JP3464897B2 - 超臨界水酸化方法及び装置 - Google Patents
超臨界水酸化方法及び装置Info
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Description
及び装置に関し、例えば難分解性の廃棄物・廃液や有害
物質を含む廃棄物・廃液等の超臨界水酸化反応で生成し
た流体中に酸を含むことになる物質を分解対象とする場
合に好適に用いられる超臨界水酸化方法及び装置、特に
は、分解物中に放射性物質や有害金属が残留する場合に
有益な超臨界水酸化方法及びこれに用いる超臨界水酸化
装置に関するものである。
物質を含む廃棄物・廃液など、環境に排出されると問題
を招く物質を完全に分解して安全な物質として廃棄する
技術が求められ、これらの廃棄物・廃液等を完全分解処
理するのに適した超臨界水酸化法が提案されている(例
えば特公平1−38532号公報)。
は、部分的な低温部分の発生による分解の不十分性によ
って例えば塩素化合物の分解ではダイオキシン等の毒性
の強い物質を生成する虞れがあり、また燃焼ガスを大気
に放出するために有害物質が拡散してしまうという問題
があるのに対し、上記超臨界水酸化法は、水の臨界条
件、すなわち臨界温度374℃及び臨界圧力22MPa
を越えた条件下の水(超臨界水)はその極性が温度と圧
力で制御可能となってパラフィン形炭化水素やベンゼン
等の非極性物質も溶解することができ、酸素等のガスと
も任意の割合で単一相で混在するという有機物酸化分解
用の反応溶媒として極めて優れた特性を示すこと、分解
対象物の炭素含有率が数%あれば酸化熱だけで臨界温度
以上に昇温可能であるため、熱エネルギー的に非常に優
れていること、特に、ほとんどの難分解性有機物や有害
有機廃棄物を超臨界水中で加水分解反応や熱分解反応を
適切にコントロールすることにより完全分解できるこ
と、また、処理を閉鎖系の装置内で行えること、などの
点で有害有機物の分解処理に極めて適しているからであ
る。
上記特公平1−38532号公報により原理と基本フロ
ーが開示されており、これによれば、分解対象物をフィ
ードポンプで昇圧した後エジェクターで超臨界水と混合
し、加熱した後、反応器に導入する。反応器では空気圧
縮機からの高圧空気が酸化剤として導入されて酸化分解
が行なわれる。処理後の超臨界水は、一部をエジェクタ
ーに再循環し、残りの部分は例えばエネルギー回収に利
用することができる。また、特表平3−500264号
公報には、超臨界水酸化に用いられる反応器が、例えば
無機塩や無機塩生成物質を含まない廃液を分解対象とし
た場合に適する反応器型式として管式(パイプ式)反応
器が開示され、また、無機塩を含むかあるいは中和剤の
添加を媒介して反応後に無機塩を生成する有機性廃液を
分解対象とした場合に適した反応器型式として、いわゆ
るベッセル式と称される縦筒型の反応器が開示されてい
る。
有機物や有害有機物、イオン交換樹脂等を処理しようと
する場合、この分解対象物に塩素や硫黄、あるいは窒
素,リンが含まれていると、酸(塩酸、硫酸、硝酸及び
リン酸)が副生して反応容器等が酸腐食するという問題
があるので、反応器材等を保護するために、副生した酸
をアルカリで中和することが上述のように提案されてい
るが、この中和操作で生成するNaCl等の中和塩(無
機塩)は超臨界水にはほとんど溶解せず、しかも管壁面
等に対して付着性が高いため、反応器や排出系の管路の
閉塞を引き起こし易いという問題があって更にその解決
が求められている。例えば上記特表平3−500264
号では、ベッセル型式の反応器の底部に亜臨界水を供給
・排出する手段を設けて、上記酸をアルカリで中和して
比重の重い塩を亜臨界水に落下させることで比重の軽い
反応生成流体(超臨界水,揮発性ガス等)から分離して
反応器から別の排出系で排出する方法を提案している。
めに管式反応器への適用が難しく、またベッセル式反応
器でも、反応器内壁に付着した無機塩を掻き落とすスク
レーパ等の装置を超高圧の装置内に設けて作動させなけ
ればならないことや、減圧,冷却の系統を二系列設けね
ばならないという問題を招く難がある。
水酸化反応によって有機物を分解処理する際に酸が副生
する場合には、副生する酸の中和が必要になることや、
中和で生成した無機塩が反応器や管壁に付着し易く閉塞
の原因になるという問題があるため、この超臨界水酸化
反応で有害有機物等を分解処理する方法、装置を工業的
に実現する上でこれらの問題の解決が大きな課題となっ
ている。
界水酸化反応時の酸副生とこれに伴って発生する問題に
ついての対策につき鋭意研究を進め、従来は知られてい
ない新たな知見を見いだして本発明をなすに至った。
る酸の影響を調べるために、酸を副生する対象物質につ
いて、アルカリで中和せずに様々な条件下での試験を繰
り返したところ、酸腐食は、反応器内においてではな
く、分解生成した流体の排出系管路において起こり、し
かもこの現象が起こる場所と条件の関係を明らかにする
試験を繰り返しながら現象を観察、分析した結果、装置
における酸腐食の問題は、超臨界水酸化反応で生成され
た流体の温度が所定の温度まで冷却された段階で初めて
発生する事実を見い出したのである。この酸腐食の現象
が上記条件において発生する理由は次のように推定され
る。すなわち、超臨界水酸化により分解した生成流体中
の酸基(例えばハロゲン等)は、超臨界水条件下では装
置を腐食していないという事実から、この条件下では酸
基は遊離していて酸として反応器等の壁面を腐食する作
用がないかあるいは極めて弱いと考えられる。これに対
し、分解生成流体が冷却され超臨界水から液体(水)に
相転移する過程で、水の臨界温度(374℃)近傍の温
度状態にあると考えられる位置で排出管路にピンホール
が発生したという事実から、上記遊離酸基が、超臨界水
から部分的に転移した水に急激に溶解する結果として局
所的に酸濃度が上昇し、高濃度の酸の作用で反応器等を
腐食すると考えられる。
た事実とその現象についての推論に基づき、反応器等の
