JP3480799B2 - スピニングリール - Google Patents
スピニングリールInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣り用リール、特
に、釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を巻き取る
スピニングリールに関する。 【0002】 【従来の技術】スピニングリール等の釣り用リールに
は、釣り糸を巻き付けるためにリール本体にスプールが
装着されている。スピニングリールのスプールは、釣り
竿の軸方向に沿って配置された前側が後側より小径の円
錐台形状の糸巻胴部を有している。スプールの両側方に
はロータアームが配置されており、ロータアームの先端
にはスプールに釣糸を案内するためのベールアームが装
着されている。 【0003】このようなスピニングリールでは、巻取時
には、ハンドルを回すとロータが回転しベールアームが
スプールの周りを回転して釣り糸を糸巻胴部に巻き付け
る。繰り出し時には、ベールアームを開放姿勢すること
で釣り糸が糸巻胴部から前方に向けて放出される。遠投
用のスピニングリールを用いて砂浜から遠いポイントに
仕掛けを飛ばすキャスティングを行うときには、投げる
前にハンドルを回転させてスプールを往復ストロークの
最前方に位置させることがある。このようにスプールを
最前方に位置させると、スプールから放出される釣糸と
ロータアームとの干渉を最小限に抑えることができ、仕
掛けを遠くのポイントに飛ばしやすい。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】一般にキャスティング
を行う場合には、釣り竿の先端から仕掛けまでの距離、
つまりたらし長さを最適な長さにする必要がある。たら
し長さが最適な長さより短かったり長かったりすると、
仕掛けの飛距離が短くなることがある。しかし、前記従
来のスピニングリールでは、ハンドルによりスプールを
移動させると、ロータアームが回転し、釣り糸が巻き取
られたり繰り出されたりする。このため、スプールをハ
ンドルの回転により最前方に位置させるとたらし長さが
変動し、たらし長さを最適な長さに調整するのが困難で
ある。また、ハンドル1回転当たりのスプールの移動距
離が小さいスピニングリール、つまり釣り糸をスプール
に密に巻き付可能なスピニングリールでは、スプールを
最前方に移動させるためにはハンドルを多く回転させな
ければならず、スプールの移動に手間がかかる。 【0005】本発明の課題は、スピニングリールにおい
て、キャスティングの際のスプールの前後位置の調整
を、たらし長さに影響を与えることなく簡単に行えるよ
うにすることにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニング
リールは、釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を巻
き取るリールであって、リール本体と、ロータと、スプ
ール軸と、スプールと、ロータ駆動機構と、往復駆動機
構と、スプール保持機構とを備えている。リール本体
は、ハンドルを有し釣り竿に装着可能なものである。ロ
ータは、リール本体に回転自在に装着され、円筒部と、
円筒部の側方に互いに対向して設けられた第1ロータア
ーム及び第2ロータアームとを有し、釣り糸を巻き取る
ためのものである。スプール軸は、前後移動自在にリー
ル本体に装着され先端がロータから突出している。スプ
ールは、スプール軸に装着されている。ロータ駆動機構
は、ハンドルの回転に連動してロータを回転させる。往
復駆動機構は、ロータの回転に連動してスプール軸を前
後に往復駆動する。スプール保持機構は、スプールを往
復駆動機構の動作と別に、スプール軸に対して第1ロー
タアーム及び第2ロータアームへの釣り糸の干渉を少な
くするための前進位置と後退位置とに移動自在に保持す
る。 【0007】このスピニングリールでは、キャスティン
グを行う場合には、後退位置に配置されたスプールの保
持を解除してスプールを前進位置に移動させスプール軸
に再度保持させる。この状態で釣り竿を振って仕掛けを
投げる。そしてキャスティングが終わると保持を解除し
てスプールを後退位置に後退させてスプール軸に再度保
持させる。ここでは、ロータを回転させることなくスプ
ールを前進位置に配置できるので、キャスティングの際
のスプールの前後位置の調整を、たらし長さに影響を与
えることなく簡単に行うことができる。 【0008】発明2に係るスピニングリールは、発明1
に記載のリールにおいて、スプールは外周に釣り糸を巻
き付け可能な糸巻筒体を有し、スプール保持機構は、ス
プール軸の先端に装着され糸巻筒体を軸方向に移動自在
に支持する支持筒体と、前進位置と後退位置とで糸巻筒
体を支持筒体に保持及び保持解除可能な筒体保持手段と
を有する。この場合には、キャスティング時に保持を解
除して糸巻筒体を支持筒体に対して前進位置に移動させ
再度糸巻筒体を支持筒体に保持させる。そして、キャス
ティングが終わると、糸巻筒体を支持筒体に対して後退
位置に移動させ再度糸巻筒体を支持筒体に保持させる。
ここでは、通常のスプールを二重構造にし一方でスプー
ルを他方でスプール保持機構をそれぞれ構成すること
で、簡素な構成でスプールの前後移動構造を実現でき
る。 【0009】発明3に係るスピニングリールは、発明2
に記載のリールにおいて、支持筒体は、スプール軸の先
端に回動不能に固定されている。この場合には、支持筒
体がスプール軸の先端に固定されているので、スプール
の支持構造が簡素になる。発明4に係るスピニングリー
ルは、発明2又は3に記載のリールにおいて、糸巻筒体
は支持筒体にスプール軸周りに回動かつ前後移動自在に
装着され、筒体保持手段は、糸巻筒体及び支持筒体との
いずれか一方の筒体の他方の筒体との対向面に周方向に
移動不能に設けられ他方の筒体に接触可能な保持部材
と、両筒体の相対回転により保持部材が強く接触して糸
巻筒体を支持筒体で保持し得るように他方の筒体に設け
られた接触部と、両筒体の相対回転により保持部材によ
る保持が解除され糸巻筒体を支持筒体に対して移動し得
るように他方の筒体に設けられた逃げ部と、糸巻筒体及
び支持筒体のいずれか一方に前進位置において周方向に
形成された第1周溝部と第1周溝部から軸方向に沿って
後退位置まで延びる軸溝部と軸溝部から周方向に第1周
溝部と対向して形成された第2周溝部とを有するガイド
溝と、糸巻筒体及び支持筒体のいずれか他方にガイド溝
に係合するように装着されたガイド部材とを有し、第1
周溝部及び第2周溝部の端部にガイド部材が配置される
と保持部材が接触部に強く接触して糸巻筒体が支持筒体
に移動不能に保持され、軸溝部にガイド部材が配置され
ると保持部材が逃げ部に配置され糸巻筒体が支持筒体に
対して移動可能になる。 【0010】この場合には、保持部材が接触部に強く接
触して糸巻筒体が支持筒体に保持された状態から糸巻筒
体を支持筒体に対して回動させると、保持部材が接触部
から逃げ部に配置され保持が解除される。この解除状態
では、ガイド部材がガイド溝に周方向及び軸方向に案内
されて糸巻筒体が前進又は後退可能になる。糸巻筒体が
前進位置又は後退位置に到達すると、逆方向に糸巻筒体
を回動させることで保持部材が接触部に強く接触し、糸
巻筒体が支持筒体に再度保持される。ここでは、回動動
作により保持及び保持解除を行いかつガイド溝とガイド
部材により糸巻筒体を支持筒体に対して常に同じ軌跡で
移動させることで、糸巻筒体の保持及び解除並びに前後
移動を簡単な操作で行える。 【0011】発明5に係るスピニングリールは、発明4
に記載のリールにおいて、ガイド部材は、ガイド溝に先
端が係合する軸部材である。この場合には、ガイド部材
の構成が簡素である。発明6に係るスピニングリール
は、発明2から5のいずれかに記載のリールにおいて、
スプールは、糸巻筒体と支持筒体とが相対移動すると発
音する発音機構をさらに有している。この場合には、糸
巻筒体が支持筒体に対して相対移動すると発音するの
で、他の操作との違いを釣り人が簡単に認識できる。 【0012】発明7に係るスピニングリールは、発明2
から6のいずれかに記載のリールにおいて、往復駆動機
構は、ロータが20回転以上回転したときにスプールを
1ストローク前後進させる。この場合には、支持筒体に
釣り糸を密に巻きつけることができるので、長い釣り糸
をスプールに効率良く巻き付けることができる。しか
も、ハンドルを回さずにスプールを前進位置に配置でき
るので、スプールの前進位置への配置が容易である。 【0013】 【発明の実施の形態】 〔全体構成及びリール本体の構成〕図1〜図3におい
て、本発明の一実施形態を採用したスピニングリール
は、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、
ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、
リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプ
ール4は釣り糸をその外周面に巻き取るものであり、ロ
ータ3の前部に前後移動可能に配置されている。 【0014】リール本体2は、ロータ3やスプール4を
支持する筐体部10と、筐体部10の両側面に着脱自在
にネジ止めされた1対の蓋体部11a,11bと、筐体
部10から上方に延びる竿取付部12とを有している。
筐体部10はたとえばアルミニウム合金製の薄肉部分と
厚肉部分とが混在した部材であり、両側に開口部10
a,10bを有している。筐体部10の内部には、ロー
タ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、スプール
4を前後移動させて均一に釣り糸を巻き取るためのオシ
レーティング機構6と、オシレーティング機構6と別に
前後移動自在にスプール4をスプール軸20に保持及び
解除するスプール保持機構17とが設けられている。 【0015】蓋体部11a,11bは、たとえばマグネ
シウム合金製の薄肉の部材であり、筐体部10の開口部
10a,10bをそれぞれをカバーする。蓋体部11
a,11bは、たとえばマグネシウム合金が持つチクソ
トロピ性を利用したチクソモールディング法によりマグ
ネシウム合金を射出成形して製造される。なお、耐食性
を確保するためにマグネシウム合金の表面はクロメート
処理されている。一方の蓋体部11a(図3下側)に
は、ハンドル1が先端に固定されたハンドル軸7を支持
する側方に突出する筒状のハンドル支持部8が設けられ
ている。ハンドル支持部8の両端には軸受9,9が配置
されており、軸受9,9によりハンドル軸7はハンドル
支持部8に回転自在に支持されている。 【0016】竿取付部12は、筐体部10から上方に斜
め前方に延びる部材であり、筐体部10と一体でほぼT
字型に形成されている。竿取付部12の上部には、竿取
付面12aが形成されている。ロータ駆動機構5は、ハ
ンドル軸7の基端にハンドル軸7と一体で形成されたマ
スターギア13と、マスターギア13に噛み合うピニオ
ンギア14とを有している。ピニオンギア14は筒状に
形成されており、その前部14aはロータ3の中心部を
貫通してスプール4側に延びている。そして、その先端
にはネジ部が形成されている。ピニオンギア14は、そ
の軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受15,1
6を介してリール本体2の筐体部10に回転自在に支持
されている。 〔オシレーティング機構の構成〕オシレーティング機構
6は、スプール4の中心部を先端で固定したスプール軸
20を前後方向に往復移動させてスプール4を同方向に
移動させるための機構である。オシレーティング機構6
は、ロータ3が75回転したときにスプール4を1スト
ローク前進及び後退させる。したがって、ロータ3が3
7.5回転すると後退端から前進端又は前進端から後退
端まで1ストロークの半分だけスプール4が移動する。
オシレーティング機構6は、スプール軸20の上方に配
置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動
するスライダ22と、螺軸21の先端に装着された減速
機構23とを有している。 【0017】螺軸21は、スプール軸20と平行に配置
されており、先端部がロータ3の内部で筐体部10に回
転自在に支持されている。また、螺軸21の外周部には
螺旋状の溝21aが形成されており、後端には平坦部2
0aが形成されている。螺軸21の溝21aは、たとえ
ば螺軸21が10回転するとスライダ22が1ストロー
ク前後進するように形成されている。 【0018】スライダ22はスプール軸20の後端の平
坦部20aに軸方向移動不能及び回転不能に固定されて
いる。スライダ22は、螺軸21の上方及び下方に平行
に配置されたガイド軸24a,24bにより軸方向に案
内される。減速機構23は、スプール4に釣り糸を密に
巻き付けるためにピニオンギア14の回転を減速して螺
軸21に伝達する機構である。減速機構23は、図8に
示すように、第1減速部23aと第2減速部23bとを
有している。第1減速部23aは、スプール軸20の図
8奥側にスプール軸20と平行に配置された第1減速軸
90と、第1減速軸90に回転不能に設けられた中間ギ
ア91と、第1減速軸90の中間ギア91より前側に設
けられた第1ウォームギア92と、第1ウォームギア9
2に噛み合う第1ウォームホイール93とを有してい
る。第1減速軸90は、リール本体2の筐体部10に回
転自在に装着されている。中間ギア91は、ピニオンギ
ア14に噛み合っている。第1ウォームホイール93
は、後述する第2減速軸94に回転不能に設けられてい
る。 【0019】第2減速部23bは、第1減速軸90と直
交するようにスプール軸20の上方に配置されリール本
体2の筐体部10に回転自在に支持された第2減速軸9
4と、第1ウォームホイール93より図8手前側で第2
減速軸94に回転不能に設けられた第2ウォームギア9
5と、第2ウォームギア95に噛み合う第2ウォームホ
イール96とを有している。第2ウォームホイール96
は、螺軸21の先端に回転不能に設けられている。 【0020】このような構成の減速機構23では、2つ
の減速部23a,23bにより2段階でピニオンギア1
4の回転を減速して螺軸21に伝達する。ここでは、た
とえばピニオンギア14が7.5回転、つまりロータ3
が7.5回転すると螺軸21が1回転するように減速機
構23の減速比が設定されている。したがって、螺軸2
1の溝21aの形状と減速機構23の減速比とからロー
タが、たとえは75回転するとスプール4が1ストロー
ク分前進及び後退し、スプール4に釣り糸を密に巻き付
けることができる。なお、スプール4の1ストロークに
対してロータ3が20回転以上回転するようにオシレー
ティング機構6を構成すればスプール4に釣り糸を密に
巻き付けることができ、釣り糸をスプール4に効率良く
巻き付けできる。 〔ロータの構成〕ロータ3は、図1及び図4に示すよう
に、円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して
設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム
32とを有している。円筒部30と両ロータアーム3
1,32とは一体成形されている。円筒部30の前部に
は前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボ
ス33aが形成されている。このボス33aの貫通孔を
ピニオンギア14の前部14a及びスプール軸20が貫
通している。前壁33の前方側にはナット34が配置さ
れており、このナット34がピニオンギア14の先端の
ネジ部に螺合している。ナット34の内周部には、ナッ
ト34をスプール軸20に対して回転自在に支持するた
めの軸受35が配置されている。 【0021】また、円筒部30の内部にはロータ3の逆
転防止機構37が配置されている。逆転防止機構37
は、ローラ型のワンウェイクラッチ(図示せず)と、ワ
ンウェイクラッチを作動状態及び非作動状態に切り換え
る操作機構38とを有している。ワンウェイクラッチ
は、外輪が筐体部10に固定され、内輪がピニオンギア
14に固定されている。操作機構38は、筐体部10の
下部に配置された操作レバー39を有しており、操作レ
バー39を揺動させることでワンウェイクラッチが2つ
の状態に切り換られ、作動状態のときにロータ3が逆転
不能になり、非作動状態のときロータ3が逆転可能にな
る。 【0022】ロータ3の前壁33には、前方に開口を有
する筒状の糸噛み防止部材36が設けられている。この
糸噛み防止部材36は、外周先端部に段部36aを有し
ており、スプール4に巻き付けられた釣り糸がロータ3
との間の隙間から入ってスプール軸20に噛み込むのを
防止するために設けられている。 〔ベールアームの構成〕図1〜図3に示すように、第1
及び第2ロータアーム31,32の先端にはベールアー
ム40が開閉自在に装着されている。ベールアーム40
は、第1及び第2ロータアーム31,32の先端の内周
側にそれぞれ揺動自在に装着された第1及び第2ベール
支持部材41a,41bと、釣り糸案内機構42と、釣
り糸案内機構42及び第2ベール支持部材41bに両端
が固定されたベール46とを有している。第1ベール支
持部材41aは、2つの軸受40aにより第1ロータア
ーム31に回転自在に支持されている。釣り糸案内機構
42は、釣り糸をスプール4に案内するためものであ
り、第1ベール支持部材41aの先端に装着されてい
る。ここで、第2ベール支持部材41bを、例えば、他
の部分より比重の大きい材質で構成し、第1ベール支持
部材41a及び釣り糸案内機構42に起因する回転時の
アンバランスを解消するためのバランサとして機能させ
