JP3485817B2 - 鉄道車両用ブレーキディスク - Google Patents

鉄道車両用ブレーキディスク

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一体型の鉄道車
両用ブレーキディスクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両用のブレーキには、電気式ブレ
ーキと機械式ブレーキが用いられており、機械式ブレー
キとしてはディスクブレーキが多く採用されている。通
常、高速からの減速に電気ブレーキが使用され、ある程
度減速してからディスクブレーキが使用される。但し、
走行中に何らかの原因で電気系統のトラブルが発生し
て、電気式ブレーキが使用不能となったときは、高速走
行中でもディスクブレーキを使用する必要がある。
【0003】前記ディスクブレーキには、車輪側面取り
付け型のものと車軸取り付け型のものとがあり、車輪側
面取り付け型のディスクブレーキは、車輪側面の空間を
利用して、この空間にブレーキディスクを納める方式の
ため、コンパクトな設計とすることができる。
【0004】前記ブレーキディスクには、ディスクを一
体に形成した一体型と、ディスクを複数の扇形形状に分
割した分割型とがある。分割型ディスクは、ブレーキを
かけた際の摩擦発熱による熱応力を緩和できるととも
に、取り付けの際に車輪を車軸から取り外す必要がな
く、交換が容易である利点を有するが、摺動面の分割部
に生じるわずかの段差でパッドが消耗し易く、騒音も大
きい欠点がある。一体型ディスクは、摺動面を平坦に形
成でき、パッドの寿命を長く、かつ騒音も小さくできる
とともに、加工が簡単で製造コストを安価にできる利点
を有するが、熱応力が大きくなる。
【0005】上述したように、分割型ディスクは熱応力
が小さいので、その素材としては、靱性には劣るが摺動
特性に優れる鋳鉄や粒子分散アルミニウム合金鋳物が通
常用いられている。一方、熱応力が大きくなる一体型デ
ィスクには、通常、靱性の優れた鋳鋼や鍛鋼が用いられ
ている。
【0006】図5は、従来の一体型ブレーキディスクを
示す。このブレーキディスクは、2枚一対のディスク1
1より成り、この一対のディスク11が車輪12の側面
両側に、ボルト13で締結されている。各ディスク11
の表面側には平坦な摺動面14が、裏面側には放熱用の
フィン15が設けられ、各摺動面14の両側からパッド
16が押し付けられるようになっている。
【0007】前記各ディスク11は、車輪12側面の限
られた空間に納めるために、厚みを薄くする必要があ
り、パッド16の押し付け力による弾性変形でディスク
11が車輪12側面側に逃げて、摺動面14でのパッド
16との摩擦力が低下しないように、前記フィン15の
先端は車輪12の側面にほぼ接するように設計されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の一体型
ブレーキディスクは、前記トラブル等により高速走行状
態で非常用に使用されると、過大な発熱による熱応力
で、クラックや変形が生じる問題がある。
【0009】すなわち、摺動面での過大な発熱でディス
クが熱膨張すると、摺動面が設けられたディスク外周側
では周方向の圧縮応力が、締結用ボルト孔が設けられた
ディスク内周側では周方向に引張応力が発生する。従来
のディスクは、前述したように、フィンが設けられた裏
面側が車輪側面で厚み方向を拘束されているため、周方
向の圧縮応力と引張応力の絶対値が大きくなる。
【0010】前記引張応力が過大になると、応力集中し
やすいディスクの内周側端面や締結用ボルト孔を起点と
してクラックが発生する。このクラックは繰返の熱応力
で成長し、ディスクの破壊に至る場合がある。ディスク
素材の靱性が高いときは、クラックの替わりに熱変形が
生じ、パッドとの当たりが不均一となる。極端な場合
は、ディスクが常時パッドと接触するようになり、交換
を余儀なくされる。
【0011】そこで、この発明の課題は、高速走行中に
非常用に使用しても、過大な熱応力の発生を防止できる
鉄道車両用ブレーキディスクを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明は、鉄道車両の車輪側面両側に取り付け
られ、表面側にパッドとの摺動面が、裏面側に放熱用の
フィンが設けられた2枚一対のディスクより成る鉄道車
両用ブレーキディスクにおいて、前記フィンの先端と車
輪側面の間に0.2〜1.5mmの隙間を設けた構成を
採用したのである。
【0013】すなわち、フィンの先端と車輪側面の間に
わずかの隙間を設けることにより、摺動面での過大な発
熱による熱膨張をディスクの厚み方向に逃がし、前記周
方向の圧縮と引張の熱応力を低減できるようにしたので
ある。前記隙間の下限値0.2mmと上限値1.5mm
は、後述するブレーキ試験結果に基づいて決定したもの
であり、隙間が0.2mm未満では熱応力を十分に低減
できず、1.5mmを越えると、パッドの押し付け力で
ディスクが車輪側面側に逃げ、摺動面でのパッドとの摩
擦力を十分に確保できない。
【0014】前記隙間を、前記ディスクの外周側ほど大
きくなるように形成することにより、前記周方向熱応力
の半径方向の応力勾配をより小さくすることができる。
すなわち、摺動面での発熱量は摺動距離の長い外周側の
方が大きいため、ディスク外周側ほど熱膨張量は大きく
なる。前記半径方向の隙間の変化は、テーパ状や段差状
等とすることができる。
【0015】前記ディスクを鋳鉄または粒子分散アルミ
