JP3483656B2 - 精密打抜き用高強度鋼板 - Google Patents

精密打抜き用高強度鋼板

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昭史 平松
博之 寿福
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、440N/mm2 を超
える引張り強さを持ち、精密打抜き性が要求されるギ
ア,プレート等の自動車部品等に好適な高強度鋼板に関
する。
【0002】
【従来の技術】ギア,プレート等の部品は、鋼板を所定
の形状に打ち抜いた後、適宜の熱処理を施して製造され
ている。この用途に使用される鋼板には、形状精度の良
好な部品を得るために精密打抜き性が優れていること、
使用状態における信頼性から高い強度をもつこと等が要
求される。精密打抜き性に優れた鋼板に関しては、特公
昭58−734号公報,特公昭62−2008号公報,
特公平2−19173号公報,特開平3−47922号
公報等で紹介されているように、従来から種々の研究・
開発が進められている。これらの方法では、セメンタイ
トの球状化によって熱延鋼板の精密打抜き性を向上させ
ているため、熱延鋼板に焼鈍を施すことが必要になる。
そのため、製造工程が長くなり、納期やコストアップ等
に問題があることは勿論、製造条件を厳格に管理するこ
とが余儀なくされる。また、何れの鋼板においても、精
密打抜き後の部品に熱処理を施すことが前提とされてい
るため、部品メーカー側の費用負担が大きくなる。他
方、特開昭58−104160号公報,特公平3−29
42号公報,特公平5−14764号公報等で紹介され
ている方法では、軟質の鋼板を対象としているため、精
密打抜き後の部品に短時間急速加熱等の熱処理を施す必
要がある。この場合にも、部品メーカに対して製造コス
トの上昇が避けられない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】セメンタイトの球状化
で精密打抜き加工性を改善する方法では、熱延鋼板を焼
鈍する工程を必須とする。この熱処理工程のために、製
造工程や製造条件の管理等に問題を来し、ひいては納期
管理や製造コストの上昇等を招く。また、部品メーカ側
においても、熱処理工程が必要とされる欠点がある。本
発明は、このような問題を解消すべく案出されたもので
あり、セメンタイトの球状化に代えてベイニティックフ
ェライト又はベイナイトを主相とする組織にして精密打
抜き性を確保することにより、球状化焼鈍を省略し、精
密打抜き性に優れ、且つ精密打抜き後の部品をも熱処理
する必要なく、実用に供せられる高強度鋼板を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の精密打抜き用高
強度鋼板は、その目的を達成するため、C:0.05〜
0.20重量%,Si:0.3重量%以下,Mn:0.
5〜2.0重量%,P:0.02重量%以下及びS:
0.005重量%以下を含み、残部が実質的にFeから
なり、ベイニティックフェライト又はベイナイトの均一
組織、或いはベイニティックフェライト又はベイナイト
の面積占有率が85%以上の組織をもっていることを特
徴とする。この精密打抜き用高強度鋼板は、所定組成の
鋼スラブを熱延及び必要に応じて冷延することにより製
造される。
【0005】
【作用】本発明の鋼板は、ベイニティックフェライト又
はベイナイトの均一組織をもっている。この組織は、フ
ェライト+パーライト,フェライト+ベイナイト,フェ
ライト+マルテンサイト等の混合組織にみられるような
軟質相と硬質層との界面が少ない。すなわち、精密打抜
き時の応力集中に起因して破断し易い界面が少ないた
め、精密打抜き性が著しく向上する。また、440N/
mm2 を超える高強度化にも十分対応できる。これに対
し、硬質相と軟質相の界面が多い混合組織では、精密打
抜き時に割れ発生の起点となる破断面が硬質相と軟質相
との界面に生じ易い。また、マルテンサイトやパーライ
トの均一組織では、これら組織の延性が不十分であるた
め、良好な精密打抜き面が得られない。フェライトの均
一組織では、良好な精密打抜き性が得られるものの、4
40N/mm2 を超えるような高強度化が困難である。