ている。これにより、ベールアーム40を含むロータ3
全体は、動的バランスが釣り合ったものになる。 【0023】また、各ベール支持部材41a,41bを
ロータアーム31,32の内周側に装着することによ
り、ベールアーム40の回転半径が小さくなり、釣り竿
も持つ手に当たりにくくなる。したがって、竿取付部1
2を短くしてスプール4と釣り竿を近づけることがで
き、全体として小型化が可能になる。ここで、両ベール
支持部材41a,41bは、一本の揺動軸Mを中心に揺
動自在である。そして、揺動軸Mと第1ロータアーム3
1の第1ベール支持部材取付面とが交差する点を揺動中
心C1とし、揺動軸Mと第2ロータアーム32の第2ベ
ール支持部材取付面とが交差する点を揺動中心C2とし
た場合、揺動中心C2は揺動中心C1より前方に位置し
ている。すなわち、揺動軸Mは、スプール軸20と直交
する軸に対して後方に傾いている。また、各ベール支持
部材41a,41bは、それらの揺動面が揺動軸Mに対
して直交するように配置されている。 【0024】釣り糸案内機構42は、図2及び図3に示
すように、第1ベール支持部材41aに一端が固定され
た固定軸(図示せず)と、固定軸と一体で形成された固
定軸カバー44と、概略筒状のラインローラ45とを有
している。固定軸43は、固定軸カバー44と一体で切
削加工により製作された部材である。固定軸43は、基
端が固定軸カバー44から延びており、先端が第1ベー
ル支持部材41aの先端に固定されている。固定軸カバ
ー44は頂点が中心からずれた略円錐形状であり、その
頂点は、固定軸の軸芯を基準にしてリールの後方向でか
つスプール4の径方向外方を向いている。この円錐の頂
点付近の稜線部にベール46が稜線部と滑らかに接合さ
れている。このベール46と固定軸カバー44との接合
部は、円錐の頂点より釣り糸案内側に偏倚している。ラ
インローラ45は、固定軸に軸受を介して回転自在に支
持されている。ベール46は、固定軸カバー44と第2
ベール支持部材41bとに挿入固定されている。ベール
46は、スプール4の周方向外方に湾曲して配置され、
釣り糸を固定軸カバー44を介してラインローラ45に
導く。ここで、固定軸カバー44及びベール46のライ
ンローラ側部分46a(図2)の釣り糸案内側接触部4
6b(図1)とスプール4上での釣り糸接触部との距離
Rがベール46からラインローラ45に向かうに従って
短くなるように、固定軸カバー44及びベール46は構
成されている。 〔スプール及びスプール保持機構の構成〕スプール4
は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアー
ム32との間に配置されており、スプール軸20の先端
にスプール保持機構17を介して固定されている。スプ
ール保持機構17は、図4に示すように、スプール軸2
0の先端に固定された支持筒体25を有し、スプール4
は、支持筒体25の外周側に前後移動可能に装着され外
周に釣り糸を巻き付け可能な糸巻筒体26を有してい
る。この糸巻筒体26をキャスティング時に支持筒体2
5から前進させることでロータアーム31,32への釣
り糸の干渉を少なくすることができる。 【0025】支持筒体25は、有底筒状の部材であり、
スプール軸20の先端に回転不能に装着された円板部材
27と、円板部材27の外周部に固定された筒状部材2
8とを有している。円板部材27の中心部には、スプー
ル軸20に回転不能に装着されたボス部29が形成され
ている。円板部材27の径方向の中間部には、段差部2
7aが形成されている。 【0026】筒状部材28は、先端が円板部材27の外
周側面にビス止めされ、後端がロータ3の円筒部30の
後部まで延びている。図5に示すように、筒状部材28
の下部周面(図7の上部周面)には軸方向に沿って延び
る保持溝50が形成され、保持溝50の上方には保持溝
50から周方向に間隔を隔てて配置されたコ字状のガイ
ド溝51が形成されている。保持溝50には、弾性樹脂
製の保持部材52が装着されている。 【0027】保持部材52は、保持溝50により周方向
に回動不能かつ軸方向(前後方向)に移動自在に設けら
れている。保持部材52の先端は、通常の保持状態で
は、図6に2点鎖線で示すように、糸巻筒体26の後端
部内周面(接触面54)に圧接して弾性変形している。
これにより糸巻筒体26が支持筒体25に相対回転する
ことなく保持される。 【0028】ガイド溝51は、図5及び図6に示すよう
に、後退位置において周方向に形成された第1周溝部5
1aと、第1周溝部51aから軸方向に沿って後退位置
から前進位置まで延びる軸溝部51bと、軸溝部51b
から前進位置で周方向に第1周溝部51aと対向して形
成された第2周溝部51cとを有している。第1周溝部
51a及び第2周溝部51cは図6に示すように、A点
(C点)からB点(D点)まで角度αだけ糸巻筒体26
が回転するように形成されている。また、軸溝部51b
は、B点からC点まで糸巻筒体26が前進し得るように
形成されている。 【0029】このガイド溝51に、図6に示すように、
棒状のガイド部材53の先端が係合している。ガイド部
材53は、糸巻筒体26の後端部に形成された後述する
後フランジ部61に先端側が内周側に突出するようにね
じ込み固定されており、支持筒体25に対して糸巻筒体
26が回動及び軸方向に移動するとき、糸巻筒体26を
一定の軌跡で案内するために設けられている。 【0030】糸巻筒体26は、支持筒体25の外周側に
回転自在かつ軸方向移動自在に装着されている。また、
糸巻筒体26は、後述する保持部材52により支持筒体
25に回転かつ移動不能に保持される。糸巻筒体26
は、外周に釣り糸が巻き付けられる先細りテーパ筒状の
糸巻胴部60と、糸巻胴部60の後部にそれより大径に
一体で形成された後フランジ部61と、糸巻胴部60の
前部に固定された大径の前フランジ部62とを有してい
る。糸巻胴部60はロータ3の円筒部30の外周側まで
延びており、通常のスピニングリールより胴長さが長く
なっている。また、両フランジ部61,62のフランジ
高さは、通常のスピニングリールより低くなっている。
これにより、糸放出時の抵抗が少なくなり、細い釣り糸
を糸巻胴部60に巻き付けても釣り糸がよれにくくなっ
ている。 【0031】糸巻胴部60は、内側部材70と、内側部
材70の外周側に同芯に重ねて装着された薄肉の外側部
材71とを有している。内側部材70は、たとえば、
1.0mm〜1.5mm程度のアルミニウム合金製の先
細り筒状の部材である。なお、この内側部材70を蓋体
部11a,11bと同様にマグネシウム合金製にしても
よい。また、内側部材70の後部に後フランジ部61が
一体で形成されている。内側部材70の外周面には、内
外周を貫通する多数の丸孔74が形成されている。丸孔
74は、スプール4の軽量化を図るために形成されてお
り、位相をずらして周方向及び軸方向に間隔を隔てて配
置されている。 【0032】外側部材71は、周面に多数の貫通孔75
を有するたとえばステンレス製の金網を先細り筒状に成
形して得られた部材である。外側部材71は、先端に内
側に折れ曲がる係止部71aを有し、後端に外側に折れ
曲がる鍔部71bを有している。この係止部71aが内
側部材70の先端に係止される。また鍔部71bは後フ
ランジ部61に螺合するネジリング76により糸巻胴部
60と後フランジ部61との段差部に固定されている。 【0033】このようにスプール4の糸巻胴部60を厚
肉の内側部材70と金網を成形した薄肉の外側部材71
とで構成することで、糸巻形状を貫通孔をあけていない
場合とほとんど同じにすることができるとともに、多数
の貫通孔75により滑り止め効果も期待できる。後フラ
ンジ部61には、内周部にリング状の接触面54が形成
されている。この接触面54に保持部材52の先端が強
く接触する。図6に示すように、接触面54において、
ガイド部材53がガイド溝51の軸溝部51bに位置し
たときに保持部材52の先端に接触する位置には、偏芯
円弧により形成された逃げ面55が形成されている。こ
の逃げ面55に保持部材52が配置されると、図6に実
線で示すように、保持部材52の先端が逃げ面55に緩
く接触し、糸巻筒体26が支持筒体25に対して軸方向
に移動自在になる。それ以外の接触面54に保持部材5
2が配置されると、接触面54に保持部材52の先端が
強く接触して糸巻筒体26が支持筒体25に保持され
る。 【0034】また、後フランジ部61には、前述したよ
うにガイド部材53がねじ込まれている。このねじ込み
位置は、前述したようにガイド部材53がガイド溝51
の軸溝部51bに位置したときに保持部材52の先端が
逃げ面55に配置される位置である。さらに、図5及び
図6に示すように、支持筒体25に対して糸巻筒体26
が移動したときに発音する発音機構80が、支持筒体2
5と糸巻筒体26との間に装着されている。発音機構8
0は、糸巻筒体26の後フランジ部61の内周面に径方
向に移動自在に装着された音出しピン81と、音出しピ
