JP3482306B2 - 有機塩素化合物の超臨界水酸化処理法及び装置 - Google Patents

有機塩素化合物の超臨界水酸化処理法及び装置

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JP3482306B2
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    • Y02P20/54Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機塩素化合物の
処理法に関し、特には、近年その処理が問題になってい
る難分解性有機塩素化合物か、有害な有機塩素化合物廃
棄物の完全分解処理に好適な方法及び装置に関するもの
である。
【0002】なお本発明において対象とする有機塩素化
合物には、環境基準において有害物質指定されているP
CBs,トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等
の各種の有機塩素化合物が包含される。
【0003】
【従来の技術】難分解性の廃棄物,廃液や有害な廃棄
物,廃液の処理は、従来一般的には燃焼法で行われてき
ているが、燃焼法においては、炉内に低温部分が存在す
ると燃焼不十分すなわち分解が部分的に不十分となっ
て、塩素化合物等を対象としている場合には毒性の強い
物質を生成してしまう虞れがあるとされる。また多くの
場合、燃焼法は最終生成物が排気筒から大気へと拡散さ
れるために問題が広域化してしまう虞れもある。従来か
ら各種の熱媒や絶縁油として使用されたPCBsは毒性
が碓認された後に生産及びその使用が禁止されその処分
が求められているが、ほとんど進展していない。これは
有機塩素化合物の燃焼法による完全分解の信頼性が十分
に得られていないためといわれている。
【0004】これらのことから、難分解性でかつ有害な
有機塩素化合物に対しては、クローズドで完全な分解処
理が求められ、超臨界水酸化(処理)法がその一つの候
補として近年注目されている。
【0005】超臨界水酸化法は、特公平1−38532
号公報で開示されているように、水の超臨界条件下(3
74℃以上で22Mpa以上)で、水を分解反応の媒体
として利用することにより、有機物を水と二酸化炭素に
まで分解する方法であり、この反応では、熱分解、加水
分解及び酸化分解が同時に進行し非常に大きな反応速度
を達成することができる。
【0006】この超臨界水酸化法の基本フローは、分解
対象物をフィードポンプで昇圧し、エジェクターで処理
後の超臨界水と混合,加熱した後、超臨界条件に維持し
た反応器に導入して超臨界水酸化するものであり、前記
の反応器では、通常、空気圧縮機からの高圧空気が導入
されて超臨界水酸化が行なわれる。処理後の超臨界水
は、例えば一部をエジェクターに再循環、残りの部分で
タービンを回してエネルギー回収が行なわれる。以下こ
の超臨界条件において有機物を分解処理する具体例につ
いて開示しているいくつかの従来文献につき述べる。
【0007】前記特公平1−38532号公報では、反
応器の詳細は述べられていないが、菅状、円筒及び流動
床式のものが採用可能としている。また特開平3−50
0264号公報では反応器の詳細が述べられ、無機塩を
含むかあるいは反応後に無機塩を生成する有機廃液を対
象にした反応器型式としてベッセル型(縦筒容器型)構
造の反応器を提案している。
【0008】一般に、無機塩や無機塩生成物質を含まな
い廃液が対象の場合には、菅状型(パイプ状型)反応器
の使用が適しているが、超臨界水酸化処理を適用して有
機塩素化合物を分解しようとする場合には、塩素を含ん
でいるため、これを超臨界水酸化処理すると、塩酸を生
成し、反応器材の保護などのためこの塩酸をナトリウム
アルカリ物で中和するとNaClを生成する。しかしこ
のNaClは通常超臨界水には溶解しないことが知られ
ており、従つて菅状反応器で高濃度の塩素を含む物質を
酸化処理し、中和を行なうと、短時間のうちに閉塞を引
き起こすことが問題となっている。
【0009】このような問題を解決するためいくつかの
提案がされていて、例えば、特表平6−511190号
