JPH09117735A - 水熱作用による毒ガス等の有機系ヘテロ化合物質 の分解処理法 - Google Patents
水熱作用による毒ガス等の有機系ヘテロ化合物質 の分解処理法Info
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- JPH09117735A JPH09117735A JP7313421A JP31342195A JPH09117735A JP H09117735 A JPH09117735 A JP H09117735A JP 7313421 A JP7313421 A JP 7313421A JP 31342195 A JP31342195 A JP 31342195A JP H09117735 A JPH09117735 A JP H09117735A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】毒ガス、有機ハロゲン化合物、或いはその他の
有機系ヘテロ化合物は、臨界点近傍の水熱作用を利用す
ることにより無害化することが可能である。残存する砒
素等の重金属を主とした毒性物質は、安定な固化体中に
密封する。 【解決手段】毒ガス弾或いは有機ハロゲン化合物等の有
機系ヘテロ化合物を封入した各種容器をオートクレーブ
等の反応容器に挿入密封し、アルカリ水を使ったウオー
タージェット、切断機械、或いは水中プラズマ等の方法
により砲弾或いは容器を穿孔・切断と同時に起爆力を封
殺し、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液或いは酸化還
元反応を併用した水熱脱塩素化反応によって無毒性の物
質に置換すると共に、砒素或いは砒素化合物のような有
毒性物質をセメント化或いは水熱固化反応によってガラ
ス質内に密封して外部への浸出を防止し、長期保管を図
る。
有機系ヘテロ化合物は、臨界点近傍の水熱作用を利用す
ることにより無害化することが可能である。残存する砒
素等の重金属を主とした毒性物質は、安定な固化体中に
密封する。 【解決手段】毒ガス弾或いは有機ハロゲン化合物等の有
機系ヘテロ化合物を封入した各種容器をオートクレーブ
等の反応容器に挿入密封し、アルカリ水を使ったウオー
タージェット、切断機械、或いは水中プラズマ等の方法
により砲弾或いは容器を穿孔・切断と同時に起爆力を封
殺し、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液或いは酸化還
元反応を併用した水熱脱塩素化反応によって無毒性の物
質に置換すると共に、砒素或いは砒素化合物のような有
毒性物質をセメント化或いは水熱固化反応によってガラ
ス質内に密封して外部への浸出を防止し、長期保管を図
る。
Description
【0001】これについては以下のように各項目別に分
けて説明する。
けて説明する。
【0002】〔産業上の利用分野)臨界点近傍での水熱
反応を使えば、PCB、フロン、塩化メチレン等の地球
環境上有害な有機ハロゲン化合物やプラスチック類の解
体、汚泥,し尿等のあらゆる有機系ヘテロ化合物質の分
解処理が、閉体系で且つ低コストの処理が可能となる。
また連続式水熱反応技術を使えば、石炭、石油、天然ガ
ス等のエネルギー資源の液化・ガス化の際に、有害な硫
黄等のヘテロ物質の除去も可能であり、産業上の利用分
野は非常に広い。有機ヘテロ化合物の1種である毒ガス
(弾)は第1次、第2次大戦で大量に生産されたが、そ
の後欧州、中国各地の地中、水中、海中等に大量に投棄
埋蔵されたまま、今なお人畜に多大な被害を与えてい
る。特に中国では、現在判明した分だけでも260万本
を超える旧日本軍の毒ガス弾が残存し、更には未確認の
ものも無数にあり、住民に恐怖と被害を与えている。こ
れら毒ガスは基本的に有機ヘテロ化合物質の化学構造を
もっているので、臨界点近傍での水熱反応によって分解
し無害化が極めて容易であり、同時にこのプロセスは完
全な閉体系での処理で行うために2次公害の恐れも無
く、且つ投棄埋蔵カ所周辺の汚染土壌等の処理も可能で
ある。
反応を使えば、PCB、フロン、塩化メチレン等の地球
環境上有害な有機ハロゲン化合物やプラスチック類の解
体、汚泥,し尿等のあらゆる有機系ヘテロ化合物質の分
解処理が、閉体系で且つ低コストの処理が可能となる。
また連続式水熱反応技術を使えば、石炭、石油、天然ガ
ス等のエネルギー資源の液化・ガス化の際に、有害な硫
黄等のヘテロ物質の除去も可能であり、産業上の利用分
野は非常に広い。有機ヘテロ化合物の1種である毒ガス
(弾)は第1次、第2次大戦で大量に生産されたが、そ
の後欧州、中国各地の地中、水中、海中等に大量に投棄
埋蔵されたまま、今なお人畜に多大な被害を与えてい
る。特に中国では、現在判明した分だけでも260万本
を超える旧日本軍の毒ガス弾が残存し、更には未確認の
ものも無数にあり、住民に恐怖と被害を与えている。こ
れら毒ガスは基本的に有機ヘテロ化合物質の化学構造を
もっているので、臨界点近傍での水熱反応によって分解
し無害化が極めて容易であり、同時にこのプロセスは完
全な閉体系での処理で行うために2次公害の恐れも無
く、且つ投棄埋蔵カ所周辺の汚染土壌等の処理も可能で
ある。
【0003】〔従来の技術〕従来毒ガス等の解体処理法
は、焼却法、プラズマ法、化学法、極端にはロシアの地
下核爆発法などの例もあるが、主として焼却処分がなさ
れている。焼却法は相対的に低コストで同時に大量処理
が可能である利点を有するが、砲弾の爆発、焼却温度の
異常上昇による操業率の低下、毒ガス製造過程中に混入
する塩素系化合物等による炉の著しい腐食の問題が未解
決まま残されている。更に焼却法は、塩化水素、塩素ガ
ス、ダイオキシン等毒性物質を含んだ煙の拡散や焼却灰
および廃液等による2次公害発生の問題があり、米国や
中近東のように人口希薄な砂漠地帯での処理ならばとに
かく、日本、中国、欧州のような人口密集地帯での焼却
処理は困難である。プラズマ法は超高温分解で完全分解
の可能性が高いが、設備コスト、ランニイングコストが
高く、塩酸や塩素ガスが発生する。化学的還元法は条件
が温和であるが、触媒の使用が不可欠で、塩酸や塩素ガ
スが発生する。超臨界水熱法は有機高分子の液化と併用
できるが、操業条件が厳しくまた塩酸や塩素ガスが発生
する。等のような欠点がある。
は、焼却法、プラズマ法、化学法、極端にはロシアの地
下核爆発法などの例もあるが、主として焼却処分がなさ
れている。焼却法は相対的に低コストで同時に大量処理
が可能である利点を有するが、砲弾の爆発、焼却温度の
異常上昇による操業率の低下、毒ガス製造過程中に混入
する塩素系化合物等による炉の著しい腐食の問題が未解
決まま残されている。更に焼却法は、塩化水素、塩素ガ
ス、ダイオキシン等毒性物質を含んだ煙の拡散や焼却灰
および廃液等による2次公害発生の問題があり、米国や
中近東のように人口希薄な砂漠地帯での処理ならばとに
かく、日本、中国、欧州のような人口密集地帯での焼却
処理は困難である。プラズマ法は超高温分解で完全分解
の可能性が高いが、設備コスト、ランニイングコストが
高く、塩酸や塩素ガスが発生する。化学的還元法は条件
が温和であるが、触媒の使用が不可欠で、塩酸や塩素ガ
スが発生する。超臨界水熱法は有機高分子の液化と併用
できるが、操業条件が厳しくまた塩酸や塩素ガスが発生
する。等のような欠点がある。
【0004】〔発明が解決しようとする課題〕焼却法に
見られる塩化水素、塩素ガス、ダイオキシン等毒性物質
を含んだ煙や、焼却灰および廃液等の拡散等による2次
公害発生を防止する問題と、毒性が消滅しない砒素(砒
素系化合物)の処分法の問題があり、水熱法による閉体
系内で処理と残存毒性物質の水熱固化法による解決を図
る。
見られる塩化水素、塩素ガス、ダイオキシン等毒性物質
を含んだ煙や、焼却灰および廃液等の拡散等による2次
公害発生を防止する問題と、毒性が消滅しない砒素(砒
素系化合物)の処分法の問題があり、水熱法による閉体
系内で処理と残存毒性物質の水熱固化法による解決を図
る。
【0005】〔課題を解決するための手段〕水の性質は
温度・圧力の著しい上昇によって著しく変化し、臨界点
近傍ではイオン積が極度に増大し、共有結合性の強い物
質でもC−Clのように結合腕に電子的な価があれば容
易に加水分解を起こす。一方毒ガスの化学構造上の特徴
は、炭素の4本の腕に対して、炭素−水素との結合と、
炭素−塩素等のハロゲン、硫黄、燐、酸素、窒素、そし
て砒素などの所謂ヘテロ物質との結合と、炭素同志の結
合したものが鎖状ないし環状に連なった構造にある。故
に主として水熱加水分解反応により、或いは分子間脱ハ
ロゲン化水素反応、分子内脱ハロゲン化水素反応、分子
間脱水反応、分子内脱水反応等の諸反応によって、毒ガ
ス等の有機ヘテロ化合物の炭素とヘテロ物質との結合を
容易に分断することが可能である。水熱分解されたヘテ
ロ物質は脱離基となって脱離し、アルカリ水雰囲気でイ
オン反応によって中和されて塩等になる。この反応は不
可逆反応であるので完全分解が可能となり、従来の触媒
作用による化学反応とは全く異なる新しい処理方法であ
る。
温度・圧力の著しい上昇によって著しく変化し、臨界点
近傍ではイオン積が極度に増大し、共有結合性の強い物
質でもC−Clのように結合腕に電子的な価があれば容
易に加水分解を起こす。一方毒ガスの化学構造上の特徴
は、炭素の4本の腕に対して、炭素−水素との結合と、
炭素−塩素等のハロゲン、硫黄、燐、酸素、窒素、そし
て砒素などの所謂ヘテロ物質との結合と、炭素同志の結
合したものが鎖状ないし環状に連なった構造にある。故
に主として水熱加水分解反応により、或いは分子間脱ハ
ロゲン化水素反応、分子内脱ハロゲン化水素反応、分子
間脱水反応、分子内脱水反応等の諸反応によって、毒ガ
ス等の有機ヘテロ化合物の炭素とヘテロ物質との結合を
容易に分断することが可能である。水熱分解されたヘテ
ロ物質は脱離基となって脱離し、アルカリ水雰囲気でイ
オン反応によって中和されて塩等になる。この反応は不
可逆反応であるので完全分解が可能となり、従来の触媒
作用による化学反応とは全く異なる新しい処理方法であ
る。
【0006】〔臨界水熱反応の原理・作用〕 (1)臨界状態での水の特性変化 水の臨界温度は374°.2C、臨界圧は218.3気
圧であるが、臨界状態での水熱反応の特徴は、イオン反
応速度の著しい増大、加水分解を生じやすいこと、溶解
度の増大である。臨界点近傍では水の分子間の相互作用
により水分子の運動エネルギーが著しく高くなると同時
に、水の密度によって、誘電率、電離度、伝導率、粘性
率、pHが大きく変化し、非常に特異な反応媒体とな
る。例えば飽和蒸気圧下では温度上昇と共に水分子の運
動が激しくなり、臨界点近傍電場に対する配向が減少す
るために水の誘電率は低下する。臨界点以上での超臨界
水は有機溶媒並の非極性溶媒となり、高粘性有機物をよ
く溶解するようになる。水の導電性は水の僅かな解離に
よって生じたH+とOH−とよって生じるが、この水の
電離反応は吸熱反応(ΔH=51.48kJmo
l−1)であるので、温度上昇と共に水は著しく電離
(イオン解離)する。この結果水の導電性が著しく高ま
り、飽和蒸気圧下の純水では300°Cに極大となり、
温度上昇とともに逆に減少する。水のイオン積
(〔H+〕〔OH−〕)も同じ傾向を示し、この結果p
Hも低下して300゜Cで極大となり、計算上pH5程
度の酸性状態になる。またこのイオン積は圧力によって
も大きく変わり、圧力が増大すればイオン積も大きくな
り、同時に誘電率も大きくなるので、加水分解反応やイ
オン反応の好媒体となる。一方高温低圧側ではイオン積
は小さく誘電率も減少し、臨界点を越えた場合でのその
値は2程度となり、イオン反応はとは対極のラジカル反
応の好媒体となる。またイオンの種類や溶媒の性質によ
ってイオン反応側かラジカル反応側にシフトするので、
これを制御することによりあらゆる反応の検討の可能性
をもつ。
圧であるが、臨界状態での水熱反応の特徴は、イオン反
