いる場合には、通常、室温〜60℃の温度範囲
で10秒〜10時間乾燥して塗膜が形成される。
【0031】以下に、本発明を実施例により詳細に説明
する。なお、実施例中の「部」および「%」は、それぞ
れ「重量部」および「重量%」を示す。
【0032】
【実施例】
[ビニル系重合体[1] −1の製造]攪拌機、温度計、還
流凝縮器を備えて、加温と冷却がいずれも可能である重
合装置中に、脱イオン水 200部にポリビニルアルコール
(ケン化度80モル%、重合度1,500 ) 0.6部を加え、攪
拌を行い、ポリビニルアルコールを完全溶解した後に、
一度攪拌を停止し、メチルメタクリレート(以下、MM
Aと略す)45部、スチレン(以下、Stと略す)10部、
n-ブチルアクリレート(以下、n-BAと略す)15部、ジ
アセトンアクリルアミド(以下、DAAMと略す)を20
部、メタクリル酸(以下、MAAと略す)10部を加え、
再度攪拌を開始し、アゾビスイソブチロニトリル(以
下、AIBNと略す) 0.5部およびn-ドデシルメルカプ
タン(以下、n-DMと略す)4部を加え、75℃に昇温
し、反応温度を75〜80℃に維持するようにして3時間反
応させ、内温をその後95℃に昇温し、1時間維持して反
応を終了させた。得られた反応液を目開き30μmのメッ
シュにて濾過し、粒子状のビニル系重合体[I] −1を得
た。この重合体[I] −1は、分子量12,000、酸価65mgKO
H/g 、二次転移温度68℃であった。
【0033】[ビニル系重合体[I] −2〜[I] −8の製
造]ビニル系重合体[I] −1の製造方法と同様の操作
で、表1に示すビニル系単量体組成物と、表1に示すラ
ジカル重合開始剤および連鎖移動剤を用いてそれぞれ重
合し、得られた反応液を目開き30μmのメッシュにて濾
過し、ビニル系重合体[I] −2〜[I] −8を得た。得ら
れた重合体の特性値を表2に示した。
【表1】
【表2】
【0034】[ビニル系重合体[I] −9の製造]攪拌
機、温度計、還流凝縮器を備えて、加温と冷却がいずれ
も可能である重合装置中にイソプロピルアルコール(以
下、i-PAと略す) 100部、MMA45部、St10部、n-B
A12部、DAAM20部、MAA13部、AIBN2部およ
びn-DM3部を加え攪拌を開始し、内温を80℃に昇温し
重合を開始し、反応開始後1時間おきにAIBNを 0.2
部添加し、9時間、温度を80℃に維持し重合を終了し、
固形分51%、粘度10,000cps のビニル系重合体のi-PA
溶液を得た。その後、この溶液をバットに入れ、50℃に
加熱した乾燥機中にてi-PAを蒸発させ、固形分99.5%
のビニル系重合体[I] −9の固形物を得た。得られたビ
ニル系重合体[I] −9の分子量は13,000、酸価85mgKOH/
g 、二次転移温度70℃であった。
【0035】[ビニル系重合体[I] −10の製造]攪拌
機、温度計、還流凝縮器を備えて、加温と冷却がいずれ
も可能である重合装置中にi-PA 100部を加え攪拌を開
始し、80℃に昇温し、MMA47部、St10部、n-BA10
部、DAAM20部、MAA13部、AIBN3部の混合物
を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間おきにAIB
Nを 0.1部添加しながら、4時間、内器温度を80℃に維
持し重合を終了し、固形分50%、粘度2,000cpsのビニル
系重合体[I] −10のi-PA溶液を得た。その後、この溶
液をバットに入れ、50℃に加熱した乾燥機中にてi-PA
を蒸発させ、固形分99.5%のビニル系重合体[I] −10の
固形物を得た。得られたビニル系重合体[I] −10の分子
量は11,000、酸価85mgKOH/g 、二次転移温度84℃であっ
た。
【0036】[ビニル系重合体の水中への溶解]攪拌
機、温度計、還流凝縮器を備えて、加温と冷却がいずれ
も可能である 300mlフラスコ中にビニル系重合体[I] −
1を50gおよび脱イオン水 148gを投入し攪拌を開始
し、28%アンモニア水 3.5gを徐々に添加し、その後50
℃に昇温し2時間温度を維持して、その溶解を完了し、
ビニル系重合体[I] −1の水性溶解物を得た。得られた
水性溶解物は固形分25%、粘度500cpsであった。ビニル
系重合体[I] −2〜[I] −8も下記の計算方法に従い28
%アンモニア水と脱イオン水の添加量を計算し、同様の
方法で溶解操作を行った。しかし、ビニル系重合体[I]
−2は溶解できなかった。 必要アンモニア水(g)=A÷56.1÷1000×50×17÷0.