公報では、長く伸びた管状反応器において無機塩の排出
ができる流速を確保して運転する方法を提案している。
しかし、前記反応で生成する無機塩の付着性は非常に強
く、通常の流速域で排出することはほとんど不可能であ
る。また同公報では、スケール抑制成分の添加やスケー
ル抑制磁石の使用などの方法が開示されているが、前者
は具体的な添加物の記述がなく、また後者はその有効性
が確認されておらず、無機塩の析出に伴う管の閉塞対策
として適当な提案は未だされていない。
【0010】特開平7−275869号公報では、内管
に処理対象物を供給し、かつ外管に超臨界水を供給する
多孔質内管を用いた二重管型構造をなす反応器が提案さ
れており、この反応器の内管内で超臨界水酸化させると
共に、外管から内管に向けて噴出する超臨界水によっ
て、析出無機塩を内管壁に付着させずに排出させること
ができるとされている。しかしこの方法では、二重管反
応器全域にわたる均一な超臨界水の供給が困難であるば
かりか、超臨界水の製造に伴うエネルギー消費量の増大
という大きな問題点を抱えており、実際の実施すること
は困難である。
【0011】なお上記の他にも、さまざまな超臨界水酸
化処理方法が提案されているが(例えば特開平7−27
5870号公報、特開平7−275871号公報、特開
平7−275872号公報、特開平7−3l3987号
公報及び特開平8−38853号公報など)、これらに
は無機塩付着の対策にについては開示がない。
【0012】一方、ベッセル型反応容器を縦型に設置し
て用いる上記した特開平3−500264号公報開示の
方式によれば、無機塩析出の問題に対処できる。すなわ
ちこの方式は、縦筒方反応容器内の上部に超臨界ゾーン
を形成させると共に下部に亜臨界ゾーンを形成させ、超
臨界ゾーンで析出した無機塩を密度差で下方向に移動さ
せて亜臨界ゾーンで亜臨界水に溶解させて排出するよう
にしたものである。ベッセル型反応容器はこのような縦
型構造をなすため、反応容器からのアウトプット(流体
排出路)は二つ設けられ、その一つは反応器上部からの
処理流体(超臨界水、余剰酸素、二酸化炭素及び窒素の
混合物)排出路であり、もう一つは反応器下部から排出
されるブライン流(塩化ナトリウム等の無機塩を含む水
溶液)排出路である。
【0013】以上のように、ベッセル型反応容器を用い
る方式は、反応容器内で超臨界水と無機塩が分離可能で
あるため超臨界領域で析出する付着性の塩が容器内壁に
付着して閉塞するという不具合を解消できる点で極めて
優れている。しかし、反応容器からのアウトプットが二
つあるために、それ以降の熱回収、冷却及び減圧工程な
どがそれぞれに必要で、装置構成上、制御上あるいは維
持管理上の複雑さや煩雑さを伴うという難がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、超臨界
水酸化処理法は、難分解性の有害廃棄物,廃液などをク
ローズドな系で完全分解することができるために、これ
らの対象物を処理する方法として極めて有効な方法とし
て注目されているが、有機塩素化合物を酸化処理する方
法は、上述のように技術的に多くの問題を有している。
そして、超臨界水酸化処理方法を工業的な規模で実施す
るためには、大量処理,連続処理の実現が極めて重要で
あり、特にその処理方法の利点を有効に活用するには、
上述した問題についての適切な対策、すなわち処理対象
物のもつ化学構造に由来して生ずる酸の生成、これの中
和処理、中和処理で生成した塩の容器内壁への付着防止
ないし付着物除去、最終的には付着物による反応容器閉
塞の防止の達成が求められる。
【0015】しかるに、理論的には効率的に優れている
管状(パイプ状)反応容器を利用した超臨界水酸化処理
の工業的な実施が可能であるのは、酸を生成しない被処
理対象物に限定されてしまうという問題があり、また、
前記したベッセル型反応容器を縦型に設置して用いる方
式は、中和で生成する塩を反応容器内で分離し除去でき
る点で優れているが、反応容器からの流体排出ラインが
二つとなるため、排出ラインが一つである管状反応容器
を用いる場合に比べて、装置構成上、制御上及び維持管
理上の複雑さや煩雑さを伴うという難がある。
【0016】以上のように、超臨界水酸化処理法を開示