応速度の著しい増大、加水分解を生じやすいこと、溶解
度の増大である。臨界点近傍では水の分子間の相互作用
により水分子の運動エネルギーが著しく高くなると同時
に、水の密度によって、誘電率、電離度、伝導率、粘性
率、pHが大きく変化し、非常に特異な反応媒体とな
る。例えば飽和蒸気圧下では温度上昇と共に水分子の運
動が激しくなり、臨界点近傍電場に対する配向が減少す
るために水の誘電率は低下する。臨界点以上での超臨界
水は有機溶媒並の非極性溶媒となり、高粘性有機物をよ
く溶解するようになる。水の導電性は水の僅かな解離に
よって生じたH+とOH−とよって生じるが、この水の
電離反応は吸熱反応(ΔH=51.48kJmo
l−1)であるので、温度上昇と共に水は著しく電離
(イオン解離)する。この結果水の導電性が著しく高ま
り、飽和蒸気圧下の純水では300°Cに極大となり、
温度上昇とともに逆に減少する。水のイオン積
(〔H+〕〔OH−〕)も同じ傾向を示し、この結果p
Hも低下して300゜Cで極大となり、計算上pH5程
度の酸性状態になる。またこのイオン積は圧力によって
も大きく変わり、圧力が増大すればイオン積も大きくな
り、同時に誘電率も大きくなるので、加水分解反応やイ
オン反応の好媒体となる。一方高温低圧側ではイオン積
は小さく誘電率も減少し、臨界点を越えた場合でのその
値は2程度となり、イオン反応はとは対極のラジカル反
応の好媒体となる。またイオンの種類や溶媒の性質によ
ってイオン反応側かラジカル反応側にシフトするので、
これを制御することによりあらゆる反応の検討の可能性
をもつ。
【0007】(2)水熱反応の形態 臨界点近傍の温度領域では有機ハロゲン化合物、エステ
ルのような極性をもつ物質も、反応初期には直接加水分
解による置換反応するが、更に厳しい条件下では、分子
間脱ハロゲン化水素反応、分子内脱ハロゲン化水素反
応、分子間脱水反応、分子内脱水反応が不均質に生じて
容易に分解される。これらの分解反応の結果、脱ハロゲ
ン化反応によって酸が生じるために、アルカリ条件下で
加速される。上記の6種の反応は比較的初期に生ずる反
応であり、反応がより進行すれば多量体化が生じ、場合
によっては炭素化を来する。臨界温度以上の超臨界状態
では気体の性質が強くなり、反応は加水分解よりも脱水
縮合反応が優先するようになる。PCBなどのアロマテ
ックな有機塩素化合物でも、臨界点近傍での水熱作用に
よって実施例のクロルベンゼンと同様の反応過程を経
て、食塩とC,H,Oから成る有機化合物になり、エー
テル、或いはオレフインが副生する。この水熱反応はハ
ロゲン系物質に限らず有機硫黄、燐、窒素、等の有機系
ヘテロ化合物で同様に求核置換反応が起こり、脱硫、脱
燐等のヘテロ物質が脱離して分解され、C,H,Oから
成る有機化合物と酸または塩とが生成する。
ルのような極性をもつ物質も、反応初期には直接加水分
解による置換反応するが、更に厳しい条件下では、分子
間脱ハロゲン化水素反応、分子内脱ハロゲン化水素反
応、分子間脱水反応、分子内脱水反応が不均質に生じて
容易に分解される。これらの分解反応の結果、脱ハロゲ
ン化反応によって酸が生じるために、アルカリ条件下で
加速される。上記の6種の反応は比較的初期に生ずる反
応であり、反応がより進行すれば多量体化が生じ、場合
によっては炭素化を来する。臨界温度以上の超臨界状態
では気体の性質が強くなり、反応は加水分解よりも脱水
縮合反応が優先するようになる。PCBなどのアロマテ
ックな有機塩素化合物でも、臨界点近傍での水熱作用に
よって実施例のクロルベンゼンと同様の反応過程を経
て、食塩とC,H,Oから成る有機化合物になり、エー
テル、或いはオレフインが副生する。この水熱反応はハ
ロゲン系物質に限らず有機硫黄、燐、窒素、等の有機系
ヘテロ化合物で同様に求核置換反応が起こり、脱硫、脱
燐等のヘテロ物質が脱離して分解され、C,H,Oから
成る有機化合物と酸または塩とが生成する。
【0008】(3)水熱反応のメカニズムと制御 上記のような臨界領域付近の水の作用による水熱反応プ
ロセスと制御は次の通りとなる。 温度の上昇とともに水が物質を取り込む(水和水)に
よって、その物質のエネルギー状態が低下し、物質の活
性化が生じるが、この結果水分子の衝突と引抜き運動に
よって反応分子内の結合が弱められる。 H+とOH−の増大によって電解質物質にはイオン反
応が、非電解物質(共有結合)には求核反応が起こる。 更に水の誘電率の低下により水は非極性溶媒となり溶
媒和効果が増大し、また水の粘性低下と高拡散性化によ
って物質移動速度が速まる。 温度と圧力によって臨界状態を連続的に変化させ反応
場の性質を変えることによって、反応生成物を系外に除
去し、反応の促進と平衡の移動を制御することができ、
またイオン反応やラジカル反応などの反応経路の選択を
行なうことが可能となる。 触媒反応においては、触媒の被毒物質あるいはその前
駆体を系外に除去できるので、触媒活性の長期安定が可
能となる。 温度・圧力の上昇によって水の性質が変化し、300
°C近辺の亜臨界点近傍ではイオン積の増大によってイ
オン反応ないし求核置換反応が起こるので、温度と圧力
を調整してこれを制御することが可能となる。
ロセスと制御は次の通りとなる。 温度の上昇とともに水が物質を取り込む(水和水)に
よって、その物質のエネルギー状態が低下し、物質の活
性化が生じるが、この結果水分子の衝突と引抜き運動に
よって反応分子内の結合が弱められる。 H+とOH−の増大によって電解質物質にはイオン反
応が、非電解物質(共有結合)には求核反応が起こる。 更に水の誘電率の低下により水は非極性溶媒となり溶
媒和効果が増大し、また水の粘性低下と高拡散性化によ
って物質移動速度が速まる。 温度と圧力によって臨界状態を連続的に変化させ反応
場の性質を変えることによって、反応生成物を系外に除
去し、反応の促進と平衡の移動を制御することができ、
またイオン反応やラジカル反応などの反応経路の選択を
行なうことが可能となる。 触媒反応においては、触媒の被毒物質あるいはその前
駆体を系外に除去できるので、触媒活性の長期安定が可
能となる。 温度・圧力の上昇によって水の性質が変化し、300
°C近辺の亜臨界点近傍ではイオン積の増大によってイ
オン反応ないし求核置換反応が起こるので、温度と圧力
を調整してこれを制御することが可能となる。
【0009】〔水熱による毒ガス処理法〕 1)有機ハロゲン系毒ガスの分解法 毒ガスの殆どは塩素等のハロゲンが含まれている。ここ
ではび爛性の塩素系毒ガスの代表であるイペリットガス
の水熱加水分解を取り上げる。 1)イペリットガス〔S(CH2CH2Cl)2〕はア
ルカリ水の水熱作用によって容易に溶解してチオジグリ
コールと塩とに加水分解し易い。 S(CH2CH2Cl)2+2NaOH→S(CH2C
H2OH)2+2NaCl チオジグリコールと塩はエチレンクロヒドリンと硫化ソ
ーダに置換される。 S(CH2CH2OH)2+2NaCl→2ClCH2
CH2OH+Na2S エチレンクロヒドリンは苛性ソーダの作用でエチレンオ
キサイドに変わる。
ではび爛性の塩素系毒ガスの代表であるイペリットガス
の水熱加水分解を取り上げる。 1)イペリットガス〔S(CH2CH2Cl)2〕はア
ルカリ水の水熱作用によって容易に溶解してチオジグリ
コールと塩とに加水分解し易い。 S(CH2CH2Cl)2+2NaOH→S(CH2C
H2OH)2+2NaCl チオジグリコールと塩はエチレンクロヒドリンと硫化ソ
ーダに置換される。 S(CH2CH2OH)2+2NaCl→2ClCH2
CH2OH+Na2S エチレンクロヒドリンは苛性ソーダの作用でエチレンオ
キサイドに変わる。
この反応は生成物としてアセトアルデヒド、エチレング
リコール、ポリマーの3種類が出来、条件によって比率
が変わる。最終的にはエチレンオキサイドのような炭化
水素系物質と塩と硫化ソーダになって無害化される。な
お水熱反応の途中過程で硫黄系ガスが発生する場合は先
ずないが、あった場合は塩素等のハロゲンを投入して硫
酸塩のかたちで除去する。 2)不凍イペリットガス(CH2CHCl、またはCH
2CHClCH3)の分解は、Sが無いだけにもっと容
易に分解できる。
リコール、ポリマーの3種類が出来、条件によって比率
が変わる。最終的にはエチレンオキサイドのような炭化
水素系物質と塩と硫化ソーダになって無害化される。な
お水熱反応の途中過程で硫黄系ガスが発生する場合は先
ずないが、あった場合は塩素等のハロゲンを投入して硫
酸塩のかたちで除去する。 2)不凍イペリットガス(CH2CHCl、またはCH
2CHClCH3)の分解は、Sが無いだけにもっと容
易に分解できる。
【0010】(2)シアン系毒ガスの分解法 シアン系毒ガスには、ホスゲン(COCl2)、液体青
酸(HCN)がある。これらシアン化合物は常温で水溶
液系で空気、酸素、または酸化剤の存在下で容易に分解
するので、必ずしも水熱処理する必要はないが、水熱加
水分解を行なうなら以下のようになる。 1)ホスゲン(COCl2)はアルカリ水で容易に加水
分解される。 COCl2+2H2O→CO2+H2O+2HCl 2)液体青酸(HCN)はメタノール水溶液の加水分解
によって、一酸化炭素、炭化水素、アンモニアに分解す
る。 HCN+H2O→HCONH2+H2O→HCOOH+
NH3 HCOOH→H2O+CO (3)ニトロ系毒ガスの分解法 同様に常温で水溶液系で還元剤の存在下で容易に分解す
るので、シアン系よりは難しいが、必ずしも水熱処理す
る必要はない。 (4)燐系毒ガスの分解法 空気或いは酸素とともにアルカリ水熱処理により容易に
水酸化物をつくる。Ca共存系でアパタイト等の安定な
化合物を形成することができる。
酸(HCN)がある。これらシアン化合物は常温で水溶
液系で空気、酸素、または酸化剤の存在下で容易に分解
するので、必ずしも水熱処理する必要はないが、水熱加
水分解を行なうなら以下のようになる。 1)ホスゲン(COCl2)はアルカリ水で容易に加水
分解される。 COCl2+2H2O→CO2+H2O+2HCl 2)液体青酸(HCN)はメタノール水溶液の加水分解
によって、一酸化炭素、炭化水素、アンモニアに分解す
る。 HCN+H2O→HCONH2+H2O→HCOOH+
NH3 HCOOH→H2O+CO (3)ニトロ系毒ガスの分解法 同様に常温で水溶液系で還元剤の存在下で容易に分解す
るので、シアン系よりは難しいが、必ずしも水熱処理す
る必要はない。 (4)燐系毒ガスの分解法 空気或いは酸素とともにアルカリ水熱処理により容易に
水酸化物をつくる。Ca共存系でアパタイト等の安定な
化合物を形成することができる。
【0011】(5)催涙性ガスの分解法 催涙剤として臭化ベンジル(C6H6CH2Br 7
1)、青臭化ベンジル(C6H6CHBrCN 19
5)、塩化アセトフェノン(CH2ClCOC6H5
155)がある。催涙性ガスの処理はベンゼン核をもっ
た複雑な物質であるが、後述のクロルベンゼンの実験例
で確認したように、水熱反応で処理できる。 1)臭化ベンジルは水あるいはアルカリ水で水熱加水分
解してベンジルアルコールに変える。 C6H6CH2Br+NaOH→C6H6CH2OH+
NaBr 2)青臭化ベンジルも同様である。 C6H6CHBrCN+H2O→C6H6CH2Br+
HCN HCN+H2O→HCONH2+H2O→HCOOH+
NH3 HCOOH→H2O+CO 3)塩化アセトフェノンは水に不溶だがアルコール類に
とけ、塩酸によって炭化水素と塩素に変わる。 CH2ClCOC6H5+HCl→C6H5COCH3
+Cl2
1)、青臭化ベンジル(C6H6CHBrCN 19
5)、塩化アセトフェノン(CH2ClCOC6H5
155)がある。催涙性ガスの処理はベンゼン核をもっ
た複雑な物質であるが、後述のクロルベンゼンの実験例
で確認したように、水熱反応で処理できる。 1)臭化ベンジルは水あるいはアルカリ水で水熱加水分
解してベンジルアルコールに変える。 C6H6CH2Br+NaOH→C6H6CH2OH+