28 (式中、Aは重合体の酸価(mgKOH/g) を表す。) 必要脱イオン水(g)= 150−必要アンモニア水(g)
×0.72
【0037】[ウレタン系重合体[II]−1の水性分散液
の製造]攪拌機、温度計、還流凝縮器を備えた1000mlの
反応容器にジメチロールプロピオン酸(以下、DMPA
と略す)13部、N-メチル−2-ピロリドン(以下、NMP
と略す)80部、ポリテトラメチレングリコール(数平均
分子量1,900 、以下、PTMG−2000と略す) 100部を
加え、90℃に加熱した。次にイソホロンジイソシアネー
ト(以下、IPDIと略)48部を加え、10分間攪拌後、
ジブチルスズジラウレート 0.1部を加え、95℃まで昇温
し1時間反応させた。得られたウレタンプレポリマーの
酸価は33.7mgKOH/g であった。このようにして得た親水
基含有ウレタンプレポリマーをトリエチルアミン10部で
中和した後、脱イオン水 300部を加え、1時間攪拌し、
水で鎖延長した。得られた組成物はウレタン系重合体[I
I]−1の安定な水分散体であり、固形分29.2%、粘度1,
000cpsであった。
【0038】[ウレタン系重合体[II]−2の水性分散液
の製造]攪拌機、温度計、還流凝縮器を備えた1000mlの
反応容器にネオペンチルグリコール(以下、NPGと
略)22部、DMPA6部、NMP40部、ポリプロピレン
グリコール(数平均分子量2,000 、以下、PPG−2000
と略) 100部を加え、90℃に加熱した。次にIPDI30
部を加え、10分間攪拌後、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート(以下、HDIと略)35部を加え、10分間攪拌後、
ジブチルスズジラウレート 0.1部加え、95℃まで昇温
し、1時間反応させた。得られたウレタンプレポリマー
の酸価は12.9mgKOH/g であった。このようにして得た親
水基含有ウレタンプレポリマーをトリエチルアミン5部
で中和した後、脱イオン水 430部を加え、水分散した。
これにヘキサメチレンジアミン13部を添加し、1時間攪
拌しジアミンで鎖延長した。得られた組成物はウレタン
系重合体[II]−2の安定な水分散体であり、固形分30.2
%、粘度1,000cpsであった。
【0039】[ウレタン系重合体[II]−3の水性分散液
の製造]攪拌機、温度計、還流凝縮器を備えた1000mlの
反応容器に、DMPA6部、NMP40部、ポリカーボネ
ートジオール(分子量2,000 ) 100部、ポリエチレング
リコール(分子量200 )42部を加え、90℃に加熱した。
次にIPDI48部を加え、10分間攪拌後、HDI35部を
加え、10分間攪拌後、ジブチルスズジラウレート0.1部
を加え、95℃まで昇温し、1時間反応させた。得られた
ウレタンプレポリマーの酸価は10.9mgKOH/g であった。
このようにして得た親水基含有ウレタンプレポリマーを
トリエチルアミン10部で中和した後、脱イオン水 530部
を加え、水分散した。これにイソホロンジアミン20部を
添加し、1時間攪拌しジアミンで鎖延長した。得られた
組成物はウレタン系重合体[II]−3の安定な水分散体で
あり、固形分30.2%、粘度700cpsであった。
【0040】
【実施例1】ビニル系重合体[I] −1の固形分25%水溶
液60g、およびウレタン系重合体[II]−1の水性分散液
を 120g、アジピン酸ジヒドラジド4gをビーカー内に
計り取り、棒で軽く混合し、ブレンド液1を作成した。
この場合、ビニル系重合体[I] −1とウレタン系重合体
[II]−1の水性分散液の重合体固形分比は30:70であ
る。ブレンドして24時間後にも析出物が見られず、両重
合体の溶液中での相溶性が良好であることが確認でき
た。ブレンド液1をガラス板にソリッド膜厚80μmにな
るように塗布、乾燥させたところ、透明な塗膜が形成さ
れており、塗膜とした場合にも両重合体の相溶性が良好
であることが確認された。また、同様な条件で作成した
塗膜をMEKラビング試験を行ったところ、50回ラビン
グしても、膜の溶解および剥離は見られなかった。次に
同条件で作成した塗膜を50℃の温水に5時間浸漬したと
ころ、塗膜に変化は見られなかった。また、ブレンド液
1をポリエステルフィルム(ルミラーE-35、東レ株式会
社製)に乾燥膜厚20μmになるように塗布し、乾燥して
作成した塗膜にセロハンテープ(ニチバン株式会社製)
を塗膜に押しつけ、その後剥がしたが、塗膜はセロハン
テープの粘着層に移し取られなかった。また、Degussa
製のカーボンブラック#100 をブレンド液1中の重合体
100部に対して20部加え、FRITSCH 製遊星ボールミルに
て2時間混合し、顔料を分散させた。その後3日間室温
