JP3484514B2 - 抗ピル性を有する布帛 - Google Patents

抗ピル性を有する布帛

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、これまでと異なる
メカニズムで抗ピル性の発現が可能となる抗ピル性を有
する布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやアクリルなどの合成繊維
あるいはレーヨン、綿などの再生繊維、天然繊維から構
成される短繊維紡績糸使いの織物、編み物は、表面の毛
羽感からソフトな肌触りと保温性を有し、衣料用として
広く使用されている。しかしながら、かかる短繊維紡績
糸からなるスパン織編物は表面の毛羽が着用中や洗濯に
よって摩擦を受け、たちまちピリング(以下、ピルとい
う)と呼ばれる毛玉が発生し、品質、外観が大きく損な
われ、問題となっていた。これは表面の短繊維毛羽が揉
まれることにより、表面に存在している毛羽、あるいは
織編物中から毛羽が引き出されて毛羽同士が絡み合うた
めであった。からみあった毛羽は脱落しにくく、繊維の
強度、伸度が大きいポリエステルやポリアクリルなどの
合成繊維で特に問題となっていた。
【0003】抗ピル性を発現させるためには、紡績糸を
構成する単繊維の強度、伸度を小さくする改質方法が提
案されてきた。すなわち、ポリエステルにポリエチレン
グリコール、イソフタル酸、あるいはトリメリット酸メ
チルを共重合させたり、ホウ酸を添加させた改質ポリエ
ステルなどが提案されてきた。この抗ピル性発現のメカ
ニズムは、織編物表面の摩耗により一旦ピルが生成され
るが、繊維強度が低いため、容易にピルが脱落しやす
く、ピルの生成、脱落を繰り返していた。
【0004】しかし、ピルの生成後、ピルが脱落すると
はいえ、ピルが短時間で生成することを繰り返すため、
ピル生成時に織編物の品質低下を招き、また不快感が拭
えない問題があった。
【0005】また、抗ピルを繊維の強伸度を小さくする
ことで行っているため、該繊維を用いてなる布帛の引裂
強力などが低くなることが問題であった。
【0006】図2は、従来の布帛をICI法によって抗
ピル試験したときの、時間に対する抗ピル性の関係を示
すもので、図2中、グラフBは従来の抗ピル性布帛(編
物)、グラフCは従来の抗ピル性を有さない布帛(編
物)である。
【0007】この時間−抗ピル性のグラフにおいて、グ
ラフBは、2時間あたりで極小値を持っている。このよ
うな挙動を示す布帛は、従来の抗ピル性布帛に特徴的な
挙動である。
【0008】これは、従来の抗ピル性布帛では時間の経
過に伴い比較的短時間でピルを形成するが、繊維強度が
低いため、容易にピルが脱落しやすく、抗ピル試験時の
時間−抗ピル性のグラフにおいて短時間で極小となる点
を有し、十分な抗ピル性を発現するものとはいえなかっ
た。
【0009】一方、グラフCは、従来の抗ピル性を有さ
ない布帛(編物)の挙動であるが、時間に対し抗ピル性
が単調な低下関係にある。従って、比較的短期間からピ
ルが形成しやすく、繊維強度も高いため、ピルが脱落し
にくい。すなわち、ピルが短時間で生成しやすいばかり
か、時間の経過に伴いピルが布帛表面に増える一方なの
である。
【0010】一方、織編物の表面毛羽ができにくいよう
に紡績糸の撚数を高めた強撚糸を用いる方法や組織密度
を高める方法があるが、風合いが硬くなり、保温性に乏
しくなるなどの問題があった。
【0011】そのほかにも、表面毛羽に塩化亜鉛やアミ
ンなどの繊維脆化剤をスプレーし、熱処理して毛先を脆
化する方法が提案されているが、均一な処理が困難であ
り、過大の排液処理設備が必要となり、簡単に処理でき
ない問題があった。
【0012】さらに染色時に表面毛羽を毛焼加工する方
法が提案されているが、毛羽の溶融玉(メルトボール)
が表面に残るため、風合いがザラザラすること、熱処理
による風合効果があること、保温性に欠けるなどの問題
点があった。
【0013】このように、いずれの場合も抗ピル性を付
与するためには十分な方法ではなく、抗ピル性の付与は
業界の長年の課題であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のピル生成、脱落という抗ピル発現と全く異なり、ピル
そのものが生成しにくい布帛を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、次の構成を有する。すなわち、短繊維からなる布