ベイニティックフェライト又はベイナイトの均一組織
は、合金の成分を規定し、熱延によって形成される。ま
た、熱延板を必要に応じて冷間圧延することにより、
0.2%耐力/引張り強さで表される鋼板の降伏比が向
上し、精密打抜きされた製品に発生するダレが低減され
る。このような効果を得るためには、ベイニティックフ
ェライト又はベイナイトの均一組織が最適であるが、ベ
イニティックフェライト又はベイナイトの面積占有率が
85%以上である限り、ベイナイト+パーライトやベイ
ナイト+マルテンサイト等の混合組織であってもよい。
【0006】以下、本発明鋼板に含まれる合金成分,そ
の含有量等について説明する。 C:0.05〜0.20重量% 強度確保のために必要な合金元素であり、本発明では、
引張り強さ440N/mm2 以上の目標強度を得ること
から、C含有量の下限を0.05重量%に規定した。し
かし、0.20重量%を超える多量のCが含まれると、
パーライト量が増加し、精密打抜き性が急激に劣化す
る。 Si:0.3重量%以下 固溶強化によって鋼板の強度を改善する元素であるが、
Si含有量が多くなると熱延鋼板の表面性状が著しく劣
化し、冷延後においても優れた表面性状を持つ高強度鋼
板を得ることができない、このことから、本発明では、
Si含有量の上限を0.3重量%に規定した。 Mn:0.5〜2.0重量% 強度確保のために、0.5重量%以上のMn含有量が必
要である。しかし、2.0重量%を超えて多量のMnが
含まれると、スラブ内に著しい中心偏析が生じる。中心
偏析は、バンドストラクチャーの形成原因となり、精密
打抜き性を劣化させる。
【0007】P:0.02重量%以下 固溶強化によって鋼板の強度を改善する元素であるが、
スラブの中心偏析を促進させる作用を呈する。特に、P
含有量が0.02重量%を超えると、中心偏析が促進さ
れ、バンド状のパーライトが板厚方向中心部に生じ易く
なる。バンド状のパーライトは、破断面発生の起点とな
り、結果として精密打抜き性を劣化させる。 S:0.005重量%以下 MnSを形成し、精密打抜き性を著しく劣化させる有害
元素である。そのため、本発明においては、S含有量の
上限を0.005重量%,好ましくは0.003重量%
に規定した。
【0008】また、本発明に従った鋼板は、精密打抜き
用に使用されることから、更に特定された表面粗さ及び
板厚精度をもつことが要求される。 表面粗さ:Ra≦0.4μm オートマティックトランスミッション車のトルコンプレ
ート等のように、鋼板の表面でトルクを伝達する部品で
は、鋼板の表面粗さがトルク伝達効率に大きく影響す
る。本発明では、高い伝達効率を得る上から、鋼板の表
面粗さをRa≦0.4μmと規定した。 板厚精度:±80μmの範囲 動力伝達部品として使用される鋼板では、板厚のバラツ
キが大きいと、局部的に負荷がかかり、寿命や信頼性に
問題を生じるため、製品として使用することができな
い。そこで、本発明においては、用途から要求される特
性に対応させるため、板厚精度を±80μmの範囲に規
定した。
【0009】成分的には以上の条件を満足するスラブに
熱間圧延、或いは更に冷間圧延を施し、ベイニティック
フェライト又はベイナイトの均一組織にする。このとき
の熱延,巻取り,冷延等は、次の条件で行うことが好ま
しい。 熱延仕上げ温度:800〜1050℃ 熱間圧延は、仕上げ温度が800〜1050℃の範囲に
入るように行われる。1050℃を超える仕上げ温度で
は、操業が困難になる。逆に800℃に達しない仕上げ
温度では、二相域圧延となり、熱延中にフェライトが生
成し易くなる。その結果、精密打抜き性が劣化し、変形
抵抗の増大に起因して通板性が悪くなると共に、板厚精
度の悪化や電力原単位の増加をもたらす。 巻取り温度:350〜500℃ 本発明者等は、フェライトやパーライトの生成を抑制し
ながら、ベイニティックフェライトやベイナイトの均一
組織を得るために、熱延板の巻取り温度を500℃以下
にする必要があることを多数の実験から見い出した。し
かし、350℃を下回る巻取り温度では、マルテンサイ
トが生成し易くなり、精密打抜き性が著しく劣化する。
【0010】
【実施例】表1に組成を示す各種鋼材を用意した。
【0011】
【表1】
【0012】表1に掲げた鋼種A1〜5及びB1,B2
から、板厚4〜8mmの熱延鋼板を製造した。熱延に際