ン81に対向して支持筒体25の筒状部材28の外周面
に形成された多数の音出し孔82と、音出しピン81を
支持筒体25側に付勢する音出しバネ83とを有してい
る。音出しピン81は、先端が球状のきのこ形の軸状部
材である。音出し孔82は、図5に示すように、音出し
ピン81に係合するように周方向及び径方向にコ字状に
形成された球面孔であり、音出しバネ83に付勢された
音出しピン81を音出し孔82で筒状部材28に衝突さ
せるために形成されている。この音出しピン81の筒状
部材28への衝突により糸巻筒体26が回動及び軸方向
に移動すると発音する。 【0035】前フランジ部62は、底無し皿状の部材で
あり、内側部材70の前側周縁部とで外側部材71の係
止部71aを挟んで固定している。前フランジ部62
は、内側部材70に螺合するスプールリングカラー79
により内側部材70との間で挟持され内側部材70に固
定されている。内側部材70の前側内周部には雌ネジ部
70aが形成されており、この雌ネジ部70aにスプー
ルリングカラー79が螺合している。スプールリングカ
ラー79は鍔付フランジ形状である。スプールリングカ
ラー79の内周側にはスプールナット78が配置されて
いる。スプールナット78は、スプール軸20の先端に
螺合しており、スプール4の円板部材27をスプール軸
20に固定している。 〔リールの操作及び動作〕このスピニングリールでは、
キャスティング時には、スプール4の糸巻筒体26を後
退位置から前進位置に移動させ、ロータアーム31,3
2に釣り糸が干渉しにくくする。具体的には、まず図5
及び図6に示すA点からB点に糸巻筒体26を回転さ
せ、保持部材52を接触面54から逃げ面55に位置さ
せ糸巻筒体26の保持を解除する。この回転時には、ガ
イド部材53が第1周溝部51aをA点からB点まで移
動する。また、発音機構80の音出しピン81が音出し
孔82への衝突を繰り返し発音する。この保持解除状態
で糸巻筒体26をB点からC点に前進させる。この移動
時にはガイド部材53が軸溝部51bをB点からC点ま
で移動する。また、発音機構80の音出しピン81が音
出し孔82への衝突を繰り返し発音する。そして最後に
糸巻筒体26をC点からD点まで角度α回転させ、保持
部材52を逃げ面55から接触面54に位置させ糸巻筒
体26を支持筒体25に保持させる。これによりスプー
ルの前進操作が完了する。このようなスプールの前進操
作によりロータ3を回転させることなくスプール4の糸
巻筒体26を前進位置に配置できるので、投げ釣りの際
のスプール4の前後位置の調整を、たらし長さに影響を
与えることなく簡単に行うことができる。 【0036】続いて、ベール46を糸巻取側から糸開放
側に倒す。これにより第1及び第2ベール支持部材41
a,41bは、揺動軸Mを中心として同方向に回転す
る。このとき、第1及び第2ベール支持部材41a,4
1bは、第1及び第2ロータアーム31,32の内周側
に配置され、かつ揺動軸Mがスプール軸20に対して後
方に傾いているので、第1ベール支持部材41a及びそ
の先端のラインローラ45は、糸巻取姿勢時の位置より
もさらに内周側に移動する。このため、キャスティング
時に繰り出された釣り糸が第1ベール支持部材41aや
ラインローラ45に絡みにくくなる。キャスティングが
終わると、前進操作と逆の操作手順でスプール4の糸巻
筒体26を前進位置から後退位置に戻す。 【0037】釣り糸巻取時には、ベール46を糸巻取姿
勢に倒す。これは、ハンドル1を糸巻取方向に回転させ
ると図示しないカムとバネの働きにより自動的に行われ
る。ハンドル1を糸巻取方向に回転させると、この回転
力はハンドル軸7及びマスターギア13を介してピニオ
ンギア14に伝達される。このピニオンギア14に伝達
された回転力は、ピニオンギア14前部を介してロータ
3に伝達され、ロータ3が糸巻取方向に回転する。ま
た、ピニオンギア14に伝達された回転力は減速機構2
3を介して螺軸21に伝達されスプール4を前後進させ
る。 【0038】そして、ベール46が糸巻取姿勢に倒れて
ロータ3が回転するとともにスプール4が前後進する
と、ベール46の後部(釣り糸案内側接触部)に接触し
た釣り糸は、ベール46により固定軸カバー44に案内
される。固定軸カバー44に案内された釣り糸は、ライ
ンローラ45に案内され、さらに、ラインローラ45で
釣り糸の方向が変えられスプール4の糸巻胴部60の外
周にすこしずつずれながら密に巻き取られる。 【0039】この糸巻胴部60は、軽量化を図るために
内側部材70と外側部材71とに貫通孔が形成されてい
るが、外側部材71が金網で形成されているので、釣り
糸を傷つけたり糸巻形状をくずすことがない。また、2
つの部材でスプール4を構成することで、デザイン的に
も新しさを演出することができる。さらに、内側部材7
0に丸孔74が形成されているので、スプール4に巻か
れた釣り糸の下巻部分にも空気が触れるため釣り糸が濡
れても乾燥しやくなる。このため、環境に優しい生分解
性を有する釣り糸を使用しても釣り糸が劣化しにくくな
る。 【0040】この固定軸カバー44及びベール46のラ
インローラ側部分46aの釣り糸案内側接触部とスプー
ル4上の釣り糸接触部との距離Rがベール46からライ
ンローラ45に向かうに従って短くなるように、ベール
46及び固定軸カバー44が構成されているので、スプ
ール4との距離の増減変動がなくなり、釣り糸が引っ掛
かりにくくなる。このため、釣り糸をベール46からラ
インローラ45にスムーズに案内することができる。 〔他の実施形態〕 (a) スプール保持機構17の前進位置及び後退位置
での保持及び保持解除の構成は前記実施形態のように回
転により行う構成に限定されるものではなく、たとえ
ば、バネにより付勢されたピンによる軸方向への移動だ
けで保持及び保持解除する構成や、ネジにより糸巻筒体
に支持筒体を保持及び保持解除する構成等の種々の変形
が可能である。 【0041】(b) 前記実施形態では、通常のスプー
ルをスプールとスプール保持機構との二重構造にしてス
プールを前後に移動させたが、本発明はこれに限定され
るものではなく、たとえばスプール軸を通常のスプール
軸とその先端で前後に移動するスプール保持機構との二
重構造にしてスプールを移動させる等の他の構成でもよ
い。 【0042】 【発明の効果】本発明によれば、ロータを回転させるこ
となくスプールを前進位置に配置できるので、キャステ
ィングの際のスプールの前後位置の調整を、たらし長さ
に影響を与えることなく簡単に行うことができる。
に、釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を巻き取る
スピニングリールに関する。 【0002】 【従来の技術】スピニングリール等の釣り用リールに
は、釣り糸を巻き付けるためにリール本体にスプールが
装着されている。スピニングリールのスプールは、釣り
竿の軸方向に沿って配置された前側が後側より小径の円
錐台形状の糸巻胴部を有している。スプールの両側方に
はロータアームが配置されており、ロータアームの先端
にはスプールに釣糸を案内するためのベールアームが装
着されている。 【0003】このようなスピニングリールでは、巻取時
には、ハンドルを回すとロータが回転しベールアームが
スプールの周りを回転して釣り糸を糸巻胴部に巻き付け
る。繰り出し時には、ベールアームを開放姿勢すること
で釣り糸が糸巻胴部から前方に向けて放出される。遠投
用のスピニングリールを用いて砂浜から遠いポイントに
仕掛けを飛ばすキャスティングを行うときには、投げる
前にハンドルを回転させてスプールを往復ストロークの
最前方に位置させることがある。このようにスプールを
最前方に位置させると、スプールから放出される釣糸と
ロータアームとの干渉を最小限に抑えることができ、仕
掛けを遠くのポイントに飛ばしやすい。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】一般にキャスティング
を行う場合には、釣り竿の先端から仕掛けまでの距離、
つまりたらし長さを最適な長さにする必要がある。たら
し長さが最適な長さより短かったり長かったりすると、
仕掛けの飛距離が短くなることがある。しかし、前記従
来のスピニングリールでは、ハンドルによりスプールを
移動させると、ロータアームが回転し、釣り糸が巻き取
られたり繰り出されたりする。このため、スプールをハ
ンドルの回転により最前方に位置させるとたらし長さが
変動し、たらし長さを最適な長さに調整するのが困難で
ある。また、ハンドル1回転当たりのスプールの移動距
離が小さいスピニングリール、つまり釣り糸をスプール
に密に巻き付可能なスピニングリールでは、スプールを
最前方に移動させるためにはハンドルを多く回転させな
ければならず、スプールの移動に手間がかかる。 【0005】本発明の課題は、スピニングリールにおい
て、キャスティングの際のスプールの前後位置の調整
を、たらし長さに影響を与えることなく簡単に行えるよ
うにすることにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】発明1に係るスピニング
リールは、釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を巻
き取るリールであって、リール本体と、ロータと、スプ
ール軸と、スプールと、ロータ駆動機構と、往復駆動機
構と、スプール保持機構とを備えている。リール本体
は、ハンドルを有し釣り竿に装着可能なものである。ロ
ータは、リール本体に回転自在に装着され、円筒部と、
円筒部の側方に互いに対向して設けられた第1ロータア
ーム及び第2ロータアームとを有し、釣り糸を巻き取る
ためのものである。スプール軸は、前後移動自在にリー
ル本体に装着され先端がロータから突出している。スプ
ールは、スプール軸に装着されている。ロータ駆動機構
は、ハンドルの回転に連動してロータを回転させる。往
復駆動機構は、ロータの回転に連動してスプール軸を前
後に往復駆動する。スプール保持機構は、スプールを往
復駆動機構の動作と別に、スプール軸に対して第1ロー
タアーム及び第2ロータアームへの釣り糸の干渉を少な
くするための前進位置と後退位置とに移動自在に保持す
る。 【0007】このスピニングリールでは、キャスティン
グを行う場合には、後退位置に配置されたスプールの保
持を解除してスプールを前進位置に移動させスプール軸
に再度保持させる。この状態で釣り竿を振って仕掛けを
投げる。そしてキャスティングが終わると保持を解除し
てスプールを後退位置に後退させてスプール軸に再度保
持させる。ここでは、ロータを回転させることなくスプ
ールを前進位置に配置できるので、キャスティングの際
のスプールの前後位置の調整を、たらし長さに影響を与
えることなく簡単に行うことができる。 【0008】発明2に係るスピニングリールは、発明1
に記載のリールにおいて、スプールは外周に釣り糸を巻
き付け可能な糸巻筒体を有し、スプール保持機構は、ス
プール軸の先端に装着され糸巻筒体を軸方向に移動自在
に支持する支持筒体と、前進位置と後退位置とで糸巻筒
体を支持筒体に保持及び保持解除可能な筒体保持手段と
を有する。この場合には、キャスティング時に保持を解
除して糸巻筒体を支持筒体に対して前進位置に移動させ
再度糸巻筒体を支持筒体に保持させる。そして、キャス
ティングが終わると、糸巻筒体を支持筒体に対して後退
位置に移動させ再度糸巻筒体を支持筒体に保持させる。
ここでは、通常のスプールを二重構造にし一方でスプー
ルを他方でスプール保持機構をそれぞれ構成すること
で、簡素な構成でスプールの前後移動構造を実現でき
る。 【0009】発明3に係るスピニングリールは、発明2
に記載のリールにおいて、支持筒体は、スプール軸の先
端に回動不能に固定されている。この場合には、支持筒
体がスプール軸の先端に固定されているので、スプール
の支持構造が簡素になる。発明4に係るスピニングリー
ルは、発明2又は3に記載のリールにおいて、糸巻筒体
は支持筒体にスプール軸周りに回動かつ前後移動自在に
装着され、筒体保持手段は、糸巻筒体及び支持筒体との
いずれか一方の筒体の他方の筒体との対向面に周方向に
移動不能に設けられ他方の筒体に接触可能な保持部材
と、両筒体の相対回転により保持部材が強く接触して糸
巻筒体を支持筒体で保持し得るように他方の筒体に設け
られた接触部と、両筒体の相対回転により保持部材によ
る保持が解除され糸巻筒体を支持筒体に対して移動し得
るように他方の筒体に設けられた逃げ部と、糸巻筒体及
び支持筒体のいずれか一方に前進位置において周方向に
形成された第1周溝部と第1周溝部から軸方向に沿って
後退位置まで延びる軸溝部と軸溝部から周方向に第1周
溝部と対向して形成された第2周溝部とを有するガイド
溝と、糸巻筒体及び支持筒体のいずれか他方にガイド溝
に係合するように装着されたガイド部材とを有し、第1
周溝部及び第2周溝部の端部にガイド部材が配置される
と保持部材が接触部に強く接触して糸巻筒体が支持筒体
に移動不能に保持され、軸溝部にガイド部材が配置され
ると保持部材が逃げ部に配置され糸巻筒体が支持筒体に
対して移動可能になる。 【0010】この場合には、保持部材が接触部に強く接
触して糸巻筒体が支持筒体に保持された状態から糸巻筒
体を支持筒体に対して回動させると、保持部材が接触部
から逃げ部に配置され保持が解除される。この解除状態
では、ガイド部材がガイド溝に周方向及び軸方向に案内
されて糸巻筒体が前進又は後退可能になる。糸巻筒体が
前進位置又は後退位置に到達すると、逆方向に糸巻筒体
を回動させることで保持部材が接触部に強く接触し、糸
巻筒体が支持筒体に再度保持される。ここでは、回動動
作により保持及び保持解除を行いかつガイド溝とガイド
部材により糸巻筒体を支持筒体に対して常に同じ軌跡で
移動させることで、糸巻筒体の保持及び解除並びに前後
移動を簡単な操作で行える。 【0011】発明5に係るスピニングリールは、発明4
に記載のリールにおいて、ガイド部材は、ガイド溝に先
端が係合する軸部材である。この場合には、ガイド部材
の構成が簡素である。発明6に係るスピニングリール
は、発明2から5のいずれかに記載のリールにおいて、
スプールは、糸巻筒体と支持筒体とが相対移動すると発
音する発音機構をさらに有している。この場合には、糸
巻筒体が支持筒体に対して相対移動すると発音するの
で、他の操作との違いを釣り人が簡単に認識できる。 【0012】発明7に係るスピニングリールは、発明2
から6のいずれかに記載のリールにおいて、往復駆動機
構は、ロータが20回転以上回転したときにスプールを
1ストローク前後進させる。この場合には、支持筒体に
釣り糸を密に巻きつけることができるので、長い釣り糸
をスプールに効率良く巻き付けることができる。しか
も、ハンドルを回さずにスプールを前進位置に配置でき
るので、スプールの前進位置への配置が容易である。 【0013】 【発明の実施の形態】 〔全体構成及びリール本体の構成〕図1〜図3におい
て、本発明の一実施形態を採用したスピニングリール
は、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、
ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、
リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプ
ール4は釣り糸をその外周面に巻き取るものであり、ロ
ータ3の前部に前後移動可能に配置されている。 【0014】リール本体2は、ロータ3やスプール4を
支持する筐体部10と、筐体部10の両側面に着脱自在
にネジ止めされた1対の蓋体部11a,11bと、筐体
部10から上方に延びる竿取付部12とを有している。
筐体部10はたとえばアルミニウム合金製の薄肉部分と
厚肉部分とが混在した部材であり、両側に開口部10
a,10bを有している。筐体部10の内部には、ロー
タ3を回転させるためのロータ駆動機構5と、スプール
4を前後移動させて均一に釣り糸を巻き取るためのオシ
レーティング機構6と、オシレーティング機構6と別に
前後移動自在にスプール4をスプール軸20に保持及び
解除するスプール保持機構17とが設けられている。 【0015】蓋体部11a,11bは、たとえばマグネ
シウム合金製の薄肉の部材であり、筐体部10の開口部
10a,10bをそれぞれをカバーする。蓋体部11
a,11bは、たとえばマグネシウム合金が持つチクソ
トロピ性を利用したチクソモールディング法によりマグ
ネシウム合金を射出成形して製造される。なお、耐食性
を確保するためにマグネシウム合金の表面はクロメート
処理されている。一方の蓋体部11a(図3下側)に
は、ハンドル1が先端に固定されたハンドル軸7を支持
する側方に突出する筒状のハンドル支持部8が設けられ
ている。ハンドル支持部8の両端には軸受9,9が配置
されており、軸受9,9によりハンドル軸7はハンドル
支持部8に回転自在に支持されている。 【0016】竿取付部12は、筐体部10から上方に斜
め前方に延びる部材であり、筐体部10と一体でほぼT
字型に形成されている。竿取付部12の上部には、竿取
付面12aが形成されている。ロータ駆動機構5は、ハ
ンドル軸7の基端にハンドル軸7と一体で形成されたマ
スターギア13と、マスターギア13に噛み合うピニオ
ンギア14とを有している。ピニオンギア14は筒状に
形成されており、その前部14aはロータ3の中心部を
貫通してスプール4側に延びている。そして、その先端
にはネジ部が形成されている。ピニオンギア14は、そ
の軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受15,1
6を介してリール本体2の筐体部10に回転自在に支持
されている。 〔オシレーティング機構の構成〕オシレーティング機構
6は、スプール4の中心部を先端で固定したスプール軸