帛であって、該短繊維が少なくとも2種類のポリマーを
混合してなるものであり、一方のポリマーがポリエチレ
ンテレフタレートであり、他方のポリマーがポリエチレ
ンテレフタレートに有機スルホン酸金属塩を2〜10モ
ル%共重合したポリマーであり、該短繊維の中空率が1
0〜40%であるものであり、且つICI法による抗ピ
ル試験時の時間−抗ピル性のグラフにおいて極小となる
点を有さず、且つ5時間試験後の抗ピル性が3級以上で
あることを特徴とする抗ピル性を有する布帛である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の短繊維からなる布帛は、
ICI法による抗ピル試験時の時間−抗ピル性のグラフ
において極小となる点を有さず、且つ5時間試験後の抗
ピル性が3級以上である。本発明でいう極小となる点を
有さずとは1回微分したときに傾きが0となる点を有さ
ないことをいう。この点に関し、さらに図を用いて説明
する。
【0017】図1のグラフAは、本発明の布帛(編物)
の挙動を示す。本発明の布帛は抗ピル性が単調な低下で
はなく、更に5時間経過後にも抗ピル性3級以上を有し
ており、時間の経過にも関わらず、短時間ではピルその
ものを生成しにくく、長時間経過後にもピルが生成され
にくい挙動を示す。従って、本発明の布帛はICI法に
よる抗ピル試験時の時間−抗ピル性のグラフにおいて極
小となる点を有さず、且つ5時間試験後の抗ピル性が3
級以上であることが必要である。
【0018】本発明の布帛を構成する短繊維は、少なく
とも2種類のポリマーを混合してなるものであって、一
方のポリマーがポリエチレンテレフタレートと、他方の
ポリマーがポリエチレンテレフタレートに有機スルホン
酸金属塩を2〜10モル%共重合したポリマーとを混合
してなるものであることが重要である。
【0019】ポリエチレンテレフタレートとポリエチレ
ンテレフタレートに有機スルホン酸金属塩を2〜10モ
ル%共重合したポリマーを混合することで、安定した製
糸を行うことが可能である。これらが互いに相溶性を有
しないポリマの組み合わせでは、安定した製糸を行なう
ことが困難になる場合があるので好ましくない。
【0020】本発明において、ポリエチレンテレフタレ
ートに有機スルホン酸金属塩を2〜10モル%共重合し
たポリマーを混合することで、未延伸糸の配向度は抑制
され、得られる繊維の残留伸度が増加する理由は明らか
ではないが、混合された有機スルホン酸金属塩を共重合
したポリマーの存在が紡糸中の繊維の細化挙動に影響を
及ぼし、繊維の配向構造が形成される際にその内部応力
を低減させることによりPETの配向が抑制されるもの
と思われる。繊維の残留伸度が増加するため、高い延伸
倍率で延伸を行うことが可能となる。そのため、繊維の
持つ剛性(ヤング率)が増し、単繊維同士が絡みにくく
なると考えられる。
【0021】本発明においては、従来の抗ピル性繊維の
ように繊維の強伸度を小さくする発想と異なったメカニ
ズムで抗ピル性繊維を製糸するので、本発明における繊
維を用いてなる布帛は、従来の抗ピル性繊維を用いてな
る布帛に比べ、引裂強力が高くできるのである。
【0022】本発明において、ポリエチレンテレフタレ
ートに共重合する有機スルホン酸金属塩の共重合率は高
い方が抗ピル性発現には効果が高く好ましいが、共重合
率が10モル%を超えると重合過程で急激な増粘が発生
し、ポリマーの重合度を上げることができないという問
題が生じてしまうので好ましくない。また、ポリマーの
熱安定性も低下するため紡糸性が悪化してしまうので好
ましくない。
【0023】また、有機スルホン酸金属塩の共重合率が
2モル%未満であると、PETの配向抑制効果が弱く、
延伸倍率を高く設定することが不可能なため、抗ピル性
が発現しなくなってしまうので好ましくない。有機スル
ホン酸金属塩は2〜6モル%の共重合率であることがよ
り好ましい。
【0024】本発明の布帛を構成する繊維を製糸する場
合、少なくとも2種類以上のポリマーを混合することが
好ましい。
【0025】混合する方法としては、2種類以上のポリ
マーを別々に溶融し、ミキサーで混練する方法、2種類
以上のポリマーをチップの状態で混合し、溶融する方法
などを用いることができる。但し、2種以上のポリマー
を別々に溶融し、ミキサーで混練して一旦マスターチッ
プとした後で紡糸する方法などでは、2種類以上のポリ
エステルを混合した効果が喪失し、本発明の布帛が抗ピ
ル性を発現することが出来なくなるので好ましくない。