NaBr 2)青臭化ベンジルも同様である。 C6H6CHBrCN+H2O→C6H6CH2Br+
HCN HCN+H2O→HCONH2+H2O→HCOOH+
NH3 HCOOH→H2O+CO 3)塩化アセトフェノンは水に不溶だがアルコール類に
とけ、塩酸によって炭化水素と塩素に変わる。 CH2ClCOC6H5+HCl→C6H5COCH3
+Cl2
【0012】(6)砒素系毒ガスの分解法 1)ルイサイト(CHAsCl2) 毒性の強いルイサイトは水ないしアルカリ水で容易に水
熱加水分解され、3価の亜砒酸(As(OH)3)、5
価の砒酸(AsO(OH)3)ないしそれらの塩ができ
る。 CHAsCl2+2H2O→CHAs(OH)2+2H
Cl CHAs(OH)2+2H2O→CH3OH+As(O
H)3 2)ジフェニルクロロアルシン((C6H5)2AsC
l) 臨界条件下の水熱作用によって水(ないしアルカリ水)
で加水分解を起こす。 (C6H5)2AsCl+H2O→(C6H5)2As
OH+HCl 次にベンゼン環のCとAsとの結合部分が水に求核され
てフェノールが出来、Asが脱離して亜砒酸となる。 2(C6H5)2AsOH+3H2O→4C6H5OH
+As(OH)3 3)ジフェニルシアノアルシン((C6H5)2AsC
N) クシャミ性毒ガスであるが、ジフェニルクロロアルシン
のクロルがシアンに置き変わったものでる。これも臨界
条件下の水熱作用によってアルカリ水ないしアルカリ塩
で加水分解し、亜砒酸塩になる。 (C6H5)2AsCN+HCl→(C6H5)3As
Cl+HCN この結果、(C6H5)3AsClは上記(6)−2)
の通り、またHCNの分解は(2)シアン系毒ガスの分
解法の通りとなる。
熱加水分解され、3価の亜砒酸(As(OH)3)、5
価の砒酸(AsO(OH)3)ないしそれらの塩ができ
る。 CHAsCl2+2H2O→CHAs(OH)2+2H
Cl CHAs(OH)2+2H2O→CH3OH+As(O
H)3 2)ジフェニルクロロアルシン((C6H5)2AsC
l) 臨界条件下の水熱作用によって水(ないしアルカリ水)
で加水分解を起こす。 (C6H5)2AsCl+H2O→(C6H5)2As
OH+HCl 次にベンゼン環のCとAsとの結合部分が水に求核され
てフェノールが出来、Asが脱離して亜砒酸となる。 2(C6H5)2AsOH+3H2O→4C6H5OH
+As(OH)3 3)ジフェニルシアノアルシン((C6H5)2AsC
N) クシャミ性毒ガスであるが、ジフェニルクロロアルシン
のクロルがシアンに置き変わったものでる。これも臨界
条件下の水熱作用によってアルカリ水ないしアルカリ塩
で加水分解し、亜砒酸塩になる。 (C6H5)2AsCN+HCl→(C6H5)3As
Cl+HCN この結果、(C6H5)3AsClは上記(6)−2)
の通り、またHCNの分解は(2)シアン系毒ガスの分
解法の通りとなる。
【0013】(7)残存毒物質の水熱固定化 1)特に毒ガスに砒素系物質が含まれている場合は、N
a系のアルカリ水で溶解性の(亜)砒酸塩にし、硫化物
ないしは砒化鉄等に置換して沈澱させて濃縮する。三酸
化二砒素とアルカリと作用させてできたNa系の(亜)
砒酸塩は共沈する傾向があるが、反応液の中から出来る
だけ完全に酸化物として沈澱させて除去するために、例
えば硫化物(AsmSn)するか、或いは塩化鉄水溶液
を加えて不溶性の砒化鉄にするかして濃縮させる。 Na3AsO4+FeCl3→FeAsO4+3NaC
l 三酸化二砒素とアルカリと作用させてできたCa系の
(亜)亜砒酸塩は共沈する傾向があるが、反応液の中か
ら出来るだけ完全に酸化物として沈澱させて除去するた
めに、例えば硫化物(AsmSn)するか、或いは塩化
鉄水溶液を加えて不溶性の砒化鉄にするかして濃縮させ
る。 Ca3(AsO4)2+2FeCl3→2FeAsO4
+3CaCl2 2)上記の処理後もなお砒素系物質を含んだ希薄な残液
は、キレート樹脂法乃至は電解法で完全に除去する。 3)砒素等の毒性物質を含んだ不溶性残差と加溶性廃棄
物を含んだ廃液は各種固化法によって固化し、浸出を防
止する。固化方法も、水熱熱間加圧成形法で廃棄物を難
溶性の珪酸塩などのガラスの網目構造中に固定化するガ
ラス固化、廃棄物を安全な結晶構造中に固定化するセラ
ミックス固化か、或いは工法は単純だが浸透性に問題が
ある廃棄物をセメントに混錬する固化するセメント固化
法がある。水熱固化の安全基準項目は、浸出性、機械強
度、密度等があるが、有毒性物質の固化で最も重要なの
は浸出性である。有毒性物質の固化の場合、原則一括固
化が、砒素系物質だけは群別固化かの問題もある。固定
物はガラス系、鉄系容器に厳重に密封し、場合によって
は更にこれをガラス等でコーテングし、地下ないし海底
深く埋設する。
a系のアルカリ水で溶解性の(亜)砒酸塩にし、硫化物
ないしは砒化鉄等に置換して沈澱させて濃縮する。三酸
化二砒素とアルカリと作用させてできたNa系の(亜)
砒酸塩は共沈する傾向があるが、反応液の中から出来る
だけ完全に酸化物として沈澱させて除去するために、例
えば硫化物(AsmSn)するか、或いは塩化鉄水溶液
を加えて不溶性の砒化鉄にするかして濃縮させる。 Na3AsO4+FeCl3→FeAsO4+3NaC
l 三酸化二砒素とアルカリと作用させてできたCa系の
(亜)亜砒酸塩は共沈する傾向があるが、反応液の中か
ら出来るだけ完全に酸化物として沈澱させて除去するた
めに、例えば硫化物(AsmSn)するか、或いは塩化
鉄水溶液を加えて不溶性の砒化鉄にするかして濃縮させ
る。 Ca3(AsO4)2+2FeCl3→2FeAsO4
+3CaCl2 2)上記の処理後もなお砒素系物質を含んだ希薄な残液
は、キレート樹脂法乃至は電解法で完全に除去する。 3)砒素等の毒性物質を含んだ不溶性残差と加溶性廃棄
物を含んだ廃液は各種固化法によって固化し、浸出を防
止する。固化方法も、水熱熱間加圧成形法で廃棄物を難
溶性の珪酸塩などのガラスの網目構造中に固定化するガ
ラス固化、廃棄物を安全な結晶構造中に固定化するセラ
ミックス固化か、或いは工法は単純だが浸透性に問題が
ある廃棄物をセメントに混錬する固化するセメント固化
法がある。水熱固化の安全基準項目は、浸出性、機械強
度、密度等があるが、有毒性物質の固化で最も重要なの
は浸出性である。有毒性物質の固化の場合、原則一括固
化が、砒素系物質だけは群別固化かの問題もある。固定
物はガラス系、鉄系容器に厳重に密封し、場合によって
は更にこれをガラス等でコーテングし、地下ないし海底
深く埋設する。
【0014】〔水熱処理工程〕 (1)毒ガス弾体、或いは金属ボンベ、ガラス、プラス
チック等の容器を、オートクレイブ等の水熱反応装置に
挿入して外気と遮断し、ウオータージェット器等によっ
て水或いはアルカリ水を高圧高速で噴射して弾体あるい
は容器を穿孔・切断し、これによってガス弾炸薬の爆発
力を消滅させると共に、内容物質を反応装置内部に放出
し拡散を促す。 (2)穿孔・切断作業終了後、使用したウオータージェ
ット器をオートクレイブ等の反応装置から摘去し、水・
アルカリ水・乃至は酸性水を注入し、臨界条件下で水熱
作用によって毒ガス或いは有毒有害性物質を炭化水素系
の有機化合物や中和塩等に置換し、無毒無害化する。 (3)無毒無害化された反応生成物を減圧・冷却して物
質毎に分留する。 (4)更に必要があれば(3)から送られた反応液を精
留工程で蒸気分留し回収する。 (5)オートクレイブ等の反応装置から弾体あるいは金
属等の容器を除去し、これを洗浄して回収分別する。 (6)(3)、(4)の工程で分離回収した反応生成物
のうち、ガス生成物は所定の検査後に無毒無害な炭化水
素系ガスは(2)の水熱反応工程の燃料として送る。 (7)反応液、及び洗浄液は、イオン交換器、キレート
洗浄器によって中和塩やイオンを除去し、所定の検査後
に無毒無害液は(2)の水熱反応工程に送って循環再使
用する。 (8)(7)の工程で反応物質に砒素系物質が含まれて
いる場合は、Na系のアルカリ水で溶解性の(亜)砒酸
塩にし、硫化物ないしは砒化鉄等に置換して沈澱させて
濃縮するか、或いはCa系のアルカリ水で砒酸カルシウ
ムのような難溶性のカルシウム(亜)砒酸塩で共沈させ
て砒素系反応生成物を回収し、必要があればこれを硫化
物ないしは砒化鉄等に置換して沈澱させて濃縮する。な
お砒素系物質を含んだ希薄な残液は、キレート樹脂法乃
至は電解法で完全に除去する。 (9)砒素系物質等の有毒物質の溶出を防止するため
に、(7)、(8)の工程で処理した残差、残液から可
能な限り水分を蒸発させて除去し、セメント法或いは水
熱法で固化(ホットプレス)し、固化物を鉄・ステンレ
ス製容器に入れて厳重に密封し、廃棄鉱山等の地下に埋
設するか或いは海底深くに投棄する。
チック等の容器を、オートクレイブ等の水熱反応装置に
挿入して外気と遮断し、ウオータージェット器等によっ
て水或いはアルカリ水を高圧高速で噴射して弾体あるい
は容器を穿孔・切断し、これによってガス弾炸薬の爆発
力を消滅させると共に、内容物質を反応装置内部に放出
し拡散を促す。 (2)穿孔・切断作業終了後、使用したウオータージェ
ット器をオートクレイブ等の反応装置から摘去し、水・
アルカリ水・乃至は酸性水を注入し、臨界条件下で水熱
作用によって毒ガス或いは有毒有害性物質を炭化水素系
の有機化合物や中和塩等に置換し、無毒無害化する。 (3)無毒無害化された反応生成物を減圧・冷却して物
質毎に分留する。 (4)更に必要があれば(3)から送られた反応液を精
留工程で蒸気分留し回収する。 (5)オートクレイブ等の反応装置から弾体あるいは金
属等の容器を除去し、これを洗浄して回収分別する。 (6)(3)、(4)の工程で分離回収した反応生成物
のうち、ガス生成物は所定の検査後に無毒無害な炭化水
素系ガスは(2)の水熱反応工程の燃料として送る。 (7)反応液、及び洗浄液は、イオン交換器、キレート
洗浄器によって中和塩やイオンを除去し、所定の検査後
に無毒無害液は(2)の水熱反応工程に送って循環再使
用する。 (8)(7)の工程で反応物質に砒素系物質が含まれて
いる場合は、Na系のアルカリ水で溶解性の(亜)砒酸
塩にし、硫化物ないしは砒化鉄等に置換して沈澱させて
濃縮するか、或いはCa系のアルカリ水で砒酸カルシウ
ムのような難溶性のカルシウム(亜)砒酸塩で共沈させ
て砒素系反応生成物を回収し、必要があればこれを硫化
物ないしは砒化鉄等に置換して沈澱させて濃縮する。な
お砒素系物質を含んだ希薄な残液は、キレート樹脂法乃
至は電解法で完全に除去する。 (9)砒素系物質等の有毒物質の溶出を防止するため
に、(7)、(8)の工程で処理した残差、残液から可
能な限り水分を蒸発させて除去し、セメント法或いは水
熱法で固化(ホットプレス)し、固化物を鉄・ステンレ
ス製容器に入れて厳重に密封し、廃棄鉱山等の地下に埋
設するか或いは海底深くに投棄する。
【0015】〔実施例〕 (1)実験の方法 1)実験物質の選択 現状で毒ガス物質の入手や実験に伴う法的手続の困難
性、実験者の生命の安全性、及び周辺に及ぼす影響等問
題から、次の類似物質による実験を試みた。殆どの毒ガ
ス物質が炭化水素に塩素等のハロゲンが付加しているの
で、脱塩素化を図れば殆ど全ての毒ガス物質の構造破壊
が可能となる。この見地から有機ハロゲン化合物、エス
テルのような極性をもった物質で、化学的に安定なため
物質C−Hを基幹構造とするPCB類似のクロルベンゼ
ン(C6H5Cl)及び4−クロルビフェニール(4−
ClC6H2)と、Hが無くてC−ハロゲンを基幹構造
とするCFC−11(CCl3F)、CFC−113
(CClF2CCl2F)等のフロン類を出発物質に選
び、水熱加水分解による構造破壊の実験を行なった。ま
た水熱固化実験は、各種金属酸化物を混合した模擬剤に
固化母剤として、珪石、珪華の混合物及び若干のAl
(OH)3加えて固化反応と反応固化体の物性実験を行
った。 2)使用機器 図1Aのように、バッチ式水熱反応装置は内容積17.