している従来の文献のうちで、超臨界水酸化処理の反応
容器内で生成する酸あるいは被処理対象物により該反応
容器に持ち込まれる酸をアルカリ性物質で中和して生ず
る塩がある場合には、この塩が超臨界水には溶解しない
こと、またこの塩が有する付着性によって閉塞等の問題
を招く虞があることを直接あるいは間接的に指摘した文
献はあるが、これらは、生成した中和塩の付着を装置構
造上の対策(前記ベッセル型反応容器の構造)で低減す
るか、あるいは高流速で移動させて付着抑制を図る(特
表平6−511190号公報)というものであり、生成
した塩の種類による付着性の大小と、その影響について
検討したものは未だない。
【0017】本発明者等は、以上のような従来技術の下
で、超臨界水酸化処理を行う条件下で生成する塩は、一
般的には超臨界水には溶解せずまた付着性があるとされ
ているが、生成する塩の種類が、前記した超臨界水酸化
処理のための装置の構成、運転方法、制御方法にいかな
る影響を及ぼすかについて鋭意研究を重ねた。
【0018】その研究の過程において、有機塩素化合物
を超臨界水酸化する過程において驚くべきことに、アル
カリ金属としてその挙動に大差がないと思われていたナ
トリウムアルカリ物と、カリウムアルカリ物とでは、反
応容器に付着する程度に大差のあることを知見するに至
り、かかる知見に基づいて本発明をなすに至ったもので
ある。
【0019】すなわち、本発明の目的の一つは、有機塩
素化合物を完全に分解処理するのに適した超臨界水酸化
処理法を、工業的な規模の装置で実施するのに有効な処
理方法及び装置を提供するところにある。
【0020】本発明の別の目的は、有機塩素化合物を超
臨界水酸化する際に生成する酸を中和する必要がある超
臨界水酸化処理において、流体排出路が一つである管状
型反応容器を用いることができるようにした処理方法及
び装置を提供するところにある。
【0021】
【課題を解決する手段】前記の目的を達成する本願発明
の特徴は、前記特許請求の範囲の各請求項に記載したと
ころにあり、その請求項1の有機塩素化合物の超臨界水
酸化処理法の発明は、水の臨界温度,臨界圧力を越えた
条件で、水および酸化剤の存在下、有機塩素化合物を酸
化分解する超臨界水酸化処理法において、超臨界酸化
処理によって生成する酸物質を中和するためのカリウム
アルカリ物を予め供給した後に、超臨界圧力条件下で温
度が500℃以上の超臨界水酸化処理をさせることを特
徴とする。
【0022】前記においてカリウムアルカリ物は、反応
容器に供給するのに適した状態、例えば水溶液の状態と
して供給するのが好ましく、単独にあるいは必要に応じ
て被処理対象物である有機物、水と混合して供給するこ
とができる。なお、管状型反応容器を用いる場合には、
超臨界水酸化反応を円滑に進行させるために管内での混
合を充分に大きくとること、例えば、供給流体を2流体
ノズルで反応容器の始端から管内に噴出させる方式とす
るとか、管内が十分な乱流状態(レイノルズ数>10,
000〜20,000)となるように反応容器口径を選
択することが好ましい場合が多い。
【0023】前記アルカリ物の供給量は、生成する酸物
質の中和に必要な量であればよく、分解処理しようとす
る被処理有機物に含まれる酸生成物質の量に応じて決め
られる。
【0024】この発明によれば、生成した塩化カリウ
溶解性が高いためかあるいは付着性が低いためかその
理由は必ずしも明らかでないが、塩化カリウムは超臨界
酸化処理で生成した他の流体と共に系外に流出して反応
容器の壁面などへの付着による閉塞を招くことがない。
塩化カリウムの超臨界水反応容器に対する通過性は非常
に良好であり、以下に詳細に説明するように600℃の
超臨界水中において10%の塩化カリウムが通過しうる
ことを確認している。
【0025】前記発明のカリウムアルカリ物としては、
限定されるものではないが、水酸化カリウム又は炭酸カ
リウムが好ましく用いられるが、有機カリウム化合物を
用いることを除くものでない。
【0026】
【0027】本願の請求項の発明は、前記の超臨界水
酸化処理をして得た生成流体から比較的高価なカリウム
アルカリ物の塩を回収し、カリウムアルカリ物を再生す
ることを特徴とする。カリウムアルカリ物の塩からカリ