20を前後方向に往復移動させてスプール4を同方向に
移動させるための機構である。オシレーティング機構6
は、ロータ3が75回転したときにスプール4を1スト
ローク前進及び後退させる。したがって、ロータ3が3
7.5回転すると後退端から前進端又は前進端から後退
端まで1ストロークの半分だけスプール4が移動する。
オシレーティング機構6は、スプール軸20の上方に配
置された螺軸21と、螺軸21に沿って前後方向に移動
するスライダ22と、螺軸21の先端に装着された減速
機構23とを有している。 【0017】螺軸21は、スプール軸20と平行に配置
されており、先端部がロータ3の内部で筐体部10に回
転自在に支持されている。また、螺軸21の外周部には
螺旋状の溝21aが形成されており、後端には平坦部2
0aが形成されている。螺軸21の溝21aは、たとえ
ば螺軸21が10回転するとスライダ22が1ストロー
ク前後進するように形成されている。 【0018】スライダ22はスプール軸20の後端の平
坦部20aに軸方向移動不能及び回転不能に固定されて
いる。スライダ22は、螺軸21の上方及び下方に平行
に配置されたガイド軸24a,24bにより軸方向に案
内される。減速機構23は、スプール4に釣り糸を密に
巻き付けるためにピニオンギア14の回転を減速して螺
軸21に伝達する機構である。減速機構23は、図8に
示すように、第1減速部23aと第2減速部23bとを
有している。第1減速部23aは、スプール軸20の図
8奥側にスプール軸20と平行に配置された第1減速軸
90と、第1減速軸90に回転不能に設けられた中間ギ
ア91と、第1減速軸90の中間ギア91より前側に設
けられた第1ウォームギア92と、第1ウォームギア9
2に噛み合う第1ウォームホイール93とを有してい
る。第1減速軸90は、リール本体2の筐体部10に回
転自在に装着されている。中間ギア91は、ピニオンギ
ア14に噛み合っている。第1ウォームホイール93
は、後述する第2減速軸94に回転不能に設けられてい
る。 【0019】第2減速部23bは、第1減速軸90と直
交するようにスプール軸20の上方に配置されリール本
体2の筐体部10に回転自在に支持された第2減速軸9
4と、第1ウォームホイール93より図8手前側で第2
減速軸94に回転不能に設けられた第2ウォームギア9
5と、第2ウォームギア95に噛み合う第2ウォームホ
イール96とを有している。第2ウォームホイール96
は、螺軸21の先端に回転不能に設けられている。 【0020】このような構成の減速機構23では、2つ
の減速部23a,23bにより2段階でピニオンギア1
4の回転を減速して螺軸21に伝達する。ここでは、た
とえばピニオンギア14が7.5回転、つまりロータ3
が7.5回転すると螺軸21が1回転するように減速機
構23の減速比が設定されている。したがって、螺軸2
1の溝21aの形状と減速機構23の減速比とからロー
タが、たとえは75回転するとスプール4が1ストロー
ク分前進及び後退し、スプール4に釣り糸を密に巻き付
けることができる。なお、スプール4の1ストロークに
対してロータ3が20回転以上回転するようにオシレー
ティング機構6を構成すればスプール4に釣り糸を密に
巻き付けることができ、釣り糸をスプール4に効率良く
巻き付けできる。 〔ロータの構成〕ロータ3は、図1及び図4に示すよう
に、円筒部30と、円筒部30の側方に互いに対向して
設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム
32とを有している。円筒部30と両ロータアーム3
1,32とは一体成形されている。円筒部30の前部に
は前壁33が形成されており、前壁33の中央部にはボ
ス33aが形成されている。このボス33aの貫通孔を
ピニオンギア14の前部14a及びスプール軸20が貫
通している。前壁33の前方側にはナット34が配置さ
れており、このナット34がピニオンギア14の先端の
ネジ部に螺合している。ナット34の内周部には、ナッ
ト34をスプール軸20に対して回転自在に支持するた
めの軸受35が配置されている。 【0021】また、円筒部30の内部にはロータ3の逆
転防止機構37が配置されている。逆転防止機構37
は、ローラ型のワンウェイクラッチ(図示せず)と、ワ
ンウェイクラッチを作動状態及び非作動状態に切り換え
る操作機構38とを有している。ワンウェイクラッチ
は、外輪が筐体部10に固定され、内輪がピニオンギア
14に固定されている。操作機構38は、筐体部10の
下部に配置された操作レバー39を有しており、操作レ
バー39を揺動させることでワンウェイクラッチが2つ
の状態に切り換られ、作動状態のときにロータ3が逆転
不能になり、非作動状態のときロータ3が逆転可能にな
る。 【0022】ロータ3の前壁33には、前方に開口を有
する筒状の糸噛み防止部材36が設けられている。この
糸噛み防止部材36は、外周先端部に段部36aを有し
ており、スプール4に巻き付けられた釣り糸がロータ3
との間の隙間から入ってスプール軸20に噛み込むのを
防止するために設けられている。 〔ベールアームの構成〕図1〜図3に示すように、第1
及び第2ロータアーム31,32の先端にはベールアー
ム40が開閉自在に装着されている。ベールアーム40
は、第1及び第2ロータアーム31,32の先端の内周
側にそれぞれ揺動自在に装着された第1及び第2ベール
支持部材41a,41bと、釣り糸案内機構42と、釣
り糸案内機構42及び第2ベール支持部材41bに両端
が固定されたベール46とを有している。第1ベール支
持部材41aは、2つの軸受40aにより第1ロータア
ーム31に回転自在に支持されている。釣り糸案内機構
42は、釣り糸をスプール4に案内するためものであ
り、第1ベール支持部材41aの先端に装着されてい
る。ここで、第2ベール支持部材41bを、例えば、他
の部分より比重の大きい材質で構成し、第1ベール支持
部材41a及び釣り糸案内機構42に起因する回転時の
アンバランスを解消するためのバランサとして機能させ
ている。これにより、ベールアーム40を含むロータ3
全体は、動的バランスが釣り合ったものになる。 【0023】また、各ベール支持部材41a,41bを
ロータアーム31,32の内周側に装着することによ
り、ベールアーム40の回転半径が小さくなり、釣り竿
も持つ手に当たりにくくなる。したがって、竿取付部1
2を短くしてスプール4と釣り竿を近づけることがで
き、全体として小型化が可能になる。ここで、両ベール
支持部材41a,41bは、一本の揺動軸Mを中心に揺
動自在である。そして、揺動軸Mと第1ロータアーム3
1の第1ベール支持部材取付面とが交差する点を揺動中
心C1とし、揺動軸Mと第2ロータアーム32の第2ベ
ール支持部材取付面とが交差する点を揺動中心C2とし
た場合、揺動中心C2は揺動中心C1より前方に位置し
ている。すなわち、揺動軸Mは、スプール軸20と直交
する軸に対して後方に傾いている。また、各ベール支持
部材41a,41bは、それらの揺動面が揺動軸Mに対
して直交するように配置されている。 【0024】釣り糸案内機構42は、図2及び図3に示
すように、第1ベール支持部材41aに一端が固定され
た固定軸(図示せず)と、固定軸と一体で形成された固
定軸カバー44と、概略筒状のラインローラ45とを有
している。固定軸43は、固定軸カバー44と一体で切
削加工により製作された部材である。固定軸43は、基
端が固定軸カバー44から延びており、先端が第1ベー
ル支持部材41aの先端に固定されている。固定軸カバ
ー44は頂点が中心からずれた略円錐形状であり、その
頂点は、固定軸の軸芯を基準にしてリールの後方向でか
つスプール4の径方向外方を向いている。この円錐の頂
点付近の稜線部にベール46が稜線部と滑らかに接合さ
れている。このベール46と固定軸カバー44との接合
部は、円錐の頂点より釣り糸案内側に偏倚している。ラ
インローラ45は、固定軸に軸受を介して回転自在に支
持されている。ベール46は、固定軸カバー44と第2
ベール支持部材41bとに挿入固定されている。ベール
46は、スプール4の周方向外方に湾曲して配置され、
釣り糸を固定軸カバー44を介してラインローラ45に
導く。ここで、固定軸カバー44及びベール46のライ
ンローラ側部分46a(図2)の釣り糸案内側接触部4
6b(図1)とスプール4上での釣り糸接触部との距離
Rがベール46からラインローラ45に向かうに従って
短くなるように、固定軸カバー44及びベール46は構
成されている。 〔スプール及びスプール保持機構の構成〕スプール4
は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアー
ム32との間に配置されており、スプール軸20の先端
にスプール保持機構17を介して固定されている。スプ
ール保持機構17は、図4に示すように、スプール軸2
0の先端に固定された支持筒体25を有し、スプール4
は、支持筒体25の外周側に前後移動可能に装着され外