酸腐食の問題を解消しながら、同時に閉塞原因となる中
和塩の反応器内等の壁面への付着を防止することができ
る対策を更に考えて試験を繰り返した。すなわち、第1
に、酸腐食を防止するためには、酸腐食が発生する段階
以前に中和反応が行われればよいが、反応器内では酸
(酸基)による腐食の条件がないのであれば必ずしも該
反応器内での中和反応は必要ないこと、第2に、中和で
生成した無機塩は超臨界水には一般にほとんど溶解せず
しかも強い付着性をもっているため、塩が溶解しない条
件下で塩を中和生成させることは閉塞原因を招くことに
なるので適当でないこと、したがって第3には、酸基に
よる酸腐食の問題がない条件下(水の超臨界条件下)の
流体中で中和反応を行わせ、かつ最適には瞬時にこの中
和反応で生成した中和塩が高い溶解率で大量の水(ない
し超臨界水)に溶解できることが、酸腐食の防止と管路
等の閉塞防止を併せ実現する上で望ましいこと、という
観点から確認試験を繰り返して本発明をなすに至ったの
である。なお、酸基が酸腐食の作用を生じない条件と、
中和により生成した塩の流体への溶解度を高く得るため
の条件は、後述する塩化ナトリウムの場合に顕著である
ように同じでないという興味ある知見も得た。
論的には温度,圧力の少なくともいずれか一方を水の超
臨界条件以下とすればよいが、実際には、中和剤の添加
による中和反応と同時(最適には瞬時)に圧力調整(減
圧)を行うことは困難であるから、本発明においては、
超臨界水酸化反応で生成された酸基を含む超臨界条件下
の流体を、水の臨界温度以下に急冷する操作が好ましく
採用される。すなわち、本発明の基本的な目的は、水の
臨界点以上の温度,圧力とされた超臨界水条件下の反応
器に分解対象物を連続的に供給して超臨界水の存在下で
酸化分解反応を行わせると共に、分解生成流体を該反応
器から排出管路を通して連続的に排出し、かつ排出管路
において分解生成流体に含まれる酸基と中和反応する中
和剤溶液を添加することで中和塩を生成させると共に、
添加した時点又は直後の分解生成流体の温度を、この中
和塩を十分に溶解することができる温度とすることで達
成される。
中和生成塩の壁面への付着という工業化への大きな問題
を解決することができる上記の発明は極めて有益なもの
であるが、工業的規模でこれを有利かつ有効に実施する
ためには、検討すべきいくつかの問題が更に指摘され
る。
を、中和塩の溶解度が高い例えば350℃程度の温度ま
で急冷する場合には、大量の中和剤溶液が必要となり、
中和剤溶液添加工程以降の流体量が急激に増大し、特に
固液分離,気液分離の装置が大型化する。また中和剤
は、工業的設備では一般に中和に必要な量よりも過剰に
添加されるが、これが一過性で流れるため無駄が多くな
り、ランニングコストの上昇を招く。更に、上記超臨界
水酸化の反応処理は、分解する対象処理物が放射性物質
や有害金属等を含む廃棄物・廃液である場合に、処理物
の容積が大幅に減容化されるために極めて有用性が高い
が、この分解対象物質が同時に酸基を生成する物質を含
む場合には上述のように中和剤溶液を多量に添加すると
処理量が増大し、処理液中から放射性物質や有害金属等
を固液分離し濃縮するための装置が大型化する。
研究を進め上記基本的発明を更に改善した本発明をなす
に至ったものであり、その目的の一つは、超臨界水酸化
によって副生した酸の中和を確実に行うことで装置を酸
腐食から保護できると共に、生成した中和塩の壁面への
付着を防止できて閉塞等の不具合を招くことがなく、安
全性、耐久性に優れ、かつ長期に渡って安定して動作さ
せることができる超臨界水酸化方法及びこれに用いる装
置を提供するところにある。
塩の反応器や排出系管路壁面への付着を防止できるよう
にすることで、酸を生成する有機物、特に難分解性有機
物や有害有機物を低コストに効率よく分解できる超臨界
水酸化法及びこれに用いる装置を提供するところにあ
る。
応で生成された流体中に放射性物質や有害金属等の固体
無機物が含まれている場合に、生成流体の量が中和剤溶
液の添加で増加することがないようにして、放射性物質
や有害金属等の固液分離、濃縮の操作に用いる装置の大
型化を避けることができる超臨界水酸化法及びこれに用
いる装置を提供するところにある。
における各請求項に記載した発明により達成される。
は、超臨界水条件下にある反応器内で、超臨界水の存在
下に分解対象有機物を連続的に酸化分解反応させ、生成
した流体を排出管路を通して連続的に反応器外に排出す
る工程と、反応器には中和剤溶液を添加せず、反応器か
ら排出管路に排出された超臨界水条件下の流体に対して
中和剤溶液を添加することで該流体に含まれる酸基を中
和して塩を生成させると共に、この中和剤溶液の添加に
よって生成した中和塩が殆ど溶解しない超臨界水条件下
から排出管路の壁面に付着せず十分に溶解する温度まで
降温させる工程と、上記排出管路で冷却した水の一部を
取出し中和剤を添加して上記中和剤溶液を調製する工程
とを備えたことを特徴とする。
岐前に冷却してもよいし、分岐後に冷却してもよい。
対象物が十分に超臨界水酸化されることと、その超臨界
水酸化の結果生成された生成流体に対して、排出管路途
中の流体が超臨界水条件下にある所定位置で中和剤溶液
が添加されることが重要である。
酸等を生ずる塩素等のハロゲンをいう他、その原子単独
でいわゆる酸基を構成するものではないが、硫酸,硝
酸,リン酸等の酸を生ずることになる硫黄,窒素,リン
等も含む。このような物質を含む代表的な分解対象有機
物には、残留性有機汚染物質(POPs:Persistent O
rganic Pollutants )あるいは残留性有害生物蓄積物質
(PTBs:PersistentToxic Bio-accumlatives )、
イオン交換樹脂などがあり、代表的な物質としては環境
基準において有害物質指定されているPCBs、トリク
ロロエチレン、テトラクロロエチレン、廃農薬等の有機
塩素化合物、カチオン交換樹脂などが挙げられこれらは
一般に難分解性物質である。またこれらの他に、有機臭