ウムアルカリ物を再生する方法としては、例えば電気分
解法を挙げることができる。
【0028】本願の請求項の超臨界水酸化処理装置の
発明は、水の臨界温度、臨界圧力を越えた超臨界条件に
管内が維持される管状反応器と、該管状反応器の始端か
ら超臨界水酸化処理のための水、酸化剤、有機塩素化合
物及び超臨界水酸化処理によって生成する酸物質を中和
するためのカリウムアルカリ物を流入させる供給流体流
入手段と、超臨界水酸化処理により生成された流体を排
出するための該管状反応器の終端から後段の処理手段に
接続した配管とを備えたことを特徴とする。
【0029】この装置発明によれば、前記した方法発明
を好適に実施することができる。
【0030】また前記の装置発明においては、管状反応
器とこれに連続して接続される配管を管状反応器の始端
から前記配管の終端に向かって連続する管とし、かつ該
管は、直線状に延設するかあるいは円状又は楕円状に屈
曲して延設する構成とすることができ、特に円状又は楕
円状に屈曲して管状反応容器及びこれに続く流体排出用
の接続配管を延設した場合には、装置の設置容積を小さ
くまとめることができる点で優れている。
【0031】以上の発明は、有機塩素化合物をクローズ
ドな系内で完全分解することができるので、特に、難分
解性で有害な有機塩素化合物の分解処理に有効に用いる
ことができる。本発明を適用して効果的な処理を行うこ
とができる処理対象として具体的な有機塩素化合物とし
ては、環境基準において有害物質指定されているPCB
s,トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、廃農
薬等の有機塩素化合物を挙げることができる。
【0032】本発明の超臨界水酸化反応容器は、高圧ガ
ス対象設備となるが管状型でもベッセル型のいずれを用
いることもできるが、塩生成の場合には使用が困難と考
えられていた管状型反応容器においてより効果的に使用
される。この場合、反応温度は一般には400℃以上、
好ましくは600〜650℃前後とすることがよく、反
応圧力は22〜50MPa、好ましくは22〜25MP
aとすることがよい。反応時間は1〜10分、好ましく
は1〜2分である。酸化媒体としては、空気、酸素ガス
のほか過酸化水素等の液相酸化剤の使用も可能である。
【0033】このような本発明に比べ、例えば水酸化ナ
トリウム等のナトリウムアルカリを中和剤として用いた
場合に生成する塩化ナトリウムは、450℃以上の超臨
界水中で溶解度が0.1%以下であり、かつ析出した塩
化ナトリウムの金属への付着性は強烈である。従って水
酸化ナトリウムを中和剤として有機塩素化合物の超臨界
水酸化を管状型反応容器で行った場合には、反応容器内
圧力が徐々に上昇し、最終的には閉塞となることが避け
られないことは上述の通りであり、閉塞を起こさずに実
施できる点で本願発明は極めて優れていることが分か
る。
【0034】このように中和剤としてのカリウムアルカ
リ物の使用が超臨界水酸化反応において大きな利点を有
することを明らかにしたのは本発明者らが初めてであ
る。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の実施態様の一例につい
て、図面にそのフローシートを示す。
【0036】図において、1は反応容器であり、その始
端から被処理流体である有機塩素化合物を含む廃液が所
定の圧力に加圧されてライン(配管)6を通して供給さ
れる。またこのライン6には、ライン13から酸化剤と
しての例えば所定圧力に加圧された空気が合流混合さ
れ、またライン12から中和用の水酸化カリウム水溶液
が合流混合されるようになっている(高圧ポンプ等の加
圧手段はいずれも図示せず)。
【0037】2は反応容器1の終端に接続された流体排
出ライン7に接続された熱回収装置であり、これにより
熱回収された流体は、ライン8を通して減圧装置3に送
られ、更にライン9を介してアルカリ再生装置4に送ら
れる。本例においては、中和用の水酸化カリウム水溶液
は、このアルカリ再生装置4で再生回収し、所定の圧力
に加圧して(加圧手段は図示せず)、上記ライン12よ
り反応容器1へ導入して循環再利用するようにしてい
る。