【0026】本発明において、混合するポリマーのうち
の一方のポリマーであるポリエチレンテレフタレート
と、他方のポリマーであるポリエチレンテレフタレート
に有機スルホン酸金属塩を2〜10モル%共重合したポ
リマーとの混合比率は70/30〜30/70の範囲が
好ましい。他方の成分である有機スルホン酸金属塩が共
重合されたポリマーの混合比率が30%未満であると、
抗ピル性が発現せず好ましくない。混合比率が70%を
超えた場合も、抗ピル性が発現しなくなってしまい、繊
維強度も著しく低下してしまうので好ましくない。
【0027】また、混合するポリマーには本発明を達成
することができる範囲であれば、有機スルホン酸金属塩
の他にイソフタル酸等が共重合されていてもよい。
【0028】本発明において混合ポリマーは、有機スル
ホン酸金属塩の共重合ポリエステル単独でもよいし、本
発明の効果を発現する範囲で、安定した製糸を行える範
囲内あればナイロン等のポリマーと混合したものでもよ
く、ジオール成分および酸成分の一部が各々6モル%以
下の範囲で他の共重合可能な成分で置換されたものであ
ってもよい。
【0029】本発明において、混合する各々のポリマー
に、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの添加物を
含有させてもよい。
【0030】本発明の布帛を構成する繊維は中空率10
〜40%の中空を有していることが重要である。本発明
者らは、有機スルホン酸金属塩共重合ポリマーを混合さ
せて、繊維の残留伸度を増加させ、高い延伸倍率で延伸
し、繊維の持つ剛性(ヤング率)を増した繊維を得たと
しても、中空の有無によって抗ピル性の発現が全く異な
る現象を見出し、繊維の持つ中空構造があってはじめて
単繊維同士が絡みにくくなり、抗ピル性の発現が顕著に
なることを見出したのである。
【0031】中空率は高い方が好ましいが、40%を超
えて高くなると製糸性の悪化に加えて、中空の潰れが著
しく生じるので好ましくない。また、10%未満である
と本発明でいう抗ピル性を発現することが出来ないので
好ましくない。
【0032】本発明において、ポリエチレンテレフタレ
ートに共重合する有機スルホン酸金属塩は、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸であることが好ましい。5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸はPETの改質剤としては
非常によく知られている化合物であり、染色性、アルカ
リ溶出性等の向上を目的として広く用いられ、複合繊維
に用いる場合には、繊維に機能性を持たせるため鞘部に
用いられることがほとんどであった。本発明のように、
一方のポリマーがポリエチレンテレフタレートであり、
他方のポリマーがポリエチレンテレフタレートに5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸を共重合したポリマーとの
混合ポリマーとすることで、抗ピル性の発現に大きな影
響を与えるという効果は全く知られていなかった。
【0033】有機スルホン酸金属塩は他に、1,8−
(カルボメトキシ)ナフタレンー3−スルホン酸ナトリ
ウム、2,5−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンス
ルホン酸ナトリウム等を好ましく用いることができる。
【0034】本発明の布帛を構成する繊維の単繊維繊度
は1〜5dtexが好ましい。1dtex未満では製糸
が困難であり、5dtexを超えるものは、繊維が太す
ぎて硬い風合いとなり好ましくない。
【0035】また、本発明の布帛はアルカリ減量処理を
されていないことが好ましい。
【0036】アルカリ減量処理されていない布帛とは、
通常織物あるいは編物あるいは不織布に水酸化ナトリウ
ムなどのアルカリ性化合物で表面を減量加工する工程を
施されていない布帛である。
【0037】アルカリ減量処理を行うと、繊維表面に筋
状溝が形成され、繊維同士の摩擦が高くなり、抗ピル性
が劣る傾向になるので好ましくない。
【0038】これまでは、有機スルホン酸金属塩を共重
合したポリマーを混合することは、繊維をアルカリ減量
処理して、繊維表面上に繊維軸方向に特殊な筋状溝を形
成させ、フィブリルを生成させたり、繊維同士の摩擦の
度合いを高くして、キシミ感を付与させたりと絹の風合