素化合物等のハロゲン化合物や、硫黄化合物、窒素化合
物、リン化合物、イオン交換樹脂等も挙げられる。な
お、これらの廃棄物等には有害金属(例えば水銀、鉛な
ど)が含まれる場合があり、また原子力発電所の復水系
循環システムにおける復水脱塩装置等で使用されたイオ
ン交換樹脂のクラッド等に放射性物質が含まれる場合が
ある。
「超臨界水条件下」にあることを必須とするのは、酸基
による酸腐食の作用が実質的にない状態を確保するため
であり、圧力が水の臨界圧以上にある本発明の対象で
は、理論的には超臨界水が液体(水)に相転移する臨界
温度(374℃)を越えた温度域にあればよいが、実施
装置における温度変動などを考慮すれば、一般的には4
00℃以上、好ましくは450℃以上の水の超臨界温度
とするのが好ましい。「生成中和塩を十分に溶解できる
温度」というのは、生成する塩の種類により同じでない
ので一律に温度限界として決められないが、例えば生成
塩が塩化ナトリウムである場合には、500℃,25M
Paの超臨界水に対する溶解度は約100ppmである
のに対し、450℃程度を下回る超臨界水に対しては数
%のオーダーで溶解する。したがって塩として塩化ナト
リウムを生成する中和剤を使用する場合には、450℃
以上の生成流体に対して中和剤溶液を添加した時の温度
状態が一般的には374〜450℃、あるいは臨界温度
以下となるようにするのが適当である場合が多い。「十
分に溶解」とは塩が壁面等に付着して閉塞の問題を招か
ないようにできることをいう。他の種類の塩が生成され
る場合には、上記と同様にその塩が十分に溶解する温度
が上記温度状態(範囲)の上限とされる。このような他
の種類の塩が十分溶解する温度範囲は必要に応じて試験
を行うことで求めることができる。なお本発明において
用いることができる中和剤としては水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ水酸化物を代表的に挙げる
ことができるが、これに限定されるものではなく有機ナ
トリウム化合物等の有機アルカリ化合物を用いることも
できる。
は、例えば分解対象物である有機物と超臨界水及び酸化
剤を臨界圧(22MPa)以上の加圧下で反応器に供給
することにより形成される。超臨界水酸化の条件は、反
応器の外部から熱を与えて、この熱あるいは反応器内に
供給される有機物が酸化されるときに発生する熱を利用
して、共存する水を超臨界水にさせることもできる。ま
た分解対象有機物等は必要に応じ予熱して供給すること
もできる。酸化剤としては空気、酸素ガスの他、過酸化
水素水等の液相酸化剤を用いることもできる。なお、酸
化剤は分解対象物と一緒に反応器に供給する場合の他、
一部を反応器の途中から供給することもできる。
定されるものではなく、例えば所定径の管を直線状、あ
るいは曲線状,旋回状等の形式で延長した管式反応器
(パイプ式反応器)や、縦筒型の容器の上部(天井部)
から分解対象物等を供給するいわゆるベッセル式反応器
を用いた装置にも適用することができる。ベッセル式反
応器に本発明を適用する場合には、従来のベッセル式反
応器において提案されている亜臨界水(塩移送水)の供
給・排出の構成を設けず、また該反応器には中和剤を添
加せずに、高温の反応温度(例えば500℃以上)の状
態を維持し、この反応器から分解生成流体を排出する排
出管路の途中で中和剤溶液を添加する装置を設ける構成
を採用することができる。
ために設定した超臨界圧の状態に加圧した中和剤溶液
を、反応器や管路に接続した注入パイプを介して注入す
ることで行うことができる。
いて、中和剤溶液を、排出管路の終端側で冷却された水
の一部を取出し中和剤を添加して調製する工程を有する
ところにある。この水は、冷却されたものであれば、減
圧したものであっても、減圧していないものであっても
よく、減圧しない場合にはこれに中和剤を注入する比較
的小さな高圧ポンプを用いるだけでよいという利点があ
り、減圧する場合には、常温で気体となる物質を分離し
た後の水を中和剤溶液として用いることができるので好
ましい。中和剤溶液の温度は5〜80℃、好ましくは5
〜40℃のものとされ、圧力は、気液分離する場合には
0〜10MPa、好ましくは0〜1MPa程度とされる
のが適当である場合が多いが、温度,圧力はこれらに限
定されるものではない。
件下で対象物を完全分解する臨界圧力,臨界温度(22
MPa,374℃)を越えた条件で実施されるものであ
れば限定されることなく適用されるが、本発明方法が特
に好ましく適用される難分解性物質を超臨界水酸化して
分解処理する場合の条件としては、一般に、温度が40
0℃以上、好ましくは500℃以上、より好ましくは6
00〜650℃前後で、反応圧力が22〜50MPa、
好ましくは22〜25MPa前後とするのが適当である
場合が多い。反応時間は一般的には1〜10分、好まし
くは1〜2分程度とされるが、この範囲に限定されるも
のではない。
より生成した塩は、所定温度以下とされた超臨界水ある
いは水に十分に溶解するので、反応器や排出管路の壁面
への付着や閉塞の虞れが大幅に低減するか実質的に解消
することができ、特に、従来は塩の生成を伴う超臨界水
酸化法の実施が困難とされていた管状反応器を使用した
処理を実現できる。
いて中和剤溶液を調製するので、装置から排出される水
の量を増加させることがなく、固液分離、気液分離の各
装置の大型化を招くことがない。また特に、有害金属や
放射性物質を含む場合に、固液分離、濃縮のための装置
が大型化しない点で優れている。
体を降温させる工程が、中和剤溶液の添加により中和塩
が十分に溶解する温度まで上記流体を瞬時に降温させる
ものであることを特徴とする。
「瞬時」というのは、水の臨界温度を越えた状態にある
流体を、中和剤溶液を添加した時点又は直後において、
生成塩が壁面等に実質的に付着しない速さで該流体(水
あるいは生成塩が塩化ナトリウムの場合は450℃以下
の超臨界水)中に溶解できる温度状態にすることをい
い、必ずしも数秒以下というような時間の単位を意味す