周に釣り糸を巻き付け可能な糸巻筒体26を有してい
る。この糸巻筒体26をキャスティング時に支持筒体2
5から前進させることでロータアーム31,32への釣
り糸の干渉を少なくすることができる。 【0025】支持筒体25は、有底筒状の部材であり、
スプール軸20の先端に回転不能に装着された円板部材
27と、円板部材27の外周部に固定された筒状部材2
8とを有している。円板部材27の中心部には、スプー
ル軸20に回転不能に装着されたボス部29が形成され
ている。円板部材27の径方向の中間部には、段差部2
7aが形成されている。 【0026】筒状部材28は、先端が円板部材27の外
周側面にビス止めされ、後端がロータ3の円筒部30の
後部まで延びている。図5に示すように、筒状部材28
の下部周面(図7の上部周面)には軸方向に沿って延び
る保持溝50が形成され、保持溝50の上方には保持溝
50から周方向に間隔を隔てて配置されたコ字状のガイ
ド溝51が形成されている。保持溝50には、弾性樹脂
製の保持部材52が装着されている。 【0027】保持部材52は、保持溝50により周方向
に回動不能かつ軸方向(前後方向)に移動自在に設けら
れている。保持部材52の先端は、通常の保持状態で
は、図6に2点鎖線で示すように、糸巻筒体26の後端
部内周面(接触面54)に圧接して弾性変形している。
これにより糸巻筒体26が支持筒体25に相対回転する
ことなく保持される。 【0028】ガイド溝51は、図5及び図6に示すよう
に、後退位置において周方向に形成された第1周溝部5
1aと、第1周溝部51aから軸方向に沿って後退位置
から前進位置まで延びる軸溝部51bと、軸溝部51b
から前進位置で周方向に第1周溝部51aと対向して形
成された第2周溝部51cとを有している。第1周溝部
51a及び第2周溝部51cは図6に示すように、A点
(C点)からB点(D点)まで角度αだけ糸巻筒体26
が回転するように形成されている。また、軸溝部51b
は、B点からC点まで糸巻筒体26が前進し得るように
形成されている。 【0029】このガイド溝51に、図6に示すように、
棒状のガイド部材53の先端が係合している。ガイド部
材53は、糸巻筒体26の後端部に形成された後述する
後フランジ部61に先端側が内周側に突出するようにね
じ込み固定されており、支持筒体25に対して糸巻筒体
26が回動及び軸方向に移動するとき、糸巻筒体26を
一定の軌跡で案内するために設けられている。 【0030】糸巻筒体26は、支持筒体25の外周側に
回転自在かつ軸方向移動自在に装着されている。また、
糸巻筒体26は、後述する保持部材52により支持筒体
25に回転かつ移動不能に保持される。糸巻筒体26
は、外周に釣り糸が巻き付けられる先細りテーパ筒状の
糸巻胴部60と、糸巻胴部60の後部にそれより大径に
一体で形成された後フランジ部61と、糸巻胴部60の
前部に固定された大径の前フランジ部62とを有してい
る。糸巻胴部60はロータ3の円筒部30の外周側まで
延びており、通常のスピニングリールより胴長さが長く
なっている。また、両フランジ部61,62のフランジ
高さは、通常のスピニングリールより低くなっている。
これにより、糸放出時の抵抗が少なくなり、細い釣り糸
を糸巻胴部60に巻き付けても釣り糸がよれにくくなっ
ている。 【0031】糸巻胴部60は、内側部材70と、内側部
材70の外周側に同芯に重ねて装着された薄肉の外側部
材71とを有している。内側部材70は、たとえば、
1.0mm〜1.5mm程度のアルミニウム合金製の先
細り筒状の部材である。なお、この内側部材70を蓋体
部11a,11bと同様にマグネシウム合金製にしても
よい。また、内側部材70の後部に後フランジ部61が
一体で形成されている。内側部材70の外周面には、内
外周を貫通する多数の丸孔74が形成されている。丸孔
74は、スプール4の軽量化を図るために形成されてお
り、位相をずらして周方向及び軸方向に間隔を隔てて配
置されている。 【0032】外側部材71は、周面に多数の貫通孔75
を有するたとえばステンレス製の金網を先細り筒状に成
形して得られた部材である。外側部材71は、先端に内
側に折れ曲がる係止部71aを有し、後端に外側に折れ
曲がる鍔部71bを有している。この係止部71aが内
側部材70の先端に係止される。また鍔部71bは後フ
ランジ部61に螺合するネジリング76により糸巻胴部
60と後フランジ部61との段差部に固定されている。 【0033】このようにスプール4の糸巻胴部60を厚
肉の内側部材70と金網を成形した薄肉の外側部材71
とで構成することで、糸巻形状を貫通孔をあけていない
場合とほとんど同じにすることができるとともに、多数
の貫通孔75により滑り止め効果も期待できる。後フラ
ンジ部61には、内周部にリング状の接触面54が形成
されている。この接触面54に保持部材52の先端が強
く接触する。図6に示すように、接触面54において、
ガイド部材53がガイド溝51の軸溝部51bに位置し
たときに保持部材52の先端に接触する位置には、偏芯
円弧により形成された逃げ面55が形成されている。こ
の逃げ面55に保持部材52が配置されると、図6に実
線で示すように、保持部材52の先端が逃げ面55に緩
く接触し、糸巻筒体26が支持筒体25に対して軸方向
に移動自在になる。それ以外の接触面54に保持部材5
2が配置されると、接触面54に保持部材52の先端が
強く接触して糸巻筒体26が支持筒体25に保持され
る。 【0034】また、後フランジ部61には、前述したよ
うにガイド部材53がねじ込まれている。このねじ込み
位置は、前述したようにガイド部材53がガイド溝51
の軸溝部51bに位置したときに保持部材52の先端が
逃げ面55に配置される位置である。さらに、図5及び
図6に示すように、支持筒体25に対して糸巻筒体26
が移動したときに発音する発音機構80が、支持筒体2
5と糸巻筒体26との間に装着されている。発音機構8
0は、糸巻筒体26の後フランジ部61の内周面に径方
向に移動自在に装着された音出しピン81と、音出しピ
ン81に対向して支持筒体25の筒状部材28の外周面
に形成された多数の音出し孔82と、音出しピン81を
支持筒体25側に付勢する音出しバネ83とを有してい
る。音出しピン81は、先端が球状のきのこ形の軸状部
材である。音出し孔82は、図5に示すように、音出し
ピン81に係合するように周方向及び径方向にコ字状に
形成された球面孔であり、音出しバネ83に付勢された
音出しピン81を音出し孔82で筒状部材28に衝突さ
せるために形成されている。この音出しピン81の筒状
部材28への衝突により糸巻筒体26が回動及び軸方向
に移動すると発音する。 【0035】前フランジ部62は、底無し皿状の部材で
あり、内側部材70の前側周縁部とで外側部材71の係
止部71aを挟んで固定している。前フランジ部62
は、内側部材70に螺合するスプールリングカラー79
により内側部材70との間で挟持され内側部材70に固
定されている。内側部材70の前側内周部には雌ネジ部
70aが形成されており、この雌ネジ部70aにスプー
ルリングカラー79が螺合している。スプールリングカ
ラー79は鍔付フランジ形状である。スプールリングカ
ラー79の内周側にはスプールナット78が配置されて
いる。スプールナット78は、スプール軸20の先端に
螺合しており、スプール4の円板部材27をスプール軸
20に固定している。 〔リールの操作及び動作〕このスピニングリールでは、
キャスティング時には、スプール4の糸巻筒体26を後
退位置から前進位置に移動させ、ロータアーム31,3
2に釣り糸が干渉しにくくする。具体的には、まず図5
及び図6に示すA点からB点に糸巻筒体26を回転さ
せ、保持部材52を接触面54から逃げ面55に位置さ
せ糸巻筒体26の保持を解除する。この回転時には、ガ
イド部材53が第1周溝部51aをA点からB点まで移
動する。また、発音機構80の音出しピン81が音出し
孔82への衝突を繰り返し発音する。この保持解除状態
で糸巻筒体26をB点からC点に前進させる。この移動
時にはガイド部材53が軸溝部51bをB点からC点ま
で移動する。また、発音機構80の音出しピン81が音
出し孔82への衝突を繰り返し発音する。そして最後に
糸巻筒体26をC点からD点まで角度α回転させ、保持
部材52を逃げ面55から接触面54に位置させ糸巻筒
体26を支持筒体25に保持させる。これによりスプー
ルの前進操作が完了する。このようなスプールの前進操
作によりロータ3を回転させることなくスプール4の糸
巻筒体26を前進位置に配置できるので、投げ釣りの際
のスプール4の前後位置の調整を、たらし長さに影響を
与えることなく簡単に行うことができる。 【0036】続いて、ベール46を糸巻取側から糸開放
側に倒す。これにより第1及び第2ベール支持部材41
a,41bは、揺動軸Mを中心として同方向に回転す
る。このとき、第1及び第2ベール支持部材41a,4
1bは、第1及び第2ロータアーム31,32の内周側