ニウム合金鋳物で形成することにより、摺動面での摺動
特性を高めることができる。
【0016】
【実施の形態】以下、図1乃至図4に基づき、この発明
の実施形態を説明する。このブレーキディスクは、図1
に示すように、2枚一対のSiC粒子分散アルミニウム
合金鋳物製ディスク1より成り、この一対のディスク1
が、車輪2の側面両側に形成された空間に納められ、ボ
ルト3で締結されている。各ディスク1の表面側には平
坦な摺動面4が設けられ、各摺動面4の両側からパッド
5が押し付けられるようになっている。
【0017】前記ディスク1の裏面側には、図2および
図3に示すように、放射状に多数の放熱用フィン6が設
けられ、これらのフィン6の内周側には、前記締結ボル
ト3用の孔7が設けられている。なお、最外周部には、
車輪2との接触を避けるために、逃げ面8が設けられて
いる。
【0018】前記フィン6の先端と車輪2の側面の間に
は、図4に拡大して示すように、外周側にテーパ状に拡
がる隙間9が設けられている。この隙間9は0.2mm
以上に形成され、前記逃げ面8の部分を除く外周端で
1.1mmになっている。
【0019】この実施形態では、ディスク素材にSiC
粒子分散アルミニウム合金鋳物を用いたが、その他の粒
子分散アルミニウム合金鋳物も採用することができる。
勿論、鋳鉄や鋼系の素材を用いることもできる。
【0020】以下に実施例および比較例を上げる。
【0021】
【実施例】図1乃至図4に示した逃げ面8の部分を除く
外周端で隙間9が1.1mmのブレーキディスクを用意
した。
【0022】
【比較例】実施例と同じ寸法と素材で、前記隙間を1.
6mmと大きくしたブレーキディスク(比較例1)と、
前記隙間が0.1mmの従来のブレーキディスク(比較
例2)を用意した。
【0023】上記実施例と比較例のブレーキディスク
を、高速回転軸に車輪が取り付けられたブレーキ試験機
に装着し、種々の回転速度でブレーキ試験を行った。試
験時のパッド押し付け力と高速回転軸のトルク増量から
ディスク摺動面での摩擦係数を算出した。
【0024】
【表1】
【0025】試験結果を表1に示す。表中の摩擦係数比
は、比較例2を基準としたものである。従来品の比較例
2は高い摩擦係数を示すが、回転速度を230km/h
としたときに締結用ボルト孔の部分にクラックが発生し
た。
【0026】実施例のブレーキディスクは、最高試験速
度の355km/hでもクラックは発生せず、従来品に
対する摩擦係数比も90%以上の高い値を確保できるこ
とがわかる。一方、隙間の大きい比較例1は、クラック
は発生しないが、170km/h以上の高速領域での摩
擦係数比の低下が大きく、90%を割っている。
【0027】
【発明の効果】以上のように、この発明の鉄道車両用ブ
レーキディスクは、フィンの先端と車輪側面の間に0.
2〜1.5mmの隙間を設けたので、高速走行中に非常
用に使用されても、摺動面での過大な発熱による熱膨張
をディスクの厚み方向に逃がし、周方向の熱応力を緩和
してクラックや変形の発生を防止できるとともに、パッ
ドの押し付け力による摺動面の逃げも最小限として、摺
動面での摩擦係数も高い値に保持することができる。ま
た、この熱応力の緩和により、靱性の低い鋳鉄や粒子分
散アルミニウム合金鋳物でディスクを形成することがで
き、摺動面での摺動特性に優れた一体型ブレーキディス
クを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のブレーキディスクを車輪に取り付け
た状態を示す縦断面図
【図2】図1の一部省略分解斜視図
【図3】図1のブレーキディスクの背面図
【図4】図1の要部拡大断面図
【図5】従来のブレーキディスクを車輪に取り付けた状
態の要部拡大断面図
【符号の説明】
1 ディスク 2 車輪 3 ボルト 4 摺動面 5 パッド 6 フィン 7 孔 8 逃げ面 9 隙間 11 ディスク 12 車輪 13 ボルト 14 摺動面 15 フィン 16 パッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−167067(JP,A) 特開 平9−100852(JP,A) 特開 昭52−51616(JP,A) 実開 昭63−109042(JP,U) 実開 平4−5534(JP,U) 桜井市蔵,SiC粒子分散アルミ鋳造 による高速鉄道用ブレーキディスクの開 発,クリモト技報,日本,株式会社栗本 鐵工所,1997年 3月,No.36,p. 50〜56 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 65/12 B61H 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄道車両の車輪側面両側に取り付けら
    れ、表面側にパッドとの摺動面が、裏面側に放熱用のフ
    ィンが設けられた2枚一対のディスクより成る鉄道車両
    用ブレーキディスクにおいて、前記フィンの先端と車輪
    側面の間に0.2〜1.5mmの隙間が設けられたこと
    を特徴とする鉄道車両用ブレーキディスク。
  2. 【請求項2】 前記隙間が、前記ディスクの外周側ほど
    大きくなるように形成された請求項1に記載の鉄道車両
    用ブレーキディスク。
  3. 【請求項3】 前記ディスクが鋳鉄または粒子分散アル
    ミニウム合金鋳物で形成された請求項1または2に記載
    の鉄道車両用ブレーキディスク。
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