るものではない。このような温度状態にする速さは、添
加前の流体温度,流量、及び添加する中和剤溶液の温
度,流量の比で決めることができ、これらの温度比,流
量比は必要に応じて種々選択して採用できる。
り流体が急激に冷却されて、該中和剤の添加で生成され
た中和塩が流体に速やかに溶解されるので、壁面への塩
付着が防止される。したがって、従来は酸を副生する反
応では使用が困難とされていたパイプ式反応器を用いて
も超臨界水酸化処理を有効に行うことができる。
液を添加する前の超臨界水酸化で生成した流体の温度が
450℃以上であることを特徴とする。
生成された流体に対して特に冷却を行うことなく中和剤
溶液を添加することができるので、装置・設備の構成を
簡単化できる。
て、超臨界水酸化で生成した流体に対して添加する中和
剤溶液の温度が80℃以下、好ましくは5〜40℃であ
ることを特徴とする。
度の低い中和剤溶液を添加することができるので、循環
して中和剤を注入することで調製される水の量を少なく
することができる。なお、排出管路の終端側から中和剤
溶液調製のために循環する水の量は、該排出管路から系
外に排出される水の量に対して、一般的には1/2〜5
倍程度とするのが好ましい。
て、中和剤溶液の添加で生成する中和塩が塩化ナトリウ
ムであることを特徴とする。
50℃の温度を境界として超臨界水に対する塩化ナトリ
ウムの溶解度が急変するので、この性質を利用して中和
剤溶液の添加位置や添加量等を選択することができる。
応で生成された流体の中和剤溶液添加前の温度と、中和
剤溶液添加後の温度との関係のいくつかの例は次のよう
に列挙されるが、これらに限定されるものではない。
であり、添加前の流体温度が450℃以上で、添加後の
流体温度が374〜450℃(流体は超臨界水)、ある
いは添加後の流体温度が374℃以下(流体は水)。
り、添加前の流体温度が374〜450℃(流体は超臨
界水)で、添加後の流体温度が374℃以下(流体は
水)。
以外の無機塩(例えば硫酸ナトリウム,塩化カリウム,
硫酸カリウム等)で添加前の流体温度が450℃以上
(流体は超臨界水)で、添加後の流体温度が374℃以
下(流体は水)。
り、添加前の流体温度が374〜450℃(流体は超臨
界水)で、添加後の流体温度が374℃以下(流体は
水)。
は、耐圧性容器からなる超臨界水酸化反応用の反応器
と、この反応器に分解対象物,酸化剤,超臨界水を供給
する供給手段と、超臨界水酸化反応で生成された流体を
反応器外に排出する排出管路と、この排出管路内を流通
する超臨界水条件下にある上記生成流体に、含まれる酸
基を中和するための中和剤溶液を添加する該排出管路の
途中に設けられた中和剤溶液添加手段と、上記排出管路
で降温、冷却された水の一部を上記中和剤溶液添加手段
に循環させる循環手段と、循環された水に中和剤を加え
て上記中和剤溶液を調製する中和剤溶液調整手段と、を
備えたことを特徴とし、請求項7の発明は、反応器に超
臨界水を供給するのではなく、水を供給して反応器内の
高温で超臨界水とするようにしたことを特徴とする。
発明において、反応器が、縦筒型のベッセル式反応器で
あり、反応器天井部に分解対象物,酸化剤、及び超臨界
水又は水を供給する供給手段が接続され、反応器上部に
生成流体の排出管路が接続されていることを特徴とす
る。また請求項9の発明は、反応器が、パイプ式の反応
器であり、反応器に分解対象物,酸化剤、及び超臨界水
又は水を供給する供給手段が接続され、超臨界水酸化反
応を行う反応器の反応領域の終端部が排出管路に連続さ
れていることを特徴とする。
発明を実施するための装置を簡易に構成することがで
き、特にパイプ式反応器を用いた装置の発明によれば、
酸を副生する物質を含有する廃棄物等を、管の閉塞を招
くことなく分解処理することができる点で極めて優れて
いる。
的に示したものであり、1は管式の反応器形成用のパイ
プであり、始端部側部分が反応器101を形成し、これ
に続く終端部側部分が排出管路102を形成している。
そして超臨界水供給管4で送られる所定圧(例えば22
〜25MPa)の超臨界水に同じ圧に加圧した酸化剤と
しての空気を空気供給管6から合流させて混合した後、
廃液供給管5から送られてきた分解対象有機物である例
えば廃液に混合し、吹込みノズル8を通して、パイプ1
の始端部から反応器101に連続的に吹き込むように設
けられている。これによって、始端部から吹き込まれた
(廃液+超臨界水+空気)の供給流体は22〜25MP
aの圧力下で混合した流体となり、有機物が酸化される
ことによる発熱量によって例えば600〜650℃で超
臨界水酸化の反応を持続する。なお、廃液供給管5に
は、供給する廃液を予め所定温度(例えば400℃)ま
で加熱する予熱器を設けることができる。また上記の各
供給管4,5,6で供給する各物質は図示しない加圧手
段で上記の圧力に加圧される。
反応で生成した分解生成流体(以下「処理流体」とい
う)を、上記パイプ1の終端側の排出管路102の途中
で冷却するように設けられた冷却装置(熱回収手段)を
示し、この冷却装置2の直前には、中和剤溶液供給管7
から、常温(室温)で上記圧力に加圧した所定濃度の中
和剤(水酸化ナトリウム)溶液が注入添加できるように
設けられている。なお、反応器101から冷却装置2に
至る範囲、及びこの管状反応器形成用パイプ1の終端に
接続された処理流体の排出管10は、一般的には同径の
管路(パイプ)で構成されるがこれに限定されるもので
はない。
和剤貯水タンク9から常温,常圧の中和剤溶液が高圧圧
入ポンプ(図示せず)により注入されるように接続さ
れ、上記冷却装置2の後段位置で分岐された循環管路1
3から、途中に介設したポンプ14により、冷却した処
理流体の一部を中和剤溶液供給管7に戻し循環させるこ
とで、低温で多量の中和剤溶液を該中和剤溶液供給管7
内で調製できるように設けられている。なおこの中和剤
溶液供給管7内には混合手段を内装することも好まし
い。そしてこの中和剤溶液供給管7は、上記反応器形成