いに近似させることが主な目的であった。本発明では、
従来のようにアルカリ減量処理により有機スルホン酸金
属塩の共重合ポリマーを溶出させて効果を発現する繊維
を、アルカリ減量処理されていない繊維とすること、し
かも中空繊維とすることで新たな抗ピル性発現に効果を
見出したのである。
【0039】また、本発明の布帛は、本発明でいうIC
I法による抗ピル試験時の時間−抗ピル性の関係を満足
するものであればアルカリ減量されていてもよい。アル
カリ減量されていると、単繊維間の空隙が生じ、風合い
の改善を行うことが出来るので好ましい。
【0040】本発明の布帛状態は特に限定されるもので
はないが、織物、編物、不織布が本発明の効果がよく発
揮できるので好ましい。
【0041】本発明の布帛を構成する繊維の種類は特に
限定されるものではなく、ポリエステル、アクリル、ポ
リアミド、レーヨン、綿、麻、ウール、絹の少なくとも
一種を用いたものが、本発明の効果を最大限に発揮でき
るので好ましい。特に、ポリエステル100%、ポリエ
ステル/レーヨン混、ポリエステル/ウール混、などが
好ましい。
【0042】織物は紡績糸100%で構成されるものが
好ましいが、タテ糸に長繊維、ヨコ糸に紡績糸を用いた
交織織物でもよい。織物組織は、ツイル、平織、サテ
ン、ベネシャン等が好ましい。編み物は、インターロッ
ク、モックミラノリブ、天竺組織が効果が発揮されるの
で好ましいが、特に限定されるものではない。
【0043】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
【0044】A.ICI法による抗ピル試験(JIS
L1076に準じる) 約10cm×約11cmの試験片を4枚採取する。試験
片の短片方向に表を外側にして張力を与えずに自然の状
態でICI形ピリング測定機(JIS L1076)のゴム管
に巻き、白綿糸で縫い付け、幅1.8cmのセロテープ
(登録商標)でゴム管の端がかくれないように試験片の
両端を留める。試験片を巻き付けたゴム管を4個1組と
してICIピリング試験機の回転箱に入れ、所定時間回
転する。回転を止めてゴム管を取り出し、試験片をゴム
管から取り外し、軽くブラッシングしてコルクなどの付
着物を除去した後、織物の場合は織物判定標準写真、編
み物の場合は編物判定標準写真と対比して区分し、4枚
の平均値で表す。
【0045】ピリング発生状態と等級との関係は次に示
す通りである。1〜5級の5段階評価した。判定の結果
が、二つの級の中間にある場合は、例えば、4−5級の
ようにハイホンで二つの級をつないで表す。
【0046】5級 ピリングの発生が殆どなく極めて良
好 4級 ピリングの発生が少々あるが、良好 3級 ピリングの発生がかなりあるもの 2級 ピリングの発生が多く、やや不良 1級 ピリングの発生が著しく多く不良 B.固有粘度 25℃のオルトクロロフェノール溶液中でオストワルド
粘度計を使用して測定した。 実施例1 一方のポリマーとして、固有粘度[η]が0.65のポ
リエチレンテレフタレートと、他方のポリマーとして、
固有粘度[η]が0.64で、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸を3.5モル%共重合した変性ポリマーを各
々溶融後、表1に示した重量比率で東レ(株)製ハイミ
キサー5段を備えた混合装置により溶融混合し、720
ホールの中空紡糸口金を用い、通常の紡糸機により紡糸
温度302℃で吐出し、1500m/minの速度で未
延伸糸トウを引き取り、合糸集束して、全繊度が3.5
万dtexのサブトウとして缶に収缶した。次いで、サ
ブトウを集束して、加熱供給ローラー群、スチーム浴、
延伸ローラー群を備えた延伸装置により延伸を行い、引
き続いて押込捲縮付与後、110℃の空気中で30分間
弛緩熱処理を行い、カッターにてカットして繊度2.2
dtex、繊維長51mmの短繊維を得た。
【0047】該短繊維のみ用い、通常の紡績(カード、
練条、粗紡、精紡)を行い、30番手の紡績糸を得た
(撚数:600回/m)。次いでこの紡績糸を用い、2
8ゲージで天竺組織に編成した。次いで、常法で、精
錬、染色、乾燥した。この際、アルカリ減量処理は行わ
なかった。ISI法による抗ピル試験を行った結果を、
表1に示す。 実施例2〜5、および比較例1〜6 5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合率、短繊維
の中空率、アルカリ減量処理の有無以外は、実施例1と