【0038】5は再中和装置を示し、アルカリ再生装置
4でカリウム塩を分離した流体に含まれる塩酸は、ライ
ン10を通してこの再中和設備5で処理されライン11
より超臨界水酸化装置の系外に排出される。
【0039】以上のように構成された超臨界水酸化処理
装置における処理を説明すると、反応容器lでは、有機
塩素化合物,水,空気及びカリウムアルカリ物が供給さ
れ、容器内の水の臨界温度,臨界圧力を越えた条件下
(一般には温度は400℃以上、好ましくは600〜6
50℃前後、圧力は22〜50MPa、好ましくは22
〜25MPa)で、水の存在下、超臨界水酸化反応が行
われて、供給された前記有機塩素化合物が完全に分解さ
れる。そしてこれとともに、その反応の結果生成された
塩酸は、容器内に供給(導入)された水酸化カリウムと
反応し中和される。以上の反応は1〜10分程度、好ま
しくは1〜2分で行われる。
【0040】中和反応の結果生成された塩化カリウム
は、600〜650℃の超臨界水中でも通過性があるた
め、反応容器とし管状反応容器を用いても実施は有効に
行うことができる。
【0041】酸化反応の完結した処理流体、すなわち超
臨界水や二酸化炭素、窒素等反応ガス及び塩化カリウム
等は、出口(終端)に直結した排出ライン7より反応容
器1外へ排出され、この高温高圧の超臨界流体は熱回収
装置で熱量が回収されて例えば100℃以下まで冷却
された後、ライン8を通って減圧装置に導入され、大
気圧まで減圧される。
【0042】前記熱回収装置としては、被処理流体で
ある有機塩素化合物の予熱のほか、ここでは図示してい
ないが加熱用超臨界水の加熱源として用いることが可能
であり、通常、二重管式熱交換器が好ましく採用される
が、特に限定されない。
【0043】減圧装置には、通常、空気作動式減圧バ
ルブを用いることができるが、特に限定されない。
【0044】 冷却減圧後の処理流体は、気液分離器
(図示せず)で処理ガスと処理水とに分けられ、処理水
はライン9よリアルカリ再生装置4に送られる。このア
ルカリ再生装置4は、一般的に電気分解装置が使用さ
れ、処理水中に溶解して含まれる塩化カリウムは、イオ
ン交換膜を介して塩酸と水酸化カリウムに分けられ、水
酸化カリウム水溶液はライン12を通て前段の反応容
へと循環される。一方、アルカリ再生装置4をでた
塩酸はライン10より再中和装置5で処理されライン1
1より超臨界水酸化装置より排出される。
【0045】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。
【0046】実施例1 本実施例は、超臨界水酸化ベンチスケール装置(管状反
応器:内径4.5mm×長さ450mm)を使用して行
った。無機塩は塩化ナトリウム、塩化カリウムを用い、
所定の濃度に調製して試験に供した。
【0047】試験手順は、まず反応器、予熱器を加熱し
ながら、高圧ポンプで純水を送水し、反応容器内温度が
所定温度に達したら、各塩類溶液を純水と同様に高圧ポ
ンプで反応器内に送水して行った。なお純水と各塩類溶
液は反応器に到達するまで接触させなかった。
【0048】処理液は、冷却器、減圧器を通って常温,
常圧の状態とし、この処理液を所定時間ごとにサンプリ
ングし、その後、各サンプルのイオン濃度の測定を行っ
た。無機塩溶解度を支配する因子としては、主に温度、
圧力が挙げられるが、本例においては圧力を25MPa
の一定とし、温度と塩類濃度を下記表1のように変えて
試験した。
【0049】なお反応器入口濃度は調製した塩類溶液と
超臨界水が均一に混合するとして、それぞれの液の流量
と塩類濃度から計算した。
【0050】
【表1】
【0051】この試験において、超臨界水中において塩
が析出し、反応器の内壁に付着すれば、反応器入口に対
し、出口の塩濃度が低下する。そこで、採取したサンプ
ル液の各種イオン濃度の回収率を測定し、超臨界水中に
おける無機塩の溶解度(又は通過性)を調べた。イオン
濃度の測定はイオンクロマト(日本ダイオネクス社製:
DX AQ)を用いた。
【0052】また表1の試験に先立ち、1%の塩化ナト
リウム水溶液を350℃の反応器に流通させたときの出
口処理水のナトリウムイオン濃度と塩素イオン濃度の経