用パイプ1の周壁に該中和剤溶液を圧入できるように接
続されている。なお、図示していないが、この中和剤溶
液供給管7には開閉弁、流量制御弁を設けることができ
る他、中和剤溶液を調製するための水を系外から必要に
応じて補給・供給するための水供給配管を接続すること
もできる。
剤である水酸化ナトリウム溶液が処理流体に添加注入さ
れることにより、上記処理流体を450℃以下(好まし
くは350℃以下に)に冷却させ、更に本例のように冷
却装置2を設けた場合には、流体の温度を更に冷却させ
ることができる。
される減圧装置であり、管状反応器形成用パイプ1に接
続された処理流体の排出管10を介して送られた処理流
体を大気圧まで減圧した後、処理流体排出管11を通し
て図示しない気液分離装置に送り、それ以降、所定の処
理を行って系外に排出する。
応に伴って酸を副生する分解対象有機物(例えば難分解
性物質)の処理を実施した場合には、中和剤溶液添加の
前の段階(流体温度が例えば450℃以上)までは、該
反応で生ずる酸基は反応器101を酸として攻撃する作
用が実質的に殆どないから、装置の稼働初期や終期ある
いは突発的な一時的変動に耐えられる耐酸腐食性の材料
で反応器を構成すれば、装置の耐酸腐食性は十分確保さ
れる。
に中和剤溶液の添加によって酸基が中和されているた
め、酸による腐食の虞れはない。そして、中和剤溶液の
添加直後においての処理流体の温度が、本例において中
和剤溶液として用いる水酸化ナトリウムで生成する塩化
ナトリウムは、超臨界水又は水に十分に溶解する450
℃以下、望ましくは350℃以下の温度となるように装
置を構成することで、中和反応で生成した塩で反応器1
01,排出管路102、あるいはそれ以降の管路等が閉
塞する問題を招くことがない。
ものであり、31はいわゆるベッセル型式の反応器であ
り、縦円筒型の耐圧容器として高温耐酸性の材料により
形成されている。そしてこの反応器31の天井部の中央
には二重管ノズル32が組付けられていて、廃液供給管
33から、水の臨界圧(22MPa)以上に加圧された
有機性廃液等の分解対象物が該二重管ノズル32の内管
を通して反応器31内に吹き込まれると共に、超臨界水
供給管34から超臨界水及び酸化剤としての空気の混合
流体が、二重管ノズル32の外管を通して反応器31内
に吹き込まれるようになっている。これによって、二重
管ノズル32から吹き込れた(廃液+超臨界水+空気)
が22〜25MPaの超臨界圧力下で混合した流体とな
り、廃液中の有機物の酸化によって例えば600〜65
0℃で超臨界水酸化反応を持続的に継続する。なお、有
機性廃液中に必要量の水を含み、かつ廃液中の有機物の
酸化熱によって超臨界水雰囲気が維持できる場合は、反
応の当初のみ超臨界水を供給し、以後は超臨界水の供給
をしなくともよい。また廃液供給管33には、供給する
流体(廃液)を予め所定温度(例えば400℃程度)ま
で加熱する予熱器(図示せず)を設けてもよい。なお、
各供給管33,34から供給する流体は適宜必要な装置
(図示せず)を用いて加圧される。
れた処理流体を反応器31から排出する排出管路であ
り、耐酸性材料から構成され、例えば反応器31の天井
部から内部に開口するように接続され、反応器31内で
超臨界水酸化反応により完全に分解された処理流体は、
この排出管路35を通して反応器31外に排出されると
共に、冷却器39により冷却され、その一部は循環管路
37から途中に介設したポンプ38により中和剤溶液添
加系に循環される。
出管路35内を流通する処理流体に対して中和剤溶液を
添加するための中和剤溶液供給管36が接続されてお
り、この中和剤溶液供給管36は、上記循環管路37か
ら一部分岐して取出された水が循環して戻され、この水
に、例えば水酸化ナトリウム等の中和剤タンク及び加圧
手段(いずれも図示せず)から中和剤が注入されること
で、中和剤溶液が調製される。これにより、該処理流体
に中和剤溶液が添加され、処理流体に含まれている酸基
の中和が行われて酸腐食が防止されると共に、添加され
た処理流体を速やかに降温させて、中和生成された塩が
該排出管路35の内壁面に付着することが防止される。
流体の温度は、水の臨界温度以上であればよいが、装置
の温度変動等を考慮して、該臨界温度よりもある程度高
い温度例えば400℃以上とするのがよい。なお中和剤
溶液の添加により生ずる無機塩が塩化ナトリウムである
場合には、中和剤溶液添加直後に処理流体の温度が塩化
ナトリウムの溶解度が高くなる温度範囲である450℃
以下となるようにすることが必須である。この場合、反
応温度〜450℃とすることもできる。このような処理
流体の温度の低下(冷却)の程度は、中和剤溶液の温
度,添加量と被添加流体の温度,流量の比を所定の関係
に設定することで与えることができる。
を、例えば100m以上に渡る管式(パイプ式)反応器
で実施する場合に適した装置構成の具体例を模式図で示
したものであり、管式反応器200は、旋回状に延設さ
れている旋回状部分201と、該旋回状部分201と接
続された直線状部分210とによって構成される。そし
て、上記直線状部分210から分岐させた循環管路20
8から、途中に介設したポンプ209により、処理流体
の一部を戻り循環させて、図1で説明したように中和剤
調製用の水として利用している。
の構成概要を模式図的に示しているものであり、分解対
象物等の供給流体の供給系、及び排出系のための構造は
従来の装置と同様に設けられる。
の空気を混合して供給するための第1の供給管204、
あるいは分解対象物(例えば難燃性有機物)を供給する
ための第2の供給管205は、例えば従来から知られて
いる技術をそのまま用いて構成することができるし、排
出系の直線状部分210も従来から知られている技術を
そのまま用いて構成することができる。中和剤溶液添加
手段である中和剤溶液供給管207は、本例では旋回状
部分201に設けられる。
位置の後段に冷却装置211が設けられ、処理流体を所
定温度まで冷却させるようにしている。
31,200の始端部に超臨界水供給管4,34,20