同様に紡糸、延伸から紡績、編成、高次加工を施し、I
CI法による抗ピル試験を行った結果を表1に示す。
【0048】実施例1から3では、ICI法による抗ピ
ル試験時の時間−抗ピル性のグラフにおいて極小となる
点を有さず、且つ5時間試験後の抗ピル性も3級以上で
あり、その後の抗ピル性も良好で、本発明の抗ピル性を
有する布帛を得ることができた。比較例1〜3では、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合率が低い、も
しくは高いため、5時間試験後の抗ピル性も3級未満で
あり、本発明の抗ピル性は得られていない。
【0049】比較例4,5では、中空率が低いため、本
発明の狙う抗ピル性が発現できていない。比較例6で
は、中空率が高すぎて製糸性の悪化、更に試験時に中空
が潰れ、5時間試験後の抗ピル性が著しく悪化してい
る。
【0050】実施例4,5では実施例1の筒編地をアル
カリ減量処理後、抗ピル評価した。実施例1にくらべ、
やや抗ピル性は劣るが、本発明の抗ピル性を発現するこ
とができた。
【0051】実施例6および比較例7〜10 他方の成分の共重合成分、共重合率、混合比率以外は実
施例1と同様に紡糸、延伸から紡績、編成、高次加工を
施し、ICI法による抗ピル試験を行った結果を表2に
示す。
【0052】比較例7,8は従来の抗ピル性を有する短
繊維を製糸し、編成した。3時間試験後に急激に抗ピル
性が悪化し、5時間試験後の抗ピル性も3級未満であっ
た。 実施例6および比較例9,10はポリマーの混合
比率を変えた以外は、実施例1と同様に行った。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、従来のピル生成、脱落
という抗ピル発現と全く異なり、従来技術では達成でき
なかった、ピルそのものが生成しにくい短繊維からなる
布帛を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の布帛をICI法によって抗ピル試験し
たときの、時間に対する抗ピル性の関係を示すグラフの
一例である。
【図2】従来の布帛をICI法によって抗ピル試験した
ときの、時間に対する抗ピル性の関係を示すグラフの一
例である。
【符号の説明】
A:本発明の布帛(編物) B:従来の抗ピル性布帛(編物) C:従来の抗ピル性を有さない布帛(編物)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−95859(JP,A) 特開 平8−260243(JP,A) 特開 昭56−49068(JP,A) 特開 昭59−211659(JP,A) 特開2001−279529(JP,A) 特開2001−279555(JP,A) 特開2001−288617(JP,A) 特開2001−81641(JP,A) 特許3307383(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18 D01F 6/92 Fターム(4L048)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】短繊維からなる布帛であって、該短繊維が
    少なくとも2種類のポリマーを混合してなるものであ
    り、一方のポリマーがポリエチレンテレフタレートであ
    り、他方のポリマーがポリエチレンテレフタレートに有
    機スルホン酸金属塩を2〜10モル%共重合したポリマ
    ーであり、該短繊維の中空率が10〜40%であるもの
    であり、且つICI法による抗ピル試験時の時間−抗ピ
    ル性のグラフにおいて極小となる点を有さず、且つ5時
    間試験後の抗ピル性が3級以上であることを特徴とする
    抗ピル性を有する布帛。
  2. 【請求項2】有機スルホン酸金属塩が5−ナトリウムス
    ルホイソフタル酸であることを特徴とする請求項記載
    の抗ピル性を有する布帛。
  3. 【請求項3】アルカリ減量されていないことを特徴とす
    る請求項1〜2のいずれかに記載の抗ピル性を有する布
    帛。
  4. 【請求項4】アルカリ減量されていることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の抗ピル性を有する布
    帛。
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