時変化を調べ、その結果を図2に示した。
【0053】この図2から分かるように、約60分でイ
オン濃度が一定となり、ほぼ出口濃度と入口濃度が等し
くなった(反応器出口のNaイオンとClイオンの和が
ほぼ10000ppmとなる)。したがって、塩化ナト
リウムの場合は、350℃では反応器内で1%以上の溶
解度がある(あるいは反応容器を通過し得る:以下同
様)と判断された。表1の他の塩類溶液の濃度、温度で
の試験を同様にして行い、その結果を下記表2に示し
た。
【0054】
【表2】
【0055】上記表2の結果から、塩化ナトリウムは4
00℃以下であれば10%の溶解度(通過性)を示す
が、450℃前後から溶解度(通過性)は急激に減少
し、500℃以上では0.1%でも溶解(通過)しない
ことが分かる。
【0056】これに対し塩化カリウムは、600℃以上
においても10%以上の溶解度(通過性)を示した。
【0057】これらの結果は、有機塩素化合物の超臨界
水酸化処理を行う場合の中和剤として、カリウムアルカ
物の使用が適していることを示している。
【0058】実施例2 有機塩素化合物としてトリクロロエチレン(TCE)を
選択し、実施例1と同じ超臨界水酸化ベンチスケール装
置(管状反応器:内径4.5mm×長さ450mm)を
使用して試験を行った。
【0059】試験は、TCE原液を反応器に供給し、反
応器の直前で超臨界水と混合することにより反応器入口
のTCE濃度を1%前後とした。酸化剤としては供給T
CEを分解するのに十分な量の過酸化水素を添加して用
いた。また中和剤は水酸化ナトリウムと水酸化カリウム
の25%水溶液の2種類を用い、TCEの分解後生成さ
れた塩酸を全量中和するのに十分な量を添加した。反応
温度は600℃、圧力は25MPaとした。
【0060】結果は、中和剤として塩化ナトリウムを用
いた場合には、運転開始後40分前後で反応器内圧力が
急上昇を起こし、運転を中止せざるをえなかった。
【0061】これに対し、中和剤として水酸化カリウム
を用いた場合は、反応器内の圧力がほぼ一定に保たれた
まま数時間の運転が可能であった。試験終了後、処理液
の分析を行ったところ、TCEの完全分解とともにカリ
ウムイオン、塩素イオンの全量通過が確認された。この
結果は、中和剤としてのカリウムアルカリ物の有効性を
示している。
【0062】
【発明の効果】以上説明したごとく、中和用アルカリ剤
としてカリウムアルカリ物を用いる本発明によれば、超
臨界水酸化反応で生成される塩化カリウムが例えば60
0〜650℃の超臨界水中でも析出又は付着せずに通過
できる性質を有するため、超臨界水酸化処理を装置の閉
塞を招くことなく効率よく実施可能とできる極めて優れ
た効果が奏される。
【0063】またこのような中和生成した塩化カリウ
上記の通過性を有するために、従来ナトリウム塩が析
出,付着する結果として連続した実施が困難であった管
状型反応容器でも、超臨界水酸化処理を実施することが
可能となり、反応容器として構造のシンプルな管状反応
容器を使用できるという非常に大きなメリットが奏され
る。
【0064】特に、難分解性で有害な有機塩素化合物を
クローズドな系で完全分解することが可能な工業的な装
置を提供する場合に、装置の構成上も簡易で、かつ制御
上あるいは維持管理上も有利な管状型反応容器を用いた
装置を採用することができるという優れた効果が奏され
る。
【0065】また、生成流体中に含まれる塩化カリウム
を、後段に設けたアルカリ再生装置を用いて回収し、こ
れを中和用のカリウムアルカリ物として循環使用すれ
ば、比較的高価なカリウムアルカリを使用する際の経済
的な不利益も解消できる。
【0066】それ故、本発明の超臨界水酸化処理方法
は、技術的、経済的に非常に有利な方法であるというこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図面は本発明の実施態様の一例のフローシート
を示す。
【図2】実施例における結果を示した図であり、反応容
器出口におけるNaCl溶液のイオン濃度を示す。
【符号の説明】
1・・・反応容器、2・・・熱回収装置、3・・・減圧
装置、4・・・アルカリ再生装置、5・・・再中和装