し、仕上げ温度を840〜980℃とし、その後380
〜560℃で巻き取った。得られた熱延鋼板の組織を観
察し、観察結果を熱延条件と共に表2に示す。
【0013】
【表2】 金属組織のうち、Bはベイナイト,BFはベイニティッ
クフェライト,PFはポリゴナルフェライト,Pはパー
ライトを示す。
【0014】各熱延鋼板を冷間圧延し、2.5〜5.5
mmの冷延鋼板を製造した。冷延鋼板から切り出された
各試験片について、実施例1と同様に機械的性質及び精
密打抜き性を調査した。機械的性質を表3に、精密打抜
き性を表4にそれぞれ示す。
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】 ・ 破断面発生率は、試験片100個について破断の有
無を観察し、破断面が観察されなかったものを◎,5%
以下を○,5〜20%を△,20%以上を×として評価
した。 ・ 剪断面−破断面比率は、精密打抜き面を観察し、破
断面がなく全面が剪断面となっているものを◎,破断面
比率が5%以下のものを○,破断面比率が5〜20%の
ものを△,破断面比率が20%以上のものを×として評
価した。 ・ 表面性状は、Ra≦0.2μmを◎,0.2<Ra
≦0.4μmを○,Ra>0.4μmを×として評価し
た。 ・ 板厚精度は、±40μm以内のものを◎,±80μ
m以内のものを○,±80μmを超えるものを×として
評価した。 ・ 精密打抜きまでで製品として適用可能なものを○,
適用できないものを×として評価した。
【0017】表4から明らかなように、本発明で規定し
た成分及び組織をもつ試験番号1〜5では、何れも極め
て良好な精密打抜き面性状をもつと共に、表面性状及び
板厚精度も良好であった。このことから、本発明にした
がった鋼板は、表3に示されるように高強度で、しかも
精密打抜き加工に適した材料であることが判る。これに
対し、試験番号6,8の試験片では、パーライトが生成
しており、均一な組織でないことから、精密打抜き面に
多量の破断面が発生しており、精密打抜きしたままで製
品として使用できないものであった。また、試験番号7
では、表面性状及び板厚精度が悪いことから、同様に精
密打抜きしたままで製品として使用できなかった。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の高強度
鋼板においては、合金の成分設計を特定すると共に、組
織をベイニティックフェライト又はベイナイトの均一組
織とすることにより、引張り強さが440N/mm2
超える高強度で、しかも精密打抜き性が要求されるプレ
ート,ギア等の自動車部品用に好適な材料として使用さ
れる。また、精密打抜きによって形成された打抜き面が
良好な表面性状をもっていることから、従来精密打抜き
後に行われていた熱処理や窒化処理等を省略することが
できるため、製造コストの上昇を招くことなく、表面性
状が良好な精密打抜き製品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.05〜0.20重量%,Si:
    0.3重量%以下,Mn:0.5〜2.0重量%,P:
    0.02重量%以下及びS:0.005重量%以下を含
    み、残部が実質的にFeからなり、ベイニティックフェ
    ライト又はベイナイトの均一組織、又はベイニティック
    フェライト又はベイナイトの面積占有率が85%以上の
    組織をもつ精密打抜き用高強度鋼板。
  2. 【請求項2】 表面粗さがRa≦0.4μm、板厚精度
    が±80μmの範囲にある請求項1記載の精密打抜き用
    高強度鋼板。
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JP5125081B2 (ja) * 2006-11-30 2013-01-23 Jfeスチール株式会社 打抜き加工後の平坦度に優れた冷延鋼板およびその製造方法
JP5481941B2 (ja) * 2009-05-29 2014-04-23 Jfeスチール株式会社 高強度冷延鋼板用熱延鋼板およびその製造方法、ならびに高強度冷延鋼板の製造方法
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