4から超臨界水を供給しているが、超臨界水を供給しな
い装置を採用できることは上述した通りであり、要する
に、反応器内において超臨界水酸化条件が満足されるよ
うにすればよい。
例、比較例について、以下説明する。
えた超臨界水酸化処理を行う装置を使用して、超臨界水
酸化に伴って塩を生ずる物質を含む下記表1の成分から
なる物質を分解対象物の試料とし、管状反応器200の
排出系管路202の所定位置(反応器始端部から90m
の位置)から、中和剤溶液の添加を行なって超臨界水酸
化の処理を行なった。
図3で説明した旋回形成された管式反応器200に連続
する直線状部分210から排出された流体を冷却後、気
液分離し、分離後の処理液の1/3を循環配管208に
より循環して戻し、これに水酸化ナトリウム溶液を注入
して中和剤溶液を調製して、上記排出系管路202に添
加させた。
アクター)の構造,内径5mm×130m 中和剤溶液 :水酸化ナトリウム水溶液、濃度530
ppm(トリクロロエチレンが完全分解したときに生ず
るCl- イオンの約1.2倍モル量)、中和剤溶液添加
位置(図4のT−4〜T−5の間)の処理流体温度は約
520℃、添加時の中和剤溶液の温度20℃、添加流量
8ml/min。
100%分解するのに必要な理論量の1.8倍)。なお、上記の「(SCW)」とは、「超臨界水(Sup
er Critical Water)」の略である。
ったが、反応器内圧力の上昇は起こらず、連続した試験
を行なうことができた。またその時の管状反応器の温度
分布を調べて図4に示した。なお温度分布の測定は、反
応器の外側に熱電対を設置することにより行ない、温度
測定の位置T−1〜T−7は下記表2に示した。
添加により、500℃以上の処理流体の温度が約300
℃にまで速やかに降温されたことが分かる。
(処理流体)中に含まれる成分を、ガスクロマトグラフ
ィーGC−311(HNU Systems社製,光イ
オン検出器)により測定し、Cl- ,Na+ イオンはイ
オンクロマトグラフィーDX−AQ(日本ダイオネクス
社製)を用いて測定したところ下記表3の通りであっ
た。
(分解対象物)のトリクロロエチレンは実質的に完全分
解された。
されるpHは2.4であるのに対し、処理流体のpHは
6.1であり、超臨界水酸化で生成した塩酸が水酸化ナ
トリウムで中和されていることが確認された。pH6.
1は二酸化炭素による。
次式によりNa+ イオンの回収率を求めた。
01%であり、これは反応器および排出系管路内で塩の
析出が起こらず、中和反応に寄与しなかったNa+ イオ
ンは処理流体(分解生成流体)と共に流れたことを示し
ている。
た(反応器始端部から65mの位置:図5のT−3〜T
−4の間)以外は全く同様にして、表1の成分の試料の
超臨界水酸化の処理を行った。
行なったが、反応器内圧力の上昇は起こらず、連続した
試験を行なうことができた。またその時の管状反応器の
温度分布を調べて図5に示した。
和剤溶液の添加により約350℃に降温されたことが分
かる。
状反応器200を備えた超臨界水酸化処理を行う装置を
使用して、超臨界水酸化に伴って塩を生ずる物質を含む
下記表4の成分からなる物質を分解対象物の試料とし
て、中和剤溶液の添加を行なわないようにした図7の装
置で超臨界水酸化の処理を行なった。
ことを除いて上記実施例1と同じとした。
その時の管状反応器の温度分布は図7に合わせて示し
た。
に含まれている成分、及びCl- イオンを実施例1と同
様に測定したところ下記表5の通りであった。
(分解対象物)のうちの有機塩素化合物は実質的に完全
分解されたことが分かる。
のpHは3.1で塩酸が超臨界水酸化で生成されている
ことが確認された。
(位置T−6付近)の反応器の周壁にピンホールが約幅
2mに渡って発生した。この状況を図8に示した。
度分布の図から分かるように反応器内の温度にしたがっ
て分解生成流体である処理流体の温度が水の臨界温度3
74℃の近傍にある温度域であった。
酸化装置を使用して、超臨界水酸化に伴って塩を生ずる
物質を含む上記表1の成分からなる物質を分解対象物の
試料として、超臨界水酸化の処理を行なった。反応器3
1から排出管35を通して排出される処理流体を冷却、
減圧し、気液分離した後、本処理液の1/3を循環ライ
ン37により戻し、中和剤として水酸化ナトリウム溶液
を添加して中和剤溶液とした。この中和剤溶液を排出管
35の所定位置(図6のTC−6〜TC−7の間)から
添加する方法で中和を行なった。
50mm×高さ1050mm 中和剤溶液 :水酸化ナトリウム水溶液、濃度530
ppm(トリクロロエチレンが完全分解したときに生ず
るCl- イオンの約1.2倍モル量)、中和剤溶液添加
位置(図6のT−6〜T−7の間)の処理流体温度は約
620℃、添加時の中和剤溶液の温度20℃、添加流量
8ml/min。
100%分解するのに必要な理論量の1.8倍)。
ったが、反応器31内の圧力上昇は起こらず、連続した
試験を行なうことができた。また、反応器31及び排出
管35の温度分布を調べて、その測定点と温度を図6に
示した。なお温度分布の測定は、熱電対を反応器内に各
々挿入することにより行なった。
の温度は、TC−6の位置で621℃であるのに対し、
添加後のTC−7の位置では288℃である。これによ
り酸基の酸腐食作用がなく、かつ塩の溶解度が低い高温
の状態の処理流体に対して中和剤水溶液を添加すること
で処理流体が水の臨界温度以下まで急激に低下され、下
記(3)により管内壁に塩が付着することなく水に溶解
して排出されたことが分かる。また試験を繰り返し行っ
てもTC−6〜TC−7の付近で管にピンホールの発生
はなく、酸による腐食が十分に防止されることが確認さ
れた。
(処理流体)中に含まれる成分を、ガスクロマトグラフ
ィーGC−311(HNU SYSTEMS社製,光イ
オン化検出器)により測定し、また、Cl- ,Na+ イ
オンはイオンクロマトグラフィーDX−AQ(日本ダイ
オネクス社製)を用いて測定したところ下記表6の通り
であった。