3cm3の反応容器(高圧管型オートクレーブ)に出発
物質と活性化水素源とした水或いは水酸化ナトリウム水
溶液を直接オートクレーブに封じ、反応容器の高圧バル
ブを介してガスを出入させ、攪拌しながら図1Bのイン
ダクションヒーターによって急速加熱させて高温高圧反
応を行った。図2のように、連続水熱反応装置はチュー
ブリアクター式連続オートクレーブで、原料タンク部、
送液部、予備加熱を兼ねた熱交換部、反応領域部、冷却
部、定圧バルブ部から構成され、全操作はコンピュータ
ーで制御される。同装置のシステムの仕様は、最大温
度;400°C、最大圧力;30MPa、送液量;30
0l/h、パイプ内径;5mm、外径;10mmで、全
体としてSUS316を使用したものである。図3のよ
うに、水熱固化(熱間加圧成形)装置は内径1.4cm
の成形用型枠をオートクレーブ内に設置し、油圧ジャッ
キによりピストンで挿入物をオートクレーブ内に押し込
み圧搾圧力を保持したまま誘導加熱炉により温度を上げ
て水熱固化を行う。 3)実験法・測定法 上記の実験過程で、各条件下での充填率(出発物質と水
に対する容積比)、温度、アルカリ濃度、反応時間など
の反応と生成物に与える影響を調べた。生成物は各反応
後の化学種を、気体、有機層、水層に分離し、それぞれ
をガスクロマトグラフィー或いは液体クロマトグラフィ
ーによって同定し、定性、定量分析した。生成物の収率
は、ガスクロマトグラフィーのピーク面積により、検量
線を作製して求めた。いくつかのサンプルについて、反
応後の水層(エーテル抽出前)の測定を行い、生成物の
構造を推定した。
性、実験者の生命の安全性、及び周辺に及ぼす影響等問
題から、次の類似物質による実験を試みた。殆どの毒ガ
ス物質が炭化水素に塩素等のハロゲンが付加しているの
で、脱塩素化を図れば殆ど全ての毒ガス物質の構造破壊
が可能となる。この見地から有機ハロゲン化合物、エス
テルのような極性をもった物質で、化学的に安定なため
物質C−Hを基幹構造とするPCB類似のクロルベンゼ
ン(C6H5Cl)及び4−クロルビフェニール(4−
ClC6H2)と、Hが無くてC−ハロゲンを基幹構造
とするCFC−11(CCl3F)、CFC−113
(CClF2CCl2F)等のフロン類を出発物質に選
び、水熱加水分解による構造破壊の実験を行なった。ま
た水熱固化実験は、各種金属酸化物を混合した模擬剤に
固化母剤として、珪石、珪華の混合物及び若干のAl
(OH)3加えて固化反応と反応固化体の物性実験を行
った。 2)使用機器 図1Aのように、バッチ式水熱反応装置は内容積17.
3cm3の反応容器(高圧管型オートクレーブ)に出発
物質と活性化水素源とした水或いは水酸化ナトリウム水
溶液を直接オートクレーブに封じ、反応容器の高圧バル
ブを介してガスを出入させ、攪拌しながら図1Bのイン
ダクションヒーターによって急速加熱させて高温高圧反
応を行った。図2のように、連続水熱反応装置はチュー
ブリアクター式連続オートクレーブで、原料タンク部、
送液部、予備加熱を兼ねた熱交換部、反応領域部、冷却
部、定圧バルブ部から構成され、全操作はコンピュータ
ーで制御される。同装置のシステムの仕様は、最大温
度;400°C、最大圧力;30MPa、送液量;30
0l/h、パイプ内径;5mm、外径;10mmで、全
体としてSUS316を使用したものである。図3のよ
うに、水熱固化(熱間加圧成形)装置は内径1.4cm
の成形用型枠をオートクレーブ内に設置し、油圧ジャッ
キによりピストンで挿入物をオートクレーブ内に押し込
み圧搾圧力を保持したまま誘導加熱炉により温度を上げ
て水熱固化を行う。 3)実験法・測定法 上記の実験過程で、各条件下での充填率(出発物質と水
に対する容積比)、温度、アルカリ濃度、反応時間など
の反応と生成物に与える影響を調べた。生成物は各反応
後の化学種を、気体、有機層、水層に分離し、それぞれ
をガスクロマトグラフィー或いは液体クロマトグラフィ
ーによって同定し、定性、定量分析した。生成物の収率
は、ガスクロマトグラフィーのピーク面積により、検量
線を作製して求めた。いくつかのサンプルについて、反
応後の水層(エーテル抽出前)の測定を行い、生成物の
構造を推定した。
【0016】〔C−Hを基幹構造とする有機化合物の水
熱分解実験〕 (1)実験内容 クロルベンゼン或いは4−クロルビフェニルを出発物質
として反応時間、反応温度、アルカリ濃度等を変える実
験条件のもとで、水熱反応により加水分解し残存するク
ロルベンゼン或いは4−クロルビフェニルと脱塩素化率
を調べた。容器は図1に示したバッチ式オートクレーブ
を利用し、溶媒は大体5M−NaOH程度の水溶液に、
或いはこれにメタノールを共存させ、クロルベンゼン或
いは4−クロルビフェニルの分散化、脱塩素化率ならび
に還元反応による反応の加速化を調べた。 (2)実験方法 5〜15cm3のNaOH水溶液を溶媒としクロルベン
ゼン、4−クロルビフェニールは0.2gを反応容器に
挿入し、容器に対する溶媒と反応物質との充填率を30
〜50%程とし、図1Bに示した誘導加熱炉を使って6
0°C/分の昇温速度で設定温度にし、攪拌しながら所
定時間加熱を行なった。反応後、オートクレーブを取り
出し、送風機で室温まで冷却し、内容物をイオン交換水
とヘキサン或いはエーテルで交互に洗浄し、水溶成分と
それぞれの有機可溶性成分に分離抽出した。水溶液のハ
ロゲンはイオンクロマトグラフィー(横河−IC10
0)、有機相中の未分解フロンはガスクロマトグラフィ
ー(日立−GC−3000)で、その他の成分はガスク
ロマトグラフィー(日本電子−JMX−1500GC)
で分析を行なった。 (3)実験結果 1)反応の温度依存性 図4はクロルベンゼンの、図5は4−クロルビフェニー
ルの、それぞれ温度別、時間別の脱塩素化率を表す。こ
の2図からクロルベンゼン、4−クロルビフェニールの
脱塩素化率は高温になるほど進み、反応の温度依存性が
分かる。温度と反応時間の関係は、350°C以上であ
れば最初の10分で60%以上の急速な分解を示してい
る。 2)図6は4−クロルビフェニールのNaOHの濃度を
変えて脱塩素化率を図ったものである。どの温度状況下
でもアルカリ濃度が5モル/lまでは濃くなるほど脱塩
素化率の増加が見られるが、5モル/lを越すと脱塩素
化率は逆に低下した。この理由の1つは、高アルカリ濃
度にすることによって水の実質活動化が減少することが
考えられる。また他の理由としては次に述べる充填率の
問題、即ちアルカリ濃度の増大に伴い圧力の著しい減少
が起こり、この結果脱塩素化率が低下するものであるこ
とが推定される。 3)充填率と脱塩素化率 前述の充填率と脱塩素化率の関係は、ここで使用する反
応容器は温度一定の場合反応条件は外部から任意に変化
させることが出来ないので、内部圧力は内部試料自身に
よって発生する。本実験での反応容器に対する試料の充
填率(密度)は一定にしているので、アルカリ濃度が変
化すれば、蒸気圧、膨張圧縮係数が変化し、圧力が変化
する。一方充填率(密度)を大きくすれば圧力が高めら
れ、相対的に高温状態下で液相雰囲気化し、これによっ
てイオン反応をして加水分解反応促進して脱塩素化反応
率が増加する。充填率が臨界容積よりも小さい場合は、
臨界温度よりも低い温度で全体が気体となり、臨界温度
より高温では、気体の膨張を定容積で抑える力が圧力と
なる。逆に充填率が臨界容積よりも大きい場合は、臨界
温度よりも低い温度で全体が液体となり、より高温では
液体の膨張を定容積で抑える力が圧力となり、温度増加
に伴う圧力増加曲線は著しく急勾配となる。気液共存状
態では圧力は液体の蒸気圧となり溶液の濃度が一定であ
れば温度によって一定の数値になる。したがって温度を
固定すれば充填率によって反応雰囲気を気相的か液相的
に性質を変えることができる。また気相雰囲気ではイオ
ン反応が抑制され脱水反応の方に傾くが、液相雰囲気で
はイオン反応が加速され加水分解反応が強まる。 6)温度条件と反応生成物 クロルベンゼン単味の水熱加水分解の場合は、フェノー
ル、フェニルエーテル、ビフェニル−2−オール、ビフ
ェニル−4−オールの4物質が生成される。内フェノー
ル、フェニルエーテルの2つの物質が多く生成された
が、高アルカリ状況下ではフェノールの収率が高く、逆
にフェニルエーテルの収率は低い。4−クロルビフェニ
ルの水熱加水分解の場合は、ビフェニル−4−オルと4
−フェノキシビフェニルを主とする反応生成物が生ず
る。図7のように、4−クロルビフェニルの場合は温度
変化による収率変化を250°Cから直接加水分解によ
うる反応が始まり、300°Cから開裂反応と開裂生成
物による縮合により4−フェノキシビフェニルが生じ3
50゜Cで極大点をもつ。この極大点は350°C以上
ではベンゼン環あるいはビフェニル環の縮合が進んでい
くためであるが、これは400°C以上になると水にも
有機溶媒にも不溶のピッチあるいはタール状の高分子化
合物が生じ始めることから、350°C以上から逐次重
合が生じ始めるという考えに符号している。図8のよう
に、4−クロルビフェニールの温度上昇に伴う水熱反応
過程を物質変化としてとらえる(なお当初の材料に2%
程度の2−クロルビフェニルが含有)。ビフェニルは温
度条件によって水熱生成物質が非常に変わり、300°
Cからビフェニル−4−オールの生成が始まり、温度上
昇と共に次第に増大して最終的に400°Cでは殆どビ
フェニル−4−オールとなり、最終段階では出発物質で
ある4−クロルビフェニールと、中間生成物である2−
フェノキシビフェニルが減少し、完全に脱塩素化がなさ
れていくことが分かる。 7)4−クロルビフェニールの反応過程と生成物 図7,図8からの結果から我々は、図9のように出発物
質4−クロルビフェニルのC−Cl結合は第1段階で水
熱加水分解作用によってビフェニル−4−オル(図9の
I)とクロルベンゼン(図9のIII)とに開裂し、更
にこのフェノール系の存在のもとにクロルベンゼンが水
熱作用によって塩素が脱離して開裂反応と開裂生成物に
よる縮合により4−フェノキシビフェニルが生ずる形に
展開するものと考えた。反応生成物である4−フェノキ
シビフェニル、2−フェノキシビフェニル、ビフェニル
−2−オールの各物質は、ビフェニル基とフェニル基の
縮合生成物であり、出発物質と中間反応生成物との分子
間脱塩化水素反応による縮合反応によってなされたと考
える。
熱分解実験〕 (1)実験内容 クロルベンゼン或いは4−クロルビフェニルを出発物質
として反応時間、反応温度、アルカリ濃度等を変える実
験条件のもとで、水熱反応により加水分解し残存するク
ロルベンゼン或いは4−クロルビフェニルと脱塩素化率
を調べた。容器は図1に示したバッチ式オートクレーブ
を利用し、溶媒は大体5M−NaOH程度の水溶液に、
或いはこれにメタノールを共存させ、クロルベンゼン或
いは4−クロルビフェニルの分散化、脱塩素化率ならび
に還元反応による反応の加速化を調べた。 (2)実験方法 5〜15cm3のNaOH水溶液を溶媒としクロルベン
ゼン、4−クロルビフェニールは0.2gを反応容器に
挿入し、容器に対する溶媒と反応物質との充填率を30
〜50%程とし、図1Bに示した誘導加熱炉を使って6
0°C/分の昇温速度で設定温度にし、攪拌しながら所
定時間加熱を行なった。反応後、オートクレーブを取り
出し、送風機で室温まで冷却し、内容物をイオン交換水
とヘキサン或いはエーテルで交互に洗浄し、水溶成分と
それぞれの有機可溶性成分に分離抽出した。水溶液のハ
ロゲンはイオンクロマトグラフィー(横河−IC10
0)、有機相中の未分解フロンはガスクロマトグラフィ
ー(日立−GC−3000)で、その他の成分はガスク
ロマトグラフィー(日本電子−JMX−1500GC)
で分析を行なった。 (3)実験結果 1)反応の温度依存性 図4はクロルベンゼンの、図5は4−クロルビフェニー
ルの、それぞれ温度別、時間別の脱塩素化率を表す。こ