置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C02F 1/74 101 C02F 1/74 101 (72)発明者 安生 徳幸 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オル ガノ株式会社総合研究所内 (72)発明者 鈴垣 裕志 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オル ガノ株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平8−38853(JP,A) 国際公開97/34660(WO,A1) O.I.Martynova,Sol ubility of Inorgan ic Compounds in Su bcritical and Supe rcritical Water,In High Temperature High Pressure Elec trochemistry in Aq ueous Solutions,米 国,National Associa tion of Corrosion Engineers,1976年,pp. 131−138 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A62D 3/00 C02F 1/66 C02F 1/74

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水の臨界温度、臨界圧力を越えた条件
    で、水および酸化剤の存在下、有機塩素化合物を酸化分
    解する超臨界水酸化処理法において、超臨界酸化処理
    によって生成する酸物質を中和するためのカリウムアル
    カリ物を予め供給した後に、超臨界圧力条件下で温度が
    500℃以上の超臨界水酸化をさせることを特徴とする
    有機塩素化合物の超臨界水酸化処理法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、カリウムアルカリ物
    が水酸化カリウム又は炭酸カリウムであることを特徴と
    する有機塩素化合物の超臨界水酸化処理法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、超臨界水酸化
    処理をして得た生成流体からカリウムアルカリ物の塩を
    回収し、カリウムアルカリ物を再生することを特徴とす
    る有機塩素化合物の超臨界水酸化処理法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、カリウムアルカリ物
    の塩からカリウムアルカリ物を再生する方法が電気分解
    法であることを特徴とする有機塩素化合物の超臨界水酸
    化処理法。
  5. 【請求項5】 超臨界圧力条件下で温度が500℃以上
    の超臨界水酸化をさせるように超臨界条件に管内が維持
    される管状反応器と、該管状反応器の始端から超臨界水
    酸化処理のための水,酸化剤,有機塩素化合物及び超臨
    界水酸化処理によって生成する酸物質を中和するための
    カリウムアルカリ物を流入させる供給流体流入手段と、
    超臨界水酸化処理により生成された流体を排出するため
    の該管状反応器の終端から後段の処理手段に接続した配
    管と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のい
    ずれかの超臨界水酸化処理法に用いる有機塩素化合物の
    超臨界水酸化処理装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、管状反応器とこれに
    連続して接続される配管は、管状反応器の始端から前記
    配管の終端に向かって連続する管であり、かつ該管は、
    直線状に延設されるかあるいは円状又は楕円状に屈曲し
    て延設されていることを特徴とする有機塩素化合物の超
    臨界水酸化処理装置。
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