(分解対象物)のトリクロロエチレンは実質的に完全分
解されたことが分かる。
算されるpHは2.4であるのに対し、処理流体のpH
は6.1であり、超臨界水酸化で生成した塩酸が水酸化
ナトリウムで中和されていることが確認された。なお処
理流体のpHが6.1を示すのは二酸化炭素の溶存によ
る。
Na+ イオンの回収率を求めた。
101%となり、このことは、中和反応に寄与しなかっ
たNa+ イオンは処理流体(分解生成流体)と共に流れ
たことを示し、反応器および排出系管路内で塩の析出が
起っていないことが確認された。
01の底部に塩移送のための亜臨界水を供給・排出する
構成、すなわち純水供給管307と処理流体(ブライ
ン)排出管308を接続し、廃液供給管303、超臨界
水供給管304及び空気供給管305の各供給ラインを
反応器301の二重管ノズル302に接続すると共に、
中和剤溶液は分解対象物に混合して反応器の始端部から
供給するようにした従来の超臨界水酸化装置によって、
超臨界水酸化の処理を行った。なお306は処理流体
(メイン)排出管である。
実施例3と同じトリクロロエチレン(TCE)を水−イ
ソプロピルアルコール(IPA)混合溶液に溶解させて
135g/hrで供給した。
径50mm×高さ1050mm 中和剤溶液 :水酸化ナトリウム水溶液(トリクロ
ロエチレンが完全分解したときに生ずるCl- イオンと
等しいモル量)を超臨界水に混合して供給 流量(SCW) :150リットル/hr 流量(IPA) :41.5リットル/hr IPA濃度 :20.4% (空気) :1.5Nm3 /hr(試料の分解対象物
を100%分解するのに必要な理論量の1.5倍)。
が、反応器301内の圧力上昇は起こらず、連続した試
験を行なうことができた。また、反応器301及び排出
管306の温度分布を調べて、その測定点と温度を図9
に示した。この温度分布図から分かるように、反応器3
01内の温度が反応温度から臨界温度以下の温度の広範
囲に分布し、また排出管には高温の処理流体が排出され
ており、反応器内の温度分布が一様でないことが分か
る。
ゾーンの亜臨界ゾーン近傍の位置TC−5で450℃で
あり、亜臨界ゾーンの位置TC−6では125℃である
ため、TC−5〜TC−6の間に臨界温度を含む温度分
布が存在することが分かる。
(処理流体)中に含まれる成分を、ガスクロマトグラフ
ィーGC−311(HNU Systems社製,光イ
オン検出器:前出)により測定し、また、Cl- ,Na
+ イオンはイオンクロマトグラフィーDX−AQ(日本
ダイオネクス社製)を用いて測定したところ下記表7の
通りであった。
7、処理流体(ブライン)のpHは6.1であった。
次式によりNa+ イオンの回収率を求めた。
30%となり、このことは、塩(NaCl)あるいは水
酸化ナトリウム(NaOH)が反応器301内または排
出管306内で析出して残存していることを示してい
る。
超臨界水と共に供給した方法では、反応器あるいは配管
内で塩あるいは水酸化ナトリウムが析出して中和が十分
に行われていないと判断される。
て生成した酸の中和を確実に行えるので、装置を酸の腐
食から保護でき、安全性、耐久性に優れた処理を実現で
きるという効果が奏されると共に、中和反応で生成した
塩が反応器や排出系管路の壁面に付着する問題を実質的
に解消でき、反応器や管路の閉塞の虞れが解消されるた
め、連続した処理を実現できる。しかも、酸による腐蝕
防止と共に中和塩の付着防止を同時に達成できるため、
構造が簡単な管式反応器を使用することができ、この場
合には、難分解性有機物や有害有機物などの酸を生成す
る有機物を、制御容易でかつ設備コストも安価な管式反
応器を有する超臨界水酸化装置で実現でき、工業的規模
の実施装置として極めて優れている。
臨界水酸化によって十分に分解させることができるベッ
セル式反応器を用いた場合には、排出管路途中で中和剤
溶液を添加するので、該反応器に中和剤を添加する必要
がなく、該反応器を酸の腐食から保護した安全性、耐久
性に優れた処理を実現できると共に、中和反応で生成し
た塩が反応器の壁面に付着する問題がないので、従来の
ベッセル型反応器において設けていた塩移送水を供給・
排出するための構造・機構を設ける必要がなく、難分解
性有機物や有害有機物などの酸を生成する有機物の連続
処理を好適に実現できる。
射性物質や有害金属等を含む廃棄物・廃液である場合
に、処理流体を循環戻しして中和剤溶液を調整するの
で、処理流体量が増大することがなく、処理流体中に含
まれる放射性物質や有害金属等の固体物質を固液分離・
濃縮する装置の大型化が避けられる点で、工業的規模で
実施する装置としては極めて有利である。
液の添加量を選択することで、処理流体を急冷する程度
を制御できるので、中和塩の迅速な溶解と壁面への塩付
着防止を有効に行うことができる。
化の反応で生成された流体に対して特に冷却を行うこと
なく中和剤溶液を添加することができるので、装置・設
備の構成を簡単化できる。また、高温の流体に対し温度
の低い中和剤溶液を添加することで添加する中和剤溶液
の量を少なくすることができる。
aで450℃の温度を境界として超臨界水に対する塩化
ナトリウムの溶解度が急変する性質を利用して中和剤溶
液の添加位置や添加量等を選択することができる。
よれば、上記した方法発明を実施するための装置を簡易
に構成することができ、特に管(パイプ)式反応器を用
いた装置の発明によれば、酸を副生する物質を含有する
廃棄物等を、管の閉塞を招くことなく分解処理すること
ができる点で極めて優れている。
施する場合の実施形態1の装置フローを示した図。
器で実施する場合の実施形態2の装置フローを示した
図。
施する場合の実施形態3の装置フローを示した図。
酸化の処理を行なった場合の反応器の温度分布を説明す
るための図。
酸化の処理を行なった場合の反応器の温度分布を説明す
るための図。
臨界水酸化の処理を行なった場合の反応器の温度分布を
説明するための図。
超臨界水酸化の処理を行なった場合の比較例1の反応器
の温度分布を説明するための図。