の2図からクロルベンゼン、4−クロルビフェニールの
脱塩素化率は高温になるほど進み、反応の温度依存性が
分かる。温度と反応時間の関係は、350°C以上であ
れば最初の10分で60%以上の急速な分解を示してい
る。 2)図6は4−クロルビフェニールのNaOHの濃度を
変えて脱塩素化率を図ったものである。どの温度状況下
でもアルカリ濃度が5モル/lまでは濃くなるほど脱塩
素化率の増加が見られるが、5モル/lを越すと脱塩素
化率は逆に低下した。この理由の1つは、高アルカリ濃
度にすることによって水の実質活動化が減少することが
考えられる。また他の理由としては次に述べる充填率の
問題、即ちアルカリ濃度の増大に伴い圧力の著しい減少
が起こり、この結果脱塩素化率が低下するものであるこ
とが推定される。 3)充填率と脱塩素化率 前述の充填率と脱塩素化率の関係は、ここで使用する反
応容器は温度一定の場合反応条件は外部から任意に変化
させることが出来ないので、内部圧力は内部試料自身に
よって発生する。本実験での反応容器に対する試料の充
填率(密度)は一定にしているので、アルカリ濃度が変
化すれば、蒸気圧、膨張圧縮係数が変化し、圧力が変化
する。一方充填率(密度)を大きくすれば圧力が高めら
れ、相対的に高温状態下で液相雰囲気化し、これによっ
てイオン反応をして加水分解反応促進して脱塩素化反応
率が増加する。充填率が臨界容積よりも小さい場合は、
臨界温度よりも低い温度で全体が気体となり、臨界温度
より高温では、気体の膨張を定容積で抑える力が圧力と
なる。逆に充填率が臨界容積よりも大きい場合は、臨界
温度よりも低い温度で全体が液体となり、より高温では
液体の膨張を定容積で抑える力が圧力となり、温度増加
に伴う圧力増加曲線は著しく急勾配となる。気液共存状
態では圧力は液体の蒸気圧となり溶液の濃度が一定であ
れば温度によって一定の数値になる。したがって温度を
固定すれば充填率によって反応雰囲気を気相的か液相的
に性質を変えることができる。また気相雰囲気ではイオ
ン反応が抑制され脱水反応の方に傾くが、液相雰囲気で
はイオン反応が加速され加水分解反応が強まる。 6)温度条件と反応生成物 クロルベンゼン単味の水熱加水分解の場合は、フェノー
ル、フェニルエーテル、ビフェニル−2−オール、ビフ
ェニル−4−オールの4物質が生成される。内フェノー
ル、フェニルエーテルの2つの物質が多く生成された
が、高アルカリ状況下ではフェノールの収率が高く、逆
にフェニルエーテルの収率は低い。4−クロルビフェニ
ルの水熱加水分解の場合は、ビフェニル−4−オルと4
−フェノキシビフェニルを主とする反応生成物が生ず
る。図7のように、4−クロルビフェニルの場合は温度
変化による収率変化を250°Cから直接加水分解によ
うる反応が始まり、300°Cから開裂反応と開裂生成
物による縮合により4−フェノキシビフェニルが生じ3
50゜Cで極大点をもつ。この極大点は350°C以上
ではベンゼン環あるいはビフェニル環の縮合が進んでい
くためであるが、これは400°C以上になると水にも
有機溶媒にも不溶のピッチあるいはタール状の高分子化
合物が生じ始めることから、350°C以上から逐次重
合が生じ始めるという考えに符号している。図8のよう
に、4−クロルビフェニールの温度上昇に伴う水熱反応
過程を物質変化としてとらえる(なお当初の材料に2%
程度の2−クロルビフェニルが含有)。ビフェニルは温
度条件によって水熱生成物質が非常に変わり、300°
Cからビフェニル−4−オールの生成が始まり、温度上
昇と共に次第に増大して最終的に400°Cでは殆どビ
フェニル−4−オールとなり、最終段階では出発物質で
ある4−クロルビフェニールと、中間生成物である2−
フェノキシビフェニルが減少し、完全に脱塩素化がなさ
れていくことが分かる。 7)4−クロルビフェニールの反応過程と生成物 図7,図8からの結果から我々は、図9のように出発物
質4−クロルビフェニルのC−Cl結合は第1段階で水
熱加水分解作用によってビフェニル−4−オル(図9の
I)とクロルベンゼン(図9のIII)とに開裂し、更
にこのフェノール系の存在のもとにクロルベンゼンが水
熱作用によって塩素が脱離して開裂反応と開裂生成物に
よる縮合により4−フェノキシビフェニルが生ずる形に
展開するものと考えた。反応生成物である4−フェノキ
シビフェニル、2−フェノキシビフェニル、ビフェニル
−2−オールの各物質は、ビフェニル基とフェニル基の
縮合生成物であり、出発物質と中間反応生成物との分子
間脱塩化水素反応による縮合反応によってなされたと考
える。
【0017】〔C−ハロゲンを基幹構造とする有機化合
物の水熱分解実験〕 (1)実験内容 ダイキン社製のCFC−11(CCl3F)と、炭素鎖
の数を異にするCFC−113(CClF2CCl
2F)を出発物質として、反応時間、反応温度、アルカ
リ濃度等を変える実験条件のもとで、水熱反応により加
水分解し残存フロンと脱塩素化率を調べた。実験容器は
図1に示した内容積17.3cm3のバッチ式オートク
レーブを利用し、溶媒は4M−NaOH水溶液あるいは
これにメタノールを共存させ、フロンの分散化ならびに
還元反応による反応の加速化を調べた。 (2)実験内容方法 5〜15cm3の溶媒とCFC−11は0.581g、
CFC−113は0.52gのフロンを反応容器に挿入
し、誘導加熱炉を使って40°C/分の昇温速度で設定
温度にし、攪拌しながら所定時間加熱を行なった。反応
後、オートクレーブを取り出し、送風機で室温まで冷却
し、内容物をイオン交換水とヘキサン或いはエーテルで
交互に洗浄し、水溶成分とそれぞれの有機可溶性成分に
分離抽出した。水溶液のハロゲンはイオンクロマトグラ
フィー(横河−IC100)、有機相中の未分解フロン
はガスクロマトグラフィー(日立−GC−3000)
で、その他の成分はガスクロマトグラフィー(日本電子
−JMX−1500GC)で分析を行なった。 (3)実験結果 1)図10は4M−NaOH水溶液のみの反応として使
用したCFC−11の残存率と脱ハロゲン率である。反
応の温度依存性は、200〜300°CでCFC−11
のハロゲン脱離が著しく増加した。塩素とフッ素の脱離
分解挙動はほぼ類似の形をしており、脱離分解は残存フ
ロンの減少とほぼ対応しており、50%脱離分解ではほ
ぼ50%の未分解フロンが残存している。このことから
反応は安定的な中間生成物が存在しないことを示唆して
いる。即ちハロゲンの一部が脱離して一部が残存するよ
うな化合物は存在せず、一気にC−ハロゲン構造が分解
しイオン化する事が推定される。 2)350°C以上での高温では、タール或いはピッチ
状のものにハロゲンが再結合したものの生成がみられる
が、これは水溶液へのハロゲン量の減少は反応の系が溶
液から気相への性質に移行し、加水分解から脱水縮合に
移行した結果と考えられ、このことから超臨界領域では
よい結果が生まれないと考える。 3)図11は、気相と液相での分解の差異を明確にさせ
るために、オートクレーブ内部での気−液両相の容積比
を変えて、具体的には容器に対する試料溶液の充填比を
変化させて、分解率に与える影響を調べた結果である。
CFC−11の分解は水溶液の充填率が高いほど進むこ
とから、水溶液中での加水分解が支配的であることが分
かった。溶液の充填率が高いことは気相が少ないことを
意味しており、これは揮発性のフロンの気相中での存在
量の減少を意味しているので、フロンの液相への溶解量
を増加させれば、分解は更に進むことになる。 4)図12は、メタノール性アルカリ水溶液を溶媒とし
たCFC−11の分解の場合だが、図12のようにアル
カリ単味溶液でのCFC−11の分解場合に比較して、
100°C以上も分解温度が低下することが分かる。更
に反応生成物の中に蟻酸ナトリウムが検出したが、これ
はメタノールが酸化されて生成したものであり、この結
果メタノールはフロンのアルカリ水への溶解促進だけで
なく、フロンと酸化−還元反応して脱塩化水素反応を起
こしてハロゲンの脱離を促進する効果があることが分か
る。なお前述のクロルベンゼンの脱塩素化反応の場合
も、フェノールの存在によってクロルベンゼン単味の脱
塩素化反応に比べて遊離塩素量が350°Cで10倍の
程度の差があり、フェノールの添加効果が著しいことも
確かめたある。 5)図13は、メタノール性アルカリ水溶液を溶媒とし
たCFC−113の水熱分解を調べてものだが、CFC
−11と全く同様な結果をえた。このことから炭素鎖の
数には影響されず、炭素骨格構造が飽和脂肪族か、芳香
族か、或いは隣接位置に水素が存在するかどうかの影響
が大きいことを示している。また隣接位置に水素が存在
しない場合は、溶媒中に分子間での酸化還元を起こさせ
るアルコール等の添加によって反応が加速させることが
出来た。
物の水熱分解実験〕 (1)実験内容 ダイキン社製のCFC−11(CCl3F)と、炭素鎖
の数を異にするCFC−113(CClF2CCl
2F)を出発物質として、反応時間、反応温度、アルカ
リ濃度等を変える実験条件のもとで、水熱反応により加
水分解し残存フロンと脱塩素化率を調べた。実験容器は
図1に示した内容積17.3cm3のバッチ式オートク
レーブを利用し、溶媒は4M−NaOH水溶液あるいは
これにメタノールを共存させ、フロンの分散化ならびに
還元反応による反応の加速化を調べた。 (2)実験内容方法 5〜15cm3の溶媒とCFC−11は0.581g、
CFC−113は0.52gのフロンを反応容器に挿入
し、誘導加熱炉を使って40°C/分の昇温速度で設定
温度にし、攪拌しながら所定時間加熱を行なった。反応
後、オートクレーブを取り出し、送風機で室温まで冷却
し、内容物をイオン交換水とヘキサン或いはエーテルで
交互に洗浄し、水溶成分とそれぞれの有機可溶性成分に
分離抽出した。水溶液のハロゲンはイオンクロマトグラ
フィー(横河−IC100)、有機相中の未分解フロン
はガスクロマトグラフィー(日立−GC−3000)
で、その他の成分はガスクロマトグラフィー(日本電子
−JMX−1500GC)で分析を行なった。 (3)実験結果 1)図10は4M−NaOH水溶液のみの反応として使
用したCFC−11の残存率と脱ハロゲン率である。反
応の温度依存性は、200〜300°CでCFC−11
のハロゲン脱離が著しく増加した。塩素とフッ素の脱離
分解挙動はほぼ類似の形をしており、脱離分解は残存フ
ロンの減少とほぼ対応しており、50%脱離分解ではほ
ぼ50%の未分解フロンが残存している。このことから
反応は安定的な中間生成物が存在しないことを示唆して
いる。即ちハロゲンの一部が脱離して一部が残存するよ
うな化合物は存在せず、一気にC−ハロゲン構造が分解
しイオン化する事が推定される。 2)350°C以上での高温では、タール或いはピッチ
状のものにハロゲンが再結合したものの生成がみられる
が、これは水溶液へのハロゲン量の減少は反応の系が溶
液から気相への性質に移行し、加水分解から脱水縮合に
移行した結果と考えられ、このことから超臨界領域では
よい結果が生まれないと考える。 3)図11は、気相と液相での分解の差異を明確にさせ
るために、オートクレーブ内部での気−液両相の容積比
を変えて、具体的には容器に対する試料溶液の充填比を
変化させて、分解率に与える影響を調べた結果である。
CFC−11の分解は水溶液の充填率が高いほど進むこ
とから、水溶液中での加水分解が支配的であることが分
かった。溶液の充填率が高いことは気相が少ないことを
意味しており、これは揮発性のフロンの気相中での存在
量の減少を意味しているので、フロンの液相への溶解量
を増加させれば、分解は更に進むことになる。 4)図12は、メタノール性アルカリ水溶液を溶媒とし
たCFC−11の分解の場合だが、図12のようにアル
カリ単味溶液でのCFC−11の分解場合に比較して、
100°C以上も分解温度が低下することが分かる。更
に反応生成物の中に蟻酸ナトリウムが検出したが、これ