に配置され、かつ揺動軸Mがスプール軸20に対して後
方に傾いているので、第1ベール支持部材41a及びそ
の先端のラインローラ45は、糸巻取姿勢時の位置より
もさらに内周側に移動する。このため、キャスティング
時に繰り出された釣り糸が第1ベール支持部材41aや
ラインローラ45に絡みにくくなる。キャスティングが
終わると、前進操作と逆の操作手順でスプール4の糸巻
筒体26を前進位置から後退位置に戻す。 【0037】釣り糸巻取時には、ベール46を糸巻取姿
勢に倒す。これは、ハンドル1を糸巻取方向に回転させ
ると図示しないカムとバネの働きにより自動的に行われ
る。ハンドル1を糸巻取方向に回転させると、この回転
力はハンドル軸7及びマスターギア13を介してピニオ
ンギア14に伝達される。このピニオンギア14に伝達
された回転力は、ピニオンギア14前部を介してロータ
3に伝達され、ロータ3が糸巻取方向に回転する。ま
た、ピニオンギア14に伝達された回転力は減速機構2
3を介して螺軸21に伝達されスプール4を前後進させ
る。 【0038】そして、ベール46が糸巻取姿勢に倒れて
ロータ3が回転するとともにスプール4が前後進する
と、ベール46の後部(釣り糸案内側接触部)に接触し
た釣り糸は、ベール46により固定軸カバー44に案内
される。固定軸カバー44に案内された釣り糸は、ライ
ンローラ45に案内され、さらに、ラインローラ45で
釣り糸の方向が変えられスプール4の糸巻胴部60の外
周にすこしずつずれながら密に巻き取られる。 【0039】この糸巻胴部60は、軽量化を図るために
内側部材70と外側部材71とに貫通孔が形成されてい
るが、外側部材71が金網で形成されているので、釣り
糸を傷つけたり糸巻形状をくずすことがない。また、2
つの部材でスプール4を構成することで、デザイン的に
も新しさを演出することができる。さらに、内側部材7
0に丸孔74が形成されているので、スプール4に巻か
れた釣り糸の下巻部分にも空気が触れるため釣り糸が濡
れても乾燥しやくなる。このため、環境に優しい生分解
性を有する釣り糸を使用しても釣り糸が劣化しにくくな
る。 【0040】この固定軸カバー44及びベール46のラ
インローラ側部分46aの釣り糸案内側接触部とスプー
ル4上の釣り糸接触部との距離Rがベール46からライ
ンローラ45に向かうに従って短くなるように、ベール
46及び固定軸カバー44が構成されているので、スプ
ール4との距離の増減変動がなくなり、釣り糸が引っ掛
かりにくくなる。このため、釣り糸をベール46からラ
インローラ45にスムーズに案内することができる。 〔他の実施形態〕 (a) スプール保持機構17の前進位置及び後退位置
での保持及び保持解除の構成は前記実施形態のように回
転により行う構成に限定されるものではなく、たとえ
ば、バネにより付勢されたピンによる軸方向への移動だ
けで保持及び保持解除する構成や、ネジにより糸巻筒体
に支持筒体を保持及び保持解除する構成等の種々の変形
が可能である。 【0041】(b) 前記実施形態では、通常のスプー
ルをスプールとスプール保持機構との二重構造にしてス
プールを前後に移動させたが、本発明はこれに限定され
るものではなく、たとえばスプール軸を通常のスプール
軸とその先端で前後に移動するスプール保持機構との二
重構造にしてスプールを移動させる等の他の構成でもよ
い。 【0042】 【発明の効果】本発明によれば、ロータを回転させるこ
となくスプールを前進位置に配置できるので、キャステ
ィングの際のスプールの前後位置の調整を、たらし長さ
に影響を与えることなく簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用したスピニングリー
ルの断面側面図。 【図2】その正面図。 【図3】その平面断面図。 【図4】スプール及びロータの半截断面拡大図。 【図5】スプールの断面拡大図。 【図6】図5のVI−VI断面図。 【図7】スプールの分解斜視図。 【図8】減速機構の斜視図。 【符号の説明】 2 リール本体 3 ロータ 4 スプール 5 ロータ駆動機構 6 オシレーティング機構 17 スプール保持機構 20 スプール軸 21 螺軸 21a 溝 23 減速機構 25 支持筒体 26 糸巻筒体 51 ガイド溝 51a 第1周溝部 51b 軸溝部 51c 第2周溝部 52 ガイド部材 53 保持部材 54 接触面 55 逃げ面 80 発音機構
ルの断面側面図。 【図2】その正面図。 【図3】その平面断面図。 【図4】スプール及びロータの半截断面拡大図。 【図5】スプールの断面拡大図。 【図6】図5のVI−VI断面図。 【図7】スプールの分解斜視図。 【図8】減速機構の斜視図。 【符号の説明】 2 リール本体 3 ロータ 4 スプール 5 ロータ駆動機構 6 オシレーティング機構 17 スプール保持機構 20 スプール軸 21 螺軸 21a 溝 23 減速機構 25 支持筒体 26 糸巻筒体 51 ガイド溝 51a 第1周溝部 51b 軸溝部 51c 第2周溝部 52 ガイド部材 53 保持部材 54 接触面 55 逃げ面 80 発音機構
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】釣り竿の軸方向に沿った軸回りに釣り糸を
巻き取るスピニングリールであって、 ハンドルを有し前記釣り竿に装着可能なリール本体と、 前記リール本体に回転自在に装着され、円筒部と、円筒
部の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム
及び第2ロータアームとを有し、前記釣り糸を巻き取る
ためのロータと、 前後移動自在に前記リール本体に装着され先端が前記ロ
ータから突出したスプール軸と、 前記スプール軸に装着されるスプールと、 前記ハンドルの回転に連動して前記ロータを回転させる
ロータ駆動機構と、 前記ロータの回転に連動して前記スプール軸を前後に往
復駆動する往復駆動機構と、 前記スプールを前記往復駆動機構の動作と別に、前記ス
プール軸に対して前記第1ロータアーム及び前記第2ロ
ータアームへの釣り糸の干渉を少なくするための前進位
置と後退位置とに移動自在に保持するスプール保持機構
と、を備えたスピニングリール。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP29917797A JP3480799B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | スピニングリール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29917797A JP3480799B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | スピニングリール |
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---|---|---|---|
JP29917797A Expired - Fee Related JP3480799B2 (ja) | 1997-10-30 | 1997-10-30 | スピニングリール |
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Country | Link |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102019207189A1 (de) | 2018-07-06 | 2020-01-09 | Shimano Inc. | Spinnrolle |
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-
1997
- 1997-10-30 JP JP29917797A patent/JP3480799B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102019207189A1 (de) | 2018-07-06 | 2020-01-09 | Shimano Inc. | Spinnrolle |
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GB2575550B (en) * | 2018-07-06 | 2020-08-26 | Shimano Kk | Spinning reel |
DE102019207189B4 (de) | 2018-07-06 | 2023-08-17 | Shimano Inc. | Spinnrolle |
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JPH11127740A (ja) | 1999-05-18 |
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