た場合に発生したピンホールの状況を示した図。
して超臨界水酸化の処理を行ない、生成した塩を亜臨界
水で反応器外に排出するようにした比較例2の反応器の
温度分布を説明するための図。
出管路、3…減圧装置、4…超臨界水供給管、5…廃液
(分解対象物)供給管、6…空気供給管、7…中和剤供
給管、8…吹込ノズル、9…中和剤貯水タンク、10,
11…処理液排出管、13…循環管路、14…ポンプ。
31…ベッセル式の反応器、32…二重管ノズル、33
…廃液(分解対象物)供給管、34…超臨界水供給管、
35…処理液(処理流体)排出管、36…中和剤供給
管、37…循環管路、38…ポンプ、39…冷却器。2
00…管式反応器、201…旋回状部分、202…排出
系管路、204…第1供給管、205…第2供給管、2
08…循環管路、209…ポンプ、210…直線状部
分、211…冷却器。301…ベッセル式反応器、30
2…二重管ノズル、303…廃液(分解対象物)供給
管、304…超臨界水供給管、305…空気供給管、3
06…処理液(メイン)排出管、307…純水供給管、
308…処理液(ブライン)排出管。
Claims (9)
- 【請求項1】 超臨界水条件下にある反応器内で、超
臨界水の存在下に分解対象有機物を連続的に酸化分解反
応させ、生成した流体を排出管路を通して連続的に反応
器外に排出する工程と、反応器には中和剤溶液を添加せ
ず、反応器から排出管路に排出された超臨界水条件下の
流体に対して中和剤溶液を添加することで該流体に含ま
れる酸基を中和して塩を生成させると共に、この中和剤
溶液の添加によって生成した中和塩が殆ど溶解しない超
臨界水条件下から排出管路の壁面に付着せず十分に溶解
する温度まで降温させる工程と、上記排出管路で冷却し
た水の一部を取出し中和剤を添加して上記中和剤溶液を
調製する工程と、を備えたことを特徴とする超臨界水酸
化方法。 - 【請求項2】 請求項1において、流体を降温させる工
程が、中和塩が十分に溶解する温度まで上記流体を中和
剤溶液の添加により瞬時に降温させるものであることを
特徴とする超臨界水酸化方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、中和剤溶液を
添加する前の超臨界水酸化で生成した流体の温度が45
0℃以上であることを特徴とする超臨界水酸化方法。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
超臨界水酸化で生成した流体に対して添加する中和剤溶
液の温度が80℃以下であることを特徴とする超臨界水
酸化方法。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
中和剤溶液の添加で生成する中和塩が塩化ナトリウムで
あることを特徴とする超臨界水酸化方法。 - 【請求項6】 耐圧性容器からなる超臨界水酸化反応用
の反応器と、この反応器に分解対象物,酸化剤,超臨界
水を供給する供給手段と、超臨界水酸化反応で生成され
た流体を反応器外に排出する排出管路と、この排出管路
内を流通する超臨界水条件下の流体に、含まれる酸基を
中和するために生成中和塩を溶解しない条件下から排出
管路の壁面に付着せず十分に溶解する温度まで降温する
ように排出管路の途中に設けられた中和剤溶液添加手段
と、上記排出管路で降温、冷却された水の一部を上記中
和剤溶液添加手段に循環させる循環手段と、循環された
水に中和剤を加えて上記中和剤溶液を調製する中和剤溶
液調整手段と、を備えたことを特徴とする超臨界水酸化
装置。 - 【請求項7】 耐圧性容器からなる超臨界水酸化反応用
の反応器と、この反応器に分解対象物,酸化剤及び水を
供給する供給手段と、超臨界水酸化反応で生成された流
体を反応器外に排出する排出管路と、この排出管路内を
流通する超臨界水条件下の流体に、含まれる酸基を中和
するために生成中和塩を溶解しない条件下から排出管路
の壁面に付着せず十分に溶解する温度まで降温するよう
に排出管路の途中に設けられた中和剤溶液添加手段と、
上記排出管路で降温、冷却された水の一部を上記中和剤
溶液添加手段に循環させる循環手段と、循環された水に
中和剤を加えて上記中和剤溶液を調製する中和剤溶液調
整手段と、を備えたことを特徴とする超臨界水酸化装
置。 - 【請求項8】 請求項6又は7において、反応器は、縦
筒型のベッセル式反応器であり、反応器天井部に分解対
象物,酸化剤、及び超臨界水又は水を供給する供給手段
が接続され、反応器上部に生成流体の排出管路が接続さ
れていることを特徴とする超臨界水酸化装置。 - 【請求項9】 請求項6又は7において、反応器は、パ
イプ式の反応器であり、該反応器に分解対象物,酸化
剤、及び超臨界水又は水を供給する供給手段が接続さ
れ、超臨界水酸化反応を行う反応器の反応領域の終端部
が排出管路に連続されていることを特徴とする超臨界水
酸化装置。
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---|---|---|---|
JP30831097A JP3464897B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 超臨界水酸化方法及び装置 |
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JP30831097A JP3464897B2 (ja) | 1997-11-11 | 1997-11-11 | 超臨界水酸化方法及び装置 |
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JPH11138180A JPH11138180A (ja) | 1999-05-25 |
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1997
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