はメタノールが酸化されて生成したものであり、この結
果メタノールはフロンのアルカリ水への溶解促進だけで
なく、フロンと酸化−還元反応して脱塩化水素反応を起
こしてハロゲンの脱離を促進する効果があることが分か
る。なお前述のクロルベンゼンの脱塩素化反応の場合
も、フェノールの存在によってクロルベンゼン単味の脱
塩素化反応に比べて遊離塩素量が350°Cで10倍の
程度の差があり、フェノールの添加効果が著しいことも
確かめたある。 5)図13は、メタノール性アルカリ水溶液を溶媒とし
たCFC−113の水熱分解を調べてものだが、CFC
−11と全く同様な結果をえた。このことから炭素鎖の
数には影響されず、炭素骨格構造が飽和脂肪族か、芳香
族か、或いは隣接位置に水素が存在するかどうかの影響
が大きいことを示している。また隣接位置に水素が存在
しない場合は、溶媒中に分子間での酸化還元を起こさせ
るアルコール等の添加によって反応が加速させることが
出来た。
【0018】〔ダイオキシン類とABSの水熱分解実
験〕 (1)ダイオキシン類の水熱分解実験 1)実験内容 焼却灰の中に含まれているダイオキシン類(PCDD
S,PCDFS)を出発物質として、灰のままスラリー
状態で小型オートクレーブに挿入し、表1のような濃度
と条件で、水熱反応により分解した。 2)実験結果 表2の通りの結果を得た。即ち、 (条件1);1モルNaOH溶液−10%メタノール溶
液で水熱反応、300°Cで10分反応。スラリー濃度
は10%の条件では、100%の分解率を得た。 (条件2);蒸留水のみで水熱反応、300°Cで10
分反応。スラリー濃度は10%では、88.2%の分解
率を得た。 (条件3);1モルNaOH溶液−10%メタノール溶
液で水熱反応、100°Cで10分反応。スラリー濃度
は10%では、34.1%という低い分解率であった。
故に温度条件が重要なファクターであることが分かっ
た。 (2)ABSの水熱分解実験 1)実験内容 アルキル基、ベンゼン、スルホン酸基の3つで構成され
たABSは難分解物質であり、水との親和力が強いため
に上水・下水に混入し、分離が困難である。各基の間の
切断のために特にスルホン酸基と安定な塩をつくるCa
等の金属イオンで、SO3−をひき抜き、ベンゼン−ス
ルホン酸基間の加水分解の加速ができるかを実験した。 2)実験結果 図14はアルカリ溶液での水熱分解は350°Cでも3
0%程度の分解率に過ぎない。アルカリの種類に大きな
差がなく、結論としてアルカリ雰囲気では不適当であ
る。図15は酸を使った分解であるが、硝酸では効果が
無いが、塩酸は250°C以上で、硫酸では300°C
以上では90%以上の分解率を示し、酸性雰囲気での分
解が良いことが分かった。図16は塩酸濃度の分解率に
及ぼす効果であるが、濃度が濃いほうがよく、0.5m
ol/lの塩酸で、350°C以上では100%以上の
分解率を示している。分解生成物は水・油の2層に分離
しもはや界面活性性を示さない。水層からは僅かな亜硫
酸イオンが検出された。また油層成分のIRスペクトル
測定を行なったが、反応前にあった側鎖をもつ炭素によ
る吸収ピークの消失が見られた。高温高圧の塩酸による
最も分解に適している理由は、バルキーなアルキル基の
間をくぐってプロトンのみが攻撃を受けやすいことによ
ると考える。即ち、この反応は酸触媒による一種の加水
分解反応と考えられが、この推論はアルコールの生成に
よって裏付けられる。
験〕 (1)ダイオキシン類の水熱分解実験 1)実験内容 焼却灰の中に含まれているダイオキシン類(PCDD
S,PCDFS)を出発物質として、灰のままスラリー
状態で小型オートクレーブに挿入し、表1のような濃度
と条件で、水熱反応により分解した。 2)実験結果 表2の通りの結果を得た。即ち、 (条件1);1モルNaOH溶液−10%メタノール溶
液で水熱反応、300°Cで10分反応。スラリー濃度
は10%の条件では、100%の分解率を得た。 (条件2);蒸留水のみで水熱反応、300°Cで10
分反応。スラリー濃度は10%では、88.2%の分解
率を得た。 (条件3);1モルNaOH溶液−10%メタノール溶
液で水熱反応、100°Cで10分反応。スラリー濃度
は10%では、34.1%という低い分解率であった。
故に温度条件が重要なファクターであることが分かっ
た。 (2)ABSの水熱分解実験 1)実験内容 アルキル基、ベンゼン、スルホン酸基の3つで構成され
たABSは難分解物質であり、水との親和力が強いため
に上水・下水に混入し、分離が困難である。各基の間の
切断のために特にスルホン酸基と安定な塩をつくるCa
等の金属イオンで、SO3−をひき抜き、ベンゼン−ス
ルホン酸基間の加水分解の加速ができるかを実験した。 2)実験結果 図14はアルカリ溶液での水熱分解は350°Cでも3
0%程度の分解率に過ぎない。アルカリの種類に大きな
差がなく、結論としてアルカリ雰囲気では不適当であ
る。図15は酸を使った分解であるが、硝酸では効果が
無いが、塩酸は250°C以上で、硫酸では300°C
以上では90%以上の分解率を示し、酸性雰囲気での分
解が良いことが分かった。図16は塩酸濃度の分解率に
及ぼす効果であるが、濃度が濃いほうがよく、0.5m
ol/lの塩酸で、350°C以上では100%以上の
分解率を示している。分解生成物は水・油の2層に分離
しもはや界面活性性を示さない。水層からは僅かな亜硫
酸イオンが検出された。また油層成分のIRスペクトル
測定を行なったが、反応前にあった側鎖をもつ炭素によ
る吸収ピークの消失が見られた。高温高圧の塩酸による
最も分解に適している理由は、バルキーなアルキル基の
間をくぐってプロトンのみが攻撃を受けやすいことによ
ると考える。即ち、この反応は酸触媒による一種の加水
分解反応と考えられが、この推論はアルコールの生成に
よって裏付けられる。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】〔連続方式による水熱処理実験〕 (1)実験目的 これまでの水熱反応実験はオートクレーブを使ったバッ
チ式の反応であったが、大量処理を行うには反応速度を
高めて連続処理が必要である。そこで図2のチューブリ
アクター方式連続水熱処理装置で連続実験を行った。 (2)実験方法 送液量は反応温度、反応時間と相関しており、反応温度
および時間を固定して液量を増やすには、パイプ反応部
のパイプの長さを長くすればよい。反応条件はメタノー
ルと4M−NaOH水溶液の等量混合液に5%のCFC
−113を溶解したもので、3l/minの流速で順次
温度を上げながら連続水熱処理を行った。 (3)実験結果 図17のように、CFC−113の脱ハロゲン率は18
0°Cあたりから急速に反応が進行し、215°Cでほ
ぼ100%分解し、それ以上の温度で100%分解が維
持される結果をえた。バッチ式では同一条件での100
%分解はほぼ300°Cなので、より低温側で完全に分
解することが分かった。
チ式の反応であったが、大量処理を行うには反応速度を
高めて連続処理が必要である。そこで図2のチューブリ
アクター方式連続水熱処理装置で連続実験を行った。 (2)実験方法 送液量は反応温度、反応時間と相関しており、反応温度
および時間を固定して液量を増やすには、パイプ反応部
のパイプの長さを長くすればよい。反応条件はメタノー
ルと4M−NaOH水溶液の等量混合液に5%のCFC
−113を溶解したもので、3l/minの流速で順次
温度を上げながら連続水熱処理を行った。 (3)実験結果 図17のように、CFC−113の脱ハロゲン率は18
0°Cあたりから急速に反応が進行し、215°Cでほ
ぼ100%分解し、それ以上の温度で100%分解が維
持される結果をえた。バッチ式では同一条件での100
%分解はほぼ300°Cなので、より低温側で完全に分
解することが分かった。
【0022】〔水熱固化実験〕 (1)実験目的 水熱反応の結果生じた反応生成物に砒素化合物や重金属
類が含まれている場合は、浸出、破損による2次汚染を
防止するために、これを固化して一定の箇所に保管する
必要がある。毒ガス類の場合はセメント固化で十分であ
ると考えるが、特にここでは念を入れ、珪石を主とした
固化母剤に多種多様な金属酸化物を含んだ模擬剤を加え
て水熱固化し、固化物の浸出性、機械強度、密度等につ
いて調査した。 (2)実験方法 1)固化実験 固化母剤として、珪石(低温型石英,SiO2含有量9
9.5wt%)を200メッシュ以下に粉砕し、珪華の
混合物で珪石含有率は70.0wt%、及び若干のAl
(OH)3に、模擬剤を加え全体量20g使用した。こ
れにNaOH水溶液(0〜15N)を2.5cm3加え
練り合わせた。これらを油圧ジャッキで図3のオートク
レーブ内に押し込み、16〜66MPaの圧搾圧力を加
えた後、誘導加熱炉を使って目的温度(50〜350°
C)まで毎分30°Cでオートクレーブを昇温し、温度
圧力を一定時間(0〜6時間)保持した後、送風機によ
り室温まで冷却した。 2)固化物の強度試験 直径1.4cmの円柱状固化体をダイヤモンドカッター
で高さ1.6cmに切り出し、110°Cで乾燥した後
重量を測定し、見掛けの体積から密度を算出した。続い
て万能試験機(島津RHE−100)により、クロスヘ
ッドの送り速度を毎分0.02cmとし、円柱状試料の
底面に垂直な方向に1軸圧縮して室温での圧縮強度を測
定した。固化体表面を研磨し、光学顕微鏡(日本光学O
PTOPHOTO)或いは走査型顕微鏡(日立S−53
0)で観察した。固化体中の結晶化体の比表面積の測定
は、窒素ガスを吸着ガスに用いたBET法によった。ま
たニクロム線抵抗加熱炉により固化体を6時間加熱し、
固化体の重量減少量を測定した。次に静的浸出試験は、
水熱条件下での試験と低温でのMCC−1法(放射性廃
棄物固化体に使用される試験法)とを用いた。 3)固化物の浸出試験方法 水熱条件下での浸出試験は、チタンで内張りされた密閉
式オートクレーブに5mm角立方体にカットされた浸出
試験試料とし、試料の幾何学的表面積と浸出液量の比が
0.1cm−1になるように蒸留水15cm3を浸出液
として用いた。水熱条件下で固化体の初期の浸出速度が
非常に大きいので、浸出試験期間は24時間とした。前
述のMCC−1法を使った試験は、8.7mm角立方体
にカットされた浸出試験試料とし、テフロン容器中で温
度が40°C或いは90°Cの蒸留水40cm3を浸出
液として用い、3日,7日,14日,28日間の浸出試
験を行った。浸出液試料の幾何学的表面積と浸出液量の
比は0.1cm−1である。動的浸出試験は、硬質ガラ
ス製ソックスレー型浸出試験装置を使い、試料は直径
1.4cm、高さ0.8cmに円柱状固化体を切り出
し、97°Cの蒸留水を用いて29日間行った。浸出試
験による重量減少量が少ない固化体を製作する条件とし
ては、廃棄物量が約20%wt、NaOH水溶液濃度は
10N,反応温度350°C、圧縮圧力66MPa、反
応時間は6時間であった。固化条件の固化体物性に及ぼ
す影響は次の通りであった。 (3)実験結果 浸出試験による重量減少量が少ない固化体を製作する条
件としては、廃棄物量が約20%wt、NaOH水溶液
濃度は10N,反応温度350°C、圧縮圧力66MP
a、反応時間は6時間であった。固化条件の固化体物性
に及ぼす影響は次の通りであった。 1)NaOH濃度の影響 図18のように、浸出試験による重量減少量は、NaO
H濃度の増加に伴って放物線的に増加した。固化体の圧
縮強度は、NaOH濃度が10Nまで増加するのに伴い
上昇し、12N以上では逆に減少した。この現象は母材
として珪石粉末を用いて水熱固化する他の実験一般にみ
られるが、固化体研磨面の顕微鏡観察ではNaOH濃度
が10Nまで増加すると、珪石粒子は互いに接近し不規
則形の粒子が生じて緻密化が進行していることが分か
る。10N以上では珪石粒子間で反応生成物と考えられ