にて放置したが、該水溶液中での顔料の沈降は見られな
かった。
【0041】
【実施例2〜9および比較例1〜8】表3に示したビニ
ル系重合体[I] とウレタン系重合体[II]を実施例1と同
様にしてブレンド液を作成し、溶液特性、該溶液より形
成した塗膜の性能を評価した結果を表3に示した。な
お、各評価試験の結果の記号は下記を意味する。 [相溶性] 溶液特性 S:析出物が見られない。 IS:析出物有り。 塗膜特性 C:塗膜が透明であり、相溶性が良好で
ある。 VSH:塗膜がわずかにやや不透明であり、相溶性がや
や不良である。 SH:VHSの段階より塗膜が不透明であり、相溶性が
VHSの段階より低位である。 H:SHの段階より塗膜が不透明であり、相溶性がSH
の段階より低位である(実用不可能なレベル)。 [塗膜の耐溶剤性] 良好:MEKラビング50回後に膜の剥離が見られない。 不良:MEKラビング50回後に膜の剥離有り。 [塗膜の耐水性] 良好:50℃の温水に5時間浸漬後、塗膜が透明である。 不良:50℃の温水に5時間浸漬後、塗膜が白化してい
る。 [塗膜の密着性] 良好:セロハンテープの粘着層に移し取られない。 不良:セロハンテープの粘着層に移し取られる。 [水性ブレンド物の顔料分散性] 良好:3日後に顔料の沈降が見られない。 不良:3日後に顔料の沈降が見られる。
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明により得られる水性被覆組成物
は、アクリル樹脂とウレタン樹脂の特長を同時に有して
おり、従来の水性ウレタン・アクリル樹脂の分散体に比
べて、その造膜性が良好であり、得られる塗膜の耐水
性、耐候性、耐摩耗性、平滑性、光沢が良好である。ま
た、従来の水性ウレタン・アクリル樹脂を利用した水性
被覆組成物の問題となっていた分散安定性についても優
れた性質を示すものである。従って、該水性被覆組成物
は金属、プラスチック、木、紙等の被覆材や各種仕上げ
剤、塗料等、とくに密着性、耐水性、平滑性、光沢、顔
料分散性が要求される分野において有用である。
フロントページの続き (72)発明者 土井 康敬 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60 号三菱レイヨン株式会社商品開発研究所 内 (56)参考文献 特開 平5−339542(JP,A) 特開 平5−302043(JP,A) 特開 昭62−25163(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10 C08G 18/00 - 18/87 C08G 71/00 - 71/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) メチルメタクリレート30〜90重量
    %、(b) 芳香族ビニル化合物0〜30重量%、(c) 酸基含
    有ビニル化合物4〜30重量%、(d) カルボキシル基、エ
    ステル基またはアミド基以外のカルボニル基あるいはア
    ルデヒド基含有ビニル系単量体1〜40重量%、および
    (e) その他の共重合可能なビニル系単量体0〜65重量%
    からなるビニル系共重合体で、その二次転移温度が10〜
    150 ℃、重量平均分子量が 6,000〜150,000 、かつ、酸
    価が35〜200mgKOH/gであるビニル系重合体[I] の塩基中
    和物を水に溶解してなるビニル系重合体[I] の水溶液
    と、(f) 脂肪族および/または脂環式ジイソシアネート
    と、(g) 末端ヒドロキシル基を有する数平均分子量が 5
    00〜5,000 のジオール化合物、(h) 酸基含有ジオールと
    をNCO/OH当量比が 1.1〜1.9 なる割合で反応して
    得たウレタンプレポリマーを、3級アミンで中和後また
    は中和しながら鎖延長するか、またはアミンで鎖延長し
    たウレタン系重合体[II]の水性分散物とからなる水性樹
    脂分散物に、2個以上のヒドラジン残基を有する有機ヒ
    ドラジン誘導体[III] を配合したことを特徴とする水性
    被覆組成物。
  2. 【請求項2】 ビニル系重合体[I] が溶液重合法または
    懸濁重合法により製造したものである請求項1記載の水
    性被覆組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル系重合体[I] とウレタン系重合体
    [II]との重合体固形分比率が5:95〜95:5である請求
    項1記載の水性被覆組成物。
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