る反射性をもつ物資が増加している。濃度が15N以上
では不規則形粒子が丸みを帯びて来ており、アルカリ水
溶液への溶解が進んでいることを示している。故に12
N以上での強度減少の原因は、アルカリ水溶液への溶解
進行により複雑な不規則形の粒子による緻密化が崩れて
きた為であると考える。 2)反応温度の影響 図19は反応温度の固化体の物性に及ぼす影響を示した
ものである。温度が50°Cでは硬化反応が起こらず、
100°Cでは180MPaの圧縮強度をもつ固化体が
得られた。150°Cでは固化体の強度が減少したが、
150°Cから350°Cと温度が上昇するにつれて圧
縮強度が連続的に増加した。150°Cでは固化体の強
度が減少し浸出量が増加した原因は、この温度では固化
体の粒子間の結合物質が十分な強度をもたず、水に溶解
しやすいためであり、温度が上昇するにつれて固化体の
粒子間の結合物質が十分な強度がえられるものと考え
る。密度は温度が上昇する比例して連続的に増加した。
浸出試験による重量減少量は、反応温度による圧縮強度
の変化と逆の傾向が認められ、強度の高い固化体は重量
減少量が少ないという結果が得られた。 3)圧搾圧力の影響 図20の通り、圧搾圧力が増加するに従い圧縮強度と密
度は共に連続的に増加し、浸出試験による重量減少量は
連続的に減少した。これは圧搾圧力が出発原料中の接合
を促し、固化体の緻密化を促進したものと考える。 4)反応時間の影響 図21の通り、30分以上では、圧縮強度、密度共に僅
かしか上昇しておらず、硬化反応は反応時間が約1時間
程度までで終了しているものと考える。一方、浸出試験
による重量減少量は、反応時間が6時間まで連続的に減
少した。この反応によりNa,Siを多量に含む水ガラ
ス類似の物質が、水熱条件下で難溶性で安定な結晶性珪
酸塩やアルミノ珪酸塩へと変化するものと考える。 5)廃棄物含有量の影響 固化母剤に対して廃棄物含有量が増加すると密度は連続
的に増加した。これは固化母剤に対して廃棄物含有量の
比重が高いので緻密化するものと考える。圧縮強度は廃
棄物量の20wt%で極大をもち、それ以上の廃棄物量
では減少した。しかし廃棄物量が70wt%でも圧縮強
度は180MPaであり、高強度の固化体が出来た。浸
出試験による重量減少量は廃棄物量が30wt%までは
さほど変化しないが、50wt%を超えると増加した。
類が含まれている場合は、浸出、破損による2次汚染を
防止するために、これを固化して一定の箇所に保管する
必要がある。毒ガス類の場合はセメント固化で十分であ
ると考えるが、特にここでは念を入れ、珪石を主とした
固化母剤に多種多様な金属酸化物を含んだ模擬剤を加え
て水熱固化し、固化物の浸出性、機械強度、密度等につ
いて調査した。 (2)実験方法 1)固化実験 固化母剤として、珪石(低温型石英,SiO2含有量9
9.5wt%)を200メッシュ以下に粉砕し、珪華の
混合物で珪石含有率は70.0wt%、及び若干のAl
(OH)3に、模擬剤を加え全体量20g使用した。こ
れにNaOH水溶液(0〜15N)を2.5cm3加え
練り合わせた。これらを油圧ジャッキで図3のオートク
レーブ内に押し込み、16〜66MPaの圧搾圧力を加
えた後、誘導加熱炉を使って目的温度(50〜350°
C)まで毎分30°Cでオートクレーブを昇温し、温度
圧力を一定時間(0〜6時間)保持した後、送風機によ
り室温まで冷却した。 2)固化物の強度試験 直径1.4cmの円柱状固化体をダイヤモンドカッター
で高さ1.6cmに切り出し、110°Cで乾燥した後
重量を測定し、見掛けの体積から密度を算出した。続い
て万能試験機(島津RHE−100)により、クロスヘ
ッドの送り速度を毎分0.02cmとし、円柱状試料の
底面に垂直な方向に1軸圧縮して室温での圧縮強度を測
定した。固化体表面を研磨し、光学顕微鏡(日本光学O
PTOPHOTO)或いは走査型顕微鏡(日立S−53
0)で観察した。固化体中の結晶化体の比表面積の測定
は、窒素ガスを吸着ガスに用いたBET法によった。ま
たニクロム線抵抗加熱炉により固化体を6時間加熱し、
固化体の重量減少量を測定した。次に静的浸出試験は、
水熱条件下での試験と低温でのMCC−1法(放射性廃
棄物固化体に使用される試験法)とを用いた。 3)固化物の浸出試験方法 水熱条件下での浸出試験は、チタンで内張りされた密閉
式オートクレーブに5mm角立方体にカットされた浸出
試験試料とし、試料の幾何学的表面積と浸出液量の比が
0.1cm−1になるように蒸留水15cm3を浸出液
として用いた。水熱条件下で固化体の初期の浸出速度が
非常に大きいので、浸出試験期間は24時間とした。前
述のMCC−1法を使った試験は、8.7mm角立方体
にカットされた浸出試験試料とし、テフロン容器中で温
度が40°C或いは90°Cの蒸留水40cm3を浸出
液として用い、3日,7日,14日,28日間の浸出試
験を行った。浸出液試料の幾何学的表面積と浸出液量の
比は0.1cm−1である。動的浸出試験は、硬質ガラ
ス製ソックスレー型浸出試験装置を使い、試料は直径
1.4cm、高さ0.8cmに円柱状固化体を切り出
し、97°Cの蒸留水を用いて29日間行った。浸出試
験による重量減少量が少ない固化体を製作する条件とし
ては、廃棄物量が約20%wt、NaOH水溶液濃度は
10N,反応温度350°C、圧縮圧力66MPa、反
応時間は6時間であった。固化条件の固化体物性に及ぼ
す影響は次の通りであった。 (3)実験結果 浸出試験による重量減少量が少ない固化体を製作する条
件としては、廃棄物量が約20%wt、NaOH水溶液
濃度は10N,反応温度350°C、圧縮圧力66MP
a、反応時間は6時間であった。固化条件の固化体物性
に及ぼす影響は次の通りであった。 1)NaOH濃度の影響 図18のように、浸出試験による重量減少量は、NaO
H濃度の増加に伴って放物線的に増加した。固化体の圧
縮強度は、NaOH濃度が10Nまで増加するのに伴い
上昇し、12N以上では逆に減少した。この現象は母材
として珪石粉末を用いて水熱固化する他の実験一般にみ
られるが、固化体研磨面の顕微鏡観察ではNaOH濃度
が10Nまで増加すると、珪石粒子は互いに接近し不規
則形の粒子が生じて緻密化が進行していることが分か
る。10N以上では珪石粒子間で反応生成物と考えられ
る反射性をもつ物資が増加している。濃度が15N以上
では不規則形粒子が丸みを帯びて来ており、アルカリ水
溶液への溶解が進んでいることを示している。故に12
N以上での強度減少の原因は、アルカリ水溶液への溶解
進行により複雑な不規則形の粒子による緻密化が崩れて
きた為であると考える。 2)反応温度の影響 図19は反応温度の固化体の物性に及ぼす影響を示した
ものである。温度が50°Cでは硬化反応が起こらず、
100°Cでは180MPaの圧縮強度をもつ固化体が
得られた。150°Cでは固化体の強度が減少したが、
150°Cから350°Cと温度が上昇するにつれて圧
縮強度が連続的に増加した。150°Cでは固化体の強
度が減少し浸出量が増加した原因は、この温度では固化
体の粒子間の結合物質が十分な強度をもたず、水に溶解
しやすいためであり、温度が上昇するにつれて固化体の
粒子間の結合物質が十分な強度がえられるものと考え
る。密度は温度が上昇する比例して連続的に増加した。
浸出試験による重量減少量は、反応温度による圧縮強度
の変化と逆の傾向が認められ、強度の高い固化体は重量
減少量が少ないという結果が得られた。 3)圧搾圧力の影響 図20の通り、圧搾圧力が増加するに従い圧縮強度と密
度は共に連続的に増加し、浸出試験による重量減少量は
連続的に減少した。これは圧搾圧力が出発原料中の接合
を促し、固化体の緻密化を促進したものと考える。 4)反応時間の影響 図21の通り、30分以上では、圧縮強度、密度共に僅
かしか上昇しておらず、硬化反応は反応時間が約1時間
程度までで終了しているものと考える。一方、浸出試験
による重量減少量は、反応時間が6時間まで連続的に減
少した。この反応によりNa,Siを多量に含む水ガラ
ス類似の物質が、水熱条件下で難溶性で安定な結晶性珪
酸塩やアルミノ珪酸塩へと変化するものと考える。 5)廃棄物含有量の影響 固化母剤に対して廃棄物含有量が増加すると密度は連続
的に増加した。これは固化母剤に対して廃棄物含有量の
比重が高いので緻密化するものと考える。圧縮強度は廃
棄物量の20wt%で極大をもち、それ以上の廃棄物量
では減少した。しかし廃棄物量が70wt%でも圧縮強
度は180MPaであり、高強度の固化体が出来た。浸
出試験による重量減少量は廃棄物量が30wt%までは
さほど変化しないが、50wt%を超えると増加した。
【0023】〔発明の効果〕 (1)水熱反応によって毒ガス類を含めた有機ヘテロ物
質の大量分解が可能である。 (2)難分解物質でないかぎり水熱反応工程は水ないし
アルカリ水だけで、特に触媒を使わなくとも毒ガス類の
分解が可能である。 (3)回収した炭化水素系ガス類は燃料とし、反応液は
繰り返し循環使用できる。 (4)全体が閉鎖体系内で処理できるので、2次公害の
恐れがない。 (5)水熱反応条件は、亜臨界から臨界点近傍と相対的
に低圧、低温であり、エネルギー経済面で有利である。 (6)水熱反応工程の制御はほとんど温度とpHだけで
制御が可能であり、設備面で簡略であり、現場操業が容
易である。 (7)容器,装置の腐食については、アルカリ雰囲気と
臨界点以下の温度条件で操業するので、一般的に鉄製で
対応が可能である。 (8)ガス弾体の解体はアルカリジェット水で穿孔切断
するので爆発を防止する。 (9)砒素系物質や重金属類等の毒性物質は反応系から
分離後、セメント化、或いは水熱固化反応によって固定
化し、特定箇所に保管するので、浸出等の2次公害の恐
れは無い。
質の大量分解が可能である。 (2)難分解物質でないかぎり水熱反応工程は水ないし
アルカリ水だけで、特に触媒を使わなくとも毒ガス類の
分解が可能である。 (3)回収した炭化水素系ガス類は燃料とし、反応液は
繰り返し循環使用できる。 (4)全体が閉鎖体系内で処理できるので、2次公害の
恐れがない。 (5)水熱反応条件は、亜臨界から臨界点近傍と相対的
に低圧、低温であり、エネルギー経済面で有利である。 (6)水熱反応工程の制御はほとんど温度とpHだけで
制御が可能であり、設備面で簡略であり、現場操業が容
易である。 (7)容器,装置の腐食については、アルカリ雰囲気と
臨界点以下の温度条件で操業するので、一般的に鉄製で
対応が可能である。 (8)ガス弾体の解体はアルカリジェット水で穿孔切断
するので爆発を防止する。 (9)砒素系物質や重金属類等の毒性物質は反応系から
分離後、セメント化、或いは水熱固化反応によって固定
化し、特定箇所に保管するので、浸出等の2次公害の恐
れは無い。
【図1】小型オートクレーブ装置(図1A) バッチ式で内容積17.3cm3の反応容器(高圧管型
オートクレーブ)に出発物質と活性化水素源とした水或
いは水酸化ナトリウム水溶液を直接オートクレーブに封
じ、反応容器の高圧バルブを介してガスを出入させ、攪
拌しながらインダクションヒーター(図1B)によって
急速加熱させて高温高圧反応を行う。
オートクレーブ)に出発物質と活性化水素源とした水或
いは水酸化ナトリウム水溶液を直接オートクレーブに封
じ、反応容器の高圧バルブを介してガスを出入させ、攪
拌しながらインダクションヒーター(図1B)によって
急速加熱させて高温高圧反応を行う。
【図2】連続水熱オートクレーブ装置 チューブリアクター方式で、原料タンク部、送液部、予
備加熱を兼ねた熱交換部、反応領域部、冷却部、定圧バ
ルブ部から構成され、全操作はコンピューターで制御さ
れる。同装置のシステムの仕様は、最大温度;400°
C、最大圧力;30MPa、送液量;300l/h、パ
イプ内径;5mm、外径;10mmで、全体としてSU
S316を使用したものである。
備加熱を兼ねた熱交換部、反応領域部、冷却部、定圧バ
ルブ部から構成され、全操作はコンピューターで制御さ
れる。同装置のシステムの仕様は、最大温度;400°
C、最大圧力;30MPa、送液量;300l/h、パ
イプ内径;5mm、外径;10mmで、全体としてSU
S316を使用したものである。
【図3】水熱熱間加圧成形装置(バッチ式) 対象物質と固化母剤とを磁性乳鉢で混合し、こを内径
1.4cmの成形用型枠に詰めてオートクレーブに設置
し、油圧ジャッキによりピストンでオートクレーブ内に
押し込み、圧搾圧力を保持したまま封じ、オートクレー
ブを誘導加熱炉により温度を上げて水熱固化を行う。
1.4cmの成形用型枠に詰めてオートクレーブに設置
し、油圧ジャッキによりピストンでオートクレーブ内に
押し込み、圧搾圧力を保持したまま封じ、オートクレー
ブを誘導加熱炉により温度を上げて水熱固化を行う。
【図4】クロルベンゼンの温度別反応時間別脱塩素化率
図 クロルベンゼン2ml、5M−NaOH;ml、密度;
0.28
図 クロルベンゼン2ml、5M−NaOH;ml、密度;
0.28
【図5】4−クロルビフェニールの温度別反応時間別脱
塩素化率図 4−クロルビフェニール0.2g、5M−NaOH;m
l、密度;0.5
塩素化率図 4−クロルビフェニール0.2g、5M−NaOH;m
l、密度;0.5
【図6】アルカリ濃度と4−クロルビフェニールの脱塩
素化率図 4−クロルビフェニル0.2g、密度;0.5
素化率図 4−クロルビフェニル0.2g、密度;0.5
【図7】4−クロルビフェニル分解温度と反応生成物図 4−クロルビフェニル2ml,5M−NaOH 6m
l,密度0,28
l,密度0,28
【図8】4−クロルビフェニル分解の経時変化図 4−クロルビフェニル0.2g,5M−NaOH 5m
l,反応時間3分
l,反応時間3分
【図9】4−クロルビフェニル分解過程と反応生成物
図、
図、
【図10】NaOH性溶液を使用した場合のCFC−1
1の水熱分解図 脱塩素率およびCFC−11残存率と温度、CFC−1
1,5w%、4M−NaOH,10cm3、反応時間3
0分、充填率58%
1の水熱分解図 脱塩素率およびCFC−11残存率と温度、CFC−1
1,5w%、4M−NaOH,10cm3、反応時間3
0分、充填率58%
【図11】NaOH性溶液を使用した場合のCFC−1
1の水熱分解図 各種充填率(28%,58%,87%)比較、CFC−
11;5%、4M−NaOHの等量,混合溶液10cm
3、反応時間30分
1の水熱分解図 各種充填率(28%,58%,87%)比較、CFC−
11;5%、4M−NaOHの等量,混合溶液10cm
3、反応時間30分
【図12】メタノール性NaOH性溶液を使用した場合
のCFC−11の水熱分解図CFC−11;5%、メタ
ノール,4M−NaOHの等量,混合溶液10cm3、
反応時間30分
のCFC−11の水熱分解図CFC−11;5%、メタ
ノール,4M−NaOHの等量,混合溶液10cm3、
反応時間30分
【図13】メタノール性NaOH性溶液を使用した場合
のCFC−113の水熱分解図CFC−113;5w
%、4M−NaOH10cm3、反応時間30分
のCFC−113の水熱分解図CFC−113;5w
%、4M−NaOH10cm3、反応時間30分
【図14】各種アルカリによるABSの分解率図 ABS濃度0.1ml/l、反応時間5分
【図15】各種酸によるABSの分解率図 ABS濃度0.1N(0.05〜0.1ml/l)、反
応時間5分
応時間5分
【図16】塩酸濃度変化によるABSの分解率図 ABS濃度1ml(35g/l)、塩酸1ml、反応時
間5分
間5分
【図17】チューブリアクター方式連続水熱処理装置に
よるCFC−113の脱塩素率図、CFC−113;5
w%、4M−NaOH10cm3、流量2l/分
よるCFC−113の脱塩素率図、CFC−113;5
w%、4M−NaOH10cm3、流量2l/分
【図18】NaOH濃度の固化体物性に及ぼす影響図 廃棄物21.8wt%,AL(OH)310wt%,固
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
【図19】反応温度の固化体物性に及ぼす影響図 廃棄物21.8wt%,AL(OH)310wt%,固
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
【図20】圧縮圧力の固化体物性に及ぼす影響図 廃棄物21.8wt%,AL(OH)310wt%,固
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
【図21】反応時間の固化体物性に及ぼす影響図 廃棄物21.8wt%,AL(OH)310wt%,固
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
化母剤68.2wt%、上段;圧縮強度、中段;密度、
下段;浸出減量
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】追加
【補正内容】
【図10】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】追加
【補正内容】
【図11】
Claims (4)
- 【請求項1】(1)サリン、ソマン、タリン、VXガ
ス、びらん性ガス、催涙性ガス、くしゃみガス等の毒ガ
ス弾、或いはPCB、フロン等の有機系ヘテロ化合物質
を封入した砲弾、金属製ボンベ等の収納容器をオートク
レーブ等の水熱反応装置に挿入して外気と遮断し、これ
にウオータージェット器でアルカリ水を高圧高速で噴射
し、或いは機械法、水中プラズマ法等によって、弾体あ
るいは容器を穿孔・切断し、これによってガス弾内の炸
薬の爆発力を封殺する共に、毒ガス等の内容物質を反応
装置内に放出拡散させる工程と、(2)前記請求項1−
(1)における穿孔・切断作業終了後、使用したウオー
タージェット器等の切断用機器を反応容器から摘去し、
難分解物質によっては鉄等の金属水酸化物を触媒、或い
は酸素乃至空気の吹き込みの元に、臨界条件下で水・ア
ルカリ水の水熱作用によって毒ガス或いは有毒有害性物
質を炭化水素系の有機化合物や中和塩等に転換し、無毒
無害化する工程と、(3)前記請求項1−(2)で水熱
反応に結果生じた反応生成物を減圧・冷却して物質毎に
分留する工程と、(4)前記請求項1−(3)から送ら
れた反応液を精留工程で精留分離し、残差を回収する工
程。 - 【請求項2】(1)前記の工程終了後、請求項1−
(2)で挿入した弾体あるいは金属等の容器をオートク
レーブ等の反応装置から撤去して洗浄し回収する工程
と、(2)前記請求項1の全工程で分離回収したガス性
の反応生成物の内、無害な炭化水素系ガスは請求項1の
水熱反応工程の燃料として再利用する工程と、(3)請
求項1で回収した反応液、及び請求項2で使用した洗浄
液は、キレート樹脂法乃至イオン交換器によって中和塩
やイオンを除去し、所定の検査を行って無毒無害な液は
前記請求項1に送って循環再使用し、重金属類或いは砒
素系化合物等を含んだ有毒有害液は容器に保管する工程
と、(4)前記請求項1で発生した残差を回収して容器
に保管する工程。 - 【請求項3】(1)前記請求項1−(2)の水熱反応工
程において砒素系物質が含まれている場合は、アルカリ
液中に水酸化カルシウムを投入してカルシウム(亜)砒
酸塩の共沈化を促進し、或いは三塩化鉄(第二塩化鉄)
水溶液を加えて(亜)砒鉄系沈澱物形成を促進させる等
の方法により、残差として回収を容易にする工程と、
(2)請求項1,2,3で保管した溶液及び残差に砒素
系物質或いは重金属類等が含まれている場合、これをセ
メントで固化するか、或いは珪石等の固化母剤に混入し
臨界条件下で水熱固化反応させてガラス化或いはセラミ
ックス化して内部に封じ込めてその浸出を防止する工程
と、(3)前記請求項3−(2)でセメントないしガラ
ス等に固化し有毒有害な固化体は、鉄製容器に密封し、
状況によって更にガラスコーテングを加えて、砂漠、鉱
山跡等の地下深くに埋設保管する工程。 - 【請求項4】(1)前記請求項1−(2)において、有
機化合物を抽出してチューブリアクター方式の連続式水
熱処理装置に導入し、連続運転しながら温度を増加させ
たり、ポンプによる圧送で同一温度で圧力を自由に変え
ることによって反応速度を高め、加熱細管を高速通過さ
せる連続水熱システムを取り入れた工程と、(2)前記
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の部分ないし
全ての工程を処理する装置一式を車両に搭載し、毒性物
質の発生場所乃至保管場所の許容された近辺において処
理するか、或いは人口希薄な場所に移動運搬して処理す
るための、毒性物質の放出拡散事故に対処する工程。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7313421A JPH09117735A (ja) | 1995-10-26 | 1995-10-26 | 水熱作用による毒ガス等の有機系ヘテロ化合物質 の分解処理法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7313421A JPH09117735A (ja) | 1995-10-26 | 1995-10-26 | 水熱作用による毒ガス等の有機系ヘテロ化合物質 の分解処理法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09117735A true JPH09117735A (ja) | 1997-05-06 |
Family
ID=18041099
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7313421A Pending JPH09117735A (ja) | 1995-10-26 | 1995-10-26 | 水熱作用による毒ガス等の有機系ヘテロ化合物質 の分解処理法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09117735A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1076282A (ja) * | 1996-09-04 | 1998-03-24 | Japan Organo Co Ltd | 有機塩素化合物の超臨界水酸化処理法及び装置 |
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JP2001114821A (ja) * | 1999-08-06 | 2001-04-24 | Kuraray Co Ltd | 水酸基を有するポリマーの製造方法及び該製造方法で得られたポリマー |
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JP2019013902A (ja) * | 2017-07-10 | 2019-01-31 | 株式会社神鋼環境ソリューション | Pcb処理方法 |
JP2021070006A (ja) * | 2019-11-01 | 2021-05-06 | サステイナブルエネルギー開発株式会社 | 有機性廃棄物処理システム |
JP6893673B1 (ja) * | 2020-12-02 | 2021-06-23 | サステイナブルエネルギー開発株式会社 | 廃棄物処理システム、廃棄物処理方法およびペレット |
-
1995
- 1995-10-26 JP JP7313421A patent/JPH09117735A/ja active Pending
Cited By (14)
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